(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁などにおける床版の架設工法として、床版を現場で打設する現場施工方法に代えて、工場で製造したプレキャスト床版を現場に搬入して施工する架設工法が行われるようになった。
【0003】
プレキャスト床版を用いる架設工法では、
図10に示すように、内部にシース管61が埋設された複数のプレキャスト床版60を、前記シース管61が直列となるようにして配設すると共に、前記複数のプレキャスト床版60におけるシース管端部62間に、
図11に示すような筒形状の弾性体からなるシールジョイント65を配設している。そして、前記シース管61及び前記シールジョイント65に鋼線71を挿通し、前記鋼線71の一端を固定して鋼線71の他端を引っ張ることにより複数のプレキャスト床版60を締め付け、これによって隣り合うプレキャスト床版60,60同士を接近させ、さらに、前記プレキャスト床版60の位置を微調整してプレキャスト床版60を正しい位置に配置した後、前記プレキャスト床版60間にコンクリートを流し込んでいる。
【0004】
前記シールジョイント65は、前記複数のプレキャスト床版60のシース管端部62間をシールし、前記プレキャスト床版60間に流し込まれたコンクリートがシース管61内に入り込んで無駄に消費されるのを防止したり、コンクリートがシース管61内に入り込むことによってプレキャスト床版60間のコンクリートが不足したりするのを防いでいる。
【0005】
しかし、前記複数のプレキャスト床版60の配設時、前記シールジョイント65は、
図12の(12−A)に示すように隣り合う一方のプレキャスト床版60Aのシース管61の端部に両面テープ等の粘着剤や接着剤で固定され、その状態で他方のプレキャスト床版60Bを上方から降ろしてプレキャスト床版60Aに接近させ、さらに上下左右に動かして位置の微調整が行われるため、その際にシールジョイント65がプレキャスト床版65Bで押されたり擦られたりすることによって、
図12の(12−B)のように捩れたり、傾いたり、外れたりすることがある。前記捩れはシールジョイントの硬度が低い場合に発生し易く、一方、前記傾きや外れはシールジョイントの硬度が高い場合に発生し易かった。前記捩れや傾きあるいは外れが発生した場合には、作業者が手作業で直してシールジョイント65を正規の状態にする必要があり、しかもその作業時に再びシールジョイントが捩れたり、傾いたりすることがあるため、作業に手間取る問題があった。
【0006】
前記捩れや傾きなどを生じ難くするため、硬度の異なる複数の環状弾性体を接合したシールジョイント、あるいは複数の環状弾性体を環状のプラスチックシートを介して接合したシールジョイントが提案されている。
しかし、複数の環状弾性体を接合した従来のシールジョイントにあっては、シール性能が充分でなかったり、プレキャスト床版の位置微調整時にプレキャスト床版と接する面の滑りが悪く、シールジョイントの捩れや位置修正が必要となった場合、シールジョイントの捩れ等の修正作業に手間取ったりする問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、プレキャスト床版の配設時にシールジョイントに捩れや倒れを生じ難く、かつシール性が良好で、さらにプレキャスト床版の位置微調整時にシールジョイントの捩れや位置修正作業が容易なプレキャスト床版連結用シールジョイントの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、シース管が埋設された複数のプレキャスト床版を架設する際に、前記複数のプレキャスト床版のシース管端部間に配設されるシールジョイントにおいて、複数の環状の弾性体が環状の補強体を介して接合一体化され、前記シールジョイントの一側端部の弾性体は、他の弾性体よりも硬度が低く、かつ撥水性を有する連続気泡構造からなり、前記一側端部の弾性体よりも硬度の高い他の弾性体は、独立気泡構造からなり、前記硬度の高い他側端部の弾性体の
プレキャスト床版に固定される端面には接着層が設けられ、前記硬度が低い一側端部の弾性体の
プレキャスト床版に当接する端面には接着層が設けられていないことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1において、前記硬度が低い一側端部の弾性体の厚みは、硬度が高い他の弾性体の全厚みよりも薄いことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記硬度が低い一側端部の弾性体の
プレキャスト床版に当接する端面における内径は、前記硬度が高い他の弾性体の最小内径よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記硬度
の高い他側端部の弾性体
のプレキャスト床版に固定される端面の外径が、前記硬度が低い一側端部の弾性体の最大外径よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、シールジョイントは、一側端部の弾性体の硬度が他の弾性体よりも低くされ、硬度の高い他側の弾性体の
プレキャスト床版に固定される端面に接着層が設けられているため、プレキャスト床版の架設時には、硬度の高い弾性体側が接着層によって一方のプレキャスト床版に固定される。その後、シールジョイントの硬度の低い一側端部の弾性体に他方のプレキャスト床版を接近させて該他方のプレキャスト床版の位置微調整が行われる。その際、シールジョイントは、硬度の低い一側端部の弾性体がプレキャスト床版によって押されたり、擦られたりしても、硬度の高い弾性体側でプレキャスト床版に固定されているため、硬度の低い一側端部の弾性体で主に変形し、シールジョイント全体が倒れたり外れたりすることを防ぐことができる。さらにシールジョイントに捻れの力が加わっても、弾性体間の補強体によってシールジョイントが補強されているため、シールジョイントの捻れを抑えることができる。
【0014】
さらに、請求項1の発明によれば、シールジョイントは、一側端部の弾性体が撥水性を有する連続気泡構造からなり、他の弾性体が独立気泡構造からなるため、打設したコンクリートの水分が弾性体を通ってシールジョイント内に漏出し難く、シール性が高くなる。さらに、シールジョイントの周囲の空気は一側端部の弾性体が連続気泡構造からなるため、該一側端部の弾性体を通ってシールジョイント内に進入し、さらにシールジョイントと接しているプレキャスト床版のシース管を通って外部へ排出されるため、コンクリートの打設時にシールジョイントの周囲に空気溜まりを生じ難く、コンクリートの充填不良を防ぐことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、シールジョイントは、硬度が低い一側端部の弾性体の厚みが、硬度が高い他の弾性体の全厚みよりも薄くされているため、プレキャスト床版の位置微調整時に変形する部分が少なくなり、シールジョイントの位置修正作業を一層容易に行うことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、相対的に硬度の低い一側端部の弾性体が上下左右方向のいずれに変形した場合でも、鋼線の通る中心孔の径を狭めにくくでき、鋼線を通しやすくすることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、鋼線を通す中心孔の内径を確保した状態で、床版との接着面積を大きくできるので、シールジョイントを安定して接着できて、倒れたり外れたりしにくくできる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1〜
図3に示す実施形態1のシールジョイント10は、
図10に示したシールジョイント65と同様に、シース管61が埋設された複数のプレキャスト床版60を架設する際に、複数のプレキャスト床版60のシース管61の端部間に配設されるもので、複数の環状の弾性体11、15、17が環状の補強体21を介して接合一体化されたものである。本実施形態1では、一側端部の弾性体11と中間の弾性体15と他側端部の弾性体17が、環状の補強体21を介して接着剤で接合一体化されている。さらに、前記他側端部の弾性体17の
プレキャスト床版に固定される端面には接着層25が設けられ、一方、前記一側端部の弾性体11の
プレキャスト床版に当接する端面(すなわち自由端の
端面)12には接着層が設けられていない。なお、前記シールジョイント10における一側及び他側は、シールジョイント10の長さ方向Lにおける一方の側と他方の側をいう。
【0020】
前記一側端部の弾性体11は、他の中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17よりも硬度(25%圧縮硬さ;JIS K6400−2:2004 D法)が低いもので構成される。前記硬度は、25%圧縮荷重が5〜25kPaであることが好ましい。前記25%圧縮荷重が5kPa未満の場合には、形状保持性が不足してシール不良を生じるおそれがある。一方、25kPaを超えると、硬すぎるためにプレキャスト床版の位置微調整時にプレキャスト床版で擦られたり押されたりした場合に、シールジョイント10の全体が倒れたり、傾いたりし易くなる。
【0021】
また、前記一側端部の弾性体11は、撥水性を有する連続気泡構造のものが好ましい。前記一側端部の弾性体11が撥水性を有することにより、打設したコンクリートの水分が一側端部の弾性体11を通ってシールジョイント10内に漏出し難く、シール性が高くなる。さらに、前記一側端部の弾性体11が連続気泡構造からなることにより、コンクリート打設時にシールジョイント10の周囲の空気が一側端部の弾性体11からシールジョント10内に進入し、さらにプレキャスト床版のシース管を通って外部へ排出されるため、コンクリートの打設時にシールジョイントの周囲に空気溜まりを生じ難く、コンクリートの充填不良を防ぐことができる。
【0022】
前記一側端部の弾性体11の厚み(長さ方向Lの寸法)は、3〜50mmが好ましく、特に8〜18mmが好ましい。厚みが薄くなると、プレキャスト床版との密着性が悪くなってシール性に劣るようになり、一方、厚みが大になるとプレキャスト床版の位置微調整時に捩れ易くなる。前記一側端部の弾性体11の一例として、外径60mm、内径40mm、厚み10mmの場合を挙げる。
前記一側端部の弾性体11の材質としては、撥水性を発揮するダイマー酸ジステアリルが添加された軟質ポリウレタンフォームが好ましい。
【0023】
前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17は、前記一側端部の弾性体11よりも硬度(25%圧縮硬さ)が高い独立気泡構造のものとされる。前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17の硬度は、25%圧縮硬さが29〜94kPaであることが好ましい。25%圧縮荷重が29kPa未満の場合には、プレキャスト床版の位置微調整時にプレキャスト床版と前記一側端部の弾性体11が接触して擦られたり押された際に、前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17まで変形し易くなってシールジョイント10の全体が捩れたりするようになり、その後の修正に手間取るようになる。一方、25%圧縮荷重が94kPaを超える場合には、前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17が硬くなりすぎるため、シールジョイント10によるシール性が劣るようになる。また、前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17が独立気泡構造からなることによって、打設したコンクリートの水分が前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17を通ってシールジョイント10内に漏出し難く、シール性が高くなる。前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17の材質としては、ゴムスポンジが好適である。
【0024】
前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17の厚みは、それぞれ3〜50mmが好ましく、特に8〜18mmが好ましい。厚みが薄くなると、シールジョイント10の長さ(厚み)を確保するために、弾性体の数を増やす必要があり、シールジョイント10のコストが嵩むようになる。一方、厚みが大になると、プレキャスト床版の位置微調整時に前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17においても捩れ易くなる。前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17の一例として、外径60mm、内径40mm、厚み10mmの場合を挙げる。
また、前記硬度が低い一側端部の弾性体11の厚みは、硬度が高い他の弾性体の全厚み、すなわち本実施形態では前記中間の弾性体15と他側端部の弾性体17の厚みの合計よりも薄くするのが好ましい。厚みをこのように設定することにより、プレキャスト床版の位置微調整時にシールジョイント10が変形する部分、すなわち一側端部の弾性体11の部分の割合が少なくなり、一側端部の弾性体11の部分に捩れ等を生じた場合の修正作業を一層容易に行うことができる。
【0025】
前記補強体21は、前記シールジョイント10の捻れを生じ難くするものであって、前記一側端部の弾性体11、中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17と略同様の外径及び内径の環状体からなる。前記補強体21の材質は、良好な耐水性及び補強性などの点からプラスチックシートからなるものが好ましい。プラスチックシートとしては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル樹脂等を挙げることができる。またプラスチックシートの厚みは適宜とされるが、0.2〜1.0mm程度を挙げることができる。また、前記環状体からなる補強体21は、プラスチックシートを環状に打ち抜いたものが好適である。
【0026】
前記の各弾性体11、15、17と前記補強体21の接合は、溶着や接着剤等、公知の接合方法によって行われる。接着剤の場合は、前記弾性体11、15、17と前記補強体21の材質に応じて最適なものが選択される。特に、アクリル系1液タイプの接着剤は、ポリウレタンフォーム、及びゴムスポンジの何れの場合にも好適なものである。
【0027】
前記シールジョイント10は、プレキャスト床版への接着のため、硬度の高い前記他側端部の弾性体17の
プレキャスト床版に固定される端面に接着層25が設けられている。前記接着層25の種類は接着剤や粘着剤などシールジョイントを床版側面に固着できるものであれば限定されないが、特には両面粘着テープからなるものが作業性等の点で好ましい。なお、前記接着層25として両面粘着テープを用いる場合、両面粘着テープにおけるプレキャスト床版への接着面には保護用剥離紙を積層しておき、使用時に保護用剥離紙を剥がすようにする。
一方、前記硬度の低い前記一側端部の弾性体11の
プレキャスト床版に当接する端面12には、接着層が設けられていない。これは、前記硬度の低い前記一側端部の弾性体11は、プレキャスト床版の位置微調整時にプレキャスト床版と接触するため、端面12に接着層が存在するとプレキャスト床版の位置微調整が困難となるからである。また、前記硬度の低い一側端部の弾性体11は、柔軟性があるため変形が可能で、接着や粘着を行わなくても十分なシール性を有しているためである。
【0028】
このようにしてなる前記シールジョイント10は、プレキャスト床版の架設時に、隣り合う一方のプレキャスト床版のシース管の端部に前記他側端部の弾性体17の接着層25によって固定される。その状態で他方のプレキャスト床版を上方から降ろして一方のプレキャスト床版に近づけ、さらに上下左右に動かして隣り合うプレキャスト床版のシース管及び前記シールジョイント10の中心を略一直線にする。
【0029】
そして、前記プレキャスト床版のシース管及び前記シールジョイント10に鋼線を一連に挿通し、前記鋼線を引っ張ることにより、隣り合うプレキャスト床版同士を接近させ、さらにその後にプレキャスト床版の位置微調整が行われる。その際、前記シールジョイント10の一側端部の弾性体11がプレキャスト床版で擦られたり、押されたりする。しかし、前記シールジョイント10の一側端部の弾性体11が他の弾性体よりも硬度が低いため、主に一側端部の弾性体11で変形し、全体が倒れたり、外れたりすることがない。さらに、前記一側端部の弾性体11は表面の摩擦抵抗が低いため、プレキャスト床版の擦れにより捩れ難い。また、前記シールジョイント10の一側端部の弾性体11に捩れ等が発生した場合には、針金等を用いて一側端部の弾性体11の捩れ等を容易に修正することができる。
【0030】
その後、プレキャスト床版間にコンクリートが流し込まれる。その際、プレキャスト床版間におけるシース管の端部間がシールジョイント10でシールされるため、コンクリートがシース管の端部からシース管内に侵入するのを防ぐことができる。また、前記一側端部の弾性体11が撥水性を有し、かつ前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17が独立気泡構造からなるため、コンクリートの水分が前記一側端部の弾性体11、中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17を通ってシールジョイント10内に漏出するのが防止される。さらに、前記シールジョイント10の一側端部の弾性体11が連続気泡構造からなるため、シールジョイント10周囲の空気が一側端部の弾性体11を通ってシールジョイント10内に進入し、シールジョイント10及びシース管を通って排出されるため、シールジョイント10の周囲に空気溜まりを生じ難く、空気溜まりによるコンクリートの充填不良を生じ難い。なお、本発明のシールジョイントは、弾性体の数が3個に限られず、3個以上であってもよい。
【0031】
前記実施形態においては、各環状の弾性体及び環状の補強体の内径および外径は略同一の円筒状としたが、必要に応じて各々の外径、内径を変更した実施形態を次に示す。
(実施形態2)
図4に示すシールジョイント10Aのように、3つの環状弾性体11、15、17および2つの環状補強体21の外径は同一に設定して、硬度の低い一側端部の環状弾性体11における少なくとも
プレキャスト床版に当接する端面(自由端13の端面)の内径d1を、前記硬度が高い他の弾性体15、17の最小内径d2よりも大きく設定する。このようにすれば、相対的に柔軟な一側端部の弾性体11が、
図5に示すように、上下左右方向のいずれに変形した場合でも、鋼線の通る中心孔33の径を狭め難くでき、鋼線を通しやすくすることができる。なお、前記一側端部の弾性体11は、前記のように全体の肉厚を薄くするように円筒状に内径d1を大きくしても良いし、
図6に示すシールジョイント10Bのように床版に当接する端面(自由端13の端面)12において内径d1が最大となるように外方へ向けて拡開したテーパー状や、内径を階段状(図示せず)に拡開させても良い。
【0032】
(実施形態3)
図7に示すシールジョイント10Cのように、3つの環状弾性体11、15、17および2つの環状補強体21の内径は同一に設定して、硬度の高い他側端部の環状弾性体(接着層側の環状弾性体)17の外径D3を、硬度が低い一側端部の弾性体11の最大外径D1より大きく設定して、その大きな外径D3に整合する接着層25を設けてもよい。なお、図示の例では、硬度の高い他側端部の環状弾性体(接着層側の環状弾性体)17の外径D3は、その他の弾性体11、15の外径D1より大に設定されている。このようにすることで、鋼線を通す中心孔33の内径を確保した状態で、前記環状弾性体17と床版との接着面積を大きくできるので、シールジョイントを安定して接着でき、倒れたり外れたりしにくくでき、その上、相対的に硬度の高い弾性体17と床版60間のシール性を向上できる。また、前記他側端部の弾性体17は、前記のように、全体厚みが厚くなるように円筒状に外径D3を大きくしても良いし、
図8に示すシールジョイント10Dのように、接着層側端部において最大外径となるようにテーパー状や階段状(図示せず)に外径D3を大きくしても良い。
【0033】
(実施形態4)
図9に示すシールジョイント10Eのように、3つの環状弾性体11、15、17および2つの環状補強体21の断面を略同一の楕円の円筒状としてもよい。すなわち、シールジョイント10Eの全体が楕円筒状に成形されて、床版表面に対して平行方向(左右方向)の内外径を長くなるように設定して床版に接着配置されてもよい。このように構成することで、床版表面と平行方向(左右方向)への断面二次モーメントが大きくなるので、床版をシールジョイント10Eに擦れる様に左右にずらしながら架設する際にシールジョイントの変形を減らすことができ、また、シールジョイントの上下に打設されるコンクリートの厚みを厚くできて床版間の接合強度を確保できる。なお、単純に環状体11、15、17の外径を大きくしてもシールジョイントの変形を減らすことはできるが、そうした場合、床版間に打設するコンクリート量が減ってしまい床版間の接合強度が低下する虞がある。本実施形態のように、環状体11、15、17を楕円の円筒状とすることで、コンクリートの打設量を確保しながらシールジョイント10E全体の硬度を向上できる。
【0034】
上記の実施形態2〜4については、各々別々に実施しても良いし、複数併用することもできる。例えば、3つの環状弾性体のうち、硬度の高い他側端部の環状弾性体の一つの(接着層側の環状弾性体)外径D3を、実施形態3の
図7のように硬度が低い一側端部の弾性体11の最大外径D1より大きく設定し、かつ、硬度の低い一側端部の環状弾性体の
プレキャスト床版に当接する端面(自由端の端面)の内径d1を実施形態2の
図4のように硬度が高い他の弾性体15、17の最小内径d2よりも大きく設定する。このようにすれば、実施形態2と実施形態3の両方の効果を発現できる。
【実施例】
【0035】
・実施例1(実施形態1の実施例)
以下の構成からなる実施例1のシールジョイントを作成した。前記一側端部の弾性体11を、密度140kg/cm
3、25%圧縮荷重5kPa、撥水剤としてダイマー酸ジステアリルが添加された軟質ポリウレタンフォーム(品名:NFE−FSS、株式会社イノアックコーポレーション製)、外径60mm、内径40mm、厚み10mmで構成し、前記中間の弾性体15及び他側端部の弾性体17を、密度190kg/cm
3、25%圧縮荷重61.9kPaの独立気泡構造のゴムスポンジ(品名:C−4305、イノアックコーポレーション製)、外径60mm、内径40mm、厚み10mmで構成した。前記補強体21は、ポリプロピレンシート(品名:#3103、アイシート工業製)、外径60mm、内径40mm、厚み1.0mmで構成した。各弾性体11、15、17と前記補強体21の接合は、クロロプレンゴム系1液タイプの接着剤(品名:イノアックボンドPE106、イノアックコーポレーション製)で行った。また、前記他側端部の弾性体17の端面の接着層25は、両面粘着テープ(品名:両面テープ INOAC−430、イノアックコーポレーション製)で構成した。
【0036】
・実施例2(実施形態2の実施例)
図4における弾性体11の内径d1を50mmとし、他の構成については実施例1と同一にして
図4と同様の構成からなる実施例2のシールジョイントを作成した。
・実施例3(実施形態2の他の実施例)
図6における弾性体11の内径を自由端
の端面の内径d1が50mmとなるテーパー状とし、他の構成については実施例1と同一にして
図6と同様の構成からなる実施例3のシールジョイントを作成した。
【0037】
・実施例4(実施形態3の実施例)
図7における弾性体17の外径D3を70mmとし、他の構成については実施例1と同一にして
図7と同様の構成からなる実施例4のシールジョイントを作成した。
・実施例5(実施形態3の他の実施例)
図8における弾性体17の外径を、接着層側端部の外径D3が70mmの最大となるテーパー状とし、他の構成については実施例1と同一にして
図8と同様の構成からなる実施例5のシールジョイントを作成した。
・実施例6(実施形態4の実施例)
図9における弾性体11、15、17を、外径が長径70mm、短径60mm、内径が長径45mm、短径35mmの楕円の円筒状とし、補強体21を、外径が長径70mm、短径60mm、内径が長径45mm、短径35mmの楕円形とし、他の構成については実施例1と同一にして
図9と同様の構成からなる実施例6のシールジョイントを作成した。
【0038】
前記実施例1〜6のシールジョイントを用いてプレキャスト床版間の架設作業を行ったところ、シールジョイントの捩れが少なく、前記一側端部の弾性体11の捩れ修正等の作業も容易であった。