特許第5951642号(P5951642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許59516421−H−ピロリジン−2,4−ジオン誘導体を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951642
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】1−H−ピロリジン−2,4−ジオン誘導体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/38 20060101AFI20160630BHJP
   C07D 209/54 20060101ALI20160630BHJP
   C07D 491/113 20060101ALI20160630BHJP
   C07D 309/14 20060101ALI20160630BHJP
   C07D 317/72 20060101ALI20160630BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20160630BHJP
   C07C 233/52 20060101ALI20160630BHJP
   C07C 255/46 20060101ALI20160630BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160630BHJP
【FI】
   C07D207/38
   C07D209/54CSP
   C07D491/113
   C07D309/14
   C07D317/72
   C07D491/107
   C07C233/52
   C07C255/46
   !C07B61/00 300
【請求項の数】5
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2013-549824(P2013-549824)
(86)(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公表番号】特表2014-504595(P2014-504595A)
(43)【公表日】2014年2月24日
(86)【国際出願番号】EP2012050840
(87)【国際公開番号】WO2012101047
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2015年1月16日
(31)【優先権主張番号】11152069.8
(32)【優先日】2011年1月25日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/435,910
(32)【優先日】2011年1月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512137348
【氏名又は名称】バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】フイツシヤー,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ヒムラー,トーマス
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第19515690(DE,A1)
【文献】 特表平09−501170(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/058333(WO,A1)
【文献】 特表2009−544733(JP,A)
【文献】 特表2007−532497(JP,A)
【文献】 特開昭63−035554(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/006591(WO,A1)
【文献】 WAYLAND E NOLAND,STRUCTURE OF THE 2:2 CONDENSATION PRODUCT OF NITROMETHANE AND CYCLOHEXANONE,JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,1963年,V28 N11,P3150-3165
【文献】 HATSUHIKO MIZUNO,STEREOCHEMICAL STUDIES. VII. THERMAL REARRANGEMENT OF ALPHA-HYDROXYIMINES 以下備考,CHEMICAL & PHARMACEUTICAL BULLETIN,1971年,V19 N2,P227-246,TO ALPHA-AMINOKETONES USING OPTICALLY ACTIVE OPEN CHAIN COMPOUNDS
【文献】 SATOH SHIGERU,IN VIVO FORMATION OF 1-MALONYLAMINOCYCLOPROPANE-1-CARBOXYLIC ACID AND ITS RELATIONSHIP 以下備考,PHYTOCHEMISTRY,1984年,V23 N8,P1561-1565,TO ETHYLENE PRODUCTION IN COCKLEBUR SEED SEGMENTS: A TRACER STUDY 以下省略
【文献】 Storgaard, M. et al.,Palladium-Catalyzed α-Arylation of Tetramic Acids,Journal of Organic Chemistry,2009年,74(14),pp. 5032-5040
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07C
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
Wは、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルキル又はハロアルコキシであり;
Xは、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ又はシアノであり;
Y及びZは、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、シアノ、置換されていてもよいシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ又はいずれの場合にも置換されていてもよいアリール若しくはヘタリールであり;
Aは、水素であるか、又は、いずれの場合にもハロゲンで置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキルであるか、又は、飽和若しくは不飽和の置換されていてもよいシクロアルキル(ここで、少なくとも1個の環原子は、ヘテロ原子で置き換えられていてもよい)であるか、又は、アリール、アリールアルキル若しくはヘタリール(ここで、これらは、それぞれ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ又はニトロで置換されていてもよい)であり; Bは、水素、アルキル又はアルコキシアルキルであり;又は、
AとBは、それらが結合している炭素原子と一緒に、少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよい飽和又は不飽和の置換されていないか又は置換されている環であり;
Gは、水素(a)であるか、又は、基
【化2】

のうちの1つであり;
ここで、
Eは、金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
Lは、酸素又は硫黄であり;
Mは、酸素又は硫黄であり;
は、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル若しくはポリアルコキシアルキル(ここで、これらは、それぞれ、ハロゲン又はシアノで置換されていてもよい)であるか、又は、シクロアルキル若しくはヘテロシクリル(ここで、これらは、それぞれ、ハロゲン、アルキル又はアルコキシで置換されていてもよい)であるか、又は、いずれの場合にも置換されていてもよいフェニル、フェニルアルキル、ヘタリール、フェノキシアルキル若しくはヘタリールオキシアルキルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル若しくはポリアルコキシアルキル(ここで、これらは、それぞれ、ハロゲン又はシアノで置換されていてもよい)であるか、又は、いずれの場合にも置換されていてもよいシクロアルキル、フェニル若しくはベンジルである〕
で表される化合物を調製する方法であって、式(X)
【化3】

〔式中、
A及びBは、上記で与えられている意味を有し;
Gは、上記で与えられている基(a)、基(b)、基(c)又はEであり;
Vは、水素であり;又は、
Vは、COORであり;
ここで、Rは、アルキルである〕
で表される化合物を、式(XI)
【化4】

〔式中、
W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有し(但し、ハロゲンは、フッ素及び塩素のみであることができ、Xは、さらに、水素であることもできる);及び、
Qは、トリフラート、臭素又はヨウ素である〕
で表される化合物式と、希釈剤の中で、塩基の存在下、パラジウム触媒の存在下、及び、式(XII’)
【化5】

〔式中、ラジカルR’、ラジカルR’’及びラジカルR’’’は、互いに独立して、C−C12−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C10−アリール(ここで、これらは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−ジアルキルアミノで1置換又は多置換されていてもよい)であるか、又は、フェニル(ここで、該フェニルは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ又はC−C−ジアルキルアミノで1置換又は多置換されていてもよい)である〕
で表されるホスフィン配位子の存在下で、反応させることを特徴とする、前記調製方法。
【請求項2】
式(X)
【化6】

〔式中、
AとB及びそれらが結合している炭素原子が、飽和C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、酸素で置き換えられている)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子が、飽和C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、フッ素で二置換されているか、又は、メトキシで一置換されている)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子が、C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、直接には隣接していない2個の酸素原子を含んでいるアルキレンジイル基で置換されており、及び、それが結合している炭素原子と一緒に5員のさらなる環を形成する)であり;
Gが、水素(a)又は
【化10】
であり;
ここで、Rが、エチルであり;
Vが、水素(X−1)又はCOOR(X−2)であり;
ここで、Rが、メチルである
で表される化合物。
【請求項3】
式(XII)
【化22】

〔式中、A、B及びRは、請求項2で与えられている意味を有する〕
で表される化合物。
【請求項4】
式(XVIII)
【化23】

〔式中、A、B及びRは、請求項2で与えられている意味を有する〕
で表される化合物。
【請求項5】
式(XX)
【化24】

〔式中、A及びBは、請求項2で与えられている意味を有する〕
で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−H−ピロリジン−2,4−ジオン誘導体を調製するための新規調製方法並びに新規中間体及びそれらを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
殺ダニ効果、殺虫効果、殺菌効果及び除草効果を有する1−H−ピロリジン−2,4−ジオン誘導体は、知られている:
EP−A−456063、EP−A−521334、EP−A−596298、EP−A−613884、EP−A−613885、WO 95/01971、WO 95/26954、WO 95/20572、EP−A−0668267、WO 96/25395、WO 96/35664、WO 97/01535、WO 97/02243、WO 97/36868、WO 97/43275、WO 98/05638、WO 98/06721、WO 98/25928、WO 99/24437、WO 99/43649、WO 99/48869、WO 99/55673、WO 01/17972、WO 01/23354、WO 01/74770、WO 03/013249、WO 03/062244、WO 2004/007448、WO 2004/024 688、WO 04/065366、WO 04/080962、WO 04/111042、WO 05/044791、WO 05/044796、WO 05/048710、WO 05/049569、WO 05/066125、WO 05/092897、WO 06/000355、WO 06/029799、WO 06/056281、WO 06/056282、WO 06/089633、WO 07/048545、DEA 102005059892、WO 07/073856、WO 07/096058、WO 07/121868、WO 07/140881、WO 08/067873、WO 08/067910、WO 08/067911、WO 08/138551、WO 09/015801、WO 09/039975、WO 09/049851、WO 09/115262、WO 10/052161、WO 10/102758、WO 10/063378、WO 10/063670、WO 10/102758、WO 2011/098443、WO 2011/098440、WO 11/067135、WO 11/067240、EP出願番号第11154805.3号。さらに、ケタール−置換1−H−アリールピロリジン−2,4−ジオン類は、WO 99/16748から知られている。医薬効果を有するものは、WO 2011/098433、DE−A−102010008642、DE−A−102010008643及びDE出願番号第102010008640号から知られている。
【0003】
殺菌効果を有するビフェニル−置換1H−ピロリジンジオン誘導体も、知られている(WO 03/059065)。
【0004】
式(I)
【化1】
【0005】
〔式中、
Wは、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルキル又はハロアルコキシであり;
Xは、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、置換されていてもよいシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ又はシアノであり;
Y及びZは、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、シアノ、置換されていてもよいシクロアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ又はいずれの場合にも置換されていてもよいアリール若しくはヘタリールであり;
Aは、水素であるか、又は、いずれの場合にもハロゲンで置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキルであるか、又は、飽和若しくは不飽和の置換されていてもよいシクロアルキル(ここで、少なくとも1個の環原子は、ヘテロ原子で置き換えられていてもよい)であるか、又は、アリール、アリールアルキル若しくはヘタリール(ここで、これらは、それぞれ、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シアノ又はニトロで置換されていてもよい)であり;
Bは、水素、アルキル又はアルコキシアルキルであり;又は、
AとBは、それらが結合している炭素原子と一緒に、少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいてもよい飽和又は不飽和の置換されていないか又は置換されている環であり;
Gは、水素(a)であるか、又は、基
【化2】
【0006】
のうちの1つであり;
ここで、
Eは、金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
Lは、酸素又は硫黄であり;
Mは、酸素又は硫黄であり;
は、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル若しくはポリアルコキシアルキル(ここで、これらは、それぞれ、ハロゲン又はシアノで置換されていてもよい)であるか、又は、シクロアルキル若しくはヘテロシクリル(ここで、これらは、それぞれ、ハロゲン、アルキル又はアルコキシで置換されていてもよい)であるか、又は、いずれの場合にも置換されていてもよいフェニル、フェニルアルキル、ヘタリール、フェノキシアルキル若しくはヘタリールオキシアルキルであり;
は、アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル若しくはポリアルコキシアルキル(ここで、これらは、それぞれ、ハロゲン又はシアノで置換されていてもよい)であるか、又は、いずれの場合にも置換されていてもよいシクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであり;
、R及びRは、互いに独立して、いずれの場合にも、ハロゲンで置換されていてもよいアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルケニルチオ若しくはシクロアルキルチオであるか、又は、いずれの場合にも置換されていてもよいフェニル、ベンジル、フェノキシ若しくはフェニルチオであり;
及びRは、互いに独立して、水素であるか、又は、いずれの場合にも、ハロゲン若しくはシアノで置換されていてもよいアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキルであるか、又は、いずれの場合にも置換されていてもよいフェニル若しくはベンジルであるか、又は、RとRは、それらが結合しているN原子と一緒に、環(ここで、該環は、酸素又は硫黄を含んでいてもよく、及び、置換されていてもよい)を形成する〕
で表される化合物が存在している。
【0007】
とりわけ置換基の種類に応じて、式(I)で表される化合物は、光学異性体として存在することができるか、又は、種々の組成の異性体混合物として存在することができ、ここで、そのような異性体混合物は、必用に応じて、慣習的な方法で分離させることができる。純粋な異性体と異性体混合物の両方、それらの調製及び使用並びにそれらを含んでいる組成物が、本発明によって提供される。しかしながら、簡単にすることを目的として、以下では、常に、式(I)で表される化合物について言及されているが、それは、純粋な化合物と、適切な場合には異性体化合物の種々のフラクションを有する混合物の、両方を意味している。
【0008】
基Gについての種々の意味(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)及び(g)を考慮に入れることにより、以下の主要な構造(I−a)〜(I−g)が生じる:
【化3】
【0009】
ここで、
A、B、E、L、M、W、X、Y、Z、R、R、R、R、R、R及びRは、上記で与えられている意味を有する。
【0010】
さらに、式(I)で表される化合物が、下記調製方法により得られるということは、既に知られている:
(A) 式(I−a)
【化4】
【0011】
〔式中、A、B、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物は、式(II)
【化5】
【0012】
〔式中、
A、B、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有し;及び、
は、アルキルである〕
で表される化合物を、希釈剤の存在下、及び、塩基の存在下で、分子内縮合させれば得られる。
【0013】
さらに、下記についても知られている:
(B) 上記で示されている式(I−b)〔式中、R、A、B、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物は、上記で示されている式(I−a)〔式中、A、B、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、いずれの場合にも、場合により希釈剤の存在下、及び、場合により酸結合剤の存在下で;
(α) 式(III)
【化6】
【0014】
〔式中、
は、上記で与えられている意味を有し;及び、
Halは、ハロゲン(特に、塩素又は臭素)である〕
で表される化合物と反応させるか、又は、
(β) 式(IV)
【化7】
【0015】
〔式中、Rは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるカルボン酸無水物と反応させれば得られる;
(C) 上記で示されている式(I−c)〔式中、R、A、B、M、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有し、並びに、Lは酸素である〕で表される化合物は、式(I−a)〔式中、A、B、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、いずれの場合にも、場合により希釈剤の存在下、及び、場合により酸結合剤の存在下で、式(V)
【化8】
【0016】
〔式中、R及びMは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物クロロギ酸エステル又はクロロギ酸チオエステルと反応させれば得られる;
(D) 上記で示されている式(I−f)〔式中、E、A、B、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物は、式(I−a)〔式中、A、B、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、いずれの場合にも、場合により希釈剤の存在下で、式(XIII)又は式(XIV)
【化9】
【0017】
〔式中、
Meは、1価又は2価の金属(好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム又はカルシウム)であり;
tは、数字1又は2であり;及び、
10、R11、R12は、互いに独立して、水素又はアルキル(好ましくは、C−C−アルキル)である〕
で表される金属化合物又はアミンと反応させれば得られる。
【0018】
該化合物は、概して、式(I)によって定義される。上記及び下記で記載されている式において挙げられているラジカルの好ましい置換基及び/又は範囲について、以下で説明する。
【0019】
Wは、好ましくは、水素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、メチル、エチル、メトキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル又はシクロプロピルで1置換されていてもよい)、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル又はC−C−ハロアルコキシであり;
Xは、好ましくは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、メチル、エチル、メトキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル又はシクロプロピルで1置換されていてもよい)、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ又はシアノであり;
Y及びZは、好ましくは、互いに独立して、水素、シアノ、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、メチル、エチル、メトキシ、フッ素、塩素、トリフルオロメチル又はシクロプロピルで1置換されていてもよい)、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシであるか、又は、(ヘタ)−アリールラジカル
【化10】
【0020】
のうちの1つであり〔ここで、(ヘタ)−アリールである場合、ラジカルY又はラジカルZのうちの一方のみが(ヘタ)−アリールであることができる〕;
は、好ましくは、水素、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、ニトロ、シアノ又はフェニル(ここで、該フェニルは、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、ニトロ又はシアノで1置換〜2置換されていてもよい)であり;
及びVは、好ましくは、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル又はC−C−ハロアルコキシであり;
Aは、好ましくは、水素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素又は塩素で1置換〜3置換されていてもよい)、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシで1置換〜2置換されていてもよく、及び、酸素原子で中断されていてもよい)、又は、フェニル、ピリジル若しくはベンジル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、シアノ又はニトロで1置換〜2置換されていてもよい)であり;
Bは、好ましくは、水素、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシ−C−C−アルキルであり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、好ましくは、飽和又は不飽和のC−C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、窒素、酸素又は硫黄で置き換えられていてもよく、また、該シクロアルキルは、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、トリフルオロメチル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、トリフルオロエトキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルメトキシで1置換〜2置換されていてもよく、その際、上記ラジカル(ハロゲン及びトリフルオロメチルは除く)はN置換基としても適している)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、好ましくは、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、アルキレンジイル基で置換されているか、又は、アルキレンジオキシル基で置換されているか、又は、アルキレンジチオール基で置換されており(ここで、該アルキレンジイル基、アルキレンジオキシル基及びアルキレンジチオール基は、1個又は直接には隣接していない2個の酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよく、及び、メチル又はエチルで置換されていてもよい)、及び、それが結合している炭素原子と一緒に5員又は6員のさらなる環を形成する)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、好ましくは、C−C−シクロアルキル又はC−C−シクロアルケニル(ここで、2つの置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒に、C−C−アルカンジイル、C−C−アルケンジイル又はブタジエンジイル(ここで、これらは、それぞれ、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシで置換されていてもよい)である)であり;
Gは、好ましくは、水素(a)であるか、又は、基
【化11】
【0021】
のうちの1つであり;
ここで、
Eは、金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
Lは、酸素又は硫黄であり;及び、
Mは、酸素又は硫黄であり;
は、好ましくは、C−C16−アルキル、C−C16−アルケニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル若しくはポリ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素又は塩素で1置換〜3置換されていてもよい)であるか、又は、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、フッ素、塩素、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシで1置換〜2置換されていてもよく、1又は直接には隣接していない2のメチレン基は酸素及び/又は硫黄で置き換えられていてもよい)であり;又は、
は、好ましくは、フェニル(ここで、該フェニルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ又はC−C−アルキルスルホニルで1置換〜3置換されていてもよい)であり;又は、
は、好ましくは、フェニル−C−C−アルキル(ここで、該フェニル−アルキルは、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル又はC−C−ハロアルコキシで1置換〜2置換されていてもよい)であり;又は、
は、好ましくは、ピラゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、フラニル又はチエニル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、臭素又はC−C−アルキルで1置換〜2置換されていてもよい)であり;又は、
は、好ましくは、フェノキシ−C−C−アルキル(ここで、該フェノキシ−アルキルは、フッ素、塩素、臭素又はC−C−アルキルで1置換〜2置換されていてもよい)であり;又は、
は、好ましくは、ピリジルオキシ−C−C−アルキル、ピリミジルオキシ−C−C−アルキル又はチアゾリルオキシ−C−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、臭素、アミノ又はC−C−アルキルで1置換〜2置換されていてもよい)であり;
は、好ましくは、C−C16−アルキル、C−C16−アルケニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル又はポリ−C−C−アルコキシ−C−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素又は塩素で1置換〜3置換されていてもよい)であり;又は、
は、好ましくは、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、フッ素、塩素、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシで1置換〜2置換されていてもよい)であり;又は、
は、好ましくは、フェニル又はベンジル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル又はC−C−ハロアルコキシで1置換〜3置換されていてもよい)であり;
は、好ましくは、C−C−アルキル(ここで、該アルキルは、フッ素又は塩素で1置換〜3置換されていてもよい)であるか、又は、フェニル若しくはベンジル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、臭素、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−ハロアルキル、シアノ又はニトロで1置換〜2置換されていてもよい)であり;
及びRは、互いに独立して、好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、ジ(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルキルチオ又はC−C−アルケニルチオ(ここで、これらは、それぞれ、フッ素又は塩素で1置換〜3置換されていてもよい)であるか、又は、フェニル、フェノキシ若しくはフェニルチオ(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、臭素、ニトロ、シアノ、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−ハロアルキルチオ、C−C−アルキル又はC−C−ハロアルキルで1置換〜2置換されていてもよい)であり;
及びRは、互いに独立して、好ましくは、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニル又はC−C−アルコキシ−C−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素又は塩素で1置換〜3置換されていてもよい)であるか、又は、フェニル若しくはベンジル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、臭素、C−C−ハロアルキル、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシで1置換〜3置換されていてもよい)であるか、又は、RとRは一緒に、C−C−アルキルで置換されていてもよいC−C−アルキレンラジカル(ここで、1つのメチレン基は酸素又は硫黄で置き換えられていてもよい)である。
【0022】
好ましいものとして特定されているラジカルの定義において、ハロゲンは、フッ素、塩素及び臭素を表し、特に、フッ素及び塩素を表す。
【0023】
Wは、特に好ましくは、水素、塩素、臭素、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり;
Xは、特に好ましくは、水素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり;
Y及びZは、特に好ましくは、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、シクロプロピル、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシであるか、又は、フェニルラジカル
【化12】
【0024】
であり(フェニルである場合、ラジカルY又はラジカルZのうちの一方のみがフェニルであり得る);
は、特に好ましくは、水素、フッ素又は塩素であり;
は、特に好ましくは、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ又はトリフルオロメチルであり;
Aは、特に好ましくは、水素、C−C−アルキル若しくはC−C−アルコキシ−C−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素で1置換〜3置換されていてもよい)であるか、又は、シクロプロピル、シクロペンチル若しくはシクロヘキシルであり;
Bは、特に好ましくは、水素、メチル又はエチルであり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、特に好ましくは、飽和C−C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、窒素、酸素又は硫黄で置き換えられていてもよく、また、該シクロアルキルは、フッ素、塩素、メチル、エチル、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、アリルオキシ、トリフルオロエトキシ若しくはシクロプロピルメトキシで1置換又は2置換されていてもよく、その際、上記ラジカル(フッ素、塩素及びトリフルオロメチルは除く)はN置換基としても適している)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、特に好ましくは、C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、酸素原子で中断されていてもよいアルキリデンジイル基で置換されていてもよいか、又は、直接には隣接していない2個の酸素原子を含んでいるアルキリデンジイル基で置換されていてもよく、その際、5員環又は6員環のケタールが形成され、それらはいずれの場合にもメチルで1置換又は2置換されていてもよい)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、特に好ましくは、C−C−シクロアルキル又はC−C−シクロアルケニル(ここで、2つの置換基は、それらが結合している炭素原子と一緒に、C−C−アルカンジイル、C−C−アルケンジイル又はブタジエンジイルである)であり;
Gは、特に好ましくは、水素(a)であるか、又は、基
【化13】
【0025】
のうちの1つであり;
ここで、
Eは、金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
Lは、酸素又は硫黄であり;及び、
Mは、酸素又は硫黄であり;
は、特に好ましくは、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素又は塩素で1置換〜3置換されていてもよい)であるか、又は、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、フッ素、塩素、メチル、エチル又はメトキシで1置換されていてもよい)であり;又は、
は、特に好ましくは、フェニル(ここで、該フェニルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで1置換〜2置換されていてもよい)であり;又は、
は、特に好ましくは、フラニル、チエニル又はピリジル(ここで、これらは、それぞれ、塩素、臭素又はメチルで1置換されていてもよい)であり;
は、特に好ましくは、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル又はC−C−アルコキシ−C−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素又は塩素で1置換〜3置換されていてもよい)であり;又は、
は、特に好ましくは、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり;又は、
は、特に好ましくは、フェニル又はベンジル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、シアノ、ニトロ、メチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで1置換〜2置換されていてもよい)であり;
は、特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル若しくはイソプロピル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素又は塩素で1置換〜3置換されていてもよい)であるか、又は、フェニル(ここで、該フェニルは、いずれの場合にも、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ又はニトロで1置換されていてもよい)であり;
及びRは、互いに独立して、特に好ましくは、C−C−アルコキシ若しくはC−C−アルキルチオであるか、又は、フェニル、フェノキシ若しくはフェニルチオ(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、臭素、ニトロ、シアノ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで1置換されていてもよい)であり;
及びRは、互いに独立して、特に好ましくは、水素、C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニル又はC−C−アルコキシ−C−C−アルキル、フェニル(ここで、該フェニルは、フッ素、塩素、臭素、メチル、メトキシ又はトリフルオロメチルで1置換〜2置換されていてもよい)であるか、又は、RとRは一緒に、C−C−アルキレンラジカル(ここで、1つのメチレン基は酸素又は硫黄で置き換えられていてもよい)である。
【0026】
Wは、極めて特に好ましくは、水素、塩素、メチル、エチル又はメトキシであり(水素、塩素又はメチルが重要である);
Xは、極めて特に好ましくは、水素、塩素、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシであり(水素、塩素又はメチルが重要である);
Y及びZは、極めて特に好ましくは、互いに独立して、水素、塩素、メチルであるか、又は、ラジカル
【化14】
【0027】
であり(この場合、ラジカルY又はラジカルZのうちの一方のみが
【化15】
【0028】
であり得る)(最も注目すべきには、Zは、
【化16】
【0029】
であり、且つ、Yは水素である);
は、極めて特に好ましくは、水素、フッ素又は塩素であり(水素又は塩素が重要である);
は、極めて特に好ましくは、水素、フッ素又は塩素であり(水素が重要である);
Aは、極めて特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はシクロプロピルであり(メチルが重要である);
Bは、極めて特に好ましくは、水素又はメチルであり(メチルが重要である);
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、極めて特に好ましくは、飽和C−C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、酸素で置き換えられていてもよく、また、該シクロアルキルは、フッ素、塩素、メチル、エチル、メトキシメチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、トリフルオロエトキシで1置換されていてもよい)であり(メトキシで置換されているC−シクロアルキルが重要である)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、極めて特に好ましくは、C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、酸素で中断されていてもよいアルキリデンジイル基で置換されていてもよいか、又は、直接には隣接していない2個の酸素原子を含んでいるアルキリデンジイル基で置換されていてもよく、その際、5員環又は6員環のケタールが形成され、それらはいずれの場合にもメチルで1置換又は2置換されていてもよい)であり;
Gは、極めて特に好ましくは、水素(a)であるか、基
【化17】
【0030】
のうちの1つであり;
ここで、
Eは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン又はアンモニウムイオンであり;
は、極めて特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり;
は、極めて特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルであるか、又は、ベンジルである。
【0031】
上記で挙げられているラジカルの一般的な又は好ましい範囲内にある定義及び説明は、必用に応じて互いに組み合わせることが可能であり、即ち、それぞれの範囲と好ましい範囲の間の組合せを包含する。それらは、適宜、最終生成物に適用され、並びに、前駆物質(pre−product)及び中間体にも適用される。
【0032】
本発明によれば、上記で好ましいものとして挙げられている意味の組合せがその中に存在している式(I)の化合物は、好ましい。
【0033】
本発明によれば、上記で特に好ましいものとして挙げられている意味の組合せがその中に存在している式(I)の化合物は、特に好ましい。
【0034】
本発明によれば、上記で極めて特に好ましいものとして挙げられている意味の組合せがその中に存在している式(I)の化合物は、極めて特に好ましい。
【0035】
調製方法(A)において出発物質として必要とされる式(II)
【化18】
【0036】
〔式中、A、B、W、X、Y、Z及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物は、例えば、式(VI)
【化19】
【0037】
〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるアミノ酸誘導体を、式(VII)
【化20】
【0038】
〔式中、
W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有し;及び、
Uは、カルボン酸活性化試薬(例えば、カルボニルジイミダゾール、カルボニルジイミド(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド))、リン酸化試薬(例えば、POCl、BOP−Cl)、ハロゲン化試薬(例えば、塩化チオニル、塩化オキサリル又はホスゲン)によって導入される、及び、さらに、ベンゼンスルホニルクロリド又はクロロギ酸エステルによって導入される、脱離基である〕
で表される置換フェニル酢酸誘導体でアシル化すれば得られる(「Chem. Reviews 52, 237−416 (1953)」、「Bhattacharya, Indian J. Chem. , 341−5, 1968」);
又は、
式(VIII)
【化21】
【0039】
〔式中、A、B、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるアシルアミノ酸をエステル化すれば得られる(Chem. Ind. (London) 1568(1968))。
【0040】
式(VIII)で表される化合物は、例えば、Schotten−Baumann (Organikum [Organic Chemistry], VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften, Berlin 1977, p.505)に従い、例えば、式(IX)
【化22】
【0041】
〔式中、A及びBは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるアミノカルボン酸を、式(VII)
【化23】
【0042】
〔式中、U、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される置換フェニル酢酸誘導体でアシル化すれば得られる。
【0043】
式(VI)及び式(IX)で表される化合物は、既知であり、そして、既知調製方法によって合成することが可能であり(例えば、以下のものを参照されたい:「Compagnon, Ann. Chim.(Paris) [14] , p.11−22, 23−27 (1970)」、「L.Munday, J. Chem. Soc. 4372 (1961)」、「J.T.Eward, C.Jitrangeri, Can. J. Chem. 53, 3339(1975)」、WO 02/02532)、及び、冒頭で引用した公開明細書に記載されているようにしても合成することができる。
【0044】
かくして、これらの既知調製方法に関して、いずれの場合にも、式(VII)
【化24】
【0045】
〔式中、U、W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される置換フェニル酢酸 誘導体が必要である。
【0046】
式(VII)で表される化合物は、冒頭で引用した公開明細書(例えば、WO 98/05638、WO 01/74770)から既知であり、そして、それらの中に記載されている調製方法によって調製することができる。これらの調製方法の一部は、技術的に極めて複雑であるか、又は、多くの段階を含んでいるか、又は、全収率が低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】欧州特許出願公開第456063号
【特許文献2】欧州特許出願公開第521334号
【特許文献3】欧州特許出願公開第596298号
【特許文献4】欧州特許出願公開第613884号
【特許文献5】欧州特許出願公開第613885号
【特許文献6】国際特許出願公開第95/01971号
【特許文献7】国際特許出願公開第95/26954号
【特許文献8】国際特許出願公開第95/20572号
【特許文献9】欧州特許出願公開第0668267号
【特許文献10】国際特許出願公開第96/25395号
【特許文献11】国際特許出願公開第96/35664号
【特許文献12】国際特許出願公開第97/01535号
【特許文献13】国際特許出願公開第97/02243号
【特許文献14】国際特許出願公開第97/36868号
【特許文献15】国際特許出願公開第97/43275号
【特許文献16】国際特許出願公開第98/05638号
【特許文献17】国際特許出願公開第98/06721号
【特許文献18】国際特許出願公開第98/25928号
【特許文献19】国際特許出願公開第99/24437号
【特許文献20】国際特許出願公開第99/43649号
【特許文献21】国際特許出願公開第99/48869号
【特許文献22】国際特許出願公開第99/55673号
【特許文献23】国際特許出願公開第01/17972号
【特許文献24】国際特許出願公開第01/23354号
【特許文献25】国際特許出願公開第01/74770号
【特許文献26】国際特許出願公開第03/013249号
【特許文献27】国際特許出願公開第03/062244号
【特許文献28】国際特許出願公開第2004/007448号
【特許文献29】国際特許出願公開第2004/024 688号
【特許文献30】国際特許出願公開第04/065366号
【特許文献31】国際特許出願公開第04/080962号
【特許文献32】国際特許出願公開第04/111042号
【特許文献33】国際特許出願公開第05/044791号
【特許文献34】国際特許出願公開第05/044796号
【特許文献35】国際特許出願公開第05/048710号
【特許文献36】国際特許出願公開第05/049569号
【特許文献37】国際特許出願公開第05/066125号
【特許文献38】国際特許出願公開第05/092897号
【特許文献39】国際特許出願公開第06/000355号
【特許文献40】国際特許出願公開第06/029799号
【特許文献41】国際特許出願公開第06/056281号
【特許文献42】国際特許出願公開第06/056282号
【特許文献43】国際特許出願公開第06/089633号
【特許文献44】国際特許出願公開第07/048545号
【特許文献45】独国特許出願公開第102005059892号
【特許文献46】国際特許出願公開第07/073856号
【特許文献47】国際特許出願公開第07/096058号
【特許文献48】国際特許出願公開第07/121868号
【特許文献49】国際特許出願公開第07/140881号
【特許文献50】国際特許出願公開第08/067873号
【特許文献51】国際特許出願公開第08/067910号
【特許文献52】国際特許出願公開第08/067911号
【特許文献53】国際特許出願公開第08/138551号
【特許文献54】国際特許出願公開第09/015801号
【特許文献55】国際特許出願公開第09/039975号
【特許文献56】国際特許出願公開第09/049851号
【特許文献57】国際特許出願公開第09/115262号
【特許文献58】国際特許出願公開第10/052161号
【特許文献59】国際特許出願公開第10/102758号
【特許文献60】国際特許出願公開第10/063378号
【特許文献61】国際特許出願公開第10/063670号
【特許文献62】国際特許出願公開第10/102758号
【特許文献63】国際特許出願公開第2011/098443号
【特許文献64】国際特許出願公開第2011/098440号
【特許文献65】国際特許出願公開第11/067135号
【特許文献66】国際特許出願公開第11/067240号
【特許文献67】欧州特許出願番号第11154805.3号
【特許文献68】国際特許出願公開第99/16748号
【特許文献69】国際特許出願公開第2011/098433号
【特許文献70】独国特許出願公開第102010008642号
【特許文献71】独国特許出願公開第102010008643号
【特許文献72】独国特許出願番号第102010008640号
【特許文献73】国際特許出願公開第03/059065号
【特許文献74】国際特許出願公開第02/02532号
【非特許文献】
【0048】
【非特許文献1】Chem. Reviews 52, 237−416 (1953)
【非特許文献2】Indian J. Chem. 6, 341−5, 1968
【非特許文献3】Chem. Ind. (London) 1568(1968)
【非特許文献4】Organikum [Organic Chemistry], VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften, Berlin 1977, p.505
【非特許文献5】Ann. Chim.(Paris) [14] 5, p.11−22, 23−27 (1970)
【非特許文献6】J. Chem. Soc. 4372 (1961)
【非特許文献7】Can. J. Chem. 53, 3339(1975)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0049】
従って、さらに、式(VII)で表されるフェニル酢酸誘導体を使用することを回避しながら、一般式(I)
【化25】
【0050】
〔式中、A、B、W、X、Y、Z及びGは、上記で与えられている意味を有し、ここで、Xは、さらに、水素であることもできる〕
で表される化合物を調製するための新規調製方法が求められている。
【0051】
例えば、1,3−ジケト化合物をパラジウム触媒を用いてアリール化し得るということは、既に知られている(J. Amer. Chem. Soc. 2000, 122, 1360−70)。さらに、Bocで保護されたテトラミン酸を、原則として、塩化アリール、臭化アリール及びアリールトリフラートから出発してアリール化することができるが、記載された方法はオルト置換基の場合には旨くいかない、ということも知られている(J. Org. Chem. 2009, 74, 5032−5040)。これに反して、使用される式(I)で表されるテトラミン酸の中に存在しているような官能性NH基を有する基体は上記引用文献の例の中には存在していないので、上記反応はそのような基体(特に、オルト置換アリールラジカルを有するそのような基体)を利用し得ないと推定された。
【課題を解決するための手段】
【0052】
(Aα) 驚くべきことに、式(I)で表される化合物を調製するための調製方法が見いだされ、ここで、該調製方法は、第1段階において、式(X)
【化26】
【0053】
〔式中、
A及びBは、上記で与えられている意味を有し;
Gは、上記で与えられている基(a)、基(b)、基(c)及びEであり;
Vは、水素であり;又は、
(Aβ)
Vは、COORであり;
ここで、Rは、アルキル(好ましくは、C−C−アルキル)であり;
並びに、A、B及びGは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を、式(XI)
【化27】
【0054】
〔式中、
W、X、Y及びZは、上記で与えられている意味を有し(但し、ハロゲンは、フッ素及び塩素のみであることができ、Xは、さらに、水素であることもできる);及び、
Qは、トリフラート、臭素又はヨウ素(好ましくは、臭素又はヨウ素)である〕
で表される化合物式と、希釈剤の中で、塩基の存在下、パラジウム触媒の存在下、及び、、式(XII’)
【化28】
【0055】
〔式中、ラジカルR’、ラジカルR’’及びラジカルR’’’は、互いに独立して、C−C12−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C10−アリール(ここで、これらは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−ジアルキルアミノで1置換又は多置換されていてもよい)であるか、又は、フェニル(ここで、該フェニルは、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ又はC−C−ジアルキルアミノで1置換又は多置換されていてもよい)である〕
で表されるホスフィン配位子の存在下で、反応させることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明による調製方法に関して使用される塩基は、一般的に知られている有機塩基及び無機塩基である。有機塩基の例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、DABCO、DBU、ピリジン、ピコリン類、ルチジン類(luitidines)、5−エチル−2−メチルピリジンである。無機塩基の例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、例えば、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)及びCa(OH)、アルカリ金属アルコラート、例えば、NaOMe、NaOEt、NaOtert−ブチル、KOtert−ブチル、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば、NaCO、KCO、CsCO及びCaCO、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸水素塩、例えば、NaHCO、KHCO、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のリン酸塩、例えば、NaPO、KPO及びMg(PO、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のリン酸水素塩、例えば、NaHPO、KHPO及びBaHPO、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のリン酸二水素塩、例えば、NaHPO、KHPO及びCa(HPO、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化物、例えば、NaH、KH及びCaH、並びに、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアミド、例えば、NaNH、KNH及びLiNPrである。
【0057】
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩及びリン酸塩が好ましい。
【0058】
本発明による調製方法においては、使用する塩基の量は、広い範囲内で変えることができる。しかしながら、一般式(X)で表される化合物に基づいて、通常、少なくとも1モル当量の塩基を使用する。一般式(X)で表される化合物に基づいて1.1〜15モル当量(好ましくは、1.1〜6モル当量)の過剰量の塩基を使用することも可能である。
【0059】
本発明による調製方法に関して適切なパラジウム触媒は、原則として、当該反応条件下においてその場でそれから活性触媒が形成され得る全てのパラジウム化合物である。その例は、以下のとおりである:塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、アリルパラジウムクロリド二量体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ブロミド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(アセトニトリル)パラジウムジクロリド、ビス(ベンゾニトリル)パラジウムジクロリド、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−パラジウムジクロリド、ジ−μ−クロロビス(トリ−tert−ブチルホスフィノ)ジパラジウム(I)、ジ−μ−ブロモビス(トリ−tert−ブチルホスフィノ)ジパラジウム(I)、金属パラジウム(例えば、パラジウムブラック又はパラジウム粉末)、又は、さまざまな支持体に担持されたパラジウム(例えば、活性炭担持パラジウム、硫酸バリウム担持パラジウム、炭酸カルシウム担持パラジウム又は酸化アルミニウム担持パラジウム)。
【0060】
本発明による調製方法において使用されるパラジウム触媒の量は、広い範囲内で変えることができる。通常、それを用いて良好な収率が達成される可能な最少量を使用する。典型的には、パラジウム触媒の量は、一般式(X)で表される化合物に基づいて、0.001mol%〜10mol%である。好ましくは、0.01mol%〜5mol%の量を使用する。
【0061】
本発明による調製方法に関して使用することが可能な希釈剤は、原則として、当該反応条件下で不活性な全ての有機溶媒である。その例は、以下のとおりである:エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン;炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン類、メシチレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン;アミド類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン;ジメチルスルホキシド、又は、スルホラン。
【0062】
本発明による調製方法においては、一般式(XII’)で表される極めて多様なホスフィン配位子を使用することができる。その例は、以下のとおりである:トリフェニルホスフィン、トリ−オルト−トリルホスフィン、トリ−メタ−トリルホスフィン、トリ−パラ−トリルホスフィン、ベンジル−ジ−1−アダマンチルホスフィン(cataCXium ABn)、ジナトリウムビス(4,6−ジメチル−3−スルホナトフェニル)(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリナトリウムトリス(4,6−ジメチル−3−スルホナトフェニル)ホスフィン、ブチルジ−1−アダマンチルホスフィン(cataCXium A)、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−1,1’−ビナフチル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−イソプロピルビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル、2−ジフェニルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシ−1,1’−ビフェニル(RuPhos)、N−(2−メトキシフェニル)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ピロール、N−フェニル−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ピロール、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(XANTPHOS)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)キサンテン、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(DPEphos)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル(BIPHEP)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)。
【0063】
本発明による調製方法において使用される一般式(XII’)で表されるホスフィン配位子の量は、パラジウム触媒1mol当たり、0.25〜5molである。好ましくは、パラジウム触媒1mol当たり、0.5〜2.5molを使用する。
【0064】
本発明による調製方法に関する反応温度は、広い範囲内で変えることができる。通常、その使用温度は、20〜200℃であり、好ましくは、50〜180℃である。
【0065】
本発明による調製方法は、通常、大気中に酸素及び水分を含んでいない大気圧下で実施する。しかしながら、該調製方法は、原則として、減圧下又は加圧下で実施することも可能である。
【0066】
本発明による調製方法を実施する場合、式(XI)で表される化合物を比較的大過剰量(最大で10molまでの量、好ましくは、最大で2molまでの量)で使用することができる。
【0067】
式(X)〔式中、G=水素及び置換されているベンゾイル〕で表される一部の化合物は、特に、WO 94/01401から既知であり、及び、さらに、その中に記載されている文献からも既知であり、並びに、一部は新規である。
【0068】
式(X)
【化29】
【0069】
〔式中、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、好ましくは、飽和C−C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、酸素又は硫黄で置き換えられており、また、該シクロアルキルは、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシで1置換又は2置換されていてもよい)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、好ましくは、C−C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、窒素で置き換えられていてもよく、また、該シクロアルキルは、互いに独立して、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、ハロゲン、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル−C−C−アルコキシ、C−C10−シクロアルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシ又はC−C−アルコキシ−C−C−アルコキシで1置換又は2置換されおり、その際、上記ラジカル(ハロゲン及びC−C−ハロアルキルは除く)はN置換基としても適しており、及び、C−C−アルキルは、二置換の場合にのみ許される)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、好ましくは、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、アルキレンジイル基で置換されているか、又は、アルキレンジオキシル基で置換されているか、又は、アルキレンジチオイル基で置換されており(ここで、該アルキレンジイル基、アルキレンジオキシル基及びアルキレンジチオイル基は、1個又は直接には隣接していない2個の酸素原子及び/又は硫黄原子を含んでいてもよく、並びに、C−C−アルキルで置換されていてもよい)、及び、それが結合している炭素原子と一緒に5員〜8員のさらなる環を形成する)であり;
Gは、好ましくは、水素(a)であるか、又は、基
【化30】
【0070】
のうちの1つであり;
ここで、
Eは、金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
は、好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素又は塩素で1置換〜3置換されていてもよい)であるか、又は、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、フッ素、塩素、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシで1置換〜2置換されていてもよく、ここで、1の環員又は直接には隣接していない2の環員は、酸素で置き換えられていてもよい)であり;又は、
は、好ましくは、フェニル(ここで、該フェニルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル又はC−C−ハロアルコキシで1置換〜2置換されていてもよい)であり;
は、好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル又はC−C−アルコキシ−C−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素で1置換〜3置換されていてもよい)であり;又は、
は、好ましくは、C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシで1置換されていてもよい)であり;又は、
は、好ましくは、フェニル又はベンジル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで1置換〜2置換されていてもよい)であり;
Vは、好ましくは、水素(X−1)又はCOOR(X−2)であり;
ここで、Rは、好ましくは、C−C−アルキルである〕
で表される化合物は、新規であり、そして、同様に、本発明の一部分である。
【0071】
基Gについての種々の意味(a)、(b)、(c)及び(d)を考慮に入れることにより、Vが水素である場合、以下の主要な構造(X−1−a)〜(X−1−d)が生じる:
【化31】
【0072】
ここで、A、B、E、R及びRは、上記で与えられている意味を有する。
【0073】
基Gについての種々の意味(a)、(b)、(c)及び(d)を考慮に入れることにより、VがCOORである場合、以下の主要な構造(X−2−a)〜(X−2−d)が生じる:
【化32】
【0074】
ここで、A、B、E、R、R及びRは、上記で与えられている意味を有する。
【0075】
本発明による化合物は、概して、式(X)によって定義される。上記及び下記で記載されている式において挙げられているラジカルの好ましい置換基及び/又は範囲について、以下で説明する。
【0076】
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、特に好ましくは、飽和C−C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、酸素又は硫黄で置き換えられており、また、該シクロアルキルは、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシで1置換〜2置換されていてもよい)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、特に好ましくは、飽和C−C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、窒素で置き換えられていてもよく、また、該シクロアルキルは、互いに独立して、C−C−アルキル、塩素、フッ素、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、トリフルオロメチル、C−C−アルコキシ、C−C−アルケニルオキシ、トリフルオロエトキシ、C−C−アルコキシ−C−C−アルコキシ又はC−C−シクロアルキルメトキシで1置換〜2置換されており、その際、上記ラジカル(フッ素、塩素及びトリフルオロメチルは除く)はN置換基としても適しており、及び、C−C−アルキルは、二置換の場合にのみ許される)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、特に好ましくは、飽和C−C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、アルキレンジイル基で置換されているか、又は、アルキレンジオキシル基で置換されているか、又は、アルキレンジチオール基で置換されており(ここで、該アルキレンジイル基、アルキレンジオキシル基及びアルキレンジチオール基は、1個又は直接には隣接していない2個の酸素原子又は硫黄原子を含んでいてもよく、及び、メチル又はエチルで1置換又は2置換されていてもよい)、及び、それが結合している炭素原子と一緒に5員〜6員のさらなる環を形成する)であり;
Gは、特に好ましくは、水素(a)であるか、又は、基
【化33】
【0077】
のうちの1つであり;
ここで、
Eは、特に好ましくは、金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
は、特に好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルコキシ−C−アルキル、C−C−アルキルチオ−C−アルキル(ここで、これらは、それぞれ、塩素で1置換されていてもよい)であるか、又は、シクロプロピル若しくはシクロヘキシル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素、塩素、メチル又はメトキシで1置換されていてもよい)であり;又は、
は、特に好ましくは、フェニル(ここで、該フェニルは、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシで1置換されていてもよい)であり;
は、特に好ましくは、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、フェニル又はベンジル(ここで、これらは、それぞれ、フッ素で1置換されていてもよい)であり;
Vは、特に好ましくは、水素又はCOORであり;
ここで、Rは、特に好ましくは、C−C−アルキルである。
【0078】
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、極めて特に好ましくは、飽和C−C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、酸素で置き換えられており、また、該シクロアルキルは、メチル、エチル、メトキシ又はエトキシで1置換されていてもよい)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、極めて特に好ましくは、飽和C−C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、窒素で置き換えられていてもよく、また、該シクロアルキルは、互いに独立して、メチル、エチル、トリフルオロメチル、フッ素、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、アリルオキシ、トリフルオロエトキシ又はシクロプロピルメトキシで1置換又は2置換されており、その際、上記ラジカル(フッ素及びトリフルオロメチルは除く)はN置換基としても適しており、及び、メチル又はエチルは、二置換の場合にのみ許される)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、極めて特に好ましくは、C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、酸素原子で中断されていてもよいアルキリデンジイル基で置換されていてもよいか、又は、直接には隣接していない2個の酸素原子を含んでいるアルキレンジオキシ基で置換されていてもよく、その際、5員環又は6員環のケタールが形成され、それらはいずれもメチルで1置換又は2置換されていてもよい)であり;
Gは、極めて特に好ましくは、水素(a)であるか、又は、基
【化34】
【0079】
のうちの1つであり;
ここで、
Eは、極めて特に好ましくは、Li、Na、K又はCsであり;
は、極めて特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル又はシクロヘキシルであり;
は、極めて特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、フェニル又はベンジルであり;
Vは、極めて特に好ましくは、水素又はCOORであり;
ここで、Rは、極めて特に好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルである。
【0080】
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、最も注目すべきには、飽和C−シクロアルキル(ここで、1の環員は、酸素で置き換えられている)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、最も注目すべきには、飽和C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、フッ素で二置換されているか、又は、メトキシで一置換されている)であり;又は、
AとB及びそれらが結合している炭素原子は、最も注目すべきには、C−シクロアルキル(ここで、該シクロアルキルは、直接には隣接していない2個の酸素原子を含んでいるアルキレンジイル基で置換されており、及び、それが結合している炭素原子と一緒に5員のさらなる環を形成する)であり;
Gは、最も注目すべきには、水素(a)又は
【化35】
【0081】
であり;
ここで、Rは、最も注目すべきには、エチルであり;
Vは、最も注目すべきには、水素(X−1)又はCOOR(X−2)であり;
ここで、Rは、最も注目すべきには、メチルである。
【0082】
上記で一般的に挙げられているか又は好ましい範囲内で挙げられているラジカルの定義及び説明は、必用に応じて互いに組み合わせることが可能であり、従って、それぞれの範囲と好ましい範囲の間で組合せることが可能である。それらは、適宜、最終生成物に適用され、並びに、前駆物質(pre−product)及び中間体にも適用される。
【0083】
本発明によれば、上記で好ましいものとして挙げられている意味の組合せがその中に存在している式(X)で表される化合物は、好ましい。
【0084】
本発明によれば、上記で特に好ましいものとして挙げられている意味の組合せがその中に存在している式(X)で表される化合物は、特に好ましい。
【0085】
本発明によれば、上記で極めて特に好ましいものとして挙げられている意味の組合せがその中に存在している式(X)で表される化合物は、極めて特に好ましい。
【0086】
Gが水素である式(X)で表される化合物は、重要である。
【0087】
アルキル、アルカンジイル又はアルケニルなどの飽和又は不飽和の炭化水素ラジカル(これは、例えばアルコキシのように、ヘテロ原子と組み合わされている場合も包含する)は、可能な場合には、いずれの場合にも、直鎖又は分枝鎖であり得る。
【0088】
特に別途示されていない限り、置換されていてもよいラジカルは、1置換又は多置換されることが可能であり、多置換の場合は、該置換基は同一であるか又は異なっていることが可能である。
【0089】
特に、実施例において挙げられている化合物に加えて、式(X)〔式中、G=H〕で表される下記化合物を挙げることができる。
【化36】
【0090】
表1
【表1】
【0091】
表2
A及びBは表1で与えられているとおりであり、及び、V=COOCHである。
【0092】
表3
A及びBは表1で与えられているとおりであり、及び、V=COOCである。
【0093】
(B) 式(X−2−a)
【化37】
【0094】
〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物は、式(XII)
【化38】
【0095】
〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を、希釈剤の存在下、及び、塩基の存在下で、分子内縮合させれば得られる。
【0096】
(C) さらに、式(X−1−a)
【化39】
【0097】
〔式中、A及びBは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物は、式(X−2−a)
【化40】
【0098】
〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を加水分解し、次いで、脱カルボキシル化すれば得られる。
【0099】
さらに、以下のことが見いだされた:
(D) 上記で示されている式(X−1−b)又は式(X−2−b)〔式中、A、B及びは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物は、上記で示されている式(X−1−a)及び式(X−2−a)〔式中、A、B及びは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、いずれの場合にも、場合により希釈剤の存在下、及び、場合により酸結合剤の存在下で、
(α) 式(III)
【化41】
【0100】
〔式中、
は、上記で与えられている意味を有し;及び、
Halは、ハロゲン(特に、塩素又は臭素)である〕
で表される化合物と反応させるか、
又は、
(β) 式(IV)
【化42】
【0101】
〔式中、Rは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるカルボン酸無水物と反応させれば得られる;
(E) 上記で示されている式(X−1−c)又は式(X−2−c)〔式中、R、A、B及びは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物は、上記で示されている式(X−1−a)及び式(X−2−a)〔式中、A、B及びは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、場合により希釈剤の存在下、及び、場合により酸結合剤の存在下で、式(V)
【化43】
【0102】
〔式中、Rは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるクロロギ酸エステルと反応させれば得られる;
(F) 上記で示されている式(X−1−d)及び式(X−2−d)〔式中、E、A、B及びは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物は、上記で示されている式(X−1−a)及び式(X−)〔式中、A、B及びは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、いずれの場合にも、場合により希釈剤の存在下で、式(XIII)又は式(XIV)
【化44】
【0103】
〔式中、
Meは、1価又は2価の金属(好ましくは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム又はカルシウム)であり;
tは、数字1又は2であり;及び、
10、R11、R12は、互いに独立して、水素又はアルキル(好ましくは、C−C−アルキル)であり、ここで、Meである場合、R10は、基COO又は基HCOOであることもできる〕
で表される金属化合物又はアミンと反応させれば得られる。
【0104】
例えば、調製方法(Aα)に従い、8−メトキシ−1−アザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン及び2,5−ジメチルブロモベンゼンを出発物質として使用する場合、当該反応の過程は下記スキームによって表すことができる:
【化45】
【0105】
例えば、調製方法(Aβ)に従い、3−メトキシカルボニル−8−メトキシ−1−アザスピロ−[4,5]−デカン−2,4−ジオン及び2,5−ジメチルブロモベンゼンを出発化合物として使用する場合、本発明による調製方法の過程は下記反応スキームによって表すことができる:
【化46】
【0106】
例えば、調製方法(B)に従い、N−エトキシカルボニルアセチル−1−アミノ−4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸エチルエステルを出発物質として使用する場合、本発明による調製方法の過程は下記反応スキームによって表すことができる:
【化47】
【0107】
例えば、調製方法(C)に従い、3−メトキシカルボニル−8−メトキシ−1−アザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン及び過剰量の水性塩基を出発物質として使用する場合、当該反応の過程は下記反応スキームによって表すことができる:
【化48】
【0108】
例えば、調製方法(Dα)に従い、8−メトキシ−1−アザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン及び塩化アセチルを出発物質として使用する場合、本発明による調製方法の過程は下記反応スキームによって表すことができる:
【化49】
【0109】
例えば、調製方法(Dβ)に従い、8−メトキシ−1−アザスピロ−[4,5]−デカン−2,4−ジオン及び無水酢酸を出発物質として使用する場合、本発明による調製方法の過程は下記反応スキームによって表すことができる:
【化50】
【0110】
例えば、調製方法(E)に従い、8−メトキシ−1−アザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン及びクロロギ酸エチルエステルを出発化合物として使用する場合、本発明による調製方法の過程は下記反応スキームによって表すことができる:
【化51】
【0111】
例えば、調製方法(F)に従い、8−メトキシ−1−アザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン及び例えば水酸化ナトリウム(等モル量)を出発物質として使用する場合、当該反応の過程は下記のように表すことができる:
【化52】
【0112】
本発明による調製方法(B)において出発物質として必要とされるで式(XII)
【化53】
【0113】
〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物は、新規である。
【0114】
式(XII)で表されるアシルアミノ酸エステルは、例えば、式(XV)
【化54】
【0115】
〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるアミノ酸誘導体を、式(XVI)
【化55】
【0116】
〔式中、Rは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される置換マロン酸半エステルクロリドを用いてアシル化すれば得られる(Chem. Reviews 52, 237−416 (19953);Bhattacharya, Indian J. Chem. 6, 341−5, 1968)。
【0117】
さらに、上記調製方法(B)において使用される式(XII)
【化56】
【0118】
〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される出発物質は、式(XVII)
【化57】
【0119】
〔式中、A及びBは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される1−アミノカルボニトリルを、式(XVI)
【化58】
【0120】
〔式中、Rは、上記で与えられている意味を有する〕
で表されるマロン酸半エステルクロリドと反応させて、式(XVIII)
【化59】
【0121】
〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を生成させ、次いで、この化合物を酸性アルコーリシスに付せば、調製することができる。
【0122】
式(XVIII)で表される化合物も、同様に新規であり、そして、冒頭で引用した文献に記載されている既知調製方法と同様にして、又は、例えば、EP−A−595130に記載されているのと同様にして、調製することができる。式(XVII)で表される化合物の一部は市販されており、一部は既知であり(例えば、WO 2008/128058)、及び、一部は同様に新規であって、例えば、EP−A−595130に記載されているのと同様にして調製することができる。
【0123】
さらに、上記調製方法(B)において使用される式(XII)
【化60】
【0124】
〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される出発物質は、式(XVII)
【化61】
【0125】
〔式中、A及びBは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される1−アミノカルボニトリルを、式(XIX)
【化62】
【0126】
で表されるシアノ酢酸と反応させて、式(XX)
【化63】
【0127】
〔式中、A及びBは、上記で与えられている意味を有する〕
で表される化合物を生成させ、次いで、この化合物を酸性アルコーリシスに付せば、調製することができる。
【0128】
式(XX)で表される化合物も、同様に新規であり、そして、冒頭で引用した文献に記載されている既知調製方法と同様にして調製することができる。
【0129】
本発明による調製方法(D)、調製方法(E)及び調製方法(F)を実施するための出発物質としてさらに必要とされる、式(III)で表される酸ハロゲン化物、式(IV)で表されるカルボン酸無水物、式(V)で表されるクロロギ酸エステル、並びに、式(XIII)及び式(XIV)で表される金属水酸化物、金属アルコキシド、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩又はアミンは、有機化学又は無機化学において一般に知られている化合物である。
【0130】
さらに、式(XV)及び式(XVII)で表される化合物は、冒頭で引用した特許出願から既知であり、及び/又は、それらの中に記載されている方法によって調製することができる。
【0131】
式(XVI)及び式(XIX)で表される化合物は、市販されている。
【0132】
調製方法(B)は、式(XII)〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、希釈剤の存在下、及び、塩基の存在下で、分子内縮合に付すことを特徴とする。
【0133】
本発明の調製方法(B)において使用することが可能な希釈剤は、当該反応に関与する物質に対して不活性な全ての有機溶媒である。好ましくは、以下のものを使用することができる:炭化水素類、例えば、トルエン及びキシレン、さらにまた、エーテル類、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコールジメチルエーテル及びジグリコールジメチルエーテル、さらにまた、極性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン、さらにまた、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール及びtert−ブタノール。
【0134】
本発明の調製方法(B)を実施する場合、全ての慣習的なプロトン受容体を塩基(脱プロトン化剤)として使用することが可能である。好ましくは、以下のものを使用することができる:アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物及び炭酸塩、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸カルシウム〔ここで、これらは、相間移動触媒、例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、Adogen 464(=メチルトリアルキル(C−C10)アンモニウムクロリド)又はTDA 1(=トリス(メトキシエトキシエチル)アミン)などの存在下で使用することもできる〕。さらにまた、ナトリウム又はカリウムなどのアルカリ金属を使用することも可能である。さらにまた、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアミド類及び水素化物、例えば、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム及び水素化カルシウムなどを使用することも可能であり、さらにまた、アルカリ金属アルコラート類、例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート及びカリウムtert−ブチラートなどを使用することも可能である。
【0135】
本発明の調製方法(B)を実施する場合、その反応温度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、使用温度は、−75℃〜200℃、好ましくは、−50℃〜150℃である。本発明の調製方法(A)は、一般に、大気圧下で実施する。
【0136】
本発明の調製方法(B)を実施する場合、式(XII)で表される反応成分と脱プロトン性塩基は、一般に、等モル量から約2倍モル量までで使用する。しかしながら、一方の成分又は他方の成分を比較的大過剰量(3molまでの量)で用いることも可能である。
【0137】
調製方法(C)は、式(X−2)〔式中、A、B及びRは、上記で与えられている意味を有する〕で表される化合物を、希釈剤の存在下、及び、場合により塩基又は酸の存在下で、加水分解及び脱カルボキシル化することを特徴とする。
【0138】
本発明の調製方法(C)において使用することが可能な希釈剤は、当該反応に関与する物質に対して不活性な全ての有機溶媒である。好ましくは、以下のものを使用することができる:エーテル類、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコールジメチルエーテル及びジグリコールジメチルエーテル、さらにまた、極性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン、さらにまた、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール及びtert−ブタノール、さらにまた、水。
【0139】
本発明の調製方法(C)を実施する場合、アルカリ液を形成する全ての慣習的な塩基を塩基として使用することが可能である。好ましくは、以下のものを使用することができる:アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物及び炭酸塩、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸カルシウム。
【0140】
本発明の調製方法(C)を実施する場合、全ての慣習的な無機酸及び有機酸を酸として使用することが可能である。無機酸としては、好ましくは、以下のものを使用することができる:例えば、塩酸、硫酸、リン酸及び硝酸。有機酸としては、好ましくは、以下のものを使用することができる:例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸 、シュウ酸、クエン酸及びそれらの水溶液。
【0141】
特別な態様として、調製方法(C)で使用される式(X−2)で表される化合物は、自己触媒的に酸として使用することも可能である。
【0142】
本発明の調製方法(C)を実施する場合、その反応温度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、使用温度は、−20℃〜200℃、好ましくは、0℃〜150℃である。本発明の調製方法(C)は、一般に、大気圧下で実施する。
【0143】
本発明の調製方法(C)を実施する場合、式(X−2)で表される反応成分と塩基又は酸は、一般に、等モル量から約2倍モル量までで使用する。しかしながら、塩基又は酸を比較的大過剰量又は触媒量で用いることも可能である。
【0144】
調製方法(Dα)は、式(X−1)又は式(X−2)で表される化合物を、いずれの場合にも、場合により希釈剤の存在下、及び、場合により酸結合剤の存在下で、式(III)で表されるカルボン酸ハロゲン化物と反応させることを特徴とする。
【0145】
本発明の調製方法(Dα)において使用するのが可能な希釈剤は、該酸ハロゲン化物に対して不活性な全ての溶媒である。好ましくは、以下のものを使用することができる:炭化水素類、例えば、ベンジン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びテトラリン、さらにまた、ハロゲン化炭化水素類、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロメタン、クロロベンゼン及びo−ジクロロベンゼン、さらにまた、ケトン類、例えば、アセトン及びメチルイソプロピルケトン、さらにまた、エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン、さらにまた、カルボン酸エステル類、例えば、酢酸エチル、さらにまた、強極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びスルホラン。該酸ハロゲン化物の加水分解安定性によって可能である場合、該反応は水の存在下で実施することも可能である。
【0146】
本発明の調製方法(Dα)による反応において、適切な酸結合剤は、全ての慣習的な酸受容体である。好ましくは、以下のものを使用することができる:第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、ヒューニッヒ塩基及びN,N−ジメチルアニリン、さらにまた、アルカリ土類金属酸化物、例えば、酸化マグネシウム及び酸化カルシウム、さらにまた、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸カルシウム、さらにまた、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム。
【0147】
本発明の調製方法(Dα)における反応温度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、使用温度は、−20℃〜+150℃、好ましくは、0℃〜100℃である。
【0148】
本発明の調製方法(Dα)を実施する場合、式(X−1)又は式(X−2)で表される出発物質及び式(III)で表されるカルボン酸ハロゲン化物は、一般に、いずれの場合にも、ほぼ等量で使用する。しかしながら、該カルボン酸ハロゲン化物を比較的大過剰量(5molまでの量)で用いることも可能である。後処理は、慣習的な方法に従って実施する。
【0149】
調製方法(Dβ)は、式(X−1)又は式(X−2)で表される化合物を、いずれの場合にも、場合により希釈剤の存在下、及び、場合により酸結合剤の存在下で、式(IV)で表されるカルボン酸無水物と反応させることを特徴とする。
【0150】
本発明の調製方法(Dβ)において使用するのが可能な希釈剤は、好ましくは、酸ハロゲン化物を用いた場合にも同様に好ましく意図される希釈剤である。さらに、過剰量で使用されるカルボン酸無水物は、同時に、希釈剤としても作用し得る。
【0151】
調製方法(Dβ)において場合により添加される適切な酸結合剤は、好ましくは、酸ハロゲン化物を用いた場合にも同様に好ましく意図される酸結合剤である。
【0152】
本発明の調製方法(Dβ)における反応温度は、比較的広い範囲内で変えることができる。一般に、使用温度は、−20℃〜+150℃、好ましくは、0℃〜100℃である。
【0153】
本発明の調製方法(Dβ)を実施する場合、式(X−1)又は式(X−2)で表される出発物質及び式(IV)で表されるカルボン酸無水物は、一般に、いずれの場合にも、ほぼ等量で使用する。しかしながら、該カルボン酸無水物を比較的大過剰量(5molまでの量)で用いることも可能である。後処理は、慣習的な方法に従って実施する。
【0154】
上記手順は、一般に、希釈剤及び過剰に存在しているカルボン酸無水物及びさらに結果として生じたカルボン酸を、蒸留によって、又は、有機溶媒若しくは水で洗浄することによって、除去することを含んでいる。
【0155】
調製方法(E)は、式(X−1)又は式(X−2)で表される化合物を、いずれの場合にも、場合により希釈剤の存在下、及び、場合により酸結合剤の存在下で、式(V)で表されるクロロギ酸エステルと反応させることを特徴とする。
【0156】
本発明の調製方法(E)において適切な酸結合剤は、全ての慣習的な酸受容体である。好ましくは、以下のものを使用することができる:第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、DABCO、DBU、DBN、ヒューニッヒ塩基及びN,N−ジメチルアニリン、さらにまた、アルカリ土類金属酸化物、例えば、酸化マグネシウム及び酸化カルシウム、さらにまた、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸カルシウム、さらにまた、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム。
【0157】
本発明の調製方法(E)において使用することが可能な希釈剤は、該クロロギ酸エステルに対して不活性な全ての溶媒である。好ましくは、以下のものを使用することができる:炭化水素類、例えば、ベンジン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びテトラリン、さらにまた、ハロゲン化炭化水素類、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロメタン、クロロベンゼン及びo−ジクロロベンゼン、さらにまた、ケトン類、例えば、アセトン及びメチルイソプロピルケトン、さらにまた、エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン、さらにまた、カルボン酸エステル、例えば、酢酸エチル、さらにまた、ニトリル類、例えば、アセトニトリル、並びに、さらに、強極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びスルホラン。
【0158】
本発明の調製方法(E)を実施する場合、その反応温度は、比較的広い範囲内で変えることができる。その反応温度は、一般に、−20℃〜+100℃、好ましくは、0℃〜50℃である。
【0159】
本発明の調製方法(E)は、一般に、大気圧下で実施する。
【0160】
本発明の調製方法(E)を実施する場合、式(X−1)又は式(X−2)で表される出発物質及び式(V)で表される対応するクロロギ酸エステルは、一般に、いずれの場合にも、ほぼ等量で使用する。しかしながら、一方の成分又は他方の成分を比較的大過剰量(2molまでの量)で用いることも可能である。後処理は、慣習的な方法で行う。一般に、該手順は、沈殿した塩を除去すること、及び、残った反応混合物を希釈剤を除去することにより濃縮することを含んでいる。
【0161】
調製方法(F)は、式(X−1)又は式(X−2)で表される化合物を、いずれの場合にも、場合により希釈剤の存在下で、式(XIII)で表される金属アミド、金属水素化物、金属水酸化物、金属アルコキシド、金属炭酸塩若しくは金属炭酸水素塩又は式(XIV)で表されるアミン(これらは、本発明の調製方法(A)の場合に特定されている)と反応させることを特徴とする。
【0162】
本発明の調製方法(F)において使用することが可能な希釈剤は、好ましくは、調製方法(A)の場合に特定されている溶媒、さらにまた、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び、さらにまた、水である。本発明の調製方法(F)は、一般に、大気圧下で実施する。その反応温度は、一般に、−20℃〜100℃、好ましくは、0℃〜50℃である。
【実施例】
【0163】
調製実施例
注記:Meは、メチルを表す;Etは、エチルを表す。
【0164】
実施例1: 5,5−ジメチル−3−フェニルピロリジン−2,4−ジオン
【化64】
【0165】
アルゴン下、熱乾燥させた器具の中に、空気を含んでいない15mLのジオキサンの中に入れた23mgのPd(OAc)、69mgのジ−tert−ブチル(2’−メチルビフェニル−2−イル)ホスフィン及び2.44gのKPOを初期装入物として導入する。763mgの5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオン及び785mgのブロモベンゼンを添加し、その混合物を、還流しながら16時間撹拌する。次いで、その混合物を放置して室温まで冷却し、20mLのメタノールで希釈し、濾過し、その濾過残渣を10mLのMeOHで後洗浄する。その濾液を合してロータリエバポレーターで蒸発させることにより濃縮する。次いで、その残渣を20mLの水の中に入れ、希塩酸を用いて弱酸性にする。沈澱した固体を吸引濾過し、10mLの水で洗浄する。次いで、それを、アセトンで濾過器から洗い流し、その濾液を蒸発させることにより濃縮する。これにより、1.01gの固体(GC/MSによる純度93.8%)が得られる。
【0166】
GC/MS:m/e=203(M、20%)、118(M−NHCMeCO、100%)。
【0167】
H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=1.35(s,6H)、7.13−7.17(m,1H)、7.28−7.32(m,2H)、7.65(s,1H)、7.91−7.93(m,2H)、11.08(s,1H)ppm。
【0168】
実施例2: 5,5−ジメチル−3−(2−メチルフェニル)ピロリジン−2,4−ジオン
【化65】
【0169】
ブロモベンゼンの代わりに855mgの2−ブロモトルエンを使用することを除いて、手順は実施例1と同様である。これにより、0.84gの固体(GC/MSによる純度86.3%)が得られる。
【0170】
GC/MS:m/e=217(M、30%)、132(M−NHCMeCO、100%)。
【0171】
実施例3: 5,5−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)ピロリジン−2,4−ジオン
【化66】
【0172】
ブロモベンゼンの代わりに855mgの3−ブロモトルエンを使用することを除いて、手順は実施例1と同様である。これにより、1.17gの固体(GC/MSによる純度92%)が得られる。
【0173】
GC/MS:m/e=217(M、20%)、132(M−NHCMeCO、100%)。
【0174】
実施例4: 5,5−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)ピロリジン−2,4−ジオン
【化67】
【0175】
アルゴン下、熱乾燥させた器具の中に、水と空気を含んでいない15mLのN−メチルピロリドン(NMP)の中に入れた1.0gの固体水酸化ナトリウム(所謂、「Micropills」の形態にあるもの)を初期装入物として導入する。次いで、撹拌しながら、1.907gの5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオンを添加し、その混合物を室温で20分間撹拌する。次いで、1.71gの3−ブロモトルエンを添加し、その反応混合物を125℃まで加熱する。次いで、この温度で、0.328gのトリフェニルホスフィン及び89mgのPdClを添加する。その混合物を125℃で4時間撹拌し、放置して室温まで冷却し、撹拌しながら20mLの氷−水の中に入れ、希塩酸を用いてpH2に調節する。20mLの塩化メチレンを添加し、その混合物を撹拌し、相を分離させ、その水相をいずれの場合にも10mLの塩化メチレンと一緒に2回以上振盪することにより抽出する。その有機相を合して脱水し、次いで、ロータリエバポレーターで濃縮する。これにより、1.82gの目標生成物(これは、理論値の84%の収率に相当する)が得られる。
【0176】
実施例5: 3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオン
【化68】
【0177】
ブロモベンゼンの代わりに1.03gの2−ブロモ−5−クロロトルエンを使用することを除いて、手順は実施例1と同様である。これにより、1.37gの固体(GC/MSによる純度94.3%)が得られる。
【0178】
GC/MS:m/e=251(35Clに対するM、25%)、166(M−NHCMeCO、100%)。
【0179】
実施例6: 3−(ビフェニル−3−イル)−5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオン
【化69】
【0180】
ブロモベンゼンの代わりに1.166gの3−ブロモビフェニルを使用することを除いて、手順は実施例1と同様である。これにより、1.52gの固体(GC/MSによる純度95.4%)が得られる。
【0181】
GC/MS:m/e=279(M、35%)、194(M−NHCMeCO、90%)、165(100%)。
【0182】
実施例7: 3−(2,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオン
【化70】
【0183】
ブロモベンゼンの代わりに0.926gの2,5−ジメチルブロモベンゼンを使用することを除いて、手順は実施例1と同様である。これにより、1.21gの固体(GC/MSによる純度90%)が得られる。
【0184】
GC/MS:m/e=231(M、20%)、146(M−NHCMeCO、100%)。
【0185】
実施例8: 8−メトキシ−3−フェニル−1−アザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
【化71】
【0186】
5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオンの代わりに1.18gの8−メトキシ−1−アザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンを使用することを除いて、手順は実施例1と同様である。これにより、約336mgの標題化合物が得られる。
【0187】
GC/MS:m/e=273(M、15%)、241(M−MeOH、5%)、118(PhCHCO;100%)。
【0188】
実施例9: 2,2−ジメチル−5−オキソ−4−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル エチルカルボネート
【化72】
【0189】
5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオンの代わりに1.195gの2,2−ジメチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル エチルカルボネートを使用することを除いて、手順は実施例1と同様である。これにより、標題化合物が理論値の69%の収率で得られる。
【0190】
GC/MS:m/e=275(M、2%)、203(M−72、80%)、188(100%)、145(95%)、118(M−EtOCO,−NHCMeCO、70%)、89(100%)。
【0191】
実施例10: 2,2−ジメチル−5−オキソ−4−フェニル−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル アセテート
【化73】
【0192】
5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオンの代わりに1.015gの2,2−ジメチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル アセテートを使用することを除いて、手順は実施例1と同様である。これにより、標題化合物が、理論値の約35%の収率で得られる。さらに、アセチルラジカルをその場で除去する結果として、5,5−ジメチル−3−フェニルピロリジン−2,4−ジオンが、理論値の約38%の収率で得られる。
【0193】
GC/MS:m/e=245(M、2%)、203(M−42、100%)、188(60%)、118(80%)、43(50%)。
【0194】
実施例11: 8−メトキシ−3−フェニル−1−アザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
【化74】
【0195】
5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオンの代わりに実施例(X−2−a−1)と同様に1.532gの8−メトキシ−2,4−ジオキソ−1−アザスピロ[4.5]デカン−3−カルボン酸メチルを使用することを除いて、手順は実施例1と同様である。これにより、標題化合物が理論値の約90%の収率で得られる。
【0196】
実施例12: 3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−8−メトキシ−1−アザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
【化75】
【0197】
ブロモベンゼンの代わりに1.03gの2−ブロモ−5−クロロトルエンを使用することを除いて、手順は実施例11と同様である。これにより、標題化合物が理論値の約22%の収率で得られる。
【0198】
GC/MS:m/e=321(35Clに対するM、20%)、290(M−31、20%)、166(100%)。
【0199】
実施例13: 3−(2,5−ジメチルフェニル)−8−メトキシ−1−アザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
【化76】
【0200】
ブロモベンゼンの代わりに0.925gの2,5−ジメチルブロモベンゼンを使用することを除いて、手順は実施例11と同様である。これにより、標題化合物が理論値の約20%の収率で得られる。
【0201】
GC/MS:m/e=301(M 20%)、270(M−31、20%)、146(100%)。
【0202】
実施例14: 3−[3−(4−クロロフェニル)−6−メチルフェニル]−5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオン
【化77】
【0203】
アルゴン下、熱乾燥させた器具の中に、空気を含んでいない4.8mLのジオキサンの中に入れた7.4mgのPd(OAc)、22mgのジ−tert−ブチル(2’−メチルビフェニル−2−イル)ホスフィン及び0.78gのKPOを初期装入物として導入する。203mgの5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオン及び659mgの3−(4−クロロフェニル)−6−メチルブロモベンゼンを添加し、その混合物を、還流しながら16時間撹拌する。次いで、その混合物を放置して室温まで冷却し、約6mLのメタノールで希釈し、濾過し、その濾過残渣を約3mLのMeOHで後洗浄する。その濾液を合してロータリエバポレーターで蒸発させることにより濃縮する。次いで、その残渣を約6mLの水の中に入れ、1N塩酸を用いて弱酸性にする。沈澱した固体を吸引濾過し、約3mLの水で洗浄する。次いで、それを、アセトンで濾過器から洗い流し、その濾液を蒸発させることにより濃縮する。これにより、0.597gの固体が得られる。水/アセトニトリル(勾配)を用いた逆相分離に付すことにより、93mg(理論値の14%)(HPLC/MSによる純度98.6%)が得られる。
【0204】
H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=1.36(s,6H,2×CH),2.20(s,3H,Ar−CH),7.29−7.31(d,1H,ArH),7.35(d,1H,ArH),7.47−7.51(m,3H,ArH),7.61(br,1H,NH),7.63−7.67(m,2H,ArH),10.83(s,br,1H,OH)ppm。
【0205】
実施例(X−1−a−1)
【化78】
【0206】
500mg(1.9mmol)の実施例(X−2−a−4)の化合物を、沸騰している50%強度エタノール/水混合物の中に、5分間かけて少量ずつ導入する。その混合物をCOの発生が終わるまで還流しながら撹拌し、その混合物をロータリエバポレーターで濃縮し、その残渣をエタノールから再結晶させる。これにより、275mgの無色の粉末(理論値の69%)が得られる。
【0207】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.79−1.84(m,2H),1.94−2.11(2m,4H),2.20−2.33(m,2H),3.13(s,2H,CO−CH−CO),7.52(br,1H,NH)ppm。
【0208】
H−NMR(400MHz,CDCN):δ=1.78−1.82(m,2H),1.90−2.06(2m,4H),2.12−2.18(m,2H),3.03(s,2H,CO−CH−CO),7.27(br,1H,NH)ppm。
【0209】
実施例(X−2−a−1)
調製方法B
【化79】
【0210】
28.7g(0.1mol)の実施例(XII−1)の化合物を100mLの無水メタノールの中に導入する。20℃で、19.5mLのナトリウムメチラート溶液(メタノール中30%強度)を滴下して加え、次いで、その混合物を40℃で4時間撹拌する。減圧下で溶媒を蒸発させ、その残渣を50mLの水の中に入れ、0℃で、110mLの1N塩酸を滴下して加える。減圧下で蒸発させることで生成物が沈澱し、次いで、その沈澱した生成物を50mLの氷−水に懸濁させ、吸引濾過する。
【0211】
収量:25g(理論値の97%)、m.p.分解。
【0212】
H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=1.32−1.35(“d”,2H),1.39−1.49(m,2H),1.65−1.73(tm,2H),1.90−194(dm,2H),3.09−3.16(zm,1H,CHOCH−シス),3.24(s,3H,OCH),3.59(s,3H,COOCH)ppm。
【0213】
HPLC保持時間 0.97(方法:カラム50×4.6mm Eclipse Plus C18;1.8μm、勾配 0.1%リン酸/アセトニトリル;流速:2mL/分、55℃)。
【0214】
式(X−2−a)で表される下記化合物は、実施例(X−2−a−1)と同様にして、及び、調製に関する一般的な指示に従って、得られる。
【化80】

【表2】
【0215】
*1 H−NMR(400MHz,CDOD):δ=1.43−1.47(dd,2H),2.05−2.13(tm,2H),3.66−3.72(td,2H,OCH),3.80(s,3H,COOCH),3.96−4.00(d,m,2H,OCH)ppm。
【0216】
*2 H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=1.17−1.2(d,2H),1.56−1.86(m,6H),3.46(s,3H,COCH),3.84(s,4H,−O(CH−O),7.23(br,1H,NH)ppm。
【0217】
*3 H−NMR(600MHz,d−DMSO):δ=1.52−1.54(d,br,2H),1.91(cm,br,2H),2.11−2.13(2”d,br”,4H),3.66(s,3H,COCH),8.85(br,1H,NH)ppm。
【0218】
実施例(XII−1)
【化81】
【0219】
117.4g(0.525mol)のシス−1−アミノ−4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸メチルエステル塩酸塩を1000mLの無水テトラヒドロフラン(THF)の中に導入し、153.3mL(1.1mol)のトリエチルアミンと混合させ、20℃で、30mLの無水THFの中に入れた68.3g(0.5mol)のマロン酸メチルエステルクロリドを滴下して加える。次いで、その混合物を40℃で4時間撹拌し、1Lの水に注ぎ、塩化メチレンで抽出する。その有機相を脱水し、減圧下で蒸発させる。その残渣(172g)を溶離液として塩化メチレン/酢酸エチル(2:1)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0220】
収量:85.6g(理論値の59.6%)、m.p.74℃。
【0221】
H−NMR(400MHz,CDCN):δ=1.34−1.44(qm,2H),1.73−1.81(tm,2H),1.85−195(m,2H),2.06−2.12(dm,2H),3.15−3.22(zm,1H,CHOCH3−シス),3.24(s,2H,CHCOOCH),3.28(s,3H,OCH),3.60,3.68(2s,いずれの場合にも3H,COOCH),6.88(s,br,1H,NH)ppm。
【0222】
式(XII)で表される下記化合物は、実施例(XII−1)と同様にして、及び、調製に関する一般的な指示に従って、得られる。
【化82】

【表3】
【0223】
*1 H−NMR(400MHz,CDCN):δ=1.41−1.46(dm,1H),1.86−2.08(m,3H),3.25(s,2H,COCHCO),3.52−3.80(m,4H,OCH),3.64,3.68(2s,いずれの場合にも3H,COOMe),7.06(sbr,1H,NH)ppm。
【0224】
*2 H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.67−1.76(m,4H),2.14−2.19(m,4H),3.34(s,2H,CO−CH−CO),3.72,3.77(2s,いずれの場合にも3H,COCH),3.96(s,4H,−O−(CH−O),7.67(s,br,1H,NH)ppm。
【0225】
*3 H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=1.86−2.14(m,8H),3.58(s,2H,COCHCOCH),3.60,3.63(2s,いずれの場合にも3H,COCH),8.57(s,br,1H,NH)ppm。
【0226】
実施例(X−1−b−1): 2,2−ジメチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル アセテート
【化83】
【0227】
6.36gの5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオンと5.57gのトリエチルアミンを50mLの塩化メチレンに溶解させた溶液に、0〜5℃で、4.08gの塩化アセチルを20の塩化メチレンに溶解させた溶液を滴下して加える。次いで、その混合物を約1時間にわたって放置して室温とした後、さらに24時間撹拌する。次いで、その反応混合物を50mLの塩化メチレンで希釈し、いずれの場合にも50mLの水と一緒に2回、いずれの場合にも25mLの5%強度水酸化ナトリウム溶液と一緒に2回及び50mLの飽和NaCl水溶液と一緒に1回、振盪することによって抽出する。脱水し、及び、蒸発させることによって濃縮して、1.58gの標題化合物(HPLCによる純度97%)を得る。
【0228】
LC/MS:m/e=170(MH)。
【0229】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.33(s,6H),2.23(s,3H),5.91(s,1H),7.05(s,br,1H)ppm。
【0230】
実施例(X−1−c−1): 2,2−ジメチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−イル エチルカルボネート
【化84】
【0231】
6.36gの5,5−ジメチルピロリジン−2,4−ジオンと5.57gのトリエチルアミンを50mLの塩化メチレンに溶解させた溶液に、0〜5℃で、5.82gのクロロギ酸エチルエステルを20の塩化メチレンに溶解させた溶液を滴下して加える。次いで、その混合物を約1時間にわたって放置して室温とした後、さらに24時間撹拌する。次いで、その反応混合物を50mLの塩化メチレンで希釈し、いずれの場合にも50mLの水と一緒に2回、いずれの場合にも25mLの5%強度水酸化ナトリウム溶液と一緒に2回及び50mLの飽和NaCl水溶液と一緒に1回、振盪することによって抽出する。脱水し、及び、蒸発させることによって濃縮して、3.66gの標題化合物(HPLCによる純度98%)を得る。
【0232】
LC/MS:m/e=200(MH)。
【0233】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ=1.31−1.35(m,9H),4.25−4.30(q,2H),5.88(s,1H),7.29(s,br,1H)ppm。
【0234】
実施例(XVIII−1)
【化85】
【0235】
5.72g(30mmol)の1−アミノ−4−メトキシシクロヘキサンカルボニトリル塩酸塩(シス/トランス 約1:1)を初期装入物として60mLのテトラヒドロフラン(THF)の中に導入し、8.36mL(60mmol)のトリエチルアミン及び10mgのSteglich塩基と混合させる。0℃〜10℃で、5mLのTHFの中に入れた4.1g(30mmol)のマロン酸メチルエステルクロリドを滴下して加え、その混合物を、室温で4時間、後撹拌する。その後、吸引濾過し、THFで後洗浄し、減圧下で蒸発させる。その残渣をシクロヘキサン/酢酸エチル(2:1)を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。これにより、4.96g(理論値の65%)のシス/トランス異性体混合物(割合 約7:3)が得られる。
【0236】
H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=1.41−1.47(m,2H),1.68−1.74(m,2H),1.91−1.99(m,2H),2.21−2.25(m,2H),3.21,3.24(2s,トランス/シス,tog. 3H,OCH),3.22−3.27(m,1H,CHOCH),3.32(s,2H,CHCOCH),3.63(s,3H,COCH),8.56,8.63(2s,br,トランス/シス,tog. 1H,NH)ppm。
【0237】
実施例(XX−1)
【化86】
【0238】
9.53g(50mmol)の1−アミノ−4−メトキシ−シクロヘキサンカルボニトリル×HCl(シス/トランス混合物 約1:1)及び4.25g(50mmol)のシアノ酢酸を初期装入物として25mLのピリジンの中に導入する。次いで、冷却することなく、25mLのピリジンの中に入れた5.1g(50mmol)のアセトンヒドリドを滴下して加える。添加後、直ぐに、その混合物を後処理する。ピリジンを減圧下で蒸発させ、その残渣を、いずれの場合にも20mLのトルエンと2回合し、再度蒸発させる。次いで、水を添加し、その混合物を塩化メチレンで抽出した後、脱水し、蒸発させる。その残渣を、酢酸エチル/メタノール(勾配 9:1から4:1まで)を用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで前精製する。これにより、6.86gの蝋状物(これは、酢の臭いが強い)が得られる。これを50mLの酢酸エチルから再結晶させる。吸引濾過して、1.61g(理論値の14.6%)の白色の粉末を得る。
【0239】
H−NMR(400MHz,d−DMSO):δ=1.37−1.46(m,2H),1.67−1.72(cm,2H),1.91−1.94(m,2H),2.22−2.26(m,2H),3.24(s,3H,OCH),3.22−3.26(m,1H,CHOCH),3.74(s,2H,CO−CHCN),8.81(s,br,1H,NH)ppm。