(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
指針と、前記指針によって指示される指標が設けられた文字板と、前記指標を計測量に応じて指示するように前記指針を移動させる指針移動ユニットと、を有する指針計器装置において、
前記指針移動ユニットが、請求項1〜3のいずれか一項に記載の指針移動ユニットで構成されていることを特徴とする指針計器装置。
【背景技術】
【0002】
車両、船舶などの移動体には、各種の計測手段によって計測された情報を移動体の乗員に対して表示する指針計器装置が搭載されている。この種の指針計器装置として、例えば、移動体としての車両の速度を表示するスピードメータ、エンジンの回転数を表示するタコメータ、燃料の残量を表示するフューエルゲージなどがある。
【0003】
このような指針計器装置として、例えば、特許文献1に開示された指針式計器(
図15において符号801で示す)は、文字板805と、文字板805の中央の開口部805aの背後に配置された液晶ディスプレイ807と、文字板805に円弧状に配置された複数の目盛線を含む目盛部809を指示する指針811とを有している。
【0004】
図16に示すように、指針式計器801には、指針811を目盛部809に沿って移動させる指針移動ユニット813が設けられている。この指針移動ユニット813は、
図17に示すように、円弧状のガイド部813aと、ガイド部813aの一端側に設けられた繰り出し機構部813bと、ガイド部813aの他端側に設けられた巻き取り機構部813cとを有している。
【0005】
繰り出し機構部813bは、ワイヤケース813gを有している。ワイヤケース813gからは線状部材としてのワイヤ813iが繰り出される。このワイヤ813iは、適切な引っ張り強度と可撓性を有している。そして、ワイヤ813iの一端は、ワイヤケース813gの内部に収容された繰り出し側リール(図示せず)に取り付けられている。また、繰り出し側リールには、ワイヤ813iの一端側の部分が巻装されている。この繰り出し側リールは、渦巻き状のゼンマイばね(図示せず)によって、ワイヤケース813gの内部でワイヤ813iを巻き取る方向に付勢されている。
【0006】
巻き取り機構部813cは、巻き取り側リール813j、及び、ステッパモータ813kを有している。巻き取り側リール813jには、ワイヤ813iの先端が取り付けられている。また、巻き取り側リール813jには、ワイヤ813iの先端側の部分が巻装されている。そして、巻き取り側リール813jは、ステッパモータ813kの出力軸に取り付けられている。
【0007】
上述したように両端が繰り出し機構部813bと巻き取り機構部813cとにそれぞれ取り付けられたワイヤ813iは、それぞれの繰り出し機構部813bと巻き取り機構部813cとの間において、ガイド部813aの各ガイドローラ813fに架け渡されている。また、ワイヤ813iは、それぞれの繰り出し機構部813bと巻き取り機構部813cとの間において、スライダ813eに取り付けられている。指針811は、アタッチメント815を介してスライダ813eに取り付けられている。
【0008】
この指針式計器801において、ワイヤ813iが繰り出し機構部813bと巻き取り機構部813cとの間で移動すると、スライダ813eと共にアタッチメント815及び指針811が繰り出し機構部813bと巻き取り機構部813cとの間で移動する。この移動により指針811は、
図15に示す目盛部809の目盛線を指示して、計測量を表示していた。また、指針式計器801は、指針811の原点に対する相対位置が既知である所定の検出点を当該指針811が通過したことを検出する機構817、815cを備えられており、この検出によって指針のゼロ点(原点)調整を行っていた。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態に係る計器装置としてのスピードメータを、
図1〜
図14を参照して説明する。
【0020】
図1に示すスピードメータ1は、移動体としての自動車のインスツルメントパネル等に取り付けられて、自動車の乗員に対して当該自動車の速度を表示する装置である。
【0021】
スピードメータ1は、目盛部21が設けられた文字板2と、目盛部21を計測量に応じて指示する指針3と、この指針3を移動させる指針移動ユニット10と、この指針移動ユニット10を収容する平面視略半円形の箱状に設けられたケース9と、を有している。
【0022】
文字板2は、外形がケース9の平面視形状と略同一の半円形の板状に形成されており、中央に平面視略半円形に形成された貫通窓22が設けられている。つまり、文字板2は、平面視略半円形の環状に形成されている。文字板2の前面(乗員室側に向けられる面)には、その内縁における円弧状部分に沿って配列して印刷された指標としての複数の目盛線21a及び数値21bを含む目盛部21が設けられている。即ち、目盛部21は、文字板2の前面に円弧状に延在して設けられている。文字板2は、上記ケース9の開口部を塞ぐように該ケース9に取り付けられる。ケース9内における文字板2の貫通窓22の背後の箇所には、各種情報を表示する図示しない液晶ディスプレイが配置される。
【0023】
指針3は、長手方向の一端から他端に向かうに従って徐々に細くなる錐状に形成されている。この指針3は、幅広に形成された前記一端が、後述する指針移動ユニット10のスライダ30に取り付けられている。文字板2の貫通窓22には、スライダ30に取り付けられた指針3が通される。これにより、該指針3が視認されるように文字板2の前面側に位置付けられ、スライダ30が視認されないように文字板2の背面側に位置づけられる。指針3は、指針移動ユニット10により目盛部21の延在方向(即ち、目盛線21aの配列方向)に沿って移動される。
【0024】
指針移動ユニット10は、
図2〜
図5に示すように、指針3の前記一端が取り付けられたスライダ30と、このスライダ30の突出部31に巻き付けられることにより、このスライダ30に連結された柔軟性を有する線状部材としてのワイヤ4と、このワイヤ4の一端4a側が巻き付けられた一端側リールとしての第1リール52と、この第1リール52を回転自在に収容した保持部材としての収容ケース5と、ワイヤ4の他端4b側が巻き付けられた他端側リールとしての第2リール6と、ワイヤ4の弛みを巻き取るように第1リール52に回転力を与える回転力付与部材としてのバネ7と、第1リール52に取り付けられるバネカバー59と、第1リール52の回転状態を検知する一対のマークセンサ部60と、第2リール6を計測量に応じて回転させることにより当該第2リール6にワイヤ4を巻き取り又は第2リール6からワイヤ4を繰り出して、ワイヤ4をその長手方向に沿って移動させる回転駆動部としてのモータ8と、収容ケース5と第2リール6との間に設けられ、ワイヤ4の移動軌跡を規定する複数のガイドプーリ12と、これらスライダ30、収容ケース5、第2リール6、モータ8、複数のガイドプーリ12、が取り付けられたフレーム11と、指針移動ユニット10の動作を制御する制御部70と、を有している。
【0025】
フレーム11は、合成樹脂で構成されており、
図3に示すように、直線状の帯板形に形成された直線部11aと、直線部11aの一端(
図3左寄りの端)に設けられた、収容ケース5を取り付ける第1取付部11bと、直線部11aの他端(
図3右寄りの端)に設けられた、第2リール6及びモータ8を取り付ける第2取付部11cと、第1取付部11bに一端が連接されるとともに第2取付部に他端が連接された円弧状のガイドプーリ取付部11dと、を有している。
【0026】
スライダ30は、フレーム11のガイドプーリ取付部11d上を、第1取付部11b側の端部から第2取付部11c側の端部にわたってスライド自在に設けられた部材である。
【0027】
ワイヤ4は、柔軟性を有する線状部材であって、適切な引っ張り強度と可撓性を有している。ワイヤ4は、綿糸等で形成された断面丸型の紐である。ワイヤ4は、綿、麻、化学繊維、合成樹脂などの絶縁性物質で構成されていることが望ましい。ワイヤ4の形状は、断面丸形の紐状に限らず、断面矩形の紐状や、帯状であってもよい。
【0028】
収容ケース5は、合成樹脂で構成されており、
図4、
図5に示すように、平面視円形の箱状に形成されたケース本体51と、このケース本体51に嵌め込まれることにより、このケース本体51に設けられた開口部を塞ぐ蓋53と、を有している。
図7〜
図9において、この収容ケース5、それに収容された各部材(第1リール52、バネ7、バネカバー59)及びその外側に配置された一対のマークセンサ部60の位置関係を示す。
【0029】
ケース本体51は、平面視円形に形成された板状の底板54と、この底板54の外縁から立設した筒状の周壁55と、この周壁55の底板54から離れた縁部に設けられた、該縁部から凹の第1凹部55aと、底板54の中央から周壁55と同方向に立設した円柱状の中心柱56と、この中心柱56の外周面に設けられたバネ7の他端部7bを差し込むためのスリット56aと、を有している。
【0030】
ケース本体51の底板54には、中心柱56を間に挟むようにして一対の底板貫通孔54a、54bが設けられている。一対の底板貫通孔54a、54bのうち一方の底板貫通孔54aは、中心柱56寄りに配置され、他方の底板貫通孔54bは周壁55寄りに配置されている。
【0031】
蓋53は、平面視が円形の板状に設けられている。この蓋53のケース本体51と当接する縁部には、該縁部から凹の第2凹部53aが設けられている。この第2凹部53aは、蓋53がケース本体51に嵌め込まれることにより、上記第1凹部55aと重なり、収容ケース5の内部と外部とに亘って連通したワイヤ通し孔13(
図3を参照。)を構成する。このワイヤ通し孔13には、ワイヤ4が移動自在に通される。
【0032】
第1リール52は、合成樹脂で構成されており、上記ケース本体51の底板54に重ねられた底板57と、この底板57の中央に設けられた、上記中心柱56が通される円形の中心柱通し孔57aと、底板57の外縁から立設した筒状の周壁58と、この周壁58に設けられたバネ7の一端部7aを差し込むためのスリット58aと、周壁58に設けられたワイヤ4が通される貫通孔58bと、を有している。
【0033】
第1リール52の底板57における上記ケース本体51の底板54側の面(以下、「外面57b」という)には、
図6に示すように、半径方向に帯状に延在する黒色マークBと白色マークWとが周方向全周に亘って交互に並べて配置された内側マーク部57cと外側マーク部57dとが設けられている。内側マーク部57cは、外面57bにおける中心寄りに配置されており、外側マーク部57dは、外面57bにおける外縁寄りに配置されている。
【0034】
内側マーク部57cは、その一部分がケース本体51の底板54の一方の底板貫通孔54aに対向して配置されており、第1リール52の回転に伴って、内側マーク部57cの黒色マークBと白色マークWとが交互に底板貫通孔54aを通過する。また、外側マーク部57dは、その一部分がケース本体51の底板54の他方の底板貫通孔54bに対向して配置されており、第1リール52の回転に伴って、外側マーク部57dの黒色マークBと白色マークWとが交互に底板貫通孔54bを通過する。即ち、底板貫通孔54a、54bは、各マーク部57c、57dの黒色マークB及び白色マークW(いずれか一方が請求項中のマークに相当する。)の移動する軌道の一部分に対向して配置されている。
【0035】
また、上述したワイヤ4は、一端4a側の部分がワイヤ通し孔13を通されて収容ケース5内に位置付けられ、第1リール52の周壁58に巻き付けられている。このワイヤ4の巻き付け量は、指針3が目盛部21の数値21bの「0」を指示する位置に位置付けられた状態において、指針3の移動量以上の長さとする。また、一端4aは、貫通孔58bを通されて第1リール52の内側に引き込まれ、この一端4aに結び目が設けられることにより貫通孔58bから抜け出ることなく、第1リール52に取り付けられている。
【0036】
そして、上記第1リール52が、
図4の紙面方向において、中心柱56を中心として時計回りに回転することにより、ワイヤ4が収容ケース5内に引き込まれて第1リール52に巻き取られる。これと逆に、ワイヤ4を収容ケース5外に引き出すことにより、第1リール52が中心柱56を中心として反時計回りに回転する。
【0037】
バネ7は、ステンレス等の金属部材により構成され帯状に形成されている。また、このバネ7は、長手方向の他端部7bを中心として反時計回り方向に渦巻き状に巻かれた状態で、上記第1リール52の周壁58の内側に収容されている。そして、このように渦巻状に巻かれた当該バネ7の径方向外側に位置付けられた、長手方向の一端部7aが、上記スリット58aから周壁58の外側に引き出されて、周壁58の外表面に取り付けられているとともに、前記他端部7bが、第1リール52の中心柱通し孔57aを通された上記中心柱56のスリット56aに差し込まれて、この中心柱56に取り付けられている。そして、合成樹脂で略円板状に形成されたバネカバー59が、第1リール52に取り付けられることで、バネ7は、第1リール52及びバネカバー59によって形成された空間内に収容される。
【0038】
上述したように第1リール52及び収容ケース5に取り付けられたバネ7は、ワイヤ4が収容ケース5から引き出される方向に第1リール52が回転すると、即ち第1リール52が上述した反時計回りに回転すると、上記一端部7aがこの第1リール52とともに反時計回りに移動するので、巻き数が増えるとともに撓み量が大きくなって、元の形状に戻ろうとする力即ち弾性復元力を生じる。そして、この弾性復元力により、バネ7は、第1リール52を、ワイヤ4を巻き取る方向、即ち時計回り、に回転するように付勢する。つまり、バネ7は、ワイヤ4の弛みを巻き取るように、第1リール52に回転力を与えている。
【0039】
一対のマークセンサ部60は、対象物に向けて光を発する発光素子60a、発光素子60aが発光した光のうち上記対象物で反射された光成分を受光して、受光した光量に応じた信号を出力する受光素子60bを有する反射型フォトセンサで構成されている(
図13を参照)。一対のマークセンサ部60は、
図9に示すように、それぞれケース本体51の底板54に設けられた一対の底板貫通孔54a、54bを通じて、内側マーク部57cの一部分、外側マーク部57dの一部分と対向して配置されている。説明の便宜上、
図9では、ケース本体51の底板54を透視した状態で記載している。
【0040】
一対のマークセンサ部60は、それぞれの発光素子60aが内側マーク部57c及び外側マーク部57dに向けて光を発し、そして、それぞれの受光素子60bが内側マーク部57c及び外側マーク部57dで反射された光を受光する。そして、各マーク部57c、57dにおいて黒色マークBと白色マークWとで反射された光の強さが異なるので、各マーク部57c、57dにおける一対の底板貫通孔54a、54bに存在している部分(つまり、黒色マークB又は白色マークW)に応じた信号が受光素子60bから出力される。一対のマークセンサ部60は、フレーム11に固定された中継基板75によって支持されているとともに、この中継基板75を介して後述する制御部70に接続されている。
【0041】
第2リール6は、合成樹脂で構成されており、
図3に示すように、リール本体61と、長さ調節部62と、を有している。
【0042】
リール本体61は、平面視が環状に設けられた板状の底板63と、この底板63の外縁から立設した筒状の周壁64と、この周壁64の底板63から離れた縁部が切り欠かれて設けられた、ワイヤ4が通される切り欠き64aと、底板63の内縁から周壁64と同方向に立設した、モータ8の出力軸81が取り付けられる筒状の出力軸取付部65と、底板63から出力軸取付部65と同方向に立設した円柱状の一対の係止柱66と、を有している。また、モータ8の出力軸81は、出力軸取付部65の内側に圧入されて、この出力軸取付部65に取り付けられる。
【0043】
長さ調節部62は、
図10、
図11などに示すように、平面視が環状に設けられた板状の底板67と、この底板67の外縁から立設した筒状の周壁68と、この周壁68に設けられたワイヤ4が通される貫通孔68aと、底板67の内縁から周壁68と同方向に立設した、上記出力軸取付部65が通される筒状の出力軸取付部通し部69と、底板67に、前記出力軸取付部通し部69を囲むように設けられた6個の係止柱通し孔67aと、を有している。
【0044】
また、長さ調節部62は、上記リール本体61の周壁64と出力軸取付部65との間に収容されるとともに、出力軸取付部通し部69の内側に出力軸取付部65が通され、係止柱通し孔67aに上記係止柱66が通されて、リール本体61に取り付けられる。
【0045】
また、上述したワイヤ4は、他端4b側の部分が切り欠き64aを通されてリール本体61の周壁64の内側に位置付けられ、長さ調節部62の周壁68に巻き付けられている。このワイヤ4の巻き付け量は、上述した第1リール52とリール本体61との間に張り巡らされるワイヤ4に弛みが生じない長さ、即ち、ワイヤ4の余長分である。換言すると、このワイヤ4の巻き付け量は、第1リール52に対してバネ7による上記回転力が付与されてワイヤ4に張力が加わる(ワイヤ4がピンと張った状態となる)程度の長さである。また、他端4bは、貫通孔68aを通されて長さ調節部62の内側に引き込まれ、この他端4bに結び目が設けられることにより貫通孔68aから抜け出ることなく、長さ調節部62に取り付けられている。
【0046】
また、上記6個の係止柱通し孔67aは、上記出力軸取付部通し部69を互いの間に位置付けて互いに相対した、6個の係止柱通し孔67aのうち2個の係止柱通し孔67aに、上記係止柱66が通される。これら係止柱66が通される2個の係止柱通し孔67aは、ワイヤ4の上述した余長に応じて選択される。
【0047】
このように、本発明では、ワイヤ4の余長部分を巻き付ける長さ調節部62と、一対の係止柱66と、を有しているので、文字板2のサイズが異なるスピードメータ1間で、共通のワイヤ4を用いることができ、量産効果によりコストの低減を図ることができる。
【0048】
モータ8は、例えば、周知のステッピングモータなどで構成されており、入力された制御信号に応じて回動される出力軸81を有している。
図3に示すように、モータ8は、第2取付部11cにねじ固定されて取り付けられるとともに、その出力軸81が、第2取付部11cに設けられた出力軸通し孔82に通される。そして、この出力軸81が上述したように出力軸取付部65に固定して取り付けられることにより、上述した第2リール6を第2取付部11cに取り付ける。また、第2リール6の回転中心軸と、第1リール52の回転中心軸とは互いに平行に設けられている。モータ8は、後述の制御部70に接続されている。
【0049】
上述したモータ8と接続された上記第2リール6は、出力軸81が、
図3の紙面方向において、反時計回りに回転することにより、ワイヤ4を周壁64に巻き付ける格好で該ワイヤ4を巻き取る。このことにより、スライダ30が第2リール6側に移動されるとともに、収容ケース5からワイヤ4が引き出される。これと逆に、出力軸81が、時計回りに回転することにより、周壁64に巻き付けられたワイヤ4が第2リール6から第1リール52側に送り出される。
【0050】
複数のガイドプーリ12は、互いに間隔をあけて、上記ガイドプーリ取付部11dに回転自在に取り付けられている。これらガイドプーリ12は、外周面上にワイヤ4を位置付けて、このワイヤ4の移動に応じて回転することにより、少ない摩擦抵抗でワイヤ4を目盛部21の延在方向に沿って移動させる。
【0051】
制御部70は、例えば、組込機器用途のマイクロコンピュータなどで構成されており、それぞれ図示しない中央演算装置(CPU)と、制御プログラム等を記憶するROMと、作業領域などとして利用されるRAMと、外部インタフェース部と、を内蔵している。
【0052】
図13は、スピードメータ1(モータ8、一対のマークセンサ部60、制御部70)及びその周辺部の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【0053】
制御部70において、モータ8、一対のマークセンサ部60、及び、車両速度を計測するための速度センサS、が外部インタフェース部を介してCPUに接続されている。
図13においては、一方のマークセンサ部60のみ記載しているが、他方のマークセンサ部60についても制御部70に同様に接続されている。また、制御部70において、図示しない車両に搭載された電子制御ユニットEが、外部インタフェース部を介してCPUに接続されており、制御部70と電子制御ユニットEとの間で、例えば、制御部70において検出した速度情報や、スピードメータ1の故障を示す情報(故障情報)などが送受信される。
【0054】
また、制御部70には、イグニッションスイッチIGNが、外部インタフェース部を介して接続されており、CPUにおいてイグニッションスイッチIGNのオンオフ状態を検出可能になっている。制御部70は、図示しない車両のバッテリBに接続された電源76からの安定化電源が常時供給されている。制御部70は、イグニッションスイッチIGNがオン状態のときにだけ、モータ8及び一対のマークセンサ部60に動作用の電源を供給するように構成されている。
【0055】
次に、上述した構成のスピードメータ1の本発明に係る動作(指針移動処理)を、
図14のフローチャートを参照して説明する。
【0056】
車両のイグニッションスイッチIGNがオンされると、このイグニッションスイッチのオンに応じて、スピードメータ1の制御部70は所定の初期化処理を行うとともに、モータ8及び一対のマークセンサ部60に電源が供給される。そして、制御部70のCPU(以下、単に「CPU」という)は、所定のタイミング(例えば、1秒毎)で、
図14に示す指針移動処理のステップS110に処理を進める。
【0057】
ステップS110では、車両の速度を計測する。具体的には、CPUは、速度センサSから単位走行距離を走行する毎に出力された走行パルス信号のパルス間隔時間を測定し、このパルス間隔時間と単位走行距離とに基づいて現在の速度を計測する。そして、ステップS120に進む。
【0058】
ステップS120では、速度の計測量に応じてモータ8を回転させる。具体的には、CPUは、ステップS110で計測した速度の計測量に応じた駆動制御信号を生成して、モータ8に送信する。これによりモータ8は、速度の計測量に応じて出力軸81を回転させ、これに伴って第2リール6が回転される。第2リール6が回転されると、ワイヤ4が巻き取られ、又は、繰り出される。そして、ステップS130に進む。
【0059】
ステップS130では、第1リール52の回転状態を検出する。具体的には、CPUは、一対のマークセンサ部60が備える発光素子60aを駆動して底板貫通孔54a、54bを通じて内側マーク部57c、外側マーク部57dに対して光を発する。これと同時に、CPUは、一対のマークセンサ部60が備える受光素子60bから出力された信号の変化状態を監視する。そして、ステップS140に進む。
【0060】
ステップS140では、第1リール52が回転しているか否かを判定する。具体的には、CPUは、ステップS130において監視している一対のマークセンサ部60が備える受光素子60bから出力された信号が、第1リールの回転を示す変化をしているか(即ち、受光光量が小さいこと(黒色マークBによる光の反射)を示す信号と、大きいことを示す信号(白色マークWによる光の反射)とが交互に表れているかを判定して、第1リール52の回転を示す変化をしているとき、ワイヤ4の断線や弛みなどが無く正常に動作しているものとして、本フローチャートの処理を終了し(S140でN)、第1リール52の回転を示す変化をしていないとき、第1リール52が回転しておらず、ワイヤ4の断線や弛みなどの故障を検出したものとして、ステップS150に進む(S140でY)。
【0061】
ステップS150では、スピードメータ1の故障を通知する。具体的には、CPUは、外部インタフェース部を通じて接続された電子制御ユニットEに対して、スピードメータ1の故障を示す情報を送信する。電子制御ユニットEは、この情報を受信すると、例えば、運転者などに、スピードメータ1が故障している旨の報知を行う。そして、本フローチャートの処理を終了する。
【0062】
上述したステップS120が、請求項中の回転駆動制御手段に相当し、ステップS140が、請求項中の回転判定手段の一部(即ち、信号判定手段)に相当し、ステップS150が、請求項中の故障通知手段に相当する。つまり、制御部70(具体的には、CPU)が、回転駆動制御手段及び故障通知手段として機能する。また、制御部70と一対のマークセンサ部60とが、回転判定手段として機能する。
【0063】
次に、本実施形態のスピードメータ1における動作の一例を説明する。
【0064】
スピードメータ1は、車両の速度を計測するとともに(S110)、この計測した速度の計測量に応じてモータ8の出力軸81が回転することにより(S120)、第2リール6を回転させ、ワイヤ4をその長手方向に沿って移動させる。
【0065】
そして、例えば、第2リール6が反時計回りに回転することにより、スライダ30に取り付けられた指針3が、
図1中に示す目盛部21の「0」を指示する位置側から「160」を指示する位置側に向かって移動する。また、第2リール6が時計回りに回転することにより、指針3が目盛部21の「160」を指示する位置側から「0」を指示する位置側に向かって移動する。また、このワイヤ4は、一端4aが、上述したように、バネ7によって回転力が付与された第1リール52に取り付けられているので、指針3が目盛部21の「160」を指示する位置側から「0」を指示する位置側に向かって移動する際には、たるみを生じることなく第1リール52に巻き取られる。
【0066】
つまり、モータ8によって第2リール6が回転されると、第2リール6の回転がワイヤ4を通じて第1リール52に伝達されて、第1リール52が回転する。これにより、モータ8が第2リール6を回転させるように制御されている状態において第1リール52が回転していると判定され(S130、S140でN)、ワイヤ4に断線などの故障が無く正常に動作していることが検出されて、スピードメータ1における速度表示動作が継続される。
【0067】
また、ワイヤ4に断線が発生した場合、第2リール6の回転がワイヤ4を通じて第1リール52に伝達されないので、第1リール52が回転しない。これにより、モータ8が第2リール6を回転させるように制御されている状態において第1リール52が回転していないと判定され(S130、S140でY)、故障が検出されて電子制御ユニットEに通知され、この電子制御ユニットEを通じてスピードメータ1の故障が運転者に報知される(S150)。ワイヤ4に弛みが発生した場合も同様に故障が検出される。
【0068】
上述したスピードメータ1は、指針3と、指針3によって指示される目盛線21a及び数値21bを含む目盛部21が設けられた文字板2と、目盛部21を計測量に応じて指示するように指針3を移動させる指針移動ユニット10と、を有している。この指針移動ユニット10は、文字板2に設けられた目盛線21a及び数値21bを計測量に応じて指示するように指針3を移動させる。指針移動ユニット10は、文字板2の目盛部21の目盛線21aの配列方向に沿って配設される、指針3が取り付けられる柔軟なワイヤ4と、ワイヤ4の一端4aが取り付けられた第1リール52と、ワイヤ4の他端4bが取り付けられた第2リール6と、ワイヤ4の弛みを巻き取るように第1リール52に回転力を与えるバネ7と、ワイヤ4を巻き取る方向又はワイヤ4を繰り出す方向に第2リール6を回転させるモータ8と、前記計測量に応じて第2リール6を回転させるようにモータ8を制御する回転駆動制御手段(制御部70)と、第1リール52が回転しているか否かを判定する回転判定手段(一対のマークセンサ部60及び制御部70で構成)と、回転駆動制御手段によってモータ8が第2リール6を回転させるように制御されている状態において回転判定手段によって第1リール52が回転していないことが判定されたとき、故障が生じたことを通知する故障通知手段(制御部70)と、を備えている。
【0069】
また、第1リール52におけるその回転に伴い回転移動する底板57の外面57bに、黒色マークB及び白色マークWを含む内側マーク部57c及び外側マーク部57dが設けられ、回転判定手段には、これら内側マーク部57c及び外側マーク部57dの有する黒色マークB及び白色マークWの移動する軌道の一部分に対向して配置され、前記一部分における黒色マークB及び白色マークWの存在に応じた信号を出力する一対のマークセンサ部60と、マークセンサ部60(具体的には、受光素子60b)によって出力された信号に基づいて前記一端側リールが回転しているか否かを判定する信号判定手段(制御部70)と、が設けられている。
【0070】
本実施形態によれば、指針3が取り付けられたワイヤ4を巻き取るように又は繰り出すように第2リール6が回転されている状態において第1リール52が回転していないことが判定されたとき、故障が生じたことを通知する。例えば、ワイヤ4に断線や弛みのない正常なときは、第2リール6の回転がワイヤ4を通じて第1リール52に伝えられ、つまり、第2リール6が回転されると第1リール52が同時に回転される。一方、ワイヤ4に断線や弛みなどの不具合があるときは、第2リール6の回転が第1リール52に伝えられず、つまり、第2リール6が回転されても第1リール52が同時に回転されない。そのため、第2リール6が回転されている状態において第1リール52が回転していないことを判定することで故障を検出することができ、これにより、ワイヤ4に係る不具合による故障を迅速に検出して通知することができる。
【0071】
また、第1リール52におけるその回転に応じて回転移動する底板57の外面57bには、黒色マークB及び白色マークWを含む内側マーク部57c及び外側マーク部57dが設けられ、これらマーク部57c、57dの有する黒色マークB及び白色マークWの移動する軌道の一部分(即ち、底板貫通孔54a、54bに対向する部分)に対向して配置された一対のマークセンサ部60によって出力された前記一部分における黒色マークB及び白色マークWの存在に応じた信号に基づいて第1リール52が回転しているか否かを判定するので、第1リール52に設けられた黒色マークB及び白色マークWの存在をマークセンサ部60によって検出して、直接的に第1リール52が回転しているか否かを判定することができ、そのため、精度良く故障を検出することができる。
【0072】
上述した実施形態では、内側マーク部57cと外側マーク部57dとを設けて、これらの回転移動を一対のマークセンサ部60で検出する構成であったが、内側マーク部57cのみ又は外側マーク部57dのみ設けて、1つのマークセンサ部60でマーク部の回転移動を検出する構成であってもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、内側マーク部57c及び外側マーク部57dが、帯状の黒色マークと白色マークとが周方向全周にわたってに交互に並ぶようにして構成されているものであったが、これに限定されるものではなく、例えば、マーク部として、第1リール52の底板57の外面57b全面を白色にするとともに半径方向に延びる帯状の黒色マークを1つだけ含むものを設けて、この黒色マークがマークセンサ部60に対向する位置に存在するときに、指針3が所定の原点(例えば、数値21bの「0」)を指示するように構成されていても良い。つまり、マーク部には、指針3が原点に位置していることを示す原点マーク(上記黒色マーク)が含まれ、この原点マークが、指針3が原点に位置しているときにマークの移動する軌道の一部分(底板貫通孔54a、54b)に存在するように設けられ、制御部70(即ち、信号判定手段)が、マークセンサ部60が前記一部分における原点マークの存在を示す信号を出力したとき、前記指針が原点にあることを検出するように構成されていても良い。このようにすることで、原点調整用の新たな機構を追加することなく、指針3の原点調整を容易且つ高精度に行うことができる。
【0074】
また、マークセンサ部60を反射型フォトセンサで構成するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、第1リール52の底板57の周方向全周にわたって等間隔で複数の貫通孔が設けられ、この貫通孔が回転移動する軌道の一部分を間に挟むようにして発光素子と受光素子とが配置されたフォトインタラプタで構成されていてもよい。または、第1リール52の底板57の一部分に磁石が固定され、この磁石が回転移動する軌道の一部分に対向して配置されたリードスイッチなどの磁力検出センサなどで構成されていてもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、フレーム11の強度を考慮して、第1取付部11bと第2取付部11cとを連結した直線部11aを設けていたが、この直線部11aは本発明の必須の構成ではなく、省略することが可能である。この場合、指針移動ユニット10の中央部にさらに広いスペースを設けることができるので、さらにレイアウト自由度の高いスピードメータ1を提供することができる。
【0076】
また、上述した実施形態では、第2リール6がリール本体61と長さ調節部62とを有していたが、この長さ調節部62は、本発明の必須の構成ではなく、省略することが可能である。この場合の第2リール6Aは、
図12に示すように、リール本体61の周壁64に貫通孔64bを設け、この貫通孔64bからリール本体61の内側にワイヤ4の他端4bを引き込んで、この他端4bに結び目を設けるなどしてリール本体61に取り付けるようにすれば良い。また、
図12において、上述した実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0077】
また、上述した実施形態では、指針計器装置として、スピードメータ1を例に挙げて説明したが、本発明の計器装置はスピードメータ1に限定されず、例えばタコメータ等の各種メータに適用することが可能である。
【0078】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。