(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記定義データベースに格納される判定条件を、同一の計測設定項目における、前記計測値データの分析値に基づいて設定される閾値と、訂正前の計測値データの参照の有無とのうち少なくとも一方とする請求項1に記載の医用レポート作成システム。
前記データ算出部で算出する、計測値データの分析値を、同一の計測設定項目における計測値の、母数、平均値、最大値、最小値、偏差、訂正したデータ数、訂正前のデータの最大値、及び前記訂正前のデータの最小値のうち少なくとも1つとする請求項1に記載の医用レポート作成システム。
前記計測設定項目は、前記医用画像を撮影する撮影装置、部位、年代、及び確定診断名のうち少なくとも1つを有する請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の医用レポート作成システム。
【背景技術】
【0002】
医用データ管理装置(画像ビューアを含む場合もある)や、医用レポートシステムを利用した読影の場合、超音波診断装置等の撮影装置(画像診断装置)で発生した医用画像や計測データは、医用データ管理装置で管理される。読影医は医用画像を画像ビューワで表示して読影を行い、その結果を読影レポートとして医用レポート作成装置に入力する。
【0003】
撮影装置は、同じ検査における、少なくとも1つの医用画像と、検査時の計測値データとを、1つの検査についての検査情報(検査インスタンスUID:study instance UID)を付けて医用データ管理装置に送信する。このとき、医用画像及び計測値データはDICOM(digital imaging and communication in medicine)形式の画像であり、計測値データはDICOM SR(structured reporting)に対応したデータである。DICOMは、撮影装置等の医用画像機器のネットワークにおける標準規格であり、一般的な医用画像機器はDICOM形式のデータにすることで、データを相互にやりとりすることができる。
【0004】
医用レポートは、患者情報、検査情報、及び所見情報等から構成される。撮影装置で計測された計測値データは検査情報に、読影結果は所見情報にそれぞれ入力される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の医用レポート作成システムについて、添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の医用レポート作成システムと、医用データ管理装置と、撮影装置とのネットワークシステムを示す構成図である。
【0012】
図1は、本実施形態の医用レポート作成システム100と、医用データ管理装置2(医用画像サーバ)と、撮影装置(画像診断装置)4とを示す。医用レポート作成システム100、医用データ管理装置2、及び撮影装置4は、ネットワークを介して相互接続される。
【0013】
医用データ管理装置2は、医用画像データベース21及び計測値データベース22を含む。医用画像データベース21は、撮影装置4で撮影し送信されたDICOM形式の医用画像(医用画像データ)を格納する。計測値データベース22は、撮影装置4で撮影した医用画像に対応するDICOM SRの計測値データを格納する。なお、同一被検体の医用画像と計測値データは、同一の患者情報(患者ID(identification))が付随しており、また、同一検査におけるDICOM形式の画像データと計測値データとは、同一の検査情報(検査インスタンスUID)が付随している。
【0014】
医用レポート作成システム100は、レポート作成支援装置1及び読影端末3を含む。レポート作成支援装置1は、読影端末3と接続し、レポートデータを作成して読影端末3に送信する。読影端末3は、表示部312を含み、レポート作成支援装置1で作成されたレポートデータと、医用データ管理装置2から送信される医用画像とを表示する。
【0015】
図2は、本実施形態の医用レポート作成システム100に備えるレポート作成支援装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0016】
図2に示すように、レポート作成支援装置1は、制御部10、通信部15、記憶部16、情報記憶媒体17、情報データベース18、及び定義データベース19がバスによって相互に通信可能に接続されて構成されている。
【0017】
通信部15は、ネットワークに接続し、各種外部装置との通信を行う。
【0018】
記憶部16は、制御部10や通信部15などのワーク領域となるもので、RAM(random access memory)等により実現できる。
【0019】
情報記憶媒体17(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、ハードディスク、或いはメモリ(flash memory、ROM:read only memory)等により実現できる。情報記憶媒体17には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)や、複数のアプリケーション等が記憶される。
【0020】
情報データベース18は、患者情報、検査情報、及び所見情報のうち少なくもとも1つを含むレポートデータを格納する。また、情報データベース18は、所定の患者情報のレポートデータに、該当する計測値データ(DICOM SR)を関連づけて格納する。情報データベース18には、計測値データが関連づけられた複数のレポートデータが蓄積されている。
【0021】
さらに、情報データベース18は、計測値データベース181を有する。計測値データベース181は、計測値データを関連づけて情報データベース18に格納されている複数のレポートデータより、同一の撮影装置や同一の部位等、同一の条件における計測値データの平均値等といった計測値データの分析値を、後述するデータ算出部103が算出して格納している。
【0022】
図3は、計測値データベース181に格納される、データ算出部103が算出した計測値データテーブルの例を示す図である。
【0023】
図3に示すように、計測値データベース181は、同一撮影装置、同一部位、同一年代、または同一確定診断名の条件で分類した、各計測における計測値データの分析値、すなわち母数、値の平均、最大値、最小値、偏差を格納している。例えば、計測1において、撮影装置Aで腹部を撮影した30代の被検体のレポートデータは1000個有し、平均値は12、最大値は18、最小値は8である。
【0024】
また、計測値データベース181には、計測値データの分析値として、訂正されたデータ数、訂正前のデータの最大値、及び訂正前のデータの最小値も格納している。所定の条件における複数の計測値データにおいて、訂正されたデータ数が多いということは、計測値データの誤りが多かったためと考えられるため、同一条件における計測値データが正しいかを確認する必要がある。また、訂正前のデータの最大値から最小値までの範囲は、誤っている値の範囲と考えられるため、取得した計測値データがこの値の範囲である場合に計測値データが正しいかを確認する必要がある。
【0025】
図2の説明に戻って、定義データベース19は、医用データ管理装置2から送信された計測値データが正常な値か否かを判定するための判定条件を格納する。
【0026】
図4は、定義データベース19に格納される判定条件の一例を示す図である。
【0027】
図4に示すように、定義データベース19は、各計測(計測1、計測2、…)において、同一撮影装置や同一部位等、比較するデータ群の条件を条件1、データ算出部103で算出される計測値データの分析値に基づいて設定された閾値等の判定条件を条件2に設定している。また、定義データベース19は、各計測における複数の計測値データにおいて、訂正前のデータを参照するか否かを設定している。さらに、定義データベース19は、計測値データが判定条件を満たさない場合、または訂正前データの最大値と最小値の範囲内である場合に表示するエラーメッセージをそれぞれ格納している。
【0028】
図2の説明に戻って、制御部10は、レポート作成支援装置1の総括的な制御を行うとともに、その他の様々な演算処理や制御処理などを行う演算装置である。制御部10の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、及びASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。制御部10は、情報記憶媒体17に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。
【0029】
制御部10は、情報取得部101、データ登録部102、データ算出部103、判定部104、及びデータ生成部106を含む。
【0030】
制御部10の情報取得部101は、医用データ管理装置2よりDICOM形式の計測値データ(DICOM SR)を取得する。また、情報取得部101は、情報データベース18に格納しているレポートデータを抽出する。
【0031】
データ登録部102は、情報取得部101で取得した計測値データを、該当する患者情報のレポートデータに関連づけて情報データベース18に格納する。
【0032】
データ算出部103は、情報データベース18に格納された複数のレポートデータより、同一の条件における各計測の計測値データの分析値、すなわち母数、平均値、最大値、最小値、及び偏差を算出し、計測値データベース181に格納する。また、データ算出部103は、レポートデータより、計測値データの分析値として、計測値データが訂正された数、訂正前データの最大値、及び訂正前データの最小値も計測値データベース181に格納する。
【0033】
判定部104は、データ算出部103が算出し情報データベース18に格納された計測値データテーブルと、定義データベース19の判定条件とから、情報取得部101で取得した計測値データを判定する。計測値データが異常値である場合、判定部104は定義データベース19に格納されるエラーメッセージを取得する。
【0034】
データ生成部106は、判定部104の判定結果に基づき、読影端末3に送信する表示用のデータを生成する。
【0035】
続いて、本実施形態の医用レポート作成システム100の動作について、
図2及び
図5を用いて説明する。
【0036】
図5は、本実施形態の医用レポート作成システム100に備えるレポート作成支援装置1の動作を示すフローチャートである。
【0037】
レポート作成支援装置1の情報取得部101は、計測値データベース22(
図1に図示)から対応する計測値データを取得する(ステップS101)。次に、データ登録部102は、ステップS101で情報取得部101が取得した計測値データを、情報データベース18に格納された、該当する患者情報のレポートデータに関連づけて再度情報データベース18に格納する(ステップS103)。
【0038】
次に、読影端末3から所定のレポートデータの要求をレポート作成支援装置1の通信部15で受信すると(ステップS105)、情報取得部101は、ステップS103で情報データベース18に格納したレポートデータより、要求に該当するレポートデータを抽出する(ステップS107)。
【0039】
次に、データ算出部103は、情報データベース18に格納される複数のレポートデータより、ステップS107で抽出されたレポートデータと同一の条件における、各計測の計測値データの分析値、すなわち母数、平均値、最大値、最小値、偏差、計測値データの訂正数、訂正前データの最大値、及び訂正前データの最小値を算出し、計測値データベース181に格納する(ステップS109)。同一の条件とは、例えば同一の撮影装置、同一の部位、同一の年代、及び同一の確定診断名等である。なお、データ算出部103は、各種条件における計測値データの分析値をあらかじめ算出し、計測値データベース181に格納しておいてもよい。
【0040】
次に、判定部104は、ステップS109でデータ算出部103が算出した計測値データの分析値を参照し、ステップS107で抽出したレポートデータ内の計測値データが、定義データベース19で定めた判定条件を満たすか否か判定する(ステップS111)。
【0041】
計測値データが定義データベース19における判定条件を満たさない場合(ステップS111で「No」)、判定部104は定義データベース19に格納される、エラーメッセージを取得する(ステップS115)。次にデータ生成部106は、ステップS107で抽出したレポートデータより、判定部104が取得したエラーメッセージを含めた表示用のデータを生成し(ステップS117)、通信部15を介して読影端末3に送信する(ステップS119)。
【0042】
計測値データが判定条件を満たす場合(ステップS111で「Yes」)、データ生成部106は、ステップS107で抽出したレポートデータより読影端末3に表示する表示用のデータを生成し(ステップS113)、通信部を介して読影端末3に送信する(ステップS119)。
【0043】
ステップS115で判定部104が定義データベース19から取得するエラーメッセージの例として、
図4の「条件2のメッセージ」または「過去訂正のメッセージ」に示す。
図4より、計測値データが条件1(比較するデータ群の条件)において、条件2(判定条件)を満たさない場合、判定部104は「条件2のメッセージ」を取得する。また、過去訂正状況利用が「ON」の場合は、訂正前データの最大値と最小値を参照する必要がある。計測値データが条件2を満たしていても、情報データベース18内の訂正前データの最大値と最小値の範囲内である場合、判定部104は「過去訂正のメッセージ」を取得する。なお、過去訂正状況利用が「ON」の場合に、条件2を満たさず、かつ、計測値データが情報データベース18内の訂正前データの最大値と最小値の範囲内である場合は、両方のエラーメッセージを表示してもよい。
【0044】
計測値データの具体例として、「撮影装置A、腹部のデータ、年代20代」で計測1における計測値データが「15」とする。
図3の計測値データテーブルと、
図4の定義データベースの判定条件より、計測1において、同一撮影装置、同一部位、同一年代で、平均値が「10」なので、計測値データは判定条件に示された平均値±5以内である。しかし、定義データベース19の判定条件では「過去訂正状況利用」が「ON」となっているため、計測値データテーブルの訂正データ数、訂正前データ最小値、及び訂正前データ最大値も参照する必要がある。訂正前データ最小値が「12」、最大値が「20」なので、計測値データは値の範囲に含まれている。よって判定部104は、定義データベース19の「過去訂正のメッセージ」にあるエラーメッセージを取得する。
【0045】
図6は、読影端末3内の表示部312に表示されるレポートデータの画面例を示す図である。
【0046】
図6に示すように、レポートデータには患者情報、画像、計測値、検査情報、及び所見が表示されている。画像と計測値は、医用データ管理装置2から取得した、該当する患者情報を有する医用画像と計測値データである。計測1の値「15」は、定義データベース19より訂正前データの最大値及び最小値の値の範囲内であるので、「過去訂正のメッセージ」にあるエラーメッセージを、計測1の欄の近くに表示している。
【0047】
なお、
図4の計測3に示すように、自身の計測値データ以外に、他の分析対象データにおける値も条件2の判定条件としてもよい。
図3に示す情報データベース18より、計測3の場合、同一確定診断名「P」において、計測値データが30より大きい、または計測1における計測値データが条件2(判定条件)を満たさない場合に、判定部104は「条件2のメッセージ」を取得する。
【0048】
このように各計測は、それぞれが関連している場合があり、1つの計測値データが異常値となった場合は、他の計測値データも異常がないか改めて読影者に確認を促すことを可能とする。
【0049】
なお、レポート作成支援装置2は情報データベース18と定義データベース19のみを保持し、計測値データの判定を読影端末3側で行ってもよい。
【0050】
本実施形態の医用レポート作成システム100によれば、レポート作成支援装置1が、医用データ管理装置2から計測値データを取得してレポートデータに関連づける際に、取得した計測値データを、複数のレポートデータに基づいた、同一の撮影装置や同一の部位等、同一項目における計測値データの分析値を参照し、定義データベースで定めた判定条件を満たすか否か判定する。計測値データが判定条件を満たさない場合は、読影端末に、レポートデータの他にエラーメッセージも重畳して表示する。また、取得した計測値データが、過去の計測値データにおける訂正前のデータの値範囲である場合も、エラーメッセージを表示させる。よって、読影端末に表示されたレポートデータの計測値データについて、レポート作成支援装置で正しいか否かを判定して読影医に明示するため、読影医が計測値データの妥当性を容易に判断することができる。
【0051】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。