特許第5951519号(P5951519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951519
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20160630BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G02F1/1333
   G02F1/1345
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-27029(P2013-27029)
(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-157193(P2014-157193A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】半田 正人
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−534463(JP,A)
【文献】 特開2005−17803(JP,A)
【文献】 特開平5−210106(JP,A)
【文献】 特開2012−13975(JP,A)
【文献】 特開平7−231120(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/23155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1333
G02F1/1343−1/1345
G09F9/00
G09F9/30−9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶に電圧を印加するための第一電極を有する第一電極基板と、液晶に電圧を印加するための第二電極を有する第二電極基板とを、前記第一電極と前記第二電極が互いに対向するように所定の間隔で貼り合わせ、それにより形成された前記第一電極基板と前記第二電極基板との隙間に液晶を封入して液晶パネルを構成し、該液晶パネルを回路基板上に粘着テープにて固定し、前記液晶パネルと前記回路基板とをワイヤーにて電気的に接続し、該ワイヤーを保護材料で被覆した液晶表示装置であって、
前記粘着テープの一部にて、前記保護材料の流出を防止する流出防止部が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記流出防止部は、前記ワイヤーと前記回路基板との接続部を囲むように前記粘着テープに形成された開口部であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記開口部の内周面には、凹凸が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記粘着テープの前記開口部よりも外側の領域には、前記開口部と所定の間隔を空けて開口部が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記粘着テープの前記開口部周辺の領域には、粗面が設けられていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一つに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置は、表面に画素電極を形成したシリコン基板と、表面に対向電極を形成したガラス基板とを、画素電極と対向電極が互いに対向するように所定の位置関係でシール材を介して貼り合わせ、貼り合わせることで生じた基板間の隙間に液晶を封入して液晶パネルを作成し、その液晶パネルを回路基板上に実装することで構成されている。
【0003】
液晶パネルの画素電極への電位供給は、シリコン基板の画素電極が形成された側の面に設けられた電極パッドを回路基板上に設けられた電極パッドにワイヤーにて電気的に接続することで実現している。一方、対向電極への電位供給は、ガラス基板に形成された対向電極を回路基板上に設けられた電極パッドに導電媒体(導電性樹脂等)にて電気的に接続することで実現している。
【0004】
図9は従来技術による液晶表示装置を示す(a)上面図、(b)A−A断面図である。液晶パネル1はシリコン基板2とガラス基板3を備え、それらは互いに幅方向へオフセットした状態で所定の間隔で枠状のシール材5を介して貼り合わされている。ガラス基板3とシリコン基板2の互いに対向する表面にはそれぞれ液晶6に電圧をかけるためのITO電極(対向電極)7と図示しない画素電極が形成されている。さらにITO電極7と画素電極の上にはそれぞれ液晶6を配向させるための配向膜4が形成され、それらの間に液晶6が封入されて液晶パネル1が構成されている。
【0005】
液晶パネル1は回路基板8に両面粘着性の粘着テープ12にて固定され、回路基板8上の電極パッド10aとシリコン基板2上の電極パッド2aとがワイヤー9にて電気的に接続され、さらにガラス基板3上のITO電極7と回路基板8上の電極パッド10bとが導電性樹脂等の導電媒体11にて電気的に接続されることで液晶表示装置が構成されている。尚、シリコン基板2上の電極パッド2aは、ガラス基板3の端面から幅方向へ迫り出したシリコン基板2の一部(オフセット部)に並べて複数配置され、それぞれは図示しない配線等を介して画素電極と電気的に接続されている。
【0006】
ここで、ワイヤー9は非常に細いアルミニウムなどで構成され、そのままでは劣化や断線の恐れがあるため、樹脂などの保護材料で被覆する必要がある。このためには、まずワイヤー9の周辺に粘度の比較的高いシリコン樹脂などでダム13を形成し、ダム13を硬化させた後にその内側にワイヤー保護材料14を流し込む。ワイヤー保護材料14には、ワイヤー9間の隙間に浸透し易い比較的粘度の低いものが使用される。尚、ダム13は樹脂の代わりに、プラスチック成形部品などで形成することも可能である。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−308822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術では、ワイヤー保護材料14をワイヤー9に塗布する前に、ワイヤー保護材料14が他の領域に流れ出さないように、ワイヤー9の周辺に樹脂やプラスチック成形部品などでダムを形成する必要があるため、その分、部品点数や工数が増えてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたもので、部品点数や工数の増加を抑えつつ、ワイヤー保護材料がワイヤー周辺へ流れ出すのを防止することが可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
液晶に電圧を印加するための第一電極を有する第一電極基板と、液晶に電圧を印加するための第二電極を有する第二電極基板とを、前記第一電極と前記第二電極が互いに対向するように所定の間隔で貼り合わせ、それにより形成された前記第一電極基板と前記第二電極基板との隙間に液晶を封入して液晶パネルを構成し、該液晶パネルを回路基板上に粘着テープにて固定し、前記液晶パネルと前記回路基板とをワイヤーにて電気的に接続し、該ワイヤーを保護材料で被覆した液晶表示装置であって、前記粘着テープの一部にて、前記保護材料の流出を防止する流出防止部が形成されている液晶表示装置とする。
【0011】
前記流出防止部は、前記ワイヤーと前記回路基板との接続部を囲むように前記粘着テープに形成された開口部である液晶表示装置とすることができる。
【0012】
前記開口部の内周面には、凹凸が設けられている液晶表示装置とすることができる。
【0013】
前記粘着テープの前記開口部よりも外側の領域には、前記開口部と所定の間隔を空けて開口部が設けられている液晶表示装置とすることができる。
【0014】
前記粘着テープの前記開口部周辺の領域には、粗面が設けられている液晶表示装置とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液晶パネルを回路基板に固定する粘着テープの一部を利用してダムを形成することで、ダムを形成するための部品点数や工数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による液晶表示装置の実施例1を示す(a)上面図、(b)A−A断面図
図2】本発明の実施例1で使用される粘着テープを示す上面図
図3】本発明による液晶表示装置の実施例2を示す(a)上面図、(b)A−A断面図
図4】本発明の実施例2で使用される粘着テープを示す上面図
図5】本発明による液晶表示装置の実施例3を示す(a)上面図、(b)A−A断面図
図6】本発明の実施例3で使用される粘着テープを示す上面図
図7】本発明による液晶表示装置の実施例4を示す(a)上面図、(b)A−A断面図
図8】本発明の実施例4で使用される粘着テープを示す(a)上面図、(b)A−A断面図
図9】従来技術による液晶表示装置を示す(a)上面図、(b)A−A断面図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
図1は本発明による液晶表示装置の実施例1を示す(a)上面図、(b)A−A断面図であり、図2は本発明の実施例1で使用される粘着テープを示す上面図である。液晶パネル1はシリコン基板2とガラス基板3を備え、それらは互いに幅方向へオフセットした状態で所定の間隔で枠状のシール材5を介して貼り合わされている。ガラス基板3とシリコン基板2の互いに対向する表面にはそれぞれ液晶6に電圧をかけるためのITO電極(対向電極)7と図示しない画素電極が形成されている。さらにITO電極7と画素電極の上にはそれぞれ液晶6を配向させるための配向膜4が形成され、それらの間に液晶6が封入されて液晶パネル1が構成されている。ここまでの構成は従来技術と同様である。
【0018】
液晶パネル1は回路基板8に両面粘着性の粘着テープ15にて固定されている。粘着テープ15は液晶パネル1が貼付される領域から回路基板8上の電極パッド10aを越える位置まで延在し、その延在した部分に開口部16が設けられ、回路基板8上の電極パッド10aを取り囲んでいる。回路基板8上の電極パッド10aとシリコン基板2上の電極パッド2aとはワイヤー9にて電気的に接続され、さらにガラス基板3上のITO電極7と回路基板8上の電極パッド10bとは導電性樹脂等の導電媒体11にて電気的に接続されている。尚、シリコン基板2上の電極パッド2aは、ガラス基板3の端面から幅方向へ迫り出したシリコン基板2の一部(オフセット部)に並べて複数配置され、それぞれは図示しない配線等を介して画素電極と電気的に接続されている。
【0019】
ワイヤー9にはワイヤー保護材料14が塗布されるが、塗布した際に粘着テープ15に設けられた開口部16の縁が段差となってダムの役割を果たし、ワイヤー保護材料14が他の領域へ流れ出すのを防止する。
【0020】
尚、開口部16の周囲は粘着テープ15で完全に囲まれているのが好ましいが、一部が途切れていてもよい。
【実施例2】
【0021】
図3は本発明による液晶表示装置の実施例2を示す(a)上面図、、(b)A−A断面図であり、図4は本発明の実施例2で使用される粘着テープを示す上面図である。本実施例2は実施例1と同様の基本構成を備え、実施例1と異なるのは、液晶パネル1と回路基板8とが粘着テープ17にて固定されている点である。粘着テープ17には、実施例1で使用される粘着テープ15と同様の開口部16が設けられ、さらに開口部16の内周面に複数の凹凸19が設けられている。
【0022】
ワイヤー9に塗布されたワイヤー保護材料14は、開口部16の縁で塞き止められると同時に、開口部16の内周面に設けられた複数の凹凸19の隙間に浸透し、ワイヤー保護材料14の流れ出しがより効果的に防止される。
【0023】
尚、本実施例において、凹凸19は開口部16の内周面全体に設けられているが、凹凸19は開口部16の内周面の一部に設けられていてもよい。
【実施例3】
【0024】
図5は本発明による液晶表示装置の実施例3を示す(a)上面図、(b)A−A断面図であり、図6は本発明の実施例3で使用される粘着テープを示す上面図である。本実施例3は実施例1と同様の基本構成を備え、実施例1と異なるのは、液晶パネル1と回路基板8とが粘着テープ20にて固定されている点である。粘着テープ20には、実施例1で使用される粘着テープ15と同様の開口部16が設けられ、さらにその外側に所定の間隔を空けてスリット(開口部)21が設けられている。
【0025】
ワイヤー9に塗布されたワイヤー保護材料14は、開口部16の縁で塞き止められるが、仮にワイヤー保護材料14が開口部16の縁を超えたとしても、スリット21の縁が第二のダムとしての役割を果たし、その先の領域へ流れ出すのを防止する。
【0026】
尚、本実施例において、スリット21は開口部16の長辺側にその長辺と平行となるように設けられているが、スリット21は開口部16の短辺側に設けられてもよい。また、開口部16の長辺側と短辺側の両方にスリット21を設ける場合には、それらは互いに接続されていてもよい。また、スリット21は開口部16と接続されていてもよい。
【実施例4】
【0027】
図7は本発明による液晶表示装置の実施例4を示す(a)上面図、(b)A−A断面図であり、図8は本発明の実施例4で使用される粘着テープを示す(a)上面図、(b)A−A断面図である。本実施例3は実施例1と同様の基本構成を備え、実施例1と異なるのは、液晶パネル1と回路基板8とが粘着テープ22にて固定されている点である。粘着テープ22には、実施例1で使用される粘着テープ15と同様の開口部16が設けられ、さらに液晶パネル1を接着する側の表面全体に粗面23が設けられている。
【0028】
ワイヤー9に塗布されたワイヤー保護材料14は、開口部16の縁で塞き止められるが、仮にワイヤー保護材料14が開口部16の縁を超えたとしても、粘着テープ22の表面が粗面23となっているため、ワイヤー保護材料14はその先の領域へ流れ難くなる。
【0029】
尚、本実施例において、粗面23は粘着テープ22の液晶パネル1を接着する側の表面全体に設けられているが、粗面23はワイヤー保護材料14が触れる可能性の高い開口部16周辺にのみ設けられていてもよい。
【0030】
以上説明したように、本発明では液晶パネル1と回路基板8とを接着する粘着テープの一部を利用してダムを一体的に形成しているため、ダムを形成するための部品点数や工数の増加を抑えつつ、ワイヤー保護材料14の流れ出しを防止することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 液晶パネル
2 シリコン基板
2a 電極パッド
3 ガラス基板
4 配向膜
5 シール材
6 液晶
7 ITO電極(対向電極)
8 回路基板
9 ワイヤー
10a 電極パッド
10b 電極パッド
11 導電媒体
12 粘着テープ
13 ダム
14 ワイヤー保護材料
15 粘着テープ
16 開口部
17 粘着テープ
19 凹凸
20 粘着テープ
21 スリット
22 粘着テープ
23 粗面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9