【文献】
笠島 茂,温熱環境の自律神経系への影響評価,別冊・医学のあゆみ メディカル・トピックス32,1998年 7月30日,112〜113頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機械的パルス発生器(3)を有し、被験者の脈管系(S2)に体外流体系(S1)が接されているときに、前記体外流体系(S1)内の圧力センサ(4a、4b、4c)によって取得される測定圧力信号を処理するための装置(25)を備えた前記体外流体系(S1)であって、
前記装置(25)は、
前記圧力センサによって取得され、前記機械的パルス発生器(3)から生じた複数の第1のパルスを含む第1の圧力データと、前記被験者における生理学的パルス発生器(3’)から生じた複数の第2のパルスを含む第2の圧力データと、とを少なくとも含む前記測定圧力信号を受信するための受信手段(28)と、
前記被験者の脈管系(S2)と体外流体系(S1)との接続が完全かどうかをモニタリングするために、前記第1の圧力データを前記測定圧力信号から識別するように、前記受信手段(28)からの前記測定圧力信号を処理するための手段(29)とを具備し、
前記生理学的パルス発生器は、前記被験者の心臓を除いた、前記被験者の血圧調節のための自律系、および前記被験者の体温調節のための自律系からなる群の少なくとも1つである、体外流体系。
前記処理するための手段(29)は、前記測定信号をフィルタリングして、0.5Hzを超える周波数または3.5Hz未満の周波数を除去するように構成される、請求項1乃至4の何れか1項に記載の体外流体系。
前記処理するための手段(29)は、前記測定信号を、0.4Hz、0.04Hz〜0.15Hz、および0.001Hz〜0.1Hzからなる群に含まれる、少なくとも1つの周波数範囲に対してフィルタリングするように構成される、請求項5に記載の体外流体系。
前記フィルタリングするための手段(29)は、前記測定圧力信号から前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を減算するように構成される、請求項7に記載の体外流体系。
前記処理するための手段(29)は、前記第1及び第2圧力データを使用して、前記被験者の異常状態を検出すること、提示すること、追跡すること、および予測することのうちの1つ以上を実施するように構成される、請求項1乃至9の何れか1項に記載の体外流体系。
前記圧力センサ(4a−4c)は、前記機械的パルス発生器(3)から生じる前記第1のパルスと、前記生理学的パルス発生器から生じる前記第2のパルスとを検出するように、前記体外流体系(S1)内に配置され、前記第2の圧力データは、前記生理学的パルス発生器から生じる第2のパルスを含む、時間依存性のモニタリング信号であり、前記装置(25)は、前記モニタリング信号の時間ウィンドウ内の信号値に基づいて、パラメータ値を計算するための手段(29)であって、前記パラメータ値は、前記信号値の分布を表す手段と、少なくとも一部において、前記パラメータ値に基づいて、前記流体接続の前記完全性を決定するための手段(29)と、をさらに具備する、請求項11に記載の体外流体系。
前記第2の圧力データは、前記第2のパルスを含む時間依存性のモニタリング信号であり、前記装置(25)は、前記モニタリング信号内の前記第2のパルスの前記タイミングを示すタイミング情報を取得するための手段(29)と、前記第2のパルスの存在または不在を示すパラメータ値を計算するように、前記タイミング情報に基づいて、前記モニタリング信号を処理するための手段(29)と、少なくとも一部において、前記パラメータ値に基づいて、前記流体接続(C)の前記完全性を決定するための手段(29)と、をさらに具備する、請求項12に記載の体外流体系。
前記モニタリング信号を処理するための手段(29)は、前記タイミング情報に基づいて、時間ウィンドウを前記モニタリング信号内に位置付け、かつ前記時間ウィンドウ内の前記信号値に基づいて、前記パラメータ値を計算するように構成される、請求項14に記載の体外流体系。
前記モニタリング信号を処理するための手段(29)は、前記タイミング情報に基づいて、前記時間ウィンドウの長さを選択するようにさらに構成される、請求項15に記載の体外流体系。
この対外流体系は、前記体外流体系(S1)内で第1のパルスを発生させる機械的パルス発生器(3)に関連付けられ、前記装置(25)は、前記第1のパルスを除去するように前記測定信号をフィルタリングすることによって、前記モニタリング信号を生成するための手段(29)をさらに具備する、請求項14乃至16の何れか1項に記載の体外流体系。
前記モニタリング信号を生成するための手段(29)は、前記フィルタリングされた測定圧力信号内の信号のセグメントのセットを選択し、前記タイミング情報に基づいて、前記信号のセグメントを整合し、加算するようにさらに構成される、請求項17に記載の体外流体系。
前記モニタリング信号を処理するための手段(29)は、前記モニタリング信号内の候補の第2のパルスと、対応する候補の時間ポイントとを識別し、前記候補の時間ポイントに基づく前記候補の第2のパルスを、前記タイミング情報と比較して検証するように構成される、請求項17又は18に記載の体外流体系。
前記タイミング情報を取得するための手段(29)は、前記被験者に連結されたパルスセンサから前記タイミング情報を取得するように構成される、請求項14乃至19の何れか1項に記載の体外流体系。
前記タイミング情報を取得するための手段(29)は、先行するパラメータ値に基づいて識別される第2のパルスの前記相対的なタイミングの関数として、前記タイミング情報を取得するように構成される、請求項14乃至19の何れか1項に記載の体外流体系。
前記装置(25)は、前記被験者の心拍から生じる前記第2の圧力データとしての心臓データの識別のために、前記測定圧力信号を処理するための手段(29)をさらに具備し、前記流体接続の前記完全性を決定するための手段(29)は、前記第1の圧力データおよび前記心臓データに基づいて、前記完全性を決定するように構成される、請求項12乃至21の何れか1項に記載の体外流体系。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、一般に流体含有システムを参照して、特に体外血流回路に関連して、実施形態を記載する。その後で、生理学的現象およびそのような生理学的現象を表す信号を抽出するための実施形態を記載する。次いで、そのような抽出された信号に基づいて異常を検出するための例示的な実施形態、ならびに、そのような抽出された信号に基づいて流体接続の完全性をモニタリングするための例示的な実施形態を記載する。
【0040】
以下の説明の全体を通して、同様の要素は同じ参照符号によって示されている。
【0041】
概略
図1は、第1の流体含有システムS1と、第2の流体含有システムS2との間に、流体接続Cが設置されている、一般的な流体配置を示す。流体接続Cは、一方のシステムから他方のシステムに流体を転送する場合、または転送しない場合がある。第1のパルス発生器3は、第1のシステムS1内の流体の中で一連の圧力波を生成するように配置され、第2のパルス発生器3’は、第2のシステムS2内の流体の中で時折または一連の圧力波を生成するように配置される。単一の圧力波は、くしゃみを表し得、時折の圧力波は、1つ以上の咳を表し得、一連の圧力波は、定期または不定期の呼吸を表し得、1つ以上の圧力センサ4a〜4cは、第1のシステムS1内の流体圧力を測定するように配置される。流体接続Cが完全であれば、第2のパルス発生器3’によって生成された圧力波は、第2のシステムS2から第1のシステムS1に移動し、したがって、第1のパルス発生器3から生じた第1のパルスに加えて、第2のパルス発生器3’から生じた第2のパルスが、圧力センサ4a〜4cによって検出される。第1および第2のパルス発生器3、3’のうちの何れか1つは、1つを超えるパルス発生デバイスを含んでもよいことに留意すべきである。さらに、そのようなパルス発生デバイスは、それぞれの流体含有システムS1、S2の一部であってもよく、一部でなくてもよい。第1の流体システムは、透析に使用される種類の体外血流回路等の体外流体回路であってもよく、第2の流体システムは、被験者の血液回路等の脈管系であってもよい。第2のパルス発生器3’はまた、生理学的現象と称されてもよく、循環または非循環、反復または非反復、自律または非自律の生理学的パルス発生器であってもよい。第2のパルス発生器3’は、反射行動、自発的筋肉収縮、非自発的筋肉収縮、該被験者の呼吸系、血圧調節のための該被験者の自律系、および体温調節のための該被験者の自律系から成る群からの生理学的現象であってもよい。反射としても知られている反射行動は、刺激に応答しての無意識かつほぼ瞬間的な運動として解釈すべきである。
【0042】
図1の流体配置は、圧力センサ4a〜4cに接続される、監視デバイス25をさらに含む。それによって、監視デバイス25は、第1のシステムS1内の流体圧力のリアルタイム表現を提供するように、時間依存性であってもよく、または時間依存性でなくてもよい、1つ以上の測定信号を獲得する。監視デバイス25は、被験者の生理学的現象の挙動をモニタリングして、適切な処置を講ずるように、警報または警告信号を発してもよく、および/または第1のシステムS1の制御システムに通知してもよい。監視デバイス25は、連続的に(すなわち、オンラインで)測定信号を処理してもよく、または処理しなくてもよい。測定信号は、以降の分析のために(すなわち、オフラインで)抽出される、一組または一群の測定信号を具備してもよい。
【0043】
監視デバイス25は、随意に、第2のパルスの存在は流体接続Cが完全であることを示す一方で、第2のパルスの不在は流体接続Cに障害があることを示す、という原則に基づいて、流体接続Cの完全性をモニタリングする。第2のパルスの不在は、適切な処置を講ずるように、監視デバイス25に警報または警告信号を発するようにさせてもよく、および/または第1または第2の流体含有システムS1、S2の制御システムに警告してもよい。
【0044】
したがって、監視デバイス25は、第2のパルスが存在するかどうかを決定するために、時間依存の測定信号を連続的に処理するように構成されてもよい。典型的に、決定は、測定信号内の第2のパルスの存在または不在を示す評価パラメータの値(すなわち、パラメータ値)を計算するために、時間領域での測定信号またはその処理されたバージョンを分析することを含む。実施に応じて、監視デバイス25は、測定信号を受信して処理するために、デジタル成分もしくはアナログ成分、またはそれらの組み合わせを使用してもよい。
【0045】
本開示の文脈において、パルスの「不在」とは、パルスが消滅したこと、または少なくともそれが、「存在する」と思われるパルスと比較して、十分に減少したことを示唆してもよい。存在または不在の評価は、測定信号に基づいてパラメータ値の評価を計算すること、およびパラメータ値を閾値と比較することを含んでもよい。
【0046】
図11は、透析に使用される種類の体外血流回路20の例を示す。体外血流回路20は、動脈針1の形態の血液抽出用のアクセスデバイスと、
図11に示されるプラスチックの種類のもの、または膜ポンプ等のあらゆる他の好適な種類であってもよい、動脈針1を血液ポンプ3に接続する、動脈チューブセグメント2とを具備する。ポンプ3の入口には、動脈チューブセグメント2(「動脈圧信号」の形態)のポンプ3の前の圧力を測定する、圧力センサ4a(以下、動脈センサと称する)がある。血液ポンプ3は、チューブセグメント5を介して、血液を透析装置6の血液側に押し込む。加えて、多くの透析器は、血液ポンプ3と透析装置6との間の圧力を測定する、圧力センサ4bが提供される。血液は、チューブセグメント10を介して、透析装置6の血液側から静脈滴下チャンバもしくは脱気チャンバ11に導かれ、そこから静脈チューブセグメント12、および静脈針14の形態の血液再導入用のアクセスデバイスを介して、患者に戻される。圧力センサ4c(以下、静脈センサと称する)は、(「静脈圧信号」の形態で」)透析装置6の静脈側への圧力を測定するために提供される。示される実施例において、圧力センサ4cは、静脈滴下チャンバ内の圧力を測定する。動脈針またはカテーテル1、および静脈針14は、どちらも血管アクセスを通して患者に接続される。血管アクセスは、瘻孔、スクリブナーシャント、移植片等の、あらゆる適切な種類であってもよい。簡潔にするため、以下の考察は、血管アクセスが瘻孔であると仮定している。
【0047】
図1の一般的な配置に関連して、体外血流回路20は、第1の流体含有システムS1に対応し、血液ポンプ3(ならびに、透析液ポンプ、バルブ等の回路20内の、またはこれと関連する任意のさらなるパルス源)は、第1のパルス発生器3に対応し、患者の血液系は、第2の流体含有システムS2に対応し、患者の生理学的現象は、したがって患者の血液系内に位置付けられる、またはこれと関連する第2のパルス発生器3’に対応する。流体接続Cは、血管アクセスとアクセスデバイス1、14との間の流体接続のうちの1つまたは両方に対応する。
【0048】
図11において、制御ユニット23は、代表的に、血液ポンプ3の回転数を制御することによって回路20内の血流を制御するために提供される。体外の血流回路20および制御ユニット23は、透析器等の体外血液処理用の装置の一部を形成してもよい。さらに示すことも、論じることもないが、このような装置は、例えば、透析液の流れを制御すること、透析液の温度および組成を制御すること等の、多くの他の機能を行うことが分かるであろう。
【0049】
図11において、監視デバイス25は、到来信号を前処理するためのデータ収集部28(例えば、必要とされる最小のサンプリングレートおよび解像度を伴うA/Dコンバータを含む)と、1つ以上の信号増幅器と、オフセット、高周波雑音、および供給電圧擾乱等の到来信号の望ましくない成分を除去する1つ以上のフィルタとを具備する。
【0050】
本明細書に与えられる実施例において、データ収集部28は、1kHzのサンプリングレートおよび16ビットの解像度を伴うNational Instruments社製のDAQカードUSB−6210と、Analog Devices社製の演算増幅回路AD620と、(代表的に、高周波雑音を除去するための)402Hzのカットオフ周波数を伴うローパスフィルタと一緒の、(代表的に、信号オフセットを除去するための)0.03Hzのカットオフ周波数を伴うハイパスフィルタとを具備する。短い収束時間を得するために、ローオーダーフィルタがフィルタに使用される。さらに、データ収集部28は、関心の周波数間隔の外側にある擾乱を抑制するために、上下のカットオフ周波数を伴う、付加的なバンドパスフィルタを含んでもよい。
【0051】
前処理データは、本発明の信号分析を実行する主データ処理部29への入力として提供される。
【0052】
本発明の実施形態は、被験者の身体に起こる生理学的現象が、被験者の血圧を変動させるという事実を利用する。これらの変動は、順々に、流体接続、チューブセグメント、チューブセグメント内の流体(血液/空気)、任意の中間流体チャンバ(例えば、滴下チャンバ11)、およびその中の流体を介して、体外血流回路内の1つ以上の圧力トランスデューサに伝わることが分かっている。故に、信号分析によって、これらの圧力変動を抽出し、その後、現象を表す信号の速度、振幅、位相、および形状を抽出することが可能である。この情報は、例えば、被験者の呼吸速度および呼吸の深さを観察する際に、医療スタッフに有用であり得る。
【0053】
信号分析の実施は、例えば、デジタルフィルタによって、機械的フィルタ(例えば、リストラクタ、コンプライアンスボリューム)によって、または電子回路(例えば、その目的専用のアナログフィルタまたはデジタル回路)によって、コンピュータ内でソフトウェアアルゴリズムを実行することによって行われてもよい。
【0054】
したがって、例えば、呼吸、血圧、および温度調節に関する測定データは、有利に、体外循環中にオンラインで連続的に提供され得る。測定データは、余分な使い捨て器具または余分な血液アクセスを作製することを必要とせずに、大部分の体外処理系から取得可能である、センサ情報から決定されてもよい。
【0055】
したがって、本発明の実施形態は、特に透析治療中の患者のバイタルサイン(例えば、呼吸速度および振幅、ならびに自律調節)の提供を可能にする。
【0056】
本発明の実施形態は、生理学的信号を被験者の心臓以外の他の起源と識別するための、装置、コンピュータ実施の方法、およびコンピュータプログラム製品として実施されてもよい。これは、例えば被験者の血管アクセスの中に挿入された針またはカテーテルを介して、被験者の身体と直接静圧接触するチューブ/容器から獲得される信号の分析によって達成される。
【0057】
本発明に関連する生理学的信号は、例えば、被験者の身体の反射、自発的筋肉収縮、非自発的筋肉収縮、呼吸から生じてもよく、または患者の身体の自律調節に関連する信号に由来してもよい。これらの現象のうちのいくつかの周波数範囲は、通常、以下の通りである。
−呼吸:約0.25Hzを中心とする周波数を伴う約0.15〜0.4Hz
−自律系による血圧調節:約0.1Hzを中心とする周波数を伴う約0.04〜0.14Hz
−自律系による温度調節:約0.05Hzを中心とする周波数を伴う約0.001〜0.1Hz
簡潔に説明するために、以下の説明は、より幅広い応用範囲を排除することなく、透析分野を参照するものとする。分析を受けるシステム信号は、透析処理中に、血液ラインの静脈側および/または動脈側(それぞれ、
図11のセンサ4cおよび4aを参照)において、圧力センサによって送達されるものと仮定する。しかしながら、患者から関連する生理学的信号に関する同等の情報を搬送するのであれば、他の種類のセンサ(例えば、フォトプレチスモグラフィセンサ(PPG)等の光センサ、歪ゲージおよび加速度計等の変位センサ)を使用してもよいことが予想され得る。
【0058】
図4は、本発明の実施形態に従って監視デバイス25によって実行された、信号分析プロセス400のステップを示す、フローチャートである。それは、例えば静脈または動脈圧センサから、多数の圧力誘発信号成分を含む、測定信号401を受信することによって開始される。信号分析プロセスは、前処理部402、信号抽出部403、および分析部404に分割されてもよい。前処理部402は、データ収集部28に関連して上記の節で詳述されているように、信号雑音(例えば、測定雑音)および信号オフセットの除去または削減を含む。信号抽出部403は、体外流体系のパルス発生器から生じる圧力アーチファクトの除去または削減と、関連する生理学的現象から生じる圧力データの分離とを含む。本開示の文脈において、「圧力データの分離」405は、何らかの不要な生理学的現象によって引き起こされる圧力調整を含まない、または実質的に含まない、時間依存性の信号(また、本明細書で、モニタリング信号も表す)を生成するプロセスを表す。そのような不要な生理学的現象は、異なる応用間で異なり得るが、一般に、少なくとも心拍を含む。信号雑音および信号オフセット(前処理部402を参照)の除去、ならびに圧力アーチファクトの除去は、圧力データ分離のためのアルゴリズムに含まれてもよい。例えば、測定信号は、信号雑音、および/または信号オフセット、および/または圧力アーチファクトが、測定信号から除去されるような方法で、呼吸信号を分離するように、バンドパスフィルタリングされてもよく、またはローパスフィルタリングされてもよい。したがって、圧力アーチファクトの除去は、圧力データの分離の前、その後、またはその間に行われてもよい。
【0059】
分析部404の事前分析ステップ406において、例えば関連する生理学的現象の速度、振幅、および位相の抽出のために、1つ以上の特定の信号分析アルゴリズムが適用される。事後分析ステップ408では、1つ以上の所定の基準に基づいて、例えばステップ409での異常の検出によって、およびステップ410での流体接続の完全性の検出によって、生理学的またはシステムの特性の種々の異常の徴候について、例えばパターン認識によって、信号分析アルゴリズムの出力407が分析される。ステップ409の結果は、医療スタッフに示され(例えば、表示され)、異常を検出、追跡、または予測する、あるいは是正処置を取るように、例えば患者の呼吸速度および呼吸の深さを観察する際に有用であり得る。
【0060】
以下、人間または動物の生理学的現象(例えば、反射、自発的筋肉収縮、非自発的筋肉収縮、呼吸系、血圧調節のための自律系、および体温調節のための自律系)をより詳細に説明する。これらの現象はまた、それらが血圧変動を生成するので、生理学的パルス発生器と称されてもよい。
【0061】
通常、動脈血圧は、呼吸中に、波状の様式で4mmHg〜6mmHgだけ調整される。深い呼吸は、20mmHgの血圧変動をもたらし得る。
【0062】
被験者の動脈血圧の呼吸誘発調整には、次のような複数の理由がある。
−脳の交感制御系の異なる部分間の「クロストーク」。呼吸中枢の信号は、血圧変動を引き起こす血管運動の状態を制御する中枢に波及する。血管運動とは、収縮および膨張によってその直径を変化させる血管に対する作用を指す。
−呼吸は、心拍出量および血圧を調整する心拍数を調整する。
−呼吸中の胸腔内の圧力の変動による心拍出量の調整。吸気時、心臓のポンプ容積を代償にしてより多くの血液が胸内の血管に含有されるので、心臓の左心室には、より少ない血液量が供給される。よって、血圧は、心拍出量が変動するにつれて変化する。
−呼吸による心臓の圧受容器の興奮。これは、血圧が変化することによって圧受容器の伸縮性に交感神経系が反応するので、血圧の調整を引き起こす。
−仰臥位置の患者の呼吸中の胸の上昇および下降による静水圧の変化。吸気時、重心が上昇して、上昇した圧力を引き起こす。
【0063】
図2は、静脈および動脈圧センサ(
図11の4c、4aを参照)によって透析処理中に記録された静脈および動脈圧信号の信号抽出処理(
図4の402〜403を参照)によって生成された、静脈201(点線)からの、および動脈202(破線)からの同期呼吸信号を示す。「呼吸信号」とは、本明細書で使用される場合、患者の吸入および呼気の反復サイクルを代表/反映する信号を示す。第3の曲線203(実線)は、呼吸流れのCO
2の測定に基づいて、外部カプノグラフィによって提供される呼吸信号の参照を示す。
図3は、
図2の呼吸信号と同様のプロットであり、静脈および動脈圧信号から抽出した呼吸信号201、202の振幅が、それぞれ、カプノグラフィ信号203によって与えられる呼吸の深さに従って変化することを示す。
【0064】
血管運動性振動は、約7秒〜約26秒の長さ、および約10mmHg〜約40mmHgの振幅を伴うサイクルで血圧の中に現れる。この現象は、入力信号として圧受容器を伴う血圧のための交感制御系の自己振動によって生じる。
【0065】
自律系はまた、温度変化に対する血管運動反応の調節を介して、身体の温度制御も含む。低温時には、例えば、身体のエネルギーを節約するために細動脈が収縮し、より高い血圧を引き起こす。血圧制御系によって引き起こされる血管運動性振動と同様に、温度制御系も血圧の周期変動を引き起こす。温度サイクル速度は、通常、約0.05Hzを中心とする。
【0066】
図5は、温度調節の周波数範囲における自律制御系の振動により
図11の圧力センサ4cによって測定された、静脈圧信号からの呼吸信号502の調整501を示す。
【0067】
最も単純な場合の圧力信号分析において、いかなるポンプまたは圧力アーチファクトの他の発生源も、データ収集中に被験者に接続される体外流体回路の中に存在しない。例えば、ポンプは、閉鎖されている場合がある。
【0068】
しかしながら、一般の場合において、データ取得中には、1つ以上のポンプが作動中であるか、または周期的もしくは非周期的、反復もしくは非反復アーチファクトの他の発生源が存在する。周期的擾乱に関する情報は、外部の発生源(例えば、他のセンサまたはコントローラ)から分かり得るか、またはシステムパラメータ(例えば、血流速度)から推定もしくは再現され得る。
【0069】
周期的圧力アーチファクトは、蠕動ポンプの動作、弁の反復作動、チャンバを平衡化する際の膜の運動から生じ得る。本発明と関連した発見によれば、アーチファクトはまた、例えばポンプによって励起される血液ラインの揺動運動等の、システム構成要素の機械的共振からも生じ得る。血液ラインの運動の周波数は、チューブの長さおよび高調波によって、ならびに含まれる任意の周波数間の、すなわち、異なる自己振動とポンプ周波数との間の拍動によって与えられる。これらの周波数は、静脈および動脈ライン間で異なり得る。血液ラインおよび他の固定されていない構成要素の機械的固定は、機械的共振の問題を修正し得る。その代わりに、血液ラインと関連する固有周波数を識別するために、血液ラインに触れるか、または揺らすように操作者に指示してもよく、情報は、関心の圧力データに属さない成分の改善された除去のための分析に使用され得る。
【0070】
非周期的アーチファクトの例は、被験者の運動、弁の作動、チューブの運動等である。
【0071】
以下、信号抽出(
図4の403を参照)のための種々の技術を簡潔に論じる。
【0072】
信号抽出
以下、種々のアーチファクトを除去するための実施形態を記載する。次いで、関連する生理学的現象から生じる圧力データを分離するための実施形態を記載する。
【0073】
抽出される圧力データは、単一の生理学的現象に限定されず、心臓を除く、1つ以上の生理学的現象から生じてもよい。
【0074】
アーチファクトの除去
アーチファクトの除去は、以下によって提供されてもよい。
−ポンプ等の体外流体系のパルス発生器を制御する
・パルス発生器を一時的に閉鎖する、または
・パルス発生器の周波数を偏移させる
−ローパス、バンドパス、またはハイパスフィルタリング
−周波数領域におけるスペクトル分析およびフィルタリング
−時間領域フィルタリング
パルス発生器の制御
体外血流回路内のポンプデバイス等のパルス発生器からのアーチファクトは、パルス発生器を一時的に閉鎖することによって、またはパルス発生器の周波数を1つ以上の関連する生理学的現象の周波数から離して偏移させることによって、回避され得る。
【0075】
完全性を検出(
図4のステップ410を参照)するための圧力データの使用を特に参照すると、アーチファクトは、独立した発生源(例えば、カプノグラフ計器)からの関連する生理学的信号(例えば、呼吸信号)に関するフィードバック制御によって除去され得る。したがって、そのようなフィードバック制御は、圧力信号内の関連する生理学的信号の検出に最適なポンプ周波数を設定するために使用され得る。例えば、
図11の制御ユニット23は、関連する生理学的信号の検出を容易にするために、外部信号に基づいてポンプ周波数を設定するように動作させてもよい。すなわち、ポンプ周波数は、ポンプと、関連する生理学的現象との間の周波数の重なりを最小化するように制御される。
【0076】
ローパス、バンドパス、またはハイパスフィルタを適用することによるアーチファクト除去
測定した信号は、外部回路内のポンプ等のパルス発生器に対応する、周波数範囲および/または周波数範囲の中心等の適切な周波数特性を伴うフィルタ(例えば、デジタルまたはアナログ)に送ってもよい。例えば、ポンプ等のパルス発生器が1Hzの周波数範囲内で動作する場合は、1Hz以下の生理学的現象の周波数を取得するために、適切なローパスフィルタが適用されてもよい。それに応じて、パルス発生器よりも高い周波数を伴う生理学的現象を取得するために、ハイパスフィルタが適用されてもよい。
【0077】
周波数領域におけるスペクトル分析およびフィルタリング
スペクトル分析を用いて、スペクトル内の振幅ピークの検出および除去は、例えば、高速フーリエ変換(FFT)法によって行われてもよい。その代わりに、FFT法等によって識別される1つ以上の周波数で、ノッチフィルタ等を適用することによって達成されてもよい。
【0078】
時間領域フィルタリング
時間領域におけるフィルタリングによるアーチファクトの除去は、付録Aにおいてさらに開示および例証される。付録Aに加えて、本出願人のPCT公開第WO2009/156175号も参照し、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0079】
生理学的現象からの圧力データの分離
関連する生理学的現象(
図4の405を参照)から生じる圧力データの分離は、次のうちの何れか、または組み合わせによって提供されて得る。
−ローパス、バンドパス、またはハイパスフィルタリング
−周波数領域におけるスペクトル分析およびフィルタリング、また
−時間領域フィルタリング
ローパス、バンドパス、またはハイパスフィルタを適用することによる圧力データ分離
測定信号は、例えば分離を考慮した場合に、関連する生理学的現象の信号に対応する、周波数範囲および/または周波数範囲の中心等の適切な周波数特性を伴うフィルタ(例えば、デジタルまたはアナログ)に送ってもよい。
−呼吸については、約0.15〜0.4Hzの周波数範囲がフィルタを通過することができる
−自律系による血圧調節については、約0.04〜0.15Hzの周波数範囲がフィルタを通過することができる、および
−自律系による温度調節については、約0.001〜0.1Hzの周波数範囲がフィルタを通過することができる
周波数領域におけるスペクトル分析およびフィルタリング
スペクトル分析を用いて、スペクトル内の振幅ピークの検出および除去は、例えば、高速フーリエ変換(FFT)法によって行われてもよい。その代わりに、FFT法等によって識別される1つ以上の周波数で、ノッチフィルタ等を適用することによって達成されてもよい。
【0080】
時間領域フィルタリングによる圧力データの分離
関心の信号は、適応フィルタの誤差信号として、圧力信号から抽出されてもよい。適応フィルタには、測定信号および周期的擾乱の予測信号プロファイルが送られる。周期的擾乱は、何らかの不要な生理学的現象(例えば、心臓脈動)から生じ得る。特に、心臓から生じる再現された圧力プロファイルは、適応フィルタに入力され得る。測定信号から不要な信号成分を除去するための、このおよび他の時間領域フィルタリング技術は、以下の付録Aにおいてさらに開示および例証される。付録Aは、ポンプデバイス等の体外回路内のパルス発生器から生じる第1のパルスを除去することに関するが、第1のパルスの予測信号プロファイルが取得されるのであれば、不要な生理学的現象から生じる第1のパルスを除去するために、同様に適用可能である。当業者は、そのような予測信号プロファイルが、付録Aに記載されている方法のうちの何れかで取得され得ることを認識している。付録Aに加えて、本出願人のPCT公開第WO2009/156175号も参照し、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0081】
前述したフィルタリング技術のうちのいくつかは、ダウンサンプリング信号処理アルゴリズムに含まれるアンチエイリアシングフィルタでダウンサンプリングすることによって、自動的に達成され得る。加えて、前述のフィルタリング技術のうちのいくつかはまた、適切なサンプリング周波数を選択することによって、ハードウェア(例えば、アナログ−デジタル変換)で、すなわち、サンプリングの前に適用されるアンチエイリアシングフィルタにより、直接的に達成され得る。
【0082】
異常の検出
この節は、睡眠時無呼吸、過呼吸症候群、咳等(
図4の409を参照)の、種々の生理学的異常の検出、提示、追跡、および予測に関する。それは、体外の流体系から獲得される圧力信号から抽出される、生理学的信号の分析に基づく。
【0083】
一般のレベルに関して、生理学的異常の検出、提示、追跡、および予測は、前述の信号抽出からもたらされる分離された圧力データに基づいて、評価パラメータ値を計算することを含んでもよい。次いで、評価パラメータ値は、生理学的異常を検出するためのプロセスの一部として分析される。本明細書で使用される場合、「追跡」とは、分離された圧力データ自体によって、または分離された圧力データから抽出した絶対/相対パラメータ値によって反映されるような生理学的現象を、連続的または断続的に決定/傾向付けするプロセスを示す。本明細書で使用される場合、「異常の予測」とは、前もって異常を通知すること、および/または異常が存在または現れる危険性を推定することを含み得る。
【0084】
そのような評価パラメータ値を計算するための異なる技術は、付録Bにおいてさらに開示および例証され、そこで、分離された圧力データは、第1のパルス(例えば、ポンプパルス)を本質的に取り除いて、一方で第2のパルス(例えば、心臓パルス)を保持するように、少なくとも1つの測定信号を処理することによって取得される、時間依存性のモニタリング信号に対応する。付録Bにおいて、得られた時間依存性のモニタリング信号は、時間領域分析を受けてもよく、これは、患者の脈管系と体外血流回路との間の流体接続の完全性をモニタリングするために使用される、評価パラメータ値をもたらす。タイミング情報の使用を含む、信号処理および心臓パルスの評価に関して付録Bに開示されている全ての技術は、種々の生理学的異常を検出する目的で、呼吸、体温の自律調節、および血圧の自律調節、またはそれらの組み合わせ等の、他の生理学的現象を評価するためにも同様に適用可能である。付録Bに加えて、本出願人のPCT公開第WO2009/156174号も参照し、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0085】
当然、他の種類の時間領域分析、ならびに異なる種類の周波数領域分析(例えば、以下に示されるもの)を含む、評価パラメータ値を計算するための他の技術もある。
【0086】
患者の病歴(例えば、心臓の状態、血圧、心拍数)等の他の要因も、種々の生理学的異常の検出およびモニタリングの性能を改善するために利用されてもよい。
【0087】
以下の節は、動脈または静脈圧信号の中で検出され得る、異なる生理学的異常の範囲を表す。特に言及されていない限り、診断目的で、安全、および監視のために、これらの異常を検出またはモニタリングすることに医学的関心事であると仮定する。
【0088】
1つの呼吸異常は、周期性呼吸異常であり、これは、被験者が、反復的な様式でしばらくの間深く呼吸し、その直後に、ほんのわずかしか、または全く呼吸しないことを意味する。周期性呼吸の1つの種類は、チェーンストークス呼吸と呼ばれる。
図6は、チェーンストークス呼吸603の例を示し、また、肺(肺臓)血液の圧力P(CO2)160、および脳の呼吸中枢の流体の圧力P(CO2)162の遅延変化が、深い呼吸604の状態を引き起こす呼吸中枢605をどのように興奮させるのかを示す。それは、フィードバック制御が適切に機能するのを可能にするための、肺から脳の呼吸中枢への血液の輸送が(例えば心不全によって)大幅に遅延することによって引き起こされ得る。例えば脳損傷による呼吸中枢の機能的問題も、周期性呼吸の理由であり得る。
【0089】
周期性呼吸およびそのサイクルは、本発明に従って、フィルタリング、包絡線検波(例えば、ヒルベルト変換)、またはパターン合致を介して、時間および周波数領域の両方で検出され得る。
【0090】
他の呼吸異常には、少なくとも10秒間呼吸が停止するものとして分類される無呼吸、および、血液の酸素飽和度の4%の減少を伴う、少なくとも10秒間50%(しかし、100%未満)の呼吸量が減少するものとして分類される減呼吸が挙げられる。呼吸低下は、非常に浅い呼吸または異常に低い呼吸速度の発症を含む、異常である。これは、若干の空気の流れが残るという点で無呼吸とは異なる。呼吸低下イベントは、眠っている間または起きている間に起こり得る。
【0091】
睡眠時無呼吸は、特定の呼吸パターンの反復として現れ得る。これは、それぞれ、
図7の気流701、胸郭702の運動、および腹部703の運動を表す、3つの曲線に見られ得る。無呼吸の2つの主な種類は、中枢性および閉塞性と称され、
図7においてCAおよびOAで示される。Nは、正常な呼吸を示す。中枢性無呼吸は、脳の呼吸中枢の不調によって引き起こされるが、閉塞性無呼吸は、睡眠中の患者の呼吸経路の遮断によって引き起こされる。
【0092】
圧力信号分析から提供される呼吸信号内のこの種のパターンを識別することによって、無呼吸が検出され得る。睡眠時無呼吸または呼吸低下の検出基準は、例えば、睡眠1時間あたり5回以上の無呼吸または呼吸低下の発症として定義されてもよい。
【0093】
さらに、例えばアヘンベースの薬物または他の中枢神経系(CNS)抑制薬を過量服用した後の、重篤で生命に危険のある状態の患者は、呼吸が停止するか、または呼吸速度が著しく減少し得る。常に観察されていない患者(例えば、家庭透析処理を行っている患者)は、呼吸の停止を自動的に検出することができれば、危険な状態から助けることができる。換気低下の検出基準は、速度に関連し得、例えば、正常な呼吸(例えば、約0.15Hz)より低い周波数範囲に設定されてもよいが、この状態が少なくとも特定の長さ(例えば、約30秒)にわたって優勢であることを条件とする。呼吸信号の低い振幅はまた、単独で、または速度に関連する検出基準と組み合わせて、換気低下の指標として使用されてもよい。
【0094】
狭心症、左室肥大、心臓発作、または鬱血性心不全等の心臓病は、時に、変則的な心拍リズム、異所性拍動、および咳を介して表れる。心臓のいかなる監視(例えば、心電図(ECG))も存在しない場合、咳の識別は、しばしば、透析患者の心臓病の臨床マーカーとして使用される。激しい咳はまた、感染またはアレルギー反応も示し得、これは、くしゃみにも当てはまる。
【0095】
咳およびくしゃみは、外部計器から取得される生理学的測定に影響を与える場合があり、咳は、(例えば、パルス酸素濃度計で測定した)PPG信号に誤差を導入することが知られている。したがって、咳またはくしゃみの検出はまた、他の生理学的測定における誤差およびアーチファクトの修正手順に使用されてもよい。例えば、咳は、血圧低下を予測するためのPPGベースの方法において誤警報を誘発し得ることが知られている。
【0096】
したがって、本発明の実施形態において、咳およびくしゃみの検出はまた、血圧低下を予測するためのPPGベースの方法における誤警報の数を低減するためにも使用され得る。咳およびくしゃみ反射は、最大2.5リットルの空気の迅速な吸気を含み、その後に、腹筋および呼吸筋の強い収縮が続き、空気が高速度で噴出される前に、肺の圧力の急速な増加(≧100mmHg)を引き起こす。2つの段階(吸気および呼気)の肺の圧力変動は、対応する血圧の変化を引き起こし、この変化は、体外回路の圧力測定値に見られる。咳およびくしゃみは、例えば、特定の限度よりも大きくかつ特定の範囲内の持続期間を伴う非周期的圧力ピークによって、または、咳またはくしゃみを表す、標準化または個別化された圧力プロファイルに対するパターン合致によって、正常な呼吸信号の乱れとして検出され得る。
【0097】
ストレス下状態(例えば、パニック発作を患っている)の患者は、より高い速度で呼吸し得、これは、過呼吸症候群をもたらし得る。それはまた、種々の肺疾患、頭部外傷、心臓発作、および種々の呼吸異常(例えば、中枢神経性過呼吸、持続性吸息呼吸、運動失調呼吸、チェーンストークス呼吸、またはビオー呼吸)の結果としても起こり得る。また、代謝性アシドーシスの場合、身体は、血液の酸性度を減少させるための補償機構として、過呼吸症候群を使用する。透析患者は、例えば、過呼吸症候群の引き金となる、アシドーシスを患っている場合がある。
【0098】
過呼吸症候群は、血液の二酸化炭素濃度をその正常なレベルよりも低く減少させ、その結果、血液のpH値を上昇させ、血液をよりアルカリ性にするので、血液化学(pCO
2、pHおよびpO
2)の擾乱による危険性の増加と関連付けられる。アルカリ性の血液化学は、脳に供給する血管の収縮を起こし得、また、神経系の機能に必要な電解質の輸送を妨げ得る。
【0099】
過呼吸症候群は、常時ではないが、手、足、および唇のしびれまたは疼き、立ちくらみ、めまい、頭痛、胸痛、不明瞭な発話、および時に失神等の症状を引き起こす。
【0100】
過呼吸症候群は、例えば、圧力分析から生成した呼吸信号の速度が正常な上側の範囲よりも高い(例えば、約0.4Hz、特に約0.8Hz)場合に示され得る。
【0101】
喘息発作は、肺管の鬱血によって生じ、これは、特に、その肺からの排気に対する被験者の能力を低減する。換気の流れおよび速度は減少し、一方で呼吸努力は増加する。したがって、呼吸サイクルは、明らかに乱され、これは、例えば換気と比較して比較的により短い吸気を伴う、異常な呼吸速度として検出され得る。長期の呼気段階の間の異常に高い圧力振幅も、喘息発作を検出するために使用されてもよい。
【0102】
本発明の一実施形態において検出され得るさらなる異常は、癲癇であり、これは、繰り返し起こる無熱性発作によって特徴付けられる一般的な慢性神経障害である。これらの発作は、異常な、過剰な、または同期の脳内神経細胞の活動の一時的な徴候および/または症状である。発作は、身体の運動または機能、知覚、認識、または挙動の非自発的な変化を引き起こす可能性がある。特に、それは、筋肉の急な伸長による、一連の不随意筋の収縮を含み得る。これらは、(例えば、上昇または周期的変化によって)被験者の血圧に影響を及ぼし得、その結果、体外回路の静脈および動脈圧を変化させ得る。発作は、数秒から、診療行為がなければ止められない持続性発作を伴う癲癇様の重篤な状態まで持続する可能性がある。
【0103】
標準的な呼吸はまた、被験者が話している時、または食事をしている時に途絶することも明らかである。対応する測定/呼吸信号は明確なパターンを示さないが、それは、例えば、多変量統計的手法による統計学的パターン分析によって、または、例えばマイクロホンまたは血量センサ(血量は、食物摂取に応答して減少することが知られている)を用いた外部または内部の付加的な信号抽出によって検出され得る。発話または食物摂取の検出は、測定信号がそのような発話/食物摂取中の異常を検出するために使用されることを防止するように行われてもよい。その代わりにまたはさらに、発話の存在は、約3.5〜4Hzを超える(典型的に約100Hzを超える)周波数領域内の測定信号を分析することによって検出することができる。確実性を高めるためには、対応する音声信号が、複数の圧力センサ(例えば、
図4の動脈および静脈圧センサ4a、4c)からの測定信号の中に見出されることが必要とされ得る。
【0104】
動脈および静脈圧信号の信号レベルは、他の生理学的機構により、急激に変化し得る。腹筋の収縮は、血圧の上昇を引き起こし、結果的に、動脈および静脈の圧力信号の信号レベルの断続的な上昇も引き起こす。この医学的に関連する例は、嘔吐であり、これは、深い呼吸があり、その後に腹筋の強い収縮および横隔膜の下降が続くものとして識別され得る。激しい反復性しゃっくりの検出も対象になり得る。これらの種類の反射制御現象は、標準パターンに対する合致によって検出することを可能にする、典型的なパターンを有する。
【0105】
透析中、特に夜間透析中に検出される異常は、自動的に臨床スタッフに直接的に通信してもよく、またはオフラインのモニタリング、診断、もしくは統計学的目的のために、コンピュータシステムに記憶してもよい。また、異常を防止するように、直接的なフィードバックとして患者、医療スタッフ、および/または機械システムに提供されてもよい。
【0106】
例えば、患者を、例えば透析処理中に、常に観察することができない場合、透析器の自動検出を介して、咳、無呼吸、または癲癇等の逸脱した呼吸パターンを識別することが有益であり得る。医療スタッフには、通知信号を介して、または通信チャネルによって、移行の検索のためにサーバ等に送信される、情報として直接的に知らせてもよい。
【0107】
通知または警報は、例えば、喘息発作、咳、または無呼吸の期間が所定の限度を超えた時に、または嘔吐が検出された場合に、患者の呼吸等の正常な生理学的パターンからの偏差の検出に応じて発行してもよい。
【0108】
血圧変動(BPT)に付随して起こる異所性拍動の検出
本発明の実施形態はさらに、体外回路から連続的に獲得される圧力信号の信号抽出処理によって生成される生理学的信号のモニタリングによって、血圧変動(BPT)イベントに付随して起こる異所性拍動を検出するための方法に関する。したがって、BPTイベントを検出する血圧測定のための外部計器だけでなく、BPTイベントを生成する異所性拍動(EBCとも示される)の存在を計数するために必要な心臓モニタリング用の外部計器も必要としない。
【0109】
被験者の血圧は、心室異所性拍動(VEB)発症後に直接的に調整される。
図8は、健康な被験者のVEBに対するVEB後の反応、すなわち、血圧(BP)反応801)、および突発性拡張型心筋症を伴う患者のVEBに対する血圧反応802を示す。
【0110】
図9は、透析治療中に生じるBPTのイベントを示す。呼吸PBの参照またはベンチマーク信号を提供するために、カプノグラフィデバイスが用いられ、心臓脈動PHの参照またはベンチマーク信号は、パルス酸素濃度計によって生成される。体外回路からの静脈圧信号の信号抽出処理は、患者の呼吸系および血圧調節のための自律系から生じる圧力データを分離する、圧力信号PVをもたらす。VEB(
図9において矢印で示される)は、心臓の正常な拍動間の長期間の遅延とみなされる。時系列の圧力の乱れは、VEBの直後に起こり、分離圧力信号PVにおいて識別することができる。より正確であるように、分離圧力信号PVは、VEBの時間まで、呼吸を反映する。VEBの後、分離圧力信号PVは、呼吸およびBPTの組み合わせ効果を反映し、BPTイベントが消えた後(
図9において約15秒後に)は、呼吸だけが残る。
図9は、呼吸信号が存在する場合でも、BPTイベントを分離圧力信号PVにおいて検出できることを示す。静脈圧信号は、血圧調節のための自律系から圧力データだけを分離するように、呼吸信号もまた除去するために処理されてもよいことが分かるであろう。
【0111】
図10は、体外回路内の圧力センサから、それぞれ、静脈圧信号および動脈圧信号の信号抽出処理によってBPTイベント中に取得された、分離された圧力信号PV、PAを示す。示されるように、分離圧力信号は、呼吸およびBPT成分の両方を含む。この図は、静脈および動脈部位の両方からの圧力測定値を、体外循環中のBPTイベントを検出するために使用してもよいことを示す。随意に、BPT成分は、呼吸成分を除去することによって分離されてもよい。
【0112】
BPTイベントの検出は、例えば、次のような異なる方法もよって行うことができる。
−BPTのスペクトル成分は、約0.04〜0.15Hzの低い周波数範囲内にあり、周波数が、典型的に、約0.1Hzを中心とするのであれば、静脈および/または動脈圧信号のバンドパスフィルタリング。
−BPTイベントの正規化圧力プロファイルを伴う、1つ異常の分離された圧力信号PV、PA(例えば、血圧調節のための自律系、あるいはまた呼吸系から生じる圧力データを分離し得る)の相関。相関係数が特定の限度よりも大きい場合は、BPTイベントが検出される。
−複数の異なるVEBの後の、分離された圧力データ(例えば、血圧調節のための自律系、あるいはまた呼吸系から生じ得る)を平均化する。平均化は、複数の圧力センサ(例えば、
図4の動脈および静脈圧センサ4a、4c)から取得される分離された圧力信号を組み合わせる(加える)こと、または1つの分離された圧力信号に時系列セグメントを組み合わせる(加える)ことを含んでもよい。
【0113】
BPTイベントの検出は、患者の心臓病の指標として、異所性拍動(すなわち、EBC)の発生および速度を決定するために有用であり得る。また、EBCが、透析誘発性低血圧を検出/予測するために使用され得ることも知られている。
【0114】
分離された圧力信号PVおよびPA以外(例えば、心臓脈動PH)の別の信号にVEBのタイミングを見出すことによって、自律血圧調節の障害または欠如を検出することが可能であり得る。これは、VEBに続くBPTイベントの大きさを評価することによって達成され得る。
【0115】
さらに、減少したBPT(すなわち、自律血圧調節の障害または欠如)を伴う透析患者は、透析誘発性低血圧の傾向があるが、より正常なBPTイベントを伴う透析患者は、低血圧に対する抵抗力がある。臨床的に、この様態で透析患者を分類することが可能であることは、有利であり得る。
【0116】
血圧調節だけでなく、全ての異なる種類の自律調節の障害または欠如の検出は、医学的関心事である。加えて、(障害または欠如と比較して)増強された、または過剰補償された自律調節も医学的関心事である。自律調節の状態(すなわち、障害、欠如、増強、または過剰補償)は、例えば、実際の自律調節を、異なる状態の閾値(および/またはパターン)と比較することによって検出され得る。
【0117】
流体接続の完全性のモニタリング
本発明の実施形態はさらに、被験者の身体における呼吸および/自律調節等の生理学的現象から生じる信号の分析に基づいて、被験者からの体外回路の切断を検出するための、装置、方法、およびコンピュータ実施の方法に関する。
【0118】
図11を参照し、導入として論じると、血管アクセスを通る血液の注入および/または抽出における不調に関して、血管アクセスに対するアクセスデバイス1、14の接続の完全性をモニタリングすることが極めて重要であり得る。多くの透析マシンにおいて、圧力検出器4a〜4cのうちの1つ以上は存在しない。本発明の一実施形態において、血管アクセスと静脈アクセスデバイス14との間の流体接続の完全性は、静脈圧センサ4cからの測定信号に基づいてモニタリングされる。
【0119】
さらに、
図11において、監視/モニタリングデバイス25は、特に患者の心臓以外の生理学的現象から生じる信号成分の存在をモニタリングすることによって、患者と体外血流回路20との間の静脈側の流体接続の完全性をモニタリングするように構成される。そのような信号成分の不在は、流体接続の完全性の不具合の表示(例えば、静脈アクセスデバイス14が、血管アクセスから外れている)として得られ、そして、デバイス25に警報を起動させ、および/または(例えば、チューブセグメント12に対する血液ポンプ3を停止して、クランプデバイス13を起動させることによって)血流を停止させる。監視デバイス25は、少なくとも圧力センサ4cの測定信号を受信するように接続される。デバイス25はまた、圧力センサ4a、4b、ならびに、さらなる圧力センサ(
図11の4a、4b)または専用の呼吸センサ(例えば、カプノグラフィ計器)等の、体外血流回路20に含まれる、またはそれに取り付けられる任意の付加的なセンサにも接続され得る。
図11に示されるように、デバイス25も、制御ユニット23に接続されてもよい。その代わりにまたはさらに、デバイス25が、血液ポンプ3の周波数および位相を示すための測定デバイス26に接続されてもよい。デバイス25は、聴覚/視覚/触覚による警報または警告信号を生成するためのローカルまたはリモートデバイス27に有線または無線接続される。その代わりに、監視デバイス25および/または警報デバイス27が、透析装置の一部として組み込まれてもよい。
【0120】
静脈アクセスデバイス14が外れた場合には、被験者から体外回路20の対応する側の任意のセンサへの全ての生理学的信号の経路が途絶する。これは、結論の確実性をアサートするために、信号分析アルゴリズムによって必要とされる短い遅延の直後に検出され得る。
【0121】
流体接続の完全性は、流体接続全体の圧力波の伝達を検出することによってモニタリングしてもよい。したがって、圧力波発生器は、流体接続の片側および他の側の検出デバイスにある。ある実施形態において、患者の呼吸系は、圧力波生成器として使用されるが、圧力センサは、流体接続の他の側(例えば、アクセスデバイス1、14から、さらに体外回路20内に通じる、チューブセグメントの中)に配置される。さらなる実施形態では、患者の反射、自発的な筋肉収縮、非自発的な筋肉収縮、血圧調節のための患者の自律系、または体温調節のための患者の自律系が、圧力波発生器として使用され得る。さらに他の実施形態では、流体接続の完全性をモニタリングするために、発話の検出が使用される。発話の存在は、約3.5〜4Hzを超える(典型的に約100Hzを超える)周波数領域内の測定信号を分析することによって検出することができる。
【0122】
したがって、流体接続の完全性は、心臓を除く、患者の関連する生理学的現象から生じる圧力パルスの存在または不在に基づいて決定される。存在または不在の評価は、前述の信号抽出からもたらされる分離された圧力データに基づいて評価パラメータ値を計算すること、および評価パラメータ値を閾値と比較することを含み得る。そのような評価パラメータ値を計算するための異なる技術は、付録Bにおいてさらに開示および例証される。前述のように、心臓パルスの抽出、信号処理、および評価に関して付録Bに開示した全ての技術は、呼吸、体温の自律調節、血圧の自律調節、またはそれらの組み合わせ等の、他の生理学的現象に同様に適用可能である。付録Bに加えて、本出願人のPCT公開第WO2009/0156174号も参照し、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。前述の専用の呼吸センサは、付録Bによって教示される評価パラメータ値を計算するために使用されてもよいタイミング情報を提供するように使用されてもよいことが強調され得る。
【0123】
その代わりの実施形態において、評価パラメータ値は、例えばFFTスペクトルで振幅ピークを見出すことによって、分離された圧力データの周波数領域分析に基づいて計算される。
【0124】
さらに他の実施形態では、付録Bにも記載されているが、分離された圧力データが体外回路のパルス発生器からの圧力アーチファクトを含む時に、患者の関連する生理学的現象から生じる圧力パルスの存在および不在は、関連する生理学的現象によって生成される圧力波と、パルス発生器によって生成される圧力波との間の干渉によって形成される、分離された圧力データの拍動(すなわち、振幅調整)を介して検出される。したがって、分離された圧力データ内の関連する生理学的現象によって生成された信号成分を分離しようとする代わりに、そのような信号成分の存在を、拍動の副次的効果を介してそのように識別する。一般に、拍動は、密集した周波数を伴う2つの信号が互いに加えられる時に特に顕著な現象である。したがって、拍動信号の検出は、本質的に、他の技術が失敗する時、例えば、関連する生理学的現象の周波数がパルス発生器(例えば、体外回路内のポンプデバイス)の周波数成分の近くにある時に使用されることが適切である。
【0125】
検出をより困難にし得る、ポンプおよび生理学的信号の重なり合う周波数を回避するために、適切な生理学的信号を実際のポンプ速度に応じて選択してもよく、またはポンプ周波数を関連する/選択した生理学的現象の周波数に応じて変えてもよい。例えば、典型的な透析器(5ml/ポンプストローク以下)の蠕動血液ポンプに関して、呼吸信号は、実質的に>120ml/分(すなわち、>0.4Hz)および<45ml/分(すなわち、<0.15Hz)の範囲の血流速度に適用可能である。その場合、自律信号は、>45ml/分の血流速度に適切である。これは、1つを超える生理学的信号が、ある周波数の間隔でのアクセスデバイスの外れを検出するのに適切であり得る。例えば付録Aに従って分離されて付録Bに従って処理された心臓信号は、他の生理学的信号のうちの何れかと組み合わせて、外れの検出に使用され得ることに留意すべきである。したがって、監視デバイス25は、周波数の重なりを回避するように、例えば血流速度またはポンプ周波数に基づいて、異なる検出モード間で能動的に切り替えるように構成されてもよく、異なるモードは、異なる生理学的現象から圧力データを分離すること、および関連する生理学的現象から生じる信号成分の不在/存在に基づいて、外れを検出することを含んでもよい。
【0126】
外れを検出するための許容される検出時間は、最大許容失血および実際の血流に依存する。これは、例えば呼吸によって流体接続の完全性の検出、または自律信号が、上限よりも高い血流で適用可能でない場合があることを意味する。例えば、静脈アクセスデバイスの外れから検出までの最大失血が200mlであり、かつ自律信号による検出時間が120秒であると仮定すると、その場合に許容される血流は、約100ml/分未満でなければならない。
【0127】
前述の実施形態において、データ収集部28および主処理部29を含む、監視/モニタリングデバイス25の機能の全てまたは一部は、専用のハードウェアによって、および/または1つ以上の汎用または特殊用途コンピュータデバイス上で動作する特殊用途ソフトウェア(またはファームウェア)によって提供され得る。この文脈において、そのようなコンピュータデバイスの各「要素」または「手段」は、方法ステップの概念的同等物を指すことが分かるであろう。ハードウェアまたはソフトウェアルーチンの要素/手段と特定の部分との間には、必ずしも1対1の対応関係があるわけではない。一体型ハードウェアは、時に異なる手段/要素を具備する。例えば、処理ユニットは、1つの命令を実行する時に、1つの要素/手段としての役割を果たすが、別の命令を実行する時には、別の要素/手段としての役割を果たす。加えて、1つの要素/手段は、いくつかの場合において、1つの命令によって実施され得るが、いくつかの他の場合では、複数の命令によって実施され得る。そのようなソフトウェア制御のコンピュータデバイスは、1つ以上の処理ユニット(例えば、CPU(「中央処理ユニット」))、DSP(「デジタルシグナルプロセッサ」)、ASIC(「特定用途向け集積回路」)、離散型アナログおよび/またはデジタル構成要素、またはFPGA(「フィールドプログラマブルゲートアレイ」)等の、他の何らかのプログラマブル論理装置を含んでもよい。コンピュータデバイスは、システムメモリと、システムメモリを含む種々のシステム構成要素を処理ユニットに連結する、システムバスとをさらに含んでもよい。システムバスは、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、および種々のバスアーキテクチャのうちの何れかを使用するローカルバスを含む、何種類かのバス構造のうちの何れかであってもよい。システムメモリには、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、およびフラッシュメモリ等の、揮発性および/または不揮発性メモリの形態のコンピュータ記憶媒体が挙げられる。特殊用途ソフトウェアは、システムメモリに記憶されてもよく、または磁気媒体、光媒体、フラッシュメモリカード、デジタルテープ、固体RAM、固体ROM等のコンピュータデバイスに含まれる、またはこれらにアクセス可能である、他の着脱可能/着脱不可能な揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体に記憶されてもよい。コンピュータデバイスは、シリアルインターフェース、パラレルインターフェース、USBインターフェース、無線インターフェース、ネットワークアダプタ等の、1つ以上の通信インターフェース、ならびに、A/Dコンバータ等の、1つ以上のデータ収集デバイスを含んでもよい。特殊用途ソフトウェアは、記録媒体、リードオンリーメモリ、または電気搬送波信号を含む、あらゆる適切なコンピュータで読み取り可能な媒体でコンピュータデバイスに提供されてもよい。
【0128】
本明細書に記載された好適な実施形態に対する種々の変更および修正が、当業者に明白になることを理解すべきである。このような変更および修正は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、またその付随の利点を減じることなく行ってもよい。したがって、このような変更および修正が、添付の特許請求の範囲に包含されることを意図している。本文内での「a」、「an」、「1つの」、および「第1の」という記述は、1つ以上として解釈されるべきである。
【0129】
以下、上記に開示したような本発明のいくつかの態様および実施形態を要約するために、一組の]項目を列挙するが、場合により、付録AおよびBの内容と組み合わせて取り込まれる。
【0130】
項目1:被験者の脈管系(S2)に接続された体外流体系(S1)内の圧力センサ(4a−4c)によって取得される測定信号を処理するための方法であって、測定信号を受信するステップと、該被験者における第1の生理学的現象から生じる圧力データの識別のために、該測定信号を処理するステップであって、該生理学的現象は、該被験者の心臓を除く、ステップと、を含む。
【0131】
項目2:該生理学的現象は、反射、自発的筋肉収縮、非自発的筋肉収縮、該被験者の呼吸系、該被験者の血圧調節のための自律系、および該被験者の体温調節のための自律系からなる群に含まれる、項目1に記載の方法。
【0132】
項目3:該生理学的現象は、反復生理学的パルス発生器である、項目1に記載の方法。
【0133】
項目4:処理するステップは、周波数領域内の測定信号をフィルタリングすることを含む、項目1〜3の何れかに記載の方法。
【0134】
項目5:処理するステップは、周波数領域内の測定信号をフィルタリングして、約0.5Hzを超える周波数を除去することを含む、項目1〜4の何れかに記載の方法。代替的にまたは追加的に、処理するステップは、測定信号をフィルタリングして、約3.5Hz未満の周波数を除去することを含み得る。
【0135】
項目6:測定信号は、約0.15Hz〜約0.4Hz、約0.04Hz〜約0.15Hz、および約0.001Hz〜約0.1Hzからなる群に含まれる、少なくとも1つの周波数範囲に対してフィルタリングされる、項目5に記載の方法。
【0136】
項目7:体外流体系(S1)は、機械的パルス発生器(3)と関連し、圧力センサ(4a〜4c)は、機械的パルス発生器(3)から生じる第1のパルスおよび該生理学的現象から生じる第2のパルスを検出するように、体外流体系(S1)の中に配置される、項目1〜6のうちの何れか1項に記載の方法。
【0137】
項目8:該方法は、時間および/または周波数領域内の第1および第2のパルスを分離するように、機械的パルス発生器(3)を制御するステップを具備する、項目7に記載の方法。
【0138】
項目9:該方法は、測定信号を取得している間、機械的パルス発生器(3)を断続的に切るステップを具備する、項目7に記載の方法。
【0139】
項目10:該方法は、第1のパルスの予測時間信号のプロファイルである、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するステップと、第1のパルスを本質的に取り除いて、一方で第2のパルスを保持するように、第1のパルスのプロファイル(u(n))を使用して、時間領域において測定信号をフィルタリングするステップとを具備する、項目7に記載の方法。
【0140】
項目11:フィルタリングするステップは、測定信号から第1のパルスのプロファイル(u(n))を減算するステップを具備する、項目10に記載の方法。
【0141】
項目12:減算するステップは、測定信号に関連して第1のパルスのプロファイル(u(n))の位相を調整するステップを含み、該位相は、機械的パルス発生器(3)に連結された位相センサ(26)から、または機械的パルス発生器(3)のための制御ユニット(23)から取得される位相情報によって示される、項目11に記載の方法。減算するステップはまた、測定信号に関連して第1のパルスのプロファイルの振幅を調整するステップを含んでもよい。
【0142】
項目13:第1のパルスのプロファイル(u(n))は、該体外流体系(S1)の参照測定で取得され、参照測定は、少なくとも1つの第1のパルスを生成するように、機械的パルス発生器(3)を動作させるステップと、体外流体系(S1)内の参照圧力センサ(4a〜4c)によって生成される参照信号から、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するステップと、を具備する、項目10〜12のうちの何れか1項に記載の方法。
【0143】
項目14:機械的パルス発生器(3)は、参照測定中に時系列の第1のパルスを生成するように動作させられ、第1のパルスのプロファイル(u(n))のは、参照信号内の一組の第1のパルスのセグメントを識別して平均することによって取得される、項目13に記載の方法。
【0144】
項目15:参照測定は、更新された第1のパルスプロファイル(u(n))を提供するように、体外流体系(S1)の動作中に断続的に達成される、項目13または14に記載の方法。
【0145】
項目16:圧力センサ(4a〜4c)は、該参照圧力センサとして使用される、項目13〜15のうちの何れか1項に記載の方法。
【0146】
項目17:取得するステップは、所定の信号プロファイルを取得するステップを具備する、項目10〜12のうちの何れか1項に記載の方法。
【0147】
項目18:取得するステップは、体外流体系(S1)の1つ以上のシステムパラメータの現在の値に基づいて、数学モデルに従って所定の信号プロファイルを修正するステップをさらに具備する、項目17に記載の方法。
【0148】
項目19:体外流体系(S1)は、参照信号が第1のパルスを含み、かつ第2のパルスを含まないように、参照測定中に動作させられる、項目13〜16のうちの何れか1項に記載の方法。
【0149】
項目20:参照測定は、第1のパルスおよび第2のパルスを含む第1の参照信号に基づいて、組み合わせられたパルスプロファイルを取得するステップと、第2のパルスを含み、かつ第1のパルスを含まない第2の参照信号に基づいて、第2のパルスプロファイルを取得するステップと、組み合わせられたパルスプロファイルから第2のパルスプロファイルを減算することによって、予測信号プロファイルを取得するステップとを具備する、項目13〜16のうちの何れか1項に記載の方法。
【0150】
項目21:体外流体系(S1)の1つ以上のシステムパラメータの現在の値を取得するステップをさらに具備し、第1のパルスのプロファイル(u(n))は、現在の値の関数として取得される、項目20に記載の方法。
【0151】
項目22:第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得する該ステップは、現在の値に基づいて、参照データベース内の1つ以上の参照プロファイル(r1(n)、r2(n))を識別するステップと、該1つ以上の参照プロファイル(r1(n)、r2(n))に基づいて、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するステップとをさらに具備する、項目21に記載の方法。
【0152】
項目23:該1つ以上のシステムパラメータは、体外流体系(S1)の第1のパルスの速度を示す、項目22に記載の方法。
【0153】
項目24:機械的パルス発生器(3)は、ポンプデバイスを具備し、システムパラメータは、ポンプデバイスのポンプ周波数を示す、項目23に記載の方法。
【0154】
項目25:参照データベースの各参照プロファイル(r1(n)、r2(n))は、該1つ以上のシステムパラメータのそれぞれの値について、体外流体系(S1)における参照測定によって取得される、項目22〜24のうちの何れか1項に記載の方法。
【0155】
項目26:第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得する該ステップは、現在の値に基づいて、参照データベース内のエネルギーおよび位相角データの1つ以上の組み合わせを識別するステップと、該エネルギーおよび位相角データの1つ以上の組み合わせに基づいて、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するステップとをさらに具備する、項目21に記載の方法。
【0156】
項目27:第1のパルスのプロファイル(u(n))は、異なる周波数の一組の正弦曲線を組み合わせることによって取得され、各正弦曲線の振幅および位相角は、該エネルギーおよび位相角データの1つ以上の組み合わせによって与えられる、項目26に記載の方法。
【0157】
項目28:第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得する該ステップは、現在の値を、体外流体系(S1)の数学モデルに基づいて、圧力センサ(4a〜4c)の反応を計算するアルゴリズムに入力するステップを具備する、項目21に記載の方法。
【0158】
項目29:フィルタリングするステップは、測定信号から第1のパルスのプロファイル(u(n))を減算するステップを含み、減算するステップの前には、調整ステップがあり、第1のパルスのプロファイル(u(n))の振幅、時間尺度、および位相のうちの少なくとも1つが、測定信号に関して調整される、項目10〜28のうちの何れか1項に記載の方法。
【0159】
項目30:調整ステップは、第1のパルスのプロファイル(u(n))と測定信号との間の差を最小化するステップを具備する、項目29に記載の方法。
【数1】
【数2】
【0160】
項目33:限界値に対する第2のパルスの速度および/または振幅との比較に基づいて、フィルタ係数を固定するように、適応フィルタ(30)を制御するステップをさらに具備する、項目31または32に記載の方法。
【0161】
項目34:該圧力データは、該生理学的現象から生じる第2のパルスを含む時間依存性のモニタリング信号であり、該方法は、体外流体系(S1)内の参照センサから参照圧力信号を取得するステップと、参照圧力信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するステップと、参照センサの位置と該少なくとも1つの圧力センサ(4a〜4c)との間の流体圧力の差に基づいて、参照センサの位置と該少なくとも1つの圧力センサ(4a〜4c)の位置との間の推定される到達時間の差を計算するステップと、推定される到達時間の差に基づいて、モニタリング信号を処理するステップとをさらに具備する、項目1〜6のうちの何れか1項に記載の方法。
【0162】
項目35:参照圧力信号内の該少なくとも1つの第2のパルスの大きさを示す大きさ値を計算するステップと、大きさ値を限界と比較するステップとをさらに具備し、推定される到達時間の差を計算するステップは、該比較するステップを条件とする、項目34に記載の方法。
【0163】
項目36:該処理は、該圧力データを使用して、被験者の異常状態を検出、追跡、および予測することのうちの1つ以上を含む、項目1〜35のうちの何れか1項に記載の方法。
【0164】
項目37:異常状態は、くしゃみ、しゃっくり、嘔吐、咳、血圧変動、異所性拍動、自律調整の欠如、低血圧、異常呼吸、睡眠時無呼吸、周期性呼吸、過呼吸症候群、喘息発作、呼吸困難、およびチェーンストークス呼吸のうちの1つ以上を含む、項目36に記載の方法。
【0165】
項目38:該圧力データは、該生理学的現象から生じる第2のパルスを含む時間依存性のモニタリング信号であり、該方法は、モニタリング信号内の第2のパルスのタイミングを示す、タイミング情報を取得するステップと、第2のパルスを示すパラメータ値を計算するように、タイミング情報に基づいてモニタリング信号を処理するステップと、異常状態の検出のために、パラメータ値を分析するステップとをさらに具備する、項目36または37に記載の方法。
【0166】
項目39:該圧力データに基づいて、該体外流体系(S1)と該脈管系(S2)との間の流体接続の完全性をモニタリングするステップをさらに具備する、項目1〜6のうちの何れか1項に記載の方法。
【0167】
項目40:体外流体系(S1)は、機械的パルス発生器(3)と関連し、圧力センサ(4a〜4c)は、機械的パルス発生器(3)から生じる第1のパルス、および該生理学的現象から生じる第2のパルスを検出するように、体外流体系(S1)の中に配置され、該圧力データは、該生理学的現象から生じる第2のパルスを含む時間依存性のモニタリング信号であり、該方法は、モニタリング信号の時間ウィンドウ内の信号値に基づいて、パラメータ値を計算するステップであって、パラメータ値は、信号値の分布を表す、ステップと、パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、流体接続(C)の完全性を決定するステップと、をさらに具備する、項目39に記載の方法。
【0168】
項目41:該計算するステップは、時間ウィンドウ内の信号値の統計学的分散量度としてパラメータ値を計算するステップを具備する、項目40に記載の方法。
【0169】
項目42:統計学的分散量度は、標準偏差、分散、変動係数、差、エネルギー、電力の和、平均値からの絶対偏差の和、平均値からの絶対差の平均のうちの少なくとも1つを含む、項目41に記載の方法。
【0170】
項目43:該計算するステップは、時間ウィンドウ内の信号値を、第2のパルスの予測時間信号のプロファイルに合致させるステップを具備する、項目40に記載の方法。
【0171】
項目44:パラメータ値は、該合致からもたらされる相関値である、項目43に記載の方法。
【0172】
項目45:該計算するステップは、時間ウィンドウ内の信号値と予測時間信号のプロファイルとの間の相互相関を計算するステップと、相互相関における最大相関値を識別するステップとを含み、該決定するステップは、最大相関値を閾値と比較するステップを具備する、項目43または44に記載の方法。
【0173】
項目46:該計算するステップは、最大相関値の時間ポイントを取得し、時間ポイントを予測時間ポイントと比較することによって最大相関値を検証するステップを具備する、項目45に記載の方法。
【0174】
項目47:体外流体系(S1)内の参照センサ(4a〜4c)から参照圧力信号を取得するステップをさらに具備し、参照センサ(4a〜4c)は、流体接続(C)に欠陥が生じている場合であっても、該第2のパルスを検出し、参照圧力信号に基づいて、予測時間信号のプロファイルを計算するステップをさらに具備する、項目43〜46のうちの何れか1項に記載の方法。
【0175】
項目48:参照圧力信号内の生理学的パルスの大きさを示す大きさ値を計算し、大きさ値を限界と比較するステップをさらに具備し、参照圧力信号に基づいて、予測時間信号のプロファイルを計算するステップは、該比較するステップを条件とする、項目47に記載の方法。
【0176】
項目49:予測時間信号のプロファイルを計算するステップは、参照センサと該少なくとも1つの圧力センサ(4a〜4c)との間の通過時間の差を調整するステップを具備する、項目47または48に記載の方法。
【0177】
項目50:該通過時間の差は、所定の値によって与えられる項目49に記載の方法。
【0178】
項目51:該通過時間の差は、参照センサの位置と、該少なくとも1つの圧力センサ(4a〜4c)の位置との間の流体圧力の差に基づいて計算される、項目49に記載の方法。
【0179】
項目52:時間ウィンドウは、少なくとも1つの第2のパルスを含むように選択される、項目40〜51のうちの何れか1項に記載の方法。
【0180】
項目53:該時間ウィンドウの長さは、該生理学的現象の最大パルス反復間隔を超えるように選択される、項目52に記載の方法。
【0181】
項目54:該時間ウィンドウは、モニタリング信号内の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に基づいて選択される、項目52または53に記載の方法。
【0182】
項目55:モニタリング信号を生成するステップは、測定信号をフィルタリングして、第1のパルスを除去するステップと、測定信号内の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に基づいて、そのようにフィルタリングされた測定信号内の一組の信号セグメントを導き出すステップと、タイミング情報に基づいて、信号セグメントを整合および加算するステップとを具備する、項目40〜54のうちの何れか1項に記載の方法。
【0183】
項目56:該計算するステップは、モニタリング信号内の候補の第2のパルス、および対応する候補の時間ポイントを識別するステップと、モニタリング信号内の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報に関連する候補の時間ポイントに基づいて、候補の第2のパルスを検証するステップとを具備する、項目40〜55のうちの何れか1項に記載の方法。
【0184】
項目57:タイミング情報は、被験者に連結されたパルスセンサから取得される、項目54〜56のうちの何れか1項に記載の方法。
【0185】
項目58:タイミング情報は、先行するパラメータ値に基づいて識別された第2のパルスの相対的タイミングの関数として取得される、項目54〜56のうちの何れか1項に記載の方法。
【0186】
項目59:体外流体系(S1)は、動脈アクセスデバイス(1)、血液処理デバイス(6)、および静脈アクセスデバイス(14)を具備する、体外血流回路(20)であり、脈管系(S2)は、血管アクセスを具備し、動脈アクセスデバイス(1)は、脈管系(S2)に接続され、静脈アクセスデバイス(14)は、流体接続(C)を形成するように、血管アクセスに接続され、機械的パルス発生器(3)は、動脈アクセスデバイス(1)から、血液処理デバイス(6)を通して、静脈アクセスデバイス(14)に血液を送り出すように、体外血流回路(20)の中に配置される、ポンプデバイスを具備し、モニタリング信号は、ポンプデバイス(3)の下流に位置付けられた静脈圧力センサ(4c)から取得される静脈測定信号に基づいて生成され、該方法は、ポンプデバイス(3)の上流に位置付けられた動脈圧力センサ(4a)から動脈測定信号を取得して、動脈測定信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するステップと、そのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算するステップとを具備する、項目54〜56のうちの何れか1項に記載の方法。
【0187】
項目60:機械的パルス発生器(3)を断続的に切るステップと、モニタリング信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するステップと、そのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算するステップとをさらに具備する、項目54〜56のうちの何れか1項に記載の方法。
【0188】
項目61:モニタリング信号内の一組の候補の第2のパルスを識別するステップと、一組の候補の第2のパルスに基づいて、時系列の候補の時間ポイントを導き出すステップと、時間基準に対して時系列の候補の時間ポイントを検証するステップと、そのように検証された時系列の候補の時間ポイントの関数として、タイミング情報を計算するステップとをさらに具備する、項目54〜56のうちの何れか1項に記載の方法。
【0189】
項目62:体外流体系(S1)は、アクセスデバイス(1、14)を具備する、体外血液処理系(20)であり、脈管系(S2)は、血管アクセスを具備し、アクセスデバイス(1、14)と血管アクセスとの間の接続は、流体接続(C)を形成する、項目39に記載の方法。
【0190】
項目63:該圧力データは、該生理学的現象から生じる第2のパルスを含む、時間依存性のモニタリング信号であり、該方法は、モニタリング信号内の第2のパルスのタイミングを示す、タイミング情報を取得するステップと、第2のパルスの存在または不在を示す、パラメータ値を計算するように、タイミング情報に基づいて、モニタリング信号を処理するステップと、パラメータ値に少なくとも部分的に基づいて、流体接続(C)の完全性を決定するステップとをさらに具備する、項目39に記載の方法。
【0191】
項目64:該処理するステップは、タイミング情報に基づいて、時間ウィンドウをモニタリング信号の中に位置付けるステップと、該時間ウィンドウ内の信号値に基づいて、パラメータ値を計算するステップとを具備する、項目63に記載の方法。
【0192】
項目65:該処理するステップは、タイミング情報に基づいて、時間ウィンドウの長さを選択するステップをさらに具備する、項目64に記載の方法。
【0193】
項目66:体外流体系(S1)は、体外流体系(S1)の中で第1のパルスを生成する、機械的パルス発生器(3)と関連し、モニタリング信号を生成するステップは、第1のパルスを除去するように測定信号をフィルタリングするステップを具備する、項目63〜65のうちの何れか1項に記載の方法。
【0194】
項目67:モニタリング信号を生成するステップは、そのようにフィルタリングされた測定信号内の一組の信号セグメントを選択するステップと、タイミング情報に基づいて、信号セグメントを整合および加算するステップとをさらに具備する、項目66に記載の方法。
【0195】
項目68:該計算するステップは、モニタリング信号内の候補の第2のパルスと、対応する候補の時間ポイントとを識別するステップと、タイミング情報に関連して、候補の時間ポイントに基づいて、候補の第2のパルスを検証するステップと、を具備する、項目66または67に記載の方法。
【0196】
項目69:タイミング情報は、被験者に連結されたパルスセンサから取得される、項目63〜68のうちの何れか1項に記載の方法。
【0197】
項目70:タイミング情報は、先行するパラメータ値に基づいて識別された第2のパルスの相対的タイミングの関数として取得される、項目63〜68のうちの何れか1項に記載の方法。
【0198】
項目71:体外流体系(S1)内の参照センサ(4a〜4c)から参照圧力信号を取得するステップをさらに具備し、参照センサ(4a〜4c)は、流体接続(C)に欠陥が生じている場合であっても、該第2のパルスを検出するように配置され、タイミング情報を取得する該ステップは、参照圧力信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別し、参照センサと該少なくとも1つの圧力センサ(4a〜4c)との間の推定される到達時間の差を取得するステップを具備する、項目63〜68のうちの何れか1項に記載の方法。
【0199】
項目72:推定される到達時間の差は、所定の値によって与えられる、項目71に記載の方法。
【0200】
項目73:推定される到達時間の差は、参照センサの位置と該少なくとも1つの圧力センサ(4a〜4c)の位置との間の流体圧力の差に基づいて計算される、項目71に記載の方法。
【0201】
項目74:参照圧力信号内の該少なくとも1つの第2のパルスの大きさを示す大きさ値を計算するステップと、大きさ値を限界と比較するステップとをさらに具備し、推定される到達時間の差を計算するステップは、該比較するステップを条件とする、項目71に記載の方法。
【0202】
項目75:体外流体系(S1)は、動脈アクセスデバイス(1)、血液処理デバイス(6)、および静脈アクセスデバイス(14)を具備する、体外血流回路であり、脈管系(S2)は、血管アクセスを具備し、動脈アクセスデバイス(1)は、脈管系(S2)に接続され、静脈アクセスデバイス(14)は、流体接続(C)を形成するように、血管アクセスに接続され、機械的パルス発生器(3)は、動脈アクセスデバイス(1)から、血液処理デバイス(6)を通して、静脈アクセスデバイス(14)に血液を送り出すように、体外血流回路(20)の中に配置される、ポンプデバイスを具備し、モニタリング信号は、ポンプデバイス(3)の下流に位置付けられた静脈圧力センサ(4c)から取得される静脈測定信号に基づいて生成され、該方法は、ポンプデバイス(3)の上流に位置付けられた動脈圧力センサ(4a)から動脈測定信号を取得して、動脈測定信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するステップと、そのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算するステップとを具備する、項目66〜68のうちの何れか1項に記載の方法。
【0203】
項目76:機械的パルス発生器(3)を断続的に切るステップと、モニタリング信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するステップと、そのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算するステップとをさらに具備する、項目66〜68のうちの何れか1項に記載の方法。
【0204】
項目77:モニタリング信号内の一組の候補の第2のパルスを識別するステップと、一組の候補の第2のパルスに基づいて、時系列の候補の時間ポイントを導き出すステップと、時系列の候補の時間ポイントを時間基準に対して検証するステップと、そのように検証された時系列の候補の時間ポイントの関数として、タイミング情報を計算するステップとをさらに具備する、項目66〜68のうちの何れか1項に記載の方法。
【0205】
項目78:該取得するステップは、モニタリング信号内の一組の候補の第2のパルスを識別するステップと、一組の候補の第2のパルスに基づいて、時系列の候補の時間ポイントを導き出すステップと、時間基準に対して時系列の候補の時間ポイントを検証することによって、一組の検証された候補の第2のパルスを生成するステップと、をさらに具備し、該処理するステップは、一組の平均表現を計算するステップであって、各平均表現は、検証された候補の第2のパルスの一意的な組み合わせに対応するモニタリング信号の信号セグメントを整合および加算することによって形成される、ステップと、該平均表現のそれぞれのパラメータ値を計算するステップとを具備し、該決定するステップは、最大パラメータ値を閾値と比較するステップを具備する、項目63に記載の方法。
【0206】
項目79:パラメータ値は、信号値の分布を表す、項目63〜66のうちの何れか1項に記載の方法。
【0207】
項目80:該被験者の心拍から生じる心臓データの識別のために、測定信号を処理するステップをさらに具備し、流体接続の完全性は、該圧力データおよび該心臓データに基づいて決定される、項目39〜79のうちの何れか1項に記載の方法。
【0208】
項目100:項目1〜80のうちの何れか1項に記載の方法をコンピュータに行なわせる命令を具備する、コンピュータプログラム製品。
【0209】
項目200:被験者の脈管系(S2)に接続された体外流体系(S1)内の圧力センサ(4a〜4c)によって取得される測定信号を処理するためのデバイスであって、測定信号を受信するための入力(28)と、該入力(28)に接続され、かつ項目1〜80のうちの何れか1項に記載の測定信号を処理するように構成される、信号プロセッサ(25)と、を具備する、デバイス。
【0210】
項目300:被験者の脈管系(S2)に接続された体外流体系(S1)内の圧力センサ(4a〜4c)によって取得される測定信号を処理するためのデバイスであって、測定信号を受信するための手段(28)と、該被験者における第1の生理学的現象から生じる圧力データの識別のために、測定信号を処理するための手段(29)であって、該生理学的現象は、該患者の心臓を除く、手段(29)とを具備する、デバイス。
【0211】
項目301:該生理学的現象は、反射、自発的筋肉収縮、非自発的筋肉収縮、該被験者の呼吸系、血圧調節のための該被験者の自律系、および体温調節のための該被験者の自律系から成る群に含まれる、項目300に記載のデバイス。
【0212】
項目302:該生理学的現象は、生理学的反復パルス発生器である、項目300に記載のデバイス。
【0213】
項目303:処理するための手段(29)は、周波数領域における測定信号をフィルタリングするように構成される、項目300〜302のうちの何れか1項に記載のデバイス。
【0214】
項目304:処理するための手段(29)は、測定信号をフィルタリングして、約0.5Hzを超える周波数を除去するように構成される、項目300〜303のうちの何れか1項に記載のデバイス。その代わりにまたはさらに、処理するための手段(29)は、測定信号をフィルタリングして、約3.5Hzより低い周波数を除去するように構成されてもよい。
【0215】
項目305:処理するための手段(29)は、測定信号を、約0.15Hz〜約0.4Hz、約0.04Hz〜約0.15Hz、および約0.001Hz〜約0.1Hzから成る群に含まれる、少なくとも1つの周波数範囲に対してフィルタリングするように構成される、項目304に記載のデバイス。
【0216】
項目306:体外流体系(S1)は、機械的パルス発生器(3)に関連付けられ、圧力センサ(4a−4c)は、機械的パルス発生器(3)から生じる第1のパルスと、該生理学的現象から生じる第2のパルスとを検出するように、体外流体系(S1)内に配置される、項目300〜305の何れかに記載の装置。
【0217】
項目307:時間依存性および/または周波数領域内の第1および第2のパルスを分離するように、機械的パルス発生器(3)を制御するための手段(23、28、29)をさらに具備する、項目306に記載の装置。
【0218】
項目308:測定信号を取得している間、機械的パルス発生器(3)を断続的に切るための手段(23、28、29)をさらに具備する、項目306に記載の装置。
【0219】
項目309:第1のパルスの予測時間信号のプロファイルである、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための手段(29)と、第2のパルスを保持する一方で、第1のパルスを本質的に排除するように、第1のパルスのプロファイル(u(n))を使用して、時間依存性の測定信号をフィルタリングするための手段(29)と、をさらに具備する、項目306に記載の装置。
【0220】
項目310:フィルタリングする手段(29)は、測定信号から第1のパルスのプロファイル(u(n))を減算するように構成される、項目309に記載の装置。
【0221】
項目311:フィルタリングするための手段(29)は、第1のパルスのプロファイル(u(n))の位相を測定信号と関連して調整することによって、第1のパルスのプロファイル(u(n))を減算するように構成され、該位相は、機械的パルス発生器(3)に連結された位相センサ(26)から、または機械的パルス発生器(3)の制御ユニット(23)から取得される、位相情報によって示される、項目310に記載の装置。フィルタリングのための手段(29)は、測定信号に関連して第1のパルスプロファイルの振幅を調整するように構成されてもよい。
【0222】
項目312:該体外流体系(S1)内での参照測定において、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための参照測定手段(29)をさらに具備し、参照測定手段(29)は、機械的パルス発生器(3)が、少なくとも1つの第1のパルスを発生させるように動作する間、体外流体系(S1)内の参照圧力センサ(4a−4c)によって生成される参照信号から第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するように構成される、項目309〜311のうちの何れか1項に記載の装置。
【0223】
項目313:機械的パルス発生器(3)は、参照測定中に、時系列の第1のパルスを発生させるように操作され、参照測定手段(29)は、参照信号内の第1のパルスのセグメントのセットを識別し、平均することによって、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するように構成される、項目312に記載の装置。
【0224】
項目314:参照測定手段(29)は、体外流体系(S1)の動作中に参照測定に断続的に影響を及ぼして、更新された第1のパルスのプロファイル(u(n))を提供するように構成される、項目312または313に記載の装置。
【0225】
項目315:圧力センサ(4a−4c)は、該参照圧力センサとして使用される、項目312〜314のうちの何れか1項に記載の装置。
【0226】
項目316:第1のパルスのプロファイルを取得するための手段(29)は、所定の信号のプロファイルを取得するように構成される、項目309〜311のうちの何れか1項に記載の装置。
【0227】
項目317:第1のパルスのプロファイルを取得するための手段(29)は、所定の信号のプロファイルを、体外流体系(S1)内の1つ以上の系パラメータの電流値に基づく数学モデルに従って修正するようにさらに構成される、項目316に記載の装置。
【0228】
項目318:体外流体系(S1)は、参照測定中、参照信号が、第1のパルスを含み、第2のパルスを含まないように操作される、項目312〜315のうちの何れか1項に記載の装置。
【0229】
項目319:参照測定手段(29)は、第1のパルスおよび第2のパルスを含む、第1の参照信号に基づく、組み合わせられたパルスのプロファイルを取得し、第2のパルスを含み、第1のパルスを含まない、第2の参照信号に基づく、第2のパルスのプロファイルを取得し、組み合わせられたパルスのプロファイルから第2のパルスのプロファイルを減算することによって、予測信号のプロファイルを取得する、ように構成される、項目312〜315のうちの何れか1項に記載の装置。
【0230】
項目320:体外流体系(S1)の1つ以上の系パラメータの電流値を取得するための手段(28、29)をさらに具備し、第1のパルスのプロファイルを取得するための手段(29)は、電流値の関数として、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するように構成される、項目319に記載の装置。
【0231】
項目321:第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための手段(29)は、電流値に基づいて、参照データベース内の1つ以上の参照プロファイル(r1(n)、r2(n))を識別し、1つ以上の参照プロファイル(r1(n)、r2(n))に基づいて、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得する、ように構成される、項目320に記載の装置。
【0232】
項目322:該1つ以上の系パラメータは、体外流体系(S1)内の第1のパルスの速度を示す、項目321に記載の装置。
【0233】
項目323:機械的パルス発生器(3)は、ポンプ装置を具備し、系パラメータは、ポンプ装置のポンプ周波数を示す、項目322に記載の装置。
【0234】
項目324:参照データベース内の各参照プロファイル(r1(n)、r2(n))は、1つ以上の系パラメータのそれぞれの値についての体外流体系(S1)内での参照測定によって取得される、項目321〜323のうちの何れか1項に記載の装置。
【0235】
項目325:第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための手段(29)は、電流値に基づいて、参照データベース内のエネルギーおよび位相角データの1つ以上の組み合わせを識別し、エネルギーおよび位相角データの該1つ以上の組み合わせに基づいて、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得する、ように構成される、項目320に記載の装置。
【0236】
項目326:第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための手段(29)は、異なる周波数の正弦波のセットを組み合わせることによって、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するように構成され、各正弦波の振幅および位相角は、エネルギーおよび位相角データの該1つ以上の組み合わせによって与えられる、項目325に記載の装置。
【0237】
項目327:第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための手段(29)は、体外流体系(S1)の数学モデルに基づく圧力センサ(4a−4c)の応答を計算するアルゴリズムに入力するように構成される、項目320に記載の装置。
【0238】
項目328:フィルタリングするための手段(29)は、第1のパルスのプロファイル(u(n))の振幅、時間尺度、および位相のうちの少なくとも1つを測定信号に対して調整するように、ならびに測定信号からそのように調整された第1のパルスのプロファイル(u(n))を減算するように、構成される、項目309〜327のうちの何れか1項に記載の装置。
【0239】
項目329:フィルタリングするための手段(29)は、第1のパルスのプロファイル(u(n))と測定信号との間の差を最小化することによって調整するように構成される、項目328に記載の装置。
【数3】
【数4】
【0240】
項目332:第2のパルスの速度および/または振幅の限界値との比較に基づいて、フィルタリング係数を固定するように、適応フィルタ(30)を制御するための手段(29)をさらに具備する、項目330または331に記載の装置。
【0241】
項目333:該圧力データは、該生理学的現象から生じる第2のパルスを含む、時間依存性のモニタリング信号であり、該装置は、体外流体系(S1)内の参照センサから参照圧力信号を取得するための手段(28)と、参照圧力信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するための手段(29)と、参照センサの位置と該少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)の位置との間の流体圧力の差に基づいて、参照センサと該少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)との間の到着時間の推定差を計算するための手段(29)と、到着時間の推定差に基づいて、モニタリング信号を処理するための手段(29)と、をさらに具備する、項目300〜305の何れかに記載の装置。
【0242】
項目334:参照圧力信号内の該少なくとも1つの第2のパルスの大きさを示す、大きさ値を計算し、大きさ値を限界と比較するための手段(29)をさらに具備し、到着時間の推定差を計算することは、比較することを条件付けられる、項目333に記載の装置。
【0243】
項目335:処理するための手段(29)は、該圧力データを使用して、被験者の異常状態を検出すること、提示すること、追跡すること、および予測することのうちの1つ以上を実施するように構成される、項目300〜334の何れかに記載の装置。
【0244】
項目336:異常状態は、くしゃみ、しゃっくり、嘔吐、咳、血圧変動、異所性拍動、自律調節の欠如、低血圧、異常呼吸、睡眠時無呼吸、周期性呼吸、過呼吸、喘息性発作、呼吸困難、およびチェーンストークス呼吸のうちの1つ以上を含む、項目335に記載の装置。
【0245】
項目337:該圧力データは、該生理学的現象から生じる第2のパルスを含む、時間依存性のモニタリング信号であり、該装置は、モニタリング信号内の第2のパルスのタイミングを示す、タイミング情報を取得するための手段(29)と、第2のパルスを示すパラメータ値を計算するように、タイミング情報に基づいて、モニタリング信号を処理するための手段(29)と、異常状態の検出のために、パラメータ値を分析するための手段と、をさらに具備する、項目335または336に記載の装置。
【0246】
項目338:該圧力データに基づいて、該体外流体系(S300)と該脈管系(S2)との間の流体接続(C)の完全性をモニタリングするための手段(29)を具備する、項目300〜305のうちの何れか1項に記載の装置。
【0247】
項目339:体外流体系(S1)は、機械的パルス発生器(3)に関連付けられ、圧力センサ(4a−4c)は、機械的パルス発生器(3)から生じる第1のパルスと、該生理学的現象から生じる第2のパルスとを検出するように、体外流体系(S1)内に配置され、該圧力データは、生理学的現象から生じる第2のパルスを含む、時間依存性のモニタリング信号であり、該装置は、モニタリング信号の時間ウィンドウ内の信号値に基づいて、パラメータ値を計算するための手段(29)であって、パラメータ値は、信号値の分布を表す、手段と、少なくとも一部において、パラメータ値に基づいて、流体接続の完全性を決定するための手段(29)と、をさらに具備する、項目338に記載の装置。
【0248】
項目340:パラメータ値を計算するための手段(29)は、時間ウィンドウ内の信号値の統計的分散量度として、パラメータ値を計算するように構成される、項目339に記載の装置。
【0249】
項目341:統計的分散量度は、標準偏差、分散、変動係数、差、エネルギー、電力の和、平均値からの絶対偏差の和、平均値からの絶対差の平均のうちの少なくとも1つを含む、項目340に記載の装置。
【0250】
項目342:パラメータ値を計算するための手段(29)は、時間ウィンドウ内の信号値を、第2のパルスの予測時間信号のプロファイルと合致させるように構成される、項目339に記載の装置。
【0251】
項目343:パラメータ値は、合致からもたらされる相関値である、項目342に記載の装置。
【0252】
項目344:パラメータ値を計算するための手段(29)は、時間ウィンドウ内の信号値と予測時間信号のプロファイルとの間の相互相関を計算し、相互相関における最大相関値を識別する、ように構成され、完全性を決定するための手段(29)は、最大相関値を閾値と比較するように構成される、項目342または343に記載の装置。
【0253】
項目345:パラメータ値を計算するための手段(29)は、最大相関値の時間ポイントを取得し、時間ポイントを予測時間ポイントと比較することによって、最大相関値を検証するように構成される、項目344に記載の装置。
【0254】
項目346:体外流体系(S1)内の参照センサ(4a−4c)から参照圧力信号を取得するための手段(29)と、参照圧力信号に基づいて、予測時間信号のプロファイルを計算するための手段(29)と、をさらに具備し、参照センサ(4a−4c)は、流体接続(C)に欠陥が生じている場合にさえ、該第2のパルスを検出するように配置される、項目342〜345のうちのの何れか1項に記載の装置。
【0255】
項目347:参照圧力信号内の生理学的パルスの大きさを示す、大きさ値を計算し、大きさ値を限界と比較するための手段(29)をさらに具備し、参照圧力信号に基づいて、予測時間信号のプロファイルを計算するための手段(29)の動作は、該比較することを条件付けられる、項目346に記載の装置。
【0256】
項目348:予測時間信号のプロファイルを計算するための手段(29)は、参照センサと該少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)との間の通過時間の差を調整するように構成される、項目346または347に記載の装置。
【0257】
項目349:該通過時間の差は、所定の値によって与えられる、項目348に記載の装置。
【0258】
項目350:該通過時間の差は、参照センサの位置と該少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)の位置との間の流体圧力の差に基づいて計算される、項目348に記載の装置。
【0259】
項目351:時間ウィンドウは、少なくとも1つの第2のパルスを含むように選択される、項目339〜350のうちの何れか1項に記載の装置。
【0260】
項目352:時間ウィンドウの長さは、該第1の生理学的現象の最大パルス反復間隔を超えるように選択される、項目351に記載の装置。
【0261】
項目353:時間ウィンドウは、モニタリング信号内の第2のパルスのタイミングを示す、タイミング情報に基づいて選択される、項目351または352に記載の装置。
【0262】
項目354:第1のパルスを除去するように、測定信号をフィルタリングし、測定信号内の第2のパルスのタイミングを示す、タイミング情報に基づいて、そのようにフィルタリングされた測定信号(単数または複数)内の信号のセグメントのセットを導き出し、タイミング情報に基づいて、信号のセグメントを整合し、加算することによって、モニタリング信号を生成するように構成される、モニタリング信号を生成するための手段(29)をさらに具備する、項目339〜353のうちの何れか1項に記載の装置。
【0263】
項目355:パラメータ値を計算するための手段(29)は、モニタリング信号内の候補の第2のパルスと、対応する候補の時間ポイントとを識別し、候補の時間ポイントに基づく候補の第2のパルスを、モニタリング信号内の第2のパルスのタイミングを示すタイミング情報と比較して検証する、ように構成される、項目339〜354のうちの何れか1項に記載の装置。
【0264】
項目356:被験者に連結されたパルスセンサからタイミング情報を取得するための手段(28、29)をさらに具備する、項目353〜355のうちの何れか1項に記載の装置。
【0265】
項目357:先行するパラメータ値に基づいて識別される第2のパルスの相対的なタイミングの関数として、タイミング情報を取得するための手段(29)をさらに具備する、項目353〜355のうちの何れか1項に記載の装置。
【0266】
項目358:体外流体系(S1)は、動脈アクセス装置(1)と、血液処理装置(6)と、静脈アクセス装置(14)とを具備する、体外血流回路であり、脈管系(S2)は、血管アクセスを具備し、動脈アクセス装置(1)は、脈管系(S2)に接続され、静脈アクセス装置(14)は、流体接続(C)を形成するように、血管アクセスに接続され、機械的パルス発生器(3)は、動脈アクセス装置(1)から血液処理装置(6)を通して静脈アクセス装置(14)に血液を送り出す、体外血流回路(20)内に配置されたポンプ装置を具備し、モニタリング信号は、ポンプ装置(3)の下流に位置付けられた静脈圧力センサ(4c)から取得される静脈測定信号に基づいて生成される、項目353〜355のうちの何れか1項に記載の装置。デバイスは、ポンプデバイス(3)の上流に位置付けられた動脈圧力センサ(4a)から動脈測定信号を取得するための手段(28)と、動脈測定信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するための手段(29)と、そのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算するための手段(29)とをさらに具備する。
【0267】
項目359:機械的パルス発生器(3)を断続的に切るための手段(23、28、29)と、モニタリング信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するための手段(29)と、そのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算するための手段(29)と、をさらに具備する、項目353〜355のうちの何れか1項に記載の装置。
【0268】
項目360:モニタリング信号内の候補の第2のパルスのセットを識別するための手段(29)と、候補の第2のパルスのセットに基づいて、時系列の候補の時間ポイントを導き出すための手段(29)と、時系列の候補の時間ポイントを時間基準に対して検証するための手段(29)と、そのように検証された時系列の候補の時間ポイントの関数として、タイミング情報を計算するための手段(29)と、をさらに具備する、項目353〜355のうちの何れか1項に記載の装置。
【0269】
項目361:体外流体系(S1)は、アクセス装置(1、14)を具備する、体外血液処理系(20)であり、脈管系(S2)は、血管アクセスを具備し、アクセス装置(1、14)と血管アクセスとの間の接続は、流体接続(C)を形成する、項目338に記載の装置。
【0270】
項目362:該圧力データは、該生理学的現象から生じる第2のパルスを含む、時間依存性のモニタリング信号であり、該装置は、モニタリング信号内の第2のパルスのタイミングを示す、タイミング情報を取得するための手段(29)と、第2のパルスの存在または不在を示す、パラメータ値を計算するように、タイミング情報に基づいて、モニタリング信号を処理するための手段(29)と、少なくとも一部において、パラメータ値に基づいて、流体接続(C)の完全性を決定するための手段(29)と、をさらに具備する、項目338に記載の装置。
【0271】
項目363:モニタリング信号を処理するための手段(29)は、タイミング情報に基づいて、時間ウィンドウをモニタリング信号内に位置付け、該時間ウィンドウ内の信号値に基づいて、パラメータ値を計算するように構成される、項目362に記載の装置。
【0272】
項目364:モニタリング信号を処理するための手段(29)は、タイミング情報に基づいて、時間ウィンドウの長さを選択するようにさらに構成される、項目363に記載の装置。
【0273】
項目365:体外流体系(S1)は、体外流体系(S1)内で第1のパルスを発生させる、機械的パルス発生器(3)に関連付けられ、装置は、第1のパルスを除去するように測定信号をフィルタリングすることによって、モニタリング信号を生成するための手段(29)をさらに具備する、項目362〜364のうちの何れか1項に記載の装置。
【0274】
項目366:モニタリング信号を処理するための手段(29)は、そのようにフィルタリングされた測定信号内の信号のセグメントのセットを選択し、タイミング情報に基づいて、信号のセグメントを整合し、加算するようにさらに構成される、項目365に記載の装置。
【0275】
項目367:モニタリング信号を処理するための手段(29)は、モニタリング信号内の候補の第2のパルスと、対応する候補の時間ポイントとを識別し、候補の時間ポイントに基づく候補の第2のパルスを、タイミング情報と比較して検証するように構成される、項目365または366に記載の装置。
【0276】
項目368:タイミング情報を取得するための手段(28、29)は、被験者に連結されたパルスセンサからタイミング情報を取得するように構成される、項目362〜367のうちの何れか1項に記載の装置。
【0277】
項目369:タイミング情報を取得するための手段(29)は、先行するパラメータ値に基づいて識別される第2のパルスの相対的なタイミングの関数として、タイミング情報を取得するように構成される、項目362〜367のうち何れか1項に記載の装置。
【0278】
項目370:体外流体系(S1)内の参照センサ(4a−4c)から参照圧力信号を取得するための手段(28)をさらに具備し、参照センサ(4a−4c)は、流体接続(C)に欠陥が生じている場合にさえ、該第2のパルスを検出するように配置され、タイミング情報を取得するための手段(29)は、参照圧力信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別し、参照センサと該少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)との間の到着時間の推定差を取得するように構成される、項目362〜367のうちの何れか1項に記載の装置。
【0279】
項目371:到着時間の推定差は、所定の値によって与えられる、項目370に記載の装置。
【0280】
項目372:到着時間の推定差は、参照センサの位置と該少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)の位置との間の流体圧力の差に基づいて計算される、項目370に記載の装置。
【0281】
項目373:参照圧力信号内の該少なくとも1つの第2のパルスの大きさを示す、大きさ値を計算し、大きさ値を限界と比較するための手段(29)をさらに具備し、到着時間の推定差を計算することは、該比較することを条件付けられる、項目370に記載の装置。
【0282】
項目374:体外流体系(S1)は、動脈アクセス装置(1)と、血液処理装置(6)と、静脈アクセス装置(14)とを具備する、体外血流回路であり、脈管系(S2)は、血管アクセスを具備し、動脈アクセス装置(1)は、脈管系(S2)に接続され、静脈アクセス装置(14)は、流体接続(C)を形成するように、血管アクセスに接続され、機械的パルス発生器(3)は、動脈アクセス装置(1)から血液処理装置(6)を通して静脈アクセス装置(14)に血液を送り出す、体外血流回路(20)内に配置されたポンプ装置を具備し、モニタリング信号は、ポンプ装置(3)の下流に位置付けられた静脈圧力センサ(4c)から取得される静脈測定信号に基づいて生成され、該装置は、ポンプ装置(3)の上流に位置付けられた動脈圧力センサ(4a)から動脈測定信号を取得するための手段(28)と、動脈測定信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するための手段(29)と、そのように識別された第2のパルス(単数または複数)からタイミング情報を計算するための手段(29)と、を具備する、項目365〜367のうちの何れか1項に記載の装置。
【0283】
項目375:機械的パルス発生器(3)を断続的に切るための手段(23、28、29)と、モニタリング信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するための手段(29)と、そのように識別された第2のパルスからタイミング情報を計算するための手段(29)と、をさらに具備する、項目365〜367のうちの何れか1項に記載の装置。
【0284】
項目376:モニタリング信号内の候補の第2のパルスのセットを識別するための手段(29)と、候補の第2のパルスのセットに基づいて、時系列の候補の時間ポイントを導き出すための手段(29)と、時系列の候補の時間ポイントを時間基準に対して検証するための手段(29)と、そのように検証された時系列の候補の時間ポイントの関数として、タイミング情報を計算するための手段(29)と、をさらに具備する、項目365〜367のうちの何れか1項に記載の装置。
【0285】
項目377:タイミング情報を取得するための手段(29)は、モニタリング信号内の候補の第2のパルスのセットを識別し、候補の第2のパルスのセットに基づいて、時系列の候補の時間ポイントを導き出し、時系列の候補の時間ポイントを時間基準に対して検証することによって、検証された候補の第2のパルスのセットを生成するように構成され、モニタリング信号を処理するための手段(29)は、平均表現のセットを計算し、各平均表現は、検証された候補の第2のパルスの一意の組み合わせに対応する、モニタリング信号の信号のセグメントを整合し、加算することによって形成され、平均表現のそれぞれのパラメータ値を計算する、ように構成され、完全性を決定するための手段(29)は、最大パラメータ値を閾値と比較するように構成される、項目362に記載の装置。
【0286】
項目378:パラメータ値は、信号値の分布を表す、項目362〜365のうちの何れか1項に記載の装置。
【0287】
項目379:該被験者の心拍から生じる心臓データの識別のために、測定信号を処理するための手段(29)をさらに具備し、流体接続の完全性を決定するための手段(29)は、該圧力データおよび該心臓データに基づいて、完全性を決定するように構成される、項目338〜378のうちの何れか1項に記載の装置。
【0288】
付録A
この付録は、国際特許出願の一体部分として組み込まれ、
図A1〜A12を参照して、時間依存性の測定信号を処理するための方法およびデバイスを記載する。
【0289】
[図面の簡単な説明]
[
図A1]圧力信号をフィルタにかけるために本発明のデータ処理を使用できる、一般的な流体含有システムの概略図である。
[
図A2]本発明の実施形態に従った、モニタリングプロセスのフローチャートである。
[
図A3](a)は、時間の関数としての圧力信号のプロットであり、(b)は、フィルタにかけた後の圧力信号のプロットである。
[
図A4]体外血流回路を具備している血液透析治療システムの概要図である。
[
図A5](a)は、ポンプ周波数成分と心臓の信号との両者を含んでいる静脈圧信号の時間領域におけるプロットであり、(b)は、周波数領域における対応する信号のプロットである。
[
図A6]
図4のシステムにおける蠕動ポンプから生じる予測信号のプロファイルのプロットである。
[
図A7]予測信号のプロファイルを得るプロセスのフローチャートである。
[
図A8]予測信号のプロファイルを生成する外挿プロセスを示すプロットである。
[
図A9(a)]予測信号のプロファイルを生成する内挿プロセスを示すプロットである。
[
図A9(b)]
図9(a)の拡大図である。
[
図A10(a)]1つの流量でポンプデバイスから生じる圧力パルスの周波数スペクトルを表わす。
[
図A10(b)]各周波数スペクトルを対数目盛で与えて高調波の次数にマップした、3つの異なる流量に対する対応する周波数スペクトルを表わす。
[
図A10(c)]線形目盛における
図10(b)のデータのプロットである。
[
図A10(d)]
図10(a)における周波数スペクトルに対応する位相角スペクトルである。
[
図A11]予測信号のプロファイルに基づいて、測定信号をフィルタにかけるように動作可能な適応フィルタ構造の概要図である。
[
図A12(a)]静脈圧センサから得られる、フィルタにかけられた圧力信号(上側)と、対応する心臓の信号(下側)とを示している。
[
図A12(b)]動脈圧センサ得られる、フィルタにかけられた圧力信号(上側)と、対応する心臓の信号(下側)とを示している。
[発明を実施するための形態]
【0290】
以下では、流体含有システムに関する本発明の例示的な実施形態を、概略において記載する。その後で、体外血液処理システムに関連する本発明の実施形態と実施とを更に例示する。
【0291】
後述を通じて、同様の要素は同じ参照符号によって示されている。
【0292】
概略
図A1は、流体含有システムを示している。流体含有システムにおいて、第1の流体含有サブシステムS1と、第2の流体含有サブシステムS2との間に、流体接続部Cが設置されている。流体接続部Cは、一方のサブシステムから他方のサブシステムに流体を送る場合、又は送らない場合がある。第1のパルス発生器3は、第1のサブシステムS1内の流体において一連の圧力波を発生させるように構成されている。第2のパルス発生器3’は、第2のサブシステムS2内の流体において一連の圧力波を発生させるように構成されている。圧力センサ4aは、第1のサブシステムS1における液圧を測定するように構成されている。第2のパルス発生器3’によって発生された圧力波は、第2のサブシステムS2から第1のサブシステムS1に接続部Cを介して伝わる。従って、第1のパルス発生器3から生じる第1のパルスに加えて、第2のパルス発生器3’から生じる第2のパルスが、圧力センサ4aによって検出される。第1のパルス発生器3と第2のパルス発生器3’とのうちの何れか一方が、2つ以上のパルス発生デバイスを含んでいてもよいことに留意すべきである。更に、任意のこのようなパルス発生デバイスは、それぞれのサブシステムS1、S2の一部である場合、又は一部でない場合がある。
【0293】
図A1に示されているように、
図A1のシステムは、監視デバイス25を更に含み、監視デバイス25は、圧力センサ4aと、場合によっては1つ以上の追加の圧力センサ4b、4cとに接続されている。従って、監視デバイス25は、1つ以上の圧力信号を取得する。圧力信号は、時間に依存して、第1のサブシステムS1における液圧をリアルタイムで表わす。
【0294】
一般に、監視デバイス25は、圧力信号のうちの1つにおける、1つ以上の第2のパルスを分離して分析することによって、流体含有システムの機能状態又は機能パラメータをモニタするように構成されている。後述で更に例示されるように、機能状態又はパラメータをモニタして、例えば、第1又は第2のサブシステムS1、S2、第2のパルス発生器3’、或いは流体接続部Cにおける、故障状態を識別することができる。故障状態を識別すると、監視デバイス25は、適切な処置をとるように、アラーム又は警報信号を発して、並びに/或いは、第1又は第2のサブシステムS1、S2の制御システムに知らせることができる。その代わりに又は更に、監視デバイス25は、時系列の機能状態又はパラメータの値を記録又は出力するように構成され得る。
【0295】
監視デバイス25は、圧力信号を受信して処理するために、ディジタルコンポーネント、アナログコンポーネント、又はこれらの組み合わせを、実施に応じて使用し得る。従って、本発明の様々な実施形態によると、デバイス25は、圧力信号を取得して処理する適切なハードウェアを備えた、コンピュータ又は同様のデータ処理デバイスであり得る。本発明の実施形態は、例えば、ソフトウェアの命令によって実施され得る。ソフトウェアの命令は、コンピュータ読出し可能媒体に供給されていて、コンピュータ中のメモリユニット25bに接続されたプロセッサ25aによって実行される。
【0296】
一般に、監視デバイス25は、任意の第2のパルスを分離するために、時間依存性の圧力信号を処理し続けるように構成されている。この処理は、
図A2のフローチャートに概略的に示されている。示されている処理は、第1のパルスのプロファイルu(n)を得るステップ201を含む。第1のパルスのプロファイルu(n)は、第1のパルスの予測時間信号のプロファイルである。更に、示されている処理は、第1のパルスのプロファイルu(n)を使用して、時間領域において、圧力信号d(n)又は前処理された圧力信号をフィルタにかけて、d(n)に含まれている第1のパルスを本質的に取り除く又は取り消して、一方で第2のパルスを保持するステップ202を含む。本開示に関連して、nは、サンプル番号を示しており、従って、時間依存性の信号における(相対的)時間点に相当する。次に、ステップ203において、上述の機能状態又はパラメータをモニタリングするために、結果として得られたフィルタにかけられた信号e(n)を分析する。
【0297】
第1のパルスのプロファイルは、形状テンプレート又は標準信号のプロファイルであって、一般に、時系列のデータ値として与えられ、時間領域における第1のパルスの形状を反映している。更に、以下の記載において、第1のパルスのプロファイルは、「予測信号のプロファイル」として示されている。
【0298】
「本質的に取り除く」は、上述の機能状態又はパラメータをモニタリングするために、第2のパルスを検出して分析できる程度になるまで、圧力信号から第1のパルスを除去することを意味する。
【0299】
第1のパルスのプロファイルを使用して、時間領域において圧力信号をフィルタにかけることによって、第1のパルスと第2のパルスとが周波数領域において重なっているか又はほぼ重なっていても、第1のパルスを本質的に取り除いて、それにも関わらず、第2のパルスを保持することができる。例えば、第1のパルスと第2のパルスとのうちの一方又は両方が、周波数範囲又は周波数の組み合わせから構成されている場合に、周波数がこのように重なる可能性は低い。
【0300】
更に、第1のパルス又は第2のパルスの周波数と、振幅と、位相成分は、時間と共に変動し得る。このような変動は、第1及び/又は第2のパルス発生器3、3’をアクティブに制御した結果であり得るか、第1及び/又は第2のパルス発生器3、3’におけるドリフトによって引き起こされ得るか、或いは、サブシステムS1、S2又は流体接続部Cの流体力学特性が変わることによって引き起こされ得る。例えば、第2のパルス発生器3’が人間の心臓であって、従って、第2のサブシステムS2が人間の血液系統である場合に、周波数の変動が生じる場合がある。落ち着いた状態の健康な被験者において、心調律(heart rhythm)の変動(心拍変動(heart rate variability, HRV)は、15%の大きさであり得る。不健康な被験者は、深刻な心臓病を患っているかもしれない。例えば、心房細動(atrial fibrillation)と上室異所性拍動(supraventricular ectopic beating)は、20%を超えるHRVをもたらす場合があり、心室異所拍動(ventricular ectopic beating)の場合は、HRVは60%を超え得る。これらの心臓病は、例えば透析患者の間では珍しくない。
【0301】
周波数領域における従来のフィルタリングによって、例えば、一般に縦続接続されている、帯域消去フィルタ又はノッチフィルタの組み合わせ、並びに/或いは櫛形フィルタを、圧力信号に対して実行して、第1のパルス発生器3から生じる全ての周波数成分を遮ることによって、圧力信号中の第2のパルスを分離することは、任意の周波数が重なっている場合は、不可能又は少なくとも困難であり得る。更に、周波数の重なりは時間と共に変化し得るので、周波数が変動すると、圧力信号中の第2のパルスを適切に分離するのは更に難しくなる。周波数の重なりがなくても、周波数が変動すると、周波数領域においてフィルタを定義するのは困難になる。
【0302】
第1のパルスのプロファイルが圧力信号中の第1のパルスをどのくらいよく表わしているかに応じて、周波数において、第1のパルスと第2のパルスとが重なっていても、且つ振幅において、第2のパルスが第1のパルスよりも非常に小さくても、時間領域における本発明のフィルタリングによって、第2のパルスを分離することができる。
【0303】
更に、時間領域における本発明のフィルタリングは、周波数領域におけるフィルタリングプロセスよりも、圧力信号中の第2のパルスをより迅速に分離できる。前者は、圧力信号中の1つの第2のパルスを分離する能力を有し得る。一方で、後者は、圧力信号中の第1と第2のパルスのシーケンスに対して動作する必要があり得る。従って、本発明のフィルタリングは、流体含有システムの機能状態又は機能パラメータをより迅速に決定できる。
【0304】
本発明のフィルタリングの効果は、
図A3に例示されている。
図A3(a)は、時間依存性の圧力信号d(n)の一例を示している。時間依存性の圧力信号d(n)は、第1のパルスと第2パルスとを、10:1の相対的な大きさで含んでいる。第1のパルスと第2のパルスは、1Hzの周波数と1.33Hzの周波数とをそれぞれ有する。大きさに差があるので、圧力信号は、第1のパルスによって支配されている。
図A3(b)は、時間依存性のフィルタにかけられた信号e(n)を示している。これは、本発明のフィルタリング技術を圧力信号d(n)に適用した後で得られる。フィルタにかけられた信号e(n)は、第2のパルスと雑音とから構成されている。約4秒後に、第2のパルスがなくなっていることに留意すべきである。これは、監視デバイス(
図A1の25)によって観測され、流体含有システムの故障状態として識別され得る。
【0305】
図A2に戻って、本発明のデータ処理は、2つの主要なステップを含んでいる。即ち、第1のパルスのプロファイルu(n)を決定すること(ステップ201)と、第1のパルスのプロファイルu(n)を使用して、測定信号d(n)から、1つ以上の第1のパルスを除去すること(ステップ202)である。
【0306】
これらの主要なステップを実施するには、多くのやり方がある。例えば、参照測定において、第1のサブシステムS1中の圧力センサ4a−4cのうちの1つ以上からの測定信号に基づいて、測定信号中の第1のパルスのセグメントの組を適切に識別して、場合によっては平均することによって、第1のパルスのプロファイル(標準信号のプロファイル)を得ることができる。上述の機能状態又はパラメータの実際のモニタリング中に、第1のパルスのプロファイルを断続的に更新してもよく、又は更新しなくてもよい。その代わりに、所定の(即ち、予め定められた)標準信号のプロファイルを使用してもよい。所定の標準信号のプロファイルは、オプションで、第1のパルス発生器の磨耗、流体の流量、チューブの寸法、流体中の音速、等を考慮して、数学モデルに従って、修正してもよい。更に、除去には、適切な振幅と位相において、測定信号から第1のパルスのプロファイルを減算することが必要であり得る。第1のパルス発生器3に接続された位相センサによって発生された信号から、又は第1のパルス発生器3に対する制御信号から得ることができる位相情報によって、位相を示すことができる。
【0307】
更に、本発明のフィルタリングと、他のフィルタリング技術とを組み合わせて、フィルタにかけられた信号e(n)の品質を一層改善することができる。1つの実施形態では、フィルタにかけられた信号e(n)は、第2のパルスに対する関連する周波数範囲における通過帯域で、帯域通過フィルタに通されることができる。第2のパルスが人間の心臓から生じる場合に、通過帯域を約0.5−4Hzの範囲内に特定してもよい。約0.5−4Hzの範囲は、1分間に30−240ビートの心拍数に対応する。別の実施形態では、第2のパルスの(1又は複数の)現在の周波数範囲が分かっている場合に、帯域通過フィルタの通過帯域を、現在の周波数範囲を囲む狭い範囲にアクティブに制御することができる。例えば、第1と第2パルスのレートが、例えば約10%といった特定の制限値よりも大きく異なっていることが分かったときに必ず、このようなアクティブな制御を適用してもよい。第1のパルス発生器3を断続的に止めるか、又は関連する圧力センサ4a−4cに第1のパルスが到達するのを断続的に妨げることによって、圧力信号から現在の周波数範囲を得てもよい。その代わりに、第1又は第2のサブシステムS1、S2の何れかにおける専用のセンサから、或いは第2のパルス発生器3’に対する制御ユニット(示されていない)に基づいて、現在の周波数範囲を得てもよい。更に別のやり方によると、患者別の情報、即ち、患者の既存のデータ記録、例えば、同じ患者の以前の治療で得られたデータ記録に、少なくとも部分的に基づいて、通過帯域の位置及び/又は幅を設定してもよい。監視デバイス(
図A1の25)の内部メモリ、監視デバイスがアクセスできる外部メモリ、又は患者カードに、患者別の情報を記憶してもよい。例えば、情報は、例えば無線周波数による識別(Radio Frequency IDentification, RFID)によって、監視デバイスに無線で送信される。
【0308】
体外血液処理システムの関連の中で、これらの実施形態と他の実施形態とを更に詳しく以下に記載する。以下の説明を容易にするために、最初に、典型的な体外血流回路の詳細を記載する。
【0309】
体外血流回路におけるモニタリング
図A4は、透析に使用されるタイプの体外血流回路20の一例を示している。体外血流回路20(「体外回路」とも示される)は、コンポーネント1−14を具備する。コンポーネント1−14については、後述する。従って、
図A4に示されているように、体外回路20は、動脈針1の形態の、血液を抽出するためのアクセスデバイスと、動脈チューブセグメント2とを具備し、動脈チューブセグメント2は動脈針1を血液ポンプ3に接続し、血液ポンプ3は蠕動型であり得る。ポンプの入り口には、圧力センサ4b(以下、「動脈センサ」と称する)がある。圧力センサ4bは、動脈チューブセグメント2におけるポンプの前の圧力を測定する。血液ポンプ3は、血液を、チューブセグメント5を介して、透析装置6の血液側に送る。多くの透析機は、圧力センサ4c(以下、「システムセンサ」と称する)を更に備えている。圧力センサ4cは、血液ポンプ3と透析装置6との間の圧力を測定する。血液は、透析装置6の血液側から、チューブセグメント10を介して、静脈点滴チャンバ(venous drip chamber)又は脱気チャンバ(deaeration chamber)11へ、更にそこから、静脈チューブセグメント12と、静脈針14の形態の、血液を再び取り込むためのアクセスデバイスとを介して、患者に戻すように導かれる。透析装置6の静脈側で圧力を測定するために、圧力センサ4a(以下、「静脈センサ」と称する)が備えられている。示されている例において、圧力センサ4aは、静脈点滴チャンバにおける圧力を測定する。動脈針1と静脈針14との両者は、血管アクセスによって患者に接続される。血管アクセスは、例えば、フィステル、スクリブナーシャント、グラフト、等の任意の適切なタイプであり得る。血管アクセスのタイプによって、針の代わりに、他のタイプのアクセスデバイス、例えばカテーテルが使用され得る。その代わりに、アクセスデバイス1、14を、単一のユニットに組み合わせてもよい。
【0310】
図A1の流体含有システムに関して、体外回路20は、第1のサブシステムS1に対応し、血液ポンプ3(更に、体外回路20内の又は体外回路20に関連付けられた任意の別のパルス源、例えば、透析液ポンプ、バルブ、等)は、第1のパルス発生器3に対応し、患者の血液系統は、第2のサブシステムS2に対応し、流体接続部Cは、患者と体外回路20との間の静脈側の流体接続部と動脈側の流体接続部との少なくとも一方に対応する。
【0311】
図A4において、特に、血液ポンプ3の回転速度を制御することによって体外回路20における血流を制御するために、制御ユニット23が備えられている。体外回路20と制御ユニット23は、透析機のような体外血液処理装置の一部を形成し得る。更に説明することも、示すこともしないが、このような装置は、多くの他の機能を行なうことが分かるであろう。他の機能は、例えば、透析液の流量の制御、透析液の温度と構成物の制御、等である。
【0312】
更に、
図A4のシステムは、監視/モニタリングデバイス25を含んでいる。監視/モニタリングデバイス25は、圧力センサ4a−4cのうちの少なくとも1つから圧力信号を受信するように接続され、本発明のデータ処理を実行する。
図A4の例では、監視デバイス25は、制御ユニット23に更に接続されている。その代わりに又は更に、デバイス25は、血液ポンプ3の回転速度及び/又は位相を示すポンプセンサ26に接続され得る。監視デバイス25は、別のデータのための入力を含み得ることが分かるであろう。別のデータは、例えば、全体的なシステムの状態を表す任意の他のシステムパラメータである(例えば、後述の
図A7に関する説明を参照)。デバイス25は、聴覚/視覚/触覚によるアラーム又は警報信号を発生するローカル又は遠隔のデバイス27につながれる又は無線で接続される。その代わりに又は更に、何れかのデバイス25、27は、分析ステップ(
図A2の203)の結果として得られた機能状態又はパラメータ、並びに/或いは、フィルタにかけるステップ(
図A2の202)の結果として得られた、フィルタにかけられた信号e(n)を表示するために、例えば視覚検査のために、ディスプレイ又はモニタを含み得る。
【0313】
図A4において、監視デバイス25は、入力信号を前処理するデータ収集部分28を具備している。データ収集部分28は、例えば、要求最低サンプリングレートと解像度とに関するA/Dコンバータと、1つ以上の信号増幅器と、入力信号の望ましくない成分を除去する1つ以上のフィルタとを含む。望ましくない成分は、オフセットと、高周波雑音と、電源電圧障害である。
【0314】
データ収集部分28における前処理の後で、前処理された圧力信号は、主データ処理部分29に入力として提供される。主データ処理部分29は、本発明のデータ処理を実行する。
図A5(a)は、時間領域におけるこのような前処理された圧力信号の一例を示し、
図A5(b)は、対応するパワースペクトル、即ち、周波数領域における前処理された圧力信号を示している。パワースペクトルは、検出された圧力信号が、血液ポンプ3から発生する幾つかの異なる周波数成分を含んでいることを明らかにしている。示されている例では、血液ポンプの基本周波数(f
0)(この例では、1.5Hz)と、その高調波2f
0、3f
0、4f
0とに、周波数成分がある。基本周波数は、後述でポンプ周波数として示されており、体外回路20において圧力波を発生するポンプストロークの周波数である。例えば、
図A4に示されているタイプの蠕動ポンプでは、回転子3aのフル回転ごとに、2回のポンプストロークが発生する。更に、
図A5(b)は、半分のポンプ周波数(0.5f
0)と、その高調波、この例では、少なくとも、f
0、1.5f
0、2f
0、2.5f
0とに、周波数成分が存在していることを示している。更に、
図A5(b)は、(1.1Hzにおける)心臓の信号を示している。この例では、心臓の信号は、基本周波数f0における血液ポンプ信号の約40分の1の強さである。
【0315】
主データ処理部分29は、上述のステップ201−203を実行する。ステップ202において、主データ処理部分29は、時間領域において、前処理された圧力信号をフィルタにかけるように動作して、フィルタにかけられた信号又はモニタリング信号(
図A2のe(n))を出力する。フィルタにかけられた信号又はモニタリング信号において、血液ポンプ3の信号成分は除去されている。モニタリング信号は、患者から生じる任意の信号成分を含んだままである(
図A3(b)を参照)。任意の信号成分は、例えば、患者の心拍によって引き起こされた圧力パルスである。患者の血流において圧力パルスを発生し得る周期的な生理学的現象に対する源は幾つかあり、例えば、心臓、呼吸器系統、又は血管運動であって、自律神経系によって制御されている。従って、モニタリング信号は、患者における周期的な現象の組み合わせから生じる圧力パルスを含み得る。一般に、モニタリング信号中の信号成分は、患者における任意のタイプの生理学的現象又はその組み合わせから生じ得る。それは周期的又は非周期的、反復的又は非反復的、自律的又は非自律的である。
【0316】
実施に応じて、監視デバイス25は、モニタリング信号を更にフィルタにかけて、患者における1回の周期的現象から生じる信号成分を分離するように構成され得る。その代わりに、(データ収集部分28による)圧力信号の前処理中に、このような信号成分のフィルタリングが行なわれる。通常は、患者における異なる周期的現象の信号成分は、周波数領域において分かれているので、例えば、遮断フィルタ又は帯域通過フィルタを適用することによって、周波数領域において信号成分のフィルタリングが行なわれ得る。一般に、心臓の周波数は、約0.5−4Hzであり、呼吸の周波数は、約0.15−0.4Hzであり、血圧を調節する自律系の周波数は、約0.04−0.14Hzであり、体温を調節する自律系の周波数は、約0.04Hzである。
【0317】
監視デバイス25は、モニタリング信号において呼吸パルスを識別することによって患者の呼吸パターンをモニタするように構成され得る。結果として得られた情報は、無呼吸、過呼吸、低換気、喘息の発作、又は患者の他の不規則な呼吸動作をオンラインで監視するために使用され得る。更に、結果として得られた情報は、咳、くしゃみ、嘔吐、又は発作を識別するために使用され得る。咳/くしゃみ/嘔吐/発作から生じる震えは、患者又は体外回路20に接続された他の測定又は監視設備の邪魔になり得る。任意の咳/くしゃみ/嘔吐/発作のタイミングに関する情報を出力するように、監視デバイス25を構成することができ、従って、他の測定又は監視設備は、咳/くしゃみ/嘔吐/発作が誤った測定又は誤報をもたらす確率を低減するように、適切な処置をとることができる。更に、咳/くしゃみ/嘔吐/発作を識別する能力が、それ自身医学的関心を有し得るのは、当然である。
【0318】
監視デバイス25は、モニタリング信号において心拍を識別することによって、患者の心拍数をモニタするように構成され得る。
【0319】
監視デバイス25は、例えば、後の傾向又は統計分析のために、心拍数、呼吸パターン、等の時間の経過に関するデータを集めて記憶するように構成され得る。
【0320】
監視デバイス25は、患者と体外回路20との流体接続部、特に、(アクセスデバイス14を介しての)静脈側の流体接続部の完全性をモニタするように構成され得る。例えば、モニタリング信号中の、患者の心臓又は呼吸器系統から生じる信号成分の存在をモニタすることによって、これを行なうことができる。このような信号成分が無い場合は、流体接続部Cの完全性に障害があることを示していると見なすことができ、デバイス25にアラームを作動させる、及び/又は、例えば、血液ポンプ3を止めて、チューブセグメント12に対してクランプデバイス13を作動することによって、血流を止めることができる。静脈側の流体接続部の完全性をモニタすることは、静脈針のモニタリング(Venous Needle Monitoring, VNM)としても知られている。VNMのために、監視デバイス25は、静脈センサ4aからの圧力信号に基づいて、モニタリング信号を発生するように構成され得る。更に、圧力センサ4b、4cと、体外回路20に含まれている任意の追加の圧力センサとに、デバイス25を接続してもよい。
【0321】
体外回路20は、血液透析濾過(hemodiafiltration, HDF)モードで動作するオプションを有し得る。HDFモードでは、制御ユニット23は、第2のポンプデバイス(HDFポンプ、示されていない)を作動して、透析装置6の上流及び/又は下流の血液ライン、例えば1つ以上のチューブセグメント2、5、10、又は12の中に、輸液(infusion solution)を供給する。
【0322】
第1のパルスの予測信号のプロファイルの取得
このセクションは、
図A4に示されているシステムにおいて、第1のパルスの信号プロファイルを予測又は推定する様々な実施形態を記載している。通常、予測信号のプロファイルは、一般に血液ポンプ3の少なくとも1回の完全なポンプサイクルに対応する期間にわたる、一連の圧力値として提供される。
【0323】
図A6は、
図A4のシステムの予測信号のプロファイルの一例を示している。血液ポンプ3は蠕動ポンプであり、回転子3aのフル回転中に、2つのローラ3bがチューブセグメントに係合するので、圧力のプロファイルは、2回のポンプストロークで構成される。例えば、ローラ3bとチューブセグメントとの係合の僅かな差のために、ポンプストロークが、異なる圧力値(圧力のプロファイル)を生じる場合があるので、予測信号のプロファイルは両者のポンプストロークを表わすのが望ましい。より低い精度の予測信号のプロファイルが許され得る、即ち、後の除去プロセスの出力が許容できる場合は、予測信号のプロファイルは、1回のポンプストロークのみを表わしてもよい。
【0324】
流体システムの数学的シミュレーション、又はその組み合わせを通して、参照測定における予測信号のプロファイルを通常レベルで得ることができる。
【0325】
参照測定
予測信号のプロファイルを得る方法のうちの第1の主なグループは、システム中の圧力センサから、即ち(常にではないが)通常は、第1のパルスを除去するために処理される測定信号(圧力信号)を提供する圧力センサと同じ圧力センサから、時間依存性の参照圧力信号(「参照信号」)を導き出すことに基づく。この参照測定中に、第2のパルス発生器3’を停止/デアクティブにすることによって、又は圧力センサを第2のパルスから離すことによって、第2のパルスが関連する圧力センサに到達するのが妨げられる。
図A4のシステムでは、プライミング段階中に、参照測定を行なうことができる。プライミング段階において、体外回路20は患者から取り外されて、血液ラインを通してプライミング流体がポンプで送り込まれる。その代わりに、シミュレーションの処理において、血液又は任意の他の流体を用いて、参照測定を行なってもよい。オプションで、参照測定は、複数の圧力のプロファイルを平均して、雑音を低減することを含んでもよい。例えば、複数の関連する信号セグメントが、参照信号中に識別される場合がある。この場合に、異なるセグメントにおける圧力のプロファイルが適切に重なるように、これらのセグメントを並べて、一緒に加える。関連する信号セグメントの識別は、参照信号中の各第1のパルスの予想位置を示すタイミング情報に少なくとも部分的に基づいてもよい。ポンプセンサ26の出力信号、制御ユニット23の制御信号、又は圧力センサ4a−4cのうちの別の圧力センサからの圧力信号におけるトリガポイントから、タイミング情報を得てもよい。例えば、トリガポイントと、参照信号を発生する圧力センサとの間における到達時間の既知の差に基づいて、参照信号中の第1のパルスの予測時間点を計算することができる。変形例において、参照信号が周期的である場合は、定められた信号レベルと参照信号との交点を識別することによって、関連する信号セグメントを識別することができる。関連する信号セグメントを識別して、交点の各対の間を延ばす。
【0326】
第1の実施形態では、体外回路20を患者に接続する前に、参照測定において予測信号のプロファイルを直接に得て、その後で、次の除去プロセスへの入力として使用する。次の除去プロセスは、体外回路20が患者に接続されたときに実行される。従って、この実施形態では、システムが患者に接続されるときに、予測信号のプロファイルは、第1のパルスを表わしていると考えられる。参照測定中と、除去プロセス中とにおいて、同じポンプ周波数/速度を使用するのが適切である。他の関連するシステムパラメータも本質的に一定に維持するのが望ましい。
【0327】
図A7は、第2の実施形態のフローチャートである。第2の実施形態では、最初に、参照測定に基づいて、参照ライブラリ又はデータベースを生成する(ステップ701)。通常、結果として得られた参照ライブラリは、メモリユニットに記憶される。メモリユニットは、例えば、監視デバイス(
図A1の25を参照)のRAM、ROM、EPROM、HDD、フラッシュ、等(
図A1の25bを参照)である。参照測定中に、体外回路の幾つかの異なる動作状態に対して、参照圧力信号を求める。各動作状態は、システムパラメータ値の特有の組み合わせによって表わされる。各動作状態に対して、第1のパルスの信号プロファイルを表わすために、参照プロファイルを生成する。次に、参照プロファイルと、関連するシステムパラメータ値とを、参照ライブラリに一緒に記憶する。参照ライブラリは、リスト、ルックアップテーブル、探索木、等のような、探索可能なデータ構造として構成される。
【0328】
実際のモニタリングプロセス中に、即ち、第1のパルスが測定信号から取り除かれると、流体含有システムの現在の動作状態を示す現在の状態情報を、システム、例えば、センサ、制御ユニット、等から得る(ステップ702)。現在の状態情報は、1つ以上のシステムパラメータの現在の値を含み得る。次に、参照ライブラリ中のシステムパラメータ値に対して、現在の値をマッチングする。マッチングに基づいて、1つ以上の参照プロファイルを選択して(ステップ703)、予測信号のプロファイルを作成するために使用する(ステップ704)。
【0329】
一般に、上述のシステムパラメータは、全体的なシステムの状態を表わし、流体含有システム又はそのコンポーネントの構造と、設定と、状況と、変数とを含むが、これらに制限されない。
図A4のシステムにおいて、例示的なシステムパラメータは、以下のものを含み得る。
【0330】
ポンプに関するパラメータ: (例えば、透析装置のための流体生成システムにおける)体外回路に直接又は間接に接続されたアクティブなポンプ数、使用されるポンプのタイプ(ローラポンプ、膜ポンプ、等)、流量、ポンプの回転速度、ポンプアクチュエータのシャフトの位置(例えば、角度又は直線位置)、等。
【0331】
透析機の設定:温度、限外濾過レート、モード変更、バルブ位置/変更、等。
【0332】
使い捨ての透析機器/材料:ポンプチャンバ/ポンプセグメントについての情報(材料、幾何学的形状、磨耗状況)、血液ラインのタイプ(材料、幾何学的形状)、透析装置のタイプ、アクセスデバイスのタイプと幾何学的形状、等。
【0333】
透析システムの変数:血液ポンプの上流と下流のシステムの実際の絶対圧力、例えば、(センサ4aからの)静脈圧、(センサ4bからの)動脈圧、(センサ4cからの)システムの圧力、流路中に閉じ込められたガス量、血液ラインの一時的な停止、流体のタイプ(例えば、血液又は透析液)等。
【0334】
患者の状況:血液アクセス特性、血液特性、例えば、ヘマトクリット、血漿タンパク濃度、等。
【0335】
システムパラメータのうちの幾つか又は組み合わせが、参照ライブラリに記憶され得る、及び/又は、モニタリングプロセス中に参照ライブラリにおける探索変数として使用され得ることが分かるであろう。
【0336】
次に、幾つかの例に関連して、第2の実施形態を更に説明する。これらの例の全てにおいて、モニタリングプロセス中における、流体含有システムの現在の動作状態を示すために、ポンプ回転周波数(「ポンプ周波数」)、又は関係するパラメータ(例えば、血流レート)が使用される。言い換えると、参照ライブラリにおける探索変数として、ポンプ周波数が使用される。例えば、制御ユニットから出力された血流レートに対する設定値、又はポンプ(
図A4のポンプセンサ26を参照)の周波数を示すセンサの出力信号によって、ポンプ周波数を与えることができる。その代わりに、流体システムの動作中に、センサ4a−4cのうちの何れかからの圧力信号の周波数を分析することによって、ポンプ周波数を得ることができる。圧力信号に対して、任意の形式の高調波分析、例えば、フーリエ又はウェーブレット解析を適用することによって、このような周波数の分析を達成することができる。
図A5(b)に示されているように、結果として得られたパワースペクトルにおいて、ポンプの基本周波数f
0を識別することができる。
【0337】
第1の例では、現在のポンプ周波数に最も近いポンプ周波数に関連している参照プロファイルを検索するために、参照ライブラリを探索する。現在のポンプ周波数に正確にマッチしたものが見付からない場合は、予測信号のプロファイルを生成するために、外挿プロセスを実行する。外挿プロセスでは、検索された参照プロファイルに関連するポンプ周波数と、現在のポンプ周波数とにおける既知の差(「ポンプ周波数差」)に基づいて、検索された参照プロファイルを、現在のポンプサイクルに対して、時間のスケーリングをする。更に、ポンプ周波数に起因する振幅の変化を補償するために、振幅のスケールを調節してもよい。
図A8は、470ml/minの流量で得られる参照プロファイルr1(n)と、予測信号のプロファイルu(n)とを示している。予測信号のプロファイルu(n)は、参照プロファイルを480ml/minの流量にスケーリングすることによって得られる。更に、480ml/minで得られた参照プロファイルractual(n)が、単に比較のために示されており、外挿プロセスが、適切に予測された信号プロファイルを実際に生成できることを示している。
【0338】
第2の例では、現在のポンプ周波数に基づいて、参照ライブラリを再び探索する。現在のポンプ周波数に正確にマッチしたものが見付からない場合は、組み合わせプロセスを実行して、予測信号のプロファイルを生成する。ここでは、最も密接にマッチした2つのポンプ周波数に関連する参照プロファイルを、検索して組み合わせる。検索された参照プロファイルのポンプサイクル時間を現在のポンプ周波数に再スケーリングして、再スケーリングされた参照プロファイルの補間により予測信号のプロファイルを計算することによって、組み合わせを行なうことができる。例えば、現在のポンプ周波数vにおける予測信号のプロファイルu(n)は、以下によって与えられ得る。
【0339】
u(n)=g(v−v
i)・r
i(n)+(1−g(v−v
i))・r
j(n)
r
i(n)とr
j(n)は、それぞれ、現在のポンプ周波数vに再スケーリングした後に、ポンプ周波数v
iとv
jとにおいて得られた2つの検索された参照プロファイルを示しており、gは、周波数差(v−v
i)の関数として与えられる緩和パラメータである。なお、v
i≦v≦v
j、0≦g≦1である。当業者には、3つ以上の参照プロファイルを組み合わせることによって、予測信号のプロファイルu(n)を生成できることが分かる。
【0340】
図A9(a)は、
図A4のシステム中の静脈センサ4aから得られる測定信号に対する、320ml/minの現在の流量における予測信号のプロファイルu(n)を示している。300ml/minの流量で静脈センサから得られる参照プロファイルr
1(n)と、340ml/minの流量で静脈センサから得られる参照プロファイルr
2(n)との平均として、予測信号のプロファイルu(n)が計算される。更に、320ml/minで得られる参照プロファイルractual(n)が、単に比較のために示されており、組み合わせプロセスが、適切に予測された信号プロファイルを実際に生成できることを示している。実際には、差は、
図A9(b)の拡大図でのみやっと見える程小さい。
【0341】
例えば、ポンプ周波数の差が特定の制限値未満である場合に、第1の例の外挿プロセスを実行し、その他の場合に、第2の例の組み合わせプロセスを実行することによって、第1の例と第2の例とを組み合わせることができる。
【0342】
第3の実施形態では、
図A7に示されている第2の実施形態のように、参照測定において幾つかの参照信号を求める。システムパラメータ値の特定の組み合わせに対して、各参照信号を得る。次に、参照スペクトルを発生するために、参照信号を処理する。参照スペクトルは、周波数の関数として、エネルギと位相角とを示す。例えば、参照信号のフーリエ解析、又はこれと同等のものによって、これらの参照スペクトルを得ることができる。次に、対応するエネルギと位相のデータを、関連するシステムパラメータ値と共に、参照ライブラリに記憶する(
図A7のステップ701を参照)。参照ライブラリの構成は、第2の実施形態と同じであってもよい。
【0343】
実際のモニタリングプロセス中に、即ち、第1のパルスが測定信号から取り除かれると、流体含有システムから、1つ以上のシステムパラメータの現在の値が得られる(
図7のステップ702を参照)。次に、参照ライブラリ中のシステムパラメータ値に対して、現在の値をマッチングする。マッチングに基づいて、エネルギと位相のデータの特定の組を参照ライブラリから検索して、予測信号のプロファイルを生成するために使用することができる(
図A7のステップ703を参照)。一般に、検索されたエネルギと位相のデータに従って、適切な周波数と、振幅と、位相との正弦曲線を加えることによって、予測信号のプロファイルを生成する(
図A7のステップ704を参照)。
【0344】
この開示に制限するのではなく、一般に、予測信号のプロファイルは、(基本周波数と高調波とについての、エネルギと位相のデータを含んでいる)小さなデータセットによって表わすことができるので、(除去される)第1のパルスが、1つ又は少数の基本周波数(又は、その高調波)しか含んでいない場合に、エネルギと位相のデータから予測信号のプロファイルを生成するのが、好都合であり得る。他方で、第1のパルスのパワースペクトルがより複雑であり、例えば、多くの基本周波数の混合である場合は、代わりに、1つ以上の参照プロファイルから予測信号のプロファイルを生成するのが好ましいかもしれない。
【0345】
図A10(a)は、
図A4のシステムにおいて300ml/minの流量で求められる参照信号のエネルギスペクトルを表わしている。この例では、参照信号は、本質的に、1.2Hzの基本ポンプ周波数(f0、第1高調波)と、この周波数のオーバートーンの組(第2高調波と更なる高調波)とから構成されている。
図A5(b)のパワースペクトルと比較して、
図A10(a)−10(d)のグラフを生成するために使用される圧力信号は、0.5f
0とその高調波とにおける重要な周波数成分を含んでいない。
図A10(a)のグラフは、相対エネルギ分布を表示している。エネルギ値は、0−10Hzの範囲における周波数に対する合計エネルギに正規化されている。
図A10(b)は、
図A4のシステムにおいて3つの異なる流量で求められる参照信号のエネルギスペクトルを表わしている。エネルギスペクトルは、対数目盛対高調波の次数(第1、第2、等)で与えられている。示されているように、最初の4乃至5つの高調波の次数について、対数エネルギと高調波の次数との間に、ほぼ線形の関係を識別することができる。これは、各エネルギスペクトルをそれぞれの指数関数によって表現できることを示している。
図A10(c)は、
図A10(b)のデータを均等目盛で示している。それぞれの多項式関数はデータに適合している。
図A10(a)−A10(c)に示されているように、例えば、ディスクリートな周波数値又は高調波の次数に関連するエネルギ値の組として、又はエネルギ対周波数/高調波の次数を表わすエネルギ関数として、参照ライブラリにおいて、異なるフォーマットで、エネルギスペクトルを表わすことができる。
【0346】
図A10(d)は、
図A10(a)のエネルギスペクトルと共に、即ち、300ml/minの流量に対して求められる位相角スペクトルを示している。
図A10(d)のグラフは、周波数の関数として位相角を示しており、一次関数はデータに適合している。別の表現(示されていない)では、高調波の次数の関数として位相スペクトルを与えることができる。エネルギスペクトルと同様に、位相スペクトルは、参照ライブラリにおいて、異なるフォーマットで、例えば、ディスクリートな周波数値又は高調波の次数に関連した位相角値の組、或いは位相角対周波数/高調波の次数を表わす位相関数として表わされ得る。
【0347】
参照ライブラリに記憶されているエネルギと位相のデータを使用して、予測信号のプロファイルを生成できることが、上述から分かるであろう。エネルギデータにおける各エネルギ値は、定められた周波数(エネルギ値に関連する周波数)に関する正弦曲線の振幅に対応する。定められた周波数に対する位相値は、正弦曲線の適切な位相角を示している。適切な周波数と、振幅と、位相角との正弦曲線を組み合わせる(一般に、加える)ことによって、予測信号のプロファイルを作成するこの方法によって、予測信号のプロファイルは、希望の周波数範囲内のポンプ周波数の全ての高調波を含むことができる。
【0348】
予測信号のプロファイルを生成する場合に、最初に、現在のポンプ周波数のような1つ以上のシステムパラメータの現在の値に基づいて、参照ライブラリを探索する。参照ライブラリの中に、正確にマッチするものが見付からない場合に、組み合わせプロセスを実行して、予測信号のプロファイルを生成することができる。例えば、参照ライブラリにおいて、最も密接にマッチした2つのポンプ周波数が識別され得る。関連するエネルギと位相のデータを検索して組み合わせて、予測信号のプロファイルを形成することができる。エネルギデータと位相データとを補間することによって、組み合わせてもよい。
図A10(a)−A10(d)の例では、各高調波の次数に対して、補間されたエネルギ値を計算することができ、同様に、各高調波の次数に対して、補間された位相値を計算することができる。任意のタイプの補間関数を使用でき、それは線形又は非線形である。
【0349】
第1、第2、第3の実施形態では、流体含有システム中の同じ圧力センサユニットから、参照信号と測定信号とが適切に得られる。その代わりに、圧力センサユニットが、第1のパルスに対して同一の信号応答を与えるか、又は既知の数学的な関係を使用して、信号応答のマッチングができる場合は、異なる圧力センサユニットを使用できる。
【0350】
第1、第2、第3の実施形態を更に改善するために、予測信号のプロファイルを生成するプロセスは、関連する可能性のある他の因子を補償することを更に含んでもよい。関連する可能性のある他の因子は、参照測定と現在の動作状態との間で異なる。これらのいわゆる交絡因子(confounding factor)は、既に記載したシステムパラメータの1つ以上、例えば、絶対平均の静脈圧及び動脈圧、体温、血液ヘマトクリット/粘度、ガス量、等を含み得る。予め定められた補償式又はルックアップテーブルを使用することによって、この補償を行なうことができる。
【0351】
更なるバリエーションでは、第2と第3の実施形態を組み合わせてもよく、例えば、参照ライブラリは、エネルギと位相のデータだけでなく、参照プロファイルも、システムパラメータ値に関連付けて記憶する。ライブラリの中に正確にマッチするものが見付かった場合は、参照プロファイルをライブラリから検索して、予測信号のプロファイルとして使用し、その他の場合は、第3の実施形態におけるように、エネルギと位相のデータを検索して組み合わせる(例えば、補間する)ことによって、予測信号のプロファイルを得る。変形例では、現在のポンプ周波数vの予測信号のプロファイルu(n)を、以下によって得る。
【数5】
【0352】
別の変形例では、正規の手術前(例えば、血液を用いたプライミング又はシミュレーションの処理中)に行なわれる任意の参照測定の代わりに又は任意の参照測定に加えて、正規の手術中に、流体含有システムの参照測定を行なう。このような変形例では、第2のパルス発生器を断続的に止めるか、又は関連する圧力センサに第2のパルスが到達するのを断続的に妨げることができると考えられる。参照信号と測定信号とが1つの及び同じ圧力センサから得られる場合に、
図A4の体外回路20において、このアプローチはより困難である。しかしながら、例えば、第2のパルスから実質的に離されている1つの圧力センサを、流体システムが含んでいる場合は、このアプローチを適用することができる。このような状況では、離されているセンサから参照プロファイル(又は、参照スペクトル)を得て、これを使用して、(オプションで、交絡因子における差を調節/修正した後で)予測信号のプロファイルを生成することができる。次に、予測信号のプロファイルを使用して、第1と第2の両者のパルスを含んでいる測定信号から、第1のパルスを除去する。例えば、
図A4の回路20中のシステムセンサ4cからの圧力信号を、患者から生じる第2のパルスから本質的に分離することができ、従って、参照測定において、この圧力信号を使用することができる。
【0353】
既に説明したように、
図A4における体外回路20は、HDFモードに切り替えることができる。HDFモードでは、追加のHDFポンプをアクティブにして、体外回路20の血液ラインの中に注入液体(infusion liquid)を供給する。動作モードをこのように変化させると、測定信号における第1のパルスの信号特性を変化させる場合がある。従って、この動作状態に関連する適切な参照データ(参照プロファイル、及び/又は、エネルギと位相角のデータ)を、参照ライブラリに確実に含ませることによって、この変化を明らかにすることが必要である。
【0354】
その代わりに、HDFポンプから生じる圧力パルスを分離することが、望ましい場合がある。動脈センサ4b(
図A4)の圧力信号から参照プロファイルを得ることによって、これを達成することができる。動脈圧信号が、患者から生じる圧力パルスと、血液ポンプ3から生じる圧力パルスとを含んでいる一方で、HDFポンプから生じる圧力パルスは、それぞれ患者と血液ポンプ3とによって相当に減衰され、動脈センサ4bに辛うじて到達する。他方で、静脈センサ4aの圧力信号とシステムセンサ4cの圧力信号は、患者と、血液ポンプ3と、HDFポンプとの両者から生じる圧力パルスを含んでいる。従って、それらが静脈センサ4a又はシステムセンサ4cからの圧力信号を調べるときに、血液ポンプ3と患者とから生じた、組み合わされた圧力パルスの予測信号のプロファイルを得るために、動脈圧信号が使用され得る。次に、静脈センサ4a又はシステムセンサ4cからの圧力信号の中で、HDFポンプから生じる圧力パルスを分離するために、予測信号のプロファイルが使用され得る。この例では、患者と体外回路20は、第1のサブシステム(
図A1におけるS1)として見なされ、HDFポンプと、関連する注入チューブは、第2のサブシステム(
図A1におけるS2)として見なされ、これらは流体接続部を介して接続されている。従って、この例では、流体システム中の別のポンプから生じるパルスを除いて、患者における周期的な生理学的現象から生じるパルスを分離するために、本発明のデータ処理は適用されない。他の構成では、静脈センサ4a(
図A4)の圧力信号から参照プロファイルを得て、動脈センサ4b又はシステムセンサ4cの圧力信号を処理するために使用できることが分かるであろう。
【0355】
シミュレーション
参照測定を使用する代わりに、シミュレーション、即ち、システムの現在の動作状態を示す現在の状態情報に基づいて、流体含有システムの数学モデルを使用して計算することによって、予測信号のプロファイルを直接に得ることができる。このような現在の状態情報は、上述のシステムパラメータの1つ以上の現在の値を含み得る。モデルは、システムコンポーネントの既知の物理的関係(又は、同等な表現、例えば、電流と電圧とによってそれぞれ与えられる流量と圧力とを用いて電気回路としてシステムを表わすことによる表現)に基づくことができる。モデルは、分析に関して、暗黙的に又は明示的に表現することができる。その代わりに、数値モデルを使用してもよい。モデルは、システムの完全な物理的性質から、単純な機能までの、任意のものであり得る。一例では、このような単純な機能は、経験的又は理論的データを使用して、ポンプ回転子3aの瞬間角速度についてのデータを、予測信号のプロファイルに変換することができる。
図A4のポンプセンサ26から、瞬間角速度のこのようなデータを得ることができる。
【0356】
別の実施形態では、システムの異なる動作状態に対する参照プロファイルを生成するために、シミュレーションを使用する。次に、これらの参照プロファイルを参照ライブラリに記憶してもよい。第2と第3実施形態について既に記載したのと同じやり方で、参照ライブラリにアクセスして使用することができる。更に、シミュレーションによって得られた参照プロファイル(及び/又は、対応するエネルギと位相角のデータ)と、参照測定によって得られた参照プロファイル(及び/又は、対応するエネルギと位相角のデータ)とを一緒に記憶してもよいことが分かるであろう。
【0357】
第1のパルスの除去
予測信号のプロファイルを使用して、測定信号から1つ以上の第1のパルスを除去するやり方には、幾つかの異なるものがある。ここで、2つの異なる除去プロセスを記載する。単一の減算と、適応フィルタリングである。除去プロセスとその実施との記載は、当然に包括的ではない(様々な代替例又は実施は記載されていない)。これは当業者に明らかである。
【0358】
実施に応じて、予測信号のプロファイルを除去プロセスにそのまま入力してもよく、又は予測信号のプロファイルを複製して、除去プロセスに対する適切な長さの入力信号を構築してもよい。
【0359】
単一の減算
この除去プロセスでは、測定信号から単一の予測信号のプロファイルを減算する。何らかのやり方で、予測信号のプロファイルを、時間においてシフトしてスケーリングして、振幅においてスケーリングして、例えば、除去の誤差を最小化することができる。このような自動スケーリングに対して、様々な最小化基準を使用できる。例えば、二乗誤差の和又は絶対誤差の和を最小化する。その代わりに又は更に、測定信号中の第1のパルスの予想タイミングを示すタイミング情報に基づいて、予測信号のプロファイルを時間においてシフトする。参照信号における圧力セグメントの平均に関して既に記載したやり方と同じやり方で、タイミング情報を得ることができる。
【0360】
この除去プロセスは、予測信号のプロファイルをシフトしてスケーリングするだけであるので、この除去プロセスの1つの潜在的な限界は、予測信号のプロファイルにおける異なる周波数間の関係が常に同じ場合である。従って、様々な高調波周波数間の関係を変えることはできず、予測信号のプロファイル中の周波数成分の一部のみを使用して、他の周波数成分を抑えることもできない。以下に記載するように、適応フィルタリングは、減算する前に線形フィルタを使用するので、この限界を克服するために、適応フィルタリングが使用され得る。
【0361】
適応フィルタリング
図A11は、適応フィルタ30と適応フィルタ構造との概要図である。適応フィルタ構造は、予測信号のプロファイルu(n)と測定信号d(n)とを受信して、誤差信号e(n)を出力するように設計されている。誤差信号e(n)は、第1のパルスが除去された上述のモニタリング信号を形成している。
【0362】
適応フィルタは、周知の電子フィルタ(ディジタル又はアナログ)であり、最適化アルゴリズムに従って、伝達関数を自動調節する。具体的には、適応フィルタ30は、可変フィルタ32、通常は、フィルタ係数w(n)を有する長さMの有限インパルス応答(finite impulse response, FIR)フィルタを含む。
【0363】
適応フィルタが技術的に知られていても、測定信号d(n)中の第1のパルスを削除するために、適応フィルタを直ちに適用することはできない。示されている実施形態では、予測信号のプロファイルu(n)を、可変フィルタ32と、適応更新アルゴリズム34とに入力することによって、これを達成している。可変フィルタ32は、予測信号のプロファイルu(n)を処理して、推定測定信号
【数6】
【0364】
を発生する。適応更新アルゴリズム34は、予測信号のプロファイルu(n)と誤差信号e(n)とに基づいて、可変フィルタ32のフィルタ係数を計算する。誤差信号e(n)は、測定信号d(n)と推定測定信号
【数7】
【0366】
フィルタ係数の各々は、予測信号のプロファイルu(n)の振幅をシフトして、場合によっては再スケーリングするように作用するので、基本的に、適応フィルタリングも、測定信号d(n)から予測信号のプロファイルu(n)を減算することに関わる。測定信号d(n)から推定測定信号
【数8】
【0367】
を減算して、誤差信号e(n)を発生する。推定測定信号は、Mシフトした予測信号のプロファイルu(n)の線形結合として形成され、即ち、u(n)の線形のフィルタリングである。
【0368】
適応更新アルゴリズム34は、多くの様々なやり方で実施され得る。そのうちの幾つかを以下に記載する。この開示は、これらの例に全く制限されない。以下の記載に基づいて、別の代替例を見付けることは、当業者にとって難しくないであろう。
【0369】
適応フィルタリングに対する2つの主なアプローチがある。即ち、確率的アプローチと、決定論的アプローチである。その違いは、更新アルゴリズム34による誤差信号e(n)の最小化にある。e(n)が確率的であると仮定しても、又は決定論的であると仮定しても、異なる最小化基準が得られる。一般に、確率的アプローチは、最小化基準を予想して、費用関数jを使用する。一方で、一般に、決定論的アプローチは、平均値を使用する。e(n)を最小化する場合に、一般に、二乗誤差信号e2(n)を費用関数に使用する。その理由は、これが1つの大域的最小値をもたらすからである。幾つかの状況では、最小化と、異なる形式の制約付きの最小化とにおいて、絶対誤差|e(n)|を使用してもよい。当然に、任意の形式の誤差信号を使用できるが、大域的最小化への収束は必ずしも保証されておらず、最小化は必ずしも解決可能であるとは限らない。
【0370】
信号の確率的な記述において、費用関数は、一般に、
【数9】
【0372】
信号の決定論的な記述において、費用関数は、一般に、
【数10】
【0374】
誤差信号e(n)(費用関数J(n))が最小化されると、第1のパルスは測定信号d(n)から除去される。従って、適応フィルタ30が収束して最小誤差に達すると、第1のパルスから誤差信号e(n)が取り去られて、一方で、第2のパルスが保持される。
【0375】
可変フィルタ32に対する最適フィルタ係数w(n)を得るために、フィルタ係数w(n)に対して費用関数Jを最小化する必要がある。これは、費用関数の勾配ベクトル▽Jを用いて達成することができる。▽Jは、異なるフィルタ係数w
0,w
1,・・・,w
M−1に対するJの導関数である。最急降下は、費用関数Jを最小化する最適フィルタ係数を得るための再帰的方法である(適応フィルタではない)。再帰的方法は、フィルタ係数に初期値を与えることによって開始される。初期値は、ゼロに設定されることが多い。即ち、w(0)=0である。その後で、フィルタ係数は、以下に従って更新される。
【数11】
【0376】
更に、勾配ベクトル▽Jは、費用が最も速く増加する方向を指す。従って、フィルタ係数は、勾配と反対方向において修正される。修正の長さは、ステップサイズパラメータμによって影響される。最急降下アルゴリズムはフィードバックを含むので、最急降下アルゴリズムは常に逸れる危険がある。確実に収束させるために、これはステップサイズパラメータμに対する境界を設定する。最急降下アルゴリズムに対する安定性の基準は、以下によって与えられると示すことができる。
【数12】
【0377】
なお、λ
maxは、Rの最大固有値である。Rは、予測信号のプロファイルu(n)の相関行列であり、以下によって与えられる。
【数13】
【0378】
平均二乗誤差(mean square error, MSE)の費用関数(J=E{|e(n)|2}によって定義される)が使用される場合に、フィルタ係数は、以下に従って更新されると示すことができる。
【数14】
【0379】
信号の統計値が分かっている場合に、最急降下アルゴリズムは、最適フィルタ係数を計算するための再帰的アルゴリズムである。しかしながら、この情報は、分からない場合が多い。最小二乗平均(Least Mean Square, LMS)アルゴリズムは、最急降下アルゴリズムと同じ原理に基づく方法であるが、連続的に統計値を推定する。従って、LMSアルゴリズムは、(連続的に統計値を推定することにより)信号の統計値の変化に適応できるので、LMSアルゴリズムは適応フィルタであるが、勾配に雑音が含まれることになる場合がある。最急降下アルゴリズムは、最小誤差J
minに到達するが、LMSアルゴリズムは、勾配中の雑音のために、最小誤差J
minに到達する可能性が低い。LMSアルゴリズムでは、期待値の瞬間推定値を使用する。即ち、期待値は除去される。従って、LMSアルゴリズムの場合に、フィルタ係数の更新式は、以下のようになる。
【数15】
【0380】
LMSアルゴリズムの収束基準は、最急降下アルゴリズムに対する収束基準と同じである。LMSアルゴリズムにおいて、ステップサイズは、予測信号のプロファイルu(n)に比例する。即ち、予測信号のプロファイルが強い場合に、勾配雑音が増幅される。この問題に対する1つの解決策は、
【数16】
【0381】
を用いて、フィルタ係数の更新を正規化することである。
【0382】
フィルタ係数の新たな更新式は、正規化LMSと呼ばれ、以下によって与えられる。
【数17】
【0383】
LMSアルゴリズムに対するより多くの異なる代替例があり、ステップサイズが修正される。これらのうちの1つは、可変適応ステップを使用する。
【数18】
【0384】
なお、cは、正の定数である。更に、LMSアルゴリズムにおける各フィルタ係数に対する独立適応ステップを、例えば以下に従って選択することができる。
【数19】
【0385】
その代わりに、以下の費用関数
J(n)=E{|e(n)|}
を使用すると、更新式は、以下のようになる。
【数20】
【0386】
この適応フィルタは、サインLMS(Sign LMS)と呼ばれる。これは、計算複雑度が低いことが非常に強く要求される応用に使用される。
【0387】
別の適応フィルタは、リーキーLMS(Leaky LMS)である。これは、以下の費用関数と共に、制約付きの最小化を使用する。
【数21】
【0388】
この制約は、分散αを有する白色雑音を予測信号のプロファイルu(n)に加えたのと同じ効果を有する。その結果、入力信号u(n)における不確実性が高まり、これはフィルタ係数を抑制する傾向がある。R、即ち、u(n)の相関行列が、ゼロに等しい1つ以上の固有値を有する場合は、リーキーLMSを使用するのが好ましい。しかしながら、雑音のないシステムでは、リーキーLMSは性能を下げる。リーキーLMSに対するフィルタ係数の更新式は、以下によって与えられる。
【数22】
【0389】
既に記載したようにMSE費用関数を最小化する代わりに、再帰的最小二乗(Recursive Least Square, RLS)の適応フィルタアルゴリズムは、以下の費用関数を最小化する。
【数23】
【0390】
なお、λは、忘却係数と呼ばれ、0<λ≦1である。この方法は、指数関数的加重最小二乗と呼ばれる。以下の初期設定後に、RLSアルゴリズムに対するフィルタ係数の更新式があると示すことができる。
【0391】
w(0)=0
M×1
P(0)=δ
−1I
M×M
なお、以下に従う場合に、I
M×Mは、恒等行列である。
【数24】
【0392】
なお、δは、高い信号対雑音比(signal-to-noise ratio, SNR)に対する小さな正の定数と、低いSNRに対する大きな正の定数、δ<<0.01σ
u2である。ξ(n)は、先のアルゴリズムにおけるe(n)に対応する。初期設定期間中に、初期設定P(0)=δ
−1Iを使用するので、代わりに以下の費用関数が最小化される。
【数25】
【0393】
RLSアルゴリズムは、ほぼ2Mの反復で収束する。これは、LMSアルゴリズムよりも相当に速い。RLSアルゴリズムの収束はRの固有値に依存しないという別の利点があり、これは、LMSアルゴリズムの場合には当てはまらない。
【0394】
並列して実行される幾つかのRLSアルゴリズムは、異なるλとδとを用いて使用され得る。性能を改善するために、λとδとを組み合わせてもよい。即ち、多くの異なるδ:sで、アルゴリズム(定常解)において、λ=1を使用することもできる。
【0395】
固定小数点数演算において、LMSアルゴリズムとRLSアルゴリズムとの両者を実施できることに注目すべきである。従って、低コストの埋め込みマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラのような、浮動小数点ユニットを有さないプロセッサにおいて、これらを実行することができる。
【0396】
適応フィルタを使用する除去プロセスの効果を示すために、
図A12(a)における上側のグラフは、適応更新アルゴリズム32としてRLSアルゴリズムを使用して、430ml/minの流量の
図A4の静脈センサ4aからの測定信号を処理した、
図A11における適応フィルタ構造によって出力された誤差信号e(n)の出力を示している。適応フィルタ構造は、同じ流量で参照測定において得られた予測信号のプロファイルを提供する。M=15で設計されたRLSアルゴリズムは、約2Mの後で収束する。これは、10Hzの現在のサンプリング周波数で3秒に等しい。従って、上側のグラフは、第1のパルスを取り除いた後の測定信号を示している。
図A12(a)における下側のグラフは、参考のために含まれており、血液ポンプ3が止められている間における静脈センサ4aからの測定信号を示している。収束期間の後に、第2のパルスを適切に表わしているモニタリング信号を提供するように、適応フィルタが動作できることは明らかである。
【0397】
図A12(b)は、
図A12(a)に対応しているが、
図A4の動脈センサ4bから測定信号を得ている。
【0398】
実施に関係なく、適応フィルタ30(
図A11)を静止モードに切り替えることによって、適応フィルタ30の性能を更に改善することができる。静止モードでは、更新アルゴリズム34はディスエーブルにされ、従って、フィルタ32(
図A11)のフィルタ係数は、1組の現在の値にロックされる。適応フィルタ30の切り替えは、外部のプロセスによって制御され得る。外部のプロセスは、一般に、第1のパルスのデータとの関係において、誤差信号e(n)中の第2のパルスを分析する。測定信号、参照信号(上述を参照)、専用のパルスセンサ、第1のパルス発生器に対する制御ユニット、等から、第1のパルスのデータを得ることができる。第2のパルスのレートが第1のパルスのレートに近付き始めている、及び/又は、(絶対制限に対して、或いは第1のパルスの振幅によって与えられた制限に対して)第2のパルスの振幅が非常に弱いことを、外部のプロセスが明らかにする場合に、適応フィルタ30を静止モードに切り替えることができる。所定の期間の間、又はプロセスによって解除されるまで、適応フィルタは静止モードのままであり得る。
【0399】
本発明は、幾つかの実施形態を参照して上述で概ね記載されている。しかしながら、当業者に容易に分かるように、本発明の意図と範囲とを有する、上述で開示された実施形態以外の他の実施形態が、同様に可能である。本発明の意図と範囲は、特許請求項によってのみ定義され制限されている。
【0400】
例えば、測定信号と参照信号は、任意の考えられるタイプの圧力センサから生じ得る。任意の考えられるタイプの圧力センサは、例えば、抵抗、容量、誘導、磁気、又は光検出によって動作して、1つ以上の隔膜、ベロー(bellow)、ブルドン管、圧電コンポーネント、半導体コンポーネント、歪みゲージ、共振ワイヤ、加速度計、等を使用するものである。
【0401】
図A1は、圧力センサ4a−4cが第1のサブシステムS1に接続されていることを示しているが、その代りに、圧力センサ4a−4cは、第2のサブシステムS2において液圧を測定するために接続されてもよい。更に、流体含有システムを、流体接続部Cを介して接続されている第1と第2サブシステムS1、S2に分割する必要はないが、その代りに、1つの流体含有システムを、第1のパルス発生器と第2のパルス発生器とに関連付けてもよい。各圧力センサは、流体含有システムの中に配置されて、第1のパルス発生器から生じる第1のパルスと、第2のパルス発生器から生じる第2のパルスとを検出する。
【0402】
更に、本発明の技術は、全てのタイプの体外血流回路のモニタリングに適用できる。体外血流回路では、患者の全身の血液回路から血液を取って、血液を患者に戻す前に、血液を処理する。このような血流回路は、血液透析と、血液濾過と、血液透析濾過と、血漿交換と、アフェレーシスと、体外膜型肺(extracorporeal membrane oxygenation)と、補助された血液循環と、体外肝臓サポート/透析(extracorporeal liver support/dialysis)とのための回路を含む。同様に、本発明の技術は、輸血回路、注入、人工心肺のような、他のタイプの体外血流回路のモニタリングに適用できる。
【0403】
更に、本発明の技術は、血液以外の他の液体を含んでいる流体システムにも適用できる。
【0404】
更に、本発明の技術は、任意のタイプのポンプデバイスから生じる圧力パルスを除去するために適用できる。任意のタイプのポンプデバイスは、上述で開示した回転蠕動ポンプだけでなく、他のタイプの容積式ポンプ、例えば、線形蠕動ポンプ、薄膜ポンプ、更に、遠心ポンプである。実際には、本発明の技術は、機械又は人間である、任意のタイプのパルス発生器から生じる圧力パルスを除去するために適用することができる。
【0405】
同様に、本発明の技術は、機械又は人間である、任意のタイプのパルス発生器から生じる圧力パルスを分離するために適用できる。
【0406】
本発明の技術は、リアルタイムのデータに対して作用する必要はないが、以前に記録された測定信号のようなオフラインデータを処理するために使用できる。
【0407】
付録B
この付録は、国際特許出願の一体部分として組み込まれ、
図B1〜B20を参照して、流体接続の完全性をモニタリングするための方法およびデバイスを記載する。
【0408】
[図面の簡単な説明]
発明概念の実施形態は、添付の概略図と関連させて、より詳細に記述されるであろう。
[
図B1]流体接続の完全性をモニターするために発明概念が用いられた一般的な流体の配置の概要図である。
[
図B2]第1の発明概念によるモニタリング・プロセスのフローチャートである。
[
図B3](a)は時間の関数としての測定信号のプロットで、(b)は、(a)の中の測定信号のフィルタリング後のプロットであり、(c)は、(b)中の信号中の時間ウィンドウの系列のために計算された統計的なばらつきの尺度を示す。
[
図B4](a)は、測定信号と予測された信号プロフィールとの間のマッチングの手順を示し、(b)は、最良のマッチング位置を示し、また、(c)は、(a)の中のマッチング手順の結果として生じた相関カーブである。
[
図B5](a)は第2のパルスを含んでいる信号セグメントのプロットであり、また、(b)は、平均10の信号セグメントにより生成される評価セグメントのプロットである。
[
図B6]第2の発明概念に従ったモニタリング・プロセスのフローチャートである。
[
図B7](a)−(d)は、測定信号の中で特定された候補のパルスの処理を示す。
[
図B8]は、第2の発明概念によるモニタリング・プロセスの一部のフローチャートである。
[
図B9]は、第1と第2の発明概念を組み合わせたモニタリング・プロセスのフローチャートである。
[
図B10]体外の血流回路を含む血液透析処理用の系についての概略図である。
[
図B11](a)は、ポンプの周波数成分および心臓信号の両方を含んでいる静脈圧信号の時間定義域中のプロットであり、(b)は周波数定義域中の対応する信号のプロットである。
[
図B12]例示されたモニタリング・プロセスのフローチャートである。
[
図B13]
図12のプロセスを実行するためのデータ分析器のブロック図である。
[
図B14](a)および(b)は、心臓信号と共に、および心臓信号なしで、
図B13のデータ分析器中の鼓動検出モジュールの中で処理した後の圧力信号の時間定義域中のプロットである。
[
図B15](a)および(b)は
図B14(a)および(b)のプロットの拡大図である。
[
図B16](a)および(b)は、
図B15(a)および
図B15(b)中のデータから抽出された包絡線のプロットである。
[
図B17]心臓信号を含む、および心臓信号のない包絡線から計算された時間の関数として導関数の合計のプロットである。
[
図B18]心臓信号を含む、および心臓信号のない包絡線から計算された時間の関数としての分散のプロットである。
[
図B19]血液パルスと心臓パルスとの間の相対的な大きさの違いのための、拍動検出モジュールの作業を示したブロック図である。
[
図B20]圧力信号中の拍動成分の検出用のアナログ装置の配置についての概略図である。
【0409】
下記では、発明概念および関連する実施形態は、一般に流体を含む系に関して記述されるであろう。その後、発明概念は、体外の血液治療用の系の文脈の中でさらに例証されるであろう。
【0410】
次の記述の全体にわたって、類似のエレメントは同じ引用符号で示される。
【0411】
総論
図B1は、第1の流体を含む系S1と第2の流体を含む系S2の間で流体接続Cが確立された一般的な流体の配置を示す。流体接続Cは、1つの系から別の系まで流体を転送してもよいし、転送しなくてもよい。第1のパルス発生器3は、第1の系S1の内の流体中で一連の圧力波を生成するために配置され、また、第2のパルス発生器3´は第2の系S2の内の流体中で一連の圧力波を生成するために配置される。圧力センサー4cは、最初の系S1の中で液圧を測定するために配置される。流体接続Cが完全な限り、第2のパルス発生器3´によって生成された圧力波は第2の系S2から第1の系S1まで移動するであろうし、したがって、第2のパルス発生器3´から発せられた第2のパルスは、第1のパルス発生器3から発せられた第1のパルスに加えて圧力センサー4cによって検知されるだろう。第1と第2のパルス発生器3、3´のいずれか1つは、1つを超えるパルス生成装置を含んでいてもよいことに注意すべきである。さらに、そのようなパルス生成装置は、それぞれの流体を含む系S1、S2の一部であってもよいし、一部でなくてもよい。
【0412】
図B1の流体の配置は、
図B1に示されるように圧力センサー4cと、恐らく1以上のさらなる圧力センサー4a、4bとに接続される監視装置25をさらに含む。それによって、監視装置25は、第1の系S1の中の液圧のリアル・タイム表現を提供するために時間依存の1つ以上の測定信号を得る。監視装置25は、第2のパルスが存在することは流体接続Cが完全であることを示し、第2のパルスの欠如が流体接続Cに障害があることを示す、という原則に基づき、流体接続Cの完全性をモニターする。第2のパルスの欠如は、監視装置25にアラームまたは警告および/または警報の信号を出させてもよいし、第1または第2の流体含む系S1、S2のコントロールシステムに警報を発して適切な処置を講ずるようにしてもよい。
【0413】
監視装置25は、第2のパルスが存在するかどうか判断するために、時間依存の測定信号を絶え間なく処理するように構成される。典型的には、決定は、測定信号中における第2のパルスの存在か欠如を示す評価パラメータの値を計算するために、時間定義域中での測定信号、あるいはそれのあらかじめ処理されたバージョンを分析することを含んでいる。履行によって、監視装置25は、ディジタル部品かアナログ部品、あるいはそれの組合せを測定信号の受け取りと処理に使用してもよい。
【0414】
本開示の文脈では、パルスの「欠如」は、パルスが消えたことを示唆してもよいし、あるいは少なくともそれが、存在すると思われるパルスと比較して、大きさにおいて十分に減少したことを示してもよい。存在または欠如の評価は、測定信号に基づきパラメータ値の評価を計算すること、およびパラメータ値を閾値と比較すること、を含んでいてもよい。
【0415】
第1の発明概念
図B2は、第1の発明概念によるモニタリング・プロセスのステップを例証するフローチャートである。測定信号は、受け取られ(ステップ201)、フィルタリング・プロセス(ステップ202)にさらされ、そこでは少なくとも一部の第2のパルスを完全な状態に残すのに対して、第1のパルスは測定信号から必要的に取り除かれる。その後、フィルタされた測定信号は、時間定義域解析にさらされ(ステップ203)、評価パラメータの値は、フィルタされた測定信号中の時間ウィンドウ内の信号値に基づいて時間定義域解析内で計算され、フィルタされた測定信号は下記中の表示された「評価セグメント」である。
【0416】
計算は概して、評価パラメータが評価セグメント内の信号値の分布を表わすように設計される。評価パラメータの最終的な値に基づいて、流体接続が完全かどうかは、概してその最終的な値を閾値と比較することで決定される(ステップ204)。
【0417】
連続的な監視のため、評価パラメータ値の時系列は、測定信号から得られた評価セグメントの時系列に基づいて計算される。これらの評価セグメントは時間においてオーバーラップしていてもよいし、オーバーラップしてなくてもよい。1つの実施形態では、測定信号の個々セクションは、かわるがわるに得られ、フィルタされ、分析される。それぞれの評価セグメントは、測定信号のそのようなセクションの1つに対応してもよく、測定信号が得られる場合に時間ウィンドウがこのように既に適用される。別の実施形態では、測定信号は連続的に得られるとともにフィルタされ、すると評価セグメントはフィルタされた信号から抽出され分析される。
【0418】
図B3(a)は、10:1の相対的な大きさを備えた第1と第2パルスを含んでいる時間依存の測定信号の例を示す。第1と第2のパルスは、それぞれ1Hz及び1.33Hz、の周波数を持っている。
図B3(b)は、第2のパルスおよびノイズだけを残して、第1のパルスを除去後の時間依存の測定信号を示す。約4秒の後に第2のパルスの欠如があることに注目すべきである。
図B3(c)は、
図B3(b)の中のフィルタされた測定信号中の非オーバーラップの時間ウィンドウの系列のために計算されたばらつきの尺度を例証し、それぞれの時間ウィンドウは約0.75秒である。明らかに、評価パラメータとしてばらつきの尺度を使用することによって、約4秒の時間ポイントで第2のパルスの欠如を検知することは可能である。例証する閾値は、点線によって示される。
【0419】
最初の発明概念には流体接続Cの完全の比較的強健な手段を提供する可能性がある。評価セグメント内の信号値の一時的な分布の分析によって、ノイズおよび邪魔な信号に対する改善された耐性を得てもよい。
【0420】
更に、第2のパルスの存在の検知のための測定信号の周波数定義域分析に依存する技術と比較して、第1の発明概念が時間定義域解析に依存するので、第1の発明概念は第2のパルス発生器3´のパルス反復間隔における変化に対する改善された耐性を提供するだろう。例えば、第2のパルス発生器3´が人間の心臓で、第2の系S2がこのようにヒトの血管系である場合、そのような変化を生じうる。心臓のリズム(心拍数の変わりやすさ、HRV)における変化は、周波数定義域における心臓からのピークを不鮮明にし、心臓のリズムを検知することをより難しくするであろう。静かな条件の下の健康な患者では、HRVは15%と同じ程度の大きさかもしれない。心房細動および上室性の異所的の鼓動のように、深刻な心臓の状態に苦しむ不健康な患者は、20%を越えたHRVに至り、および心室の異所的な鼓動ではHRVが60%を越えるかもしれない。これらの心臓病は例えば透析患者の中では珍しくはない。
【0421】
時間ウィンドウが選択され、その結果それぞれの評価セグメントが少なくとも1つの第2のパルスを含んでいる限り、もし適切に選ばれれば、第2パルスの存在/欠如は評価パラメータに影響するだろう。固定長時間ウィンドウは、第2のパルス発生器3´の最大のパルス繰り返し数に関して選ばれた時間ウィンドウの長さで使用されてもよい。時間ウィンドウの長さは、第2のパルス発生器3´の中の制約、あるいは監視方法の選択された性能限界によってセットされてもよい。二者択一的に、フィルタされた測定信号中の時間ウィンドウの長さおよび/または時間ウィンドウの位置は、第2のパルスが検知されると予測されたタイミングに基づいて選択されてもよい。そのような予測されたタイミング(「タイミング情報」)の獲得および使用は、第2の発明概念に関連してさらに下に例証されるだろう。
【0422】
さらに、第1の発明概念による時間定義域解析は周波数定義域分析よりも速い検出を可能にし、なぜなら、周波数スペクトルの生成は評価セグメント中で多数の第2のパルスを必要とするのに対し、前者は評価セグメント中の単一の第2のパルスを検出する能力を有するであろうからである。したがって、周波数定義域分析は時間定義域解析よりも大きなタイム・ラグに関係しているかもしれない。
【0423】
評価パラメータは、評価セグメント内の信号値の統計的なばらつきの尺度として計算されてもよい。潜在的に有用な統計的なばらつきの尺度の制限しない例は標準偏差(σ)、分散(σ
2)、変動係数(σ/μ)および分散平均(variance-to-mean)(σ
2/μ)。他の例は、例えば、次のように与えられた、違いの合計や
【数26】
【0424】
あるいは次のようなエネルギーの尺度の合計
【数27】
【0425】
を含み、nは評価セグメント中の信号値xの数である。まだ他の例は、平均値mからの絶対差の合計に基づいた尺度を含み、平均値mは、評価セグメント中の信号値のために算術平均、幾何平均、中央値(median)などのあらゆる適切な関数を使用して計算される。上記の示唆されたすべてのばらつきの尺度は、それの正規化および/または荷重値を加えた変形をさらに含むことに注意すべきである。
【0426】
統計的ばらつき尺度の計算の代わりか補足として、評価パラメータは、マッチング処理から生じ、評価セグメントは、第2のパルスの1つ以上の予測された信号プロフィールに一致する。その中で好ましくは、しかし必須ではなく、予測された信号プロフィールはそれぞれ単一の第2のパルスを表わす。一般的に、マッチング手順は評価セグメントおよび予測された信号プロフィールをからみつかせるか或いは互いに関連させることを必要とし、評価パラメータ値は相関性の値、典型的には、最大の相関性の値から生じる。
【0427】
相互相関に基づいたマッチング手順は、
図B4(a)−B4(c)にさらに例証される。マッチング手順は仮説を識別するために使用され、
【数28】
【0428】
x(n)は評価セグメントであり、w(n)はノイズ/信号干渉/測定誤差などで取り入れられた妨害を表わす誤り信号であり、s(n)は第2のパルスの予測された信号プロフィールである。H1がH0よりもありそうであると考えられる場合、第2のパルスは識別され、また、流体接続Cは完全であると考えられる。H0がH1よりありそうであると考えられる場合、第2のパルスは識別することができず、流体接続Cに障害を生じているかもしれない。
【0429】
図B4(a)は、予測された信号プロフィールs(n)、及び評価セグメントx(n)の例を示すグラフである。特にこの例において、評価セグメントには4.8dBのSN比(SNR:signal-to-noise ratio)があり、つまり、信号プロフィールs(n)のエネルギーは、誤り信号w(n)のエネルギーの3倍である。相互相関中に、
図B4(a)の中の矢印によって示されるように、信号プロフィールs(n)は時間軸に沿って多くの時間ステップでスライドし、積s(n)・x(n)の積分は各時間ステップで計算される。相互相関は、x(n)とs(n)の間で最良にマッチした時間ポイントを示す最大相関値と共に、このように相関値の時系列に帰着する。
図B4(b)は、最良にマッチした時間ポイントでのx(n)とs(n)の間の相対的な位置を例証し、また、
図B4(c)は前記時間ステップの関数として生じる相関値を例証する。最大相関値(cmax)のまわりの範囲内で加重平均として任意に計算された最大の相関値の大きさは、上記の仮説を識別するために使用されてもよい。
【0430】
図B4(c)に示されるように、マッチング手順が第2のパルスの存在を識別するだけではなく、さらに、それは、最大の相関値(c
max)のための時間ポイント(t
p)から与えられた、評価セグメント中の第2のパルスの位置の表示を提供する。この時間ポイントは、この時間ポイントを予測された時間ポイントと比較することにより、決定された最大の相関価値の信頼性を評価するために使用されてもよい。第2の発明概念に関してさらに下に説明されるとともに、そのような予測された時間ポイントは、前述のタイミング情報から得るようにしてもよい。
【0431】
予側された信号プロフィールは、第2のパルスの多数の記録の平均として生成されてもよい。例えば、それは、モニタリング・プロセスの前および/またはモニタリング・プロセスの間に、多数の評価セグメントを平均することにより生成されてもよい。
【0432】
平均とともに或いは平均なしで、予測されたプロフィールの信号の質を改善するために、第1のパルス発生器が止められている間に測定信号は得てもよく、それによって測定信号は第1のパルスから解放された状態である。したがって、第1のパルス発生器は、第2のパルスの最新の信号プロフィールの計算のためにモニタリング・プロセスの間に断続的に止められてもよい。
【0433】
他の変形では、予測された信号プロフィールは、第1の系の照会圧力センサー(例えば
図B1の中の圧力センサー4a−4cのうちの任意の1つ)から発した1つ以上の照会信号から得られる。そのような照会圧力センサーは、たとえ流体接続に障害を生じたとしても、例えば、第1と第2の流体を含む系の間の第2の流体接続によって、第2のパルスを検知するために適切に配置される。照会圧力センサーは、第1のパルスから分離するために取り付けられ、その結果、照会信号が第1のパルスが必要的に除去される。あるいは、照会信号が第1と第2の両方のパルスを含んでいる場合、照会信号において第2のパルスを完全な状態で残すのと同時に第1のパルスを削除するために、照会信号は、フィルタリングプロセス(例えば
図2のステップ202による)にさらされるようにしてもよい。そのような照会圧力センサーの一例は、体外の血流回路中の動脈圧力センサーあり、体外の血流回路についてはさらに下記に述べられる。例えば、もし、モニタリング・プロセスが体外の血流回路と患者の間の静脈側の流体接続の完全性をモニターすることを目指す場合、そのような体外の血流回路では、測定信号は1つ以上の静脈圧力センサーから発せられる。
【0434】
1つの特定の履行では、照会信号は、モニタリング・プロセスの間に連続的にあるいは断続的に得られ、また、予測された信号プロフィールは、照会信号に基づいて、連続的にあるいは断続的に計算される。したがって、前述の体外の血流回路の文脈では、静脈側の流体接続の完全性は、静脈圧力センサーからの評価セグメントを動脈圧力センサーから得られた予測された信号プロフィールと連続的にマッチングさせることによりモニターされてもよい。各評価セグメント(下記中の表示された「同時のモニタリング」)のために予測された信号プロフィールが更新されることは考えられる。第2の発明概念と関連してさらに下に説明されるように、マッチング手順は、タイミング情報を使用することから利益を得るだろう。あるいは、例えば、モニターされているもの(
図B1参照)に似た多数の流体の配置からの第2のパルスの記録を平均することによって、予測された信号プロフィールをあらかじめ生成してもよい。任意に、流体接続のタイプ、流量、流体の特質などの配置特異的なパラメータの計算に数学モデルを適用することによって、そのようなあらかじめ生成された信号プロフィールは、モニターされる特定の流体の配置に適用されてもよい。あるいは、予測された信号プロフィールは、配置特異的なパラメータに基づく、完全に数学モデルに基づいて得られるようにしてもよい。まだ別の代案によれば、標準プロフィールは、予測された信号プロフィール、例えばガウス分布関数のような鐘形の関数として使用される。
【0435】
第2のパルスの検出を改善するために、評価パラメータ値の計算の前に、フィルタされた測定信号/評価セグメントを、高周波成分(誤り信号w(n)を参照)を削除する信号の増強プロセスにさらすことが考えられる。そのような信号の増強プロセスは、フィルタされた測定信号/評価セグメントをローパス・フィルタリングにさらすことを必要とするだろう。しかしながら、評価セグメントのSNRにおけるより著しい改良は、前述の予された第2のパルスのタイミング(つまりタイミング情報)に再び基づいて、フィルタされた測定信号中のいくつかの連続する第2のパルスを平均することにより達成されるだろう。そのような信号の増強プロセスは、フィルタされた測定信号中の1セットの第2のパルス・セグメントを識別するために予測されたタイミングを使用し、予測されたタイミングに基づいて時間定義域中の第2のパルス・セグメントを整列させて、時間定義域中の各時間値のための整列された信号値の合計により平均表現(average representation)を生成すること、を必要とするだろう。任意に、平均表現は、真実の平均を生成するために第2のパルス・セグメントの数によって正常化される。平均表現は、その後前述の評価セグメントとして使用されてもよく、あるいは、評価セグメントは平均表現内の時間ウィンドウから抽出されてもよい。
【0436】
信号の増強プロセスは、
図B5(a)−B5(b)にさらに例証されます。
図B5(a)は、−9dBのSNRでフィルタされた測定信号x(n)=s(n)+w(n)の時間定義域表現であり、つまり、誤り信号w(n)のエネルギーは、不可能でないにしても第2のパルスの検出のための時間定義域解析を困難にする信号プロフィールs(n)のエネルギーの8倍である。
図B5(b)は、
図B5(a)のものに似ている10の異なる第2のパルス・セグメントを平均した後の時間定義域表現である。著しく改善されたSNRは、明らかに第2のパルスが時間定義域解析を使用して検知されることを可能にする。
【0437】
モニターされる流体の配置が1つを超える圧力センサー(
図B1の中の4a、4b参照)を含んでいる場合、
図B2のモニタリング・プロセスが1つを超える測定信号上で作動してもよいことが理解される。そのような構成では、上記の信号増強プロセスは、異なる圧力センサーから発した、少なくとも2つのフィルタされた測定信号から第2のパルス・セグメントを識別し平均するために前述のタイミング情報を使用することが必要だろう。したがって、第2のパルス・セグメントは、各測定信号中の複数の時間ウィンドウから、および/または、異なる測定信号中の1以上の時間ウィンドウから、抽出されてもよい。
【0438】
図B2のステップ202によるフィルタリングプロセスは、続いて起こる時間定義域解析(ステップ203)によって第2のパルスを検知することができる程度に、測定信号から第1のパルスを除去することをめざしている。例えば、櫛フィルタおよび/または、概して縦つなぎにつながれた帯域停止あるいはノッチ・フィルタの組合せは、第1のパルス発生器3から発した周波数成分をすべて遮るために、測定信号上で作動されてもよい。あるいは、そのようなブロッキングは、例えば、前述のWO 97/10013に示されるのと同じく、1以上の適応性のあるフィルタおよび刻み目等量フィルタ(notch-equivalent filters)の使用によって達成されてもよい。まだ別の代替実施形態では、測定信号は第1のパルスを取り消すために時間定義域の中で処理されてもよい。そのような実施形態では、その後適切な振幅および位相で測定信号から差し引かれることで、第1のパルスの標準的な信号プロフィールが得られるだろう。位相は、第1のパルス発生器3につながれた位相センサーによって生成された信号から、または第1のパルス発生器3のための制御信号から、得られるであろう位相情報によって示される。標準的な信号プロフィールは、前述の信号増強プロセスと同様の、測定信号中の1セットの第1のパルス・セグメントの識別および平均をとることにより、第1の流体を含む回路S1中の圧力センサー4a−4cの1つ以上から適切に得られるだろう。標準的な信号のプロフィールは、モニタリング・プロセスの間に断続的に更新されてもよいし、更新されなくてもよい。あるいは、前もって決められた標準的な信号プロフィールが使用され、それは自由に、第1のパルス発生器に使用されるもの、流体の流量、管の面積、流体中の音の速度などを説明する数学モデルによって修正されてもよい。第1と第2のパルスが周波数定義域でオーバーラップしても、周波数定義域の代わりに、時間定義域中で測定信号をフィルタリングすることによって、第1のパルスを除去し、それでも第2のパルスを保持することが可能であることが注目されるべきである。
【0439】
第2の発明概念
図B6は、第2の発明概念によるモニタリング・プロセスのステップを例証するフローチャートです。このプロセスでは、測定信号は受け取られ(ステップ601)、また、タイミング情報は測定信号から、あるいは別な方法で(ステップ602)得られる。タイミング情報は測定信号中の第2のパルスのタイミングを示す。続いて、測定信号は、タイミング情報に基づいて、測定信号中の第2のパルスの存在か欠如を示す評価パラメータの値を計算するために処理される(ステップ603)。評価パラメータの最終的な値に基づいて、概して最終的な値を閾値と比較することにより、流体接続が完全かどうかが決定される(ステップ604)。
【0440】
したがって、第2の発明概念では、タイミング情報は、測定信号中の第2のパルスの予測された位置を示す。この追加情報は、第2のパルスが他のタイプの信号の特徴、例えば、異なる/より単純な評価パラメータ、から識別されることを可能にするだろうし、および/または、それは第2のパルスの存在/欠如を検知する際に、信頼性の増加を可能にするだろう。
【0441】
更に、上に説明されるように、タイミング情報の提供は、1つ以上の測定信号中の第2のパルス・セグメントの識別および平均をとることにより、信号増強を可能にする。信号の増強は、信号の振幅、ローカルの最大、ローカルの平均などのような、評価パラメータとして基本的な手段の使用を可能にし、測定信号のSNRを増加させるだろう。これは、処理速度の改善および/またはより精巧でない検出設備を可能にする役目をするだろう。
【0442】
第1の発明概念の特徴のうちのいずれとも、第2の発明概念が結合できることが理解される。例えば、測定信号は第1のパルスを削除するためにフィルタされてもよいし、また、評価パラメータは、フィルタされた測定信号中の時間ウィンドウ内の信号値から与えられた評価セグメントのために計算されてもよい。さらに、第1の発明概念に関連して示唆された評価パラメータのうちのどんな1つも、第2の発明概念に等しく適用可能である。しかしながら、第1のパルスの存在下においてさえ、タイミング情報の使用が測定信号中での第2のパルスの検知を可能にするだろうから、測定信号のフィルタリングは第2の発明概念の必須の特徴ではないことに注目すべきである。
【0443】
タイミング情報が、測定信号/フィルタされた測定信号/評価セグメント中の第2のパルスのための予測された時間ポイントを供給であろうから、第2の発明概念はさらに検出速度を改善するだろう。それによって、評価パラメータ値の計算のために処理される必要のある信号値の数は低減されるだろう。例えば、予測された信号プロフィールと評価セグメントの間の相関は、予測された時間ポイント、あるいはこの予測された時間ポイントまわりの閉じられた時間範囲のための計算だけが単に必要であるから、前述のマッチング手順は単純化されるだろう。相応して、それぞれの評価セグメントが少なくとも1つの第2のパルスを含むことが保証されるにもかかわらず、タイミング情報の提供が評価セグメントの抽出のための時間ウィンドウのサイズを低減することを可能にするので、統計的ばらつき尺度あるいは前述の基本的な尺度の計算は単純化されるだろう。例えば、タイミング情報が第2のパルス間の短くされたパルス間隔を示す場合、時間ウィンドウのサイズは低減されるだろうし、および/または各第2のパルスの予測された時間ポイントの中心に時間ウィンドウが置かれるだろう。
【0444】
まださらに、第2の発明概念は、タイミング情報から与えられた、予測された時間ポイントを備えた評価パラメータ値に関連した時間ポイントの比較により、計算された評価パラメータ値の信頼性を評価することを可能にする。例えば、前述のマッチング手順で得られた最大の相関値のための時間ポイントは、第2のパルスのための予測された時間ポイントと比較されるだろう。これらの時間ポイントがあまりにはずれる場合、たとえ相関値の大きさが第2のパルスの存在を示すかもしれなくても、モニタリング・プロセスは第2のパルスが不在であることを決めるだろう。
【0445】
タイミング情報は多くの異なる方法のうちの任意の1つで得られるだろう。例えば、タイミング情報は、第2の流体を含む系につながれたパルス・センサーの出力信号から抽出されるだろう。出力信号は個々の第2のパルスあるいは第2のパルス間の平均時間を示すだろう。いずれの場合も、測定信号中の第2のパルスのための予測された時間ポイントは、パルス・センサーの出力信号、およびパルス・センサーと測定信号を生成する圧力センサーとの間の既知の到着時間の差、に基づいて計算することができる。パルス・センサーは、第2のパルス発生器によって流体の中で生成される圧力波を感じるだろうし、あるいは、パルス・センサーは、例えば、第2のパルス発生器のための制御信号あるいは第2のパルス発生器に機械的につながれたパルス・レート・メーターによって、第2のパルス発生器中のパルス生成プロセスを直接反映するだろう。下にさらに例証される1つの適用では、第2の流体を含む系はヒトの血液系で、また、パルス発生器は人間の心臓である。そのような適用では、タイミング情報は、パルス時計、脈波型酸素濃度計(a pulse oximeter)、心電計などのような任意の従来のパルス・センサーによって提供されるだろう。
【0446】
あるいは、タイミング情報は、測定信号、例えば、以前に計算された評価パラメータ値に関連した時間ポイントから与えられた測定信号中の以前に検知された第2のパルスの相対的なタイミングに基づいて得られるだろう。例えば、最も最近検知した2つの第2のパルスの間の時差は、つづく第2のパルスのための時間ポイントを予測するために使用されるだろう。
【0447】
あるいは、タイミング情報は、第1の系での照会圧力センサーから発した1つ以上の照会信号から得られるだろう。そのような照会圧力センサーは、流体接続に障害があっても、第2のパルスを検知するために、例えば第1と第2の流体を含む系の間の第2の流体接続を介して、適切に配置される。
【0448】
そのような照会圧力センサーの一例はさらに下記に述べられる体外の血流回路中の動脈圧力センサーである。そのような体外の血流回路では、例えば、モニタリング・プロセスが体外の血流回路と患者の間の静脈側の流体接続の完全性をモニターすることを目指す場合、測定信号は1つ以上の静脈圧力センサーから発せられるだろう。照会信号は、ここに示された時間定義域技術を含むあらゆる適切な技術を使用して、少なくとも1つの第2のパルスの検波のために処理されるだろう。照会信号中の検知された第2のパルスの時間ポイントは、測定信号中の予測された時間ポイント/フィルタされた測定信号/モニタリングに使用された照会センサーと圧力センサーの間のパルス到着/通過時間の既知の/測定された差を使用する評価セグメント、にその後変換することができる。したがって、1つの実施形態では、通過時間の差は、固定された値およびあらかじめ定められた値から与えられる。
【0449】
別の実施形態では、体外の血流回路中の動脈側の血液ラインと静脈側の血液ラインと、の間の通過時間の差は、体外の血流回路(静脈圧力センサーおよび動脈圧力センサーを含む)中の任意の適切なセンサーに由来するであろう、実際の動脈の圧力および静脈の圧力(絶対的、相対的、または平均)に基づいて決定される。圧力が上昇した場合、通過時間は減少する、すなわち高圧は、短い通過時間と同じである。体外の血流回路の手術中に、静脈圧は動脈圧より高いに違いなく、したがって、動脈血ラインの通過時間と比較して、静脈血ラインにおいて通過時間はより短いに違いない。通過時間の差は、例えば物理的なモデル或いは参照テーブルに基づいて、決定されるだろう。モデル/テーブルは、圧力(絶対的、関係詞、または平均)に関する情報を含むだけではなく、また、材料(弾力、可塑性など)、幾何的なもの(長さ、直径、肉厚など)、温度(流体および周囲の温度の両方)、機械的な要因(クランプ、緊張、ねじれ/閉塞など)、流体の特性(粘性、水/血液、化学合成品など)などに関する情報を含むであろう。このように決定された通過時間の差は、動脈圧力センサーからの照会信号中の検知された第2のパルスの時間ポイントを、静脈圧力センサーから発した測定信号/フィルタされた測定信号/評価セグメント中の予測された時間ポイントを関連づけるために使用されてもよい。
【0450】
変形では、タイミング情報の改善された評価は、改善されたSNRとともに平均の時間依存の信号をそれによって計算するために、動脈圧力信号に由来し、対応してフィルタされた照会信号とともに、静脈圧信号に由来し、フィルタされた測定信号/評価セグメントを整列させるとともに足し合わせることにより得られるだろう。
【0451】
整列は、実際の動脈圧および静脈圧(絶対的、相対的、或いは平均)から与えられた、前述の通過時間の差に基づくだろう。平均の時間依存の信号中の1つ以上の第2のパルスの識別によって、タイミング情報の改善された評価が得られる。
【0452】
二者択一的にあるいは付加的に、タイミング情報の正確さを潜在的に改善するために、照会信号あるいは測定信号中の少なくとも1つの第2のパルスを識別している間、タイミング情報は第1のパルス発生器を断続的に止めることにより得られるだろう。
【0453】
任意に、照会信号あるいは測定信号の中の、識別された第2のパルスに基づいたタイミング情報を得る過程は、一時的な基準に対して識別された第2のパルス(候補パルス)を検証することを含んでいてもよい。そのような一時的な基準は、例えば、候補パルスのための時間ポイントと1つ以上の前もって識別され(適切に検証された)第2のパルスのための時間ポイントとの間の時間差のための上限および/または下限を示してもよい。これらの限界は固定されるか、あるいは、それらは先行する時間差に関連して動的にセットされてもよい。一時的な基準を破るどんな候補パルスも、タイミング情報を得る際に使用されるものから取り除かれ/廃棄されるだろう。
【0454】
まだ別の代案では、タイミング情報は反復するアプローチを使用して、測定信号から得られる。この反復するアプローチでは、測定信号は、評価パラメータ値、例えば、最初の発明概念に基づいた評価パラメータ値の時系列を計算するために処理される。これらの評価パラメータ値は、一時的な基準に対して検証された、候補パルスおよび関連する候補時間ポイント、の系列を識別する。そのような一時的な基準は、例えば、候補時間ポイント間の時間差のための上限および/または下限値を示してもよい。一時的な基準は、第2のパルス発生器3´中の制約から与えられてもよい。一時的な基準を破るあらゆる候補時間ポイントは、削除/廃棄されるだろうし、また、タイミング情報は残る時間ポイントから得られるだろう。
【0455】
異なる検証方法は、前のタイミング情報(つまり先行する第2のパルスの時間ポイントに関する情報)の有効性に依存して使用されてもよい。そのような前のタイミング情報は、これよりも前に記述された方法のうちの任意の1つによって与えられるか、或いは反復するアプローチの前の反復からの結果から与えられてもよい。
【0456】
図B7(a)は、時間軸に置かれて、先行する第2のパルス(Yによって表示された)の系列と同様に、候補パルス(Xによって表示された)の系列を例証する。第1の検証ステップの中で、予測された時間ポイント(
図B7(b)の矢印↓)は、前のタイミング情報(例えば第2のパルスY)に基づいて計算される。第2の検証ステップでは、第1の一時的な基準は、
図B7(b)に示されるように、予測された時間ポイントから遠くに位置しすぎるあらゆる候補パルスを削除/廃棄するために適用される。第3の検証ステップでは、第2の一時的な基準は、
図B7(c)に示されるように、互いにあまりにも近いあらゆる候補パルス中の最大の評価パラメータ値を備えた候補パルスだけを保持するために適用される。
【0457】
前のタイミング情報が利用可能でない場合、異なる検証方法が使用されてもよい。
図B8はそのような確認方法のためのフローチャートである。候補パルスを識別する最初のステップ801は、第1の確認ステップ802によって後に続かれ、第1の確認ステップ802では、互いにあまりにも近いあらゆる候補パルス中の最大の評価パラメータ値を備えた候補パルスだけを保持するために、第1の一時的な基準が適用される。
図B7(d)は、
図B7(a)中の候補パルスの系列に第1の検証ステップ802を適用した結果を例証する。その後、ステップ803で、残る候補パルスの異なる組合せが形成される。ステップ804で、平均表現(average representation)は、測定信号/フィルタされた測定信号の対応する信号セグメントを整列させ、および合計することにより、個々のそのような組合せのために計算される。組合せは、候補パルス間の時間差のための上限値および/または下限値を定義する第2の一時的な基準に基づいて形成されてもよい。第2の検証ステップ805で、評価パラメータ価値は個々のそのような平均表現のために計算され、そして、最大の評価パラメータ値が抽出される。最後に、ステップ806で、最大の評価パラメータ値を閾値と比較することにより、流体接続が完全かどうかが決定される。最大の評価パラメータ値が閾値を超過する場合、第2のパルスが存在し流体接続が完全であることが結論付けられるだろう。タイミング情報の使用が流体接続の完全性を決定する最終ステップ806で埋め込まれるので、
図B8の検証方法中のタイミング情報の明白な抽出が必要ないことが注目されるだろう。
【0458】
異なる評価パラメータおよび/または閾値がステップ801および806で使用されてもよいことはさらに注目されるべきである。さらに、タイミング情報を得るために上記の二者択一の方法の2つ以上の組合せを使用することは考えられる。
【0459】
図B9は、第1と第2の発明概念の特徴を組み合わせる実施形態のフローチャートである。具体的には、測定信号は、第1の発明概念のステップ201および202によって得られるとともにフィルタされる。その後、ステップ202´では、フィルタされた測定信号は、タイミング情報に基づいて、信号増強のために処理される。
図B5に関連して上に議論されたように、ステップ202´は、平均信号表現(average signal representation)を作成するために、フィルタされた測定信号中の1セットの第2のパルス・セグメントを識別し、整列させて、合計することを、概して必要とする。その後、評価パラメータ値は、第1/第2の発明概念のステップ203/603による増強された信号表現に基づいて計算され、また、流体接続が完全かどうか(ステップ204/604)が決定される。方法はさらに第2の発明概念のステップ601による測定信号の受け取りが必要であり、測定信号は、ステップ201での測定信号と同じか、あるいは前述の照会信号と同じであってもよい。その後、もし必要であれば、第1の発明概念のステップ202にしたがって、測定/照会信号は第1のパルスを除去するためにフィルタされる。最後に、タイミング情報は第2の発明概念のステップ602に従って得られる。
【0460】
モニタリング技術の組合せ
先に説明されるように、流体接続の完全性をモニターするための技術は、第1と第2の発明概念のどちらか、あるいはそれらの組合せに基づくことができる。さらに、例えば、序論で記述されるような空気検出器の使用、あるいは平均圧力レベルの閾値との比較を含む、1つ以上の従来のモニタリング技術と、そのような発明のモニタリング技術を組み合わせることは可能である。他の従来のモニタリング技術は前述のWO 97/10013およびUS2005/0010118に示される。
【0461】
不利な作動状況を扱うように特に設計された他の技術と発明のモニタリング技術を組み合わせることも望ましいだろう。周波数定義域中で第1と第2のパルスがオーバーラップする場合、そのような1つの作動状況が発生するだろう。
図B2のステップ202に関連して上に議論されるように、時間定義域中の測定信号のフィルタリングによりそのような作動状況を扱うことができるだろう。しかしながら、モニタリングの正確さは、下記に記述される位相をロックする技術あるいは打つ検波方法(beating detection method)と発明のモニタリング技術を組み合わせることによりさらに増加されるだろう。
【0462】
位相をロックする技術は、第1と第2のパルス間の位相差を適用する間の第1と第2のパルス発生器3、3´のパルス・レートを同期させるために、第1と第2のパルス発生器3、3´を制御することを必要とする。それによって、第1と第2のパルスは、そのうちに分離され、第1および/または第2の発明概念に従った時間定義域解析を使用して検知することができる。位相差は、およそ180°であってもよく、これが時間定義域の第1と第2のパルスの分離を最大限にするかもしれないからである。第2のパルス発生器の周波数が第1のパルス発生器の周波数に接近することが検出されるか、あるいはその逆の場合、位相をロックする技術が活性化されるだろう。
【0463】
打つ(うなり)検波方法(beating detection method)は、流体接続の完全性を決定するために、測定信号中の打つ信号の存在か欠如を評価することが必要な、二者択一的かあるいは補足的なモニタリング技術である。打つ(うなり)信号は、測定信号の振幅変調として現われて、第1のパルス発生器によって生成された圧力波と、第2のパルス発生器によって生成された圧力波との間の干渉によって形成される。測定信号中の第2のパルスを識別しようとする代わりに、第2のパルスの存在は打つこと(うなり)(beating)の副次的効果によって識別される。一般に、打つこと(うなり)は、緊密に間隔の周波数を備えた2つの信号が一緒に加えられる場合に、特に顕著な現象である。したがって、打つ信号検出は、第1と第2のパルスが周波数定義域で緊密に間隔を置かれる場合に使用されることが本質的に良く適する。打つ信号は、時間定義域の測定信号の分析により検知されてもよいし、検知されなくてもよい。打つ検波は、適切に、第1のパルス発生器と関連した1以上の特定の周波数を得ること、および、前記特定の周波数の1つ以外のすべてが削除された少なくとも1つのフィルタされた測定信号を作成すること、が必要である。打つ検波方法は、両方とも2008年4月17日に提出されて、出願人が共に出願中のスウェーデンの特許出願No. 0800890−6および米国の仮特許出願No. 61/045642の主題です。
【0464】
上記の組合せのうちの任意の1つでは、異なるモニタリング技術がシリーズ、任意の順、あるいは並列に実行されてもよいことが理解される。
【0465】
パフォーマンス向上
ここに記述されるような流体接続の完全性をモニターする異なる方法のパフォーマンスは、次の変形のうちのどれでも適用することにより改善されるだろう。
【0466】
仮説テスト
仮説テストによって第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性の決定を表わすことができるかもしれない。この仮説テストでは、前述の評価パラメータ値βは閾値と比較される。仮説のアウトプットは決定である。もしβ>γ
1の場合「流体接続は完全」(H1)であり、もしβ<γ
0の場合「流体接続に障害あり」(H
0)であり、あるいはもしγ
0≦β≦γ
1の場合「不確かな決定」であり、そこではγ
0およびγ
1は異なるしきい値である。
【0467】
大きさ依存モニタリング技術
モニタリング技術は、測定信号および/または照会信号の中の第1/第2のパルスの大きさを基づき、動的に調節されるだろう。動的調整は、タイミング情報を得る過程および/または測定信号に基づいたパラメータ値を得る過程に影響するだろう。
【0468】
例えば、照会信号中の第2のパルスの大きさ(例えば振幅)が、測定信号中の第2のパルスの大きさ(例えば振幅)よりも小さいか、或いは前もって定義した絶対的な限界よりも小さいと分かる場合、タイミング情報は測定信号に基づいて得られるだろうが、タイミング情報はさもなければ照会信号に基づいて得られるだろう(或いは逆も同様)。したがって、
図B9に関連して、ステップ601は第2のパルスの大きさに基づいて調節される。
【0469】
別の例において、照会信号中の第2のパルスの大きさ(振幅)が、再度小さすぎると分かる場合、モニタリング方法は、測定信号の第2のパルスの存在あるいは欠如を発見する別の方法、例えばタイミング情報なしで作動する方法(例えば
図B9のステップ601、602、202及び202´の省略による)に変わるだろう。
【0470】
上記の例において、第1と第2パルスの大きさが共変の存在である場合、動的調整は、二者択一で第1のパルスの大きさ、あるいは第1と第2パルスの組合せの大きさに基づくだろう。
【0471】
患者データ記録に基づいたモニタリング技術
第2の流体を含む系(
図B1の中のS2)が患者の血液系である場合、モニタリング方法は患者特有の情報、つまり患者の既存のデータ・レコード、例えば、同じ患者の初期の治療で得られたもの、にアクセスし使用するように構成されてもよい。患者特有の情報は、監視装置(
図B1のうちの25)の内部記憶の、監視装置にアクセス可能に作られた外部メモリ上あるいは、例えばRFID(Radio Frequency Identification)によって例えば監視装置に無線で送信される患者のカード上、に格納されるだろう。例えば、監視装置はフィルタされた測定信号あるいはそこから由来したパラメータを、患者特有の情報と比較してもよい。もし大規模な違いが識別される場合、警告は出されおよび/またはモニタリング技術は修正されるだろう(あるいは前もって定義したテーブルによって選ばれるだろう)。更に、患者特有の情報は、例えば先のアルゴリズム/プロセスで使用するための個人の閾値を決定することによって、モニタリング技術を最適化するために監視装置によって使用されてもよい。患者特有の情報は、選択的なモニタリング技術あるいはモニタリング技術の組合せが使用されるべきかどうかを判断するために、監視装置によって使用されてもよい。
【0472】
第1のパルス発生器の正常停止からの情報の使用
1つの実施形態では、第1のパルス発生器は規則的に(断続的に或いは周期的に)止められ、また、測定信号および/または照会信号は、第2のパルスの振幅、周波数および位相の決定のために分析される。その後、この生じる情報は前述の位相をロックする技術によって検波を達成するために使用されてもよい。
【0473】
二者択一的にあるいは付加的に、そのような停止の間に検知された第2のパルスの大きさ(例えば振幅)がある限界(安全な検波のためにマージンとともに選ばれた)よりも小さい場合、「不確かな検波」の警報が出されてもよい。あるいは、大きさが別の限界より小さい場合、第1のパルス発生器は特定の時間間隔で止められるように活動的にコントロールされてもよく、そこで各停止の間に得られた情報をモニタリング技術を修正するために使用されてもよい。例えば、このように得られた情報は、先のアルゴリズム/プロセス中の閾値を変更するか(或いは加える)、あるいは選択肢モニタリング技術あるいはモニタリング技術の組合せが使用されるべきかどうか判断するために使用されてもよい。別の例において、このように得られた情報が第2のパルスのパルス周波数(pulse rate)を示す場合、タイミング情報(
図B6のステップ602参照)に得させる過程、および/または測定信号(
図B2およびB9中のステップ203/603参照)に基づいたパラメータ値を得る過程、へのインプットをさらに改善するために、専用バンドパスフィルタ(例えば、このように得られたパルス周波数の中心に置かれた)は、測定信号/フィルタされた測定信号/評価セグメント上で作動されてもよい。1つの実施形態では、第1と第2パルスのレートがある限界(例えば約10%)を越えて異なると分かる場合、そのようなバンドパスフィルタは適用される。
【0474】
別の実施形態では、第1のパルス発生器は流体の配置を通じて流量を低減するように選択的に制御される。流量の低減によって、故障条件に対するモニタリング・プロセスのより長い応答時間を受け入れることは可能であり、一方、そのような、より長い応答時間は、故障条件を検知する際のモニタリング・プロセスの正確さを改善する役目をするだろう。
【0475】
体外血流回路のモニタリング
下記では、例証のみの目的で、流体接続の完全性をモニターするための第1と第2の発明概念の履行は、体外の血液治療の文脈に記述される。次の例は上述打つ検波方法(beating detection method)との組合せが必要である。これは例だけで、打つ検波方法および/または上に議論された他のモニタリング技術のうちの任意の1つとの結合なしで、そのモニタリング・プロセスを等しく実行できるかもしれない。
【0476】
打つ検波方法と同様に第1と第2の発明概念の次の履行も、体外の血液処理に制限されないが、第1と第2の流体を含む系の間の流体接続の完全性のモニターに一般に適用可能であることがさらに理解されるに違いない。
【0477】
図B10は、透析に使用されるタイプの体外の血流回路20の例を示す。体外の血流回路20は、下記に記述される構成要素1−14を含む。したがって、体外の血流回路20は、動脈針1の形をなした血液抽出用のアクセス装置、および
図B10に示されるように、動脈針1を蠕動性タイプの血液ポンプ3に接続する動脈チューブ節2、を含む。ポンプの入り口では、動脈チューブ節2でポンプの前で圧力を測定する圧力センサー4a(これ以後、動脈センサーと呼ぶ)がある。血液ポンプ3は、チューブ節5によって、透析器6の血液側に血液を押し込む。多くの透析器が、血液ポンプ3と透析器6の間の圧力を測定する圧力センサー4bに付加的に設けられている。血液は、チューブ節10を介しての透析器6の血液側から静脈の滴下部屋あるいは脱気部屋11へ送られ、そしてそこから静脈のチューブ節12、および静脈の針14の形をなした血液再導入用のアクセス装置によって患者に戻される。圧力センサー4c(これ以後静脈センサーと呼ぶ)は透析器6の静脈側の圧力を測定するために設けられる。図示された例において、圧力センサー4cは静脈の滴下部屋で圧力を測定する。動脈針1および静脈針14の両方は血管進入路によって患者に接続される。血管進入路は、任意の適切なタイプ(例えばフィステル(fistula)、スクリブナーズ流路(Scribner-shunt)、移植片(graft)など)であってよい。血管進入路のタイプによって、他のタイプのアクセス装置(例えばカテーテル)が針の代わりに使用されてもよい。
【0478】
序論経由で議論されるように、血管進入路を通る血液の注入および/または抽出中の不調に関連して血管進入路への流体接続の完全性をモニターすることは生命を保つのに必要である。多くの透析器では、前記圧力検出器4a−4cは1つ以上は存在しない。しかしながら、少なくとも1つの静脈圧力センサーがあるであろう。次の記述は、静脈圧力センサーからの測定信号に基づいた、血管進入路と静脈の針の間の流体接続の完全性のモニターに焦点をあてる。モニタリング・プロセスはいわゆる直接の検出方法(それは第1と第2の発明概念のうちの1つを履行してもよい)および、上に議論されるように、その異なる実施形態を必要とする。したがって、
図B1の中の一般配置図に関連して、体外の血流回路20は第1の流体を含む系S1に対応し、血液ポンプ3(体外の血流回路20の中にあるか、体外の血流回路20に関係づけられたさらなるパルス出所、例えば、透析溶液ポンプ、バルブ、などと同様に)は、第1のパルス発生器3に対応し、患者の血液系は第2の流体を含む系S2に対応し、また、患者の心は第2のパルス発生器3´に対応する。
【0479】
図B10では、制御装置23は血液ポンプ3の回転数の制御により、回路20中の血流を制御するために、不在中に設けられる。体外の血流回路20および制御装置23は、透析器のような体外の血液処理用の装置の一部を形成するだろう。さらに示されず議論されなかったが、そのような装置が他の多くの機能、例えば、透析流体の流れを制御すること、透析流体の温度および組成を制御すること、などを行なうことが理解される。
【0480】
さらに、
図B10では、監視/モニタ装置25は、特に血圧信号中の患者の心臓から発した信号成分の存在をモニターすることにより、患者と体外の血流回路20の静脈側の流体接続の完全性をモニターするように構成される。そのような信号の成分の欠如は、流体接続の完全性の中で失敗の表示として得られ、装置25にアラームを生じさせ、および/または例えば、血液ポンプ3を止めることおよびチューブ節12上のクランプ装置13を活性化することによって、血流を止めさせる。監視装置25は、圧力センサー4cの測定信号を受け取るために少なくとも接続される。装置25は、さらに圧力センサー4a、4および、体外の血流回路20に含まれた任意の追加の圧力センサーに接続されてもよい。
図B10に示されるように、装置25も制御装置23に接続されてもよい。二者択一的にあるいは付加的に、装置25は、血液ポンプ3の周波数および位相を示すための測定装置26に接続されてもよい。装置25は、聞こえる/視覚的な/触覚のアラームあるいは警告信号を生成するためのローカル或いは遠隔の装置27につながれるか、或いは無線で接続される。監視装置25及び/又は警報装置27は、二者択一的に透析装置の一部として組み込まれる。
【0481】
図B10中で、監視装置25は、入って来る信号を前処理するためのデータ収集部28(例えば、最小のサンプリングレートおよび解像度が必要なA/Dコンバータを含むもの)と、1台以上の信号の増幅器と、相殺するもの(offset)、高周波雑音および供給電圧妨害のような入って来る信号中の望まれない成分を削除する1枚以上のフィルタと、を含む。
【0482】
ここに挙げられた例において、データ収集部分28は、1kHzのサンプリングレート、および16ビットの解像度のあるナショナル・インスツルメンツからのDAQカードUSB−6210と、アナログ・デバイシーズからの作動増幅回路AD620と、402Hz(不在中に高周波雑音の除去するため)のカットオフ周波数を備えたローパスフィルタと一緒になった、0.03Hz(不在中に信号オフセットの除去するため)のカットオフ周波数を備えたハイパスフィルタと、を含む。短い収束時間を得るために、ローオーダ(low-order filter)のフィルタがハイパスフィルタに使用される。更に、データ収集部分28は、それぞれ0.5Hz及び2.7Hzの上部と下部カットオフ周波数を備えた付加的な固定バンドパスフィルタを含んでいてもよく、それは毎分30〜160拍の間の心臓脈拍数に対応する。このフィルタは興味のある周波数間隔の外側にある妨害を抑えるために使用されてもよい。
【0483】
データ収集部28中の前処理の後、圧力センサー4cからの信号はデータ分析部29にインプットとして提供され、それは実際のモニタリング・プロセスを実行する。
図B11(a)は、時間定義域の中でそのようにあらかじめ処理された圧力信号の例を示し、また、
図B11(b)は対応するパワー・スペクトル、つまり周波数定義域中の圧力信号を示す。パワー・スペクトルは、検知された圧力信号が血液ポンプ3から出る多くの異なる周波数成分を含むことを明らかにする。図中の例において、その調波(harmonics)2f0、3f0及び4f0と同様に血液ポンプ(この例における1.5Hzの)の基礎周波数(f0)の周波数成分がある。下記中ではポンプ周波数と表示される基礎周波数は、体外の血流回路中の圧力波を生成するポンプ・ストロークの周波数である。例えば、
図B10に示されるタイプの蠕動ポンプでは、2つのポンプ・ストロークは、ロータの個々の最大回転によって生成される。
図B11(b)は、ポンプ周波数の半分の周波数成分(0.5f
0)およびそれの調波(harmonics)、少なくともこの例において、f
0、1.5f
0、2f
0及び2.5f
0、の存在を示す。
図B11(b)は、さらにこの例において基礎周波数f
0の血液ポンプ信号よりおよそ40倍弱い心臓信号(1.1Hz)を示す。
【0484】
図B12は、本発明の実施形態によるデータ分析またはモニタリング・プロセスのためのフローチャートである。図中のプロセスは、体外の血流回路20とヒトの血液系の間の流体接続の完全性をモニターする検波方法の組合せを履行する。1つの検波方法(「直接の検波」)は、圧力信号の心臓パルスの発見のために時間定義域解析を使用することが必要である。別の検波方法(「打つ検波(beating detection)」)は、患者の心臓および血液ポンプから発した圧縮波の同士の間の干渉によって引き起こされた振幅変調(打つ信号)を圧力信号中で発見することを必要とする。これらの検波方法は、さらに詳細に下に記述されるであろう、しかし第1に、プロセスの全体的な作動は簡潔に概説されるだろう。
【0485】
モニタリング・プロセスは、血液ポンプ(ステップ402)の基礎周波数(f0)についての情報と同様に、圧力信号の信号セグメントを入力(ステップ401)によりスタートする。この頻度情報は、圧力信号自体の処理から得てもよい。あるいは、それは、専用測定装置(
図B10のうちの26参照)によって生成された信号、あるいは制御装置(
図B10のうちの23参照)によって使用される設定値或いは実際の値を示す信号から得てもよい。モニタリング・プロセスの反復で毎回ステップ402を実行する必要があるとは限らないことが理解される。
【0486】
直接の検波方法はステップ403−405を含み、例えば、血液ポンプと関係する周波数成分(
図B11で0.5f
0、f
0、1.5f
0、2f
0、2.5f
0、3f
0及び4f
0を参照)の1つ以上をブロッキングすることによって、血液ポンプから発した第1のパルスを削除するようにそこでは信号セグメントが処理される。概して、ステップ403(
図B2のステップ202に対応する)は、血液ポンプから出るすべての周波数成分からの信号セグメントを有効に「クリーン」にするために設計される。ステップ404(
図B2のステップ203に対応する)で、患者の心臓から出る、あらゆる残存する信号パルスも識別するために、信号セグメントは時間定義域中で分析される。そのような心臓パルスがステップ405(
図B2のステップ204に対応する)で検知される場合、モニタリングは、ステップ401に返され、そこで新規の圧力信号セグメントは処理のために入力される。上に言及されるように、この新規の信号のセグメントは部分的に前の信号のセグメントとオーバーラップしてもよいし、オーバーラップしなくてもよい。心臓成分がステップ405で検知されない場合、モニタリングは打つ検波(beating detection)に移る。心臓パルスの欠如は、例えば、血管進入路から静脈針を分離することによって、或いは、心臓パルスが弱すぎて検知できないことによって、静脈の側の流体接続の不調に起因するだろう。あるいは、フィルタするステップ403で偶然に心臓パルスを除去されると、心拍周波数は、本質的に血液ポンプの周波数成分のうちのどれとも一致するだろう。
【0487】
選択的な履行では、直接の検波方法ステップ403−405は、
図B6に関連して上に議論された第2の発明概念によるステップ602−604に対応する。
【0488】
一方の履行では、直接の検波方法は、第2の発明概念に関連して上記と同じように得られるタイミング情報を利用してもよい。
【0489】
打つ検波方法はステップ406−408を含み、その中で、信号のセグメントは、心臓および血液ポンプのそれぞれから発した圧力波間の干渉によって引き起こされた打つ信号(beating signal)を識別するように処理される。打つ信号は、これらの2つの圧力波間の周波数の差と等しい周波数を備えた信号振幅における周期的な変化ととらえられる。したがって、圧力信号の中で心臓パルス自体を探索する代わりに、打つ検波は、時間定義域の圧力信号への心臓パルスの間接的な影響を見る。
【0490】
ステップ406で、信号セグメントは1つ以上の選択された周波数帯を除いたすべての周波数を削除するために処理される。そのような選択された周波数帯はそれぞれ、血液ポンプと関係する周波数成分(
図B11で0.5f
0、f
0、1.5f
0、2f
0、2.5f
0、3f
0および4f
0を参照)のうちのほんの1つを囲む帯域である。この選択的なバンドパス・フィルタリングは打つ信号の検波を促進するために達成されるだろう。心臓からの圧力波は、血液ポンプからの圧縮波より一般に、はるかに小さく(典型的には20−200倍)、したがって、打つ波の電位は弱く、検知するのがおそらく難しい。概して、1つのそのような選択された周波数帯を除くすべての周波数は、信号のセグメントから取り除かれ、そこで、打つ信号(ステップ407)の検波のために、その結果生じたフィルタされた信号セグメントを時間定義域の中で分析する。血液ポンプが多くの周波数成分を生産すると知られている場合(
図B11に示されたように)、ステップ406は、1セットのフィルタされた信号セグメントに帰着し、それらのそれぞれは、これらの周波数成分のうちの1つのまわりの周波数だけを含む。これらフィルタされた信号セグメントは、並列に生成され、次にステップ407で分析されてもよい。あるいは、フィルタされた信号セグメントは血液ポンプ周波数成分の与えられた順序に基づいて、順に生成されてもよい。別のフィルタされた信号セグメントが生成される前に、フィルタされた信号セグメントはそれぞれ、分析用のステップ407に渡されてもよく、その結果、打つ信号が検知されるとすぐに、フィルタされた信号セグメントの生成が中断される。
【0491】
まだ別の実施形態では、心臓脈拍数(heart pulse rate)は知られています。そのような状況で、ステップ406はたった1つのフィルタされた信号セグメントの生成に制限されてもよく、それは、既知の心臓周波数に最も近い周波数成分のまわりの周波数だけを含んでいる。心臓脈拍数は、タイミング情報として同様の方法で適切に得られる。
【0492】
ステップ406の選択的なバンドパスフィルタリングは、周波数帯(それらは打つ検波方法の希望の実行を考慮してセットされる)の固定幅を使用してもよく、典型的には、心臓パルスとポンプ周波数成分との間の最大の周波数間隔が打つ信号に帰着するに違いない。例えば、打つ検波方法が、これらの周波数成分の間の特定の周波数領域中の心臓信号の存在/欠如を発見することができる別の検波方法(例えば直接の検波方法)と結合して使用される場合、ポンプ周波数成分の間隔と比較して、打つ検波方法によって使用される周波数帯は小さいだろう。他の状況で、周波数帯は、ポンプ周波数成分の間隔と約同じ合計の幅か、あるいは隣接したポンプ周波数成分の周波数帯が、さらにオーバーラップするのと約同じ合計の幅を持っているだろう。別の実施形態では、周波数帯の幅は、以前に決定された心臓周波数の関数として適応してセットされるだろう。例えば、心臓周波数がポンプ周波数成分のうちの1つに接近するように、幅は低減されるだろう。上に言及されたように、心臓周波数は、例えば、個別の心拍計から、別の圧力センサーから、あるいはモニタリング・プロセスの前の反復の中で得られるだろう。
【0493】
しかしながら、打つ検波を促進するために、血液ポンプの異なる周波数成分のまわりの選択的なバンドパスフィルタリングが含まれるが、それなしで済むかもしれないことが理解される。
【0494】
打つ信号がステップ408で検知される場合、モニタリングは、ステップ401に返され、そこでは新規の圧力信号セグメントが処理のために入力される。打つ信号がステップ408で検知されない場合、モニタリングは不調を示すアラーム、あるいはそのような不調が生じたかもしれないという少なくとも1つの警告(ステップ409)を作動させ始める。警報器/警告を作動させることと同時に、プロセスは、ポンプ周波数が変更されるステップ410に移るだろうし、するとすぐモニタリング・プロセスは、血管進入路と静脈針の間の流体接続の完全性をモニターし続けるステップ401に返るだろう。心臓成分/打つ信号がモニタリング・プロセスの後の反復中に発見される場合、アラーム/警告が止められるだろう。あるいは、誤った警報の数を最小化するために、ポンプ周波数のそのような変化の前と後にモニタリング・プロセスが心臓信号を検知しない場合のみ、アラーム/警告は活性化されてもよい。
【0495】
ステップ410の1つの実施形態では、ポンプは作用するようにしておかれるが、しかし、そのポンプ周波数が変更される。1つの変形では、ポンプ周波数は血流を低減し、かつそれによって検知された潜在的な不調によって引き起こされたどんな血液のロスも最小化するために低下する。別の変形の中で、ポンプ周波数は活動的に変えられ、その結果その周波数成分がその前の周波数成分と一致しなくなる。例えば、ポンプから発した周波数成分間のほんの少しの間隔によって基礎周波数を変えることができるかもしれない。
図B11の例では、これは、0.5f
0の断片を意味するだろう。概して、その変更は、ポンプ周波数の縮小を表わす。
【0496】
ステップ410の別の実施形態では、検知された潜在的な不調によって引き起こされたあらゆる血液のロスを同様に最小化する間に、ポンプは血液ポンプから干渉を取り除くためにシャット・ダウンされる(つまりf
0=0)。そのような実施形態の変形では、ステップ410は、血液ポンプがシャット・ダウンされている間に心臓の周波数を識別することもまた必要とし、そして、このように識別された心臓周波数からシフトされたポンプ周波数で再度血液ポンプを始動させる。心臓周波数は、例えば、ステップ404のスペクトル信号分析を使用して、圧力信号から識別されてもよい。
【0497】
図B13は、
図B12に示されるモニタリング・プロセスを行なうように構成されるデータ分析部(
図B10中の29参照)のブロック図です。図示の実施形態では、データ分析部は記憶ブロック50、ポンプ周波数決定ブロック51、直接検波ブロック52、打つ検波ブロック53および、直接検波ブロック52と打つ検波ブロック53とからのアウトプットを警報装置に接続するためのスイッチングブロック54、55と、を含む。示さなかったが、コントロール・ブロックは、ブロック50−55の動作を同期させるために設けてもよい。
【0498】
データ分析部29は、一般的あるいは特殊目的のコンピューター装置あるいはプログラムされたマイクロプロセッサーのような処理装置上で走るソフトウェアによって実行されてもよい。記憶ブロック50は、そのようなコンピューター装置の揮発性か不揮発性メモリでもよいし、他のブロック51−55はソフトウェアの命令によって実行されてもよい。しかしながら、ブロックのいくつかあるいはすべてが完全或いは部分的に、FPGA、ASICあるいは個別の電子部品(抵抗器、コンデンサー、演算増幅器、トランジスターなど)のアセンブリーのような公知の技術の、専用のハードウェアで実行されることが考えられる。
【0499】
記憶ブロック50はデータ・サンプルの系列として入って来る圧力信号を格納するために作動される。その後、他のブロック51−53は記憶ブロック50から格納された圧力信号のセグメントを受け取るか取り戻すために作動される。記憶ブロック50は、このように入って来る圧力信号を記憶(buffers)して、個々に処理され分析される信号セグメントをオーバーラップさせるか、オーバーラップさせないことを可能にする。記憶ブロック50は、例えば、多くの線形バッファー、あるいは円形バッファーとして実行されてもよい。
【0500】
ブロック51は信号のセグメントに基づいた血液ポンプの周波数を決定するように構成される。そのようなブロックによって使用されるアルゴリズムの一例はさらに下記に述べられるだろう。
【0501】
ブロック52は、ポンプ周波数決定ブロック51によって提供される、見積もられたポンプ周波数に基づいて、直接の検波ステップ403−405(
図B12)を実行する。決定ステップ405の結果が陰性の場合、つまり、心臓成分は見つからない場合、交換ブロック54はブロック53を活性化するために作動される。心臓成分が見つかる場合、交換ブロック54は警報装置に陽性状態表示を供給するために作動されてもよく、また、新規の信号のセグメントはブロック51及び52によって受け取られてもよいし、取り戻されてもよい。
【0502】
ブロック53は、見積もられたポンプ周波数に再び基づいて、打つ検波ステップ406−408(
図B12)を実行する。決定ステップ408の結果が陰性の場合、つまり、打つ信号が検出されない場合、スイッチングブロック55は、警報装置に陰性状態表示を供給するために作動され、警報装置はアラームを出す。打つ信号が見つかる場合、スイッチングブロック55は、警報装置に陽性状態表示を供給するために作動されてもよく、また、新規の信号のセグメントはブロック51及び52によって受け取られてもよいし、取り戻されてもよい。
【0503】
図B13では、データ分析部は、さらにポンプ周波数(例えば
図B10の中の測定装置26あるいは制御装置23からの)を示す信号を受け取るため入力56を含んでいる。ステップ410(
図B12)に関連して議論されるように、この信号から得られた周波数情報は、ブロック51によって決定された周波数を補足或いは代替してもよい。
【0504】
図B13は、例えば、ブロック52にタイミング情報を提供するため或いはステップ406を実行する場合にブロック53によって使用されるために、患者の心臓周波数を示す測定信号のためのインプット57の設備をも示す。
【0505】
ブロック51−53のそれぞれのために例証する作動が今から説明され、ポンプ周波数決定ブロック51から始められる。
【0506】
ポンプ周波数決定ブロック51は、圧力信号セグメントからのパワー・スペクトルを計算し、かつパワー・スペクトル中の基礎ポンプ周波数を識別するように構成される。パワー・スペクトルは、例えば、圧力信号セグメント上でDFT(個別のフーリエ変換)あるいはFFT(高速フーリエ変換)を作動させることによって、任意の既知の方法で計算することができる。基礎ポンプ周波数は、パワー・スペクトル中で最大のピークの周波数、あるいは複数の最大のピークのうちの少なくとも1つとして識別されるてもよい。
【0507】
パワー・スペクトルの解像度が低い場合、推定された周波数の正確さを増加させるために特別の手段が使用されてもよい。解像度は、信号セグメントfs/N中のサンプリング周波数fs、およびサンプルNの数に依存する。1例において、20秒の信号セグメントは10Hzでサンプリングすると、解像度は0.05Hzとなる。この正確さは、直接の検波ブロック52および/または打つ検波ブロック53の中の処理に不適切だろう。正確さを増加させるために、信号のセグメントは、比較的ノイズがなくシヌソイド状(sinusoid-like)の信号セグメントに帰着するパワー・スペクトルから得られた、見積もられた周波数のまわりの小幅中でバンドパス・フィルタされてもよい。その後、基礎周波数の正確な見積もりは、例えば、フィルタされた信号にシヌソイドを適用させてゼロ交差間の時差を識別することによって、時間定義域のフィルタされた信号セグメントの周期の決定により得ることができる。
【0508】
直接検波ブロック52は、血液ポンプおよびあらゆるさらなる妨害のパルス出所(つまり、第1と第2発明概念に関連して上に議論された「第1のパルス」)から出る信号パルスを相殺するための成分を含んでもよい。更に、直接の検波ブロック52は、圧力信号中の心臓パルスの同定するための第1および/または第2の側面に従った時間定義域解析を行なう成分と同様に前述のタイミング情報を得る成分を含む。
【0509】
打つ検波ブロック53は、1セットの通過帯域(それぞれ血液ポンプの周波数成分の1つを含む)に関する信号セグメントをフィルタするように構成される。生じるフィルタされた信号セグメントはそれぞれ本質的にシヌソイド(sinusoid)である。心臓の周波数がこれらの通過帯域のうちの1つの内に位置すれば、対応するフィルタされた信号セグメントは、他のフィルタされた信号セグメントのうちのどれでも見つからない波形を持つだろう。
【0510】
図B14(a)は、1.5029Hzで血液ポンプの基礎周波数を囲んだ狭いバンドパスでフィルタされた20秒の信号のセグメントを示す。フィルタされた信号はさらに心臓パルスを含み、心臓パルスは、基礎周波数について0.037Hzの振動数のシフトを持っている。血液ポンプおよび心臓パルスの間の相対的な大きさは40:1である。
図B14(b)は、心臓信号のない対応するフィルタされた信号セグメントを示す。非常に小さいが、信号セグメント間の違いを識別することは可能であり、そこでは、心臓の存在は、
図B14(b)にはない、
図B14(a)の中の信号振幅における重なった変形を引き起こす。
図B15(a)およびB15(b)は、
図B14(a)およびB14(b)のそれぞれの信号ピークの拡大図であり、心臓パルスを備えたものと、そのパルスのないフィルタされた信号セグメントとの間の明瞭な違いを示す。
【0511】
1つの実施形態では、打つ検波ブロック53は、フィルタされた信号セグメントから得られた包絡線に基づいた、打つ信号を検知するように構成される。
【0512】
1つのそのような変形中で、打つ検波ブロック53は、信号のセグメントからピーク値の配列を抽出することにより包絡線を得る。抽出されたピーク値は、信号セグメント中で識別された個々のピークの信号値の抽出から与えられるだろう。雑音の強さを改善するために、それぞれの抽出されたピーク値は、その代りに、信号のセグメント(例えば、ピーク値の10−25%、あるいはピーク値のまわりの所定時間範囲内の信号値を含む)中の各ピークを形成する信号値の平均か合計として計算されてもよい。その後、得られた包絡線(ピーク値アレイ)は、評価パラメータの計算のために処理される。
図B16(a)およびB16(b)は、
図B15(a)及びB15(b)のそれぞれから抽出されたピーク値の配列を示している。
【0513】
他の変形の中で、ブロック53は、信号のセグメントxへのヒルバート変換として知られている線形の、時間不変式フィルタ(time-invariant filter)の適用により、包絡線
【数29】
【0514】
nは信号セグメント中の異なる位置である
【数30】
【0515】
近似のあるいはそうではない、得られた包絡線は、その後、評価パラメータの計算のために処理される。
【0516】
一方の変形中で、得られた包絡線は、評価パラメータの計算のために処理される前に、さらに包絡線雑音を除去するためにローパスフィルタをされてもよい。
【0517】
一方の変形では、評価パラメータの最終的な値は、打つ信号の存在あるいは欠如の決定のために閾値と比較されてもよい。
【0518】
一例において、評価パラメータは、包絡線の値の導関数の絶対値の合計であり、次によって得られる、
【数31】
【0519】
b(n)は、位置nの包絡線値であり、Nは、包絡線中の数値である。
【0520】
図B17は、20秒のウィンドウを5分の圧力信号に移動させる結果を例証し、および個々の20秒の信号セグメントのために得られた包絡線上の導関数の絶対値の合計を計算する。上側のカーブは、心臓信号を含むフィルタされた信号セグメントのために計算され、また、より低いカーブは心臓信号を含まないフィルタされた信号セグメントのために計算される。明らかに、心臓信号の存在および欠如を識別するために、閾値を定義することができる。上部のカーブは、信号セグメントが打つ信号の全周期の一部を含んでいるという事実により、波形を示す。したがって、時間とともに、信号セグメントは、打つ信号の異なる部分を含むだろう。勾配は、包絡線のピークおよび谷の近くで小さく、それらの間で大きいので、導関数の計算された合計は相応して時間とともに変わるだろう。打つ周波数が減少し、また包絡線を平らになるため、信号セグメントの所定の長さ(時間ウィンドウ)の間、心臓および血液ポンプの間の減少する周波数差とともに勾配の探知可能性が減少するであろうことは理解されるべきである。より広い時間ウィンドウは、打ちの振幅が雑音より小さくなるところまで探知可能性を改善するだろう。
【0521】
別の例において、評価パラメータは包絡線の値の分散である。
図B18は、
図B17に対応するプロットで、心臓信号と共にあるもの(上側)、および心臓信号のないもの(下側)を、時間の関数としての分散を例証する。明らかに、心臓信号の存在および欠如を識別するために、閾値を定義することができる。
【0522】
まだ別の例(それは包絡線雑音の影響を低減するだろう)において、評価パラメータは導関数の平均された合計で、例えば、次のように与えられる。
【数32】
【0523】
別の実施形態では、打つ検波ブロック53は、パターン認識処理に基づいて、打つ信号の存在か欠如を決定する。例えば、信号セグメントあるいは包絡線のすべてあるいは一部は、打つ信号の代表である、1つ以上の予め決められたシグナル・パターンとマッチさせられるだろう。一例において、得られた包絡線(自由にローパスフィルタされた)は相互相関させられるか、あるいは異なる周波数のシヌソイド波(sinus waves)の1セットののそれぞれとたたみ込み(convolved)させられる。相互相関/畳込み演算はそれぞれ、相関カーブ(最大の相関価値はそれから得ることができる)に帰着する。その後、得られた最大の相関値のセットは打つ信号の存在/欠如の決定のために閾値と比較され、そこで高い十分に最大の相関値がそのような存在の表示として得られる。
【0524】
代替の実行では、打つ検波ブロック53は、打つ信号の周期に対して長い信号セグメント上で作動され、周波数定義域中で打つ信号を発見するためにこれらの信号セグメントを処理(例えば、包絡線にフーリエ変換の操作をする)する。
【0525】
打つ信号の存在を決定する上記の例はすべて、決定された打つ信号の信頼性を評価するさらなるステップを含んでいてもよい。この評価は、打つ信号の打つ周波数の決定と、この打つ周波数が合理的かどうかチェックすることと、を含んでいてもよい。打つ信号がどのように識別されるかによって、打つ周波数は、時間/周波数定義域で得られた包絡線の処理、あるいは最大の相関値を産むシヌソイド波(sinus waves)の周波数の識別により決定されるだろう。打つ周波数は、絶対の期間および/またはモニタリング・プロセス(
図B12)の先行する反復中で決定された1つ以上の打つ周波数に関連して、チェックされるだろうし、そこでは先行する打つ周波数からの十分に大きな偏差が、決定された打つ信号の信頼性が低いということの表示として得られる。評価は、決定された打つ信号の信頼性を示す信頼性スコアに帰着するかもしれない。二者択一的あるいは付加的に、信頼性評価は、そのポンプ周波数を変更するようにポンプを制御し、打つ信号に対応する変更が生じるかどうかチェックするステップを含んでいてもよい。例えば、ポンプ頻度はわずかに変えられてもよいし、あるいは、ポンプは断続的にシャット・ダウンされてもよい。信頼性評価の結果は、例えば、アラーム/警告は活性化されるかどうか、アラーム/警告を作動させる前にモニタリング・プロセスのさらなる反復が要求されるか、ポンプ頻度が変更されるか、など、ステップ409−410の実行に影響してもよい。
【0526】
テストは、異なる状況では異なる評価パラメータが望ましいかもしれないことを示した。例えば、調波(harmonics)のうちの1つのまわりの打つ信号を捜す場合、分散の使用は探知可能性を増加させるかもしれないが、しかし、基礎周波数のまわりの打つ信号を捜す場合、導関数の合計の絶対値あるいは導関数の合計の平均の使用の方がよいかもしれない。他の検波方法が失敗する場合、パターン認識が頼られてもよい。したがって、打つ検波ブロック53は、これらの評価パラメータの1つあるいは任意の組合せを使用するように構成されてもよい。
【0527】
図B19は、心臓パルスが打つ検波ブロック53を使用して検知できる周波数および振幅レンジの例である。点線は、正常な心臓の周波数レンジを示し、また、暗い水平の帯域は、1.13Hzのポンプ周波数を使用したシステムで心臓パルスを検知することができるかもしれない周波数を示す。水平の帯域の5つの列は、血液ポンプおよび心臓パルスの間の異なる相対的な大きさを表わし、20:1から、40:1、60:1、80:1及び100:1まで連なり、底列からトップの列まで連なる。
【0528】
発明は、少数の実施形態に関して主として上述された。しかしながら、当業者に容易に評価されるように、添付された特許クレームによってのみ定義され・限定された発明の視野(scope)および精神の範囲内で、上に示された実施形態以外の実施形態も等しく実施できる。
【0529】
例えば、圧力信号は、任意の考えられるタイプの圧力センサー(例えば、抵抗か、容量性(capacitive)か、誘導か、磁気或いは光学的に感じることにより作動し、1つ以上のダイヤフラム、ベローズ、ブルドン管(Bourdon tubes)、ピエゾ−電子部品、半導体部品、歪みゲージ、共振するワイヤー(resonant wires)などを使用して)から発せられても良い。
【0530】
さらに、図示の実施形態は、患者の回路に返される前に血液に処理を適用するために、患者の回路から血液を得るすべてのタイプの体外の血流回路の監視に適用可能である。そのような血流回路は、血液透析、血液濾過、血液濾過透析、血漿搬出、成分除去(apheresis)、体外膜型酸素供給、支援された血液循環(assisted blood circulation)および体外の肝臓サポート/透析(extracorporeal liver support/dialysis)を含んでいる。
【0531】
さらに、発明のモニタリング技術は、第1の流体を含む系での圧力パルスを生成する、任意のタイプのポンプ装置に適用可能であり、上に示されるような回転式の蠕動ポンプだけでなく、線形の蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、さらに渦巻きポンプ、のような他のタイプの正排水型ポンプ(positive displacement pumps)でもよい。
【0532】
まださらに、発明のモニタリング技術は、さらに1つ以上の動脈圧力センサーからの測定信号に基づいた、血管進入路と動脈針との間の流体接続の完全性のモニターに適用可能である。そのようなモニタリング技術は、従来の空気検出器よりも迅速な故障の検出と、平均圧力レベルと閾値との従来型の比較よりももっと信頼できるような故障の検出と、を提供するだろう。そのような適用では、前述の照会信号は、体外の血流回路中の1つ以上の静脈圧力センサーに由来してもよい。
【0533】
さらに、モニタリング技術がシングルの針の透析に等しく適用可能であることは理解される。
【0534】
さらに、測定信号が人間の血液系での圧力を感知するように配置された圧力センサーから発したものである場合に、発明のモニタリング技術は適用可能である。そのような実施形態では、第1の流体を含む系(S1)は人間の血液系であり、第2の流体を含む系(S2)は体外の血流回路であり、また、流体接続(C)は、アクセス装置と血管進入路との間の接続によって形成されるだろう。第1のパルスは、このように人間の心臓から発し、また、第2のパルスは、体外の血流回路中のポンプ装置(および/または、体外の血流回路中の他のパルス発生器、あるいは体外の血流回路に接続された他のパルス発生器)から発し、および流体接続の完全性は、測定信号中の第2のパルスの存在/欠如を検出するために第1および/または第2の発明概念の適用により決定される。
【0535】
更に、モニタリング・プロセスはディジタル信号処理に制限されていない。
図B20は、圧力信号中の打つ成分の検出用のアナログ装置の典型的な組合せを例証する。個々の装置はそれ自身知られており、また、代替の実行は当業者に容易に利用可能である。アナログ装置の典型的な組合せは、ポンプ装置の基礎周波数(f
0)で信号成分を分離するために、入って来る圧力信号をフィルタするのに適したバンドパスフィルタ151を含んでいる。周波数逓倍器152は、フィルタされた圧力信号を受け取るために配置され、基礎周波数の選択された倍数(0.5、1、2.5、3など)で対応する出力信号を生成するために制御可能である。周波数逓倍器152からの出力信号は、制御可能なバンドパスフィルタ153へ制御信号として入力され、バンドパスフィルタ153は入って来る圧力信号を受け取りフィルタするのに適している。フィルタ153は、周波数逓倍器152(
図B12のステップ406参照)から制御信号の周波数のまわりの周波数帯を除いたすべての周波数を取り除くことにより、圧力信号を処理するようにコントロールされる。処理された圧力信号は、包絡線信号(それは包絡線信号からどんなDC成分も取り除くハイパスフィルタ155に次に供給される)をそれによって生成するピーク検出器154へインプットされる。任意に、ローパスフィルタ(図示されない)は包絡線信号から高周波数の雑音を取り除くために含まれていてもよい。最後に、包絡線信号は、打つ信号の存在/欠如を決定するのに適合された振幅検出器156によって受け取られる。振幅検出器は、順に、全波長整流器156a、ローパスフィルタ156b、および照会信号が与えられる比較器156cを、含んでいてもよい。比較器156cへ入力された信号の振幅が、照会信号を超過する場合、比較器156cは打つ信号の存在を示す信号を出力してもよいし、そうでなければしなくてもよいし、あるいは逆も同様である。
【0536】
上記発明概念は、さらに血液以外に液体を輸送するための流体接続の完全性のモニターに適用可能だろう。同様に、ヒトに関して流体接続を設ける必要がないが、他のタイプの流体を含む系に関して設けることができるだろう。
【0537】
1例において、流体接続は血液処理回路とコンテナ/機械との間で設けられ、そこでは1つのコンテナ/機械から送られた血液は、血液処理回路中の血液処理装置を通り、コンテナ/機械へと戻され、或いは、血液処理装置の下流にある別のコンテナ/機械へ戻される。血液処理装置は、血液を修正し、および/または分析するように構成された任意の既知の装置であってよい。
【0538】
さらに次の例において、流体接続は、透析器と再処理する系の間に設けられ、再処理する系は、汲み上げる水(任意に適切な化学薬品と一緒に)を透析器に通すことにより透析器を再処理する。透析器を再処理する系の一例はUS2005/0051472から分かる。
【0539】
別の例において、流体接続は透析物供給と透析物再生系との間に設けられ、透析物再生系は、透析物供給からの透析物を透析物再生装置を通るように循環させ、そして供給へ戻す。透析物再生装置の一例はWO05/062973から分かる。
【0540】
まだ別の例において、流体接続は、供給から血流回路を経由して透析器までプライミング流体をポンピングすることにより、体外の血流回路を準備するための配置で設けられる。プライミング流体は、例えば、透析溶液、食塩水、浄化された水などであってよい。
【0541】
まださらに次の例において、流体接続は、透析器の透析溶液フロー・パスを清潔にし消毒するための配置で設けられ、フロー・パスを経由して洗浄液を透析器/透析器配管へ送る。洗浄液は、例えば、湯、化学溶剤などであってよい。
【0542】
さらに次の例において、流体接続は水を浄化するための配置で設けられ、供給から浄化する装置を通るように水を送る。浄化する装置は、あらゆる既知の浄水技術、例えば逆浸透、イオンを取り除くこと、或いは炭素吸収、を使用してもよい。
【0543】
別の例において、流体接続は、例えば透析溶液の調製に使用されるために、透析器に浄化された水を供給するための配置で設けられる。
【0544】
これらの例のすべて、およびヒトまたは動物の患者の医療と関係する他の適用では、流体接続の完全性をモニターすることは致命的かもしれない。そのようなモニタリングはここに示された発明概念によって遂行することができる。
以下に、本願出願の当初に特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
被験者の脈管系(S2)に接続された体外流体系(S1)内の圧力センサ(4a−4c)によって取得される測定信号を処理するための装置であって、
−前記測定信号を受信するための手段(28)と、
−前記被験者における第1の生理学的現象から生じる圧力データの識別のために、前記測定信号を処理するための手段であって、前記生理学的現象は、前記被験者の心臓を除く、手段(29)と、を具備する、装置。
[2]
前記生理学的現象は、反射、自発的筋肉収縮、非自発的筋肉収縮、前記被験者の呼吸系、前記被験者の血圧調節のための自律系、および前記被験者の体温調節のための自律系からなる群に含まれる、[1]に記載の装置。
[3]
前記生理学的現象は、反復生理学的パルス発生器である、[1]に記載の装置。
[4]
前記処理するための手段(29)は、周波数領域内の前記測定信号をフィルタリングするように構成される、前述の何れかに記載の装置。
[5]
前記処理するための手段(29)は、前記測定信号をフィルタリングして、約0.5Hzを超える周波数を除去するように構成される、前述の何れかに記載の装置。
[6]
前記処理するための手段(29)は、前記測定信号を、約0.15Hz〜約0.4Hz、約0.04Hz〜約0.15Hz、および約0.001Hz〜約0.1Hzからなる群に含まれる、少なくとも1つの周波数範囲に対してフィルタリングするように構成される、[5]に記載の装置。
[7]
前記体外流体系(S1)は、機械的パルス発生器(3)に関連付けられ、前記圧力センサ(4a−4c)は、前記機械的パルス発生器(3)から生じる第1のパルスと、前記生理学的現象から生じる第2のパルスとを検出するように、前記体外流体系(S1)内に配置される、前述の何れかに記載の装置。
[8]
時間依存性および/または周波数領域内の前記第1および第2のパルスを分離するように、前記機械的パルス発生器(3)を制御するための手段(23、28、29)をさらに具備する、[7]に記載の装置。
[9]
前記測定信号を取得している間、前記機械的パルス発生器(3)を断続的に切るための手段(23、28、29)をさらに具備する、[7]に記載の装置。
[10]
前記第1のパルスの予測時間信号のプロファイルである、第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための手段(29)と、前記第2のパルスを保持する一方で、前記第1のパルスを本質的に排除するように、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を使用して、前記時間依存性の前記測定信号をフィルタリングするための手段(29)と、をさらに具備する、[7]に記載の装置。
[11]
前記フィルタリングするための手段(29)は、前記測定信号から前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を減算するように構成される、[10]に記載の装置。
[12]
前記フィルタリングするための手段(29)は、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))の位相を前記測定信号と関連して調整することによって、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を減算するように構成され、前記位相は、前記機械的パルス発生器(3)に連結された位相センサ(26)から、または前記機械的パルス発生器(3)の制御ユニット(23)から取得される、位相情報によって示される、[11]に記載の装置。
[13]
前記体外流体系(S1)内での参照測定において、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための参照測定手段(29)をさらに具備し、前記参照測定手段(29)は、前記機械的パルス発生器(3)が、少なくとも1つの第1のパルスを発生させるように動作する間、前記体外流体系(S1)内の参照圧力センサ(4a−4c)によって生成される参照信号から前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するように構成される、[10]乃至[12]の何れか1項に記載の装置。
[14]
前記機械的パルス発生器(3)は、前記参照測定中に、時系列の第1のパルスを発生させるように操作され、参照測定手段(29)は、前記参照信号内の第1のパルスのセグメントのセットを識別し、平均することによって、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するように構成される、[13]に記載の装置。
[15]
参照測定手段(29)は、前記体外流体系(S1)の動作中に前記参照測定に断続的に影響を及ぼして、更新された第1のパルスのプロファイル(u(n))を提供するように構成される、[13]または[14]に記載の装置。
[16]
前記圧力センサは、前記参照圧力センサ(4a−4c)として使用される、[13]乃至[15]の何れか1項に記載の装置。
[17]
前記第1のパルスのプロファイルを取得するための手段(29)は、所定の信号のプロファイルを取得するように構成される、[10]乃至[12]の何れか1項に記載の装置。
[18]
前記第1のパルスのプロファイルを取得するための手段(29)は、前記所定の信号のプロファイルを、前記体外流体系(S1)内の1つ以上の系パラメータの電流値に基づく数学モデルに従って修正するようにさらに構成される、[17]に記載の装置。
[19]
前記体外流体系(S1)は、前記参照測定中、前記参照信号が、第1のパルスを含み、第2のパルスを含まないように操作される、[13]乃至[16]の何れか1項に記載の装置。
[20]
前記参照測定手段(29)は、第1のパルスおよび第2のパルスを含む、第1の参照信号に基づく、組み合わせられたパルスのプロファイルを取得し、第2のパルスを含み、第1のパルスを含まない、第2の参照信号に基づく、第2のパルスのプロファイルを取得し、前記組み合わせられたパルスのプロファイルから前記第2のパルスのプロファイルを減算することによって、前記予測信号のプロファイルを取得する、ように構成される、[13]乃至[16]の何れか1項に記載の装置。
[21]
前記体外流体系(S1)の1つ以上の系パラメータの電流値を取得するための手段(28、29)をさらに具備し、前記第1のパルスのプロファイルを取得するための手段(29)は、前記電流値の関数として、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するように構成される、[20]に記載の装置。
[22]
前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための手段(29)は、前記電流値に基づいて、参照データベース内の1つ以上の参照プロファイル(r1(n)、r2(n))を識別し、前記1つ以上の参照プロファイル(r1(n)、r2(n))に基づいて、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得する、ように構成される、[21]に記載の装置。
[23]
前記1つ以上の系パラメータは、前記体外流体系(S1)内の第1のパルスの速度を示す、[22]に記載の装置。
[24]
前記機械的パルス発生器(3)は、ポンプ装置を具備し、前記系パラメータは、前記ポンプ装置のポンプ周波数を示す、[23]に記載の装置。
[25]
前記参照データベース内の各参照プロファイル(r1(n)、r2(n))は、前記1つ以上の系パラメータのそれぞれの値についての前記体外流体系(S1)内での参照測定によって取得される、[22]乃至[24]の何れか1項に記載の装置。
[26]
前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための手段(29)は、前記電流値に基づいて、参照データベース内のエネルギーおよび位相角データの1つ以上の組み合わせを識別し、エネルギーおよび位相角データの前記1つ以上の組み合わせに基づいて、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得する、ように構成される、[21]に記載の装置。
[27]
前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための手段(29)は、異なる周波数の正弦波のセットを組み合わせることによって、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するように構成され、各正弦波の振幅および位相角は、エネルギーおよび位相角データの前記1つ以上の組み合わせによって与えられる、[26]に記載の装置。
[28]
前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を取得するための手段(29)は、前記電流値を、前記体外流体系(S1)の数学モデルに基づく前記圧力センサ(4a−4c)の応答を計算するアルゴリズムに入力するように構成される、[21]に記載の装置。
[29]
前記フィルタリングするための手段(29)は、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))の振幅、時間尺度、および位相のうちの少なくとも1つを前記測定信号に対して調整するように、ならびに前記測定信号から前記そのように調整された第1のパルスのプロファイル(u(n))を減算するように、構成される、[10]乃至[28]の何れか1項に記載の装置。
[30]
前記フィルタリングするための手段(29)は、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))と前記測定信号との間の差を最小化することによって調整するように構成される、[29]に記載の装置。
[31]
前記フィルタリングするための手段(29)は、前記第1のパルスのプロファイル(u(n))を適応フィルタ(30)に入力として供給し、前記測定信号と前記適応フィルタ(30)の出力信号
【数33】
との間の誤差信号(e(n))を計算し、前記誤差信号(e(n))を前記適応フィルタ(30)に入力として提供する、ように構成され、それによって、前記適応フィルタ(30)は、前記誤差信号(e(n))内の前記第1のパルスを本質的に排除するように配置される、[10]乃至[28]に記載の装置。
[32]
前記適応フィルタ(30)は、前記出力信号
【数34】
を生成するように前記第1のパルスのプロファイル(u(n))に作用するフィルタリング係数を有する、有限インパルス応答フィルタ(32)と、前記誤差信号(e(n))および前記第1のパルスのプロファイル(u(n))の関数として、前記フィルタリング係数を最適化する、適応アルゴリズム(34)と、を具備する、[31]に記載の装置。
[33]
前記第2のパルスの前記速度および/または振幅の限界値との比較に基づいて、前記フィルタリング係数を固定するように、前記適応フィルタ(30)を制御するための手段(29)をさらに具備する、[31]または[32]に記載の装置。
[34]
前記圧力データは、前記生理学的現象から生じる第2のパルスを含む、時間依存性のモニタリング信号であり、前記装置は、前記体外流体系(S1)内の参照センサから参照圧力信号を取得するための手段(28)と、前記参照圧力信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するための手段(29)と、前記参照センサの位置と前記少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)の位置との間の流体圧力の差に基づいて、前記参照センサと前記少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)との間の到着時間の推定差を計算するための手段(29)と、前記到着時間の推定差に基づいて、前記モニタリング信号を処理するための手段(29)と、をさらに具備する、[1]乃至[6]の何れかに記載の装置。
[35]
前記参照圧力信号内の前記少なくとも1つの第2のパルスの大きさを示す、大きさ値を計算し、前記大きさ値を限界と比較するための手段(29)をさらに具備し、前記到着時間の推定差を計算することは、前記比較することを条件付けられる、[34]に記載の装置。
[36]
前記処理するための手段(29)は、前記圧力データを使用して、前記被験者の異常状態を検出すること、提示すること、追跡すること、および予測することのうちの1つ以上を実施するように構成される、前述の何れかに記載の装置。
[37]
前記異常状態は、くしゃみ、しゃっくり、嘔吐、咳、血圧変動、異所性拍動、自律調節の欠如、低血圧、異常呼吸、睡眠時無呼吸、周期性呼吸、過呼吸、喘息性発作、呼吸困難、およびチェーンストークス呼吸のうちの1つ以上を含む、[36]に記載の装置。
[38]
前記圧力データは、前記第1の生理学的現象から生じる第2のパルスを含む、時間依存性のモニタリング信号であり、前記装置は、前記モニタリング信号内の前記第2のパルスのタイミングを示す、タイミング情報を取得するための手段(29)と、前記第2のパルスを示すパラメータ値を計算するように、前記タイミング情報に基づいて、前記モニタリング信号を処理するための手段(29)と、前記異常状態の検出のために、前記パラメータ値を分析するための手段と、をさらに具備する、[36]または[37]に記載の装置。
[39]
前記圧力データに基づいて、前記体外流体系(S1)と前記脈管系(S2)との間の流体接続(C)の完全性をモニタリングするための手段(29)を具備する、[1]乃至[6]の何れか1項に記載の装置。
[40]
前記体外流体系(S1)は、機械的パルス発生器(3)に関連付けられ、前記圧力センサ(4a−4c)は、前記機械的パルス発生器(3)から生じる第1のパルスと、前記生理学的現象から生じる第2のパルスとを検出するように、前記体外流体系(S1)内に配置され、前記圧力データは、前記生理学的現象から生じる第2のパルスを含む、時間依存性のモニタリング信号であり、前記装置は、前記モニタリング信号の時間ウィンドウ内の信号値に基づいて、パラメータ値を計算するための手段(29)であって、前記パラメータ値は、前記信号値の分布を表す、手段と、少なくとも一部において、前記パラメータ値に基づいて、前記流体接続の前記完全性を決定するための手段(29)と、をさらに具備する、[39]に記載の装置。
[41]
前記パラメータ値を計算するための手段(29)は、前記時間ウィンドウ内の前記信号値の統計的分散量度として、前記パラメータ値を計算するように構成される、[40]に記載の装置。
[42]
前記統計的分散量度は、標準偏差、分散、変動係数、差、エネルギー、電力の和、平均値からの絶対偏差の和、平均値からの絶対差の平均のうちの少なくとも1つを含む、[41]に記載の装置。
[43]
前記パラメータ値を計算するための手段(29)は、前記時間ウィンドウ内の前記信号値を、第2のパルスの予測時間信号のプロファイルと合致させるように構成される、[40]に記載の装置。
[44]
前記パラメータ値は、前記合致からもたらされる相関値である、[43]に記載の装置。
[45]
前記パラメータ値を計算するための手段(29)は、前記時間ウィンドウ内の前記信号値と前記予測時間信号のプロファイルとの間の相互相関を計算し、前記相互相関における最大相関値を識別する、ように構成され、前記完全性を決定するための手段(29)は、前記最大相関値を閾値と比較するように構成される、[43]または[44]に記載の装置。
[46]
前記パラメータ値を計算するための手段(29)は、前記最大相関値の時間ポイントを取得し、前記時間ポイントを予測時間ポイントと比較することによって、前記最大相関値を検証するように構成される、[45]に記載の装置。
[47]
前記体外流体系(S1)内の参照センサ(4a−4c)から参照圧力信号を取得するための手段(29)と、前記参照圧力信号に基づいて、前記予測時間信号のプロファイルを計算するための手段(29)と、をさらに具備し、前記参照センサ(4a−4c)は、前記流体接続(C)に欠陥が生じている場合にさえ、前記第2のパルスを検出するように配置される、[43]乃至[46]の何れか1項に記載の装置。
[48]
前記参照圧力信号内の前記生理学的パルスの大きさを示す、大きさ値を計算し、前記大きさ値を限界と比較するための手段(29)をさらに具備し、前記参照圧力信号に基づいて、前記予測時間信号のプロファイルを計算するための手段(29)の動作は、前記比較することを条件付けられる、[47]に記載の装置。
[49]
前記予測時間信号のプロファイルを計算するための手段(29)は、前記参照センサと前記少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)との間の通過時間の差を調整するように構成される、[47]または[48]に記載の装置。
[50]
前記通過時間の差は、所定の値によって与えられる、[49]に記載の装置。
[51]
前記通過時間の差は、前記参照センサの位置と前記少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)の位置との間の流体圧力の差に基づいて計算される、[49]に記載の装置。
[52]
前記時間ウィンドウは、少なくとも1つの第2のパルスを含むように選択される、[40]乃至[51]の何れか1項に記載の装置。
[53]
前記時間ウィンドウの長さは、前記第1の生理学的現象の最大パルス反復間隔を超えるように選択される、[52]に記載の装置。
[54]
前記時間ウィンドウは、前記モニタリング信号内の前記第2のパルスの前記タイミングを示す、タイミング情報に基づいて選択される、[52]または[53]に記載の装置。
[55]
前記第1のパルスを除去するように、前記測定信号をフィルタリングし、前記測定信号内の前記第2のパルスの前記タイミングを示す、タイミング情報に基づいて、前記そのようにフィルタリングされた測定信号(単数または複数)内の信号のセグメントのセットを導き出し、前記タイミング情報に基づいて、前記信号のセグメントを整合し、加算することによって、前記モニタリング信号を生成するように構成される、前記モニタリング信号を生成するための手段(29)をさらに具備する、[40]乃至[54]の何れか1項に記載の装置。
[56]
前記パラメータ値を計算するための手段(29)は、前記モニタリング信号内の候補の第2のパルスと、対応する候補の時間ポイントとを識別し、前記候補の時間ポイントに基づく前記候補の第2のパルスを、前記モニタリング信号内の前記第2のパルスの前記タイミングを示すタイミング情報と比較して検証する、ように構成される、[40]乃至[55]の何れか1項に記載の装置。
[57]
前記被験者に連結されたパルスセンサから前記タイミング情報を取得するための手段(28、29)をさらに具備する、[54]乃至[56]の何れか1項に記載の装置。
[58]
先行するパラメータ値に基づいて識別される第2のパルスの相対的なタイミングの関数として、前記タイミング情報を取得するための手段(29)をさらに具備する、[54]乃至[56]の何れか1項に記載の装置。
[59]
前記体外流体系(S1)は、動脈アクセス装置(1)と、血液処理装置(6)と、静脈アクセス装置(14)とを具備する、体外血流回路(20)であり、前記脈管系(S2)は、血管アクセスを具備し、前記動脈アクセス装置(1)は、前記脈管系(S2)に接続され、前記静脈アクセス装置(14)は、前記流体接続(C)を形成するように、前記血管アクセスに接続され、前記機械的パルス発生器(3)は、前記動脈アクセス装置(1)から前記血液処理装置(6)を通して前記静脈アクセス装置(14)に血液を送り出す、前記体外血流回路(20)内に配置されたポンプ装置を具備し、前記モニタリング信号は、前記ポンプ装置(3)の下流に位置付けられた静脈圧力センサ(4c)から取得される静脈測定信号に基づいて生成され、前記装置は、前記ポンプ装置(3)の上流に位置付けられた動脈圧力センサ(4a)から動脈測定信号を取得するための手段(28)と、前記動脈測定信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するための手段(29)と、前記そのように識別された第2のパルス(単数または複数)から前記タイミング情報を計算するための手段(29)と、をさらに具備する、[54]乃至[56]の何れか1項に記載の装置。
[60]
前記機械的パルス発生器(3)を断続的に切るための手段(23、28、29)と、前記モニタリング信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するための手段(29)と、前記そのように識別された第2のパルスから前記タイミング情報を計算するための手段(29)と、をさらに具備する、[54]乃至[56]の何れか1項に記載の装置。
[61]
前記モニタリング信号内の候補の第2のパルスのセットを識別するための手段(29)と、前記候補の第2のパルスのセットに基づいて、時系列の候補の時間ポイントを導き出すための手段(29)と、前記時系列の候補の時間ポイントを時間基準に対して検証するための手段(29)と、前記そのように検証された時系列の候補の時間ポイントの関数として、前記タイミング情報を計算するための手段(29)と、をさらに具備する、[54]乃至[56]の何れか1項に記載の装置。
[62]
前記体外流体系(S1)は、アクセス装置(1、14)を具備する、体外血液処理系(20)であり、前記脈管系(S2)は、血管アクセスを具備し、前記アクセス装置(1、14)と前記血管アクセスとの間の接続は、前記流体接続(C)を形成する、[39]に記載の装置。
[63]
前記圧力データは、前記生理学的現象から生じる第2のパルスを含む、時間依存性のモニタリング信号であり、前記装置は、前記モニタリング信号内の前記第2のパルスの前記タイミングを示す、タイミング情報を取得するための手段(29)と、前記第2のパルスの存在または不在を示す、パラメータ値を計算するように、前記タイミング情報に基づいて、前記モニタリング信号を処理するための手段(29)と、少なくとも一部において、前記パラメータ値に基づいて、前記流体接続(C)の前記完全性を決定するための手段(29)と、をさらに具備する、[39]に記載の装置。
[64]
前記モニタリング信号を処理するための手段(29)は、前記タイミング情報に基づいて、時間ウィンドウを前記モニタリング信号内に位置付け、前記時間ウィンドウ内の前記信号値に基づいて、前記パラメータ値を計算するように構成される、[63]に記載の装置。
[65]
前記モニタリング信号を処理するための手段(29)は、前記タイミング情報に基づいて、前記時間ウィンドウの長さを選択するようにさらに構成される、[64]に記載の装置。
[66]
前記体外流体系(S1)は、前記体外流体系(S1)内で第1のパルスを発生させる、機械的パルス発生器(3)に関連付けられ、前記装置は、前記第1のパルスを除去するように前記測定信号をフィルタリングすることによって、前記モニタリング信号を生成するための手段(29)をさらに具備する、[63]乃至[65]の何れか1項に記載の装置。
[67]
前記モニタリング信号を生成するための手段(29)は、前記そのようにフィルタリングされた測定信号内の信号のセグメントのセットを選択し、前記タイミング情報に基づいて、前記信号のセグメントを整合し、加算するようにさらに構成される、[66]に記載の装置。
[68]
前記モニタリング信号を処理するための手段(29)は、前記モニタリング信号内の候補の第2のパルスと、対応する候補の時間ポイントとを識別し、前記候補の時間ポイントに基づく前記候補の第2のパルスを、前記タイミング情報と比較して検証するように構成される、[66]または[67]に記載の装置。
[69]
前記タイミング情報を取得するための手段(28、29)は、前記被験者に連結されたパルスセンサから前記タイミング情報を取得するように構成される、[63]乃至[68]の何れか1項に記載の装置。
[70]
前記タイミング情報を取得するための手段(29)は、先行するパラメータ値に基づいて識別される第2のパルスの前記相対的なタイミングの関数として、前記タイミング情報を取得するように構成される、[63]乃至[68]の何れか1項に記載の装置。
[71]
前記体外流体系(S1)内の参照センサ(4a−4c)から参照圧力信号を取得するための手段(28)をさらに具備し、前記参照センサ(4a−4c)は、前記流体接続(C)に欠陥が生じている場合にさえ、前記第2のパルスを検出するように配置され、前記タイミング情報を取得するための手段(29)は、前記参照圧力信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別し、前記参照センサと前記少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)との間の到着時間の推定差を取得するように構成される、[63]乃至[68]の何れか1項に記載の装置。
[72]
前記到着時間の推定差は、所定の値によって与えられる、[71]に記載の装置。
[73]
前記到着時間の推定差は、前記参照センサの位置と前記少なくとも1つの圧力センサ(4a−4c)の位置との間の流体圧力の差に基づいて計算される、[71]に記載の装置。
[74]
前記参照圧力信号内の前記少なくとも1つの第2のパルスの大きさを示す、大きさ値を計算し、前記大きさ値を限界と比較するための手段(29)をさらに具備し、前記到着時間の推定差を計算することは、前記比較することを条件付けられる、[71]に記載の装置。
[75]
前記体外流体系(S1)は、動脈アクセス装置(1)と、血液処理装置(6)と、静脈アクセス装置(14)とを具備する、体外血流回路であり、前記脈管系(S2)は、血管アクセスを具備し、前記動脈アクセス装置(1)は、前記脈管系(S2)に接続され、前記静脈アクセス装置(14)は、前記流体接続(C)を形成するように、前記血管アクセスに接続され、前記機械的パルス発生器(3)は、前記動脈アクセス装置(1)から前記血液処理装置(6)を通して前記静脈アクセス装置(14)に血液を送り出す、前記体外血流回路(20)内に配置されたポンプ装置を具備し、前記モニタリング信号は、前記ポンプ装置(3)の下流に位置付けられた静脈圧力センサ(4c)から取得される静脈測定信号に基づいて生成され、前記装置は、前記ポンプ装置(3)の上流に位置付けられた動脈圧力センサ(4a)から動脈測定信号を取得するための手段(28)と、前記動脈測定信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するための手段(29)と、前記そのように識別された第2のパルス(単数または複数)から前記タイミング情報を計算するための手段(29)と、を具備する、[66]乃至[68]の何れか1項に記載の装置。
[76]
前記機械的パルス発生器(3)を断続的に切るための手段(23、28、29)と、前記モニタリング信号内の少なくとも1つの第2のパルスを識別するための手段(29)と、前記そのように識別された第2のパルスから前記タイミング情報を計算するための手段(29)と、をさらに具備する、[66]乃至[68]の何れか1項に記載の装置。
[77]
前記モニタリング信号内の候補の第2のパルスのセットを識別するための手段(29)と、前記候補の第2のパルスのセットに基づいて、時系列の候補の時間ポイントを導き出すための手段(29)と、前記時系列の候補の時間ポイントを時間基準に対して検証するための手段(29)と、前記そのように検証された時系列の候補の時間ポイントの関数として、前記タイミング情報を計算するための手段(29)と、をさらに具備する、[66]乃至[68]の何れか1項に記載の装置。
[78]
前記タイミング情報を取得するための手段(29)は、前記モニタリング信号内の候補の第2のパルスのセットを識別し、前記候補の第2のパルスのセットに基づいて、時系列の候補の時間ポイントを導き出し、前記時系列の候補の時間ポイントを時間基準に対して検証することによって、検証された候補の第2のパルスのセットを生成するように構成され、前記モニタリング信号を処理するための手段(29)は、平均表現のセットを計算し、各平均表現は、検証された候補の第2のパルスの一意の組み合わせに対応する、前記モニタリング信号の、信号のセグメントを整合し、加算することによって形成され、前記平均表現のそれぞれの前記パラメータ値を計算する、ように構成され、前記完全性を決定するための手段(29)は、最大パラメータ値を閾値と比較するように構成される、[63]に記載の装置。
[79]
前記パラメータ値は、信号値の分布を表す、[63]乃至[66]の何れか1項に記載の装置。
[80]
前記被験者の心拍から生じる心臓データの識別のために、前記測定信号を処理するための手段(29)をさらに具備し、前記流体接続の前記完全性を決定するための手段(29)は、前記圧力データおよび前記心臓データに基づいて、前記完全性を決定するように構成される、[39]乃至[79]の何れか1項に記載の装置。
[81]
被験者の脈管系(S2)に接続された体外流体系(S1)内の圧力センサ(4a−4c)によって取得される測定信号を処理するための方法であって、
−前記測定信号を受信するステップと、
−前記被験者における第1の生理学的現象から生じる圧力データの識別のために、前記測定信号を処理するステップであって、前記生理学的現象は、前記被験者の前記心臓を除く、ステップと、
を含む、方法。
[82]
コンピュータに請求項81に記載の方法を実施させるための命令を具備する、コンピュータプログラム製品。
[83]
被験者の脈管系(S2)に接続された体外流体系(S1)内の圧力センサ(4a−4c)によって取得される測定信号を処理するための装置であって、
−前記測定信号を受信するための入力(28)と、
−前記入力(28)に接続され、前記被験者の前記心臓を除く、前記被験者における第1の生理学的現象から生じる圧力データの識別のために、前記測定信号を処理するように構成される、信号プロセッサ(25)と、
を具備する、装置。