(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪実施の形態の概要≫
図90は実施の形態を示す半導体装置の平面図及び断面図である。同図(A)は2つのメモリセルMCの一部を表す平面図である。同図(B)は同図(A)におけるA−A’線に沿った断面の一部を表す図面である。同図(C)は同図(A)におけるA−A’線に沿った変形例の断面の一部を表す図面である。
【0011】
メモリセルMCはメモリゲートGとソースSとドレインDとを有する。メモリゲートGは2つのメモリセルMCに共通に延在している。メモリゲートGの下に位置する電荷蓄積膜CSFが隣接するメモリセル間に位置する素子分離領域IRまで延びている。同図(B)では素子分離領域IRは半導体基板の主面MSよりも下に窪んでいる。すなわち、素子分離領域IRの上面は活性領域ARの上面よりも低い位置にある。一方、同図(C)では素子分離領域IRは半導体基板の主面MSよりも上に突出している。すなわち、素子分離領域IRの上面は活性領域ARの上面よりも高い位置にある。同図(B)及び同図(C)のいずれの場合も素子分離領域IRにおける電荷蓄積膜CSFの実効長Lは素子分離領域の幅Wよりも長い。ここで、実効長Lとは素子分離領域IR上での電荷蓄積膜CSFへの電荷蓄積がされない領域の長さをいう。
【0012】
メモリセルのスケーリングによって、素子分離領域IRの幅が狭くなると、メモリセルMCの電荷蓄積膜CSFに注入した電子またはホールが素子分離領域IR上の電荷蓄積膜CSFを拡散して干渉し合うことでメモリセルの信頼性が損なわれる可能性がある。しかし、実施形態によれば、素子分離領域IRにおける電荷蓄積膜CSFの実効長Lは素子分離領域IRの幅Wよりも長くすることができるので、隣接するメモリセル間での電荷蓄積膜を介した電荷の拡散を軽減することができる。
【0013】
図91は
図90の構造に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。まず、半導体基板の主面MSのメモリセル形成領域に隣接する素子分離領域IRに溝を形成する(工程S1)。次に、素子分離領域IRの溝に絶縁膜を形成する(工程S2)。次に、メモリセル形成領域上から素子分離領域IR上に延在する電荷蓄積膜CSFを形成する(工程S3)。その後、素子分離領域IR上の電荷蓄積膜CSF上に絶縁膜を形成する(工程S4)。最後に、メモリセル形成領域上から素子分離領域IR上に延在するメモリゲートGを形成する(工程S5)。工程S2において、素子分離領域IRの溝に形成する絶縁膜の厚さによって、
図90(B)の構造及び同図(C)の構造になる。
【0014】
素子分離領域IRにおける電荷蓄積膜CSFの実効長Lを長くするための手段等が、後述する各実施の形態に記載されている。
【0015】
図92は後述する各実施の形態を纏めた図である。「Fin構造」とは、メモリゲート(MG)が素子分離領域(STI)の窪みに向かって突出する構造をいう。「STI窪み」とはSTIを構成する絶縁膜の上面が半導体基板の主面より下方にある構造をいう。「MONOS」とはスプリットゲート構造のMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型のメモリセルタイプをいう。「Twin MONOS」とは選択ゲートを挟んで両側にメモリゲートが存在する構造のツインMONOS構造のメモリセルタイプをいう。「NROM」とは選択ゲートが存在しないMONOS構造のメモリセルタイプをいう。
【0016】
≪実施の形態の詳細≫
以下、図面を参照しながら、実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。しかし、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。ただし、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除く。
【0018】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。ただし、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除く。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0019】
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0020】
<実施の形態1>
図1は実施の形態1に係わる半導体装置のメモリセルアレイの平面図である。本実施の形態の半導体装置におけるメモリセルアレイは、
図1からわかるようにメモリゲートMG1と選択ゲートSG1とで第1のゲート対PG1を構成し、メモリゲートMG2と選択ゲートSG2で第2のゲート対PG2を構成し、それぞれ同一の方向(第一方向)に延びている。又同様にメモリゲートMG3と選択ゲートSG3で第3のゲート対PG3を構成し、メモリゲートMG4と選択ゲートSG4で第4のゲート対PG4を構成し、これら第3、第4のゲート対PG3,PG4も第1、第2のゲート対PG1,PG2と同様に第一方向に延びている。これらゲートの対はN対でメモリセルアレイを構成するが、
図1はそれの一部を記載したものである。
【0021】
そして、これら複数のゲート対PG1,PG2,PG3,PG4を横切り(又は直交し)第一方向とは異なる他の方向(第二方向)及びゲート対の間で第一方向それぞれに延びる拡散領域113を有する。拡散領域113は、第二方向に延びるソース(Source)領域113−Sと第一方向に延びるドレイン(Drain)領域113−Dを有する。ソース領域113−Sは、複数のコンタクト部114により上層となる金属配線115に接続され、第1ソースライン115−1、第2ソースライン115−2、第3ソースライン115−3、第4ソースライン115−4として第二方向に延びている。
【0022】
又、ドレイン領域113−Dは第1のゲート対PG1と第2のゲート対PG2の間および第3のゲート対PG3と第4のゲート対PG4の間それぞれに形成され第1から第4のゲート対PG1,PG2,PG3,PG4と同様に第一方向に延びて第1ドレインライン113−D1、第2ドレインライン113−D2を構成している。
【0023】
図1に実線で四角に囲む領域(符号MCが付された領域)が一つのメモリセルである。メモリセルアレイはこのメモリセルMCが複数個行列状(マトリクス状)に並びかつそれらの間に隣接する分離領域を有している。実施の形態1のメモリセルMCは、スプリットゲート構造のMONOS型不揮発性メモリである。
【0024】
次に、
図2は
図1におけるA−A’線に沿った断面構造を示す。
図2(A)は2つのメモリセルを横断した断面図である。同図(B)は(A)の部分拡大図である。P型およびN型ウエル(図示せず)が形成されたシリコン等からなる半導体基板100の一主面MS上に導体膜であるポリシリコン(多結晶シリコン)膜112で構成されるメモリゲートMG2およびメモリゲートMG3が存在している。さらに、これらメモリゲートMG2およびメモリゲートMG3それぞれに向い会う、導体膜であるポリシリコン膜106で構成される選択ゲートSG2および選択ゲートSG3が半導体基板100の一主面MS上に位置している。
【0025】
図1の説明で述べたメモリゲートMG2と選択ゲートSG2で形成する第2のゲート対PG2と、メモリゲートMG3と選択ゲートSG3で形成する第3のゲート対PG3がこの断面に示されている。そして、第2ゲート対PG2と第3ゲート対PG3の間の半導体基板100には拡散層で構成されるソース領域113−Sが形成されている。さらに、第2のゲート対PG2と第3のゲート対PG3を挟むようにこれらゲート対の外側の半導体基板100には拡散層で構成されるドレイン領域113−Dが形成されている。
【0026】
そして、ソース領域113−Sはコンタクト部114を介して金属配線層から成る第4ソースライン115−4に接続している。第4ソースライン115−4はメモリゲートMG2と選択ゲートSG2上およびメモリゲートMG3と選択ゲートSG3上に層間絶縁膜(図示せず)を介して延在している。
【0027】
図2(B)に示すように、メモリゲートMG2、MG3と、半導体基板100の一主面MSとの間に、積層構造のゲート絶縁膜GZが位置している。積層構造のゲート絶縁膜GZは、半導体基板100の一主面MS側から順に、絶縁膜108と、電荷蓄積膜となる絶縁膜109と、絶縁膜111とを有している。絶縁膜108はシリコン酸化膜、絶縁膜109はシリコン窒化膜、絶縁膜111はシリコン酸化膜でそれぞれ形成するのが好ましい。そして、積層構造のゲート絶縁膜GZはメモリゲートMG2と選択ゲートSG2との間およびメモリゲートMG3と選択ゲートSG3との間にも存在する。
【0028】
さらに、メモリゲートMG2、MG3はサイドウォール形状に加工されている。
【0029】
さらに、選択ゲートSG2、SG3と、半導体基板100の一主面MSとの間にゲート絶縁膜105を有している。また選択ゲートSG2、SG3ポリシリコン膜106上には絶縁膜107を有している。絶縁膜105はシリコン酸化膜、絶縁膜107はシリコン窒化膜でそれぞれ形成されている。
【0030】
そして、選択ゲートSG2、SG3はそれぞれ、積層ゲート絶縁膜GZを介してメモリゲートMG2、MG3と並んで配置されている。
【0031】
図3は
図1におけるB−B’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図3は2つのメモリセルを縦断するもので選択ゲートSG4に沿った断面である。2つのメモリセル上に延びる第1ソースライン115−1及び第2ソースライン115−2と絶縁膜107との間の絶縁膜は図示せずに省いている。
【0032】
同図からわかるように絶縁膜104で構成される素子分離領域(分離領域)DIRの上面UPは半導体基板100の一主面MSより下方に位置しており、半導体基板100の一主面MSからは窪んだ形となっている。
【0033】
そして、半導体基板100の一主面MS上及び分離領域DIRの上面UP上に選択ゲートSG4とゲート絶縁膜105が延在している。そして、選択ゲートSG4は分離領域DIRの上面UPに向かって凸状となっている。
【0034】
図4は
図1におけるC−C’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図であり、(B)は(A)の部分拡大図である。
図4も2つのメモリセルを縦断するものであるが、メモリゲートMG1に沿った断面である。第1ソースライン115−1、第2ソースライン115−2とその下方に有るメモリゲートMG1との間の絶縁膜は図示せずに省いている。
【0035】
同図からわかるように分離領域DIRの上面UPは半導体基板100の一主面MSとは異なる位置に存在している。すなわち一主面MSより下方に位置している。それにより、分離領域DIRの上面UPは半導体基板100の一主面MSからは窪んだ形となっている。
【0036】
そして、半導体基板100上および分離領域DIR上にメモリゲートMG1とその下の積層構造のゲート絶縁膜GZが延在している。
【0037】
メモリゲートMG1は分離領域DIRの上面UPに向かって選択的に凸形状となっている。
【0038】
積層構造のゲート絶縁膜GZは、分離領域DIRが形成されていない半導体基板の一主面MS上には
図2で説明した絶縁膜108、電荷蓄積膜である絶縁膜109、絶縁膜111を有する。
【0039】
一方分離領域DIR上の積層構造のゲート絶縁膜GZは、
図2で説明した絶縁膜108、電荷蓄積膜である絶縁膜109、絶縁膜111の他にさらに絶縁膜110を有している。絶縁膜110はシリコン酸化膜で形成されている。
【0040】
これにより、メモリゲートMG1とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜109との間に存在する絶縁膜は分離領域DIR上と分離領域以外の半導体基板100上ではその膜厚に差がある。
【0041】
すなわち、メモリゲートMG1とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜109との間に存在する絶縁膜の厚さは、
図4(B)にも示すように、分離領域DIR上では、絶縁膜110と絶縁膜111との合計厚さT2で有るのに対し、分離領域DIRがない半導体基板100上では絶縁膜111の厚さT1となる。ここで、メモリゲートMG1とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜109との間に存在する絶縁膜において、分離領域DIRがない半導体基板100上の絶縁膜を第1絶縁膜、分離領域DIR上の絶縁膜を第2絶縁膜ともいう。
【0042】
従って、絶縁膜110の存在により第2絶縁膜の厚さT2は第1絶縁膜の厚さT1よりも厚くなっている。言い換えると、第1絶縁膜の膜厚は第2絶縁膜の膜厚よりも小さくなっている。
【0043】
ここで、本願に関連するメモリセルの寸法に関して、C−C’線での断面における素子分離領域の幅W1は60nm程度であり、この分離領域に挟まれるメモリセル領域の活性領域の幅W2は100nm程度である。
【0044】
図5は
図1におけるD−D’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図5(A)は複数のメモリセル間の分離領域104に沿った断面である。同図(B)は(A)の部分拡大図である。
【0045】
同図からわかるようにドレイン(Drain)領域113−Dを有する半導体基板100の一主面MSの位置よりも窪んだ位置に分離領域DIRの上面UPが位置しており、分離領域DIR104上に
図1に示すメモリゲートMG2およびメモリゲートMG3が存在している。
【0046】
さらに、メモリゲートMG2およびメモリゲートMG3それぞれに向い会う選択ゲートSG2および選択ゲートSG3が分離領域104上に位置している。
【0047】
そして、メモリゲートMG2、MG3の下には、積層構造のゲート絶縁膜GZSを有している。同図(B)に示すように、分離領域DIR上の積層構造のゲート絶縁膜GZSは、分離領域DIR側から順に、電荷蓄積膜となる絶縁膜109、絶縁膜110、絶縁膜111を有している。そして、メモリゲートMG2、MG3はサイドウォール形状に加工されている。
【0048】
さらに、メモリゲートMG2、MG3とそれぞれと向かい合う選択ゲートSG2および選択ゲートSG3との間の積層構造のゲート絶縁膜GZGは、選絶縁膜111、絶縁膜109絶縁膜108を有している。
【0049】
図6は実施の形態1に係わる半導体装置のメモリセルアレイの等価回路図である。同図には、
図1のメモリセルアレイの平面図に対応して回路(トランジスタや配線)が示されている。ただし、第1ドレインライン113−D1と第2ドレインライン113−D2とを接続するドレインライン113−Dは
図1には示されていない。この等価回路はメモリセルアレイの一部を示すものである。
【0050】
実線で四角に囲む領域(符号MCが付された領域)が一つのメモリセルでありこのメモリセルが複数個行列状(マトリクス状)に並んでメモリセルアレイを構成している。メモリセルMCはメモリトランジスタMTと選択トランジスタSTとを有する。メモリトランジスタMTのドレインはドレインライン113−Dに接続されている。選択トランジスタSTのソースはソースライン115−1、115−2,115−3,115−4のいずれかに接続されている。
【0051】
次に実施の形態1に係わるメモリセルの基本的な(1)読出し動作、(2)消去動作、(3)書込み動作の3動作を夫々説明する。ただし、これら3動作の呼び方は、代表的なものとして用いており、特に消去動作と書込み動作については、逆の呼び方をすることもできる。ここで、説明のためn−MOSタイプで形成したメモリセルについて述べるが、p−MOSタイプでも原理的には同様に形成することができる。
【0052】
(1)読出し動作:
メモリゲート(MG)側の拡散層(Drain)に0Vを与え、選択ゲート(SG)側の拡散層(Source)に1.0V程度の正電位を与え、選択ゲート(SG)に1.3V程度の正電位を与えることで、選択ゲート(SG)下のチャネルをオン状態にする。ここで、書込み、消去状態により与えられるメモリゲート(MG)のしきい値差を判別できる適当な電位(すなわち、書込み状態のしきい値と消去状態のしきい値の中間電位)をメモリゲート(MG)に与えることで、メモリセルMCに保持していた電荷情報を電流として読み出すことができる。ここで、書込み状態のしきい値と消去状態のしきい値の中間電位が0Vとなるように設定すると、メモリゲート(MG)に印加する電圧を電源回路内で昇圧する必要がなく、高速読出しに好適である。
【0053】
(2)消去動作:
メモリゲート(MG)に例えば−6Vの電圧を印加し、選択ゲート(SG)に例えば0Vの電圧を印加し、メモリゲート(MG)側の拡散層(Drain)に6Vおよび選択ゲート(SG)側の拡散層(Source)に1.5Vを印加する。ただし、選択ゲートSG側の拡散層は電気的にフローティング(open)状態としても良い。これにより半導体基板100中でホールが発生し、電荷蓄積膜109中に注入される。
【0054】
図7はメモリセルMCの消去動作の一例を示すフローチャートである。実際にメモリセルMCを消去する場合には、
図7に示すように消去パルスを印加して電荷蓄積膜109中にホールを注入することで消去を行い(ステップSE1)、その後、ベリファイ動作によりメモリセルMCが所望のしきい値に到達したか否かを検証する(ステップSE2)。所望のしきい値に到達していない場合には、再度消去パルスを印加するというシーケンスを繰返す。
【0055】
典型的な印加電圧は上記した通りである。ただし、ベリファイ後の消去条件は必ずしも1回目の条件と同じである必要はない。その場合の消去パルスの一例を
図8に示す。N=1は1回目の消去パルス印加を示し、N>1は2回目以降の消去パルス印加を示している。ここで、同図に示される「Well」とは、半導体基板100中のメモリトランジスタMT及び選択トランジスタSTに基板電位を供給する領域である。
【0056】
(3)書込み動作:
実施の形態1のメモリセルMCでは半導体基板100側から電子を注入することで書込み行う。半導体基板100側から電子を注入する方式として、メモリゲート(MG)に例えば10Vの電圧を印加し、選択ゲート(SG)に例えば0.9Vの電圧を印加し、メモリゲート(MG)側のドレイン領域(Drain)に例えば4.5Vの電圧を印加し、選択ゲート(SG)側のソース領域(Source)にドレイン領域(Drain)より低い電圧、例えば0.3Vの電圧を印加する。これにより、メモリゲート(MG)の選択ゲート(SG)側端部に集中的に電荷(電子)の注入が行なわれる。この注入方式はSSI(Source Side Hot Electron)注入方式として知られている。
【0057】
図9はメモリセルの書込み動作の一例を示すフローチャートである。実際にメモリセルMCを書込む場合には、
図9に示すようにSSIパルスを印加して電荷蓄積膜109中に電子を注入することで書込みを行い(ステップSW1)、その後、ベリファイ動作によりメモリセルMCが所望のしきい値に到達したか否かを検証する(ステップSW2)。所望のしきい値に到達していない場合には、再度SSIパルスを印加するというシーケンスを繰返す。
【0058】
典型的な印加電圧は上記の通りである。ただし、ベリファイ後の消去と同様に書込み条件は必ずしも1回目の条件と同じである必要はない。その場合の一例を
図10に示す。
図10はメモリセルの書込みパルス電圧の一例を示す図である。N=1は1回目のSSIパルス印加を示し、N>1は2回目以降のSSIパルス印加を示している。
【0059】
図11は、メモリゲートトランジスタのメモリセル読出し条件における電流−電圧特性を、比較例(A)と実施の形態1(B)とで比較した図面である。横軸がメモリゲート電圧で縦軸はチャネル電流を表す。
図12には、隣接セルからの電子拡散によるデータ保持特性の劣化を比較例(A)と実施の形態1(B)とで比較した図面である。ただし、電子拡散による劣化を加速するためにメモリセルは300℃に放置した。ここで、比較例に係る半導体装置のメモリセルアレイの平面構造は
図1と同じである。しかし、比較例に係る半導体装置のメモリセルアレイの断面構造は実施の形態1と異なる。例えば、
図1におけるC−C’線に沿った断面図(
図4)に対応する比較例の断面は異なる。すなわち、実施の形態1に係る半導体装置の比較例における分離領域の上面は半導体基板の一主面とほぼ同じ位置に存在する。すなわち、
図4に示すような分離領域の上面は半導体基板の一主面から窪んだ形にはなっていない。そして、半導体基板上および分離領域上に、絶縁膜(シリコン酸化膜)と電荷蓄積膜(シリコン膣化膜)と絶縁膜(シリコン酸化膜)とメモリゲートとが延在している。すなわち、比較例における分離領域上の電荷蓄積膜の長さは、分離領域の幅と同程度であり、実施の形態1における分離領域DIR上の電荷蓄積膜109の長さよりも短くなっている。
【0060】
図11からわかるように、実施の形態1(B)は比較例(A)よりもチャネル電流すなわち読出し電流を増大することができる。従って、実施の形態1は高速読出しに有利となる。
図12から明らかなように、比較例(A)に比べて、実施の形態1(B)のメモリセルの劣化量が小さくなっており信頼度が向上していることがわかる。
【0061】
図13には隣接セルからの電荷拡散によるメモリセルの信頼度の劣化量(125℃で20年保存時の劣化量)を隣接セルまでのシリコン窒化膜(電荷蓄積膜)長さでプロットした図面である。
図12と同様に、隣接セルまでのシリコン窒化膜長さが長いほど電荷拡散に時間が掛かるために劣化量は小さくなる。
図13に示すように、隣接セルまでのシリコン窒化膜長さは概ね90nm程度の長さが確保できれば劣化量を0.1V程度に抑制できることが明らかになった。すなわち、比較例の構造において素子分離領域の幅が90nmよりも狭くなるときに実施の形態1の構造の適用がより有効である。
【0062】
上記する種々の効果が得られる理由を
図4及び概略説明図の
図14に基づき説明する。
【0063】
図4及び
図14に示すように、分離領域DIR上面UPは、半導体基板100の一主面MSより下方に位置しており、分離領域DIRの上面UPは半導体基板100の一主面MSからは窪んだ形となっている。
【0064】
そして、この窪みに向かってメモリゲートMG1の一部及びその下の電荷蓄積膜109が突出する構造(いわゆるFin構造)とすることにより、書込み時、
図14の概略図に示すように上記窪み部に存在する電荷蓄積膜109の一部(Zの部分)まで電荷は注入されメモリゲートMG1のゲート幅(チャネル幅)が分離領域DIR上まで伸びる。それによりメモリセルの活性領域を比較例よりも広げることができる。その結果、比較例(A)よりも読出し電流を増大することができるのである。
【0065】
さらに、
図4に示すように、分離領域DIR上面UPに向かってメモリゲートMG1の一部及びその下の電荷蓄積膜109が突出するだけではなく、分離領域DIR上面UP上の電荷蓄積膜109とメモリゲートMG1間には絶縁膜110と絶縁膜111を有している。一方、半導体基板100の一主面MS上の電荷蓄積膜109とメモリゲートMG1間には絶縁膜111を有している。したがって、分離領域DIR上面UP上の電荷蓄積膜109とメモリゲートMG1間の絶縁膜は、半導体基板100の一主面MS上の電荷蓄積膜109とメモリゲートMG1間の絶縁膜よりも厚く構成される。そのため、
図14に示すように分離領域DIR上での電荷蓄積膜109への電荷蓄積の領域(データ保持領域)を制限でき、電荷蓄積膜109の隣接セル間での電荷蓄積がされない領域(データ保持しない領域)の長さLが分離領域DIRの幅Wよりも長くなる。ここで、幅Wは一主面MSにおける分離溝の幅とする。それによって、隣接セル間での電荷拡散は容易には行われず、データ保持特性が向上(劣化量が減少)する。なお、電荷蓄積膜における電荷が蓄積される領域とは、電荷蓄積膜がメモリゲートと活性領域に挟まれている領域である。電荷蓄積膜における電荷が蓄積されない領域とは、電荷が蓄積される領域以外の領域である。
【0066】
また、実施の形態1には記載してはいないが、メモリセル辺り1ビット以上のデータを記憶する多値メモリは、シリコン窒化膜中に注入する電子の数によりしきい値を調整して多値化するため、より高精度なメモリセルしきい値制御が要求され、本実施の形態を用いて好適である。
【0067】
実施の形態1の半導体装置によれば、メモリセルのスケーリングにより分離領域幅が狭まり、隣接するメモリセルとの距離が近づいたとしても、分離領域上の電荷蓄積膜の実効長を長くすることができるので、メモリセルの電荷蓄積膜に注入した電子またはホールが分離領域上の電荷蓄積膜を拡散することによる干渉し合いを軽減することができる。
【0068】
また、実施の形態1の半導体装置によれば、メモリセルのスケーリングにより平面視のゲート幅が狭まったとしても、実効チャネル幅(ゲート幅)を広くすることができるので、高速動作に対応した読出し電流を確保することができる。
【0069】
さらに、実施の形態1に係わる半導体装置によれば、例えば車載用など外部環境が厳しい状況下においても高い品質、信頼性を確保することができる。
【0070】
また、製品チップサイズのスケーリングにより一ウェハ辺りの製品取得数を向上することができる。そして、それにより低コスト化を達成できる。
【0071】
次に実施の形態1に係るメモリセルアレイを大規模集積回路の半導体装置に適用した場合の例を
図15に基づいて説明する。
図15に示す半導体装置Cは、ロジック部Aとメモリ部Bを有する。メモリ部Bは、制御回路1、入出力回路2、アドレスバッファ3、行デコーダ4、列デコーダ5、ベリファイセンスアンプ回路6、高速リードセンスアンプ回路7、書込み回路8、メモリセルアレイ9、および電源回路10を有する。
【0072】
制御回路1は、ロジック部Aから入力される制御用信号を一時的に格納し、メモリ部Bの制御を行う。また、制御回路1はメモリセルアレイ9内のメモリセルのゲート電極の電位の制御を行う。入出力回路2には、メモリセルアレイ9から読み出しまたはメモリセルアレイ9へ書込むデータやプログラムデータなどの各種データが入出力される。アドレスバッファ3は、ロジック部Aから入力されたアドレスを一時的に格納する。アドレスバッファ3には、行デコーダ4、ならびに列デコーダ5がそれぞれ接続されている。行デコーダ4は、アドレスバッファ3から出力された行アドレスに基づいてデコードを行い、列デコーダ5は、アドレスバッファ3から出力された列アドレスに基づいてデコードを行う。
【0073】
ベリファイセンスアンプ回路6は、消去/書込みベリファイ用のセンスアンプであり、高速リードセンスアンプ回路7は、データリード時に用いられるリード用センスアンプである。書込み回路8は、入出力回路2を介して入力された書込みデータをラッチし、データ書込みの制御を行う。メモリセルアレイ9には、記憶の最小単位であるメモリセルMCがアレイ状に並べられている。
【0074】
電源回路10は、データ書込みや消去、ベリファイ時などに用いられる様々な電圧を生成する電圧発生回路、および任意の電圧値を生成して書込み回路に供給する電流トリミング回路11などから構成される。
【0075】
ロジック部Aは、例えば中央処理装置(CPU)である。従って、半導体装置Cは、例えば、不揮発性メモリ内蔵のマイクロコントローラである。不揮発性メモリ内蔵のマイクロコントローラにおける不揮発性メモリが占める半導体チップの面積割合は非常に高く、メモリセルのスケーリングにより、不揮発性メモリの面積を小さくすることができ、さらに不揮発性メモリ内蔵のマイクロコントローラの面積を小さくすることができる。
【0076】
次に
図16から
図26を用いて、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図16は製造方法の概略を示すフローチャートであり工程P−1〜P−6を有する。そして、
図17から
図26はフローチャートに示す工程P−1〜P−6に対応する各プロセス工程における断面図である。なお、断面図は、
図1のA−A’、B−B’、C−C’、D−D’線での不揮発性メモリセルアレイ領域の断面および
図1には図示されてはいない周辺MOS領域に対応する断面に分けて記載している。周辺MOS領域とは、メモリセルアレイ領域外におけるMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ(周辺MOSトランジスタ)が存在する領域である。例えば、
図15に示される制御回路1や入出力回路2などである。
図1〜
図6においては、符号を付した要素名は主に機能的な名前で表しているが、
図17〜
図26においては、符号を付した要素名は主に材料名で表している。
図1〜
図6と
図17〜
図26とで同一符号を付したものは同じものである。
【0077】
(a)工程P−1
シリコンから成る半導体基板100を用意し、この基板を熱酸化することにより10nm程度のシリコン酸化膜101を半導体基板100の主面に形成する。その後、10nm程度のポリシリコン膜102、50nm程度のシリコン窒化膜103をシリコン酸化膜101上にその順に堆積させる。
【0078】
リソグラフィーとエッチング技術により半導体基板100主面より深さ150nm程度の素子分離領域(STI:Shallow Trench Isoration)用の溝を形成する。シリコン酸化膜(絶縁膜)104を堆積し、シリコン窒化膜103をストッパとしてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して溝及びその上部にシリコン酸化膜104を残すこれにより、シリコン酸化膜104は半導体基板100の主面よりも高い位置にまで形成することができる(
図17)。
【0079】
(b)工程P−2
シリコン窒化膜103とその下のポリシリコン膜102をウェットエッチングおよびドライエッチングにより除去し、残ったシリコン酸化膜101をイオン注入のスルー膜として半導体基板100にイオン注入する。すなわちシリコン酸化膜104より薄いシリコン酸化膜101を介してP型及びN型の不純物を半導体基板100に選択的にイオン注入してP型およびN型ウエル(図示せず)を形成する(
図18)。
【0080】
(c)工程P−3
ドライエッチングまたはウェットエッチングによりシリコン酸化膜101を除去する。又、分離領域DIRのシリコン酸化膜104を例えば半導体基板100の主面からの深さが50nm程度となるように一部を除去する。これにより半導体基板100の主面が新たに露出して一主面MSを構成する。又、分離領域DIRのシリコン酸化膜104の上面UPは半導体基板100の一主面MSからの深さが50nm程度であり、半導体基板100の一主面MSから窪んだ状態となる(
図19)。
【0081】
続いて、熱酸化法によって周辺MOSおよび選択トランジスタのゲート絶縁膜となる1.4nm程度のシリコン酸化膜(絶縁膜)105を半導体基板100の一主面MSに形成し、周辺MOSおよび選択トランジスタのゲート電極となる厚さ80nm程度のポリシリコン膜(導体膜)106と厚さ20nm程度のシリコン窒化膜(絶縁膜)107を堆積する(
図20)。ここで、リソグラフィーとドライエッチング技術により、シリコン酸化膜105は複数水準の酸化膜厚として形成してもよい。
【0082】
次にリソグラフィーとエッチング技術によりポリシリコン膜106から成る、周辺MOSのゲートおよび選択トランジスタのゲートを形成する(
図21)。
【0083】
(d)工程P−4
リソグラフィーとイオン注入技術により、メモリセルしきい値調整用のイオン注入を行う(図示せず)。
【0084】
次に、熱酸化法により厚さ4nm程度のシリコン酸化膜(絶縁膜)108を形成した後、厚さ9nm程度のシリコン窒化膜(電荷蓄積膜)109を堆積し、続けて厚さ20nm程度のシリコン酸化膜(絶縁膜)110を堆積する。これにより分離領域DIR上面の窪みを絶縁膜で埋める。
【0085】
このとき、シリコン酸化膜108とシリコン窒化膜109とシリコン酸化膜110の物理膜厚の合計がC−C’線での断面に示す分離領域DIRの上面UPの幅よりも大きくなるように、これらの膜を堆積させることにより分離領域DIR上の窪みを絶縁膜で埋めることができる。このとき周辺MOSのゲート上にもシリコン酸化膜108、シリコン窒化膜109及びシリコン酸化膜110を例えばCVD法により形成する(
図22)。
【0086】
次にシリコン酸化膜110をウェットエッチングにより選択的に除去し、C−C’断面とその拡大断面に示すようにメモリゲートが延在する分離領域DIR上のシリコン窒化膜109上にのみ25nm程度のシリコン酸化膜110が残るようにする。すなわち、A−A’断面、B−B’断面、D−D’断面及び周辺MOSのシリコン酸化膜110は除去する(
図23)。
【0087】
その後、メモリセルアレイ領域及び周辺MOS領域のゲート上に改めて7nm程度のシリコン酸化膜111を堆積する。このプロセスによりC−C’断面とその拡大断面からもわかるように、メモリゲート下において、メモリセル領域における活性領域のシリコン窒化膜109上の酸化膜厚よりも分離領域のシリコン窒化膜上の酸化膜厚を厚膜化することができる(
図24)。
【0088】
(e)工程P−5
次に、メモリゲートのゲート電極となるポリシリコン膜(導体膜)112を、例えば40nm堆積し、同ポリシリコン膜112をエッチバックすることによりサイドウォール形状のメモリゲートをメモリセルアレイ領域に形成する。このときサイドウォール電極が選択トランジスタを挟んで両側に形成されるが、リソグラフィーとエッチング技術によりメモリゲート片側の不要なサイドウォールゲートを除去し、片側にのみ形成する。又周辺MOSゲートの両側のサイドウォールゲートも同様に除去する(
図25)。
【0089】
(f)工程P−6
その後、p−MOS、n−MOS夫々の拡散層イオン注入を行い、メモリセルアレイ領域及び周辺MOS領域に拡散層113を形成する。このとき選択トランジスタ及び又は周辺MOSトランジスタのゲート電極および拡散層を、低抵抗化のためにシリサイド化しても良い。その場合、選択トランジスタ及び又は周辺MOSトランジスタのゲート電極上のシリコン窒化膜107を除去した後にシリサイド化を行う。
【0090】
その後、配線層間膜を堆積した後、メモリトランジスタ、選択トランジスタ、周辺MOSトランジスタ、拡散層に導通をとるためのコンタクトホールを形成する。コンタクトホールに金属膜を堆積してコンタクト部114を形成する。続いて層間絶縁膜上に金属膜を堆積し、これをパターニングして配線115を形成する(
図26)。
【0091】
なお、分離領域上のシリコン窒化膜を除去することによっても、隣接セル間への注入電荷の拡散を防ぐことが考えられる。しかし、窪んだ非常に狭い分離領域上におけるシリコン窒化膜のうちメモリゲートのゲート絶縁膜を構成する部分のシリコン窒化膜(
図14のZに相当する部分)を残して、メモリゲートのゲート絶縁膜を構成しない部分のシリコン窒化膜(
図14のLに相当する部分)を除去することは困難である。実施の形態1のように分離領域上のシリコン窒化膜を残す方が、製造工程を簡略化することができる。
【0092】
<実施の形態2>
図27は実施の形態2に係わる半導体装置のメモリセルアレイの平面図である。
図28は
図27におけるA−A’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図29は
図27におけるB−B’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図30は
図27におけるC−C’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図31は
図27におけるD−D’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
【0093】
実施の形態2は実施の形態1と同様なメモリセルアレイであり、
図27、
図28、
図29は実施の形態1の
図1、
図2(
図1におけるA−A’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図)、
図3(
図1におけるB−B’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図)とそれぞれ同じであるため、これらの説明は、ここでは省略する。ただし、実施の形態1とは異なる符号MG1−2,MG2−2,MG3−2,MG4−2、211で示す部分が実施の形態1とは異なる。しかし、メモリゲートMG1−2,MG2−2,MG3−2,MG4−2は、
図27の平面図、
図28の断面図においては、それぞれ実施の形態1のメモリゲートMG1,MG2、MG3,MG4と同一の形状である。また、絶縁膜211は、
図28の断面図においては、実施の形態1の絶縁膜111と同じ形状である。
【0094】
実施の形態2が実施の形態1と実質異なるのは
図27におけるC−C’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である
図30と
図27におけるD−D’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である
図31である。
図30及び
図31それぞれにおいて、実施の形態1とは異なる符号210、211、212で示す部分が実施の形態1とは異なる箇所である。
【0095】
実施の形態1では
図4(
図1のC−C’断面図)からわかるようにメモリセル活性領域の側面すなわち分離領域DIRの上(窪み部)にメモリゲートMG1(ポリシリコン膜112)が突出する(いわゆるFin構造)構造となっているが、実施の形態2においては
図30(
図27のC−C’断面図)に示すように、活性領域の側面すなわち分離領域DIRの上面UP上の窪み部にはメモリゲートMG1−2(ポリシリコン膜212)及びその下の絶縁膜(シリコン酸化膜)211は突出していない。すなわち、
図30に示すように、分離領域DIR上面UP上の窪み部には実施の形態1のように絶縁膜(シリコン酸化膜)108と電荷蓄積膜(シリコン窒化膜)109が窪みに沿って延在しているが、上記窪み部は絶縁膜(シリコン酸化膜)210で埋め込まれており、かつその上面は半導体基板100の一主面MSよりも上方に位置している。そして、絶縁膜210の上面に絶縁膜211が延在し、さらにその上にメモリゲートMG1−2が延在している。ここで、メモリゲートMG1−2とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜109との間に存在する絶縁膜において、分離領域DIRがない半導体基板100上の絶縁膜を第1絶縁膜、分離領域104上の絶縁膜を第2絶縁膜ともいう。従って、絶縁膜210の存在により第2絶縁膜の厚さは第1絶縁膜の厚さよりも厚くなっている。言い換えると、第1絶縁膜の膜厚は第2絶縁膜の膜厚よりも小さくなっている。
【0096】
上記窪み部を埋め込む絶縁膜210の存在により、
図31も実施の形態1とは異なる構造となる。
図31に示す絶縁膜210の膜厚が実施の形態1の絶縁膜(シリコン酸化膜)110とは異なる厚さとなる。絶縁膜210の膜厚は実施の形態1の絶縁膜110の膜厚よりも厚くなる。
【0097】
尚、
図28(
図27のA−A’線に沿った断面図)の符号211の絶縁膜シリコン酸化膜、符号212のメモリゲートMG2−2,MG3−2を構成するポリシリコン膜それぞれの断面形状は実施の形態1のA−A’線に沿った断面図である
図2と同じとなる。
【0098】
実施の形態2に記述したメモリセルの読出し、消去、書込み動作方式は実施の形態1と同様であるため、ここでの記載は省略する。
【0099】
製造方法についても実施の形態1の製造工程と概ね同様である。すなわち、実施の形態1の工程P−1から工程P−3(
図17から
図21)と同様な工程で処理を行う。そして、工程P−4中の
図22から
図23に至るシリコン酸化膜110のウェットエッチング工程時にそのエッチング量を調整して
図30に示すような所望の厚さのシリコン酸化膜210を形成する。その後残りの工程P−4(
図24)を行い、工程P−5(
図25)から工程P−6(
図26)の処理を行う。
【0100】
実施の形態2に記述したメモリセルにおいては、電荷蓄積膜109が実施の形態1と同様に分離領域DIR上の窪みに沿って隣接セル間に延在しているため、書込み時、素子分離領域DIR上における電荷が注入されない電荷蓄積膜の長さを長くすることができる。 言い換えると、電荷蓄積膜109の隣接セル間での電荷蓄積がされない領域(データ保持しない領域)の長さが長くなる。
【0101】
それによって、隣接セル間での電荷拡散は容易には行われず、データ保持特性の劣化量が減少し、信頼性劣化を抑制することができる。
【0102】
実施の形態2のメモリゲートは、Fin構造になっていないので、読み出し電流は実施の形態1よりも小さくなる。しかし、素子分離領域上における電荷が注入されない電荷蓄積膜の長さは実施の形態1よりも長くすることができる。従って、実施の形態2は実施の形態1よりも高速読み出しが要求されない場合に好適である。すなわち、メモリセルのスケーリングにより分離領域幅が狭まり、隣接するメモリセルとの距離が近づいたとしても、分離領域上の電荷蓄積膜の実効長を実施の形態1よりも長くすることができるので、メモリセルの電荷蓄積膜に注入した電子またはホールが分離領域上の電荷蓄積膜を拡散することによる干渉し合いを実施の形態1よりも軽減することができる。言い換えると、素子分離領域上における電荷が注入されない電荷蓄積膜の長さを実施の形態1と同じにすると、素子分離領域の幅を実施の形態1よりも狭くすることができる。
【0103】
さらに、実施の形態2に係わる半導体装置によれば、例えば車載用など外部環境が厳しい状況下においても高い品質、信頼性を確保することができる。
【0104】
また、製品チップサイズのスケーリングにより一ウェハ辺りの製品取得数を向上することができる。そして、それにより低コスト化を達成できる。
【0105】
<実施の形態3>
図32は実施の形態3に係わる半導体装置のメモリセルアレイの平面図である。
図33は
図32におけるA−A’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図34は
図32におけるB−B’線に沿ったメモリセルアの一部断面図である。
図35は
図32におけるC−C’線に沿ったメモリセルアの一部断面図である。
図36は
図32におけるD−D’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。 実施の形態3は実施の形態1と同様なメモリセルアレイであり、
図32、
図33、
図34は実施の形態1の
図1、
図2、
図3と同じであるため、これらの説明は、ここでは省略する。ただし、実施の形態1とは異なる符号MG1−3,MG2−3,MG3−3,MG4−3で示す部分が実施の形態1とは異なる。しかし、メモリゲートMG1−3,MG2−3,MG3−3,MG4−3は、
図32の平面図、
図33の断面図においては、それぞれ実施の形態1のメモリゲートMG1,MG2、MG3,MG4と同一の形状である。
【0106】
実施の形態3と実施の形態1との違いは、メモリゲートの構造であり、特にメモリセル間を分離する分離領域DIR上に延びる部分が異なる。実施の形態3が実施の形態1と異なるのは
図32におけるC−C’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である
図35と
図32におけるD−D’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である
図36である。
図35及び
図36それぞれにおいて、実施形態の1とは異なる符号316で示す部分が実施の形態の1とは異なる箇所である。実施の形態1との違いは2つある。
【0107】
1つはメモリゲートの形状である。実施の形態3ではメモリセル間を分離する分離領域DIR上の窪み部にメモリゲートの一部は突出するが、この窪み部に存在するメモリゲート(突出部)の中に空隙(エアギャップ)316が存在することである。
【0108】
もう1つは、分離領域DIR上の窪み部の電荷蓄積膜(シリコン窒化膜)109とメモリゲートMG1−3間に絶縁膜(シリコン酸化膜)110が存在しないことである。これにより、半導体基板100の一主面MS上の電荷蓄積膜109とメモリゲートMG1−3間の絶縁膜(シリコン酸化膜)111の膜厚と分離領域DIR上の窪み部に存在する電荷蓄積膜109とメモリゲートMG1−3間の絶縁膜111の膜厚がほぼ等しくなる。
【0109】
実施の形態3に記述したメモリセルの読出し、消去、書込み動作方式は実施の形態1と同様であるため、その説明は、省略する。
【0110】
製造方法についても実施の形態1の製造工程と概ね同様である。すなわち、実施の形態1の工程P−1から工程P−3(
図17から
図21に示す工程)と同様の工程を実施し、実施の形態1の工程P−4(
図22、
図23、
図24に示す工程)において、シリコン酸化膜110を形成せず、シリコン酸化膜108、シリコン窒化膜109、シリコン酸化膜111を形成する(CVD膜を堆積)。
【0111】
そして、実施の形態1の工程P−5(
図25)のようにメモリゲートとなるポリシリコン膜112を形成するが、このときカバレッジの悪い条件で堆積することにより、素子分離領域DIR上に形成されるポリシリコン膜112内にエアギャップ316を形成する。
【0112】
その後は実施の形態1の工程P−6(
図26)と同様の製造工程を行う。
【0113】
図37は、実施の形態3による隣接メモリセルへの誤書込み耐性を示す図面である。
【0114】
同図中(A)にメモリゲート中にエアギャップを形成しない場合、(B)にはメモリゲート中にエアギャップを形成した場合の誤書込み耐性を示している。同図の縦軸は、あるメモリセルに書込みを行ってそのメモリに隣接するメモリセルのしきい値(Vth)の変動を示している。この書込みを繰返して誤書込みストレス(ディスターブ・ストレス)を与える。同図の横軸は、ディスターブ・ストレス(Disturb stress)を示している。同図からメモリゲート中にエアギャップ領域を形成すると、より長い誤書込みストレスを印加してもメモリセルのしきい値の変動が少なくなることがわかる。
【0115】
さらに、実施の形態3に記述したメモリセルにおいては、分離領域DIR上の窪み部にメモリゲートの一部が突出することによりメモリゲートのゲート幅(チャネル幅)が分離領域DIR上まで伸びる。それによりメモリセルの活性領域を実施の形態1の比較例よりも広げることができる。また、絶縁膜110が存在しないことによりメモリゲートの突出部は実施の形態1よりもその突出量を大きくすることができ、電荷蓄積領域すなわち活性領域を大幅に広げることができ、読出し電流の確保が実施の形態1よりも容易になる。
【0116】
さらに、メモリゲートの突出部にエアギャップ316を設けることにより隣接セルへの誤書込み、誤消去等の誤動作の発生を軽減することができる。誤動作としては、書込み時または消去時にメモリゲートを突き抜けて電荷(ホットキャリア)が隣接セルへまで到達することによる誤動作が考えられる。実施の形態3によればエアギャップ316によりこの電荷の突き抜けを軽減することができ誤動作を軽減することができる。
【0117】
<実施の形態4>
図38は実施の形態4に係わる半導体装置のメモリセルアレイの平面図である。
図39は
図38におけるA−A’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図40は
図38におけるB−B’線に沿ったメモリセルアの一部断面図である。
図41は
図38におけるC−C’線に沿ったメモリセルアの一部断面図である。
図42は
図38におけるD−D’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図43は実施の形態4の効果を説明するための
図41対応の概略断面図である。
【0118】
実施の形態4は実施の形態1と同様なメモリセルアレイであり、
図38、
図39、
図40は実施の形態1の
図1、
図2、
図3と同じであるため、これらの説明は、ここでは省略する。ただし、実施の形態1とは異なる符号MG1−4,MG2−4,MG3−4,MG4−3で示す部分が実施の形態1とは異なる。しかし、メモリゲートMG1−4,MG2−4,MG3−4,MG4−4は、
図38の平面図、
図39の断面図においては、それぞれ実施の形態1のメモリゲートMG1,MG2、MG3,MG4と同一の形状である。
【0119】
実施の形態4と実施の形態1との違いはメモリゲートの構造であり、特にメモリセル間を分離する分離領域DIR上に延びる部分が異なる。実施の形態4が実施の形態1と異なるのは
図41と
図42の断面図である。
図41及び
図42それぞれにおいて、実施形態の1とは異なる符号416で示す部分が実施の形態の1とは異なる箇所である。符号416はエアギャップを示し、メモリセル素子を分離する分離領域DIR上の窪み部に突出するメモリゲート中に存在する。
【0120】
実施の形態4に記述したメモリセルの読出し、消去、書込み動作方式は実施の形態1と同様であるためその説明は省略する。
【0121】
製造方法について実施の形態1の製造工程と概ね同様である。すなわち、実施の形態1の工程P−1から工程P−4(
図17から
図24)までと同様な工程で処理を行う。そして、工程P−5(
図25)で、メモリゲートとなるポリシリコン膜112をカバレッジの悪い条件で堆積することで素子分離領域DIR上のポリシリコン膜112内に
図41や
図42に記載するようなエアギャップ416を形成する。その後は工程P−6(
図26)と同様の製造工程を行う。このような実施の形態4によれば、
図41、
図42に示すように、実施の形態3と同様にメモリゲート中にエアギャップ領域を有するため、より長い誤書込みストレスを印加してもメモリセルのしきい値の変動が少なくなる。
【0122】
また、隣接セルへの誤書込み、誤消去等の誤動作の発生を軽減できる。誤動作としては、
図43に示すような、書込み時または消去時にメモリゲートMGを突き抜けて電荷が隣接セルへまで到達することによる誤動作が考えられるが、
図43に記載するように、電荷がエアギャップ416により捕らえられ、メモリゲートの電荷の突き抜けを軽減することができる。従って、誤動作を軽減することがきる。
【0123】
さらに、
図41、
図42のように、分離領域DIR上の窪み部にメモリゲートの一部が突出する構造であるためメモリゲートのゲート幅(チャネル幅)が分離領域DIR上まで伸びる。それによりメモリセルの活性領域を従来よりも広げることができ、読出し電流の確保が容易となる。特に高速動作に対応した読み出し電流の確保が容易となる。
【0124】
また、
図41、
図42のように、分離領域DIR上の窪み部に突出するメモリゲートの一部とその下の絶縁膜(シリコン窒化膜)109との間に絶縁膜(シリコン酸化膜)110が介在するため、メモリゲートの突出には制限が生じる。また
図41に示すようにメモリゲートMG1−4である導体膜(ポリシリコン膜)112とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜109との間に存在する絶縁膜は分離領域DIR上と分離領域以外の半導体基板100上(メモリ素子上)ではその膜厚に差がある。ここで、メモリゲートMG1−4とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜109との間に存在する絶縁膜において、分離領域DIRがない半導体基板100上の絶縁膜を第1絶縁膜、分離領域DIR上の絶縁膜を第2絶縁膜ともいう。
【0125】
従って、絶縁膜110の存在により第2絶縁膜の厚さは第1絶縁膜の厚さよりも厚くなっている。言い換えると、第1絶縁膜の膜厚は第2絶縁膜の膜厚よりも小さくなっている。これらにより隣接セル間の電荷蓄積膜109の電荷蓄積がされない領域(データ保持しない領域)の長さLが長くなる(
図43)。それによって、隣接セル間での電荷拡散は容易には行われず、データ保持特性が向上する。
【0126】
実施の形態4によれば、メモリセルのスケーリングにより分離領域幅が狭まり、隣接するメモリセルとの距離が近づいたとしても、分離領域上の電荷蓄積膜の実効長を長くすることができるので、メモリセルの電荷蓄積膜に注入した電子またはホールが分離領域上の電荷蓄積膜を拡散することによる干渉し合いを軽減することができる。
【0127】
また、実施の形態4によれば、メモリセルのスケーリングにより平面視のゲート幅が狭まったとしても、実効チャネル幅(ゲート幅)を広くすることができるので、高速動作に対応した読出し電流を確保することができる。
【0128】
また、実施の形態4によれば、メモリセル領域間を分離する分離領域の高さをメモリセルの活性領域の高さよりも低くしてチャネル幅を長くするフィン構造を用いることにより、分離領域上に存在するメモリゲートを介して書込み動作(または消去動作)で発生したホットキャリアが隣接するメモリセルまで到達してメモリセルが誤動作する可能性がある。しかし、分離領域上のメモリゲートにエアギャップを設けることにより、誤動作を軽減することができる。
【0129】
従って、メモリセルのスケーリングによるメモリセルの信頼性は損なわれがたく、特に車載用など半導体装置が高温下にさらされる場合にも信頼性は劣化しずらくなる。
【0130】
また、製品チップサイズのスケーリングにより一ウェハ辺りの製品取得数を向上することができる。そして、それにより低コスト化を達成できる。
【0131】
<実施の形態5>
図44は実施の形態5に係わる半導体装置のメモリセルアレイの平面図である。
図45は
図44におけるA−A’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図、
図46は
図44におけるB−B’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図、
図47は
図44におけるC−C’線に沿ったメモリセルアの一部断面図、
図48は
図44におけるD−D’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
【0132】
実施の形態5は実施の形態1と同様なメモリセルアレイであり、
図44、
図45は実施の形態1の
図1、
図2と実質同一のため、これらの説明は、ここでは省略する。ただし、実施の形態1とは異なる符号MG1−5,MG2−5,MG3−5,MG4−5、SG1−5,SG2−5,SG3−5,SG4−5,505,508,509,511で示す部分が実施の形態1とは異なる。しかし、メモリゲートMG1−5,MG2−5,MG3−5,MG4−5は、
図27の平面図、
図28の断面図においては、それぞれ実施の形態1のメモリゲートMG1,MG2、MG3,MG4と同一の形状である。また、選択ゲートSG1−5,SG2−5,SG3−5は、
図27の平面図、
図28の断面図においては、それぞれ実施の形態1の選択ゲートSG1,SG2、SG3,SG4と同一の形状である。また、絶縁膜505,508,509,511は、
図28の断面図においては、それぞれ実施の形態1の絶縁膜105,108,109,111と同じ形状である。
【0133】
実施の形態5が実施の形態1と異なるのは
図46、
図47、
図48であり、これら各断面図において、実施の形態1とは異なる符号で示す部分が実施の形態1とは異なる箇所である。すなわち、符号504のシリコン酸化膜、符号DIR5の分離領域、符号505の選択ゲート下のシリコン酸化膜、符号508のメモリゲート下のシリコン酸化膜、符号509の電荷蓄積膜、符号511のシリコン酸化膜である。これらの異なる点を次に説明する。
【0134】
(1)分離領域DIR5
この中で実施の形態5と実施の形態1との大きな違いの一つはメモリセル間分離の分離領域DIR5である。実施の形態1では分離領域DIRの上面UPは半導体基板100主面MSより低くなっているが、実施の形態5においては、
図46、
図47、
図48に記載するように、分離領域DIR5(シリコン酸化膜504)の上面UPは半導体基板100主面MSより高くなっている。
【0135】
(2)電荷蓄積膜509
実施の形態5と実施の形態1との大きな違いの二つめはメモリゲート下に位置して半導体基板100の一主面MS上から分離領域504の上面UP上に延びる電荷蓄積膜509である(
図47、
図48)。
【0136】
(3)シリコン酸化膜511
メモリゲートと電荷蓄積膜509間のシリコン酸化膜511も半導体基板100の一主面MS上から分離領域504の上面UP上に延びている(
図47、
図48)。
【0137】
(4)その他
メモリゲート下で電荷蓄積膜509の下に有るシリコン酸化膜508は分離領域DIR5間の半導体基板100の一主面MS上にはあるが分離領域DIR5の上面UP上には存在していない(
図47)。さらに、選択ゲートを構成するポリシリコン膜106下のシリコン酸化膜505は、半導体基板100の一主面MS上に存在するが、分離領域DIR5の上面UP上には存在していない(
図46)。
【0138】
図45にも符号505、508、509、511の記載が有るが、この
図45(A−A’断面)では実施の形態1の
図2の符号105、108、109、111と同一の断面形状となる。すなわち、実施の形態5においては、これら符号505、508、509、511で示される箇所は、切断面A−A’(
図45)においては、実施の形態1と同一断面形状だが、切断面B−B’(
図46)、切断面C−C’(
図47)においては実施の形態1とは異なる断面形状となる。
【0139】
実施の形態5に記述したメモリセルの読出し、消去、書込み動作方式は実施の形態1と同様であるためその説明は省略する。
【0140】
また、製造方法についても実施の形態1の製造工程P−1〜P−6と概ね同様であるが次のように工程の一部を変更することにより達成できる。すなわち、実施の形態1で記載した工程P−3の一部である
図19の工程において、分離領域となるシリコン酸化膜の除去量を調整してシリコン酸化膜の上面UPがシリコン基板100の主面MSより高くなるようにウェットエッチングを行う。それにより、上面UPがシリコン基板100の主面MSより高い分離領域となるシリコン酸化膜504を形成する。実施の形態1の工程P−4(
図22、
図23、
図24に示す工程)において、シリコン酸化膜110を形成せずに、シリコン酸化膜108、シリコン窒化膜109、シリコン酸化膜111を形成する。その後は実施の形態1と同様の製造工程を行う。
【0141】
実施の形態5によれば、メモリセルの素子分離領域DIR5のシリコン酸化膜(STI酸化膜)504の上面UPの高さがシリコン基板100の主面MSより高くなっており、かつ電荷蓄積膜509が上面UP上にメモリゲートの延びる方向に沿って延びている。従って、隣接セルまでのシリコン窒化膜509の長さを分離領域の幅よりも長くすることができる。それにより、隣接セル間での注入電荷の拡散による劣化を軽減することができる。
【0142】
なお、分離領域DIR5上のシリコン窒化膜509を除去することによっても、隣接セル間への注入電荷の拡散を防ぐことができると考えられる。しかし、少なくともシリコン膣化膜509を除去する工程が不要であり、実施の形態5の方が製造工程を簡略化することができる。
【0143】
<実施の形態6>
図49は実施の形態6に係わる半導体装置のメモリセルアレイの平面図である。
図50は
図49におけるA−A’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図51は
図49におけるB−B’線に沿ったメモリセルアの一部断面図である。
図52は
図49におけるC−C’線に沿ったメモリセルアの一部断面図である。
図53は
図49におけるD−D’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
【0144】
実施の形態6のメモリセルアレイは、
図49に記載するように、選択(制御)ゲートを挟んでサイドウォール形状のポリシリコン膜が2つ存在した構造となっている。このうち一方は実施の形態1と同様にメモリゲートとして作用し、メモリゲート下に形成されている電荷蓄積膜であるシリコン窒化膜中に電荷を注入・放出することによりメモリセルのデータとして用いる。他方のサイドウォールゲートは、ゲート下に拡散層が形成されており、メモリ動作に作用することはない。またこのサイドウォールゲートは電気的に回路などと接続されてはおらずフローティング状態のダミーゲートとなっている。このように、選択ゲートSG両側にサイドウォール形状のポリシリコン膜を有するメモリセル構成となっている。
【0145】
実施の形態6は、ダミーゲート及びダミーゲートに隣接する絶縁膜を除けば、実施の形態1と同じである。
図49〜
図53における符号「6XX」、「6XX−X」は実施の形態1の符号「1XX」、「1XX−X」に対応し同じものである。例えば、実施の形態6の符号「615−1」は実施の形態1の符号「115−1」に対応し同じものである。従って、ダミーゲート及びダミーゲートに隣接する絶縁膜を除いた実施の形態1と同じ部分の説明については、重複するので省略する。ただし、説明の関係上、実施の形態6の説明は実施の形態1の説明と重複している部分もある。
図49に示すように、メモリゲートMG1と、選択ゲートSG1とダミーゲートDG1とで第1のゲート群GG1を構成し、メモリゲートMG2と選択ゲートSG2とダミーゲートDG2とで第2のゲート群GG2を構成し、それぞれ同一の方向(第一方向)に延びている。又同様にメモリゲートMG3と選択ゲートSG3とダミーゲートDG3とで第3のゲート群GG3を構成し、メモリゲートMG4と選択ゲートSG4とダミーゲートDG4とで第4のゲート群GG4を構成し、これら第3、第4のゲート群GG3,GGG4も第1、第2のゲート群GG1,GG2と同様に第一方向に延びている。
【0146】
そして、これら複数のゲート群GG1,GG2,GG3,GG4を横切り(又は直交し)第一方向とは異なる他の方向(第二方向)及びゲート群の間で第一方向それぞれに延びる拡散領域613を有する。又、ドレイン領域613−Dは第1のゲート群GG1と第2のゲート群GG2の間および第3のゲート群GG3と第4のゲート群GG4の間それぞれに形成されかつ第1から第4のゲート群GG1,GG2,GG3,GG4と同様に第一方向に延びて第1ドレインライン613−D−1、第2ドレインライン613−D−2を構成している。
【0147】
次に、
図50は
図49のA−A’線に沿った断面構造を示す。
図50(A)は2つのメモリセルを横断した断面図である。同図(B)は(A)の部分拡大図である。 メモリゲートMG2と選択ゲートSG2とダミーゲートDG2とで構成する第2のゲート群GG2と、メモリゲートMG3と選択ゲートSG3とダミーゲートDG3とで構成する第3のゲート群GG3とがこの断面に示されている。そして、第2ゲート群GG2と第3ゲート群GG3の間の半導体基板600には拡散層で構成されるソース領域613−Sが形成されている。さらに、第2のゲート群GG2と第3のゲート群GG3を挟むようにこれらゲート群の外側の半導体基板600には拡散層で構成されるドレイン領域613−Dが形成されている。
【0148】
メモリゲートMG2、MG3と半導体基板600の一主面MSとの間に、積層構造のゲート絶縁膜GZが位置している。積層構造のゲート絶縁膜GZは、半導体基板600の一主面MS側から順に、絶縁膜608、電荷蓄積膜となる絶縁膜609、絶縁膜611とを有している。絶縁膜608はシリコン酸化膜、絶縁膜609はシリコン窒化膜、絶縁膜611はシリコン酸化膜でそれぞれ形成するのが好ましい。
【0149】
そして、積層構造のゲート絶縁膜GZはメモリゲートMG2と選択ゲートSG2との間および選択ゲートSG2とダミーゲートDG2との間にも存在する。さらに、メモリゲートMG3と選択ゲートSG3との間および選択ゲートSG3とダミーゲートDG3との間にも存在する。
【0150】
さらに、選択ゲートSG2、SG3と半導体基板600の一主面MSとの間にゲート絶縁膜605を有している。またポリシリコン膜606上には絶縁膜607を有している。絶縁膜605はシリコン酸化膜、絶縁膜607はシリコン窒化膜607でそれぞれ形成されている。
【0151】
そして、選択ゲートSG2、SG3はそれぞれ、積層ゲート絶縁膜GZを介してメモリゲートMG2、MG3と並んで配置されている。
【0152】
図51は
図49におけるB−B’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図51は2つのメモリセルを縦断するもので選択ゲートSG4に沿った断面である。実施の形態1と同じであるので、説明は省略する。
【0153】
図52は
図49におけるC−C’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図52も2つのメモリセルを縦断するものであるが、メモリゲートMG1に沿った断面である。同図からわかるように分離領域DIRの上面UPは半導体基板600の一主面MSとは異なる位置に存在している。すなわち一主面MSより下方に位置している。それにより、分離領域DIRの上面UPは半導体基板600の一主面MSからは窪んだ形となっている。
【0154】
積層構造のゲート絶縁膜GZは、分離領域DIRが形成されていない半導体基板の一主面MS上では絶縁膜608、電荷蓄積膜である絶縁膜609、絶縁膜611を有する。
【0155】
一方分離領域DIR上の積層構造のゲート絶縁膜GZは、絶縁膜608、電荷蓄積膜である絶縁膜609、絶縁膜611の他にさらに絶縁膜610を有している。絶縁膜610はシリコン酸化膜で形成されている。
【0156】
これにより、メモリゲート612とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜609との間に存在する絶縁膜は、実施の形態1と同様に分離領域DIR上と分離領域以外の半導体基板600上ではその膜厚に差がある。
【0157】
すなわち、分離領域DIR上では、絶縁膜610と絶縁膜611との合計厚さで有るのに対し、分離領域がない半導体基板100上では絶縁膜 611の厚さとなり、分離領域DIR上での膜厚が半導体基板100上でのそれよりも厚い膜厚となる。ここで、メモリゲートMG1とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜609との間に存在する絶縁膜において、分離領域がない半導体基板600上の絶縁膜を第1絶縁膜、分離領域DIR上の絶縁膜を第2絶縁膜ともいう。従って、絶縁膜610の存在により第2絶縁膜の厚さは第1絶縁膜の厚さよりも厚くなっている。言い換えると、第1絶縁膜の膜厚は第2絶縁膜の膜厚よりも小さくなっている。
【0158】
図53は
図49におけるD−D’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図53(A)は複数のメモリセル間の分離領域604に沿った断面である。同図(B)は(A)の部分拡大図である。
【0159】
同図からわかるようにドレイン(Drain)領域613−Dを有する半導体基板600の一主面MSの位置よりも窪んだ位置に分離領域DIRの上面UPが位置しており、分離領域DIR上に
図49に示すメモリゲートMG2、メモリゲートMG3、ダミーゲートDG2、DG3が存在している。
【0160】
さらに、メモリゲートMG2およびメモリゲートMG3それぞれに向い会う選択ゲートSG2および選択ゲートSG3が分離領域DIR上に位置している。
【0161】
そして、メモリゲートMG2、MG3の下には、積層構造のゲート絶縁膜GZ6を有している。分離領域DIR上の積層構造のゲート絶縁膜GZ6は、分離領域DIR側から順に、電荷蓄積膜となる絶縁膜609、絶縁膜610、絶縁膜611を有している。
【0162】
さらに、積層構造のゲート絶縁膜GZは、メモリゲートMG2、MG3とそれぞれと向かい合う選択ゲートSG2、SG3との間まで延在している。
【0163】
実施の形態6に記述したメモリセルの読出し、消去、書込み動作方式は実施の形態1と同様である。
【0164】
製造方法についても実施の形態1の製造工程(
図16から
図26)と概ね同様である。すなわち、実施の形態1の
図16に示す工程P−1〜P−4の工程を行い、工程P−5において、ポリシリコン膜112を、サイドウォール加工をして選択ゲートの片側にメモリゲートを形成し、その後、選択ゲートの他の片側のポリシリコン膜112を除去しないで残すことによりダミーゲートDGを形成する。
【0165】
その後、工程P−6(
図26)の拡散層形成、コンタクト、配線形成工程を行う。ただし、除去しないサイドウォールゲート(ダミーゲート)下に拡散層を形成するため、拡散層イオン注入は斜め注入を行う。このような実施の形態6によれば、実施の形態1と同様な作用効果を奏する。
【0166】
<実施の形態7>
図54は実施の形態7に係わる半導体装置のメモリセルアレイの平面図である。
図55(A)は
図54におけるA−A’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図55(B)は同図(A)の部分拡大図である。
図56は
図54におけるB−B’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図、
図57は
図54におけるC−C’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図58(A)は
図54におけるD−D’線に沿ったメモリセルアレイの一部断面図である。
図58(B)は同図(A)の部分拡大図である。
【0167】
実施の形態7は実施の形態1及び実施の形態6とはメモリセルが異なるだけであり、半導体装置の他の構成は実施の形態6と同様である。実施の形態7のメモリセルは、選択ゲート(制御ゲート)を挟んでサイドウォール形状のポリシリコン膜(メモリゲート)が2つが選択ゲートの両側に存在した構造となっている、いわゆるツインMONOS構造と呼ばれるメモリセルである。すなわち、
図54に記載するように、選択ゲート(制御ゲート)SG1,SG2,SG3,SG4のそれぞれその片側にメモリゲートMG1L、MG2L,MG3L,MG4Lを、選択ゲート(制御ゲート)SG1,SG2,SG3,SG4のそれぞれの他の片側にメモリゲートMG1R,MG2R,MG3R,MG4Rを有するものである。そして、これら各ゲートで一つのゲート群を構成している。実施の形態6のダミーゲートDG1,DG2,DG3,DG4がそれぞれ実施の形態7のメモリゲートMG1L,MG2R、MG3L,MG4Rに置き換えたものである。実施の形態6のメモリゲートMG1,MG2,MG3,MG4はそれぞれ実施の形態7のMG1R,MG2L,MG3R,MG4Lに対応し同じものである。
【0168】
図54〜
図58における符号「7XX」、「7XX−X」は実施の形態1の符号「1XX」、「1XX−X」及び実施の形態6の符号「6XX」、「6XX−X」に対応し同じものである。例えば、実施の形態7の符号「715−1」は実施の形態1の符号「115−1」及び実施の形態6の符号「615−1」に対応し同じものである。従って、実施の形態1又は実施の形態6と同じ部分の説明については、重複するので省略する。ただし、説明の関係上、実施の形態7の説明は実施の形態1又は実施の形態6の説明と重複している部分もある。
【0169】
図55に示すソース713−Sの形状が実施の形態1におけるソース113−S及び実施の形態6におけるソース613−Sの形状と異なっている。すなわち、ソース713−Sは選択ゲートSG2,SG3までは延びていない。また、メモリゲートMG2Rが選択ゲートSG2の右側に、メモリゲートMG3Lが選択ゲートSG3の左側に、位置している。これら以外は実施の形態6の
図50と同じであるので、説明は省略する。
図56は実施の形態6の
図51と同じであるので、説明は省略する。
図57の断面図は2つのメモリセルを縦断するものであり、メモリゲートMG1Rに沿った断面である。
【0170】
同図からわかるように分離領域DIRの上面UPは半導体基板700の一主面MSとは異なる位置に存在している。すなわち一主面MSより下方に位置している。それにより、分離領域DIRの上面UPは半導体基板700の一主面MSからは窪んだ形となっている。そして、半導体基板700上および分離領域DIR上にメモリゲートMG1Rとその下の積層構造のゲート絶縁膜GZが延在している。そして、メモリゲートMG1Rは分離領域DIRの上面UPに向かって選択的に凸形状となっている。
【0171】
このようなメモリゲート及びその下のゲート絶縁膜の構造は、実施の形態1及び実施の形態6と実質同様である。
【0172】
すなわち、積層構造のゲート絶縁膜GZは、分離領域が形成されていない半導体基板700の一主面MS上には絶縁膜708、電荷蓄積膜である絶縁膜709、絶縁膜711を有する。
【0173】
一方分離領域DIR上の積層構造のゲート絶縁膜GZは、絶縁膜708、電荷蓄積膜である絶縁膜709、絶縁膜711の他にさらに絶縁膜710を有している。
【0174】
これにより、メモリゲートMG1Rとその下の電荷蓄積膜である絶縁膜709との間に存在する絶縁膜は、分離領域DIR上と分離領域以外の半導体基板700上ではその膜厚に差がある。ここで、メモリゲートMG1Rとその下の電荷蓄積膜である絶縁膜709との間に存在する絶縁膜において、分離領域がない半導体基板700上の絶縁膜を第1絶縁膜、分離領域DIR上の絶縁膜を第2絶縁膜ともいう。従って、絶縁膜710の存在により第2絶縁膜の厚さは第1絶縁膜の厚さよりも厚くなっている。言い換えると、第1絶縁膜の膜厚は第2絶縁膜の膜厚よりも小さくなっている。
【0175】
このような実施の形態7に記述したメモリセルの読出し、消去、書込み動作方式は基本的には実施の形態1と同様であるが、2つのメモリゲートが存在するため下記に詳細を記載する。
【0176】
ただし、第1のメモリゲート(MGL)(符号MG1L,MG2L,MG3L,MG4Lのメモリゲート)側に電荷が注入される。つまり、第1のメモリゲート(MGL)側に対して、読出し、消去、書込みのメモリ動作を行うとする。第2のメモリゲート(MGR)は選択ゲート(SG)を挟んで第1のメモリゲート(MGL)と対向する。
【0177】
(1)読出し動作:
第1のメモリゲート(MGL)側の拡散層に0Vを印加し、第2のメモリゲート(MGR)側の拡散層に1.0V程度の正電位を印加する。選択ゲート(SG)には1.3V程度の正電位を加え、第2のメモリゲート(MGR)にはメモリセルの書込みしきい値よりも高い電圧を加えることで、第2のメモリゲート(MGR)下および選択ゲート(SG)下のチャネルをオン状態にする。
【0178】
ここで、書込み、消去状態により与えられる第1のメモリゲート(MGL)のしきい値差を判別できる適当なメモリゲート電位(すなわち、書込み状態のしきい値と消去状態のしきい値の中間電位)を与えることで、保持していた電荷情報を電流として読み出すことができる。
【0179】
(2)消去動作:
例えば、第1のメモリゲート(MGL)に−6Vの電圧を印加し、第2のメモリゲート(MGR)および選択ゲート(SG)に0Vの電圧を印加する。また、第1のメモリゲート(MGL)側の拡散層(Drain)には6Vおよび第2のメモリゲート(MGR)側の拡散層(Source)は1.3Vを印加する。ただし、第2のメモリゲート(MGR)側の拡散層(Source)は電気的にオープン状態としても良い。これにより半導体基板中でホールが発生し、電荷蓄積膜中に注入される。
【0180】
実際にメモリセルを消去する場合には、消去パルスを印加して電荷蓄積膜中にホールを注入することで消去を行い、その後、ベリファイ動作によりメモリセルが所望のしきい値に到達したか否かを検証する。所望のしきい値に到達していない場合には、再度消去パルスを印加するというシーケンスを繰返す。
【0181】
典型的な印加電圧は上記の通りである。ただし、ベリファイ後の消去条件は必ずしも1回目の条件と同じである必要はない。その場合の消去パルスの一例を
図59に示した。
【0182】
(3)書込み動作:
実施の形態7のメモリセルでは、実施の形態1のメモリセルと同様に、SSI注入方式でシリコン基板側から電子を注入することで書込み行う。シリコン基板側から電子を注入する方式として、例えば、第1のメモリゲート(MGL)に10Vの電圧を印加し、第2のメモリゲート(MGR)にはメモリセルの書込み状態のしきい値よりも高い電圧を印加する。また、選択ゲート(SG)に0.9Vの電圧を印加し、第1のメモリゲート(MGL)側のドレイン領域(Drain)に4.5Vの電圧を印加し、第2のメモリゲート(MGR)側のソース領域(Source)にドレイン領域(Drain)より低い電圧、例えば0.3Vの電圧を印加する。これにより、第1のメモリゲート(MGL)の選択ゲート(SG)側端部に集中的に電荷(電子)の注入が行なわれる。
【0183】
実際にメモリセルを書込む際には、ベリファイ動作によりメモリセルが所望のしきい値に到達したか否かを検証する。所望のしきい値に到達していない場合には、再度SSIパルスを印加するというシーケンスを繰返す。
【0184】
典型的な印加電圧は上記の通りである。ただし、ベリファイ後の消去と同様に書込み条件は必ずしも1回目の条件と同じである必要はない。その場合の一例を
図60に示した。
【0185】
製造方法についても実施の形態1の製造工程と概ね同様である。すなわち、
図16に示す工程P−1〜P−4の工程を行い、工程P−5において、ポリシリコン膜112を、サイドウォール加工をして選択ゲート(SG)の両側に第1のメモリゲート(MGL)及び第2のメモリゲート(MGR)を形成する。実施の形態1とは異なり、その後、第2のメモリゲート(MGR)のポリシリコン膜112及び絶縁膜108,109,111を除去しないで残す。すなわち、除去のためのリソグラフィーおよびドライエッチング工程等を施さないことにより第2のメモリゲート(MGR)を形成する。この工程P−5では、先に第2のメモリゲート(MGR)を形成し、その後第1のメモリゲート(MGL)を形成する工程としてもよい。また、実施の形態7では、ポリシリコン膜112はポリシリコン膜712と読み替えることができる。
その後、工程P−6(
図26)の拡散層形成、コンタクト、配線形成工程を行いメモリセルアレイを形成する。
【0186】
実施の形態7ではメモリゲート片側のサイドウォールゲートを除去する工程が不要であるので、実施の形態1よりも製造工程を簡略化することができる。
【0187】
前記したような実施の形態7によれば実施の形態1、実施の形態6と同様な作用効果も奏する。
【0188】
<実施の形態8>
図61は実施の形態8におけるメモリセルアレイの上面図である。
図62、
図63、
図64は、それぞれ
図61中のA−A’線、B−B’線、C−C’線に沿った断面図である。
【0189】
実施の形態1との違いは、メモリセル構成にある。実施の形態8に示すメモリセルはスプリットゲート型ではなく1つのトランジスタで構成されており、選択ゲートSGは有していない。いわゆるNROM(Nitrided Read Only Memory)と呼ばれるメモリセルである。また、ソース領域とドレイン領域の近傍のシリコン窒化膜中に局所的に電荷が蓄積し、2ビット/セルのデータ記憶をする、あるいはソースまたはドレイン領域の近傍にそれぞれ2ビットの情報を記録し、4ビット/セルのデータを記憶するミラービットメモリにも適用することができる。
【0190】
図61に実線で四角に囲む領域MCが一つのメモリセルである。メモリセルアレイはこのメモリセルMCが複数個行列状(マトリクス状)に並びかつそれらの間に隣接する分離領域を有している。メモリゲートMGN1とメモリゲートMGN2とメモリゲートMGN3とメモリゲートMGN4とがそれぞれ同一の方向(第一方向)に延びている。そして、これら複数のメモリゲートMGN1,MGN2,MGN3,MGN4を横切り(又は直交し)第一方向とは異なる他の方向(第二方向)及びメモリゲートの間で第一方向それぞれに延びる拡散領域813を有する。又、ドレイン領域813−DはメモリゲートMGN1とメモリゲートMGN2の間およびメモリゲートMGN3とメモリゲートMGN4の間それぞれに形成されかつメモリゲート群MGN1,MGN2,MGN3,MGN4と同様に第一方向に延びて第1ドレインライン813−D1、第2ドレインライン813−D2を構成している。
【0191】
次に、
図62(A)(B)にはメモリゲートMGN2とメモリゲートMGN3の断面がそれぞれ示されている。同図(B)は(A)の部分拡大図である。メモリゲートMGN2とメモリゲートMGN3の間の半導体基板800には拡散層で構成されるソース領域813−Sが形成されている。さらに、メモリゲートMGN2とメモリゲートMGN3を挟むようにこれらメモリゲートの外側の半導体基板800には拡散層で構成されるドレイン領域613−Dが形成されている。メモリゲートMGN2、MGN3と半導体基板800の一主面MSとの間に、積層構造のゲート絶縁膜GZが位置している。積層構造のゲート絶縁膜GZは、半導体基板800の一主面MS側から順に、絶縁膜808、電荷蓄積膜となる絶縁膜809、絶縁膜811とを有している。絶縁膜808はシリコン酸化膜、絶縁膜809はシリコン窒化膜、絶縁膜811はシリコン酸化膜でそれぞれ形成するのが好ましい。
【0192】
図63は2つのメモリセルを縦断するものであり、メモリゲートMGN4に沿った断面である。第1ソースライン815−1、第2ソースライン815−2とその下方に有るメモリゲートMG4との間の絶縁膜は図示せずに省いている。同図からわかるように分離領域DIRの上面UPは半導体基板800の一主面MSとは異なる位置に存在している。すなわち一主面MSより下方に位置している。それにより、分離領域DIRの上面UPは半導体基板800の一主面MSからは窪んだ形となっている。そして、半導体基板800上および分離領域DIR上にメモリゲートMGN4とその下の積層構造のゲート絶縁膜GZが延在している。そして、メモリゲートMGN4の一部は分離領域DIRの上面UPに向かって突出する形状(凸形状)となっている。このような
図63の断面図に示される、メモリゲート及びその下のゲート絶縁膜の構造は、前記した実施の形態1、実施の形態6及び実施の形態7と実質同様である。
【0193】
又、積層構造のゲート絶縁膜GZは、
図62に示すように、分離領域が形成されていない半導体基板800の一主面MS上には絶縁膜808、電荷蓄積膜である絶縁膜809、絶縁膜811を有する。
【0194】
一方分離領域DIR上の積層構造のゲート絶縁膜GZは、
図63、
図64に示すように、電荷蓄積膜である絶縁膜809、絶縁膜810、絶縁膜811を有しかつその順番に積層している。これにより、メモリゲートMGN4とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜809との間に存在する絶縁膜は、分離領域DIR上と分離領域以外の半導体基板800上ではその膜厚に差がある。それは、前記したように、分離領域DIR上では、絶縁膜810と絶縁膜811の積層膜であるのに対し、分離領域以外の半導体基板800上では絶縁膜811である(絶縁膜810を有しない)ためである。ここで、メモリゲートMGN4とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜809との間に存在する絶縁膜において、分離領域がない半導体基板800上の絶縁膜を第1絶縁膜、分離領域804上の絶縁膜を第2絶縁膜ともいう。従って、絶縁膜810の存在により第2絶縁膜の厚さは第1絶縁膜の厚さよりも厚くなっている。言い換えると、第1絶縁膜の膜厚は第2絶縁膜の膜厚よりも小さくなっている。この点に関しても実施の形態8は前記した実施の形態1、実施の形態6及び実施の形態7と実質同様である。
【0195】
実施の形態8に示すメモリセルの読出し・消去・書込み動作方式について記述する。
【0196】
(1)読出し動作:
読出し動作についてはソースに0Vを印加し、ドレインには1.0V程度を印加する。ここでメモリゲート(MG)には書込み、消去状態により与えられるメモリゲートのしきい値差を判別できる適当な電圧(すなわち、書込み状態のしきい値と消去状態のしきい値の中間電位)を印加することでメモリセルの情報を読出すことができる。また、ソース領域(またはドレイン領域)に局所的に注入される電荷量を制御して、片側の領域で2ビット以上の情報を記憶する場合においても、それぞれのメモリセルしきい値間の電圧をメモリゲートに印加することによりデータを読出すことが可能である。
【0197】
(2)消去動作:
消去動作は実施の形態1と同様にシリコン基板中でホールを発生させ、シリコン窒化膜に注入することで行う。各電極に印加する電圧の一例としてドレイン側に局所的に記憶されたデータを消去する場合には、ドレイン(Drain)に5.5V、ソース(Source)はフローティング状態とし、ゲート(MG)には−6Vを印加する。実際にメモリセルを消去する場合には、消去パルスを印加して電荷蓄積膜中にホールを注入することで消去を行い、その後、ベリファイ動作によりメモリセルが所望のしきい値に到達したか否かを検証する。所望のしきい値に到達していない場合には、再度消去パルスを印加するというシーケンスを繰返す。典型的な印加電圧は上記の通りである。ただし、ベリファイ後の消去条件は必ずしも1回目の条件と同じである必要はない。その場合の消去パルスの一例を
図65に示した。N=1は1回目の消去パルス印加を示し、N>1は2回目以降の消去パルス印加を示している。ここで、同図に示される「Well」とは、半導体基板800中のメモリトランジスタMTに基板電位を供給する領域である。
【0198】
(3)書込み動作:
典型的な書込み動作は、チャネルホットエレクトロン(CHE)注入方式である。この例では、メモリセルのソース(Source)に例えば0Vを印加し、ドレイン(Drain)には例えば4.5Vを供給し、ゲート(MG)には例えば9Vを供給する。このことでソースからドレインに電子を加速する水平方向の電界を発生させ、ドレイン領域付近で電子が十分強いエネルギーを得ると、垂直方向の電界によって、電子は絶縁膜808を通過し、電荷蓄積膜である絶縁膜809へと注入される。実際にメモリセルを書込む際には、ベリファイ動作によりメモリセルが所望のしきい値に到達したか否かを検証する。所望のしきい値に到達していない場合には、再度CHEパルスを印加するというシーケンスを繰返す。典型的な印加電圧は上記の通りである。ただし、ベリファイ後の消去と同様に書込み条件は必ずしも1回目の条件と同じである必要はない。その場合の一例を
図66に示した。N=1は1回目のCHEパルス印加を示し、N>1は2回目以降のCHEパルス印加を示している。
【0199】
実施の形態8によれば、実施の形態1と同様な作用効果を奏する。すなわち、
図63及び
図64に示すように、分離領域804上面UPは、半導体基板800の一主面MSより下方に位置しており、分離領域804の上面UPは半導体基板800の一主面MSからは窪んだ形となっている。そして、この窪みに向かってメモリゲートMGN4の一部及びその下の電荷蓄積膜809が突出する構造(いわゆるFin構造)となっている。従って、書込み時、上記窪み部に存在する電荷蓄積膜809の一部まで電荷は注入されメモリゲートのゲート幅(チャネル幅)が分離領域804上まで延びる。それによりメモリセルの活性領域を上記窪みがない場合よりも広げることができる。その結果、上記窪みがない場合よりも読出し電流を増大することができるのである。
【0200】
さらに、
図63に示すように、分離領域804上面UPに向かってメモリゲートMGN4の一部及びその下の電荷蓄積膜(シリコン窒化膜)809が突出するだけではなく、分離領域804上面UP上の電荷蓄積膜809とメモリゲートMGN4間の絶縁膜をシリコン酸化膜810とシリコン酸化膜811とで構成している。それにより半導体基板800の一主面MS上の電荷蓄積膜(シリコン窒化膜)809とメモリゲートMGN4間の絶縁膜(シリコン酸化膜)811よりも厚い構造と成っている。そのため、
図63に示すように分離領域804上での電荷蓄積膜809への電荷蓄積の領域(データ保持領域)を制限でき、シリコン窒化膜809の隣接セル間での電荷蓄積がされない領域(データ保持しない領域)の長さが長くなる。それによって、隣接セル間での電荷拡散は容易には行われず、データ保持特性が向上(劣化量が減少)する。
【0201】
また、セル辺り1ビット以上のデータを記憶する多値メモリにおいては、より高精度なメモリセルしきい値制御が要求されるため、本実施の形態を用いて好適である。
【0202】
実施の形態8の半導体装置によれば、メモリセルのスケーリングにより分離領域幅が狭まり、隣接するメモリセルとの距離が近づいたとしても、分離領域上の電荷蓄積膜の実効長を長くすることができるので、メモリセルの電荷蓄積膜に注入した電子またはホールが分離領域上の電荷蓄積膜を拡散することによる干渉し合いを軽減することができる。
【0203】
実施の形態8の半導体装置によれば、メモリセルのスケーリングにより平面視のゲート幅が狭まったとしても、実効チャネル幅(ゲート幅)を広くすることができるので、高速動作に対応した読出し電流を確保することができる。
【0204】
さらに、実施の形態8の半導体装置によれば、例えば車載用など外部環境が厳しい状況下においても高い品質、信頼性を確保することができる。
【0205】
また、製品チップサイズのスケーリングにより一ウェハ辺りの製品取得数を向上することができる。そして、それにより低コスト化を達成できる。
【0206】
次に
図67から
図77を用いて本実施の形態8に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図67は製造方法の概略を示すフローチャートであり、
図68から
図77はフローチャートに示す工程P−11から工程P−16の各プロセス工程における断面図となっている。なお、図中、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域に分けて記載しており、さらにメモリセルアレイ領域は
図61のA−A’、B−B’、C−C’線の各断面を記載している。周辺回路領域は周辺MOS形成領域を記載している。
【0207】
ここで、本実施の形態に関連するメモリセルの寸法に関して、B−B’線における断面でのメモリセルアレイ領域のメモリセルの活性領域の幅と素子分離領域DIRの幅は、それぞれ100nm、60nm程度である。
【0208】
(a)工程P−11
シリコンからなる半導体基板800を熱酸化することにより10nm程度のシリコン酸化膜801を形成する。その後、10nm程度のポリシリコン膜802、50nm程度のシリコン窒化膜803を順に堆積させる(メモリセル領域及び周辺MOS形成領域)。リソグラフィーとエッチング技術によりシリコン基板面より深さ150nm程度の素子分離領域(STI)用の溝を形成する。シリコン酸化膜804を堆積し、シリコン窒化膜803をストッパとしてCMP法により研磨し、溝及びその上部にシリコン酸化膜804を残す(
図68)。
【0209】
(b)工程P−12
シリコン窒化膜803とその下のポリシリコン膜802をウェットエッチングおよびドライエッチングにより除去し、シリコン酸化膜801をイオン注入のスルー膜としてメモリセルアレイ形成領域及び周辺MOS形成領域にp型およびn型ウエル(図示せず)を形成する(
図69)。
【0210】
(c)工程P−13
次に、ドライエッチングまたはウェットエッチングによりメモリセルアレイ形成領域及び周辺MOS形成領域のシリコン酸化膜801を除去する。さらに分離領域DIRのシリコン酸化膜804の一部も除去する。この時、例えばシリコン基板800面からの深さが50nm程度となるようにシリコン酸化膜804の一部を除去する。これにより半導体基板主面が新たに露出して一主面MSを構成する。又、分離領域DIRの酸化膜804の上面UPは半導体基板一主面MSからの深さが50nm程度であり、半導体基板一主面MSから窪んだ状態となる(
図70)。
【0211】
続いて、熱酸化法によって周辺MOSのゲート絶縁膜となる1.4nm程度のシリコン酸化膜805を形成し、周辺MOSのゲート電極となる80nm程度のポリシリコン膜806と20nm程度のシリコン窒化膜807を堆積する(
図71)。ここで、リソグラフィーとドライエッチング技術により、シリコン酸化膜805は複数水準の酸化膜厚を形成することも可能である。
【0212】
次にリソグラフィーとエッチング技術により周辺MOSのゲートを形成する(
図72)。
【0213】
(d)工程P−14
続いて、リソグラフィーとイオン注入技術により、メモリセルしきい値調整用のイオン注入を行う。次に、メモリセル領域及び周辺MOS形成領域に、熱酸化法により4nm程度のシリコン酸化膜(絶縁膜)808を形成した後、9nm程度の電荷蓄積膜となるシリコン窒化膜(電荷蓄積膜)809を堆積し、続けてシリコン酸化膜(絶縁膜)810を堆積する。このとき、シリコン酸化膜808とシリコン窒化膜809とシリコン酸化膜810の物理膜厚の合計が分離領域DIRの幅よりも大きくなるように、例えば20nm程度のシリコン酸化膜810を堆積することで、分離領域DIR上の窪みを絶縁膜で埋めることができる(
図73)。
【0214】
次にシリコン酸化膜810をウェットエッチングにより除去し、分離領域DIR上のシリコン窒化膜809上にのみ25nm程度のシリコン酸化膜810が残るようにする(
図74)。
【0215】
その後、メモリセル領域及び周辺MOS形成領域に、改めて7nm程度のシリコン酸化膜811を堆積する。このプロセスによりメモリセル領域の活性領域のシリコン窒化膜809上の酸化膜厚よりも素子分離領域DIRのシリコン窒化膜809上の酸化膜厚を厚膜化することができる(
図75)。
【0216】
(e)工程P−15
メモリゲートとなるポリシリコン膜812を、例えば80nm堆積し、リソグラフィーとドライエッチング技術によりメモリゲートを形成する(
図76)。
【0217】
(f)工程P−16
その後、p−MOS、n−MOS夫々の拡散層イオン注入を行い、拡散層813を形成する。その後、配線層間膜を堆積した後、メモリトランジスタ、周辺MOSトランジスタ、拡散層に導通をとるためのコンタクトホールを形成する。コンタクトホールに金属膜を堆積してコンタクト部814を形成する。続いて層間絶縁膜上に金属膜を堆積し、これをパターニングして配線815を形成する(
図77)。
【0218】
なお、分離領域上のシリコン膣化膜を除去することによっても、隣接セル間への注入電荷の拡散を防ぐことが考えられる。しかし、窪んだ非常に狭い分離領域上におけるシリコン窒化膜のうちメモリゲートのゲート絶縁膜を構成する部分のシリコン膣化膜(
図14のZに相当する部分)を残して、メモリゲートのゲート絶縁膜を構成しない部分のシリコン窒化膜(
図14のLに相当する部分)を除去することは困難である。分離領域上のシリコン窒化膜を残す方が、製造工程を簡略化することができる。
【0219】
<実施の形態9>
図78は実施の形態9におけるメモリセルアレイの平面図である。
図79、
図80、
図81、
図82は、それぞれ
図78で示すA−A’線、B−B’線、C−C’線、D−D’線に沿った断面図である。実施の形態9は実施の形態1と下記の点を除きほぼ同様なものである。
【0220】
実施の形態1と異なる点は、(1)選択ゲートがサイドウォールゲート構造である(実施の形態1ではメモリゲートがサイドウォールゲート構造)点、(2)素子分離領域がONO膜構造により素子分離されている点、(3)メモリゲート及び選択ゲートがFin構造になっていない点である。このうち(1)については、
図79及び
図82からもわかるように、メモリゲートの片側にサイドウォールゲート構造の選択ゲートが形成されているものである。また、(2)については
図80、
図81、
図82からもわかるように、半導体基板900内に設けられた溝920の中に、シリコン酸化膜904、シリコン窒化膜905及びシリコン酸化膜906がこの順番に積層された構造(いわゆるONO膜構造)を有する分離領域921となっている。さらに、(3)については、
図80及び
図81に示すように、分離領域921の窪み部に選択ゲート及びメモリゲートは突出していない。ここで、メモリゲートMG1−9とその下の電荷蓄積膜である絶縁膜905との間に存在する絶縁膜において、分離領域がない半導体基板900上の絶縁膜を第1絶縁膜、分離溝領域921上の絶縁膜を第2絶縁膜ともいう。従って、第2絶縁膜の厚さは第1絶縁膜の厚さよりも厚くなっている。言い換えると、第1絶縁膜の膜厚は第2絶縁膜の膜厚よりも小さくなっている。
【0221】
図80及び
図81の断面図に示される分離領域921の幅Wは約40nm程度であるのが好ましい。すなわち、実施の形態1に係る分離領域の幅よりも狭い。しかし、隣接セルまでのシリコン窒化膜長さを実施の形態1と同程度に長くすることができ、概ね90nm程度の長さは確保できるため、メモリセルの電荷蓄積膜に注入した電子またはホールが電荷蓄積膜を拡散して干渉し合うことによるメモリセルの信頼性の劣化を軽減することができる。すなわち、隣接セル間での電荷拡散は容易には行われず、データ保持特性が向上(劣化量が減少)する。
【0222】
次に
図83から
図89を用いて実施の形態9に係る半導体装置の製造方法について説明する。これにより、実施の形態1との違いがより明確になると思われる。
図83は製造方法の概略を示すフローチャートであり、
図84から
図89はフローチャートに示す工程P−21から工程P−25の各プロセス工程における断面図となっている。なお、図中、メモリセル形成領域と周辺回路形成領域に分けて記載しており、さらにメモリセル形成領域は
図78のA−A’、B−B’、C−C’、D−D’線の各断面に沿って記載している。周辺回路形成領域は周辺MOSトランジスタ形成領域を記載している。
【0223】
(a)工程P−21
シリコンから成る半導体基板900を用意し、半導体基板900を熱酸化することによりメモリセル形成領域及び周辺MOSトランジスタ形成領域に10nm程度のシリコン酸化膜901及びその上に10nm程度のポリシリコン膜(図示せず)を半導体基板900の主面に形成する。その後50nm程度のシリコン窒化膜をポリシリコン膜上に堆積させる(図示せず)。そして、リソグラフィーとエッチング技術により半導体基板900の主面を深さ150nm程度選択的にエッチングして素子分離用の溝920を形成する。シリコン窒化膜及び溝920内にシリコン酸化膜903を堆積し、このシリコン窒化膜をストッパとしてCMP法により研磨し、溝920及びその上部にシリコン酸化膜903を残す(
図84)。シリコン窒化膜とその下のポリシリコン膜をウェットエッチングおよびドライエッチングにより除去し、シリコン酸化膜901をイオン注入のスルー膜としてP型およびN型ウエル(図示せず)を形成する、この時シリコン酸化膜903はイオン注入のマスクとなる(
図84)。
【0224】
(b)工程P−22
ドライエッチングまたはウェットエッチングにより溝920内のシリコン酸化膜903を除去する(
図85)。
【0225】
(c)工程P−23
ドライエッチングまたはウェットエッチングによりメモリセル形成領域と周辺MOS形成領域のポリシリコン膜とその下のシリコン酸化膜901を除去する。続いて、熱酸化法によってメモリゲートのゲート酸化膜となる4nm程度のシリコン酸化膜904を半導体基板900の一主面MS及び溝920内に形成し、厚さ7nm程度の電荷蓄積膜となるシリコン窒化膜905及び10nm程度のシリコン酸化膜906をこの順番にシリコン酸化膜904上に堆積する。これにより溝920が絶縁膜で埋まる。すなわち、メモリセル形成領域にはメモリゲート下のゲート絶縁膜となる多層膜が形成され及び溝920部は分離領域921となる。そして、メモリゲートとなる厚さ80nm程度のポリシリコン膜(導体膜)907とその上に厚さ20nm程度のシリコン窒化膜908を堆積する(
図86)。
【0226】
次にリソグラフィーとエッチング技術によりポリシリコン膜907及びその下のシリコン酸化膜904、シリコン窒化膜905、シリコン酸化膜906を選択的に除去してポリシリコン膜907から成るメモリゲートをメモリセル形成領域に形成する。この時、周辺MOS形成領域のポリシリコン膜907及びその下のシリコン酸化膜904、シリコン窒化膜905、シリコン酸化膜906も除去する(
図87)。
【0227】
そして、リソグラフィーとイオン注入技術により、メモリセルしきい値調整用のイオン注入を行う(図示せず)。
【0228】
(d)工程P−24
次に、メモリゲート側壁に、後にメモリゲートと選択ゲートを電気的に分離する25nm程度のシリコン酸化膜からなる側壁膜(サイドウォール)909を形成し、熱酸化法により厚さ4nm程度のシリコン酸化膜910をメモリセル形成領域及び周辺MOSトランジスタ形成領域に形成した後、選択ゲート及び周辺MOSトランジスタのゲート電極となるポリシリコン膜911を、例えば40nm堆積する。ここで、リソグラフィーとエッチング技術により、例えば周辺MOS領域のシリコン酸化膜904は複数水準の酸化膜厚として形成してもよい。
【0229】
そして、メモリセル形成領域のポリシリコン膜911をエッチバックすることによりサイドウォール形状の選択ゲートを形成する。このときサイドウォール電極がメモリゲートを挟んで両側に形成されるが、リソグラフィーとエッチング技術によりメモリゲート片側の不要なサイドウォールゲートを除去し、片側にのみ形成する(
図88)。
【0230】
又、周辺MOSトランジスタ形成領域のポリシリコン膜911はリソグラフィーとエッチング技術により所定形状のゲート電極に形成する(
図88)。
【0231】
(e)工程P−25
その後、p−MOS、n−MOS夫々の拡散層イオン注入を行い、拡散層113を形成する。このとき選択トランジスタのゲート電極および拡散層を、低抵抗化のためにシリサイド化しても良い。その後、配線層間膜を堆積した後、メモリトランジスタ、選択トランジスタ、周辺MOSトランジスタ、拡散層に導通をとるためのコンタクトホールを形成する。コンタクトホールに金属膜を堆積してコンタクト部114を形成する。続いて層間絶縁膜上に金属膜を堆積し、これをパターニングして配線115を形成する(
図89)。
【0232】
このような実施の形態9によれば、実施の形態2と同様な作用効果を奏する。すなわち、実施の形態9のメモリゲートは、Fin構造になっていないので、読み出し電流は実施の形態1よりも小さくなる。しかし、分離領域上における電荷が注入されない電荷蓄積膜の長さは実施の形態1よりも長くすることができる。従って、実施の形態9は実施の形態1よりも高速読み出しが要求されない場合に好適である。
実施の形態9の半導体装置によれば、メモリセルのスケーリングにより分離領域幅が狭まり、隣接するメモリセルとの距離が近づいたとしても、分離領域上の電荷蓄積膜の実効長を実施の形態1よりも長くすることができるので、メモリセルの電荷蓄積膜に注入した電子またはホールが分離領域上の電荷蓄積膜を拡散することによる干渉し合いを実施の形態1よりも軽減することができる。言い換えると、分離領域上における電荷が注入されない電荷蓄積膜の長さを実施の形態1と同じにすると、分離領域の幅を実施の形態1よりも狭くすることができる。
【0233】
さらに、例えば車載用など外部環境が厳しい状況下においても高い品質、信頼性を確保することができる。
【0234】
また、製品チップサイズのスケーリングにより一ウェハ辺りの製品取得数を向上することができる。そして、それにより低コスト化を達成できる。
【0235】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。