特許第5951383号(P5951383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5951383電磁波シールド性能評価用治具及びそれを用いた電磁波シールド性能評価装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951383
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】電磁波シールド性能評価用治具及びそれを用いた電磁波シールド性能評価装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20160630BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G01R29/08 Z
   H05K9/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-161217(P2012-161217)
(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公開番号】特開2014-20981(P2014-20981A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】樋尻 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 菜実
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−268716(JP,A)
【文献】 特開2010−015762(JP,A)
【文献】 米国特許第06118281(US,A)
【文献】 特開昭61−054467(JP,A)
【文献】 特開2011−106859(JP,A)
【文献】 特開2008−084800(JP,A)
【文献】 特開2012−052992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ケーブルと、この被測定ケーブルを支えるとともにこの被測定ケーブルの両端に接続されたコネクタと、このコネクタの一方に接続された終端抵抗とを具備しており、前記被測定ケーブルは、内部導体と、この内部導体を覆う絶縁物からなる誘導体と、この誘導体の両端を覆う外部導体と、この外部導体の一部を覆う絶縁物からなる保護皮膜とを有しており、被測定ケーブルに電磁波シールド資材を巻き付けると、電磁波シールド資材と前記外部導体とが接触することを特徴とする電磁波シールド性能評価用治具。
【請求項2】
前記被測定ケーブルは、同軸ケーブルから保護皮膜及び外部導体の一部を除去して構成されていることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド性能評価用治具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電磁波シールド性能評価用治具と、この電磁波シールド性能評価用治具の終端抵抗に接続されていない側のコネクタに接続される発信器と、この電磁波シールド性能評価用治具から発せられる電磁波を受信する受信アンテナと、この受信アンテナで受信された電磁波を分析する評価装置とを具備したことを特徴とする電磁波シールド性能評価装置。
【請求項4】
前記電磁波シールド性能評価用治具は、導電性のターンテーブルの上に載置されることを特徴とする請求項3記載の電磁波シールド性能評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに巻き付けて使用する電磁波シールド資材の電磁波シールド特性を評価する際に使用される電磁波シールド性能評価用治具と、これを用いた電磁波シールド性能評価装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁波シールド資材には、平面的なシート状のタイプやウレタンフォーム等の柔軟素材からなる芯材を導電性を有する布等で覆った立体的なガスケットタイプ等がある。
一般社団法人KEC関西電子工業振興センターのいわゆるKEC法は、シート状のタイプの電磁波シールド資材の電磁波シールド性能を評価するものである。
【0003】
また、KEC法では、シート状の電磁波シールド資材の電磁波シールド性能しか評価できず、立体的なガスケットタイプの電磁波シールド資材では、構成品である導電性を有する布等の電磁波シールド性能をシート状の状態で評価していた。
【0004】
本願出願人は、立体的なガスケットタイプの電磁波シールド資材の電磁波シールド性能を直接的に評価することができるように、特願2011−004296号『電磁波シールド性能評価方法』を出願した。
【0005】
【非特許文献1】社団法人関西電子工業振興センターのウエブサイト(http://www.kec.jp/emc/kec-method.html )
【特許文献1】特願2011−004296号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した評価方法であっても、ケーブルに取り付けて使用するタイプの電磁波シールド資材の電磁波シールド性能は直接的には測定できなかった。
このため、ケーブルに巻き付けて使用するタイプの電磁波シールド素材に使用されるシート状の電磁波シールド資材をKEC法で測定することで、電磁波シールド性能を評価していた。
ケーブルに取り付けて使用するタイプの電磁波シールド資材は、グランドのとり方によってその性能が大きく変化する。平面状態で電磁波シールド性能が高くても、取り付け方により、電磁波シールド資材が電気的に浮いている(接続されていない)状態であると、その電磁波シールド資材そのものがアンテナとなりノイズを放射してしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、ケーブルに巻き付けて使用される電磁波シールド資材の電磁波シールド性能をより正確に評価測定することができる電磁波シールド性能評価用治具と、それを用いた電磁波シールド性能評価装置を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電磁波シールド性能評価用治具は、被測定ケーブルと、この被測定ケーブルを支えるとともにこの被測定ケーブルの両端に接続されたコネクタと、このコネクタの一方に接続された終端抵抗とを備えており、前記被測定ケーブルは、内部導体と、この内部導体を覆う絶縁物からなる誘導体と、この誘導体の両端を覆う外部導体と、この外部導体の一部を覆う絶縁物からなる保護皮膜とを有しており、被測定ケーブルに電磁波シールド資材を巻き付けると、電磁波シールド資材と前記外部導体とが接触するようになっている。
【0009】
本発明に係る電磁波シールド性能評価装置は、前記電磁波シールド性能評価用治具と、この電磁波シールド性能評価用治具の終端抵抗に接続されていない側のコネクタに接続される発信器と、この電磁波シールド性能評価用治具から発せられる電磁波を受信する受信アンテナと、この受信アンテナで受信された電磁波を分析する評価装置とを有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電磁波シールド性能評価用治具は、被測定ケーブルに電磁波シールド資材を巻き付けることができるので、巻き付けた状態、すなわちより使用状態に近い状態での電磁波シールド資材の電磁波シールド性能を測定することができる。
また、この電磁波シールド性能評価用治具の被測定ケーブルには、同軸ケーブルの保護皮膜及び外部導体の一部を除去したものを使用しているので、構造的にも簡単で、コスト的にも有利である。
【0011】
また、本発明に係る電磁波シールド性能評価装置も電磁波シールド資材の電磁波シールド性能をより使用状態に近い状態で測定することができる。
また、電磁波シールド性能評価用治具は導電性のターンテーブルの上に載置されているので、電磁波シールド性能評価用治具を連続的に回転させることができる。このため、この電磁波シールド性能評価装置は、電磁波シールド資材の全周囲方向からのノイズを測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る電磁波シールド性能評価用治具の概略的説明図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電磁波シールド性能評価用治具を用いた電磁波シールド性能評価装置の概略図である。
図3】本発明の実施の形態に係る電磁波シールド性能評価装置の電磁波シールド性能評価用治具の被測定ケーブルに電磁波シールド資材を巻き付けない状態で受信アンテナを垂直にした場合のノイズの計測結果を示すスペクトル図である。
図4】本発明の実施の形態に係る電磁波シールド性能評価装置の電磁波シールド性能評価用治具の被測定ケーブルに電磁波シールド資材を巻き付けた状態で受信アンテナを垂直にした場合のノイズの計測結果を示すスペクトル図である。
図5】本発明の実施の形態に係る電磁波シールド性能評価装置の電磁波シールド性能評価用治具の被測定ケーブルに電磁波シールド資材を巻き付けない状態で受信アンテナを水平にした場合のノイズの計測結果を示すスペクトル図である。
図6】本発明の実施の形態に係る電磁波シールド性能評価装置の電磁波シールド性能評価用治具の被測定ケーブルに電磁波シールド資材を巻き付けた状態で受信アンテナを水平にした場合のノイズの計測結果を示すスペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る電磁波シールド性能評価用治具300は、被測定ケーブル340と、この被測定ケーブル340を支えるとともにこの被測定ケーブル340の両端に接続されたコネクタ350A、350Bと、このコネクタ350A、350Bのうちの一方に接続された終端抵抗800とを備えており、前記被測定ケーブル340は、内部導体341と、この内部導体341を覆う絶縁物からなる誘導体342と、この誘導体342の両端を覆う外部導体343と、この外部導体343の一部を覆う絶縁物からなる保護皮膜344とを有しており、被測定ケーブル340に電磁波シールド資材を巻き付けると、電磁波シールド資材と前記外部導体343とが接触するようになっている。
【0014】
前記被測定ケーブル340は、同軸ケーブルの保護皮膜344と外部導体343の一部を除去したものであって、両端にのみ保護皮膜344と外部導体343とが残置されている。従って、この被測定ケーブル340は、内部導体341を覆っている誘導体342が露出した状態になっている。さらに、外部導体343は保護皮膜344から露出した部分が存在する。
なお、この被測定ケーブル340の内部導体341を覆っている誘導体342は、例えば、ポリエチレン製である。
【0015】
このように構成された被測定ケーブル340は、基台310と、この基台310に対向して立設された一対の立設壁320と、この立設壁320に1つずつ支持されるコネクタ350A、350Bによって、立設壁320の間に掛け渡されている。なお、前記基台310、立設壁320、コネクタ350A、350Bは、導電性を有する金属、例えばステンレスから構成されている。
そして、この被測定ケーブル340の両端は、それぞれコネクタ350A、350Bと接続されている。また、前記内部導体341の一方は、コネクタ350Aを介して終端抵抗800と接続されている。
【0016】
このように構成された電磁波シールド性能評価用治具300は、木製の絶縁テーブル700に載置され、さらにこの絶縁テーブル700は、導電性のターンテーブル710の上に載置される。なお、ターンテーブル710の回転中心は、電磁波シールド性能評価用治具300の被測定ケーブル340の中心と一致している。
このターンテーブル710は、電磁波シールド性能評価用治具300を連続的に回転させることができるようになっている。
【0017】
このように構成された電磁波シールド性能評価用治具300の内部導体341の両端には同軸ケーブル用のコネクタ350A、350Bがそれぞれ接続されている。そして、電磁波シールド性能評価用治具300は、このコネクタ350B及びシールドケーブル400を介して発信器200が接続されている。
また、電磁波シールド性能評価用治具300の内部導体341の他端はコネクタ350Aを介して終端抵抗800に接続されている。
【0018】
このように発信器200に接続された電磁波シールド性能評価用治具300から発せられる電磁波は、受信アンテナ500によって受信される。なお、受信アンテナ500には減衰器510が設けられる。この減衰器510は、ノイズが反射しないようにするためのものである。
また、この受信アンテナ500はグランドに対して垂直な方向、水平な方向になるように位置を変更することができるようになっている。
【0019】
前記受信アンテナ500は、増幅器610を介して電磁波を分析する評価装置600に接続される。この評価装置600としては、スペクトラムアナライザーが使用される。
【0020】
なお、電磁波シールド性能評価装置1000を構成する発信器200、電磁波シールド性能評価用治具300、ターンテーブル710及び受信アンテナ500(減衰器510を含む)は電波暗室内に設置され、増幅器610及び評価装置600は電波暗室外に設置される。
なお、絶縁テーブル700及び発信器200はターンテーブル710に載置され、絶縁テーブル700の上には電磁波シールド性能評価用治具300及び終端抵抗800が載置されている。
また、電磁波シールド性能評価用治具300、これに取り付けられた電磁波シールド資材、コネクタ350A、350B、発信器200、ターンテーブル710は電気的にグランドされている。
【0021】
このように構成された電磁波シールド性能評価装置1000による電磁波シールド資材の電磁波シールド性能の評価は次のようにして行われる。
まず、評価すべき電磁波シールド資材を電磁波シールド性能評価用治具300の被測定ケーブル340に巻き付ける。その際、電磁波シールド資材を被測定ケーブル340の外部導体343に接触させる。できれば、電磁波シールド資材は、実使用状態と同等な状態で被測定ケーブル340に巻き付ける。
この状態でターンテーブル710を連続的に回転させる。そして、受信アンテナ500をグランドに対して垂直方向にした状態、水平方向にした状態でそれぞれのノイズを計測する。
【0022】
例えば、横糸として外径0.25mmのポリエステル糸を、縦糸として複数のフィラメント糸を縒ってできた束に銅箔糸を巻き付けた外径0.25mmの銅箔糸を編んだ長さ寸法420mm、外径寸法9mm、内径寸法5mmの電磁波シールド資材を被測定ケーブル340に巻き付けた場合には以下のような測定結果が得られた。
【0023】
受信アンテナ500をグランドに対して直交するようにセットした場合、すなわち受信アンテナ500を垂直にした場合、電磁波シールド資材を電磁波シールド性能評価用治具300の被測定ケーブル340に巻き付けない状態では図3に示すようなノイズが計測された。
一方、電磁波シールド性能評価用治具300の被測定ケーブル340に電磁波シールド資材を巻き付けた場合には、図4に示すようなノイズが計測された。
【0024】
受信アンテナ500をグランドに対して平行になるようにセットした場合、すなわち受信アンテナ500を水平にした場合、電磁波シールド資材を電磁波シールド性能評価用治具300の被測定ケーブル340に巻き付けない状態では図5に示すようなノイズが計測された。
一方、電磁波シールド性能評価用治具300の被測定ケーブル340に電磁波シールド資材を巻き付けた場合には、図6に示すようなノイズが計測された。
【0025】
図3図6から判明することは、電磁波シールド資材が巻き付けられていない場合と比較して、電磁波シールド資材を被測定ケーブル340に巻き付けた状態では、計測されるノイズがかなり低減することである。
受信アンテナ500がグランドに対して垂直になった場合には、ノイズの周波数が約300MHz〜約400MHz、約600MHz〜約700MHzの範囲に若干のノイズが計測されるがその他の部分はノイズがほとんど計測されないまでに低減する。
約300MHz〜約400MHz、約600MHz〜約700MHzの範囲であっても、電磁波シールド資材が巻き付けられていない状態からするとかなりの低減であることが判明する。
【0026】
また、受信アンテナ500がグランドに対して水平になった場合には、ノイズの周波数が約300MHz〜約400MHzの範囲に若干のノイズが計測されるがその他の部分はノイズがほとんど計測されないまでに低減する。
約300MHz〜約400MHzの範囲であっても、電磁波シールドスリーブ100がない状態からするとかなりの低減であることが判明する。
上述の実験結果からは、この電磁波シールドスリーブ100のノイズを遮蔽する電磁波シールド能力は高いことがわかる。
【0027】
このように、電磁波シールド性能評価用治具300を用いた電磁波シールド性能評価装置1000によると、実際に被測定ケーブル340に巻き付けた状態での電磁波シールド特性を測定することができるので、より使用状態に近い状態での測定が可能になった。
【符号の説明】
【0028】
300 電磁波シールド性能評価用治具
340 被測定ケーブル
341 内部導体
342 誘導体
343 外部導体
344 保護皮膜
350A コネクタ(終端抵抗と接続される)
350B コネクタ(発信器と接続される)
800 終端抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6