特許第5951381号(P5951381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951381
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】蒸発器構造
(51)【国際特許分類】
   F28F 27/02 20060101AFI20160630BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20160630BHJP
   F25B 5/04 20060101ALI20160630BHJP
   F25B 39/02 20060101ALI20160630BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   F28F27/02 B
   F25B1/00 101D
   F25B5/04 Z
   F25B39/02 U
   F28F9/02 301E
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-158942(P2012-158942)
(22)【出願日】2012年7月17日
(65)【公開番号】特開2014-20654(P2014-20654A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】丸山 智弘
(72)【発明者】
【氏名】川俣 達
(72)【発明者】
【氏名】上村 聡史
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−242406(JP,A)
【文献】 特開2004−333065(JP,A)
【文献】 特開2009−085569(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/083680(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 5/04
F25B 39/02
F28F 9/02
F28F 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1エバポレータと第2エバポレータとを並設して成るエバポレータ本体を備えると共に、
該エバポレータ本体が、その一側に少なくとも冷媒を供給可能な外部接続部を有し、他側に前記第1エバポレータと第2エバポレータとを連通可能な連通部を有し、更に、前記エバポレータ本体の一側から他側へ延びて、前記第1エバポレータをパイパス可能なバイパス流路を有し、
前記第1エバポレータと第2エバポレータとの少なくとも一方が、間隔を有して配置された一対のタンク部と、該一対のタンク部の間を連結する複数本の第1の伝熱チューブとを備えた蒸発器構造において、
前記バイパス流路が、前記外部接続部の側のタンク部に沿って配設されたバイパスチューブと、
前記第1エバポレータまたは前記第2エバポレータの前記連通部の近傍に位置する第1の伝熱チューブを、前記第1エバポレータまたは前記第2エバポレータの他の部分から区画して成る第2の伝熱チューブとによって構成されたことを特徴とする蒸発器構造。
【請求項2】
第1エバポレータまたは前記第2エバポレータの少なくとも一方が、タンク部の一部を構成する凸状開口部と第1の伝熱チューブの一部を構成する凹溝部とを有する積層プレートを複数枚積層固定することによって構成された積層型のものとされ、
前記第2の伝熱チューブが、前記積層プレートに対し、前記凸状開口部の代りに凸状閉口部を形成することによって前記第1エバポレータまたは前記第2エバポレータの他の部分から区画されたことを特徴とする請求項1記載の蒸発器構造。
【請求項3】
前記外部接続部と前記連通部とが、前記一対のタンク部のうちの、一方のタンク部の側と他方のタンク部の側とにそれぞれ分かれて配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の蒸発器構造。
【請求項4】
前記外部接続部と前記連通部とが、前記一対のタンク部のうちの、一方のタンク部の側に配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の蒸発器構造。
【請求項5】
前記第1の伝熱チューブと、前記第2の伝熱チューブとが、同一の断面形状を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の蒸発器構造。
【請求項6】
前記第2の伝熱チューブが、前記第1エバポレータと第2エバポレータとのうちの風下側に位置するエバポレータに設置されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の蒸発器構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸発器構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内の温度調節を行うための空気調和装置(以下、空調装置という)が設けられている。
【0003】
この空調装置は、冷媒を循環させるようにしたループ状の冷媒流路を備えており、この冷媒流路の途中には、圧縮機、凝縮器、減圧機構(膨張弁や減圧弁など)、蒸発器が順に備えられ、これらによって、冷媒サイクルが構成される。
【0004】
このうち、上記した蒸発器は、車室内に設置された空調ユニットの内部に設置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記した特許文献1の蒸発器は、第1エバポレータと第2エバポレータとを並設して成るエバポレータ本体を備えており、第1エバポレータの一側に冷媒入口を有すると共に、第1エバポレータの他側に設けられた冷媒出口から出た冷媒と、パイパス流路を流れる冷媒とを、第2エバポレータの一側に設けられた冷媒入口へ供給するようにしている。
【0006】
しかし、特許文献1の蒸発器は、第1エバポレータの冷媒出口と第2エバポレータの冷媒入口とが、エバポレータ本体の反対側に位置していたので、冷媒の経路が複雑になるという問題があった。
【0007】
これに対し、第1エバポレータの冷媒出口と第2エバポレータの冷媒入口とを、エバポレータ本体の同じ側に配置するようにしたものも存在している(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
そして、上記した特許文献2の蒸発器では、第1エバポレータの冷媒出口と第2エバポレータの冷媒入口との間を連通する連通路をエバポレータ本体の外側に設置されるサイドプレートの外面に設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−85569号公報
【特許文献2】特開2000−105093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した特許文献2の蒸発器では、第1エバポレータの冷媒出口と第2エバポレータの冷媒入口との間を連通する連通路をエバポレータ本体の最外側に設置されるサイドプレートの外面に設けるようにしていたので、連通路を流れる冷媒の冷熱が外部へ逃げてしまい、熱損失を生じるという問題があった。
【0011】
より具体的には、連通路を流れる冷媒が、蒸発器を通る空調用空気を冷却するのではなく、空調ユニットの本体(ケーシングなど)や、蒸発器の周囲に取付けられるシール部材などを冷却するのに無駄に使用されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、第1エバポレータと第2エバポレータとを並設して成るエバポレータ本体を備えると共に、該エバポレータ本体が、その一側に少なくとも冷媒を供給可能な外部接続部を有し、他側に前記第1エバポレータと第2エバポレータとを連通可能な連通部を有し、更に、前記エバポレータ本体の一側から他側へ延びて、前記第1エバポレータをパイパス可能なバイパス流路を有し、前記第1エバポレータと第2エバポレータとの少なくとも一方が、間隔を有して配置された一対のタンク部と、該一対のタンク部の間を連結する複数本の第1の伝熱チューブとを備えた蒸発器構造において、前記バイパス流路が、前記外部接続部の側のタンク部に沿って配設されたバイパスチューブと、前記第1エバポレータまたは前記第2エバポレータの前記連通部の近傍に位置する第1の伝熱チューブを、前記第1エバポレータまたは前記第2エバポレータの他の部分から区画して成る第2の伝熱チューブとによって構成されたことを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載された発明は、上記において、第1エバポレータまたは前記第2エバポレータの少なくとも一方が、タンク部の一部を構成する凸状開口部と第1の伝熱チューブの一部を構成する凹溝部とを有する積層プレートを複数枚積層固定することによって構成された積層型のものとされ、前記第2の伝熱チューブが、前記積層プレートに対し、前記凸状開口部の代りに凸状閉口部を形成することによって前記第1エバポレータまたは前記第2エバポレータの他の部分から区画されたことを特徴としている。
請求項3に記載された発明は、上記において、前記外部接続部と前記連通部とが、前記一対のタンク部のうちの、一方のタンク部の側と他方のタンク部の側とにそれぞれ分かれて配置されたことを特徴としている。
請求項4に記載された発明は、上記において、前記外部接続部と前記連通部とが、前記一対のタンク部のうちの、一方のタンク部の側に配置されたことを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載された発明は、上記において、前記第1の伝熱チューブと、前記第2の伝熱チューブとが、同一の断面形状を有することを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載された発明は、上記において、前記第2の伝熱チューブが、前記第1エバポレータと第2エバポレータとのうちの風下側に位置するエバポレータに設置されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、バイパス流路の後半の取回部を、第1エバポレータまたは第2エバポレータの内部に設けられた第2の伝熱チューブによって構成することにより、バイパス流路の後半の取回部をエバポレータ本体の外周に沿って配設する必要をなくすことができるので、その分、エバポレータ本体の構造を簡略化することができる。また、バイパス流路の後半の取回部を、エバポレータ本体の外周に沿って配設する必要がなくなるので、バイパス流路の取回部から冷熱が外部へ逃げ難くして、熱損失の発生を抑制することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、基本構造をほとんど変えることなく、第1エバポレータまたは第2エバポレータの内部に第2の伝熱チューブを容易に形成することが可能となる。
請求項3の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、外部接続部と連通部とが、一対のタンク部のうちの、一方のタンク部の側と他方のタンク部の側とにそれぞれ分かれて配置された構造を得ることができる。
請求項4の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、外部接続部と連通部とが、一対のタンク部のうちの、一方のタンク部の側に配置された構造を得ることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、第1の伝熱チューブと、第2の伝熱チューブとが、同一の断面形状を有することによって、第2の伝熱チューブのために専用に設計された流路を設定する必要をなくすことができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、第2の伝熱チューブが、第1エバポレータと第2エバポレータとのうちの風下側に位置するエバポレータに設置されたことによって、第2の伝熱チューブを流れる冷媒による冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】空調装置1の全体構成を示す系統図である。
図2】蒸発器の全体斜視図である。
図3図2の平面図である。
図4図2の側面図である。
図5図2とは反対側から見た蒸発器の斜視図である。
図6】積層型の蒸発器の部分拡大側断面図である。
図7】シール材の取付状況を示す蒸発器の全体斜視図である。
図8】本発明の実施例の一部破断した部分拡大斜視図である。
図9図8の変形例を示す一部破断した部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施の形態を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1図9は、この実施例およびその変形例を示すものである。
【実施例】
【0023】
<構成>以下、構成について説明する。
【0024】
自動車などの車両には、車室内の温度調節を行うための空気調和装置(以下、空調装置という)が設けられている。
【0025】
図1は空調装置1の全体構成を示す系統図であり、この空調装置1は、冷媒2(冷却媒体)を循環させるようにしたループ状の冷媒流路3を備えており、この冷媒流路3の途中には、圧縮機4、凝縮器5、膨張弁6、蒸発器7が順に備えられ、これらによって冷媒サイクルが構成される。
【0026】
ここで、上記した圧縮機4は、冷媒2を吸引して圧縮するコンプレッサである。
【0027】
上記した凝縮器5は、圧縮機4で圧縮された冷媒2が持つ熱を放熱して凝縮するコンデンサである。冷媒2の熱は、熱交換によって車両の前部から取入れられる外気8(走行風など)などへ放出される。
【0028】
凝縮器5には、凝縮器5で凝縮された冷媒2を気液分離する液体タンク5a(レシーバドライヤー)や、この液体タンク5aで液化された冷媒2を更に凝縮する補助凝縮器5b(サブコンデンサ)などが付設される。
【0029】
上記した膨張弁6は、凝縮器5で凝縮された冷媒2を減圧すると共に流量を調節して蒸発器7の出口温度を制御する減圧機構である(以下、膨張弁には減圧弁も含まれるのとする)。
【0030】
上記した蒸発器7は、膨張弁6などの減圧機構で減圧された冷媒2を蒸発させるエバポレータである。蒸発器7は、車室に設置された空調ユニット9の内部に配置されて、空調ユニット9内を流れる空調用空気10から蒸発潜熱を奪うことにより、空調用空気10を除湿すると共に冷却する。
【0031】
そして、図2図4は、上記した蒸発器7の具体的な構造を示すものである。
【0032】
蒸発器7は、第1エバポレータ11と第2エバポレータ12とを備えており、第1エバポレータ11と第2エバポレータ12とは、一体のエバポレータ本体13として構成され、それぞれが、ほぼ同様の構造を備えたものとされる。
【0033】
即ち、第1エバポレータ11および第2エバポレータ12は、それぞれ上下に隔ててほぼ平行に配設された筒状のアッパタンク11a,12aおよびロワタンク11b,12b(図4参照)と、ほぼ上下方向へ延びてこれらのアッパタンク11a,12aとロワタンク11b,12bとの間をそれぞれ連通する複数本の第1の伝熱チューブ11c,12c(図5参照)とを備えている。これにより、第1エバポレータ11および第2エバポレータ12は、面状または面格子状とされて、空調ユニット9内部の空気通路を覆うように設置することが可能となる。
【0034】
また、上記した複数本の第1の伝熱チューブ11c,12cは、それぞれ、間を空調用空気10が通過し得るように、(アッパタンク11a,12aおよびロワタンク11b,12bの軸線方向へ)互いに間隔を有してほぼ平行に配設されている。複数本の第1の伝熱チューブ11c,12cの間には、空調用空気10に対する熱交換効率を高めるための冷却フィン11d,12d(図5参照)が取付けられている。
【0035】
そして、図5は、蒸発器7の外部接続部14周辺が分かるように、図2とは反対側から見た蒸発器7の斜視図である。部分拡大斜視図である。なお、図2図4と、この図5とでは、バイパス流路16の位置が異なるものとされている。即ち、図2図4では、バイパス流路16が、アッパタンク11a,12a間の上部の位置に配置されているのに対し、図5では、バイパス流路16が、第1エバポレータ11のアッパタンク11aの外側部の位置に配置されている。これらは、どちらであっても良い。
【0036】
なお、バイパス流路16は、例えば、内部にオリフィスを有するチューブなどを用いたり、オリフィスと同じ効果を有するように小径化されたキャピラリーチューブを用いたり、これらを組合せたものを用いたりすることができる。
【0037】
そして、図6に示すように、アッパタンク11a,12aとロワタンク11b,12bとの内部を仕切部21によって任意の数(の千鳥状)に仕切ることにより、第1エバポレータ11および第2エバポレータ12の内部で、冷媒2が上下に折返しながら流れるようにする(複数パス化する)ことができる。これによって、空調用空気10に対する熱交換効率を向上し、或いは、調整することができる。
【0038】
更に、図6に示すように、このような蒸発器7には、アルミニウムなどの熱伝導率の高い金属板を、プレスによって、アッパタンク11a,12aの一部を構成する凸状開口部22(バーリング穴)と、ロワタンク11b,12bの一部を構成する凸状開口部(バーリング穴。特に図示せず)と、第1の伝熱チューブ11c,12cの一部を構成する凹溝部24とを互いに繋がるように形成して成る積層プレート25を、凹溝部24間に第1の伝熱チューブ11c,12cが形成されるように一対、背中合わせに組合せて単位モジュール26を構成し、この単位モジュール26を、アッパタンク11a,12aおよびロワタンク11b,12bの延設方向に対し複数枚積層固定することによって構成された積層型のものなどが存在する(積層型蒸発器)。
【0039】
この場合、積層プレート25は、第1エバポレータ11と第2エバポレータ12との一方または両方を形成するものとすることができる。この場合には、第1エバポレータ11と第2エバポレータ12との両方を同時に形成するものとしている。
【0040】
また、積層型の蒸発器7では、上記した仕切部21は、積層プレート25に対して、部分的に凸状開口部22を設けないようにする(凸状開口部22の代りに凸状閉口部27(エンボス部)とする)ことによって簡単に設けることができる。
【0041】
蒸発器7の外周部には、図7に示すように、ほぼ全周に亘ってシール部材28が取付けられる。
【0042】
そして、上記したように、第1エバポレータ11と第2エバポレータ12とを並設して成るエバポレータ本体13を備えると共に、エバポレータ本体13が、その一側に少なくとも冷媒2を供給可能な外部接続部14を有し、他側に第1エバポレータ11と第2エバポレータ12とを連通可能な連通部15を有し、更に、少なくともエバポレータ本体13の一側から他側へ延びて、第1エバポレータ11をパイパス可能なバイパス流路16を有し、第1エバポレータ11と第2エバポレータ12との少なくとも一方が、間隔を有して配置された一対のタンク部(アッパタンク11a,12aおよびロワタンク11b,12b)と、この一対のタンク部(アッパタンク11a,12aおよびロワタンク11b,12b)の間を連結する複数本の第1の伝熱チューブ11c,12cとを備えた蒸発器7に対して、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0043】
(構成1)
図6図8に示すように、バイパス流路16が、外部接続部14の側のタンク部(アッパタンク11a,12a)に沿って配設されたバイパスチューブ16aと、第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の連通部15の近傍に位置する第1の伝熱チューブ11c,12cを、第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の他の部分(第1の伝熱チューブ11c,12cなど)から区画して成る第2の伝熱チューブ31とによって構成されるようにする。
【0044】
(補足説明1)
ここで、第1の伝熱チューブ11c,12cは、それぞれ、第1エバポレータ11と第2エバポレータ12との内部構成物として、一方のタンク部(例えば、アッパタンク11a,12a)と他方のタンク部(例えば、ロワタンク11b,12b)との間を連結するように延びるものである。
【0045】
連通部15の近傍に位置する第1の伝熱チューブ11c,12cとは、第1エバポレータ11の最終段(またはその周辺数本)の伝熱チューブ11c、または、第2エバポレータ12の初段(またはその周辺数本)の伝熱チューブ12cのことである。この場合には、例えば、第1エバポレータ11の最終段の1本の伝熱チューブ11cを第2の伝熱チューブ31として用いるようにしている。
【0046】
第2の伝熱チューブ31は、第1エバポレータ11と第2エバポレータ12とのうちの、少なくとも一方または両方の伝熱チューブ11c,12cを使用することができる。この場合には、第1エバポレータ11の伝熱チューブ11cのみを第2の伝熱チューブ31として使用している。
【0047】
(構成2)
そして、上記した第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の少なくとも一方が、上記したように、タンク部(アッパタンク11a,12aまたはロワタンク11b,12b)の一部を構成する凸状開口部22と第1の伝熱チューブ11c,12cの一部を構成する凹溝部24とを有する積層プレート25を複数枚積層固定することによって構成された積層型のものとされる場合に(積層型蒸発器)、上記した第2の伝熱チューブ31が、積層プレート25に、凸状開口部22の代りに凸状閉口部27(図6参照)を形成することによって第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の他の部分(第1の伝熱チューブ11c,12c)から区画されたものとする。
【0048】
(補足説明2)
ここで、図8では、第1エバポレータ11のアッパタンク11aを、最終の伝熱チューブ11cが区画されるように仕切って、第2の伝熱チューブ31を設けるようにしているが、例えば、第2エバポレータ12のアッパタンク12aを、初段の伝熱チューブ12cが区画されるように仕切って、第2の伝熱チューブ31を設けるようにすることもできる。また、第1エバポレータ11のアッパタンク11aの最終の伝熱チューブ11cと、第2エバポレータ12のアッパタンク12aの初段の伝熱チューブ12cとの両方が、第2の伝熱チューブ31となるように区画しても良い。
【0049】
そして、図8の場合、バイパス流路16のバイパスチューブ16aと第2の伝熱チューブ31とを接続する中継部材16eは、第1エバポレータ11の他側の外側面(サイドプレートSP)よりも外側から回り込むように設置されている。なお、第2エバポレータ12の側に第2の伝熱チューブ31を設けた場合には、上記した中継部材16eは、外側面(サイドプレートSP)に沿って第2エバポレータ12まで延ばすようにする。
【0050】
或いは、図9に示すように、上記した中継部材16eを、外側面(サイドプレートSP)よりも内側から回り込むように設置しても良い。
【0051】
或いは、例えば、バイパス流路16のバイパスチューブ16aが、第1エバポレータ11または第2エバポレータ12のロワタンク11b,12bに沿って配設されているような場合には、第1エバポレータ11または第2エバポレータ12のロワタンク11b,12bを仕切って上記と同様に、第2の伝熱チューブ31を設けるようにすれば良い。
【0052】
(構成3)
外部接続部14と連通部15とが、上記した一対のタンク部(アッパタンク11a,12aおよびロワタンク11b,12b)のうちの、一方のタンク部(アッパタンク11a,12aまたはロワタンク11b,12b)の側と他方のタンク部の側(ロワタンク11b,12bまたはアッパタンク11a,12a)とにそれぞれ分かれて配置されるようにする。
【0053】
(補足説明3)
例えば、外部接続部14が、アッパタンク11a,12aの側、連通部15が、ロワタンク11b,12bの側に分かれて配置されるようにする。
【0054】
或いは、図示しないが、外部接続部14が、ロワタンク11b,12bの側、連通部15が、アッパタンク11a,12aの側に分かれて配置されるようにする。
【0055】
この場合、連通部15は、エバポレータ本体13の外側面(サイドプレートSP)よりも外側に設けても(図8参照)、エバポレータ本体13の外側面(サイドプレートSP)よりも内側に設けても良い。連通部15を、エバポレータ本体13の外側面(サイドプレートSP)よりも内側に設ける場合には、上記した積層プレート25に、タンク部間(アッパタンク11a,12a間、または、ロワタンク11b,12b間)を連通する連通路を形成するようにする。
【0056】
(構成4)
或いは、外部接続部14と連通部15とが、上記した一対のタンク部(アッパタンク11a,12aおよびロワタンク11b,12b)のうちの、一方のタンク部(アッパタンク11a,12aまたはロワタンク11b,12b)の側に配置されるようにする。
(補足説明4)
例えば、外部接続部14と連通部15とが、共にアッパタンク11a,12aの側に配置されるようにする。
【0057】
或いは、外部接続部14と連通部15とが、共にロワタンク11b,12bの側に配置されるようにする。
この場合には、第2の伝熱チューブ31がバイパス流路16とされているので、連通部15は、エバポレータ本体13の外側面(サイドプレートSP)よりも内側の第1の伝熱チューブ11c,12cと直接連通しているタンク部間(アッパタンク11a,12a間、または、ロワタンク11b,12b間)に設けるようにする。
そして、バイパス流路16が、他方のタンク部(ロワタンク11b,12bまたはアッパタンク11a,12a)の側で、連通部15よりも下流側または上流側の部分に接続されるようにする。
【0058】
(構成5)
そして、第1の伝熱チューブ11c,12cと、第2の伝熱チューブ31とが、同一の断面形状を有するようにする。
【0059】
(補足説明5)
この場合には、第1の伝熱チューブ11c,12cの一部を用いて第2の伝熱チューブ31を形成することにより、両者が同一の断面形状を有するものとされる。
【0060】
(構成6)
第2の伝熱チューブ31が、第1エバポレータ11と第2エバポレータ12とのうちの風下側に位置するエバポレータに設置されるようにする。
【0061】
(補足説明6)
この場合には、第2の伝熱チューブ31は、風下側となっている第1エバポレータ11の側に設置されている。
【0062】
なお、以上の各構成では、タンク部は、上下のタンク部(アッパタンク11a,12aまたはロワタンク11b,12b)としていたが、これ以外に、例えば、左右のタンク部としても良い。
【0063】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0064】
バイパス流路16では、冷媒2は、外部接続部14の側のタンク部(例えば、アッパタンク11a,12a)に沿って配設されたバイパスチューブ16aを通ってエバポレータ本体13の一側から他側へ流れると共に、第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の内部の第2の伝熱チューブ31を通って、外部接続部14が設けられたタンク部(アッパタンク11a,12a)の側(上側)から連通部15が設けられたタンク部(ロワタンク11b,12b)の側(下側)へと流されることになる。
【0065】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0066】
(作用効果1)
外部接続部14と連通部15とが、一対のタンク部(アッパタンク11a,12aおよびロワタンク11b,12b)のうちの一方のタンク部(例えば、アッパタンク11a,12a)の側と他方のタンク部(例えば、ロワタンク11b,12b)の側とにそれぞれ分かれて配置され、上記バイパス流路16が、外部接続部14の側のタンク部(アッパタンク11a,12a)に沿って配設されたバイパスチューブ16aと、第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の連通部15の近傍に位置する第1の伝熱チューブ11c,12cを、第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の他の部分から区画して成る第2の伝熱チューブ31とによって構成されたことにより、以下のような効果を得ることができる。
【0067】
即ち、バイパス流路16の後半の取回部16cを、第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の内部に設けられた第2の伝熱チューブ31によって構成することにより、バイパス流路16の後半の取回部16cをエバポレータ本体13の外周に沿って配設する必要をなくすことができるようになるので、その分、エバポレータ本体13の構造を簡略化することができる。
【0068】
また、バイパス流路16の後半の取回部16cを、エバポレータ本体13の外周に沿って配設する必要がなくなるので、バイパス流路16の取回部16cから冷熱が外部へ逃げ難くして、熱損失の発生を抑制することができる。
【0069】
より具体的には、バイパス流路16の取回部16cを流れる冷媒2の冷熱を、空調ユニット9や蒸発器7の周囲に取付けられたシール部材28などを無駄に冷却するのに使用するのではなく、空調用空気10の冷却に使うことができるようになる。
【0070】
(作用効果2)
第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の少なくとも一方が、タンク部(アッパタンク11a,12aまたはロワタンク11b,12b)の一部を構成する凸状開口部22と第1の伝熱チューブ11c,12cの一部を構成する凹溝部24とを有する積層プレート25を複数枚積層固定することによって構成された積層型のものとされ、第2の伝熱チューブ31が、積層プレート25に、凸状開口部22の代りに凸状閉口部27を形成することによって第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の他の部分から区画されたことにより、基本構造をほとんど変えることなく、第1エバポレータ11または第2エバポレータ12の内部に第2の伝熱チューブ31を容易に形成することが可能となる。
【0071】
(作用効果3)
外部接続部14と連通部15とが、上記した一対のタンク部(アッパタンク11a,12aまたはロワタンク11b,12b)のうちの、一方のタンク部(例えば、アッパタンク11a,12a)の側と他方のタンク部(例えば、ロワタンク11b,12b)の側とにそれぞれ分かれて配置された構造を得ることができる。
【0072】
(作用効果4)
外部接続部14と連通部15とが、上記した一対のタンク部(アッパタンク11a,12aまたはロワタンク11b,12b)のうちの、一方のタンク部(例えば、アッパタンク11a,12a)の側に配置された構造を得ることができる。
【0073】
(作用効果5)
第1の伝熱チューブ11c,12cと、第2の伝熱チューブ31とが、同一の断面形状を有することによって、第2の伝熱チューブ31のために専用に設計された流路を設定する必要をなくすことができる。
【0074】
(作用効果6)
第2の伝熱チューブ31が、第1エバポレータ11と第2エバポレータ12とのうちの風下側に位置するエバポレータに設置されたことによって、第2の伝熱チューブ31を流れる冷媒による冷却効率を高めることができる。
【0075】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【産業上の利用可能性】
【0076】
この発明にかかる蒸発器の構造は、車両用や住宅用やその他の用途に用いられる空調装置に対して広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
2 冷媒
7 蒸発器
11 第1エバポレータ
11a アッパタンク(タンク部)
11b ロワタンク(タンク部)
11c 第1の伝熱チューブ
12 第2エバポレータ
12a アッパタンク(タンク部)
12b ロワタンク(タンク部)
12c 第1の伝熱チューブ
13 エバポレータ本体
14 外部接続部
15 連通部
16 バイパス流路
16a バイパスチューブ
22 凸状開口部
24 凹溝部
25 積層プレート
27 凸状閉口部
31 第2の伝熱チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9