【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 固体酸化物形燃料電池システム要素技術開発 実用性向上のための技術開発 超効率運転のための高圧運転技術の共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃料電池モジュールでの発電量を増加させるために燃料電池モジュールに供給する燃料ガスの流量を増加させた場合、燃料電池モジュールで生成された水蒸気が再び燃料電池モジュールに戻るまでに、タイムラグがある。このため、燃料電池モジュールに供給する燃料ガスの流量を増加させた場合、一時的に、流量を増加させた燃料ガス中の炭化水素を改質するための水蒸気の量が足りなくなる。この結果、燃料ガスの流量を増加させても、発電量が増加するまでの時間がかかる。すなわち、発電量の増加を示す発電量指令に対する発電量の増加の応答性がよくない、という問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、発電量の増加を示す発電量指令に対する発電量の増加の応答性を高めることができる燃料電池システム、及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための発明の一態様としての燃料電池システムは、
炭化水素と水蒸気とから水素を生成する改質能を有する触媒を含み、酸素を含む酸化剤ガスと水素との反応で発電しつつ水蒸気を生成する複数のセルスタックと、複数の該セルスタックを覆う圧力容器と、を有する燃料電池モジュールと、炭化水素を含む燃料ガスを複数の前記セルスタックに導く燃料ガス供給ラインと、前記酸化剤ガスを複数の前記セルスタックに導く酸化剤ガス供給ラインと、複数の前記セルスタックを通過した前記燃料ガスである排燃料ガスを排出する燃料ガス排出ラインと、前記燃料ガス排出ライン中の前記排燃料ガスを前記燃料ガス供給ラインに戻す再循環ラインと、水から水蒸気を生成する蒸気発生器と、前記蒸気発生器で生成された前記水蒸気を複数の前記セルスタックに導く蒸気供給ラインと、前記燃料ガス供給ラインを通る前記燃料ガスの流量を調節する燃料流量調節弁と、前記蒸気発生器から複数の前記セルスタックに導かれる前記水蒸気の流量を調節する蒸気流量調節弁と、発電量指令に応じて、前記燃料流量調節弁及び前記蒸気流量調節弁にそれぞれ弁開度指令を出力する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記発電量指令が示す発電量に応じた前記燃料ガスの流量が得られる弁開度指令を前記燃料流量調節弁に出力する燃料流量制御部と、複数の前記セルスタックで発電が行われている際に前記燃料ガスの流量が増加する場合に、前記燃料流量制御部による前記発電量指令に基づく前記燃料流量調節弁への弁開度指令の出力タイミングに合わせて、弁開を示す弁開度指令を前記蒸気流量調節弁に出力する蒸気流量制御部と、を有
し、前記蒸気流量制御部は、前記蒸気流量調節弁に対して弁開を示す前記弁開度指令を出力し始めてから、前記燃料ガスの流量が増加し始めてから増加しなくなるまでの時間が経過すると、前記蒸気流量調節弁に対して弁閉を示す弁開度指令を出力する、ことを特徴とする。
【0008】
当該燃料電池システムでは、複数のセルスタックによる発電過程での反応で水蒸気が生成されるため、複数のセルスタックを通過した燃料ガスである排燃料ガスには水蒸気が含まれる。そこで、当該燃料電池システムでは、再循環ラインを介して、この排燃料ガスの一部を複数のセルスタックに戻すことで、燃料ガスの改質に必要な水蒸気を確保している。
【0009】
しかしながら、複数のセルスタックでの反応で生成された水蒸気が、再循環ラインを介して、再び、複数のセルスタックに戻るまでには、多少の時間がかかる。このため、発電量指令が発電量の増加を示す場合、複数のセルスタックに供給する燃料ガスの流量を増加させても、増加した燃料ガスの改質に必要な水蒸気量を直ちに確保することができない。
【0010】
そこで、当該燃料電池システムでは、複数のセルスタックで発電が行われている際に燃料ガスの流量が増加する場合に、燃料流量制御部による発電量指令に基づく燃料流量調節弁への弁開度指令の出力タイミングに合わせて、蒸気流量制御部は、弁開を示す弁開度指令を蒸気流量調節弁に出力する。この結果、当該燃料電池システムでは、発電量の増加を示す発電量指令に基づいて、燃料流量制御部が燃料ガスの流量を増加させても、直ちに、増加した分の燃料ガスを改質させるために必要な水蒸気が蒸気発生器からの水蒸気で補える。
【0011】
よって、当該燃料電池システムでは、発電量の増加を示す発電量指令に基づき燃料ガスの流量が増加すると、これに伴って複数のセルスタックに供給される水蒸気流量も増加するので、発電量の増加の応答性を高めることができる。
【0013】
当該燃料電池システムでは、蒸気発生器から複数のセルスタックへ余分に水蒸気を供給することがなく、システムのランニングコストを抑えることができる。
上記問題点を解決するための発明の他の態様としての燃料電池システムは、
炭化水素と水蒸気とから水素を生成する改質能を有する触媒を含み、酸素を含む酸化剤ガスと水素との反応で発電しつつ水蒸気を生成する複数のセルスタックと、複数の該セルスタックを覆う圧力容器と、を有する燃料電池モジュールと、炭化水素を含む燃料ガスを複数の前記セルスタックに導く燃料ガス供給ラインと、前記酸化剤ガスを複数の前記セルスタックに導く酸化剤ガス供給ラインと、複数の前記セルスタックを通過した前記燃料ガスである排燃料ガスを排出する燃料ガス排出ラインと、前記燃料ガス排出ライン中の前記排燃料ガスを前記燃料ガス供給ラインに戻す再循環ラインと、水から水蒸気を生成する蒸気発生器と、前記蒸気発生器で生成された前記水蒸気を複数の前記セルスタックに導く蒸気供給ラインと、前記燃料ガス供給ラインを通る前記燃料ガスの流量を調節する燃料流量調節弁と、前記蒸気発生器から複数の前記セルスタックに導かれる前記水蒸気の流量を調節する蒸気流量調節弁と、発電量指令に応じて、前記燃料流量調節弁及び前記蒸気流量調節弁にそれぞれ弁開度指令を出力する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記発電量指令が示す発電量に応じた前記燃料ガスの流量が得られる弁開度指令を前記燃料流量調節弁に出力する燃料流量制御部と、複数の前記セルスタックで発電が行われている際に前記燃料ガスの流量が増加する場合に、前記燃料流量制御部による前記発電量指令に基づく前記燃料流量調節弁への弁開度指令の出力タイミングに合わせて、弁開を示す弁開度指令を前記蒸気流量調節弁に出力する蒸気流量制御部と、を有し、前記蒸気流量制御部は、前記燃料ガスの流量が増加する場合に、該燃料ガスの増加量が予め定められた値未満であるときには、前記蒸気流量調節弁に対して弁開を示す前記弁開度指令を出力せず、該燃料ガスの増加量が予め定められた値以上であるときに、前記蒸気流量調節弁に対して弁開を示す前記弁開度指令を出力する、ことを特徴とする。
当該燃料電池システムでは、燃料電池システムの制御安定性を高めることができる。
【0014】
また、以上のいずれかの前記燃料電池システムにおいて、前記蒸気流量制御部は、前記燃料ガスの流量が増加する場合に、前記燃料ガスの流量の増加に伴う複数の前記セルスタックでの発電に必要な水蒸気の各時刻での流量から、該当時刻で複数の該セルスタックに前記再循環ラインを介して供給される水蒸気の流量を引いた流量である追加水蒸気流量を求め、各時刻で該追加水蒸気流量が得られる前記弁開度指令を前記蒸気流量調節弁に出力してもよい。
【0015】
当該燃料電池システムでは、燃料ガスの流量の増加に伴う複数のセルスタックでの発電に必要な水蒸気の流量を確保することができる。
【0018】
また、以上のいずれかの前記燃料電池システムにおいて、前記蒸気流量制御部は、前記発電量指令が前記燃料電池モジュールでの発電開始を示す場合に、前記燃料流量制御部による該発電量指令に基づく前記燃料流量調節弁への弁開度指令の出力タイミングに合わせて、弁開を示す弁開度指令を前記蒸気流量調節弁に出力してもよい。
【0019】
当該燃料電池システムでは、燃料電池モジュールの起動時に必要な水蒸気を蒸気発生器からの水蒸気で確保することができる。
【0020】
また、以上のいずれかの前記燃料電池システムにおいて、前記蒸気流量調節弁は、複数の前記セルスタックでの発電停止で開く調節弁であってもよい。
【0021】
何らかの事故等で、複数のセルスタックでの発電が停止すると、発電過程での反応で生成されていた水蒸気が生成されなくなる。水蒸気が生成されなくなると、燃料ガス中の炭化水素と水蒸気との反応による水素が生成されなくなり、セルスタックが酸化して損傷するおそれが生じる。当該燃料電池システムでは、複数のセルスタックでの発電が停止すると、蒸気流量調節弁が開くので、複数のセルスタックで水蒸気が生成されなくなっても、複数のセルスタックに対して水蒸気が供給され、この水蒸気から複数のセルスタックで水素を生成することができる。このため、当該燃料電池システムでは、複数のセルスタックでの発電が停止しても、複数のセルスタックの還元性雰囲気を維持することができ、セルスタックの酸化による損傷を抑えることができる。
【0022】
また、以上のいずれかの前記燃料電池システムにおいて、前記燃料電池モジュールは、前記燃料ガス供給ラインを通る前記燃料ガスと前記燃料ガス排出ラインを通る前記排燃料ガスとを熱交換させて、該燃料ガスを該排燃料ガスで加熱する燃料ガス予熱器を有し、前記蒸気供給ラインは、前記燃料ガス供給ライン中で前記燃料ガス予熱器よりも複数の前記セルスタック側の位置に接続されていてもよい。
【0023】
当該燃料電池システムでは、燃料ガス予熱器により加熱されて、より高温になった燃料ガス中に、蒸気発生器からの水蒸気を供給するので、燃料ガス中に供給された水蒸気のドレン化を防止することができる。
【0024】
また、以上のいずれかの前記燃料電池システムにおいて、前記燃料電池モジュールは、前記圧力容器内に配置され、複数の前記セルスタックによる発電による熱で、前記蒸気発生器から複数の前記セルスタックへ送られる水蒸気を過熱する過熱器を有してもよい。
【0025】
当該燃料電池システムでは、蒸気発生器からの水蒸気を過熱器で過熱した後に、この水蒸気を複数のセルスタックに供給するので、蒸気発生器からの水蒸気の温度が低い場合でも、この水蒸気をセルスタックでの改質対象としての水蒸気に利用することができる。
【0026】
また、以上のいずれかの燃料電池システムにおいて、前記排燃料ガスを燃焼させて駆動するガスタービンと、前記ガスタービンからの排気ガスの熱で水蒸気を発生させる排熱回収ボイラーと、を備え、前記蒸気発生器は、前記排熱回収ボイラーであってもよい。
【0027】
当該燃料電池システムでは、燃料電池システムが有している排熱回収ボイラーを、複数のセルスタックに蒸気を供給する蒸気発生器として利用するので、設備コストを抑えることができる。さらに、この排熱回収ボイラーは、排燃料ガスの燃焼で得られた排気ガスの熱を利用して水蒸気を発生させているので、専用の蒸気発生器を用いる場合よりも、燃料コストを抑えることができる。
【0028】
また、以上のいずれかの燃料電池システム(但し、排熱回収ボイラーを蒸気発生器として利用するものを除く)において、前記蒸気発生器は、前記圧力容器内に配置され、複数の前記セルスタックによる発電による熱で、水を加熱して水蒸気を生成し、前記蒸気流量調節弁は、前記蒸気発生器に供給する水の流量を調節することで、複数の前記セルスタックへの前記水蒸気の流量を調節する調節弁であってもよい。
【0029】
当該燃料電池システムでは、圧力容器内において、複数のセルスタックの発電による熱で水蒸気を発生させるので、燃料電池システムの小型化及び簡素化を図ることができると共に、燃料コストを抑えることができる。
【0030】
上記問題点を解決するための発明の一態様としての燃料電池システムの制御方法は、
炭化水素と水蒸気とから水素を生成する改質能を有する触媒を含み、酸素を含む酸化剤ガスと水素との反応で発電しつつ水蒸気を生成する複数のセルスタックと、複数の該セルスタックを覆う圧力容器と、を有する燃料電池モジュールと、炭化水素を含む燃料ガスを複数の前記セルスタックに導く燃料ガス供給ラインと、前記酸化剤ガスを複数の前記セルスタックに導く酸化剤ガス供給ラインと、複数の前記セルスタックを通過した前記燃料ガスである排燃料ガスを排出する燃料ガス排出ラインと、前記燃料ガス排出ライン中の前記排燃料ガスを前記燃料ガス供給ラインに戻す再循環ラインと、水から水蒸気を生成する蒸気発生器と、前記蒸気発生器で生成された前記水蒸気を複数の前記セルスタックに導く蒸気供給ラインと、を備えている燃料電池システムの制御方法において、発電量指令が示す発電量に応じた前記燃料ガスの流量が得られるよう、前記燃料ガスの流量を制御する燃料ガス流量制御工程と、複数の前記セルスタックで発電が行われている際に前記燃料ガスの流量が増加する場合に、該燃料ガスの流量が増加するタイミングに合わせて、前記蒸気発生器からの水蒸気を複数の前記セルスタックに供給する蒸気流量制御工程と、を実行
し、前記蒸気流量制御工程では、前記蒸気発生器からの水蒸気を複数の前記セルスタックに供給開始してから、前記燃料ガスの流量が増加し始めてから増加しなくなるまでの時間が経過すると、前記蒸気発生器から複数の前記セルスタックへの水蒸気の供給を停止する、ことを特徴とする。
【0031】
当該制御方法でも、以上で説明した燃料電池システムと同様、発電量の増加を示す発電量指令に基づき燃料ガスの流量が増加すると、これに伴って複数のセルスタックに供給される水蒸気流量も増加するので、発電量の増加の応答性を高めることができる。
また、当該制御方法では、蒸気発生器から複数のセルスタックへ余分に水蒸気を供給することがなく、システムのランニングコストを抑えることができる。
【0032】
上記問題点を解決するための発明の他の態様としての燃料電池システムの制御方法は、
炭化水素と水蒸気とから水素を生成する改質能を有する触媒を含み、酸素を含む酸化剤ガスと水素との反応で発電しつつ水蒸気を生成する複数のセルスタックと、複数の該セルスタックを覆う圧力容器と、を有する燃料電池モジュールと、炭化水素を含む燃料ガスを複数の前記セルスタックに導く燃料ガス供給ラインと、前記酸化剤ガスを複数の前記セルスタックに導く酸化剤ガス供給ラインと、複数の前記セルスタックを通過した前記燃料ガスである排燃料ガスを排出する燃料ガス排出ラインと、前記燃料ガス排出ライン中の前記排燃料ガスを前記燃料ガス供給ラインに戻す再循環ラインと、水から水蒸気を生成する蒸気発生器と、前記蒸気発生器で生成された前記水蒸気を複数の前記セルスタックに導く蒸気供給ラインと、を備えている燃料電池システムの制御方法において、発電量指令が示す発電量に応じた前記燃料ガスの流量が得られるよう、前記燃料ガスの流量を制御する燃料ガス流量制御工程と、複数の前記セルスタックで発電が行われている際に前記燃料ガスの流量が増加する場合に、該燃料ガスの流量が増加するタイミングに合わせて、前記蒸気発生器からの水蒸気を複数の前記セルスタックに供給する蒸気流量制御工程と、を実行し、
前記蒸気流量制御工程では、前記燃料ガスの流量が増加する場合に、該燃料ガスの増加量が予め定められた値未満であるときには、前記蒸気発生器からの水蒸気を複数の前記セルスタックに供給せず、該燃料ガスの増加量が予め定められた値以上であるときに、前記蒸気発生器からの水蒸気を複数の前記セルスタックに供給する、ことを特徴とする。
【0033】
当該制御方法では、
燃料電池システムの制御安定性を高めることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、発電量の増加を示す発電量指令に対する発電量の増加の応答性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係る燃料電池システムの各種実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
「第一実施形態」
本発明に係る燃料電池システムの第一実施形態について、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0038】
本実施形態の燃料電池システムは、
図1に示すように、酸素を含む酸化剤ガスO1と炭化水素を含む燃料ガスF1とを用いて発電を行う燃料電池モジュールMと、燃料電池モジュールMに水蒸気を供給する蒸気発生器10と、燃料電池モジュールMを通過した燃料ガスである排燃料ガスF2を燃焼させて駆動するガスタービン20と、このガスタービン20からの排気ガスの熱を回収する排熱回収設備30と、これらの動作を制御する制御装置60と、を備えている。
【0039】
燃料電池モジュールMは、圧力容器301と、この圧力容器301内に配置されているカートリッジ201とを備えている。カートリッジ201は、燃料ガスF1と酸化剤ガスO1とで発電を行うセルスタック101の束を有している。なお、
図1中、圧力容器301内には1個のカートリッジ201のみが描かれているが、圧力容器301内には、実際に複数のカートリッジ201が配置されている。
【0040】
ガスタービン20は、空気を吸い込んで、この空気を加圧して燃料電池モジュールMに供給する空気圧縮機21と、排燃料ガスF2を排酸化剤ガスO2中で燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器23と、燃焼ガスで駆動するタービン22と、を備えている。このタービン22には、例えば、タービン22の駆動で発電する発電機24が接続されている。
【0041】
排熱回収設備30は、ガスタービン20から排気された燃焼ガスである排気ガスと水との熱交換で蒸気を発生させる排熱回収ボイラー31と、排熱回収ボイラー31で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン32と、蒸気タービン32を駆動させた蒸気を水に戻す復水器33と、復水器33中の水を排熱回収ボイラー31に戻す給水ポンプ34と、を備えている。蒸気タービン32には、例えば、この蒸気タービン32の駆動で発電する発電機が接続されている。
【0042】
燃料ガス供給源1とガスタービン20の燃焼器23とは、第一燃料ガス供給ライン41で接続されている。この第一燃料ガス供給ライン41には、ここを通る燃料ガスF1の流量を調節する第一燃料流量調節弁51が設けられている。燃料ガス供給源1と燃料電池モジュールMのカートリッジ201とは、第二燃料ガス供給ライン42で接続されている。この第二燃料ガス供給ライン42には、ここを通る燃料ガスF1の流量を調節する第二燃料流量調節弁52が設けられている。燃料電池モジュールMのカートリッジ201とガスタービン20の燃焼器23とは、カートリッジ201を通過した燃料ガスである排燃料ガスF2を燃焼器23に送るための燃料ガス排出ライン43で接続されている。燃料ガス排出ライン43と第二燃料ガス供給ライン42とは、燃料ガス排出ライン43中の排燃料ガスF2を第二燃料ガス供給ライン42に戻す再循環ライン44で接続されている。この再循環ライン44には、燃料ガス排出ライン43中の排燃料ガスF2を昇圧して第二燃料ガス供給ライン42に送り込む再循環圧縮機54が設けられている。
【0043】
ガスタービン20の空気圧縮機21の吐出口と燃焼器23とは、空気供給ライン45で接続されている。この空気供給ライン45は、途中で分岐している。この分岐しているラインは、酸化剤ガス供給ライン46として、燃料電池モジュールMのカートリッジ201に接続されている。空気供給ライン45には、空気圧縮機21から燃焼器23に供給される空気の流量を調節する空気流量調節弁55が設けられている。また、酸化剤ガス供給ライン46には、空気圧縮機21からカートリッジ201に供給される空気である酸化剤ガスO1の流量を調節する酸化剤ガス流量調節弁56が設けられている。カートリッジ201と燃焼器23とは、カートリッジ201を通過した酸化剤ガスである排酸化剤ガスO2を燃焼器23へ送る酸化剤ガス排出ライン47で接続されている。
【0044】
蒸気発生器10には、第二燃料ガス供給ライン42を介して、ここで発生した水蒸気を燃料電池モジュールMのカートリッジ201に導く蒸気供給ライン48が接続されている。この蒸気供給ライン48には、ここを通る水蒸気の流量を調節する蒸気流量調節弁58が設けられている。
【0045】
制御装置60は、外部からの発電量(負荷)指令を受け付ける受付部61と、発電量指令が示す発電量に応じて第二燃料流量調節弁52を制御する燃料流量制御部62と、発電量指令が示す発電量に応じて蒸気流量調節弁58を制御する蒸気流量制御部63と、を有している。なお、この制御装置60は、図示されていないが、第一燃料流量調節弁51を制御する制御部、空気流量調節弁55の制御する制御部、再循環圧縮機54を制御する制御部等も有している。なお、ここでの制御装置は、外部から発電量指令を受け付ける例であるが、制御装置が外部の状況等に応じて発電指令を自ら作成してもよい。
【0046】
燃料電池モジュールMのセルスタック101に供給される燃料ガスF1としては、例えば、水素、一酸化炭素、メタン等の炭化水素系ガス、石炭等の炭素質原料のガス化により得られた炭化水素を含むガス、又は、これらの2以上の成分を含むガス等が利用される。また、燃料電池モジュールMのセルスタック101に供給される酸化剤ガスO1としては、例えば、酸素を15〜30vol%含むガス等が利用される。代表的な酸化剤ガスO1としては、空気であるが、燃焼排気ガスと空気との混合ガスや、酸素と空気との混合ガスを利用してもよい。
【0047】
燃料電池モジュールMの圧力容器301は、例えば、内部の圧力が0.1MPa〜約5MPa、内部の温度が大気温度〜約550℃で運用される。このため、この圧力容器301は、耐圧性を考慮して、円筒形状を成している。この圧力容器301は、その容器中心軸が上下方向に延びるよう設置されている。また、この圧力容器301は、耐圧性と共に、酸化剤ガスO1中に含まれる酸素などの酸化剤に対する耐食性も要求されるため、例えば、SUS304などのステンレス系材で形成されている。
【0048】
燃料電池モジュールMのカートリッジ201は、前述したように、セルスタック101の束を有して構成されている。
図2に示すように、セル集合体であるセルスタック101は、円筒形状(又は管形状)の基体管103と、基体管103の外周面に形成されている複数の燃料電池セル105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されているインターコネクタ107とを有する。燃料電池セル105は、燃料極112と固体電解質111と空気極113とが積層して、基体管103の外周面に沿う環状に形成されている。セルスタック101は、さらに、基体管103の外周面に形成されている複数の燃料電池セル105のうちで、基体管103の軸方向において最も端に形成されている燃料電池セル105の空気極113に、インターコネクタ107を介して電気的に接続されているリード膜115を有する。
【0049】
本実施形態では、この円筒形状(又は管形状)のセルスタック101の内周側に燃料ガスF1が通り、外周側に酸化剤ガスO1が通る。
【0050】
基体管103は、例えば、CaO安定化ZrO
2(CSZ)、Y
2O
3安定化ZrO
2(YSZ)、MgAl
2O
4等のいずれかで形成されている多孔質体である。この基体管103は、燃料電池セル105とインターコネクタ107とリード膜115とを支持する役目を担っている。さらに、この基体管103は、内周側に供給された燃料ガスF1を基体管103の細孔を介して基体管103の外周面に形成される燃料電池セル105に拡散させる役目も担っている。
【0051】
燃料極112は、例えば、Ni/YSZ等、Niとジルコニア系電解質材料との複合材の酸化物で形成されている。この場合、燃料極112は、燃料極112の成分であるNiが燃料ガスF1に対して触媒として作用する。この触媒としての作用は、基体管103を介して供給された燃料ガスF1中に、例えば、メタン(CH
4)等の炭化水素と水蒸気とが含まれている場合、これら相互を反応させ、水素(H
2)と一酸化炭素(CO)に改質する作用である。
【0052】
空気極113は、例えば、LaSrMnO
3系酸化物、又はLaCoO
3系酸化物で形成されている。この空気極113は、固体電解質111との界面付近において、供給される酸化剤ガスO1中の酸素を酸素イオン(O
2−)と電子(2e
−)に解離させる。
【0053】
固体電解質111は、例えば、主としてYSZで形成されている。このYSZは、ガスを通しにくい気密性と、高温下での高い酸素イオン導電性とを有している。この固体電解質111は、空気極113で生成された酸素イオン(O
2−)を燃料極112に移動させる。
【0054】
前述の燃料極112では、固体電解質111との界面付近において、改質により得られた水素(H
2)及び一酸化炭素(CO)と、固体電解質111から供給された酸素イオン(O
2−)とが反応し、水蒸気(H
2O)及び二酸化炭素(CO
2)が生成される。この燃料電池セル105では、この反応過程で電子が放出されて、発電が行われる。
【0055】
インターコネクタ107は、例えば、SrTiO
3系などのM
1−xL
xTiO
3(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で表される導電性ペロブスカイト型酸化物で形成されている。このインターコネクタ107は、燃料ガスF1と酸化剤ガスO1とが混合しないように緻密な膜で、酸化雰囲気と還元雰囲気との両雰囲気下で安定した電気導電性を有する。このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105において、一方の燃料電池セル105の空気極113と他方の燃料電池セル105の燃料極112とを電気的に接続する。つまり、このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105同士を電気的に直列接続する。
【0056】
リード膜115は、電子伝導性を有すること、及びセルスタック101を構成する他の材料との熱膨張係数が近いことが必要であることから、例えば、Ni/YSZ等のNiとジルコニア系電解質材料との複合材で形成されている。このリード膜115は、インターコネクタ107により電気的に直列接続されている複数の燃料電池セル105で発電された直流電力をセルスタック101の端部付近まで導出する役目を担っている。
【0057】
カートリッジ201は、
図3に示すように、複数のセルスタック101と、複数のセルスタック101の束の一方の端部を覆う第一カートリッジヘッダ220aと、複数のセルスタック101の束の他方の端部を覆う第二カートリッジヘッダ220bと、を有している。複数のセルスタック101は、互いに平行で且つその長手方向における互いの位置が揃って、全体として円柱形状を成している。また、第一カートリッジヘッダ220a及び第二カートリッジヘッダ220bは、円柱形状を成している複数のセルスタック101の束の外径よりわずかに大きな外径の円筒形状を成している。このため、カートリッジ201は、全体として、セルスタック101の長手方向に長い円柱形状を成している。なお、カートリッジ201は、円柱形状でなくてもよく、例えば、角柱形状であってもよい。
【0058】
第一カートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220a及び第二カートリッジヘッダ220bは、いずれも、複数のセルスタック101の束の端部が開口228から内部に入り込む円筒形状のケーシング229a,229bと、ケーシング229a,229bの開口228を塞ぐ仕切断熱板227a,227bと、ケーシング229a,229bの内部空間をセルスタック101の長手方向で2つの空間に仕切る管板225a,225bと、を有している。管板225a,225b等は、高温耐久性のある金属材料で形成されている。管板225a,225b及び仕切断熱板227a,227bには、複数のセルスタック101の端部のそれぞれが挿通可能な貫通孔が形成されている。管板225a,225bは、その貫通孔に挿通されたセルスタック101の端部をシール部材又は接着剤237を介して支持する。このため、この管板225a,225bには貫通孔が形成されているものの、この管板225a,225bを基準にしてケーシング229a,229b内の一方の空間に対する他方の空間の気密性が確保されている。仕切断熱板227a,227bの貫通孔の内径は、ここに挿通されるセルスタック101の外径よりも大きく形成されている。つまり、仕切断熱板227a,227bの貫通孔の内周面と、この貫通孔に挿通されたセルスタック101の外周面との間には隙間235a,235bが存在する。
【0059】
第一カートリッジヘッダ220aのケーシング229aと管板225aとで形成されている空間は、燃料ガスF1が供給される燃料ガス供給室217を形成している。このケーシング229aには、第二燃料ガス供給ライン42からの燃料ガスF1を燃料ガス供給室217に導くための燃料ガス供給孔231aが形成されている。この燃料ガス供給室217内には、複数のセルスタック101における基体管103の端部が位置し、ここで開放している。第二燃料ガス供給ライン42から燃料ガス供給室217に導かれた燃料ガスF1は、複数のセルスタック101の基体管103の内部に流れ込む。この際、燃料ガスF1は、燃料ガス供給室217により、複数のセルスタック101の各基体管103に対してほぼ均等流量に配分される。このため、複数のセルスタック101における各発電量の均一化を図ることができる。
【0060】
第二カートリッジヘッダ220bのケーシング229bと管板225bとで形成されている空間は、セルスタック101の基体管103内を通過した排燃料ガスF2が流れ込む燃料ガス排出室219を形成している。このケーシング229bには、燃料ガス排出室219に流れ込んだ排燃料ガスF2を燃料ガス排出ライン43に導くための燃料ガス排出孔231bが形成されている。この燃料ガス排出室219内には、複数のセルスタック101における基体管103の端部が位置し、ここで開放している。複数のセルスタック101の各基体管103内を通過した排燃料ガスF2は、前述したように、燃料ガス排出室219に流入した後、燃料ガス排出ライン43を通って、圧力容器301外へ排出される。
【0061】
第二カートリッジヘッダ220bのケーシング229bと仕切断熱板227bと管板225bとで形成されている空間は、酸化剤ガス供給室216を形成している。このケーシング229bには、酸化剤ガス供給ライン46からの酸化剤ガスO1を酸化剤ガス供給室216に導くための酸化剤ガス供給孔233bが形成されている。この酸化剤ガス供給室216内に導かれた酸化剤ガスO1は、仕切断熱板227bの貫通孔の内周面と、この貫通孔に挿通されているセルスタック101の外周面との間の隙間235bから、第一カートリッジヘッダ220aと第二カートリッジヘッダ220bとの間の発電室215へと流出する。
【0062】
第一カートリッジヘッダ220aと第二カートリッジヘッダ220bとの間の発電室215には、複数のセルスタック101の燃料電池セル105が配置されている。このため、この発電室215では、燃料ガスF1と酸化剤ガスO1とが電気化学的反応して、発電が行われる。なお、この発電室215で、セルスタック101の長手方向における中央部付近の温度は、燃料電池モジュールMの定常運転時に、およそ700℃〜1100℃の高温雰囲気になる。また、この発電室215は、第一カートリッジヘッダ220aと第二カートリッジヘッダ220bとの間であって、外周側が断熱材15で囲まれた空間である。この断熱材15は、例えば、アルミナシリカ系の材料で形成されている。
【0063】
第一カートリッジヘッダ220aのケーシング229aと仕切断熱板227aと管板225aとで形成されている空間は、発電室215を通った排酸化剤ガスO2が流入する酸化剤ガス排出室218を形成している。このケーシング229aには、酸化剤ガス排出室218に流れ込んだ排酸化剤ガスO2を酸化剤ガス排出ライン47に導くための酸化剤ガス排出孔233aが形成されている。発電室215中の酸化剤ガスO1は、仕切断熱板227aの貫通孔の内周面と、この貫通孔に挿通されているセルスタック101の外周面との間の隙間235aから酸化剤ガス排出室218内に流入した後、排酸化剤ガスO2として酸化剤ガス排出ライン47を通って、圧力容器301外へ排出される。
【0064】
発電室215の高温化に伴って、各カートリッジヘッダ220a,220bの管板225a,225bが高温化する。第一カートリッジヘッダ220a及び第二カートリッジヘッダ220bの仕切断熱板227a,227bは、この管板225a,225bが高温化による強度低下や酸化剤ガスO1中に含まれている酸化剤による腐食を抑える。さらに、この仕切断熱板227a,227bは、管板225a,225bの熱変形も抑える。
【0065】
前述したように、発電室215中の酸化剤ガスO1と、この発電室215に配置されている複数のセルスタック101の内側を通る燃料ガスF1とは、セルスタック101における複数の燃料電池セル105で電気化学反応する。この結果、複数の燃料電池セル105で発電が行われる。
【0066】
複数の燃料電池セル105での発電で得られた直流電流は、複数の燃料電池セル105相互間に設けられているインターコネクタ107を経て、セルスタック101の端部側へ流れ、このセルスタック101のリード膜115に流れ込む。そして、この直流電流は、リード膜115から、集電板(不図示)を介して、カートリッジ201の集電棒(不図示)に流れ、カートリッジ201外部へ取り出される。複数の集電棒は、互いに直列及び/又は並列接続されている。集電棒のうち、最も下流側の集電棒は、例えば、図示されていないインバータに接続されている。カートリッジ201外部に取り出された直流電流は、直列及び/又は並列接続されている複数の集電棒を経て、例えば、インバータに流れ、ここで交流電流に変換された後、遮断器(不図示)を介して、例えば、系統電力負荷へと供給される。
【0067】
セルスタック101の内周側を流れる燃料ガスF1とセルスタック101の外周側を流れる酸化剤ガスO1とは、このセルスタック101を介して熱交換する。この結果、燃料ガスF1は、酸化剤ガスO1により加熱され、酸化剤ガスO1は、逆に燃料ガスF1により冷却される。本実施形態では、これら燃料ガスF1と酸化剤ガスO1とがセルスタック101の内周側と外周側とを対向して流れる。このため、燃料ガスと酸化剤ガスとの熱交換率が高まり、セルスタック101の上部において、燃料ガスによる酸化剤ガスの冷却効率、及び、セルスタック101の下部において、酸化剤ガスによる燃料ガスの冷却効率が高まる。よって、本実施形態において、酸化剤ガスO1は、第一カートリッジヘッダ220aを形成する管板225a等が座屈変形等しない温度に冷却されてから、排酸化剤ガスO2として、この第一カートリッジヘッダ220aの酸化剤ガス排出室218に流れ込む。また、本実施形態において、燃料ガスF1は、発電室215内のセルスタック101内で、ヒータ等を用いることなく発電に適した温度に予熱昇温される。
【0068】
なお、本実施形態では、燃料ガスF1と酸化剤ガスO1とがセルスタック101の内周側と外周側とを対向して流れる、つまり燃料ガスF1と酸化剤ガスO1とが逆向きに流れる。しかしながら、必ずしもこの必要はなく、例えば、燃料ガスF1と酸化剤ガスO1とがセルスタック101の内周側と外周側で同じ向きに流れてもよいし、酸化剤ガスO1が燃料ガスF1の流れに対して直交する方向に流れてもよい。
【0069】
次に、以上で説明した燃料電池システムの動作について説明する。
【0070】
燃料電池システムを起動させる場合、まず、ガスタービン20を起動させる。ガスタービン20の燃焼器23には、燃料ガス供給源1からの燃料ガスF1が第一燃料ガス供給ライン41を介して供給される。この際、第一燃料流量調節弁51は開いている一方で、第二燃料ガス供給ライン42中の第二燃料流量調節弁52は閉じている。また、ガスタービン20の燃焼器23には、空気圧縮機21からの空気が空気供給ライン45を介して供給される。この際、空気流量調節弁55は開いている一方で、酸化剤ガス供給ライン46中の酸化剤ガス流量調節弁56は閉じている。
【0071】
燃焼器23では、燃料ガスF1が空気圧縮機21からの空気中で燃焼する。この燃焼で生成された燃焼ガスは、タービン22に送られ、タービン22を駆動する。このタービン22の駆動で、空気圧縮機21が駆動力を得ると共に、発電機24による発電が行われる。
【0072】
排熱回収ボイラー31には、タービン22を駆動した燃焼ガス、つまり排気ガスが流入し、ここで、この排気ガスと水とが熱交換されて、水が加熱されて水蒸気となる。この水蒸気は、蒸気タービン32に供給され、蒸気タービン32を駆動する。蒸気タービン32を駆動した水蒸気は、復水器33で水に戻されてから、給水ポンプ34により排熱回収ボイラー31に戻される。
【0073】
ガスタービン20が駆動すると、燃料電池モジュールMを起動させる。燃料電池モジュールMのカートリッジ201には、酸化剤ガス供給ライン46を介して、ガスタービン20の空気圧縮機21からの空気が酸化剤ガスO1として供給される。この際、酸化剤ガス供給ライン46中の酸化剤ガス流量調節弁56が制御装置60からの指示で開く一方で、空気供給ライン45中の空気流量調節弁55が閉じるか、又はその弁開度が小さくなる。
【0074】
また、燃料電池モジュールMの起動時には、燃料ガス供給源1からの燃料ガスF1が、第二燃料ガス供給ライン42を介して、燃料電池モジュールMのカートリッジ201に供給される。この際、第二燃料ガス供給ライン42中の第二燃料流量調節弁52が制御装置60からの指示で開く一方で、第一燃料ガス供給ライン41中の第一燃料流量調節弁51が閉じるか、又はその弁開度が小さくなる。さらに、蒸気発生器10からの水蒸気が、蒸気供給ライン48及び第二燃料ガス供給ライン42を介して、燃料電池モジュールMのカートリッジ201に供給される。この際、蒸気供給ライン48中に設けられている蒸気流量調節弁58が制御装置60からの指示で開く。
【0075】
カートリッジ201に供給された燃料ガスF1及び水蒸気は、前述したように、セルスタック101の燃料極112による改質能により、水素(H
2)及び一酸化炭素(CO)等に改質される。また、カートリッジ201に供給された酸化剤ガスO1中の酸素は、セルスタック101の空気極113で、酸素イオン(O
2−)と電子(2e
−)に解離される。燃料極112の固体電解質111との界面付近では、改質により得られた水素(H
2)及び一酸化炭素(CO)と、空気極113からの酸素イオン(O
2−)及び電子(2e
−)とが反応し、水蒸気(H
2O)及び二酸化炭素(CO
2)が生成される。この燃料電池セル105では、以上の反応過程で電子が放出されて、発電が行われる。
【0076】
カートリッジ201を通過した燃料ガスF1である排燃料ガスF2は、燃料ガスF1排出ラインを介して、ガスタービン20の燃焼器23に送られる。また、カートリッジ201を通過した酸化剤ガスO1である排酸化剤ガスO2も、酸化剤ガス排出ライン47を介して、ガスタービン20の燃焼器23に送られる。燃焼器23では、排燃料ガスF2中の燃料成分が排酸化剤ガスO2中の酸素中に燃焼する。この燃焼で生成された燃焼ガスは、タービン22に送られ、タービン22を駆動する。このタービン22の駆動で、空気圧縮機21が駆動力を得ると共に、発電機による発電が行われる。
【0077】
カートリッジ201を通過した燃料ガスである排燃料ガスF2の一部は、再循環ライン44中に設けられている再循環圧縮機54で昇圧されて、第二燃料ガス供給ライン42に戻される。そして、この排燃料ガスF2は、燃料ガス供給源1からの燃料ガスF1と共に、燃料電池モジュールMのカートリッジ201に供給される。燃料電池モジュールM内で発電が開始されると、先に説明したように、発電に伴う反応で水蒸気が生成されるため、排燃料ガスF2には、水蒸気が含まれることになる。従って、本実施形態のように、排燃料ガスF2をカートリッジ201に戻すことで、カートリッジ201において、燃料ガスF1中の炭化水素の改質に必要な水蒸気を確保できるようになる。このため、カートリッジ201で発電か開始され、このカートリッジ201において、燃料ガスF1中の炭化水素の改質に必要な水蒸気を確保できるようになると、制御装置60からの指示で蒸気流量調節弁58が閉じ、蒸気発生器10からの水蒸気は、カートリッジ201に供給されなくなる。
【0078】
燃料電池モジュールMの発電中、制御装置60の受付部61が外部から発電量を示す発電量(負荷)指令を受けると、燃料流量制御部62は、発電量指令が示す発電量に応じた燃料ガスF1の流量が得られる弁開度指令を第二燃料流量調節弁52に出力する。具体的に、制御装置60の受付部61が発電量の増加を示す発電量指令を受けると、燃料流量制御部62は、第二燃料流量調節弁52に対して、燃料ガスF1の流量が増加するよう、弁開度を広げる旨の弁開度指令を出力する。この結果、燃料電池モジュールMのセルスタック101に供給される燃料ガスF1の流量が増加する。燃料ガスF1の流量が増加すると、発電量が増加する結果、排燃料ガスF2中に含まれる水蒸気の量も増加する。
【0079】
しかしながら、カートリッジ201での反応で生成された水蒸気が、再循環ライン44を介して、再び、カートリッジ201に戻るまでには、多少の時間がかかるため、増加した燃料ガスF1の改質に必要な水蒸気量を直ちに確保することができない。このため、制御装置60が発電量の増加を示す発電量指令を受けて、燃料ガスF1の流量を増加させても、直ちに、燃料ガスF1の流量増加見合いの発電量は得られない。
【0080】
そこで、本実施形態では、燃料ガスF1の流量増加に伴って、増加した分の燃料ガスF1を改質させるために必要な水蒸気を蒸気発生器10からの水蒸気で補うようにしている。
【0081】
次に、
図4に示すタイミングチャートを用いて、燃料ガスF1の流量増加に伴う蒸気発生器10からの水蒸気の供給について、具体的に説明する。
【0082】
図4に示すように、制御装置60の受付部61が外部から発電量を示す発電量指令を受けると(t3)、前述したように、燃料流量制御部62は、発電量指令が示す発電量に応じた燃料ガスF1の流量が得られる弁開度指令を第二燃料流量調節弁52に出力する。この結果、燃料電池モジュールMのカートリッジ201に供給される燃料ガスF1の流量が増加する(t4)。
【0083】
仮に、カートリッジ201での反応で生成された水蒸気が、再循環ライン44を介して、再び、カートリッジ201に戻るまでの時間をxとすると、燃料ガスF1の流量が増加し始めてから(t4)、x時間後の時点(t5)で、再循環ライン44を介して、カートリッジ201に流れ込む水蒸気流量が増加し始める。すなわち、燃料ガスF1の流量の増加開始時点(t4)と、再循環ライン44を介してカートリッジ201に流れ込む水蒸気の流量の増加開始時点(t5)とに、x時間のタイムラグが生じる。本実施形態では、このタイムラグによって生じる水蒸気の流量の不足分を追加水蒸気流量Vaとして求め、前述したように、この追加水蒸気流量Va分の水蒸気をカートリッジ201に供給し、不足分を補うようにしている。
【0084】
ここで、追加水蒸気流量Vaの求め方について説明する。
カートリッジ201に流入する燃料ガスF1の流量と、この流量の燃料ガスF1がカートリッジ201に流入した場合にカートリッジ201での発電に必要な水蒸気の流量とは、一定の関係がある。このため、燃料ガスF1の流量が増加する場合、この一定の関係を用いて、燃料ガスF1の流量の増加に伴うカートリッジ201での発電に必要な水蒸気の流量を求めることができる。
【0085】
そこで、本実施形態の蒸気流量制御部63は、発電量指令が発電量の増加を示し、燃料ガスF1の流量が増加する場合、まず、この増加に伴うカートリッジ201での発電に必要な水蒸気の流量(以下、必要水蒸気流量Vnとする)を求める。この際、蒸気流量制御部63は、燃料ガスF1の流量が増加開始する時点(t4)から、燃料ガスF1の流量が増加しなくなるまでの時点(t6)後、さらに所定時間x経過する時点(t7)までの間(以下、燃料ガス増加時間帯Tとする)の各時刻tにおける必要水蒸気流量Vnを求める。
【0086】
次に、蒸気流量制御部63は、燃料ガス増加時間帯Tの各時刻tで、再循環ライン44を介してカートリッジ201に供給される水蒸気流量Vrを推定する。この水蒸気流量Vrの推定では、まず、当該時刻tよりもx時間前にカートリッジ201で生成された水蒸気の量を求める。この水蒸気量は、この時にカートリッジ201に供給される燃料ガスF1の流量と水蒸気の流量とから推定する。次に、推定した水蒸気の流量のうちで、再循環ライン44を通る水蒸気の流量を求める。この際、燃料ガス排出ライン43の圧力損失と再循環ライン44の圧力損失等を考慮して、カートリッジ201で生成されて燃料ガス排出ライン43に流れ込む水蒸気の流量のうちで、燃料ガス排出ライン43をそのまま流れて燃焼器23に流れ込む水蒸気の流量と、再循環ライン44に流れ込む水蒸気の流量との割合を定める。そして、先に推定した水蒸気の流量にこの割合を掛けて、再循環ライン44を介してカートリッジ201に供給される水蒸気流量Vrを求める。なお、当該時刻tでカートリッジ201で生成される水蒸気の量は、当該時刻tで燃料ガスの改質に必要な水蒸気の量よりも多い。
【0087】
次に、蒸気流量制御部63は、以下の式に示すように、燃料ガス増加時間帯Tの各時刻tにおける必要水蒸気流量Vnから、再循環ライン44を介してカートリッジ201に供給される各時刻tにおける水蒸気流量Vrを引いて、各時刻tにおける追加水蒸気流量Vaを求める。
Va=Vn−Vr
【0088】
なお、以上において、タイムラグの時間xは、予め調べておき、この時間xを制御装置60に記憶させておくことになる。制御装置60の蒸気流量制御部63は、この記憶されている時間xを用いて、以上の処理を行う。また、以上では、セルスタック101で生成されて酸化剤ガス排出ライン47に流れ込む水蒸気の流量のうちで、燃料ガス排出ライン43をそのまま流れて燃焼器23に流れ込む水蒸気の流量と、再循環ライン44に流れ込む水蒸気の流量との割合を、燃料ガス排出ライン43の圧力損失と再循環ライン44の圧力損失等を考慮して定めるようにしている。しかしながら、この割合を予め制御装置60に記憶させておいてもよい。この場合、制御装置60の蒸気流量制御部63は、この記憶されている割合を用いて、再循環ライン44に流れ込む水蒸気の流量を求める。
【0089】
蒸気流量制御部63は、以上のようにして、燃料ガス増加時間帯Tの各時刻tにおける追加水蒸気流量Vaを求めると、燃料ガスF1の流量が増加開始するタイミング(t4)に合わせて、この追加水蒸気流量Vaが得られる弁開度指令を蒸気流量調節弁58に出力する。この結果、
図4(d)に示すように、カートリッジ201に供給される燃料ガスF1の増加に伴って、蒸気流量調節弁58が開き、蒸気発生器10から追加水蒸気流量Va分の水蒸気が蒸気供給ライン48を介してカートリッジ201に供給される。そして、蒸気流量制御部63は、蒸気流量調節弁58に対して弁開を示す弁開度指令を出力してから燃料ガス増加時間帯Tの時間分経過すると(t7)、蒸気流量調節弁58に対して弁閉を示す弁開度指令を出力する。
【0090】
したがって、本実施形態では、燃料ガスF1の流量を増加させると、カートリッジ201に供給される水蒸気の流量も直ちに増加するので、燃料ガスF1の流量増加見合いの発電量を直ちに得ることができる。
【0091】
ところで、発電量指令が発電量の増加を示す場合に、発電量の増加量が極めて小さい場合でも、燃料ガスF1の流量の増加に伴って蒸気発生器10からの水蒸気をカートリッジ201に供給すると、システム全体の安定性が低下する。また、前述したように、ある時刻tでカートリッジ201で生成される水蒸気の量は、この時刻tで燃料ガスF1の改質に必要な水蒸気の量よりも多いため、燃料ガスF1の流量が多少増加しても、この燃料ガスF1の改質に必要な水蒸気が不足することはない。
【0092】
そこで、本実施形態では、仮に、制御装置60が発電量指令を受け(t1)、この発電量指令が発電量の増加を示す場合でも、
図4(a)(d)に示すように、発電量の増加量L
1が予め定めらえた値L
0未満のときには、制御装置60は、第二燃料流量調節弁52に対して流量増加を示す弁開度指令を出力するものの、蒸気流量調節弁58に対して弁開を示す弁開度指令を出力しない。言い換えると、制御装置60は、この発電量指令が発電量の増加を示す場合でも、発電量の増加量が予め定めらえた値L
0以上のときに、蒸気流量調節弁58に対して弁開を示す弁開度指令を出力する。このため、発電量指令が発電量の増加を示す場合でも、発電量の増加量L
1が予め定めらえた値L
0未満のときには、
図4(d)に示すように、追加水蒸気流量Vaは「0」のままである。
【0093】
また、例えば、系統電力負荷側になんらかの事故等が生じる等で、燃料電池モジュールMと系統電力負荷とを電気的に接続している遮断器が開き、燃料電池モジュールMから系統電力負荷への電力供給が遮断されると、言い換えると、燃料電池システムがトリップすると、燃料電池モジュールMでの発電が停止する。すなわち、燃料電池モジュールMのセルスタック101において、燃料ガスF1の改質で得られた水素(H
2)及び一酸化炭素(CO)と、固体電解質111から供給された酸素イオン(O
2−)との反応が停止する。この結果、この反応で生成されていた水蒸気(H
2O)が生成されなくなる。水蒸気(H
2O)が生成されなくなると、燃料極112において、燃料ガスF1と水蒸気との反応による水素(H
2)が生成されなくなり、セルスタック101が酸化して損傷するおそれが生じる。
【0094】
このため、本実施形態では、燃料電池システムがトリップする等によりセルスタック101で発電されなくなると、制御装置60は、これを認識して、蒸気流量制御部63が蒸気流量調節弁58に対して、弁開を示す弁開度指令を出力する。この結果、蒸気流量調節弁58が開き、蒸気発生器10からの水蒸気が蒸気供給ライン48を介して燃料電池モジュールMに供給され、セルスタック101の燃料極において、この水蒸気から水素が生成される。したがって、本実施形態では、セルスタック101で発電されなくなっても、セルスタック101の燃料極側が還元性雰囲気を維持することができ、セルスタック101の酸化による損傷を抑えることができる。
【0095】
また、系統電力負荷側になんらかの事故等が生じる等で、セルスタック101で発電されなくなった場合、燃料電池システムに電力が供給されなくなる可能性が高い。つまり、燃料電池システムの電力喪失する可能性が高い。このため、蒸気流量調節弁58として、例えば、電源喪失で開く電磁弁等を用いることで、電源喪失時でも、セルスタック101の燃料極側が還元性雰囲気を維持することができ、セルスタック101の酸化による損傷を抑えることができる。但し、バックアップ電源がある場合には、蒸気流量調節弁58として、電源喪失で開く電磁弁等を用いなくてもよい。
【0096】
「第二実施形態」
本発明に係る燃料電池システムの第二実施形態について、
図5を参照して説明する。
【0097】
本実施形態の燃料電池システムは、蒸気発生器として排熱回収ボイラー31を用いたもので、その他の構成は第一実施形態の燃料電池システムと同様である。本実施形態において、排熱回収ボイラー31で発生した水蒸気を蒸気タービン32に導く蒸気ライン35には、蒸気供給ライン48aが接続されている。この蒸気供給ライン48aは、第一実施形態と同様、第二燃料ガス供給ライン42に接続されている。また、この蒸気供給ライン48aには、第一実施形態と同様、蒸気流量調節弁58が設けられている。
【0098】
以上、本実施形態でも、第一実施形態と同様、制御装置60による制御により、燃料ガスF1の流量増加見合いの発電量を直ちに得ることができる。また、本実施形態では、第一実施形態のように、燃料電池モジュールMに水蒸気を供給する専用の蒸気発生器10ではなく、燃料電池システムが有している排熱回収ボイラー31を蒸気発生器として利用しているので、設備コストを抑えることができる。さらに、この排熱回収ボイラー31は、排燃料ガスF2の燃焼で得られた排気ガスの熱を利用して水蒸気を発生させているので、専用の蒸気発生器10を用いる場合よりも、燃料コストを抑えることができる。
【0099】
「第三実施形態」
本発明に係る燃料電池システムの第三実施形態について、
図6を参照して説明する。
【0100】
本実施形態の燃料電池システムは、第二実施形態の燃料電池システムに、燃料ガスF1を予熱する燃料ガス予熱器320を追加したものであり、その他の構成は第二実施形態の燃料電池システムと同様である。この燃料ガス予熱器320は、燃料電池モジュールMの圧力容器301内に配置されている。この燃料ガス予熱器320は、第二燃料ガス供給ライン42を通る燃料ガスF1と燃料ガス排出ライン43を通る排燃料ガスF2とを熱交換させて、燃料ガスF1を排燃料ガスF2で加熱する。蒸気供給ライン48aは、第二燃料ガス供給ライン42中で燃料ガス予熱器320よりもカートリッジ201側の位置に接続されている。
【0101】
以上、本実施形態でも、第一及び第二実施形態と同様、制御装置60による制御により、燃料ガスF1の流量増加見合いの発電量を直ちに得ることができる。また、本実施形態では、燃料ガス予熱器320により加熱されて、より高温になった燃料ガスF1中に、排熱回収ボイラー31からの水蒸気を供給するので、燃料ガスF1中に供給された水蒸気のドレン化を防止することができる。
【0102】
なお、本実施形態は、第二実施形態の燃料電池システムに燃料ガス予熱器320を追加したものであるが、第一実施形態の燃料電池システムに燃料ガス予熱器320を追加してもよい。
【0103】
「第四実施形態」
本発明に係る燃料電池システムの第四実施形態について、
図7を参照して説明する。
【0104】
本実施形態の燃料電池システムは、第三実施形態の燃料電池システムに、水蒸気を過熱する過熱器330を追加したものであり、その他の構成は第三実施形態の燃料電池システムと同様である。この過熱器330は、燃料電池モジュールMの圧力容器301内に配置されている。この過熱器330は、燃料電池モジュールMにおけるカートリッジ201の発電による熱で、蒸気供給ライン48aを通る水蒸気を過熱する。
【0105】
以上、本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、制御装置60による制御により、燃料ガスF1の流量増加見合いの発電量を直ちに得ることができる。また、本実施形態では、排熱回収ボイラー31からの水蒸気を過熱器330で過熱した後に、この水蒸気をカートリッジ201に供給するので、排熱回収ボイラー31からの水蒸気の温度が低い場合でも、この水蒸気をセルスタック101での改質対象としての水蒸気に利用することができる。
【0106】
なお、本実施形態は、第三実施形態の燃料電池システムに過熱器330を追加したものであるが、第一実施形態及び第二実施形態の燃料電池システムに過熱器330を追加してもよい。
【0107】
「第五実施形態」
本発明に係る燃料電池システムの第五実施形態について、
図8を参照して説明する。
【0108】
本実施形態の燃料電池システムは、第二実施形態の燃料電池システムにおける蒸気発生器10としての排熱回収ボイラー31の替りに、燃料電池モジュールMにおけるカートリッジ201の発電による熱で水蒸気を発生させる蒸気発生器310を圧力容器301内に配置したものである。
【0109】
蒸気発生器310には、この蒸気発生器310に水を供給する水供給ライン49と、この蒸気発生器10で発生した水蒸気をカートリッジ201に供給する蒸気供給ライン48cとが接続されている。水供給ライン49には、蒸気発生器310に供給する水の流量を調節することで、カートリッジ201への水蒸気の流量を調節する蒸気流量調節弁58cが設けられている。
【0110】
以上、本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、制御装置60による制御により、燃料ガスF1の流量増加見合いの発電量を直ちに得ることができる。また、本実施形態では、圧力容器301内において、カートリッジ201の発電による熱で水蒸気を発生させるので、第一実施形態よりも、燃料電池システムの小型化及び簡素化を図ることができると共に、燃料コストを抑えることができる。
【0111】
なお、本実施形態は、第二実施形態の燃料電池システムにおける排熱回収ボイラー31の替りとして圧力容器301内に蒸気発生器10を設けたものであるが、第一実施形態の燃料電池システムにおける蒸気発生器10の替りとして圧力容器301内に蒸気発生器10を設けてもよい。
【0112】
また、本実施形態や第二〜第四実施形態においても、第一実施形態の説明で前述したように、燃料電池システムの電源喪失時に対応できるようにするため、蒸気流量調節弁58として、例えば、電源喪失で開く電磁弁等を用いてもよい。但し、これらの実施形態に適用する場合でも、バックアップ電源がある場合には、蒸気流量調節弁58として、電源喪失で開く電磁弁等を用いなくてもよい。
【0113】
また、本実施形態において、燃料電池システムの電源喪失時に蒸気発生器310への水の供給を確保するために、水供給ライン49中に水を加圧する蓄圧タンクを設けてもよいし、水供給ライン49への水供給源2として、水道を用いてもよい。