【実施例】
【0025】
<スチレン系樹脂組成物および該組成物成形品の作製>
(1)原材料
スチレン系樹脂1:GPPS(商品名:HRM26;東洋スチレン社製)
スチレン系樹脂2:HIPS(商品名:E640N;東洋スチレン社製)
スチレン系樹脂3:ABS(商品名:スタイラックA3941;旭化成社製)
A1:1,2−ブタジエン(商品名:RB810;JSR社製)
B1:SBS(商品名:タフプレン315;旭化成ケミカルズ社製)
B2:SEBS(商品名:DYNARON8601P;JSR社製)
B3:SIS(商品名:TR2001;JSR社製)
C1:アルキルスルホン酸ナトリウム(商品名:アンステックスHT−100;東邦化学工業社製)
【0026】
(2)スチレン系樹脂組成物の配合
上記原材料を用いて作製したスチレン系樹脂の配合組成を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
(3)スチレン系樹脂組成物および該組成物成形品の作製
表1に記載の原材料の15倍量を二軸押出機(型式KZW15TW−45MG−NH;テクノベル社製)を用いて、バレル温度200〜240℃、ヘッド温度230℃、スクリュー回転数300rpm、押出量3kg/hrの条件で溶融混練してスチレン系樹脂組成物(実施例品1〜10、比較例品1〜8)を得た。次いで、ストランド状に押し出されたスチレン系樹脂組成物をペレタイザーにてカットし円柱状(直径3mm、長さ3mm)のペレットに造粒し、このペレットをプレス成形機(型式:AYSR−5;神藤金属工業所社製)を用いて温度240℃の条件で、3MPaで30秒、5MPaで30秒、10MPaで120秒プレス後、5Mpaの圧力をかけながら水冷し、厚さ0.5mmのシート状スチレン系樹脂組成物成形品(試作品1〜18)を得た。
【0029】
<帯電防止効果の評価1>
得られたシート状スチレン系樹脂組成物成形品(試作品1〜18)の帯電防止効果は、シート表面の表面固有電気抵抗率をシートを作製してから1日後、7日後、14日後、30日後、60日後に測定して評価した。表面固有電気抵抗値が、1.0×10
14以下であると帯電防止効果があるといえ、1.0×10
13以下であると非常に帯電防止効果があるといえる。表面固有電気抵抗率測定条件は下記の条件で行った。測定結果を表2に示す。
(表面固有電気抵抗値測定条件)
試験機械:超絶縁計 SM−8220(東亜DKK社製)
印加電圧:500V
印加時間:1分
温度 :25℃
湿度 :65%
【0030】
【表2】
結果より、試作品1〜10は、全てにおいて表面固有電気抵抗率が1.0×10
14以下であり、帯電防止効果を有し、特に試作品1〜6および試作品10は、全てにおいて1.0×10
13以下であり優れた帯電防止効果を有していた。また、前記帯電防止効果は、該樹脂組成物を成形した直後から経時的に帯電防止効果を有していた。 一方、試作品11〜16、18は、全てにおいて表面固有電気抵抗率が1.0×10
14より大きく、帯電防止効果を有していなかった。また、試作品17は成形してから30日後、60日後の表面固有電気抵抗率が1.0×10
14以下であり、帯電防止効果を有しているが、成形してから1日後、7日後、14日後の表面固有電気抵抗率が1.0×10
14より大きく、帯電防止効果を有していなかった。
【0031】
<スチレン系樹脂用マスターバッチを用いたスチレン系樹脂組成物および該組成物成形品の作製>
(1)スチレン系樹脂用マスターバッチの作製
原材料として、「<スチレン系樹脂組成物および該組成物成形品の作製>(1)原材料」に記載の原材料を用いてマスターバッチを作製した。マスターバッチの配合組成を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
マスターバッチは、表3に記載の原材料の15倍量を二軸押出機(型式KZW15TW−45MG−NH;テクノベル社製)を用いてバレル温度200〜240℃、ヘッド温度230℃、スクリュー回転数500rpm、押出量2.5kg/hrの条件で溶融混練し、ストランド状に押し出されたスチレン系樹脂組成物をペレタイザーにてカットしてペレット状のスチレン系樹脂用マスターバッチを得た。
【0034】
(2)スチレン系樹脂用マスターバッチを用いたスチレン系樹脂組成物および該組成物成形品の作製
原材料として「<スチレン系樹脂組成物および該組成物成形品の作製>(1)原材料」に記載の原材料と得られたマスターバッチを用いてスチレン系樹脂組成物および該組成物成形品を作製した。スチレン系樹脂組成物の配合組成を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】
マスターバッチを用いたスチレン系樹脂組成物は、表4に記載の原材料の15倍量を用い、「<スチレン系樹脂組成物および該組成物成形品の作製>(3)スチレン系樹脂組成物および該組成物成形品の作製」と同じ方法でスチレン系樹脂組成物(実施例品11、12)およびシート状スチレン系樹脂組成物成形品(試作品19、20)を得た。
ここで、スチレン系樹脂組成物に含まれる成分Aと成分Cの量は、実施例11と実施例1が同量であり、実施例12と実施例5が同量である。
【0037】
<帯電防止効果の評価2>
得られたシート状スチレン系樹脂組成物成形品(試作品19、20)の帯電防止効果は、「<帯電防止効果の評価1>」と同じ方法で評価した。測定結果を表5に示す。
スチレン系樹脂組成物に含まれる成分Aと成分Cの量が同等であるスチレン系樹脂組成物成形品(試作品1、5)の測定結果も表5に示す。
【0038】
【表5】
結果より、A成分とC成分を同量配合した試作品19と試作品1とでは、A成分とC成分をあらかじめ溶融混練して得たスチレン系樹脂用マスターバッチを用いた試作品19が試作品1より帯電防止効果に優れていた。 同様に、スチレン系樹脂用マスターバッチを用いた試作品20は、試作品5より帯電防止効果に優れていた。