特許第5951378号(P5951378)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951378
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】基板収納容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20160630BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20160630BHJP
   B65D 53/06 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
   B65D85/38 R
   B65D53/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-155824(P2012-155824)
(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公開番号】特開2014-17452(P2014-17452A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2014年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 亘
(72)【発明者】
【氏名】藤本 康大
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−184924(JP,A)
【文献】 特開2007−062804(JP,A)
【文献】 特開2000−055207(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3140555(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 53/06
B65D 85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を通して基板が収納される容器本体と、前記容器本体の前記開口を閉鎖する蓋体と、前記容器本体と前記蓋体との間に前記開口を囲んで配置される環状のシールガスケットと、を有する基板収納容器であって、
前記容器本体と前記蓋体のうちの一方に前記シールガスケットが嵌合される嵌合保持溝が形成されているとともに、前記容器本体と前記蓋体のうちの他方に前記シールガスケットが接触するシール形成面が形成され、
前記シールガスケットは、前記嵌合保持溝に挟持される基体と、前記基体から突出される延出片と、前記延出片から前記シール形成面側へ突出される第1シール片および第2シール片と、から構成され、
前記第1シール片は、シールガスケットの外側へ向かって延出され、前記第2シール片は、シールガスケットの内側へ向かって延出され、
前記第1シール片及び前記第2シール片のいずれか一方が前記シール形成面に接触するようになっている
ことを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記蓋体が閉鎖された前記容器本体の内部が大気圧あるいは負圧となった際に、前記第1シール片は前記シール形成面に接触し、
前記蓋体が閉鎖された前記容器本体の内部が陽圧となった際に、前記第2シール片は前記シール形成面に接触することを特徴とする請求項1に記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記第1シール片が前記シール形成面に接触している際には、前記第2シール片は前記シール形成面に非接触となり、
前記第2シール片が前記シール形成面に接触している際には、前記第1シール片は前記シール形成面に非接触となることを特徴とする請求項2に記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記シールガスケットの前記延出片は、その厚さが少なくとも前記基体の側において前記基体の厚さと同じ厚さを有し、
前記基体の厚さと同じ厚さを有する部分は前記延出片の長さの1/2以上の長さを有することを特徴とする請求項1に記載の基板収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板収納容器に係り、たとえば半導体ウェーハ等の基板を収納する基板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板収納容器として、少なくとも、開口を通して基板が収納される容器本体と、該容器本体の前記開口を閉鎖する蓋体と、前記容器本体と前記蓋体との間に前記開口を囲んで配置される環状のシールガスケットと、を有するものが知られている。
【0003】
シールガスケットは弾性変形可能な材料から構成され、容器本体に対して蓋体を閉鎖した場合、該シールガスケットによって容器本体の基板が収納される内部を密封閉鎖できるようになっている。
【0004】
シールガスケットの構成として、たとえば下記特許文献1に開示されているように、たとえば蓋体に形成された嵌合保持溝にシール部材のエンドレス部が嵌合され、このエンドレス部の該嵌合保持溝からはみ出した箇所から容器本体側であってエンドレス部の外側へほぼ真直ぐに延出する突片(シール片)を備えて構成されている。該突片は、容器本体に対して蓋体を閉鎖した場合、その先端部が容器本体のシール形成面に接触するようになっている。
【0005】
また、シールガスケットの他の構成として、たとえば下記特許文献2に開示されているように、特許文献1に開示されたものとほぼ同様の構成からなり、エンドレス部に形成される突片(シール片)が、容器本体側であってエンドレス部の外側へ湾曲を有して延出するように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-068364号公報
【特許文献2】特開2010-129765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1、2に開示されるシールガスケットは、容器本体内にパーティクル(微小粉等)が流入するのを防止することを主眼として構成されていたため、以下に示す不都合を有するものであった。
【0008】
すなわち、容器本体の内部圧力が増大し陽圧(大気圧以上の圧力)となった場合、前記シール片のたとえば容器本体と接触している先端部が該圧力によって変形し、これにより容器本体内の気体が外部に漏れ易くなってしまう不都合を有する。たとえば、容器本体内の空気を不活性ガスに置換しようとする場合に、容器本体の内部圧力が増大するが、これにより、不活性ガスが短時間で外部に漏洩してしまう場合がある。このため、該不活性ガスの供給によって容器本体内の酸素濃度あるいは水分量を所定の値まで低下させようとした場合に、比較的長い時間を要し、作業の効率化が図れなくなってしまう。
【0009】
この場合、気体の置換を不完全なままで運用し、作業時間の短縮を図ろうとした場合、収納基板であるたとえば半導体ウェーハが変質して製品の歩留まりが低下してしまう等の問題が生じることになる。
【0010】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の基板収納容器は、開口を通して基板が収納される容器本体と、前記容器本体の前記開口を閉鎖する蓋体と、前記容器本体と前記蓋体との間に前記開口を囲んで配置される環状のシールガスケットと、を有する基板収納容器であって、前記容器本体と前記蓋体のうちの一方に前記シールガスケットが嵌合される嵌合保持溝が形成されているとともに、前記容器本体と前記蓋体のうちの他方に前記シールガスケットが接触するシール形成面が形成され、 前記シールガスケットは、前記嵌合保持溝に挟持される基体と、前記基体から突出される延出片と、前記延出片から前記シール形成面側へ突出される第1シール片および第2シール片と、から構成され、前記第1シール片は、シールガスケットの外側へ向かって延出され、前記第2シール片は、シールガスケットの内側へ向かって延出され、前記第1シール片及び前記第2シール片のいずれか一方が前記シール形成面に接触するようになっていることを特徴とする。
(2)本発明の基板収納容器は、(1)の構成において、前記蓋体が閉鎖された前記容器本体の内部が大気圧あるいは負圧となった際に、前記第1シール片は前記シール形成面に接触し、前記蓋体が閉鎖された前記容器本体の内部が陽圧となった際に、前記第2シール片は前記シール形成面に接触することを特徴とする。
(3)本発明の基板収納容器は、(1)の構成において、前記シールガスケットの前記延出片は、その厚さが少なくとも前記基板の側において前記基体の厚さと同じ厚さを有し、前記基体の厚さと同じ厚さを有する部分は前記延出片の長さの1/2以上の長さを有することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明は、シールガスケットに設けられる突片(第1シール材)の他に別個の突片(第2シール材)を設けるようにし、容器本体の内部が陽圧となった際に、前記第2シール片によって容器本体内の気体が外部に漏れるのを回避させるように構成したものである。このようにした場合、たとえば、容器本体内の空気を不活性ガスに置換しようとする際に、容器本体の内部圧力が増大しても、第2シール片によって、不活性ガスが外部に漏洩することがなくなる。このため、該不活性ガスの供給によって容器本体内の酸素濃度あるいは水分量を所定の値まで低下させる場合、その作業を短時間で行うことができ、作業の効率化を図ることができるようになる。
【0012】
なお、シールガスケットの第1シール材は、容器本体の内部が大気圧あるいは負圧となった際に、容器本体の外部の気体が容器本体内に侵入するのを回避させるように構成している。
【0013】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の基板収納容器は、開口を通して基板が収納される容器本体と、前記容器本体の前記開口を閉鎖する蓋体と、前記容器本体と前記蓋体との間に前記開口を囲んで配置される環状のシールガスケットと、を有する基板収納容器であって、前記容器本体と前記蓋体のうちの一方に前記シールガスケットが嵌合される嵌合保持溝が形成されているとともに、前記容器本体と前記蓋体のうちの他方に前記シールガスケットが接触するシール形成面が形成され、 前記シールガスケットは、前記嵌合保持溝に挟持される基体と、前記基体から突出される延出片と、前記延出片から前記シール形成面側へ突出される第1シール片および第2シール片と、から構成され、前記第1シール片は、シールガスケットの外側へ向かって延出され、前記第2シール片は、シールガスケットの内側へ向かって延出されていることを特徴とする。
(2)本発明の基板収納容器は、(1)の構成において、前記蓋体が閉鎖された前記容器本体の内部が大気圧あるいは負圧となった際に、前記第1シール片は前記シール形成面に接触し、前記蓋体が閉鎖された前記容器本体の内部が陽圧となった際に、前記第2シール片は前記シール形成面に接触することを特徴とする。
(3)本発明の基板収納容器は、(1)の構成において、前記シールガスケットの前記延出片は、その厚さが少なくとも前記基板の側において前記基体の厚さと同じ厚さを有し、前記基体の厚さと同じ厚さを有する部分は前記延出片の長さの1/2以上の長さを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した基板収納容器は、容器本体内が陽圧になっても、容器本体内の気体が外部に漏洩することを回避できるようになる。このため、容器本体内の気体を置換する場合において、作業の迅速化および効率化を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の基板収納容器の実施形態1を示す展開斜視図である。
図2】(a)は蓋体の容器本体側の面に形成されるシールガスケットを示し、(b)は(a)のb−b線における断面図を示している。
図3】本発明の基板収納容器の実施形態1の要部の構成であって容器本体内の気圧が大気圧あるいは負圧となっている状態の断面図である。
図4】本発明の基板収納容器の実施形態1の要部の構成であって容器本体内の気圧が陽圧となっている状態の断面図である。
図5】本発明の基板収納容器の実施態様2の要部を示す断面図である。
図6】実施態様1の構成において不都合が生じる場合を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施形態1)
図1は、本発明の基板収納容器の実施形態1を示す展開斜視図である。図1に示すように、基板収納容器1は、正面に開口部10Aを有する容器本体10と、この容器本体10の該開口部10Aを閉鎖する蓋体20と、リテーナ30と、を備えて構成されている。
【0017】
容器本体10は、相対する内壁10B、10Cにたとえば半導体ウェーハからなる基板11を一定間隔で水平に支持する一対の支持部12(一方の支持部は図示されていない)を備えている。また、容器本体10の側壁や点壁には搬送用のハンドル部品13が取り付けられ、底壁の外面には、装置の位置決めをするための、断面V溝状をした位置決め手段(図示せず)が複数設けられている。
【0018】
蓋体20は、その内部にラッチ機構21を配置させた構成となっている。ラッチ機構21は、蓋体20を容器本体10に閉鎖させるための係止機構として構成され、たとえば図中左右に2個設けられている。それぞれのラッチ機構21は、図示しないキーによって回転される回転プレート22と、この回転プレート22に連結されて図中上下方向にスライド可能な一対の動力伝達プレート23A、23Bと、これら動力伝達プレート23A、23Bの先端に連結される係止クランプ(図示せず)とからなっている。回転プレート22の周縁部には、一方の動力伝達プレート23Aに形成されたガイドピンを嵌合させるガイド溝24Aと、他方の動力伝達プレート23Bに形成されたガイドピンを嵌合させるガイド溝24Bが形成されている。ガイド溝24A、24Bは、蓋体20の容器本体10に対する閉鎖の際の回転プレート22の回転にともない、動力伝達プレート23A、23Bの各ガイドピンを外方に導くように半径が大きくなる弧状をなしている。これにより一対の各動力伝達プレート23A、23Bは回転プレート22と反対側の方向に移動し、該動力伝達プレート23A、23Bの先端に設けられた係止クランプが、容器本体10の開口部10Aの係止孔14に嵌入することにより蓋体20を容器本体10に対して閉鎖できるようになっている。
【0019】
また、蓋体20の容器本体10と向き合う内側の面の中央にはリテーナ30が取り付けられ、該リテーナ30は、基板11にそれぞれ接触して該基板11を保護する保持溝31を備えて構成されている。
【0020】
さらに、蓋体20の容器本体10と向き合う内側の面には、図2(a)に示すように、該蓋体20の周縁に沿って環状(エンドレス)のシールガスケット40が配置されている。
【0021】
図2(a)のb−b線における断面図である図2(b)に示すように、シールガスケット40は、エンドレスからなる基体40Aが蓋体20に形成された嵌合保持溝26に嵌合されることによって配置されている。嵌合保持溝26は、たとえば、蓋体20の外周部側から蓋体20の中央側に穿って形成され、該嵌合保持溝26の開口は蓋体20の外周部側に向くように構成されている。シールガスケット40の基体40Aの表面には、その長手方向に延在する凸部40Bが形成され、該凸部40Bの弾力によって嵌合保持溝26に対するシールガスケット40の気密性が確保されるようになっている。
【0022】
また、シールガスケット40は、その基体40Aから蓋体20の周縁側に突出される延出片41を備え、この延出片41の先端からは容器本体10側へ屈曲して延出する第1シール片42および第2シール片43が形成されている。この場合、延出片41は、基体40Aの容器本体10側の側面から基体40Aの厚さt0よりも小さい厚さt1で該基体40Aから延出するように形成されている。また、第1シール片42はシールガスケット40の外側へ若干湾曲するように延出され、第2シール片43はシールガスケット40の内側へ若干湾曲するように延出されるようにして形成されている。
【0023】
図3は、上述のシールガスケット40が嵌合された蓋体20を容器本体10に閉鎖させ、該容器本体10の開口部10Aを密閉した状態を示した図である。
【0024】
図3に示すように、容器本体10には、その開口部10Aの周辺に、シールガスケット40の第1シール片42および第2シール片43のいずれにも対向するようにしてシール形成面16が形成されている。
【0025】
この場合、容器本体10内の気圧は負圧(大気圧も可)となっており、基板収納容器1の外部の大気圧P1の作用によって、第1シール片42が容器本体10のシール形成面16に接触するように動作するようになっている。これにより、容器本体10内の気圧が負圧(大気圧も可)となっている状態において、シールガスケット40の第1シール片42が容器本体10のシール形成面16に接触していることから蓋体20の容器本体10に対する充分な密閉が図れるようになる。
【0026】
また、第2シール片43は、第1シール片42の上述した動きに応じて容器本体10のシール形成面16と非接触となるように動作するようになっている。ここで、第1シール片42がシール形成面16と接触している際に、第2シール片43は該シール形成面16と非接触となるようにしたのは、シール片と容器本体10のシール形成面16との接触が繰り返されていくことによって、シール片の劣化によりパーティクルが発生する懸念があるため、なるべく常時接触する箇所を少なくするためである。
【0027】
図4は、図3の状態から容器本体10内の圧力が増大し陽圧(大気圧以上の圧力)となった場合を示した図である。このような場合としては、たとえば、容器本体10内の空気を不活性ガスに置換する場合がある。
【0028】
図4に示すように、容器本体10内の圧力P2の作用によって、第2シール片43が容器本体10のシール形成面16に接触するように動作するようになっている。これにより、容器本体10内の圧力が増大し陽圧となっている状態において、シールガスケット40の第2シール片43が容器本体10のシール形成面16に接触していることから蓋体20の容器本体10に対する充分な密閉が図れるようになる。
【0029】
また、第1シール片42は、第2シール片43の上述した動きに応じて容器本体10のシール形成面16と非接触となるように動作するようになっている。すなわち、第2シール片43がシール形成面16と接触している際に、第1シール片42は該シール形成面16と非接触となるようになっており、このようにした理由は、上述したように、シール片と容器本体10のシール形成面16との接触が繰り返されていくことによって、シール片の劣化によりパーティクルが発生する懸念があるため、なるべく常時接触する箇所を少なくするためである。
【0030】
このように構成することによって、たとえば、容器本体10内の空気を不活性ガスに置換する場合において、容器本体10内の圧力P2が増大しても、従来見られたようにシールガスケット40の部分を通して不活性ガスが外部に漏洩してしまうのを回避でき、該不活性ガスの供給を効率よく行うことができるようになる。
(実施形態2)
実施形態1では、シールガスケット40の延出片41は、蓋体20の嵌合保持溝26に嵌合された基体40Aからt1の厚さで突出されるように構成したものである。
【0031】
しかし、これに限定されることはなく、図5(a)に示すように、シールガスケット40の延出片41は、その厚さが基体40Aの側において該基体40Aの厚さt0と同じ厚さを有し、この厚さt0を有する部分が延出片41の長さ(図中wで示す)の1/2(図中1/2wで示す)の長さを有するように構成するようにしてもよい。
【0032】
このように構成する理由は次の通りである。すなわち、図6は、実施形態1の構成(図1)と対応づけて示した図である。この場合、シールガスケット40の延出片41は基体40Aとの接続点Cを中心として大きなモーメントが作用し、たとえばシールガスケット40の材料等によっては、図6に示すように、延出片41は該接続点Cを中心として屈曲する場合があり、第1シール片42および第2シール片43は、いずれも、容器本体10のシール形成面16に接触しなくなってしまう不都合が生じる。
【0033】
そこで、図5(a)に示すように、シールガスケット40の延出片41において、基体40Aの厚さt0と同じ厚さを有する部分を設けることによって、実質上、該延出片41の長さを短くし、該延出片41に作用するモーメントを小さくするようにしている。このようにすることによって、該延出片41に形成された第1シール片42および第2シール片43のうちいずれか一方は、容器本体10のシール形成面16に信頼性よく接触するように構成することができる効果を奏する。
【0034】
そして、このような効果は、シールガスケット40の延出片41において厚さt0を有する部分が該延出片41の長さ(図5(a)中wで示す)の1/2(図5(a)中1/2wで示す)以上とするようにしても同様であり、さらに、図5(b)に示すように、シールガスケット40の延出片41の全域における厚さが基体40Aの厚さt0とするようにしてもよい。
【0035】
このことから、シールガスケット40の延出片41は、その厚さが少なくとも基体40Aの側において該基体40Aの厚さt0と同じ厚さを有し、基体40Aの厚さt0と同じ厚さを有する部分は該延出片41の長さの1/2以上の長さを有するようにしてもよい。
(実施形態3)
実施形態1、2では、蓋体20の側にシールガスケット40が嵌合され、容器本体10の側にシール形成面16が形成されたものとして説明したものである。しかし、これに限定されることはなく、容器本体10の側にシールガスケット40が嵌合され、蓋体20の側にシール形成面16が形成されたものとして構成するようにしてもよいことはもちろんである。
(実施形態4)
実施形態1〜3に示した基板収納容器1は、たとえば半導体ウェーハからなる基板11を収納するものを例に挙げて示したものである。しかし、これに限らず、液晶パネル等の他の基板を収納する基板収納容器であってもよいことはもちろんである。
【0036】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0037】
1……基板収納容器、10……容器本体、10A……開口部(容器本体の)、11……基板、12……支持部、13……ハンドル部品、14……係止孔、16……シール形成面、20……蓋体、21……ラッチ機構、22……回転プレート、23A、23B……動力伝達プレート、24A、24B……ガイド溝、26……嵌合保持溝、30……リテーナ、31……保持溝、40……シールガスケット、40A……基体、40B……凸部、41……延出片、42……第1シール片、43……第2シール片。
図1
図2
図3
図4
図5
図6