特許第5951503号(P5951503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5951503光合成微生物培養のための閉環境でのフォトバイオリアクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951503
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】光合成微生物培養のための閉環境でのフォトバイオリアクタ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20160630BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20160630BHJP
   H01L 33/30 20100101ALI20160630BHJP
【FI】
   C12M1/00 E
   H01L33/00 L
   H01L33/30
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-546463(P2012-546463)
(86)(22)【出願日】2011年1月4日
(65)【公表番号】特表2013-516164(P2013-516164A)
(43)【公表日】2013年5月13日
(86)【国際出願番号】EP2011050050
(87)【国際公開番号】WO2011080345
(87)【国際公開日】20110707
【審査請求日】2013年12月18日
(31)【優先権主張番号】1050015
(32)【優先日】2010年1月4日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512175269
【氏名又は名称】アクタ アルガ
【氏名又は名称原語表記】ACTA ALGA
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ブルゴワン,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】コニン,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】フレデリッシュ,アラン
(72)【発明者】
【氏名】スン,ゴカイ
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/151376(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/145719(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3143087(JP,U)
【文献】 国際公開第2009/069967(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/070452(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
H01L 33/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光合成微生物を培養するためのフォトバイオリアクタであり、前記フォトバイオリアクタは:
(a) 前記微生物の培地を含むための少なくとも培地格納装置、
(b) 前記培地から分離された前記培地に発光する太陽電池セルであり、
前記太陽電池セルを発光モードで作動させるために電流で前記太陽電池セルに電力供給するための電流注入接続部を有する太陽電池セル、
を含むフォトバイオリアクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のフォトバイオリアクタであり、前記太陽電池セルが、パネル上に設けられる、フォトバイオリアクタ。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項に記載のフォトバイオリアクタであり、前記太陽電池セルが1又は2つの接合を持つ、フォトバイオリアクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフォトバイオリアクタであり、前記太陽電池セルがIII/V直接ギャップ材料からなる、フォトバイオリアクタ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフォトバイオリアクタであり、前記太陽電池セルが、前記培地内に浸漬された透過性適合された密閉容器内に設けられる、フォトバイオリアクタ。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフォトバイオリアクタであり、前記太陽電池セルが前記培地格納装置の外に前記培地格納装置の外部壁から短距離で配置され、及び前記培地格納装置の外部壁が、前記太陽電池セルにより発光される波長の通過のために透過性が適合される材料からなる、フォトバイオリアクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のフォトバイオリアクタであり、複数の直方体形状の培地格納装置を含み、これらがスタックされ太陽電池セルのパネルで分離されている、フォトバイオリアクタ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のフォトバイオリアクタであり、前記太陽電池セルを冷却するためのシステムを含む、フォトバイオリアクタ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のフォトバイオリアクタであり、前記培地を混合するシステムを含む、フォトバイオリアクタ。
【請求項10】
請求項1乃至5又は8又は9のいずれか1項に記載のフォトバイオリアクタであり、前記フォトバイオリアクタが:
(a) 微生物培地を含むための円筒形状培地格納装置と、
(b) パネルをカバーする、前記培地から分離された太陽電池セルと、
を含み、
前記パネルが前記培地格納装置のほぼ全高さに沿って延び、前記培地に浸漬されて透過性が適合化された密閉チューブ中に設けられ多角形断面を持つチューブとして配置される、フォトバイオリアクタ。
【請求項11】
請求項1乃至4又は6乃至9のいずれか1項に記載のフォトバイオリアクタであり、前記フォトバイオリアクタが:
(a) 複数の直方体形状の培地格納装置を含み、これらはスタックされ、かつ
(b) 太陽電池セルのパネルで分離され、前記パネルが前記培地格納装置の1つの面の寸法を持つ、フォトバイオリアクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光合成微生物の集中的連続培養に関する。微細藻類は光合成植物であり、その代謝及び成長にはとりわけCO、光及び栄養物を必要とする。
【0002】
微細藻類の工業的培養について多くの応用が知られている。微細藻類は、いくつかの工業的植物からの二酸化炭素、NOX及び/又はSOX放出物の再利用及び精製のために培養され得る(国際公開第2008042919号)。
【0003】
微細藻類から抽出される油はバイオ燃料として使用され得る(国際公開第2008070281号、国際公開第2008055190号、国際公開第2008060571号)。
【0004】
微細藻類は、オメガ−3及びその多価不飽和脂肪酸の製造のために培養され得る。
【0005】
微細藻類はまた、色素の製造のために培養され得る。
【0006】
微細藻類の大規模工業的培養は光源として太陽を用いる。この目的で、微細藻類はしばしば、循環装置付き又は循環装置なしで開放タンク(「レースウェイ」)内に設けられる(米国特許出願公開第2008178739号)。チューブフォトバイオリアクタ又はプレートフォトバイオリアクタがまた知られており、これは半透明材料からなり、培地中に光線が通過できかつ微細藻類を循環することができる(仏国特許発明第26213223号)。さらに3次元透明チューブネットワークシステムにより前記空間の使用が改善される(欧州特許第0874043号)。
【0007】
これらの装置は非常に大規模であるが、太陽光の不確実性及び微細藻類には逆効果を与える夜間が存在するということから、製造収率は低い。
【0008】
かかる規模を低減して効率を上げるために、閉鎖フォトバイオリアクタが開発されてきた。これらは、人工照明を利用することで、一日24時間、週7日使用され、場合によっては関連微細藻類の生物学的サイクルの具体的な順序に従い照明スイッチを開閉させて使用される。
【0009】
実際には、微細藻類はある白色光波長のみを吸収することから、微細藻類のバイオマスを増加させる最重要因子は量及び質の両方の観点から光である。
【0010】
フォトバイオリアクタとは、閉鎖システムであり、そこで光エネルギーの存在下、生物学的相互作用が生じ、それが前記培養条件を制御することで制御される閉鎖システムとして定義される。
【0011】
フォトバイオリアクタ中に分配される光が微細藻類により適合するほどバイオマス製造には有利となる。
【0012】
この問題を解くための第1の人工照明による解決方法は、前記光源からの光を光学ファイバを用いて微細藻類の近くの培地に運ぶことを含む(米国特許第6156561号。及び欧州特許第0935991号)。
【0013】
光学ファイバは、さらに前記容器内部に光をガイドする浸漬手段が伴われ得る(特開2001178443号公報及び独国特許発明第29819259号)。
【0014】
この解決方法の主な欠点は、(生成光)/(有効光)収率が低いということである。実際に、前記強度は前記光源及び光ガイドの境界で減少し、前記同一のファイバに1以上の光源を結合させることは困難である。さらに、複数の異なる波長の光を使用する場合に新たな問題が起こる。実際、前記培地に浸漬された光学ファイバから光を抽出するために、前記ガイドされる光の部分を拡散または回折するために表面処理(表面粗化)を行う必要がある。最も効果的な解決方法は、前記運ばれる光の波長の領域の間隔で前記ファイバの周縁上にグリッドをエッチングすることを含む。この解決方法は狭いバンド幅を持ち、複数の波長が使用される場合には完全に適切なものではない。ランダム粗度を用いると低効率となる。
【0015】
この問題を解決するためのさらなる人工照明方法は、例えば蛍光灯(米国特許第5,104,803)又はLED(発光ダイオード)(独国特許出願公開第202007013406号及び国際公開第2007047805号)などの光源を直接フォトバイオリアクタ容器内に浸漬することを含む。
【0016】
この方法は、光源が前記培地により近く、より結合されるので、前記照明方法のエネルギー効率を改善し得る。
【0017】
しかし、前記リアクタ内へ導入される光源、特にLEDの使用はさらに3つの主な問題に対応する必要がある。
【0018】
第1の問題は、光が培地内を透過することに本質的なことであり、これは微細藻類の密度に直接関係する。この密度は培養プロセスの間に増加し、光出力がほとんどのリアクタで急激に失われてしまう。フォトバイオリアクタの内側壁照明することを含む解決方法(独国特許出願公開第202007013406号)はこれにより、単に相似的に大きくするだけでは数百リットルの工業的サイズのフォトバイオリアクタへ適用することができない。というのは光吸収される長さは、培養プロセスの最終段階ではなお数センチメートルだからである。
【0019】
培養プロセスの間に現れる影となる領域を除くために、容器内に複数の光源を設け、前記生物学的サイクルに伴う吸収長さが変化しても培地を照明するようにそれらをお互いに十分近くに配置することが可能である。そうすることは、リアクタの熱を管理する上で問題を起こす。というのはリアクタは数度の範囲内で制御される必要があり、微細藻類のタイプに依存するからである。この熱管理は解決されるべき第2の腫瘍な問題である。これは使用される光源のタイプに拘わらず、これらの第1世代のリアクタ構造に本質的な問題である。前記光源が多数使用される必要がある場合には、新たにコストの問題が起こる。
【0020】
第3の問題は、前記リアクタ培養容積中で強度において均一な照明前面(フロント)を得ることである。前記培地で吸収されることで光強度が徐々に減少していくということに加えて、前記入射光前面で相当な光エネルギー分散が起こる。これは、所与の全入射光エネルギーについてバイオマス培養方法の最適化を妨げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】国際公開第2008042919号
【特許文献2】国際公開第2008070281号
【特許文献3】国際公開第2008055190号
【特許文献4】国際公開第2008060571号
【特許文献5】国際公開第2007047805号
【特許文献6】欧州特許第0935991号
【特許文献7】欧州特許第0874043号
【特許文献8】米国特許第6156561号
【特許文献9】米国特許第5,104,803
【特許文献10】米国特許出願公開第2008178739号
【特許文献11】独国特許出願公開第202007013406号
【特許文献12】独国特許発明第29819259号
【特許文献13】仏国特許発明第26213223号
【特許文献14】特開2001178443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、光合成微生物培養のための閉環境でのフォトバイオリアクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
これらの問題に対応するために、本発明者は、予想外にかつ驚くべきことに、新規な光源がフォトバイオリアクタに適するものであるということを見出した。即ちこれらの条件下で発光を直接注入で使用される太陽電池セルである。
【0024】
この光源は、特に均一であり、かつ培養される藻類に最適化させるために適している。というのは太陽電池セルは、光合成のために藻類に吸収される波長を発光するように適合させ得るからでる。
【0025】
従って、本発明は、光合成微生物、好ましくは微細藻類を培養するためのフォトバイオリアクタであり、前記フォトバイオリアクタは:
(a) 少なくとも、前記微生物の前記培地(3)を含むための培地格納装置(1)、
(b) 前記培地(3)から分離された、前記培地へ発光する太陽電池セル(2)、
(c) 前記太陽電池セルを発光モードで操作するために前記太陽電池セルに電力を供給する手段、を含む。太陽電池セルは、光(光子)に曝露されると電気を生成する電子素子である。最も共通する太陽電池セルは、半導体材料からなる。発光を得るためにはこれらの半導体材料は、As、Ga、In、Pなどの直接ギャップを持つものである必要がある。シリコン(Si)材料は、前記ギャップが間接的であることから、ギャップとしての機能には適するものではない。これらは一般的には、一辺が数十センチメートルの薄いパネルの形状であり、1ミリ程度の厚さの2つの金属接続部にサンドイッチされている。太陽電池セルの原理はよく知られている(Physics of Semiconductor Devices−J Wiley & Sons,3rd Edition,Simon M.Sze,Kwok.Ng)。
【0026】
光に曝露された前記半導体では、十分なエネルギーの光子が電子を抽出し、「ギャップ」を形成する。通常は、前記電子は直ぐにそれ自体を再配置するギャップを見出し、前記光子により与えられたエネルギーが消滅する。太陽電池セルの原理は、前記電子及びギャップを、単にそれらを再結合させるよりはむしろお互いに反対側の表面上に移動し、これにより電位差が生じ、前記2つの表面の間に、電池のように電圧が生じる、というものである。
【0027】
このために、2つのP及びNドープ層の間それぞれに、PN接合の手段により恒久的に電場を生成することが必要である。前記セルのトップ層では、純粋材料の層よりも多くの自由電子が存在し、従って負(電子荷電)となり、Nドーピングとなる。前記セルの底層では、純粋材料の層よりも少ない自由電子が存在し、電子は結晶ネットワークに結合し、その結果正に荷電する。電気は正ギャップ(P)により導電される。
【0028】
P−N接合が形成されると、N領域での自由電子はP層に入り、前記P領域でのギャップと再結合される。このようにして、前記接合の寿命の間、前記接合の端部でN領域の正電荷(電子が除かれるので)と、前記接合の端部でP領域で負電荷(ギャップが消滅するから)が存在し、前記2つのNからPへの間に電場が存在する、こととなる。
【0029】
従来の操作では、光子が前記マトリクスから抽出され、自由電子とギャップを生成する。電子は、N領域(負極となる)に蓄積され、一方ギャップはPドープ領域に蓄積される(正極となる)。
【0030】
高効率を持つセルが宇宙技術の応用のための開発され、これは複数の薄層からなる、従来1から5つの接合を持つ多重接合セルである。
【0031】
3重接合セルは例えば、半導体AsGa、Ge及びGaInP2からなる。それぞれのタイプの半導体材料は、最大波長により特徴付けられ、これはそれ以上では光子を電気エネルギーに変換することができない波長である。この波長より小さいと光子により担持された過剰エネルギーは失われる。
【0032】
本発明によると、前記太陽電池セルは逆の発光モードで、即ち光源として使用される。これらは、「注入電流」と呼ばれる電流で電力供給され、上で説明した従来の操作とは異なり光を生成する。正電圧が前記P領域に供給されると、前記主正キャリア(ギャップ)が前記接合に向けて押される。同時に、前記Nの端部での主負キャリア(電子)は前記接合へ引かれる。それらが前記接合に到達すると、これらのキャリアは再結合され光子を放出し、この光子は前記半導体材料の前記ギャップに対応するエネルギーを持つ。基本的には、直接接合で使用される太陽電池セルは大表面発光ダイオードである。さらに、これは大表面領域をカバーする必要があるその注入接続の形状の点でLEDとは異なる。従来、接続格子は、前記キャリア拡散長さよりも小さい長さで区切られた指部形状で形成される。この大領域LEDは従来のLED(ブラッグ反射装置、活性層で量子井戸の使用、表面処理など)で得られる全ての内部及び外部量子収率の強化の利点を持つ。実際、格子が前記装置から出るために、前記接合から表面へ光子は前記半導体を通過することが必要であり(吸収されることなく)、かつ反射の対象とされずに、特に全内部反射(これは光子をセルの内部へ戻すこととなり、吸収されることとなる)の対象とならずに前記半導体の表面を通過することが必要である。内部全反射の対象とならない光子は半導体を出て外部光学フロー(例えば空気中へ)を形成する。
【0033】
点LEDでは、外部移動効率は前記半導体の表面に結合された光学系を導入することでわずかに強化される(空気(n=1)と半導体(3<n<4)との中間的な屈折率)。これらの条件下で、最良のLEDは外部量子収率約20%を持つ(前記素子に供給された電力に対して外部光電力)。本発明による大平坦LEDについては、前記解決方法は前記表面をミクロ構造化する方法であり、これにより準垂直様式で表面に達する光子の確立を増加させることとなる。これまで得られた最高の量子収率は、45%をやや超える。種々のミクロ構造化方法は、現在研究対象であり、半導体装置産業で使用されるミクロリソグラフ技術又はLEDの外部表面をエッチングするための技術に基づくものである。後者の技術カテゴリにおいて、前記領域での外部量子収率は30%が普通に得られる。大領域素子を用いることで、これらの技術の応用をずっと容易にする。
【0034】
本発明により使用される太陽電池セルは直接ギャップ材料(As、GaInPなど)からなる。これらの材料では、ギャップ(正孔)−電子対の再結合の際に放出されるエネルギーは、場合により可視光子の放出により伝達される。光強度は、前記注入電流に直接比例する。発光波長は前記太陽電池セルを形成する前記半導体材料のギャップエネルギーに等しい。間接的ギャップ半導体材料は発光せず、エネルギーは熱の形で失われる。従来、可視光領域で発光する直接ギャップ材料は、III/IV又はII/VI合金である。
【0035】
発光される光は、前記太陽電池セルの構成材料の直接放射遷移からなる。このように、有利には本発明によるフォトバイオリアクタで培養されるべき光合成微生物種の波長の1つ又は複数の波長で発光する1又は複数の材料から製造される太陽電池セルを選択することが可能である。
【0036】
好ましくは、本発明で使用される太陽電池セルは、1、2又は3つの接合を有するセルである。
【0037】
好ましくは、その基板はゲルマニウム又はAsGaであり、前記接合を形成するためにエピタキシャル成長される前記材料のネットワークパラメータと同等のネットワークパラメータを持つ。基板としてのシリコンの使用は文献で示されるように、Smart−Cut(R)技術の使用が必要であり、これは前記素子の活性部分を分離し(AsGa又はゲルマニウムの層上で製造される)、かつそれを前記シリコン基板上に分子接着させることを含む。好ましくは前記基板をカバーする直接ギャップ材料は、元素周期律表によるIII/IV合金であり、全ての直接ギャップ材料が使用され得るが、特に好ましくは、AsGa(ヒ素−ガリウム)、GaInP(ガリウム−インジウム−リン)及び/又はGaInAs(ガリウム−インジウム−ヒ素)が挙げられる。
【0038】
特に好ましくは、本発明で使用される太陽電池セル(2)は、ゲルマニウム基板上のAsGa及び/又はGaInPからなるセルである。前記材料は、その発光波長により選択される。実際、本発明による太陽電池セルの利点の1つは、培養される光合成微生物の光合成のために吸収される特定の波長を培養される微生物に与えることであり、これによりバイオマス増幅条件を最適化することである。
【0039】
有利には、本発明により使用される太陽電池セルは、基板及び1又は2の直接ギャップ材料、即ち2又は3つの接合を持ち、かつ1又は2つの波長で発光する。有利にはそれらはクロロフィル色素に対応する波長で発光する。有利にはそれらは400から450nm及び640から700nmの間の波長で発光する。
【0040】
前記太陽電池セルの寸法は、数十平方センチメートルであり、通常約100cmである。本発明によると、これらは好ましくはパネル(7)上に配置される。特に好ましくは、これらは併置することで、パネルをカバーし、表面領域を1平方メートルまで平面均一照明システムを形成する。これらは前記パネルのいずれかの側に種々の材料を含み得る。例えば、前記パネルの1つの側が1つの波長で発光する太陽電池セルでカバーし、前記パネルの他の側が他の波長で発光する太陽電池セルでカバーされ得る。
【0041】
太陽電池セル(2)は好ましくは:
− 前記培地(3)内に浸漬された適合された透過性(TA)の密閉容器(5)内の培地格納装置(1)内又は、
− 前記培地格納装置の外で、前記培地格納装置の外部壁(6)から近い距離に設けられ、前記壁が前記発光波長の通過のための透過性が適合されている材料からなる。1つの実施態様では、本発明によるフォトバイオリアクタは、太陽電池セルで分離される複数の培地格納装置を含む。例えば、複数の直方体構造地格納装置が、例えば2つがスタックされ、太陽電池セル(2)のパネル(7)で分離されている(図6参照)。
【0042】
「適合された透過性(TA)」容器は、光合成に与える波長で最適化光学収率を与える容器である。適切な適合された透過性材料はPMMA(ポリメチルメタクリレート)、パイレックス(登録商標)ガラス、ガラス、ポリカーボネート、PMMAパネルが挙げられる。
【0043】
用語「近い距離」とは、数ミリメートルから数十センチメートルを意味し、好ましくは数ミリメートルから数センチメートルである。特に、これには0.1から20cm、好ましくは0.5から5cm、より好ましくは0.5から2cm、特に好ましくは約1cmを含む。
【0044】
あるタイプのフォトバイオリアクタ操作では低濃度の微生物の使用が好ましい場合があるが、その結果光のかなりの部分が培地に吸収されずリアクタから出ていくことになる。この光は第2の通路として、リアクタの外部壁を鏡に変えることで培地に戻され得る。
【0045】
前記培地格納装置(1)は通常は円筒形又は直方形状を持つ。
【0046】
太陽電池セルは注入接続部(8)を介して電力供給される。この接続部(8)は好ましくは発光太陽電池セル(2)のパネルの端部に設けられる。これらは低抵抗性を有し、オームで表される。前記接続グリッド(格子)の間隔を変更することで、発光される光エネルギー面の空間的調節が可能となる。
【0047】
好ましくは、太陽電池セルは直列構成で組み立てられる。有利には、太陽電池セルは、熱伝導性のよい絶縁体で基板から電気的に絶縁される。例えばDuPont de Nemours社で開発されたポリエチレンテレフタレートのMylar(R)タイプが挙げられる。
【0048】
1つの実施態様によると、本発明のフォトバイオリアクタは、フォトバイオリアクタ(2)を冷却するシステム(8)を含む。有利には、前記冷却システム(9)は熱輸送流体(10)を含み、これは密閉容器(5)内を循環し、このシステムは前記熱輸送流体(10)のための密閉容器に関して外部冷却装置に接続される。
【0049】
有利には、前記熱輸送流体(10)は、0.3ミクロンから1ミクロンの範囲の波長で透明であり、この波長範囲で有意な吸収がないものから選択される。適切な熱輸送流体はシリコーンオイル、全フッ素化オイル又は空気である。
【0050】
前記熱輸送流体(10)は前記太陽電池セル(2)を直接接触することで冷却する。前記熱輸送流体(10)は、前記培地格納装置(1)の外側で、本発明のフォトバイオリアクタの前記冷却システムに輸送され冷却される。この流体の熱制御はさらに、前記培地格納装置の熱制御を可能とする。
【0051】
本発明のフォトバイオリアクタはさらに、ガス、特にCOを培地格納装置(1)内に注入するためのシステムを含む。
【0052】
本発明によるフォトバイオリアクタの培地格納装置(1)は、産業的規模又は実験室規模に合わせて設計され得る。
【0053】
実験室規模の培地格納装置(1)の寸法は、数十センチメートルから数百センチメートルの高さ及び直径(円筒形容器)又は幅(直方形状容器)である。実験質規模の培地格納装置(1)の容積は、1m未満である。有利には、前記培地格納装置(1)は産業的規模の培地格納装置(1)である。
【0054】
産業的規模の培地格納装置(1)の寸法は数メートルである。
【0055】
産業的規模の培地格納装置(1)の容積は1mを超える。前記培地格納装置(1)は培地を含む適切な材料でできており、例えば金属又はポリマーであり、好ましくはPMMA、ポリカーボネート又はステンレススチールから選択される。例えばコンクリートタイプの材料からできた容器もまた含まれる。
【0056】
前記太陽電池セルが前記培地格納装置の外部へ設けられる実施態様では、前記培地格納装置は適合された透過性を持つ材料からできている。
【0057】
前記太陽電池セルが前記培地格納装置の内部に設けられる実施態様では、フォトバイオリアクタの培地格納装置(1)の内部壁(12)は有利には反射性であり、密閉容器の外への光線の損失を最小化する。これらは反射性材料又は塗料でカバーされ得る。これにより光合成微生物の培養に必要なエネルギー消費が節約できる。
【0058】
本発明によるフォトバイオリアクタはさらに、培地(3)を混合するためのシステムを含む。
【0059】
前記混合システム(13)は2つの主な機能を持つ。第1には、培地の温度の均一性を促進するために必要である、ということである。第2には、微生物の照明の均一性を強化するということである。実際、この混合手段により、微生物は最も照明された領域から最も照明されていない領域へ、又はその逆に動かされることとなる。
【0060】
培地の混合は種々の技術により実行され、現在最も共通する技術が、「エアリフト」技術として参照される技術である。機械的混合もまた使用され得る。例えばアルキメデススクリュ、ウオータープロペラ、ラシュトンタイプ、ハイドロホイルなどである。
【0061】
有利には、使用される混合技術は、圧縮ガス、例えば空気を培地格納装置(1)の低い位置に注入することを含む「エアリフト」である。流体よりも低密度である空気は泡を生成して急激に上昇する。流体及び微細藻類は前記泡の動きで上向きに運ばれる。前記空気を垂直に注入し得るが、またある角度で注入して、流体を培地の1つの壁から他の壁に移動させ、微細藻類に必要な栄養物とCOとの混合を促進することも可能である。培地流体のこの動きはまた、微細藻類が上昇する際に全ての微細藻類に平均して照明が得られることを保証する。微細藻類はその後泡が上昇していない容積部分内に下降する。密閉培地流体の循環がこのようにして形成される。この技術は、低エネルギー消費及び微細藻類への低ストレスでの混合を可能とする。
【0062】
培地は、本質的に垂直方向に移動させる従来のエアリフトシステムで部分的に混合され、かつ培地格納装置の高さに沿って分配されるフィーダー(14)を用いて最初横向きに(CO+空気)を注入するシステムで完全に混合される。用語「フィーダー」とは、ガス又は水を注入する位置にガス源又は水源からガス又は水を輸送するためのライン又はチューブを意味する。かかるフィーダー(14)は前記密閉容器(5)又は培地格納装置(1)の壁(20)の対向する培養領域内に配置される。注入ノズル(15)は1つ(以上)のフィーダー(14)上に分配される。その数及び傾きは、微生物へ伝達させたい動きのタイプに依存する(横断的動き、垂直の動き又はバイオマス全体を動かすための適切な動き、微細藻類を周期的にリアクタの1端部から他の端部へ上向きに動かす動きなど)。有利には、バイオマスを横断的に動かすことができるということは、その照明を均一にするために用いることができ、このために好ましくは正確な傾きで上方向に向けられる。さらに、このリアクタの設計では、照明された領域から照明されていない領域の間の微生物の移動時間が、あるタイプの藻類の増殖のために必要な照明サイクルを空間的に作るように横断的動きの強度を適合させることができる。
【0063】
有利には、培地のある容量が規則的又は連続的に培地格納装置(1)の上部から除かれ、直ぐに当量の栄養物を含む水を培地格納装置(1)の底部又はフィーダー(14)から供給する。この方法は、リアクタでの流体の循環を行うためのエネルギーを節約する。
【0064】
冷却システム(9)は、太陽電池セルから放出される熱を除去し、フォトバイオリアクタの培地の温度を調節することができる。
【0065】
冷却システム(9)は熱交換装置を含む。例えば、この熱交換装置は、高熱熱輸送流体(10)を培地格納装置(1)の外に輸送(16)する。これは例えば、ポンプ(17)と接続された培地格納装置(1)の上部端部に接続されたパイプを用いて前記高熱熱輸送流体を冷水と向流循環させることによる(図8参照)。有利には、熱交換流体(10)は、培地容器(1)からその1つの端部又は底部で放出され、他の端部を介して培地格納装置(1)へ戻される。冷熱輸送流体(10)は例えばパイプなどの輸送手段(19)を介して前記培地格納装置へ戻される。
【0066】
有利には、本発明のフォトバイオリアクタ内の太陽電池セルの数は、前記培地格納装置(1)の全高さにほぼ沿って伸びるパネル(7)をカバーする数である。
【0067】
太陽電池セル(2)のパネル(7)の配置はフォトバイオリアクタの形状に合わせ得る。
【0068】
例えば、フォトバイオリアクタが円筒状の培地格納装置を持つ場合には、パネルは多角形状のチューブであり、好ましくは円筒形状にできるだけ近い断面が6角形状又は8角形状である。
【0069】
多角形状の角部での端部効果を補償するために、注入電流強度が局所的に調節され得る。というのは光強度は注入電流の強度に比例するからである。注入電流強度は、注入接続グリッド(8)の間隔を調節することで適合させ得る。
【0070】
また前記光前面の均一性を改善するためにポリマー拡散材料を用いることも可能である。この薄層材料は、太陽電池セルのパネルが培地格納装置内に設けられる場合には、密閉容器(5)の外部壁をカバーし、又は太陽電池セル(2)のパネル(7)が前記外部壁から短距離で培地格納装置(1)の外側に設けられる場合には前記培地格納装置の壁をカバーする。
【0071】
本発明のさらなる目的は、フォトバイオリアクタの培地を照明するために太陽電池セル(2)の逆光モードを用いることである。
【0072】
本発明のさらなる目的は、好ましくは微細藻類である光合成微生物の培養のために本発明のフォトバイオリアクタを用いることである。
【0073】
本発明のさらなる構成及び利点は本発明の実施態様の記載を参照することで、より明らかとなるであろう。以下の記載では添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1図1はLED発光を示す。
図2図2は、太陽電池セルの発光を示す。
図3図3は、端部での注入電流による太陽電池セルの発光を示す。
図4図4はLED配列による発光を示す。
図5図5は、配列された太陽電池セルパネルの発光を示す。
図6a図6aは、2つの培地格納装置の間に挿入された太陽電池セルのパネルを含む直方体形状のフォトバイオリアクタの斜視図である。
図6b図6bは、2つの培地格納装置の間に挿入された太陽電池セルのパネルを含む直方体形状のフォトバイオリアクタの正面図である。
図7A図7Aは、培地内に浸漬された密閉チューブ内に設けられた6角形状断面チューブ状に配置された太陽電池セルのパネルを含む円筒形上のフォトバイオリアクタの斜視図である。
図7B図7Bは、培地内に浸漬された密閉チューブ内に設けられた6角形状断面チューブ状に配置された太陽電池セルのパネルを含む円筒形上のフォトバイオリアクタの直径方向断面図である。
図8図8は、フォトバイオリアクタ冷却システム及びフォトバイオリアクタ温度制御システムを表す。
図9図9は、壁に配置された培地混合のためのシステムの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1から5はエネルギー放出を示す。LED準点はエネルギーを「ランバート」モード(ローブ、葉)で放出する。エネルギーの大部分は半導体の表面から垂直に放出される。このエネルギーは前記半導体の法線から離れると減少する。表面に平行の場合にはゼロとなる。通常の葉の幅を越えて放出表面が伸ばすことは、基本的葉(ローブ)を加えることで可能であり、半導体(xOy)の表面と平行な面内にエネルギー一定の発光表面を生成する。図では、LED又は太陽電池セルはO中心であり、その表面は(Oz)に垂直に向けられる。これらの葉の断面は前記面(xOz)に沿って示される。
【0076】
図1は、LEDの発光を示す。カソードは準点(サイズが1mm未満)と仮定されている。軸(Oz)についての回転では不変である。
【0077】
図2は、本発明で使用される逆太陽電池セルの発光を表し、この場合には前記電流注入のための指部は一定間隔である。(xOy)に平行な面での光強度は前記セルの中心付近では一定である。
【0078】
図3は、前記電流注入指部の間隔が端部に近いほど密にされる場合の、逆太陽電池セルの発光を表す。注入電流密度は端部でより大きく、従って光強度が増す。
【0079】
図4は、LED列((Ox)に沿って設けられた)の発光を示す。光出力の追加は、不均一な前面を生じ、その不均一性は前記配列上の2つの連続するLEDの距離に依存する。
【0080】
図5は、太陽電池セル列((Ox)に沿って設けられた)発光を示す。セルが十分近い場合には、(xOy)に平行な面の光強度は一定であり、受け取られるエネルギーはセルへの距離にのみ依存する。実際出力の不均一性は測定がなされる位置での距離には依存しない。
【0081】
第1の実施態様によると、フォトバイオリアクタは円筒形状である(図7)。太陽電池セル(2)は6つのパネル(7)の両方の表面状に設けられ、6角形状断面を持つチューブを形成する。このパネル(7)の長さは、前記フォトバイオリアクタの高さである。これらのパネル(7)は、光透過性材料(ガラス、プラスチックなど)でできており、これにより培地(3)に浸漬されて、「内部」部分(3a)と「外部部分(3b)とに分けられる(図7A)。前記パネルは電流注入接続部(8)と接続される。
【0082】
第2の実施態様によると、フォトバイオリアクタは直方体形状である(図6)。太陽電池セル(2)は、金属パネルの1つ又は複数の表面上に設けられる。これらのパネルの寸法は、前記フォトバイオリアクタの寸法である。これらのパネル(X)はフォトバイオリアクタの外部に置かれ、好ましくは2つのスタックされた培地格納装置の間に置かれる。前記パネルは電流注入接続部(8)と接続される。太陽電池セルは前記金属パネルからは、Mylar(R)などの優れた熱伝導性を有する絶縁体により絶縁されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7A
図7B
図8
図9