【実施例1】
【0017】
図において、1は自動車の車体後部であり、該車体後部1は、左,右のサイドパネル2,2と、ルーフパネル3と、リヤバンパ4とで形成されたバックドア開口1aをバックドア5で開閉するように形成されている。
【0018】
前記バックドア開口1aの左,右縁部に本実施例に係るテールランプ6,6が配設されている。このテールランプ6は前記サイドパネル2の全高さに渡る長尺状に形成されており、ランプハウジング7と、該ランプハウジング7に結合されたアウタレンズ8と、該アウタレンズ8と前記ランプハウジング7とで形成された灯室A内に配設されたリフレクタ(区分け部材)9及びLED基板10とを備えている。
【0019】
前記ランプハウジング7は、樹脂製で、車両前後方向後方に開口する縦長の箱状をなしており、その上部はLED配置室7aとなっており、その下部はLED配置室7aより深底のランプ配置室7bとなっている。このランプ配置室7bには、バックランプ11a,ターンシグナルランプ11bが配設されている。なお、7fは前記ランプハウジング7を車体に取り付けるためのフランジである。
【0020】
前記アウタレンズ8は、樹脂製で、車両前後方向前方に開口する縦長の箱状をなしており、周壁8cの周縁部が前記ランプハウジング7の周縁部7gに結合されている。
【0021】
前記リフレクタ9は、前記灯室Aを車両前後方向後側の後室A1と前側の前室A2とに区分けしている。このリフレクタ9は、基部9fの上部から中途部に渡るようにLED反射部9aを上下方向に連続的に、かつ前方にお碗状をなすように膨出形成し、下部に1つのバックランプ反射部9b及び1つシグナルランプ反射部9cを一体的に、かつ前方にお碗状をなすように膨出形成したものである。前記各反射部9a〜9cは何れも光を車両後方に指向させるように構成されている。
【0022】
前記LED反射部9aは、前記お碗形状の開口であって、前記アウタレンズ8側に位置する径の大きい後部開口9dと、前記お碗形状の底壁に形成され、前記ランプハウジング7側に位置する径の小さい前部開口9eとを有する。
【0023】
前記LED基板10は、前記リフレクタ9の前室A2側に、かつ該リフレクタ9の前部開口9eに近接するように配置されている。このLED基板10の前記後室A1側の面の、前記リフレクタ9の各前部開口9eに対向する部分にはそれぞれLEDランプ11が配設されている。このLEDランプ11は、制動灯として、また尾灯として機能する。即ち、昼夜ともブレーキ操作により点灯し、また夜間においては常時点灯する。
【0024】
前記LED基板10には前記リフレクタ9の係止片9gが当接しており、またランプハウジング7側から挿入された締結部材13をリフレクタ9にねじ込むことにより、リフレクタ9及びLED基板10はランプハウジング7に固定されている。
【0025】
ここで前記LED基板10と前記リフレクタ9の前記前部開口9eの上側端部9e′との隙間aは、該上側端部の一部をカットすることにより、下側端部9e′′との隙間bより大きく設定されている。
【0026】
そして前記LED基板10の、前記上側端部9e′上方近傍部分に前記後室A1と前室A2とを連通する貫通孔10aが、本実施例では上下方向に間隔を開けて3組形成されている。なお、前記貫通孔10aは、孔面積が0.15平方センチメートル以上となる大きさに設定することが望ましい。
【0027】
さらにまた前記ランプハウジング7の、前記各貫通孔10a近傍部分には、前記前室A2を外部に連通させる空気抜き孔7cが同じく3組形成されている。この空気抜き孔7cは、前記ランプハウジング7の底壁から突出する筒体7dにより形成されており、該筒体7dにはキャップ7eが装着されている。該キャップ7eの下部と前記筒体7dの下部との隙間が空気排出通路となっている。
【0028】
なお、図示していないが、前記同様の空気抜き孔が、前記ランプハウジング7の前記バックランプ11a,ターンシグナルランプ11b近傍部分にも設けられている。
【0029】
本実施例に係る車両のテールランプ6によれば、LED基板10とリフレクタ9の前部開口9eの上側端部9e′との隙間aを下側端部9e′′との隙間bより大きく設定し、前記LED基板10の、前記上側端部9e′の上方近傍部分に貫通孔10aを形成したので、後室A1内の空気が前記上側端部9e′の隙間aから前記貫通孔10aを通って前室A2に流入し、灯室A内で活発な対流dが生じ、その結果アウタレンズ8の曇りを防止できる。
【0030】
例えば日中においては、日射により後室A1は前室A2より温度上昇する。そのため暖められた後室A1内の暖かい空気が前記上側の隙間aから貫通孔10aを通って冷たい前室A2に積極的に流入することで、灯室A内で対流dが発生し、アウタレンズ8の曇りを防止できる。また、ブレーキ操作を行う度にLEDランプ11が点灯し、該LEDランプ11及びその周囲のLED基板10が発熱するので、この点からも後室A1内の空気が暖められ、この点からも前記対流が発生し、アウタレンズ8の曇りが防止される。
【0031】
また夜間においては、ヘッドライトの点灯に伴って前記後室A1側に位置するLEDランプ11は常時に点灯しており、該LEDランプ11及びLED基板10のLEDランプ周囲部分は常に発熱しており、従って後室A1の空気が日中同様に暖められて前記隙間a,貫通孔10aを通って前室A2側に流入し、対流が活発に行われ、アウタレンズ8の曇りを防止できる。
【0032】
本実施例では、さらにランプハウジング7の、前記貫通孔10a近傍部分に前記前室A2を外部に連通させる空気抜き孔7cを形成したので、前記前室A2内に流動した空気は、さらに空気抜き孔7cを通って外部に流出する。この点から前記対流がさらに確実となり、前記アウタレンズ8の曇りをより確実に防止できる。
【0033】
また前記貫通孔10aは、LED基板10の、前記前部開口9eの上側端部9e′の上方近傍部分に形成されているので、通常の視線角度eでは外部から見え難い(
図4参照)ため見栄えが悪化することもない。
【0034】
また上述のようにしてアウタレンズ8の曇りを防止できるので、別途ファンを設けたり、多数の息抜き孔や貫通口を形成したりする必要がないので、コスト,重量,生産性,意匠性で有益である。
【0036】
また、前記実施例では、貫通孔10a,空気抜き孔7cをそれぞれ3組設けた場合を説明したが、本発明では、これらの形成組数に制限はなく、例えば1組又は2組、あるいは4組以上設けても良い。