(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、電源装置を複数の電池パックから構成する場合、電池パックと安全開閉器との接続状態を電池パック毎に監視し、安全開閉器が開いたときに電池パック内の電池を通電開路から切り離す必要がある。しかし、従来の電池パックの場合、コントローラ、安全開閉器及び高圧装置のコントローラから閉回路が構成されている。このため、従来の構成のままでは複数の電池パックから電源装置を構成する場合には電池パックのコントローラの台数だけ安全開閉器が必要となるが、多数の安全開閉器を電源装置に搭載することは困難である。例えば電池パックのカバー毎に安全開閉器のスイッチを構成する接続端子を設けることが可能であるとしても、高圧装置側のカバー等にコントローラの台数分だけスイッチを構成する接続端子を設けることは困難であるし、電池パックが複数になることによって制御が複雑になり、制御装置の一部が故障する可能性もある。
【0006】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の電池パックからなる電源装置における感電防止構造の複雑化を抑制するとともに、該電源装置に複数の制御装置のうち一部が故障したときに対応するフェールセーフ機能を持たせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決する電源装置は、複数の電池パックを接続した電源装置において、前記各電池パックは、電池、前記電池の通電回路を開閉する開閉器、及び制御装置をそれぞれ備え、前記各制御装置が接続された接続回路には、前記各制御装置と直列に接続された安全開閉器が設けられ、前記各制御装置の一つである主制御装置は、ある一定の信号を下流の前記制御装置に送信する信号送信器、該信号送信器から送信された信号を他の前記制御装置を介して検出する第1信号検出器、及び前記第1信号検出器を介して前記信号を検出する第2信号検出器を備え、前記主制御装置以外の前記制御装置は、前記信号送信器から送信される信号を検出し下流の前記制御装置に出力する第1信号検出器を少なくとも備え、前記各制御装置は、信号検出状態に基づき少なくとも前記安全開閉器の開状態を検出したときに前記電池の通電回路の前記開閉器を開くとともに、前記主制御装置以外の前記制御装置のうち
、直近の下流が主制御装置である制御装置は、前記主制御装置の前記第1信号検出器に接続する第1信号検出器、及び第2信号検出器を備え、前記各制御装置の前記第1信号検出器及び前記第2信号検出器が全て信号を検出しないときに自身の前記第1信号検出器
に前記第2信号検出器を接続する。
【0008】
この態様によれば、電池パックの制御装置は互いに接続され、各制御装置には接続回路を開閉する安全開閉器が直列に接続されている。このため、安全開閉器のカバーが取り外されたり、安全開閉器の接続不良が生じたとき等には、全ての制御装置がその状況を検知して、電池の通電回路の開閉器を開くことができる。従って、安全開閉器を制御装置の台数分設ける必要がない。さらに主制御装置以外は、通常時には最小限の構成(第1信号検出器)しか使用しないため、単純な構成でインターロック機構を実現できる。また、主制御装置以外の制御装置のうち、
直近の下流が主制御装置である制御装置には、各制御装置の第1信号検出器及び第2信号検出器が全て信号を検出しないときに自身の第1信号検出器に接続可能な第2信号検出器が設けられている。即ち各制御装置及び安全開閉器を直列に接続すると、第2信号検出器に故障が生じたときに安全開閉器の監視ができなくなるが、上述した構成では主制御装置の第2信号検出器に故障等が生じた場合であっても安全開閉器の監視を継続することができる。
【0009】
上記電源装置について、前記信号送信器、前記各第1信号検出器及び前記各第2信号検出器は、電流検出部をそれぞれ備え、前記主制御装置は、前記各電流検出部が電流を検出しないとき、
前記直近の下流が主制御装置である制御装置が有する前記第2信号検出器を前記接続回路に接続し、前記第2信号検出器を前記接続回路に接続した後、前記各電流検出部に基づき正常状態であると判断したとき、前記主制御装置の前記第2信号検出器に対し故障状態であると判定することが好ましい。
【0010】
この態様によれば、電流検出部が電流を検出しないとき第2信号検出器を切り替えて安全開閉器の監視を継続する一方で、主制御装置が有する第2信号検出器の故障状態を識別することができる。
【0011】
上記課題を解決する電源装置は、複数の電池パックを接続した電源装置において、前記各電池パックは、電池、前記電池の通電回路を開閉する開閉器、及び制御装置をそれぞれ備え、前記各制御装置
が接続された接続回路には、前記各制御装置と直列に接続された安全開閉器が設けられ、前記各制御装置の一つである主制御装置は、ある一定の信号を下流の前記制御装置に送信する信号送信器、該信号送信器から送信された信号を他の前記制御装置を介して検出する第1信号検出器、及び前記第1信号検出器を介して前記信号を検出する第2信号検出器を備え、前記主制御装置以外の前記制御装置は、前記信号送信器から送信される信号を検出し下流の前記制御装置に出力する第1信号検出器を少なくとも備え、前記各制御装置は、信号検出状態に基づき少なくとも前記安全開閉器の開状態を検出したときに前記電池の通電回路の前記開閉器を開くとともに、前記主制御装置以外の前記制御装置のうち、前記主制御装置に対して直近の下流に配置される制御装置は、前記第1信号検出器の他に信号送信器を備え、前記各制御装置の前記第1信号検出器及び前記第2信号検出器が全て信号を検出しないときに自身の前記信号送信器
を前記第1信号検出器
に接続する。
【0012】
この態様によれば、電池パックの制御装置は互いに接続され、各制御装置には接続回路を開閉する安全開閉器が直列に接続されている。このため、制御装置毎に安全開閉器を設ける必要がなく、安全開閉器のカバーが取り外されたり、安全開閉器の接続不良が生じたとき等には、全ての制御装置がその状況を検知して、電池の通電回路の開閉器を開くことができる。従って、安全開閉器を制御装置の台数分設ける必要がなく、インターロック機構の複雑化を抑制できる。また、主制御制御装置以外の制御装置のうち、主制御装置の直近の下流に配置される制御装置には、各制御装置の前記第1信号検出器及び前記第2信号検出器が全て信号を検出しないときに自身の第1信号検出器に接続する信号送信器が設けられている。即ち各制御装置及び安全開閉器を直列に接続すると、信号送信器に故障が生じたときに安全開閉器の監視ができなくなるが、上述した構成では主制御装置の信号送信器に故障等が生じた場合であっても安全開閉器の監視を継続することができる。
【0013】
上記電源装置について、前記各信号送信器、前記各第1信号検出器及び前記第2信号検出器は、電流検出部をそれぞれ備え、前記主制御装置は、前記各電流検出部が電流を検出しないとき、
前記主制御装置に対して直近の下流
の制御装置が有する前記信号送信器を前記接続回路に接続し、前記信号送信器を前記接続回路に接続した後、前記各電流検出部に基づき正常状態であると判断したとき、前記主制御装置の前記信号送信器に対し故障状態であると判定することが好ましい。
【0014】
この態様によれば、電流検出部が電流を検出しないとき信号送信器を切替えて安全開閉器の監視を継続する一方で、主制御装置が有する信号送信器の故障状態を識別することができる。
【0015】
上記課題を解決する電源装置は、複数の電池パックを接続した電源装置において、前記各電池パックは、電池、前記電池の通電回路を開閉する開閉器、及び制御装置を備え、前記各制御装置が接続された接続回路には、前記各制御装置と直列に接続された安全開閉器が設けられ、前記各制御装置の一つである主制御装置は、ある一定の信号を下流の前記制御装置に送信する信号送信器、該信号送信器から送信された信号を他の前記制御装置を介して検出する第1信号検出器、及び前記第1信号検出器を介して前記信号を検出する第2信号検出器を備え、前記主制御装置以外の前記制御装置は、前記信号送信器から送信される信号を検出し下流の前記制御装置に出力する第1信号検出器を少なくとも備え、前記各制御装置は、信号検出状態に基づき少なくとも前記安全開閉器の開状態を検出したときに前記電池の通電回路の前記開閉器を開くとともに、前記主制御装置以外の前記制御装置のうち
、直近の下流が主制御装置である制御装置は、前記主制御装置の前記第1信号検出器に接続する第1信号検出器、及び第2信号検出器を備え
、前記主制御装置以外の前記制御装置のうち、前記主制御装置に対して直近の下流に配置される制御装置は、前記第1信号検出器の他に信号送信器を備え、前記各制御装置の前記第1信号検出器及び前記第2信号検出器が全て信号を検出しないときに
、前記直近の下流が主制御装置である制御装置の前記第1信号検出器に前記第2信号検出器を接続すること、及び前記主制御装置に対して直近の下流に配置される制御装置の前記信号送信器を前記第1信号検出器に接続することの少なくとも一方を行う。
【0016】
この態様によれば、電池パックの制御装置は互いに接続され、各制御装置には接続回路を開閉する安全開閉器が直列に接続されている。このため、制御装置毎に安全開閉器を設ける必要がなく、安全開閉器のカバーが取り外されたり、安全開閉器の接続不良が生じたとき等には、全ての制御装置がその状況を検知して、電池の通電回路の開閉器を開くことができる。従って、安全開閉器を制御装置の台数分設ける必要がなく、インターロック機構の複雑化を抑制できる。また主制御装置以外の制御装置のうち、
直近の下流が主制御装置である制御装置には、各制御装置の第1信号検出器及び第2信号検出器が全て信号を検出しないときに代替可能な第2信号検出器が設けられている。さらに主制御制御装置以外の制御装置のうち、主制御装置の直近の下流に配置される制御装置には、各制御装置の第1信号検出器及び第2信号検出器が全て信号を検出しないときに自身の第1信号検出器に接続可能な信号送信器が設けられている。即ち各制御装置及び安全開閉器を直列に接続すると、主制御装置の信号送信器及び第2信号検出器に故障が生じたときに安全開閉器の監視ができなくなるが、上述した構成では主制御装置の信号送信器及び第2信号検出器に故
障等が生じた場合であっても安全開閉器の監視を継続することができる。
【0017】
上記電源装置について、前記信号送信器は、ある一定の電流を送信し、前記第2信号検出器は、検出した電流値が特定の値以上の場合、該特定の値まで抑制する定電流回路を有することが好ましい。
【0018】
この態様によれば、第2信号検出器は電流値を特定の値まで抑制する定電流回路を備えるので、該第2信号検出器が故障したときには第1信号検出器等によって検出される電流値が変動する。このため電流値の変動の有無によって第2信号検出器が故障したか否かを判断することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる電源装置によれば、複数の電池パックからなる電源装置において感電防止構造の複雑化を抑制できるとともに、複数の制御装置のうち一部が故障したときに対応するフェールセーフ機能を持たせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の電源装置における一実施形態について説明する。本実施形態では、電源装置を、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載されるものとして説明する。
図1に示すように、電源装置10は、第1〜第4電池パック11a〜11dを備えている。第1〜第4電池パック11a〜11dは、第1〜第4電池スタック12a〜12dをそれぞれ備えている。
【0022】
第1〜第4電池パック11a〜11dのうち、第1電池スタック12a及び第4電池スタック12dが直列接続され、第2電池スタック12b及び第3電池スタック12cが直列接続されている。さらに、第1電池スタック12a及び第4電池スタック12dと、第2電池スタック12b及び第3電池スタック12cとは並列接続されている。第1〜第4電池スタック12a〜12dは、同じ構成であって、単電池又は複数の単電池を接続した電池モジュールを複数連結して構成されている。以下、これらの第1〜第4電池スタック12a〜12dを区別しないで説明する場合には単に電池スタック12として説明する。
【0023】
電池スタック12のプラス端子及びマイナス端子は、開閉器としてのリレー13a,13bを介して、インバータを備えた高圧装置、及びDC/DCコンバータを備えた高圧装置等に接続される。
【0024】
また第1〜第4電池パック11a〜11dは、制御装置としての第1〜第4ECU15a〜15dを備えている。第1〜第4ECU15a〜15dは、第1〜第4電池スタック12a〜12dの充放電、電池状態の管理、短絡等の異常判定を行うが、充放電回路等については図示および説明を省略する。以下、第1〜第4ECU15a〜15dを互いに区別しないで説明する場合には単にECU15として説明する。
【0025】
第1〜第4ECU15a〜15dは、感電防止構造を構成する安全開閉器としてのスイッチSW1,SW2を介して車両側システム14の高圧装置のコントローラ(図示略)と接続され、接続回路としてのループ回路13を構成する。スイッチSW1,SW2は、電池パックのカバーやサービスプラグ、上記高圧装置側のカバーの取り付け及び取り外しに連動するスイッチである。このようなスイッチは2つでなくても1つでもよく、3つ以上でもよい。スイッチSW1は、例えば第2電池パック11bのカバーを取り外した状態でオフとなるスイッチである。該カバーが取り外されると、第1〜第4ECU15a〜15dを接続するループ回路13が遮断される。同様にスイッチSW2も、上記高圧装置側のカバーが取り外されるとオフされるスイッチである。尚、本実施形態では、第1〜第4ECU15a〜15dは、製造容易性の観点から同じ構成のものを使用している。但し、ECU15毎に接続状態を変更することで自身の一部の回路等を機能させない構成を有する。
図1ではその機能させない構成を便宜上省略して図示している。
【0026】
主制御装置としての第1ECU15aは、第1電池スタック12aの各端子に接続されたリレー13a,13bを開閉制御する。第1ECU15aは、信号送信器20a、第1信号検出器21a、第2信号検出器22a及び制御部23aを備えている。信号送信器20aは、定電流源を備えた定電流回路であって、第2ECU15bに接続されている。
【0027】
また、第1信号検出器21a及び第2信号検出器22aの間にはリレー25aが設けられ、該リレー25aは制御部23aによって開閉制御される。このリレー25aは、正常時はオン状態とされて第1信号検出器21a及び第2信号検出器22aが接続される。
【0028】
第2信号検出器22aは定電流源を備えた定電流回路であり、特定の値以上の電流が入力された場合、その特定の値まで抑制する。第2信号検出器22aの定電流源は、信号送信器20aの定電流源に設定された電流値よりも小さい定電流を供給する。
【0029】
信号送信器20a、第1信号検出器21a及び第2信号検出器22aは電流検出部を備え、制御部23aは、信号送信器20a、第1信号検出器21a及び第2信号検出器22aに基づき、異常の有無、安全開閉器の接続状態、短絡及び回路故障等の識別、異常発生箇所等を判定する。これらの信号送信器20a、第1信号検出器21a及び第2信号検出器22aは、ループ回路13の一部である第1ループ部26aを構成する。
【0030】
第2ECU15bは、第2電池スタック12bの各端子に接続されたリレー13a,13bを制御する。また第2ECU15bは、信号送信器20b、第1信号検出器21b、及び制御部23bを備えている。信号送信器20bは第1ECU15aの信号送信器20aと同じ構成である。また信号送信器20b及び第1信号検出器21bの間にはリレー24bが設けられている。リレー24bは制御部23bによって開閉制御され、正常時はオフ状態とされ信号送信器20b及び第1信号検出器21bを非接続状態とする。制御部23bは、正常時において第1信号検出器21bに供給される電流値を検出する。これらの信号送信器20b及び第1信号検出器21bは、ループ回路13の一部である第2ループ部26bを構成する。
【0031】
第3ECU15cは、第3電池スタック12cの各端子に接続されたリレー13a,13bを制御する。第3ECU15cは、第1信号検出器21c及び制御部23cを備えている。第1信号検出器21cは、スイッチSW1,SW2及び車両側システム14の高圧装置のコントローラを介して、第2ECU15bの第1信号検出器21bに接続されている。制御部23cは、第1信号検出器21bに供給される電流値を検出する。第1信号検出器21cは、ループ回路13の一部である第3ループ部26cを構成する。
【0032】
第4ECU15dは、第4電池スタック12dの各端子に接続されたリレー13a,13bを制御する。第4ECU15dは、第1信号検出器21d、第2信号検出器22d及び制御部23dを備えている。第1信号検出器21d及び第2信号検出器22dの間にはリレー25dが設けられている。該リレー25dは制御部23dによって制御され、正常時にはオフ状態にされている。また第1信号検出器21dは、第3ECU15cの第1信号検出器21cに接続されている。さらに、第1信号検出器21dは、第1ECU15aの第1信号検出器21aに接続されている。第2信号検出器22dは、第1ECU15aに設けられた第2信号検出器22aと同じ構成である。制御部23dは、第1信号検出器21d及び第2信号検出器22aを流れる電流値を検出する。第1信号検出器21d、第2信号検出器22dは、ループ回路13の一部である第4ループ部26dを構成する。
【0033】
即ち正常時においては、第1ECU15aの信号送信器20a、第2ECU15bの第1信号検出器21b、第3ECU15cの第1信号検出器21c及び第4ECU15dの第1信号検出器21d及び第1ECU15aの第1信号検出器21a、第1ECU15aの第2信号検出器22aによってループ回路13が構成される。
【0034】
また、各ECU15a〜15dの制御部23a〜23dは図示しない通信線で互いに接続されており、このうち第1ECU15aがメインのECU(主制御装置)となって第2〜第4ECU15b〜15dに指令を送信する。尚、各ECU15a〜15dの制御部23a〜23dを区別しないで説明する場合には、単に制御部23として説明する。
【0035】
次に、第1〜第4ループ部26a〜26dの構成について説明する。
図2に示すように、ループ部26a〜26dはそれぞれ同じ回路構成を有し、リレー等によって第3〜第4ECU15c〜15dの信号送信器や、第2ECU15b〜第3ECU15cの第2信号検出器等を切り離すことで上述したループ回路13を構成する。第1〜第4ループ部26a〜26dを同じ構成にすることによって、電源装置10にかかる製造コストが低減される。
【0036】
各ループ部26a〜26dは、信号送信器20a〜20dを備え、このうち信号送信器20a,20bがループ回路13に接続可能とされる。正常時には、第1ECU15aの信号送信器20aがループ回路13に接続され、第2ECU15bの信号送信器20bはリレー24bがオフされることにより非接続状態とされている。第1ECU15aの信号送信器20aが故障しループ回路13が閉回路を保てなくなった場合には、第2ECU15bのリレー24bをオン状態とすることにより、第1ECU15aの信号送信器20aに替わって第2ECU15bの信号送信器20bが信号として定電流を供給する。以下、信号送信器20a〜20dを区別しないで説明する場合には、単に信号送信器20という。
【0037】
信号送信器20は、電源30、第1定電流源31、電流検出部を構成する電流検出アンプ32及び電流検出用抵抗33を含む定電流回路を備える。信号送信器20は、電流検出用抵抗33の電圧降下に基づき負荷電流を電流検出アンプ32で検出する。電流検出アンプ32の出力端子は、制御部23に接続されている。第1定電流源31は、電源30から供給される直流電流を用いて「電流値A」の定電流を供給する。
【0038】
また第1信号検出器21a〜21dは直列に接続されている。第1信号検出器21a〜21dは同じ構成のため、区別しないで説明する場合には単に第1信号検出器21といい、図中では一部符号の図示を省略する。
【0039】
第1信号検出器21は、電流検出部を構成する電流検出アンプ35及び電流検出用抵抗36を備え、電流検出アンプ35の出力端子は制御部23に接続されている。第2ECU15bの第1信号検出器21bのプラス側の入力端子は、第1ECU15aの信号送信器20aに接続されている。第1信号検出器21bのマイナス側の入力端子は、第3ECU15cの電流検出アンプ35のプラス側の入力端子に接続されている。さらに第3ECU15cの電流検出アンプ35のマイナス側の入力端子は、第4ECU15dの電流検出アンプ35のプラス側の入力端子に接続されている。また第4ECU15dの電流検出アンプ35のマイナス側の入力端子は、第1ECU15aの電流検出アンプ35のプラス側の入力端子に接続されている。
【0040】
また第2信号検出器22a〜22dのうち、第1ECU15aの第2信号検出器22a及び第4ECU15dの第2信号検出器22dがループ回路13に接続可能である。正常時にはリレー25aをオン状態とすることにより第1ECU15aの第2信号検出器22aがループ回路13に接続され、第4ECU15dの第2信号検出器22dはリレー25dがオフ状態にされることにより非接続状態となる。以下、第2信号検出器22a〜22dを区別しない場合には単に第2信号検出器22として説明する。
【0041】
第2信号検出器22は、第2定電流源40、電流検出部を構成する電流検出アンプ41及び電流検出用抵抗42を含む定電流回路を備えている。第2定電流源40は、ループ回路13を通じて電源30から供給される直流電流を用いて「電流値B」の定電流を供給する。「電流値B」は、信号送信器20の第1定電流源31の設定値である「電流値A」よりも小さい。また、第2信号検出器22aの電流検出アンプ41のプラス側の入力端子は、第2定電流源40を介して、第1信号検出器21aの電流検出アンプ35のマイナス側の入力端子に接続されている。また、電流検出アンプ41のマイナス側の入力端子は、グランドに接続されている。
【0042】
次に、本実施形態の電源装置の動作について説明する。安全開閉器が閉状態且つ回路故障やショートが発生していない正常時の動作について説明する。
図1に示すように、正常時には信号送信器20a、第1信号検出器21b、第1信号検出器21c、第1信号検出器21d、第1信号検出器21a及び第2信号検出器22aが接続されてループ回路13を構成する。このとき、制御部23a〜23dは、信号送信器20a、第1信号検出器21a〜21d、第2信号検出器22aの電流検出アンプ32,35,41の出力に基づき電流値を検出する。ここで、上述したように「電流値B」は「電流値A」より小さく設定されているため、ループ回路13には「電流値B」の電流が流れることになる。それにより、
図3の表に示すように、信号送信器20a、第1信号検出器21a〜21d、第2信号検出器22aでは「電流値B」が検出される。
【0043】
一方、信号送信器20a、第1信号検出器21a〜21d、第2信号検出器22aで検出された電流値が全て「0A」のとき(第1の検出パターン)、電池パック11b等のカバーの取り外しによる安全開閉器の非接続状態であるのか、回路故障であるのか等を識別する必要がある。ここでいう回路故障は、信号送信器20aや信号検出器21a〜21d,22aの故障等である。
【0044】
第1の検出パターンが発生したときに働くフェールセーフ機能及び異常判定の手順について説明する。
図4に示すように、第1の検出パターンを検知すると、第1ECU15aは、第2ECU15bの信号送信器20bをループ回路13に接続する(ステップS1)。このとき第1ECU15aは、第2ECU15bに指令を送信し、第2ECU15bはこの指令に基づいて自身のリレー24bをオン状態とする。その結果、第2ECU15bの信号送信器20bがループ回路13に接続される。従って、第1ECU15aの信号送信器20aが故障しても、該信号送信器20aに替わって第2ECU15bの信号送信器20bが定電流を供給することができる。
【0045】
次に第1ECU15aは、信号送信器20b、第1信号検出器21a〜21d及び第2信号検出器22aの電流検出値が第2の検出パターンに該当するか否かを判断する(ステップS2)。
図3に示すように、第2の検出パターンは、第1ECU15aの第1信号検出器21a及び第2信号検出器22a、第2ECU15bの第1信号検出器21b、第3ECU15cの第1信号検出器21c、及び第4ECU15dの第2信号検出器22dで「電流値B」が検出され、正常な状態である。
【0046】
第1ECU15aが、電流検出結果が第2の検出パターンに該当すると判断すると(ステップS2においてYES)、第1ECU15aの信号送信器20aを第2ECU15bの信号送信器20bに切替えることにより正常となったことから、信号送信器20aの定電流回路が故障していると判定する(ステップS3)。尚、判定結果は、例えばドライバー等への報知を行う図示しないECUに出力される。
【0047】
電流検出結果が、第2の検出パターンに該当しないと判断された場合(ステップS2においてNO)、第1ECU15aは、第2ECU15bの信号送信器20bを接続した状態における電流検出結果が第1の検出パターンに該当するか否かを再度判断する(ステップS4)。第2ECU15bの信号送信器20bを接続した状態における電流検出結果が第1の検出パターンに該当する場合、第1の検出パターンの発生要因が第1ECU15aの信号送信器20aによるものではないと推定される。このため、電流検出結果が第1の検出パターンであると判断すると(ステップS4においてYES)、第1ECU15aは、第2ECU15bの信号送信器20bを非接続とする(ステップS5)。即ち第1ECU15aは、第2ECU15bに指令を送信し、第2ECU15bは、該指令を受信するとリレー24bをオフ状態として、信号送信器20bを非接続状態とする。
【0048】
次いで第1ECU15aは、第1ECU15aの第2信号検出器22aから第4ECU15dの第2信号検出器22dをループ回路13に接続する(ステップS6)。このとき第1ECU15aは、第4ECU15dに指令を送信して、第1信号検出器21d及び第2信号検出器22dを接続するリレー25dをオン状態とする。その結果、ループ回路13は、第1ECU15aの信号送信器20a、第2ECU15bの第1信号検出器21b、第3ECU15cの第1信号検出器21c、第4ECU15dの第1信号検出器21d及び第2信号検出器22dが接続されて構成される。
【0049】
第2信号検出器の切替を行うと、第1ECU15aは、第4ECU15dの第2信号検出器22dを接続した状態における電流検出結果が第3の検出パターンに該当するか否かを判断する(ステップS7)。
図3に示すように、第3の検出パターンは、第1ECU15aの信号送信器20a、第2〜第4ECU15b〜15dの第1信号検出器21b〜21d、及び第4ECU15dの第2信号検出器22dにおいて「電流値B」の定電流が検出される正常な状態である。
【0050】
第2信号検出器の切替が行われたループ回路13の電流検出結果が第3の検出パターンに該当しないと判断すると(ステップS7においてNO)、第1ECU15aは、その電流検出結果が第1の検出パターンのままであるか否かを判断する(ステップS8)。即ち、第1ECU15aの第2信号検出器22dから第4ECU15dの第2信号検出器22dへ切替えたにも関わらず、電流検出値が「0A」のままであるか否かを判断する。
【0051】
電流検出結果が第1の検出パターンのままであると判断すると(ステップS8においてYES)、第2信号検出器22dを非接続とする(ステップS9)。即ち第1ECU15aは第4ECU15dに指令を送信し、第4ECU15dはその指令に基づき自身のリレー25dをオフ状態として第2信号検出器22dをループ回路13から切り離す。そして、第1ECU15aは、安全開閉器を構成するスイッチSW1,SW2が正常に接続されていない状態であると判定する(ステップS10)。このとき、各ECU15a〜15dは、電池パック11a〜11dの各端子に接続されたリレー13a,13bをオフ状態とし、通電回路から電池を切り離す。
【0052】
一方、ステップS8において電流検出結果が第1の検出パターンに該当しないと判断すると(ステップS8においてNO)、第1ECU15aは、第2信号検出器の切替を行って第4ECU15dの第2信号検出器22dを切り離す(ステップS11)。そして第1ECU15aは、定電流回路を備える信号送信器20a,20b及び第2信号検出器22a,22d以外の回路が故障したと判定する(ステップS12)。
【0053】
またステップS4において第2ECU15bの信号送信器20bを接続した状態における電流検出結果が第1の検出パターンに該当しないと判断すると(ステップS4においてNO)、第1ECU15aは第2ECU15bに指令を送信し、第2ECU15bは該指令に基づき自身の信号送信器20bを非接続状態とする(ステップS13)。そして第1ECU15aは、ステップS12と同様に定電流回路を備える信号送信器20a,20b以外の回路が故障したと判定する。
【0054】
また、ステップS7において、第1ECU15aが、電流検出結果が第3の検出パターンに該当すると判断すると(ステップS7においてYES)、自身のリレー25aをオフ状態として第2信号検出器22aを切り離し(ステップS14)、自身の第2信号検出器22aが故障していると判定する(ステップS15)。
【0055】
また
図4では、第1の検出パターンが発生したときの手順について説明したが、第1の検出パターン以外のパターンが検出された場合、そのパターンによって異常の種類を特定することができる。具体的には
図5に示すように、第1ECU15aの信号送信器20a、第1信号検出器21a及び第2信号検出器22aにおける電流検出値のうち少なくとも一つが「0A」であって、全ての電流検出値が「0A」ではない場合、第1ECU15aのみの電流検出値に基づき、GNDショート及び電源ショートの識別が可能である。例えば信号送信器20aの電流検出値が「0A」であって、第1信号検出器21a及び第2信号検出器22aの少なくとも一方の電流検出値が「0A」ではない場合、ループ回路13のいずれかの箇所で電源ショートが発生していると判定する。また、信号送信器20aの電流検出値が「電流値A」の場合、GNDショートが発生していると判定する。
【0056】
また、全てのECU15a〜15dの電流検出結果を用いることにより異常発生箇所を特定することができる。
図1に示すように、a点は第1ECU15aの信号送信器20aと第2ECU15bの第1信号検出器21bとの間のいずれかの箇所であり、b点は第2ECU15bの第1信号検出器21bと第3ECU15cの第1信号検出器21cの間のいずれかの箇所である。c点は第3ECU15cの第1信号検出器21cと第4ECU15dの第1信号検出器21dの間であり、d点は第4ECU15dの第1信号検出器21dと第1ECU15aの第2信号検出器22aとの間である。またe点は、第1ECU15aの第1信号検出器21aの出力端子である。
【0057】
図5の表に示すように、各ECU15a〜15dの電流検出結果によって、電源ショート又はGNDショートが発生した箇所を推定することができる。例えば信号送信器20aの電流検出値が「0A」であって、他の第1信号検出器21a〜21d及び第2信号検出器22aの電流検出値が「電流値B」である場合、a点で電源ショートが発生していると判定する。また、信号送信器20a及び第2ECU15bの第1信号検出器21bの電流検出値が「0A」であって、他の第1信号検出器21a,21c〜21d及び第2信号検出器22aの電流検出値が「電流値B」である場合、b点で電源ショートが発生していると判定する。
【0058】
さらに例えば信号送信器20aの電流検出値が「電流値A」であって、他の第1信号検出器21a〜21d及び第2信号検出器22aの電流検出値が「0A」である場合、a点でGNDショートが発生していると判定する。また、信号送信器20a及び第2ECU15bの第1信号検出器21bの電流検出値が「電流値A」であって、他の第1信号検出器21a,21c〜21d及び第2信号検出器22aの電流検出値が「0A」である場合、b点でGNDショートが発生していると判定する。このため、早期に異常判定を行うことができる。
【0059】
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)上記実施形態によれば、電池パック11a〜11dが有するECU15a〜15dが直列に接続されてループ回路13が構成され、該ループ回路13にはECU15a〜15dと直列に接続された安全開閉器を構成するスイッチSW1,SW2が設けられている。このため、安全開閉器のカバーが取り外されたり、安全開閉器の接続不良が生じたとき等には、全てのECU15a〜15dがその状況を検知して、電池スタック12a〜12dの通電回路の開閉器であるリレー13a,13bを開くことができる。従って、安全開閉器をECU15a〜15dの台数分設ける必要がない。さらに第1ECU15a以外は、通常時には最小限の構成(第1信号検出器21)しか使用しないため、単純な構成でインターロック機構を実現できる。また、第4ECU15dは、自身の第1信号検出器21dが第1ECU15aの第1信号検出器21aに接続され、各ECU15の第1信号検出器21及び第2信号検出器22が全て信号を検出しないときに自身の第1信号検出器21dに接続可能な第2信号検出器22dを備える。即ち各ECU15a〜15d及び安全開閉器を直列に接続すると、第2信号検出器22aに故障が生じたときに安全開閉器の監視ができなくなるが、上述した構成では第1ECU15aの第2信号検出器22aに故障等が生じた場合であっても安全開閉器の監視を継続することができる。
【0060】
(2)上記実施形態では、第1ECU15aの直近の下流に配置される第2ECU15bには、各ECU15の第1信号検出器21及び第2信号検出器22が全て信号を検出しないときに、自身の第1信号検出器21bに信号を送信する信号送信器20bが設けられている。即ち各ECU15a〜15d及び安全開閉器を直列に接続すると、信号送信器20aに故障が生じたときに安全開閉器の監視ができなくなるが、上述した構成では第1ECU15aの信号送信器20aに故障等が生じた場合であっても安全開閉器の監視を継続することができる。
【0061】
(3)上記実施形態では、信号送信器20a,20b、第1信号検出器21a〜21d及び第2信号検出器22a,22dは、電流検出アンプ32,35,41及び電流検出用抵抗33,36,42からなる電流検出部をそれぞれ備える。また、第1ECU15aは、第4ECU15dが有する第2信号検出器22dをループ回路13に接続した場合であって、各電流検出部の検出値に基づき正常状態であると判断したとき、第1ECU15aの第2信号検出器22aが故障状態であると判定する。即ち、第2信号検出器22a,22dを切替えて安全開閉器の監視を継続する一方で、第1ECU15aが有する第2信号検出器22aの故障状態を識別することができる。
【0062】
(4)上記実施形態では、第2ECU15bが有する信号送信器20bをループ回路13に接続した場合であって、各電流検出部の検出値に基づき正常状態であると判断したとき、第1ECU15aの信号送信器20aが故障状態であると判定する。即ち、信号送信器20a,20bを切替えて安全開閉器の監視を継続する一方で、第1ECU15aが有する信号送信器20aの故障状態を識別することができる。
【0063】
(5)上記実施形態では、信号送信器20は「電流値A」の電流を供給し、第2信号検出器22は、検出した電流値が「電流値B」以上の場合「電流値B」まで抑制する定電流回路を有する。このため、第2信号検出器22が故障したときには第1信号検出器21等によって検出される電流値が変動する。このため電流値の変動の有無によって第2信号検出器22が故障したか否かを判断することができる。
【0064】
尚、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・信号送信器20a,20bから送信する信号は特に限定されず、信号送信器20a,20bは通常の電源や定電圧源、パルス発生源であってもよい。
【0065】
・第1信号検出器21a〜21d及び第2信号検出器22a,22dが備える電流検出部は、電流検出用アンプ及び電流検出用抵抗を備えた構成に限らず、公知の他の構成であってもよい。例えばカレントトランスやホール素子型の磁気センサー等を備えた構成であってもよい。
【0066】
・上記実施形態では、第2ECU15bが代替用の信号送信器20bを備え、第4ECU15dが代替用の第2信号検出器22dを備えたが、いずれか一方でもよい。例えば、電源装置10は、第4ECU15dが代替用の第2信号検出器22dのみを備え、第2ECU15bの信号送信器20bを省略してもよい。
【0067】
・上記実施形態では、同じ構成のECU15の接続状態を変更して電源装置10を構成したが、異なる構成のECU15を接続して電源装置10を構成してもよい。例えば第2ECU15b及び第3ECU15cは、第2信号検出器22を省略した構成でもよい。また、第3ECU15c及び第4ECU15dは、信号送信器20を省略した構成でもよい。
【0068】
・上記実施形態では、第2信号検出器22に第2定電流源40を設け、この第2定電流源40が供給する定電流を、信号送信器20が供給する定電流の値よりも小さくしたが、第2信号検出器22の第2定電流源40を省略してもよい。この場合でも少なくとも信号送信器20、第1信号検出器21及び第2信号検出器22の故障状態を検出することができる。
【0069】
・上記実施形態では、第1定電流源31から供給される電流の値である「電流値A」を、第2定電流源40から供給される電流の値である「電流値B」より大きくしたが、「電流値B」を「電流値A」よりも大きくしてもよいし、「電流値A」及び「電流値B」を同じにしてもよい。その場合でも上記実施形態と同様に、第1信号検出器21及び第2信号検出器22の故障状態や、電源ショート・GNDショートを検出できる。尚、「電流値B」が「電流値A」よりも大きい場合、
図3の表では「電流値A」と「電流値B」とが入れ替わる。
【0070】
・上記実施形態では、電源装置の異常判定において信号送信器20a,20bの代替、第2信号検出器22a,22dの代替の両方を順番に行ったが、どちらか一方のみを行うようにしてもよい。また異常判定において、信号送信器20a,20bの代替、第2信号検出器22a,22dの代替の両方を同時に行うステップを追加してもよい。
【0071】
・上記実施形態では、電源装置10は、4つの電池パック11a〜11dを備えたが、複数であればよく電池パック11a〜11dの数は限定されない。また、各電池スタック12は、直列接続した2つの電池スタック12を並列に接続したが、この接続方法に限られない。例えば複数の電池スタック12を単に直列接続又は並列接続してもよい。
【0072】
・電源装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車以外の船舶、飛行機等の移動体、電気機器等に対して電力を供給する電源装置に適用してもよい。