【実施例1】
【0020】
図1〜
図6に示す本実施例1の教示ペンダント1は、樹脂成形品を金型から取り出す成形品取出機80の操作部に操作内容を教示するための装置である。この教示ペンダント1は、タッチパネル10と、各種パネル内スイッチと、各種パネル外スイッチとを含み構成されている。
【0021】
[タッチパネル10]
タッチパネル10は、教示ペンダント1の表面に設けられた静電容量式のタッチパネル(液晶パネル)である。
【0022】
[パネル内スイッチ]
各種パネル内スイッチは、タッチパネル10内に表示されるスイッチである。パネル内スイッチには、例えば、表示切替スイッチ11や、自動運転スイッチや、手動操作スイッチ21〜26等が含まれる。表示切替スイッチ11は、表示画面を切り替えるためのスイッチである。自動運転スイッチは、自動運転の内容設定や開始をするためのスイッチであり、表示切替スイッチ11で自動運転画面に切り替えると表示される。手動操作スイッチ21〜26は、成形品取出機80を手動操作するためのスイッチである。
【0023】
手動操作スイッチ21〜26は、メニュー画面等の通常の画面には表示されず、通常の画面の右下隅に常時表示される手動操作タブ表示スイッチ12(スライドインアイコン)をタッチすると、
図3(a)に示すように、タッチパネル10内の全部を除く一部の区画に、手動操作タブ20が表示(スライドイン)されるとともにその内側に各手動操作スイッチ21〜26が表示される。また、手動操作タブ20が表示された状態で、再度、手動操作タブ表示スイッチ12をタッチすると、
図3(b)に示すように、手動操作タブ20の表示が消える(スライドアウトされる)。手動操作タブ20はスクロールすることも可能である。
【0024】
手動操作タブ20に表示される各種手動操作スイッチ21〜26には、次に示す、走行軸移動スイッチ21と、アーム移動スイッチ22と、チャックプレート姿勢変更スイッチ23と、チャックプレート回転スイッチ24と、チャック開閉スイッチ25と、ステップ操作スイッチ26とが含まれる。
【0025】
走行軸移動スイッチ21は、走行軸81を取出側X−及び落下側X+に移動させるためのスイッチである。アーム移動スイッチ22は、アーム82を、後方Y−及び前方Y+並びに上方Z−及び下方Z+に移動させるためのスイッチである。チャックプレート姿勢変更スイッチ23は、チャックプレート83を復帰側P−及び作動側P+に姿勢変更する(鉛直軸回りに回転させる)ためのスイッチである。チャックプレート回転スイッチ24は、チャックプレート83を復帰側Q−及び作動側Q+に回転(水平軸回りに回転)させるためのスイッチであり、オプションで使用する。チャック開閉スイッチ25は、チャック85を開く側及び閉じる側に動作させるためのスイッチである。ステップ操作スイッチ26は、自動運転を戻る側及び進む側にステップ動作させるためのスイッチである。
【0026】
各手動操作スイッチ21〜26は、タッチしてからそのタッチ位置をタッチパネル10内で所定の方向(例えば左方)に所定量(例えば10mm)以上スライドさせると動作の開始が選択される。すなわち、システムはタッチ位置のスライドとその方向を判断する。そして、動作の開始が選択された後は、タッチ位置をスライドさせるのを止めても止めなくても、すなわち、タッチ位置のスライドの有無に関係なくタッチパネル10をタッチし続けている間は前記動作が続行され、タッチパネル10をタッチするのを止めると前記動作の停止が選択される。
【0027】
各手動操作スイッチ21〜26の周辺には、タッチ位置をどちらの方向にスライドさせればどのような動作が選択されるかを示す操作案内31〜36が表示される。具体的には、走行軸移動スイッチ21の左方及び右方には、その操作案内31,31が表示される。また、アーム移動スイッチ22の左方及び右方並びに上方及び下方には、その操作案内32,32,32,32が表示される。また、チャックプレート姿勢変更スイッチ23の左方及び右方には、その操作案内33,33が表示される。また、チャックプレート回転スイッチ24の左方及び右方には、その操作案内34,34が表示される。また、チャック開閉スイッチ25の左方及び右方には、その操作案内35,35が表示される。また、ステップ操作スイッチ26の左方及び右方には、その操作案内36,36が表示される。
【0028】
[パネル外スイッチ]
各種パネル外スイッチは、タッチパネル10の外に設けられた実物のスイッチである。パネル外スイッチには、非常停止スイッチ41や、動作可能スイッチ42が含まれる。非常停止スイッチ41は、押すと電源が切れ、全ての動作が即時に停止する。動作可能スイッチ42は、成形品取出機80を手動操作するときに押すスイッチであり、この動作可能スイッチ42を押した状態でなければ、各手動操作スイッチ21〜26は反応しない。
【0029】
次に本実施例1の教示ペンダント1を用いて、成形品取出機80を手動操作する際の手順を以下に説明する。
【0030】
[1]走行軸81を移動させる場合
走行軸81を移動させる場合は、次のように手動操作する。すなわち、走行軸81を取出側X−に移動させる場合は、
図4(a)に示すように、走行軸移動スイッチ21を指fでタッチしてから、
図4(b)に示すように、タッチ位置をタッチパネル10内で左方に所定量(例えば10mm)以上スライドさせる。すると、走行軸81の取出側X−への移動の開始が選択される。そして、タッチパネル10をタッチし続けている間は、走行軸81の取出側X−への移動が続行される。そして、タッチパネル10をタッチするのを止めると、走行軸81の取出側X−への移動の停止が選択される。
【0031】
また、走行軸81を落下側X+に移動させる場合は、
図4(a)に示すように、走行軸移動スイッチ21を指fでタッチしてから、
図4(c)に示すように、タッチ位置をタッチパネル10内で右方に所定量(例えば10mm)以上スライドさせる。すると、走行軸81の落下側X+への移動の開始が選択される。そして、タッチパネル10をタッチし続けている間は、走行軸81の落下側X+への移動が続行される。そして、タッチパネル10をタッチするのを止めると、走行軸81の落下側X+への移動の停止が選択される。
【0032】
なお、走行軸移動スイッチ21を指fでタッチしてからそのタッチ位置を左方にスライドさせることで走行軸81の取出側X−への移動の開始を選択した後、タッチパネル10をタッチし続けたままそのタッチ位置を逆に右方にスライドさせても、走行軸81の落下側X+への移動の開始が選択されることはない。すなわち、その場合には、タッチパネル10をタッチするのを一旦止めてから、再び走行軸移動スイッチ21をタッチし直してそのタッチ位置を右方にスライドさなければならない。誤操作の危険性を減らして安全性を高めるためである。
【0033】
[2]アーム82を移動させる場合
アーム82を後方又は前方に移動させる場合は、上記の[1]の場合と、「
図4」を「
図5」と読み替え、「走行軸移動スイッチ21」を「アーム移動スイッチ22」と読み替え、「走行軸81」を「アーム82」と読み替え、「取出側X−」を「後方Y−」と読み替え、「落下側X+」を「前方Y+」と読み替えて同様である。また、アーム82を上方又は下方に移動させる場合は、上記の[1]の場合と、「
図4」を「
図6」と読み替え、「走行軸移動スイッチ21」を「アーム移動スイッチ22」と読み替え、「走行軸81」を「アーム82」と読み替え、「取出側X−」を「上方Z−」と読み替え、「落下側X+」を「下方Z+」と読み替え、「左方」を「上方」と読み替え、「右方」を「下方」と読み替えて同様である。
【0034】
[3]チャックプレート83を姿勢変更させる場合
チャックプレート83を姿勢変更させる(鉛直軸回りに回転させる)場合は、上記の[1]の場合と、図に関する説明を省き、「走行軸移動スイッチ21」を「チャックプレート姿勢変更スイッチ23」と読み替え、「走行軸81」を「チャックプレート83」と読み替え、「取出側X−」を「復帰側P−」と読み替え、「落下側X+」を「作動側P+」と読み替え、「移動」を「姿勢変更」と読み替えて同様である。
【0035】
[4]チャックプレート83を回転させる場合
チャックプレート83を回転させる(水平軸回りに回転させる)場合は、上記の[1]の場合と、図に関する説明を省き、「走行軸移動スイッチ21」を「チャックプレート回転スイッチ24」と読み替え、「走行軸81」を「チャックプレート83」と読み替え、「取出側X−」を「復帰側Q−」と読み替え、「落下側X+」を「作動側Q+」と読み替え、「移動」を「回転」と読み替えて同様である。
【0036】
[5]チャック85を開閉させる場合
チャック85を開閉させる場合は、上記の[1]の場合と、図に関する説明を省き、「走行軸移動スイッチ21」を「チャック開閉スイッチ25」と読み替え、「取出側X−」を「開く側」と読み替え、「落下側X+」を「閉じる側」と読み替え、「移動」を「動作」と読み替えて同様である。
【0037】
[6]自動運転をステップ動作させる場合
自動運転をステップ動作させる場合は、上記の[1]の場合と、図に関する説明を省き、「走行軸移動スイッチ21」を「ステップ操作スイッチ26」と読み替え、「走行軸81」を「自動運転」と読み替え、「取出側X−」を「戻る側」と読み替え、「落下側X+」を「進む側」と読み替え、「移動」を「ステップ動作」と読み替えて同様である。
【0038】
実施例1によれば、次の[A]〜[E]の効果を得ることができる。
【0039】
[A]手動操作スイッチ21〜26を、実物のパネル外スイッチではなく、タッチパネル10内に表示されるパネル内スイッチにすることで、教示ペンダント1のサイズ及び重量を低減するとともに、製品コストを低減することができる。
【0040】
[B]手動操作スイッチ21〜26は、タッチするだけでは動作の開始が選択されず、タッチしてから、タッチ位置を所定方向に所定量以上スライドさせる事ではじめて動作の開始が選択されるので、要求された動作開始の意思を確実に確認した上でその動作の開始が選択される。そのため、誤操作を防止することができる。
【0041】
[C]手動操作スイッチ21〜26やその操作案内31〜36が、タッチパネル10内にあることで、多言語への対応が容易になる。なぜなら、手動操作スイッチ21〜26やその操作案内31〜36がタッチパネル10外の実物のスイッチや操作案内シートである場合、それらの表記は、1言語のみでの表記となるか、タッチパネル10に切替表示可能な言語の種類に合わせた何種類もの言語での併記となる。その一方、本実施例1のように、手動操作スイッチ21〜26やその操作案内31〜36がタッチパネル10内にある場合、それらの表記は、タッチパネル10に切替表示可能な言語に合わせて切替表記すれば済むからである。
【0042】
[D]タッチパネル10として静電容量式タッチパネルを使う事により、抵抗膜式のタッチパネルと比べて、指をスライドさせて画面を切り替えるフリック操作や、2点タッチによる画像の操作などがし易くなる。そのため、様々な携帯端末などで実現されている操作と共通の操作が、教示ペンダント1で可能となる。
【0043】
[E]手動操作タブ20は、通常の画面では表示されないので、手動操作タブ20が通常の画面でタッチパネル10内の相当の範囲を占めて表示可能な情報の量が減ってしてしまう心配がない。また、手動操作タブ20は、通常の画面の右下隅に表示される手動操作タブ表示スイッチ12をタッチすると、タッチパネル10内の一部の区画に表示(スライドイン)され、再度、手動操作タブ表示スイッチ12をタッチすると消える(スライドアウトされる)ので、手動操作をするにあたって画面切替の必要もない。また、手動操作タブ20はスクロールすることも可能なので、手動操作スイッチがパネル外スイッチの場合よりも手動操作スイッチ21〜26を有効に使用できる。