(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トラックフレームに走行装置横向きの揺動軸芯まわりに揺動自在に支持される支持体と、前記支持体に支持され、前記トラックフレームに対して前記揺動軸芯まわりに揺動自在な前後一対の接地転輪と、前記支持体に支持され、前記トラックフレームに対して前記揺動軸芯まわりに前後一対の前記接地転輪と一体揺動自在なクローラガイドと、を備え、
前記支持体に、前記トラックフレームに回動自在に連結される連結ボス部と、前記揺動軸芯に対して走行装置前後側に分かれて位置する箇所で前後一対の前記接地転輪を各別に回転自在に支持する前後一対の支持ボス部と、前記連結ボス部と前後一対の前記支持ボス部とを連結する支持体本体と、を備え、
前記クローラガイドに、クローラガイド本体と、前記クローラガイド本体から走行装置上方向きに突出して前記支持体本体に連結される連結部と、を備え、
前記連結部が前記支持体本体の走行装置横外側面に脱着自在に連結されており、
前後一対の前記支持ボス部の外周面の夫々に、前記クローラガイド本体の前後方向の端部を脱着自在に連結可能な連結座部を設けてあるクローラ走行装置。
前記支持体本体のうちの前記連結部が連結される部位を、前記接地転輪の走行装置横方向での中心に対して走行装置横内側に偏倚させてある請求項1に記載のクローラ走行装置。
前後一対の前記支持ボス部の外周面のうちの前記クローラガイド本体の前後方向の端部よりも走行装置上方に位置する部位に、前記支持ボス部にグリス供給する注油口を設けてある請求項1〜4のいずれか一項に記載のクローラ走行装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したクローラ走行装置では、クローラガイドにクローラベルトとの接触による摩滅が発生し易く、クローラガイドの交換が必要になりがちである。支持体をトラックフレームから取り外すことなく、クローラガイドを支持体(左右二枚の揺動プレート)から取り外すことを可能にすれば、クローラガイドの交換を安価にできて有利である。支持体に対するクローラガイドの脱着が可能となるように、上記した従来の技術を採用した場合、クローラガイドの取り外しに手間が掛かりがちになる。
【0005】
つまり、従来の技術を採用した場合、支持体に対する連結を可能にするようにクローラガイドに備えられた連結部が、支持体の内部に入り込む構成のため、クローラガイドのクローラガイド本体とクローラベルトとの係合のため、連結部と支持体との連結を解除しても、連結部が支持体から走行装置横方向にも走行装置上下方向にも外れなくて、クローラガイドを取り出すことができない。したがって、クローラベルトを下方へ弛緩可能な状態に切換えるなどの操作を行い、クローラガイドを支持体に対して下降させて、クローラガイドの連結部を支持体から走行装置横外側に取り出し、この後、クローラガイドを持ち上げて、クローラガイド本体をクローラベルトから走行装置横外側に取り出す必要があった。
【0006】
本発明の目的は、クローラガイドの取り外しを容易かつ楽にできるクローラ走行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるクローラ走行装置は、
トラックフレームに走行装置横向きの揺動軸芯まわりに揺動自在に支持される支持体と、前記支持体に支持され、前記トラックフレームに対して前記揺動軸芯まわりに揺動自在な前後一対の接地転輪と、前記支持体に支持され、前記トラックフレームに対して前記揺動軸芯まわりに前後一対の前記接地転輪と一体揺動自在なクローラガイドと、を備え、
前記支持体に、前記トラックフレームに回動自在に連結される連結ボス部と、前記揺動軸芯に対して走行装置前後側に分かれて位置する箇所で前後一対の前記接地転輪を各別に回転自在に支持する前後一対の支持ボス部と、前記連結ボス部と前後一対の前記支持ボス部とを連結する支持体本体と、を備え、
前記クローラガイドに、クローラガイド本体と、前記クローラガイド本体から走行装置上方向きに突出して前記支持体本体に連結される連結部と、を備え、
前記連結部が前記支持体本体の走行装置横外側面に脱着自在に連結され
ており、
前後一対の前記支持ボス部の外周面の夫々に、前記クローラガイド本体の前後方向の端部を脱着自在に連結可能な連結座部を設けてあることを特徴とする。
【0008】
本構成によると、クローラガイドの連結部と支持体本体との連結を解除すれば、クローラガイドの連結部が支持体本体から走行装置横外側に外れ、クローラガイドを支持体に対して上方へスライド移動させることが可能になる。従って、クローラガイドの連結部と支持体本体との連結を解除した後、クローラガイドを持ち上げることにより、クローラガイド本体とクローラベルトとの係合が外れてクローラガイド本体がクローラベルトから走行装置横外側に外れ、クローラガイドの全体を走行装置横外側に取り出すことができる。
【0009】
従って、本発明によると、支持体をトラックフレームから取り外すことなく、クローラガイドだけを取り外すことができるのみならず、連結部の支持体本体に対する連結を解除した状態のクローラガイドを持ち上げ操作するだけで操作簡単にクローラガイドをクローラ走行装置から取り出すことができるのであり、クローラガイドの交換を安価にかつ楽にできる。
本構成によると、クローラガイド本体がトラックフレームに対して傾斜するなどによってクローラガイド本体の前端側や後端側に強い接地反力が掛かっても、クローラガイド本体の前端部及び後端部が支持体に連結していて強固に支持される。
従って、本発明によると、クローラガイド本体の前端側及び後端側に強い接地反力が掛かっても、クローラガイド本体が変形や破損し難い。
【0010】
本発明において、前記支持体本体のうちの前記連結部が連結される部位を、前記接地転輪の走行装置横方向での中心に対して走行装置横内側に偏倚させると好適である。
【0011】
本構成によると、支持体本体のうちのクローラガイドの連結部が連結する部位がクローラガイド本体に対して走行装置横内側に偏倚することになるから、クローラガイドの連結部の走行装置横方向での肉厚を厚くしながら、かつクローラガイドの連結部の走行装置前後方向視での形状を、屈曲や凹凸が少ない上下に簡素な形状にしながら、連結部を支持体本体の走行装置横外側面に連結することができる。
【0012】
従って、本発明によると、クローラガイドの連結部を、支持体本体の走行装置横外側面に連結するものでありながら、厚肉かつ簡素な形状のものに構成して、クローラガイド本体の支持体に対する連結を強固に行なわせることができる。
【0013】
本発明において、前記連結部に、前記支持体本体のうちの前記連結部が連結される部位に対して下方から当接する当り部を設けると好適である。
【0014】
本構成によると、支持体本体が連結部の当り部に当接してクローラガイドを受け止め支持するから、支持体によるクローラガイドの接地反力に抗しての支持を強固に行なわせることができる。
【0015】
従って、本発明によると、クローラガイド本体に強い接地反力が掛かっても、支持体によるクローラガイドの支持が強固に行なわれ、クローラガイドの破損や変形を回避し易い。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
本発明において、前記連結座部に前記クローラガイド本体の前後方向の端部を脱着自在に連結する連結ボルトを備え、前側の前記支持ボス部に設けた前記連結座部を、前記連結ボルトが前記支持ボス部の前外側から走行装置前後向き姿勢で締結されるように構成し、
後側の前記支持ボス部に設けた前記連結座部を、前記連結ボルトが前記支持ボス部の後外側から走行装置前後向き姿勢で締結されるように構成すると好適である。
【0020】
本構成によると、クローラガイド本体の前端部及び後端部を支持体に対して脱着する連結ボルトを支持ボス部の前外側や後外側から走行装置前後向き姿勢で締め込みや緩め操作すればよく、連結座部に対する連結ボルトの締結や取り外しを操作容易にできる。
【0021】
従って、本発明によると、クローラガイド本体の前端部及び後端部を支持体に対して脱着するのに、連結ボルトの締結及び取り外しを操作容易に行なって楽にかつ迅速にできる。
【0022】
本発明において、前後一対の前記支持ボス部の外周面のうちの前記クローラガイド本体の前後方向の端部よりも走行装置上方に位置する部位に、前記支持ボス部にグリス供給する注油口を設けると好適である。
【0023】
本構成によると、
クローラガイド本体の前端部及び後端部と注油口とが走行装置上下方向に位置ずれした位置関係にあり、
クローラガイド本体が注油口に対するグリス供給の障害になり難い。
【0024】
従って、本発明によると、支持ボス部にグリス供給するのに、
クローラガイド本体が障害になり難くて、グリス供給作業を楽にかつ迅速に行なうことができる。
【0025】
本発明において、前記注油口が前記接地転輪の回転軸芯よりも走行装置上方に位置すると好適である。
【0026】
本構成によると、注油口が接地転輪の下側に位置するクローラベルトから走行装置上方側に離れて位置することになり、クローラベルトが注油口に対するグリス供給の障害になり難い。
【0027】
従って、本発明によると、支持ボス部にグリス供給するのに、クローラベルトが障害になり難くて楽にかつ迅速にできる。
【0028】
本発明において、前後一対の前記支持ボス部の外周面の夫々に、前記支持ボス部にグリス供給する注油口を形成する注油座部を設け、前記注油座部のうちのグリスニップルが装着されるニップル装着座面と、前記連結座部のうちの前記クローラガイド本体の前後方向の端部が連結されるガイド連結座面とを面一に形成すると好適である。
【0029】
本構成によると、支持ボス部のうちの注油座部及び連結座部を備える部位の形状が、ニップル装着面とガイド連結座面とが面一に位置する簡素な形状になる状態で、注油座部及連結座部を支持ボス部に設けることができる。
【0030】
従って、本発明によると、支持ボス部の外周面にクローラガイド本体の端部を連結し、かつ注油口を設けるものでありながら、支持ボス部のうちの注油座部及び連結座部を備える部位の形状が簡素な形状になって、その部位の泥土溜まりが発生し難い。
【0031】
本発明において、前記連結部を前記支持体本体に連結する走行装置横向き姿勢の連結ボルトを備え、前記連結ボルトが前後一対の前記接地転輪の回転軸芯の間に位置すると好適である。
【0032】
本構成によると、クローラガイドの連結部が支持体
本体のうちの前後一対の支持ボス部の間の部位に入り込んで連結するコンパクトな状態で支持体、接地転輪及びクローラガイドをクローラ走行装置に装備できる。
【0033】
従って、本発明によると、支持体、接地転輪及びクローラガイドをコンパクトにクローラ走行装置に装備して、クローラ走行装置の簡素化をできる。
【0034】
本発明において、前記連結部を前記支持体本体に連結する走行装置横向き姿勢の連結ボルトを備え、前記連結ボルトが前記揺動軸芯よりも走行装置下方に位置すると好適である。
【0035】
本構成によると、クローラガイドの連結部がクローラガイド本体から走行装置上方向きに突出する長さを短くしながら、クローラガイドを支持体本体に連結することができる。
【0036】
従って、本発明によると、連結部の突出長さが短いコンパクトな状態でクローラガイドを得て、軽量化することができる。
【0037】
本発明において、前記連結ボルトが、前後一対の前記接地転輪の回転軸芯よりも走行装置下方に位置すると好適である。
【0038】
本構成によると、クローラガイドの連結部がクローラガイド本体から走行装置上方向きに突出する長さをより短くしながら、クローラガイドを支持体本体に連結することができる。
【0039】
従って、本発明によると、連結部の突出長さがより短いよりコンパクトな状態でクローラガイドを得て、軽量化することができる。
【0040】
本発明において、前記連結ボルトが、走行装置側面視で前後一対の前記接地転輪に対して外周側に位置ずれした箇所に位置すると好適である。
【0041】
本構成によると、連結ボルトの走行装置横外側に接地転輪が存在せず、接地転輪が連結ボルトを回転操作する際の障害になり難い。
【0042】
従って、本発明によると、クローラガイドの交換作業を行なうのに、接地転輪が障害になり難くて連結ボルトの脱着を容易かつ迅速に行なえて、能率よく作業できる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るクローラ走行装置
1,1が装備されたコンバインの全体を示す側面図である。
図1に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1を備え、この左右一対のクローラ走行装置1,1を運転座席2の下方に設けたエンジン(図示せず)からの駆動力によって駆動して自走するように構成された走行機体と、走行機体の機体フレーム3の前部に連結された刈取り部4と、機体フレーム3の後部に設けられた脱穀装置5及び穀粒タンク6とを備えている。
【0045】
このコンバインは、刈取り部4を油圧シリンダ7によって下降作業位置と上昇非作業位置とに揺動昇降操作される状態で備え、刈取り部4を下降作業位置にして走行機体を走行させることにより、稲、麦などの収穫作業を行なう。
【0046】
すなわち、刈取り部4は、植立穀稈を引起こし装置4aによって引き起こしながらバリカン形の刈取装置4bによって刈取り、刈取り穀稈を搬送装置4cによって機体後方側に搬送して、脱穀装置5が備える脱穀フィードチェーン5aに供給する。脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取り穀稈の株元側を挟持して搬送し、その刈取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して回動する扱胴(図示せず)によって脱穀処理する。穀粒タンク6は、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を回収して貯留し、貯留した脱穀粒をオーガ8によって搬出するように構成してある。
【0047】
クローラ走行装置1について説明する。
左右一対のクローラ走行装置1,1は、同じ構成を備えており、右側のクローラ走行装置1の図示を省略する。
【0048】
図2は、左側のクローラ走行装置1の全体を示す側面図である。
図3は、左側のクローラ走行装置1を示す平面図である。
図2,3に示すように、クローラ走行装置1は、機体フレーム3に前後一対の支持アーム10,10を介して支持されるトラックフレーム20と、トラックフレーム20の前方箇所で機体フレーム3に支持されるクローラ駆動輪体21と、トラックフレーム20の後端部に支持されるクローラ緊張輪体22と、クローラ駆動輪体21とクローラ緊張輪体22との間で走行装置前後方向に並んだ状態でトラックフレーム20に支持される8つの接地転輪23,24と、クローラ駆動輪体21とクローラ緊張輪体22との間で機体フレーム3に支持される前後一対の上案内輪体25,25と、全ての
クローラ駆動輪体21
、クローラ緊張輪体22、
上案内輪体25及び全ての接地転輪23,24にわたって巻回されたゴム製のクローラベルト26と、を備えている。
【0049】
クローラ駆動輪体21は、機体フレーム3の前部に設けたミッションケース11(
図1参照)を介して機体フレーム3に支持されている。詳述すると、クローラ駆動輪体21は、ミッションケース本体の横側部から機体横外向きに延出する状態でミッションケース11に備えられた筒状のクローラ駆動ケース部11bに回転自在に支持されている。クローラ駆動輪体21は、エンジンからミッションケース11に伝達される駆動力によって駆動されるように構成してある。
【0050】
クローラ緊張輪体22は、トラックフレーム20の後端部に設けた緊張フレーム部27に支持されている。クローラ緊張輪体22は、緊張フレーム部27が調節ネジ28によって伸縮調節されると共に調節位置に固定されることにより、トラックフレーム20に対して走行装置前後方向に移動調節されると共に調節位置に固定され、クローラベルト26の張力調節を行なう。
【0051】
前側及び後側の上案内輪体25は、機体フレーム3から機体横外向きに延出した支軸29(
図4参照)に回転自在に支持されている。
【0052】
前後一対の支持アーム10,10は、支持アーム10の基端部に一体回転自在に連結された回転支軸10aを介して機体フレーム3の支持部3aに上下揺動自在に支持されている。
図2に示すように、前側の支持アーム10の回転支軸10aの機体内側の端部に一体回転自在に設けた揺動操作アーム12と、機体フレーム3に設けたシリンダ支持部(図示せず)とにわたり、油圧シリンダで成る昇降シリンダ13を連結してある。
【0053】
後側の支持アーム10の先端側とトラックフレーム20とをキャンセルリンク14を介して連結してある。
図2に示すように、後側の支持アーム10の回転支軸10aの機体内側の端部に一体回転自在に設けた揺動操作アーム12と、機体フレーム3に設けたシリンダ支持部3bとにわたり、油圧シリンダで成る昇降シリンダ15を連結してある。
【0054】
つまり、昇降シリンダ13による前側の揺動操作アーム12の揺動操作によって前側の支持アーム10を揺動昇降操作し、昇降シリンダ15による後側の揺動操作アーム12の揺動操作によって後側の支持アーム10を揺動昇降操作することにより、トラックフレーム20の機体フレーム3に対する連結高さが変化し、機体フレーム3の左側の対地高さを調節できるように構成してある。
【0055】
従って、左側及び右側のクローラ走行装置1のための昇降シリンダ13,15を適切に伸縮操作することにより、左側及び右側のクローラ走行装置1におけるトラックフレーム20の機体フレーム3に対する連結高さを同じ連結高さに変更調節して、機体フレーム3を地面に対して平行に昇降調節することができ、あるいは左側のクローラ走行装置1におけるトラックフレーム20の機体フレーム3に対する連結高さと、右側のクローラ走行装置1におけるトラックフレーム20の機体フレーム3に対する連結高さとを異なる連結高さに変更調節して、機体フレーム3を地面に対して左右に傾斜調節することができるように構成してある。
【0056】
図5は、揺動操作アーム12と昇降シリンダ13及び昇降シリンダ15との連結構造を示す側面図である。
図6は、
図5のVI―VI断面矢視図である。
図7は、
図5のVII―VII断面矢視図である。
図5,6,7に示すように、揺動操作アーム12と昇降シリンダ13,15との連結構造は、昇降シリンダ13,15のシリンダロッド13a,15aの端部に連結されたヨーク形の連結具31を備え、連結具31に設けた一対の連結腕部31a,31aの間に入り込ませた揺動操作アーム12の端部と一対の連結腕部31a,31aとにわたって挿入された連結ピン32によって連結具31と揺動操作アーム12とを相対回転自在に連結するように構成してある。
【0057】
連結具31は、一端部にネジ部材を取付けて形成された連結ネジ部31bを備え、この連結ネジ部31bをシリンダロッド13a,15aの端部に設けられたネジ軸部に螺着することによって、シリンダロッド13a,15aに連結されている。
【0058】
連結具31の一側面に、連結ピン32のための抜止め体33を取付けネジ34によって止着してある。抜止め体33は、連結ピン32に作用する抜止め辺部33aと、連結具31に作用する一対の回止め辺部33b、33bとを備えている。抜止め辺部33aに、連結ピン32の頭部32aに設けられたグリスニップル35が挿通する注油孔36を設けてある。グリスニップル35は、連結ピン32の内部に設けられた給油路37にグリスを注入することにより、給油路37から連結ピン32と揺動操作アーム12との間にグリスを供給するように構成してある。
【0059】
つまり、抜止め体33は、一つの取付けネジ34によって連結具31に止着されるものである。しかし、一対の回止め辺部33b,33bが連結具31の連結腕部31aの上下側に係合することにより、抜止め体33が連結具31に対して取付けネジ34のまわりで回転することを阻止されるように構成してある。抜止め体33は、揺動操作アーム12及び連結具31に対する連結ピン32の回転を許容しながら、抜止め辺部33aを連結ピン32の頭部32aに当接させることによって連結ピン32の抜け止めを行なうように構成してある。
【0060】
図2,3,10に示すように、8つの接地転輪23,24の夫々は、クローラベルト26の長手方向での複数箇所に埋設された芯金30の夫々に設けられた左右一対の芯金突起30a,30aの両横外側に別れてクローラベルト26の内周面に支持作用する左右一対の輪体23a,23a,24a,24aを備えて構成してある。8つの接地転輪23,24の夫々は、いわゆる外転輪に構成してある。
【0061】
以下において、8つの接地転輪23,24のうちの走行装置前側から1番目と2番目の2つの接地転輪23,23で成る転輪対を第1転輪対と称し、1番目と2番目の2つの接地転輪23,23を第1転輪対における前後一対の接地転輪23,23と称し、3番目と4番目の2つの接地転輪23,23で成る転輪対を第2転輪対と称し、3番目と4番目の2つの接地転輪23,23を第2転輪対における前後一対の接地転輪23,23と称し、5番目と6番目の2つの接地転輪23,23で成る転輪対を第3転輪対と称し、5番目と6番目の2つの接地転輪23,23を第3転輪対における前後一対の接地転輪23,23と称し、7番目と8番目の2つの接地転輪24,24で成る転輪対を第4転輪対と称し、7番目と8番目の2つの接地転輪24,24を第4転輪対における前後一対の接地転輪24,24と称して説明する。
【0062】
図2,4に示すように、第1〜第3転輪対の夫々における前後一対の接地転輪23,23の下方にクローラガイド40を配備し、第4転輪対における前後一対の接地転輪24,24の下方にクローラガイド50を配備してある。
【0063】
図2,3,4に示すように、第1〜第3転輪対における前後一対の接地転輪23,23は、トラックフレーム20に走行装置横向きの揺動軸芯Pまわりに回動自在に連結された一つの支持体60に回転自在に支持され、クローラベルト26の内周面との接触によって回転軸芯Xまわりに回転しながら、かつクローラベルト26に掛かる接地反力によってトラックフレーム20に対して揺動軸芯Pまわりに昇降しながら、クローラベルト26を支持するように構成してある。
【0064】
第1〜第3転輪対における前後一対の接地転輪23,23の下方に配備してあるクローラガイド40は、前記支持体60に固定状態で支持され、トラックフレーム20に対して揺動軸芯Pまわりに前後一対の接地転輪23,23と一体揺動しながら、クローラベルト26を前後一対の接地転輪23,23との係合状態を維持しながら回動するように案内する。
【0065】
第4転輪対における前後一対の接地転輪24,24は、トラックフレーム20に回転のみ自在に支持され、クローラベルト26の内周面との接触によって回転軸芯Yまわりに回転しながら、トラックフレーム20に対して昇降せずにクローラベルト26を支持するように構成してある。
【0066】
第4転輪対における前後一対の接地転輪24,24の下方に配備してあるクローラガイド50は、トラックフレーム20に固定状態で支持され、クローラベルト26を前後一対の接地転輪24,24との係合状態を維持しながら回動するように案内する。
【0067】
第1〜第3転輪対における支持体60について詳述する。
図12,13に示すように、支持体60は、支持体60の前後方向での中央部に走行装置横向き姿勢で位置する連結ボス部61と、連結ボス部61の軸芯で成る揺動軸芯Pに対して走行装置前後側に分れて位置する前後一対の走行装置横向き姿勢の支持ボス部62,63と、連結ボス部61と前後一対の支持ボス部62,63とを連結する支持体本体64と、を備えて構成してある。
【0068】
支持体本体64は、連結ボス部61の前後側に連結ボス部61の外周面と支持ボス部62,63の外周面とにわたって連結された状態で位置する偏平な横板部65と、前側の横板部65の下方と後側の横板部65の下方とにわたり、連結ボス部61及び前後の支持ボス部62,63の外周面に連結された状態で位置する縦板部66とを備えている。縦板部66の上端部は、前後の横板部65の下面に連結している。前後の横板部65は、上面が揺動軸芯Pよりも走行装置上方に位置し、下面が揺動軸芯Pよりも走行装置下方に位置する配置で備えてある。前後の横板部65の上面に補強リブ67を突設してある。
【0069】
連結ボス部61、前後一対の支持ボス部62,63、支持体本体64及び前後の補強リブ67は、鋳造によって一体成形してある。支持体60は、全体にわたって鋳造した鋳造製になっている。
【0070】
つまり、
図3,4,8,9に示すように、支持体60は、トラックフレーム20の走行装置横外側に位置した状態で、連結ボス部61でトラックフレーム20に連結軸80を介して揺動軸芯Pまわりに回動自在に連結されている。支持体60は、前側の支持ボス部62で前側の接地転輪23を支軸81を介して回転軸芯Yまわりに回転自在に支持し、後側の支持ボス部63で後側の接地転輪23を支軸81を介して回転軸芯Yまわりに回転自在に支持している。
【0071】
第1〜第3転輪対における前後一対の接地転輪23,23の下方に配備したクローラガイド40について詳述する。
図12,14に示すように、第1〜第3転輪対における前後一対の接地転輪23,23の下方に配備したクローラガイド40は、走行装置前後方向に長いバー形に形成して、複数の芯金30における左右一対の芯金突起30a,30aの間に入り込むように構成したクローラガイド本体41と、クローラガイド本体41の前後方向での中間部に走行装置上方向きに突出する状態で設けた連結部42と、を備えて構成してある。クローラガイド本体41の前端部41aに走行装置上方向きに突出した前連結部43を備え、クローラガイド本体41の後端部41bに走行装置上方向きに突出した後連結部44を備えてある。クローラガイド本体41のうちの連結部42の前後側に位置する部位に、走行装置上方向きに突出した補強リブ45を設けてある。前側の補強リブ45は、連結部42の前端部とクローラガイド本体41の前端部とにわたって連結する状態で備えてある。後側の補強リブ45は、連結部42の後端部とクローラガイド本体41の後端部41bとにわたって連結する状態で備えてある。
【0072】
クローラガイド本体41、連結部42、前連結部43、後連結部44及び前後の補強リブ45は、鋳造によって一体形成してある。クローラガイド40は、全体にわたって鋳造した鋳造製になっている。
【0073】
すなわち、
図8,9,11,12に示すように、クローラガイド40は、支持体60における支持体本体64のうちの前後一対の支持ボス部62,63の間に位置する部位64Aの走行装置横外側面に連結部42によって脱着自在に連結してある。クローラガイド本体41の前端部41aを、支持体60の前端部に設けた連結座部71に前連結部43によって脱着自在に連結してある。クローラガイド本体41の後端部41bを、支持体60の後端部に設けた連結座部72に後連結部44によって脱着自在に連結してある。
【0074】
図10,11に示すように、支持体本体64の前記部位64Aは、縦板部66に配備してある。前記部位64Aは、支持体60に支持される接地転輪23の走行装置横方向での中心23CLに対して走行装置横内側に偏倚する状態の配置で備えてある。
【0075】
クローラガイド40の連結部42が支持体本体64の前記部位64Aに連結された状態において、連結部42のうちの走行装置横内側の側部に段差部を形成して設けた走行装置上方向きの当り部42aが前記部位64Aにおける下端部64tに対して下方から当接するように構成してある。すなわち、支持体60は、当り部42aに対する下端部64tの受け止め支持により、クローラガイド40を接地反力に抗して強固に支持する。
【0076】
支持体本体64における前記部位64Aに前後一対の走行装置横向きかつ雌ネジ付きのボルト孔64b,64bを設け、クローラガイド40の連結部42は、この連結部42に設けた前後一対のボルト孔42b,42bを挿通させて支持体本体64のボルト孔64bに締結した前後一対の走行装置横向き姿勢の連結ボルト85,85により、支持体本体64における部位64Aに締め付け連結するように構成してある。
【0077】
支持体本体64の一対の前記ボルト孔64b,64bは、締結された連結ボルト85が支持体60の揺動軸芯Pよりも走行装置下方に位置する状態となるように配置してある。さらに、支持体本体64の一対の前記ボルト孔64b,64bは、締結された連結ボルト85が支持体60に支持される接地転輪23の回転軸芯Xよりも走行装置下方に位置する状態となるように配置してある。さらに、支持体本体64の一対の前記ボルト孔64b,64bは、締結された連結ボルト85が支持体60に支持される前後一対の接地転輪23,23の回転軸芯Xの間に位置する状態となるように配置してある。さらに、支持体本体64の一対の前記ボルト孔64b,64bは、締結された連結ボルト85が支持体60に支持される前後一対の接地転輪23,23に対して外周側に位置ずれした箇所に位置する状態となるように配置してある。
【0078】
支持体60の前側の連結座部71は、前側の支持ボス部62の外周面に支持ボス部62との一体鋳造によって設けてある。前側の連結座部71に雌ネジ付きのボルト孔71bを設け、クローラガイド本体41の前連結部43にボルト孔43bを設けてある。ボルト孔43bを挿通させた連結ボルト86をボルト孔71bに締結することにより、前連結部43を連結座部71におけるガイド連結座面71aに締め付け連結する。これにより、クローラガイド本体41の前端部41aを連結座部71に脱着自在に連結する。連結座部71のボルト孔71bは、連結ボルト86が支持ボス部62の前外側から走行装置前後向き姿勢で締結される状態となるように設定した姿勢で備えてある。
【0079】
支持体60の後側の連結座部72は、後側の支持ボス部63の外周面に支持ボス部63との一体鋳造によって設けてある。後側の連結座部72に雌ネジ付きのボルト孔72bを設け、クローラガイド本体41の後連結部44にボルト孔44bを設けてある。ボルト孔44bを挿通させた連結ボルト86をボルト孔72bに締結することにより、後連結部44を連結座部72におけるガイド連結座面72aに締め付け連結する。これにより、クローラガイド本体41の後端部41bを連結座部72に脱着自在に連結する。連結座部72のボルト孔72bは、連結ボルト86が支持ボス部63の後外側から走行装置前後向き姿勢で締結される状態となるように設定した姿勢で備えてある。
【0080】
支持体60における前後の支持ボス部62,63の外周面のうちの前記連結座部71,72よりも走行装置上方に位置する部位に注油座部73を設けてある。前後の支持ボス部62,63における注油座部73に、支持ボス部62,63と支軸81との間にグリス供給する注油口74を形成し、前後の支持ボス部62,63における注油座部73に設けたニップル装着座面73aに、前記注油口74にグリス供給するグリスニップル75を装着してある。
【0081】
前後の支持ボス部62における注油座部73に形成した注油口74は、支持ボス部62,63に支持される接地転輪23の回転軸芯Xよりも走行装置上方に位置する配置で形成してある。前側の支持ボス部62における注油座部73に形成した注油口74は、連結座部71に連結されたクローラガイド本体41の前端部41aよりも走行装置上方に位置する配置で形成してある。後側の支持ボス部63における注油座部73に形成した注油口74は、連結座部72に連結されたクローラガイド本体41の後端部41bよりも走行装置上方に位置する配置で形成してある。
【0082】
図15は、前側の支持ボス部62に設けた連結座部71及び注油座部73を示す正面図である。後側の支持ボス部63に設けた連結座部72及び注油座部73は、前側の支持ボス部62に設けた連結座部71及び注油座部73と同じ構成を備えており、後側の支持ボス部63に設けた連結座部72及び注油座部73の正面図は省略する。
図13,15に示すように、前側及び後側の支持ボス部62,63に設けた注油座部73及び連結座部71,72は、注油座部73におけるニップル装着座面73aと、連結座部71,72におけるガイド連結座面71a,72aとが面一になるように形成した状態で備えてある。
【0083】
第4転輪対における前後一対の接地転輪24,24の下方に配備したクローラガイド50について詳述する。
【0084】
図4,16,17に示すように、第4転輪対における前後一対の接地転輪24,24の下方に配備してあるクローラガイド50は、走行装置前後方向に長いバー形のクローラガイド本体51、クローラガイド本体51の前端部に走行装置上方向きに突出する状態で設けた前連結部52と、クローラガイド本体51のうちの後端側に走行装置上方向きに突出する状態で設けた後連結部53とを備えている。クローラガイド本体51、前連結部52及び後連結部53は、鋳造によって一体形成してある。
【0085】
クローラガイド50は、クローラガイド本体51の前端が第6
の接地転輪23と第7
の接地転輪24との間に位置し、後端が第8
の接地転輪24と同じ前後方向箇所に位置する状態でトラックフレーム20に脱着自在に連結してある。
【0086】
すなわち、前連結部52を、トラックフレーム20のうちの第6
の接地転輪23と第7
の接地転輪24との間の部位にブロック体を付設して形成した前支持部55に2本の連結ボルト58によって締め付け連結してある。後連結部53を、トラックフレーム20のうちの第7
の接地転輪24と第8
の接地転輪24との間の部位にブロック体を付設して形成した後支持部56に3本の連結ボルト59によって締め付け連結してある。
【0087】
図18は、前支持部55に接近した状態のキャンセルリンク14を示す側面図である。
図19は、前支持部55を示す斜視図である。
図18,19に示すように、前支持部55のうちの連結ボルト58のためのボルト孔55bが位置する部位から前支持部55の基端側に外れた箇所に、前支持部55に接近したキャンセルリンク14のトラックフレーム側の端部が入り込む切欠き部55aを設けてある。
【0088】
図20は、キャンセルリンク14とトラックフレーム20との連結部における給油構造を示す断面図である。
図20,21に示すように、キャンセルリンク14とトラックフレーム20とが連結する部位における給油構造には、キャンセルリンク14の二又部14aとトラックフレーム20のボス部20aとを連結する連結軸90の外周面のうちの各二又部14aの軸孔に臨む箇所に連結軸90の全周にわたって設けた環状給油溝91と、連結軸90の内部に連結軸90の軸芯と同芯状に設けた給油路92と、この給油路92を各環状給油溝91に連通させる状態で連結軸90の内部に連結軸90の半径方向に設けた連通路93と、を備えてある。各環状給油溝91に給油路92を連通させる連通路93は、連結軸90の周方向での2箇所に設けてある。
【0089】
図20,22に示すように、キャンセルリンク14とトラックフレーム20とが連結する部位における給油構造には、連結軸90とボス部20aとの間に設けたグリス溜まり94と、このグリス溜まり94に給油路92を連通させる状態で連結軸90の内部に連結軸90の半径方向に設けた連通路95と、を備えてある。
【0090】
つまり、連結軸90の走行装置横外側の端面に装着されたグリスニップル96からグリスを注入すると、注入したグリスは、給油路92に流入して給油路92から各連通路93,95に流入する。連通路93に流入したグリスは、環状給油溝91に流入し、環状給油溝91から連結軸90と二又部14aとの間に入り込む。連通路95に流入したグリスは、グリス溜まり94に流入し、グリス溜まり94からブシュ97と連結軸90及びボス部20aとの間に入り込む。
【0091】
〔別実施形態〕
図23は、別の実施形態を備えたクローラガイド40の支持構造を示す側面図である。
図23に示すように、別の実施形態を備えたクローラガイド40の支持構造では、クローラガイド40の連結部42を支持体60の支持体本体64に連結する一対の走行装置横向き姿勢の連結ボルト85,85の前側の連結ボルト85が、支持体60に支持される前側の接地転輪23に対して走行装置側面視において接地転輪23と重なり合い、一対の連結ボルト85,85のうちの後側の連結ボルト85が、後側の接地転輪23に対して走行装置側面視において接地転輪23と重なり合う状態の配置で連結ボルト85を備える構成を採用している。
【0092】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、8つの接地転輪23,24を設け、8つの接地転輪23,24のうちの6つの接地転輪23の2つずつが支持体60を介してトラックフレーム20に揺動自在に支持されるよう構成した例を示したが、8つより多いあるいは少ない複数の接地転輪23,24を設け、この複数の接地転輪23,24のうちの一部の2つずつが支持体60を介してトラックフレーム20に揺動自在に支持されるよう構成して実施してもよい。
【0093】
(2)上記した実施例では、クローラガイド本体41が前後方向での中間部及び両端部で支持体60に脱着自在に連結されるよう構成した例を示したが、前後方向での中間部で支持体60に連結され、前後方向での両端部では支持体60に連結されない構成、あるいは、前後方向での中間部で支持体60に連結され、前端部と後端部とのいずれか一方で支持体60に連結される構成を採用して実施してもよい。
【0094】
(3)上記した実施例では、クローラガイド本体41及び連結部42を一体形成したクローラガイド40を採用した例を示したが、クローラガイド本体41と連結部42とを別々に形成した後に溶接などによって連結して構成したクローラガイドを採用して実施してもよい。
【0095】
(4)上記した実施例では、トラックフレーム20が前後一対の揺動操作自在な支持アーム10,10を介して昇降操作自在に機体フレーム3に支持されるよう構成した例を示したが、トラックフレーム20が機体フレーム3に昇降不能に連結された構成を採用して実施してもよい。