特許第5951646号(P5951646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951646
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】安全装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   E04H17/14 102Z
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-552887(P2013-552887)
(86)(22)【出願日】2012年2月10日
(65)【公表番号】特表2014-511444(P2014-511444A)
(43)【公表日】2014年5月15日
(86)【国際出願番号】EP2012000607
(87)【国際公開番号】WO2012107234
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2015年1月13日
(31)【優先権主張番号】102011010928.5
(32)【優先日】2011年2月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500175772
【氏名又は名称】ズートツッカー アクチェンゲゼルシャフト マンハイム/オクセンフルト
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(72)【発明者】
【氏名】トレンクラー,ヨハン
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06062342(US,A)
【文献】 米国特許第02861277(US,A)
【文献】 特開2002−004442(JP,A)
【文献】 特開2000−230319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/14 − 17/16
E04G 21/32
E04B 1/61
E04H 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物及び物が埋まるのを防ぐための装置(100)において、
回転変位継手(16)により相互に連結された少なくとも二つの壁要素(10、20)を含み、
前記壁要素(10、20)がそれぞれ、円形状の増厚部形で形成された手ボルト縁(12)である第1の縁と、前記継手ボルト縁(12)である第1の縁の反対側で円弧状の保持部形で形成された手レール縁(14)である第2の縁とを備えた長方形の基体(11)を有しており、
それぞれ前記壁要素(10、20)の二つが、隣接する壁要素(10、20)の相互に噛み合っている前記第1及び第2の縁によって形成された前記回転変位継手(16)により、前記壁要素(10、20)が互いに対して垂直方向に変位可能で、互いに対して水平方向に少なくとも60°の角度まで回転可能であるように、相互に連結されており、
前記壁要素(10、20)の少なくとも二つは、回転変位継手(16)により少なくとも一本のテレスコピックバー(30)に、少なくとも二つの前記壁要素(10、20)が少なくとも一本の前記テレスコピックバー(30)に対して互いに対して垂直方向に変位可能でかつ互いに対して水平方向に回転可能であるように、連結されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記円弧状の保持部、前記第2の縁の全長にわたって延びている隙間(18)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記隙間(18)は、前記円弧状の保持部の水平方向の断面において、前記円弧状の保持部の軸心を中心として、80°〜150°に亘って形成されている、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記壁要素(10、20)が金属またはプラスチックから構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記壁要素(10、20)が同じのものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置(100)が四つ、五つ、または六つの壁要素(10、20)を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記壁要素(10、20)が管(200)または壁(300)を形成している、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記テレスコピックバー(30)がその端部に円弧状の保持部(32)及び円形状の増厚部(34)を有している、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の縁の前記円弧状の保持部隙間(18)を有する開いた管として形成されている、請求項に記載の装置
【請求項10】
前記第1の縁の前記円形状の増厚部である、請求項に記載の装置
【請求項11】
請求項から10のいずれか一項に記載の装置の作製方法であって、
該作製方法は、2つまたはそれ以上の壁要素(10,20)を連結するものであり、
前記各壁要素(10,20)は、第1の縁と、該第1の縁の反対側の第2の縁とを備え、前記第1の縁は、円形状の増厚部の形で継手ボルト縁(12)として形成され、前記第2の縁は、該第2の縁の全長にわたって延びる隙間(18)を有する円弧状の保持部の形で、継手レール(14)として形成され、前記壁要素(10)の前記継手ボルト縁(12)がさらなる壁要素(20)の継手レール縁(14)の開いた縁端部(21)を通って前記継手レール縁(14)の長手軸に沿って前記継手レール縁(14)に押し込まれることにより相互に連結され、こうして2つの壁要素(10、20)が垂直方向及び水平方向に可動できるように着脱自在に相互に連結され、少なくとも一本のテレスコピックバー(30)が二つまたはそれ以上の壁要素(10、20)と、垂直方向及び水平方向に可動にできるように着脱自在に連結される、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置の作製方法。
【請求項12】
一つまたはそれ以上のさらなる壁要素が付け加えられる、請求項11に記載の作製方法。
【請求項13】
バラ荷によって埋まることから生物または物を保護するための方法であって、
第1のプロセスステップa)では少なくとも二つ要素(10,20)が準備され、前記各壁要素(10,20)は、第1の縁と、該第1の縁の反対側の第2の縁とを備え、前記第1の縁は、円形状の増厚部として形成され、前記第2の縁は、該第2の縁の全長にわたって延びる隙間(18)を有する円弧状の保持部として形成され、
第2のプロセスステップb)では前記少なくとも二つの壁要素(10,20)が、互いに対して垂直方向に変位可能で水平方向に回転可能に相互に連結され、
第3のプロセスステップc)では前記少なくとも二つの相互に連結した壁要素(10,20)が、前記バラ荷と前記生物または物との間に配置され
前記少なくとも二つの壁要素(10,20)がテレスコピックバー(30)と垂直方向に変位可能で水平方向に回転可能に連結される、方法。
【請求項14】
生物または物がバラ荷によって埋まるのを防ぐための、請求項10のいずれか一項に記載の置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物及び物がバラ荷によって埋まるのを防ぐための装置、その作製方法、並びにこの装置の投入下での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタ山、サイロ、バッチャー、またはその他の保管装置内にあるバラ荷は、多種多様な商業的及び工業的な用途で、例えば食糧、化学、触媒、原料、または建築材料の分野で利用される。それに応じてこのようなバラ荷は、例えば砂糖、穀物、米、小麦粉、粒状物質、押出物、砂、砂利、またはその類似物の形で存在し得る。
【0003】
このような材料は液体ではなく、そしてしばしば耐荷重性で且つ硬いという印象を与えるが、それにもかかわらず大抵は非常に流動性があり、つまりサラサラ流れることができ、したがって移動性で且つその挙動が予測できない集合体であり、この集合体は生物、特に人も、或いは物も埋めてしまう可能性がある。実際、バラ荷を扱う人が生き埋めになって、しばしば致命的な結末に至ることが幾度も起きている。人は、一方ではバラ荷の中に沈み込んでいく可能性があり、且つ/又は後から流れてくるバラ荷によって埋められる可能性がある。さらに障害になるのは、常にサイロ内のすべてのバラ荷がマスフローの意味において動くのではなく、しばしばバラ荷のうち空間的に制限された一部だけが動くこと(ファンネルフロー)である。バラ荷材料が相互にくっつき合う若しくは食い込み合うことによるバラ荷内での縦穴形成及びブリッジ形成、漏斗状フロスト(Frosttrichter)、またはバラ荷内での中空空間形成は、危険をさらに増長させる可能性がある。バラ荷の中に沈み込んだ人及び比較的大きな物は、一般的には、たとえまだ完全には引き込まれていなくても、人及び物にかかるバラ荷の質量がかなり大きく、且つ場合によっては材料の吸引流が生じることにより、もはやバラ荷から引っ張り出すことができなくなる。埋まった人を後から流れてくるバラ荷から保護しようとする絶望的な試みの報告は珍しくなく、その際、一般的には、後から流れてくるバラ荷を事故にあった人から遠ざけておこうと、配電盤、板、金属板、またはその類似物を応急的に組み立てた補助構造物が用いられる。このように用いられた即席の補助具は、残念ながらその目的を常に果たすわけではない。これらの補助具は、しばしば安定性が不十分であり、ストレス状況下で確実には取り扱えず、または所与の空間的な事故状況への必要な適合を許容しない。保護構造物は一方で、大抵は侵入口が狭いことを特徴とするバラ荷容器内への持込みに適していなければならず、ただし他方では空間的に柔軟に、場合によっては大面積のゾーンを、例えば横たわっている挟み込まれた人を、埋まることから保護するのにも適していなければならない。それだけでなく保護装置は、具体的な個別の埋まり状況にふさわしい保護効果を発揮するため、良好且つ安全に、激しいストレス下でも確実に取り扱えなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の基礎になっている技術的課題は、生物、特に人、或いは物がバラ荷によって埋まるのを防ぐための装置であって、前述の欠点を克服し、特に安全で、確実で、取り扱い易く、迅速に準備可能で、頑丈で、空間的に柔軟な、埋まることからの保護を保証するのに適した装置を提供することである。
【0005】
本発明の技術的課題はさらに、これらの要求を満たし、このような装置を作製するための方法、並びに生物及び物が埋まるのを防ぐための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はその基礎になっている技術的課題を、回転変位継手、特に二つの自由度を有する回転変位継手により相互に連結された少なくとも二つの壁要素を含む、生物及び物がバラ荷から埋まることから保護するための装置を提供することによって解決し、これらの壁要素は、好ましい実施形態では同一であり、それぞれの壁要素は、円形状の増厚部の形で形成された第1の縁と、第1の縁の向かい側で円弧状の保持部の形で形成された第2の縁とを備えた長方形で好ましくは平坦な基体を有しており、それぞれ壁要素の二つが、隣接する壁要素の相互に押し込まれて相互に噛み合っている第1及び第2の縁によって形成された回転変位継手により、これらの壁要素が互いに対して垂直方向に変位可能で、互いに対して水平方向に少なくとも60°の角度まで回転可能であるように、相互に連結されている。
【0007】
本発明によれば、本発明による装置を作製するため、第1の縁を備えた第1の壁要素が、第2の壁要素の第2の縁によって形成された保持部の端部にある開口部に、この第2の縁の長手軸に沿って押し込まれ、こうして回転変位継手と少なくとも二つの壁要素とを有する本発明の装置が作製される。このように作製された装置には、同じやり方でさらなる壁要素を付け加えることができる。本発明によれば好ましくは、第2の壁要素の円弧状の保持部に上または下から、つまり第2の縁の両方の縁端部の一方から、第2の縁の長手軸に沿って第1の壁要素の継手ボルト縁を押し込み、両方の壁要素を連結する回転変位継手を形成し、そして同じやり方で複数のさらなる壁要素を連結することによって壁要素から成るリンクベルトを形成することができることが提供される。
【0008】
したがって本発明による装置は、継手により相互に連結された少なくとも二つの壁要素を特色とし、これらの壁要素は、その互いに隣接する縁によって形成された回転変位継手により相互に連結されている。本発明による装置を形成している好ましい壁要素は同じものであり、好ましくは長方形の基本形状、さらに例えば正方形の基本形状を特色とする。この壁要素の第1の縁は、好ましくは壁要素の縁の全長にわたって、断面で見ると円形状の増厚部として形成されており、ここでは継手ボルト縁(枢動ボルト縁)とも呼ぶ。したがって、継手ボルト縁は、好ましくは、壁要素の長方形で好ましくは平坦な基体に直に継ぎ足された回転シリンダまたは真っ直ぐの円形シリンダとして、さらなる一実施形態では真っ直ぐの中空シリンダとして実施されている。本発明の好ましい一実施形態では、この円形シリンダまたは中空シリンダの中心軸は、基体の平坦な面により規定される平面内にある。さらなる好ましい一実施形態では、円形シリンダまたは中空シリンダの中心軸は、基体の平坦な面により規定される平面を含む平面内にあるのではなく、この平面に対して平行な平面内にあり、特に中心軸は基体の平面に対して好ましくは1〜179°、好ましくは30〜170°、好ましくは40〜160°、特に50〜150°、特に60〜30°、好ましくは90°の角度にあることが提供される。同じ壁要素の向かい側にあり、壁要素の第2の縁と呼ばれる縁は、断面で見ると円弧状の保持部として、しかも同様に好ましくは第2の縁の全長にわたって実施されており、ここでは継手レール縁(ヒンジレール縁)とも呼ぶ。円弧状の保持部は、壁要素の基体に継ぎ足された二つの半円形の分岐部分によって形成されており、これらの分岐部分は、断面で見ると円形の中空空間の一部を取り囲んでおり、こうして長手軸に平行な押込みが可能な、したがってもう一つの壁要素のより断面の小さい継手ボルト縁を収容し得るレールを形成している。円弧状の保持部は、好ましくは第2の縁の全長にわたって隙間を有しており、押し込まれた壁要素の基体はこの隙間を通り抜ける。隙間の広さは、押し込まれた壁要素の通り抜ける基体の厚さより大きく、好ましくは二倍、三倍、または四倍の幅があるので、壁要素は水平方向に旋回することができる。好ましい実施形態では、隙間の広さ、つまり隙間の開口寸法は0.5〜7cm、1〜6cm、1〜4cm、特に2〜2.9cm、特に2.5〜2.9cmであることができる。
【0009】
好ましい実施形態では、隙間の幾何的中心は、基体がある平面内にはない。本発明の好ましい実施形態では、隙間の幾何的中心は壁要素の基体に対して70〜170°、80〜160°、特に85〜150°、好ましくは120°の角度にある。断面で見ると第1の縁の円形状の増厚部及び第2の縁の円弧状の保持部の直径は、円形状の増厚部が円弧状の保持部の内径より小さく、例えば0.05倍、0.1倍、または0.15倍となるように相互に調整されている。好ましい実施形態では、円形状の増厚部の直径は0.9〜4.5cm、好ましくは1.8〜4.0cm、特に2.5〜3.5cm、特に3cmであることができる。隙間は、壁要素の基体の厚さより広く、ただし継手ボルト縁の直径より狭い。つまり、第2の縁によって形成された円弧状の保持部の隙間の隙間広さは、第1の縁の円形状の増厚部、つまり継手ボルト縁が、円弧状の保持部から水平方向には引っ張り出せないように決定されている。したがって本発明によれば、一方の壁要素の継手レール縁に挿入されたもう一方の壁要素の継手ボルト縁が相互に噛み合っている。したがって少なくとも二つの壁要素の連結またはその分離は、壁要素が、継手レール縁の縁端部にある開口部を通って、壁要素の第1及び第2の縁に沿って押し込まれるまたは引っ張り出されることによってのみ可能である。これは本発明によれば、円弧状の保持部のa)上側またはb)下側またはc)上側及び下側で、円弧状の保持部の縁端部の少なくとも一方が開いていることにより可能である。本発明によれば特に好ましくは、継手レール縁はa)上側またはb)下側またはc)上側及び下側で、つまりそれぞれ第2の縁の両端部で開いており、さらに円弧状の保持部及び円形状の増厚部の直径は遊びがたっぷり存在するよう決定されているので、バラ荷内で壁要素を取り扱う際に、壁要素が引っ掛かるのを回避することができる。
【0010】
本発明による装置は、円形状の増厚部及びこの増厚部を部分的に取り囲む円弧状の保持部によって形成された回転変位継手により連結された少なくとも二つの壁要素を有しており、したがって幾何的及び面積的に柔軟性が高い。例えば二つの壁要素を相互に連結しただけの場合、これらの壁要素は連結式の壁の形で用いることができ、この壁の個々の部分、つまり壁要素は、個別に水平方向に回転可能で垂直方向に変位可能である。本発明のさらなる一実施形態では、連結式の壁は、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つ、十、またはそれ以上の壁要素から構成することもできる。さらなる一実施形態では、少なくとも三つ、しかし好ましくは四つ、五つ、六つ、七つ、またはそれ以上の壁要素を本発明による装置へと連結し、その際、壁要素が管状の装置を形成し、つまり空間を水平方向に管状に取り囲むこともできる。この実施形態では、最初と最後の壁要素も、本発明に基づくやり方で相互に、回転変位継手により相互に連結される。この本発明に基づく好ましい実施形態では、人または物を水平方向のすべての側で取り囲み、バラ荷から保護することができる。これにより本発明に従い好ましい実施形態では、本発明に基づく装置によりすべての側を取り囲まれた、人または物を保護しているゾーンから、バラ荷を、絶え間なく後から滑り落ちてくる危険なく吸い取ることもできる。したがって本発明による装置は、後から流れてくるバラ荷量を直線状に仕切ることを可能にするだけでなく、リング状に、局所的に限定された空間が埋まるのを防ぐことも可能にする。
【0011】
回転変位継手により最初と最後の壁要素を連結することによって空間を水平方向のすべての側で取り囲む場合、壁要素の互いに対する水平方向の回転はできないかまたは限定的にしかできない。
【0012】
壁要素は、バラ荷内でも互いに対して水平方向に回転させ得ることが有利である。これに加えて本発明による装置は、バラ荷内でも利用可能な垂直方向の柔軟性、つまり壁要素を互いに対して垂直方向に変位できることにより、バラ荷内の様々な高度に適合させることができ、且つバラ荷内の硬いブロック、構造上の条件、伸ばされた腕、または挟み込まれた脚を考慮することができる。個々の壁要素が互いに対して垂直方向に変位することも、壁要素が互いに対して水平方向に回転することも可能な、本発明に基づいて提供された装置により、埋まった人または物を、具体的な空間的状況において最適にバラ荷から保護し得ることが有利である。本発明によれば好ましい実施形態では、時間と共に変化していく状況に適応させ得るよう、本発明に基づいて提供された装置に、特に救助活動中にさらなる壁要素を後からはめ込むことができることが提供される。
【0013】
本発明による装置は、ほぼ任意の面積及び/又は幾何形状を取り得ることを特徴とし、例えば、本発明に基づいて提供される回転変位連結メカニズムにより、水平方向の広がりだけでなく垂直方向の向きでも一つの壁要素より大きな装置を提供することもできる。好ましい実施形態では、一つの壁要素の一つの継手レール縁が、重ねて押し込まれた二つの壁要素の二つの第1の縁、つまり継手ボルト縁を収容して固定することができる。これら押し込まれた両方の壁要素の継手レール縁は、例えば二つまたは三つのさらなる壁要素と回転及び変位可能に連結することができる。特に有利なのは、大きさ及び幾何形状に制限のないこの保護装置の作製に必要な個々の要素が、むしろ比較的小さく、非常に取り扱い易いということである。というのも個々の要素は実質的に長方形の壁要素であり、この壁要素はバラ荷の領域内で、したがって使用場所の近くで非常に良好に、差込装置、差込ピン上で、またはさらに平面的に相並べて若しくは重ねてストックできるのである。
【0014】
特に好ましい実施形態では、保持部の隙間は80〜150°、好ましくは90〜145°、特に90〜120°、好ましくは100°の角度寸法を有している。
【0015】
特に好ましい一実施形態では、壁要素は金属またはプラスチックから構成されており、特にそれらから成り、または実質的にそれらを含んでいる。特に好ましい実施形態では、壁要素は金属板であり、例えばアルミニウム板またはスチール板である。
【0016】
特に好ましい実施形態では、壁要素、特に金属板の厚さは0.1〜2cm、特に0.2〜1.5cm、0.3〜1cm、好ましくは0.4〜0.8cm、特に0.5〜0.6cmである。特に好ましい実施形態では、壁要素の基体は、特に二つの短い縁及び二つの長い縁を備えた長方形であり、この長い縁が、好ましくはそれぞれ円形状の増厚部及び円弧状の保持部を形成している第1及び第2の縁である。特に好ましい実施形態では壁要素の大きさは、短い縁の長さが20〜70cm、30〜65cm、好ましくは35〜60cm、特に35〜50cm、好ましくは37〜38cmである。好ましい実施形態では壁要素の大きさは、第1及び第2の縁の長さが60〜140cm、特に70〜130cm、好ましくは80〜120cm、特に90〜110cm、好ましくは100cmである。
【0017】
特に好ましい実施形態ではそれぞれの壁要素が、特に好ましい実施形態では管として、特に中空管として形成された第1の縁を備えており、且つ向かい側の第2の縁では円弧状の保持部、特にC字形の保持部、特に3/4円弧状の保持部を、例えばスリットのついた中空管の形で有していることが提供される。
【0018】
特に好ましい実施形態では、円弧状の保持部の隙間の開口寸法は、押し込まれた壁要素の回転が90〜145°、特に95〜140°の角度で可能であるように形成されていることが提供される。
【0019】
特に好ましい実施形態では、五つの壁要素から、断面で見ると五角形の管を形成している本発明に基づく装置が提供される。さらなる好ましい一実施形態では本発明による装置が六つの壁要素から形成されており、これらの壁要素は断面で見ると六角形の管を形成している。
【0020】
特に好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも二つの壁要素から成り、さらに長さ調節可能なテレスコピックバー(入れ子式の伸縮自在なバー)を有する前述の種類の装置も提供する。このようなテレスコピックバーは、救助状況に応じて本発明による装置の壁要素の少なくとも二つと連結することにより、例えばテレスコピックバーが追加的に壁要素上に差し込まれるか、またはテレスコピックバーが壁要素の一つ若しくは複数を代替することにより、壁要素、つまり装置を安定化することができる。
【0021】
したがって特に好ましい実施形態では、本発明は、回転変位継手によって相互に連結された少なくとも二つの壁要素を含み、この壁要素の二つがそれぞれ回転変位継手により少なくとも一本のテレスコピックバーと、少なくとも二つの壁要素が少なくとも一本のテレスコピックバーに対し、互いに対して垂直方向に変位可能で、互いに対して水平方向に少なくとも60°の角度で回転可能であるように連結されている、特に前述の種類の装置にも関している。
【0022】
つまり本発明によればこの好ましい実施形態では、テレスコピックバーが本発明による装置の少なくとも二つの壁要素を、互いに対して垂直方向に変位可能で、互いに対して水平方向に回転可能に連結しており、それも好ましくは着脱自在な方式で連結している。本発明に基づいて用いられたテレスコピックバーは特に好ましくは、その端部に断面で見ると円弧状の保持部及び断面で見ると円形状の増厚部を有している。特に好ましい実施形態では、テレスコピックバーはその端部に、壁要素の継手ボルト縁の断面で見ると円形状の増厚部を収容するのに適した断面で見ると円弧状の保持部を有している。テレスコピックバーのもう一方の端部は、特に好ましい実施形態では本発明による壁要素の円弧状の保持部を形成する継手レール縁に押し込み得る断面で見ると円形状の増厚部を有している。したがって本発明に基づく好ましいテレスコピックバーは本発明の壁要素と、一方の壁要素の縁と第1の回転変位継手が形成され、もう一方の壁要素の縁と第2の回転変位継手が形成され、こうして一つまたは複数の壁要素がテレスコピックバーに対し垂直方向に変位可能で水平方向に回転可能であるように、連結することができる。
【0023】
特に好ましい実施形態では、本発明は、本発明による装置の本質的な、特に唯一の構成要素である壁要素も提供する。好ましい実施形態では、このような壁要素は第1の縁及びその向かい側の第2の縁を備えており、この第1の縁は円形状の増厚部の形で形成されており、第2の縁は第2の縁の全長にわたって延びる隙間を有する円弧状の保持部の形で形成されている。特に好ましい実施形態では、円弧状の保持部が長手隙間を有する管として形成されている。さらなる好ましい一実施形態では、円形状の増厚部が管として形成されている。
【0024】
特に好ましい実施形態では、本発明は、本発明による装置の作製方法も提供し、これに関しては本発明の壁要素が、一つの壁要素の継手ボルト縁がさらなる壁要素の継手レール縁の開いた縁端部を通ってこの継手レール縁の長手軸に沿って継手レール縁に押し込まれることにより相互に連結され、こうして両方の壁要素が垂直方向及び水平方向に可動にするように着脱自在に相互に連結され、場合によっては前述のプロセスステップを繰り返すことによって一つまたは複数のさらなる壁要素が付け加えられて連結される。
【0025】
特に好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも一本のテレスコピックバーが少なくとも二つの壁要素と、特に第1の壁要素との第1の回転変位継手の形成及び第2の壁要素との第2の回転変位要素の形成により垂直方向及び水平方向に可動するように着脱自在に連結される本発明による装置の作製方法を提供する。
【0026】
本発明は、バラ荷によって埋まることにより危機に瀕した生物または物を保護するための方法も提供し、これに関し、第1のプロセスステップa)では少なくとも二つの本発明の壁要素が準備され、第2のプロセスステップb)では少なくとも二つの壁要素、特に三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、または八つの壁要素が本発明による装置へと相互に連結され、特に互いに対して垂直方向に変位可能で水平方向に回転可能に、特に二つの壁要素の間にそれぞれ構築される回転変位継手を形成しながら相互に連結され、第3のプロセスステップc)では本発明による装置のうち、特に少なくとも二つの相互に連結した壁要素が、バラ荷と生物または物の間に配置される。
【0027】
特に好ましい実施形態では、本発明は、さらなるプロセスステップで、少なくとも二つの壁要素をテレスコピックバーと垂直方向に変位可能で水平方向に回転可能に連結する、バラ荷によって埋まることにより危機に瀕した生物または物を保護するための前述の種類の方法も提供する。
【0028】
本発明は、生物または物がバラ荷によって埋まるのを防ぐための、本発明の壁要素または本発明の装置の使用にも関している。
【0029】
本発明のさらなる有利な形態は従属請求項から明らかである。
【0030】
以下の例及びそれに属する図に基づいて本発明を詳しく説明するが、本発明の保護範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による装置の斜視図である。
図2】本発明による壁要素の断面図である。
図3】本発明による壁要素の一方の部分、つまり第1の壁要素の円形状の増厚部の斜視図である。
図4】本発明による壁要素のもう一方の部分、つまり第1の壁要素の円弧状の保持部の斜視図である。
図5】本発明による装置の一方の壁要素の円形状の増厚部をもう一方の壁要素の円弧状の保持部に押し込むことによって形成された回転変位継手を示す図である。
図6】連結式の壁として形成された本発明による装置を示す図である。
図7】六角形の開放的な管として実施された本発明による装置を示す図である。
図8】六角形の管として形成された本発明の装置の断面図である。
図9】本発明による装置のさらなる一実施形態を示す図である。
図10】本発明に基づいて用いられるテレスコピックバーの上面図である。
図11】本発明に基づいて用いられるテレスコピックバーの断面図である。
図12】テレスコピックバーによる本発明に基づいて提供された安定化部を有する、壁として形成された本発明による装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、同一の第1及び第2の二つの壁要素10、20をつなぎ合わせることによって作製された本発明による装置100を示している。図2は、壁要素10の断面を示している。図1及び図2からは、壁要素10が平らな長方形の基体11から構成されており、この壁要素の二つの向かい合う長手縁12、14が異なって形成されていることが分かる。壁要素の第1の縁12は、断面で見ると円形状の増厚部12として、ここでは基体11と一体的に連結された管として形成されており、いわば継手ボルト縁である。その向かい側の第2の縁は、円弧状の保持部、つまり継手レール縁14として形成されており、二つの半円形状の分岐部分15、16を有しており、これらの分岐部分は、上側及び下側が、つまり分岐部分の端部が開いている継手レール縁14を形成している。円弧状の保持部14の内径は、円形状の増厚部、つまり継手ボルト縁12の全径より大きく、したがって継手ボルト縁12は、継手ボルトレール14にその開いた端部21から長手軸に沿って押し込むことができる。保持部14の隙間18の角度寸法βは、円弧状の保持部14に挿入された継手ボルト縁12の水平方向の引っ張り出しが、継手ボルト縁の直径が隙間18の角度寸法βより大きいことによって不可能であるように選択されており、ここでは約100°である。
【0033】
本発明による安全装置100は、図1から分かるように少なくとも二つのこのような壁要素10、20から構成されている。それぞれ、一方の壁要素10の第1の縁、つまり継手ボルト縁12を押し込むことによりもう一方の壁要素20の第2の縁14、つまりその継手レール縁14との噛み合いがもたらされるので、第1の壁要素10の第2の、つまり継手レール縁はさらなる壁要素の継手ボルト縁12を収容することができ、またさらにそのようにと、このやり方で原理的には無限の数の壁要素を相互に連結することができる。
【0034】
図3は、基体11の、その継手ボルト縁12を備えた部分を示しており、継手ボルト縁はその断面で見ると円形の形態により、図4の詳細図に示した継手レール縁14への、継手レール縁の長手軸に沿った、且つ保持部14の端部にある開口部21からの挿入が可能である。図4からは、保持部14の両方の分岐部分15及び16によって画定される隙間18の幾何的中心19が、壁要素10の基体11を含む想定された平面E内にはなく、詳しくはそれに対して70〜170°、ここでは120°の角度αにあることも分かる。
【0035】
継手ボルト縁12を継手レール縁14の端部にある開口部21に押し込むことにより、二つの自由度、つまりそれぞれ水平方向の旋回及び垂直方向の変位を可能にする垂直方向及び水平方向の自由度を有する回転変位継手16が形成され、この回転変位継手は、円形状の増厚部12の直径が円弧状の保持部14の内径に比べて小さいことから、明らかな遊びを有している。
【0036】
図6は、本発明による装置100のさらなる一実施形態を明らかにしており、この実施形態によれば、五つの壁要素10、20が連結式の壁の形で相互に連結されている。壁要素10、20が互いに対して垂直方向に変位可能で水平方向に旋回可能であることにより、この装置を水平方向で考慮すべき空間的な様々な条件に適合させ得ることが明らかである。
【0037】
図7は、本発明による装置100のさらなる一実施形態を示しており、この実施形態では六つの壁要素10、20が六つの回転変位継手16により六角形の管の形で相互に連結されており、こうして、埋まるのを防ぐための、水平方向のすべての側が取り囲まれた空間を提供している。
【0038】
図8は、このような本発明による装置100の断面を示している。
【0039】
もちろんその他の形態も可能であり、例えば図9に示したような形態も、つまり追加的に複数の壁要素10、20を垂直方向に重ねて配置した形態も可能である。
【0040】
図10は、本発明に基づいて用いられるテレスコピックバー30を示しており、このテレスコピックバーは、救助状況に応じて投入され、本発明による装置100において使用される壁要素10、20の少なくとも一つをスペーサとして代替することができる。本発明による長さ調節可能なテレスコピックバー30は、その一方の端部に断面で見ると円弧状の保持具32を有しており、その向かい側の端部には断面で見ると円形状の増厚部34を有している。テレスコピックバー30は、この特殊に形成された端部32、34により、第1の壁要素10の円弧状の保持部を形成している継手レール縁14及び第2の壁要素20の円形状の増厚部12を形成している継手ボルト縁12と一緒に、二つの回転変位継手16を形成することができ、こうして互いに対して垂直方向に変位可能で、互いに対して水平方向に少なくとも60°の角度まで回転可能な動きを達成することができる。
【0041】
図11は、テレスコピックバー30の断面を示している。
【0042】
図12は、テレスコピックバー30を使用した本発明による装置の可能な一形態を示しており、テレスコピックバーは二つの壁要素10、20の間のスペーサとして用いられており、テレスコピックバーの円弧状の保持部32及び壁要素20の円形状の増厚部12により回転変位継手16が形成されており、テレスコピックバーの円形状の増厚部34及び壁要素10の円弧状の保持部14によりさらなる回転変位継手16が形成されている。テレスコピックバー30はこの形態で、壁要素を代替することができ、または本発明による壁を安定化させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12