特許第5951666号(P5951666)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951666
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   B66B5/02 Q
   B66B5/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-46870(P2014-46870)
(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-168565(P2015-168565A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2014年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 光央
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2009/028070(JP,A1)
【文献】 特開2007−131360(JP,A)
【文献】 特開2012−041157(JP,A)
【文献】 特開2008−114959(JP,A)
【文献】 特開2009−113937(JP,A)
【文献】 特開2010−189172(JP,A)
【文献】 特開2009−292555(JP,A)
【文献】 特開2012−184053(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/175521(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻上機と、昇降路内を前記巻上機により昇降するかごと、前記昇降路内を前記巻上機により昇降する釣合おもりと、前記かごあるいは前記釣合おもりと、前記かごあるいは前記釣合おもりと異なる他の支持部材との間で支持され、前記かごの昇降に応じて前記かごと異なる他の支持部材との間の支持長さが変化する長尺物と、前記昇降路が設置された建物の揺れを検出する揺れ検出手段と、前記昇降路に対するかご位置を検出するかご位置検出手段と、少なくとも前記巻上機を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記れ検出手段により所定以上の揺れを検出した場合に、前記かごが昇降中であると前記最寄階に着床させ、前記かごを着床状態とする運転休止を行い、前記昇降路に対するかご位置に基づいた前記かごの停止階に応じて、前記運転休止から自動的に運転を再開する運転自動復帰を行い、前記かごの停止階における前記長尺物の前記支持長さに基づいて前記停止階ごとに設定値を求めておき、前記れ検出手段により前記建物の揺れが所定以上の揺れ検出され続ける時間である検出時間が、前記停止階において対応する前記設定値以下である場合に、前記運転自動復帰を行い、前記検出時間が、前記停止階において対応する前記設定値を超える場合に、前記運転自動復帰を禁止する、エレベータ。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータにおいて、前記制御手段は、前記かごの停止階が前記かごの停止階における前記長尺物の前記支持長さに基づいた前記長尺物に共振が発生する共振階でない場合に、前記運転自動復帰を行い、前記共振階である場合に、前記運転自動復帰を禁止する、エレベータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエレベータにおいて、前記長尺物は、前記巻上機に巻き掛けられ、前記かごと釣り合いおもりを釣瓶式に昇降させるメインロープ、あるいは前記かごと前記釣り合いおもりとに連結されたコンペンロープの少なくとも1以上である、エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかごが昇降する昇降路が設置されている建物が揺れると、長尺物であるメインロープやコンペンロープが振れる。特に、地震や強風などで長周期振動が建物に発生した場合は、これらのロープが大きく振れ、昇降路自体、あるいは昇降路に設置された各機器と接触する場合がある。従って、従来では、感知器により建物の揺れを検出し、大きな揺れが検出された場合に、かごが昇降中であるとかごを最寄階に停止させて、エレベータを運転休止させて、外部の作業員による復帰作業によりエレベータの運転が再開されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−184253号公報
【特許文献2】特開2012−126499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、感知器により建物の大きな揺れが検出され、運転休止が行われても、これらのロープが大きく振れ、昇降路自体、あるいは昇降路に設置された各機器と接触しなければ、早期に運転を再開することが好ましい。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エレベータが設置された建物の揺れが発生した際に、かごの停止階に応じて、エレベータの運転復帰を早期に行うことができるエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエレベータは、巻上機と、かごと、釣合おもりと、長尺物と、揺れ検出手段と、かご位置検出手段と、制御手段とを備える。かごは、昇降路内を巻上機により昇降する。釣合おもりは、昇降路内を巻上機により昇降する。長尺物は、かごあるいは釣合おもりと、かごあるいは釣合おもりと異なる他の支持部材との間で支持され、かごの昇降に応じてかごと異なる他の支持部材との間の支持長さが変化する。揺れ検出手段は、昇降路が設置された建物の揺れを検出する。かご位置検出手段は、昇降路に対するかご位置を検出する。制御手段は、少なくとも巻上機を制御する。制御手段は、れ検出手段により所定以上の揺れを検出した場合に、かごが昇降中であると最寄階に着床させ、かごを着床状態とする運転休止を行い、昇降路に対するかご位置に基づいたかごの停止階に応じて、運転休止から自動的に運転を再開する運転自動復帰を行う。また、かごの停止階における長尺物の支持長さに基づいて停止階ごとに設定値を求めておき、れ検出手段により建物の揺れが所定以上の揺れ検出され続ける時間である検出時間が、停止階において対応する設定値以下である場合に、運転自動復帰を行い、検出時間が、停止階において対応する設定値を超える場合に、運転自動復帰を禁止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るエレベータの概略構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るエレベータのブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るエレベータの動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態は例示であり、発明の範囲がそれらに限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
図1は、実施形態に係るエレベータの概略構成例を示す図である。図2は、本実施形態に係るエレベータのブロック図である。エレベータ1は、かご2と、メインロープ3と、巻上機4と、そらせシーブ5と、釣合おもり6と、コンペンロープ7と、コンペンシーブ8と、調速機9と、調速機張り車10と、調速機ロープ11と、感知器12と、かご位置センサ13と、エレベータ制御盤14とを含んで構成されている。なお、本実施形態では、かご2、釣合おもり6、コンペンロープ7、コンペンシーブ8、調速機張り車10は、昇降路15内に配置されている。また、巻上機4、そらせシーブ5、調速機9、感知器12、かご位置センサ13、エレベータ制御盤14は、機械室16内に配置されている。なお、本実施形態では、機械室16が昇降路15の上部に配置されたエレベータ1について説明するが、機械室16がないエレベータ1であってもよい。
【0010】
かご2は、乗客が乗降するものである。かご2は、図示しない一対のかご用ガイドレールの間に配置され、かご用ガイドレールに沿って昇降することで、昇降路15内を昇降するものである。
【0011】
メインロープ3は、長尺物でありかご2と釣合おもり6とを連結するものである。メインロープ3は、本実施形態では、一方の端部がかご2の上部に連結され、他方の端部が釣合おもり6の上部の端部に連結され、巻上機4およびそらせシーブ5に巻き掛けられている。
【0012】
巻上機4は、回転することでメインロープ3を巻上げ、メインロープ3に連結されたかご2および釣合おもり6を釣瓶式に昇降路15内で昇降させるものである。巻上機4は、モータ41の駆動力により巻上プーリ42が回転することで、メインロープ3を巻き上げる。巻上機4は、エレベータ制御盤14と電気的に接続されており、エレベータ制御盤14を介して供給される電力により駆動制御が行われる。
【0013】
そらせシーブ5は、メインロープ3をかご2と釣合おもり6とに連結する場合における釣り幅を調整するものである。そらせシーブ5は、機械室16の巻上機4の近傍に設定されている。そらせシーブ5は、本実施形態では、巻上機4と釣合おもり6との間に位置するメインロープ3が巻き掛けられている。
【0014】
釣合おもり6は、かご2の昇降に連動して昇降路15内を昇降するものであり、巻上機4を挟んでかご2と間でアンバランスを生じさせるものである。釣合おもり6は、図示しないおもり用ガイドレールの間に配置され、おもり用ガイドレールに沿って昇降する。
【0015】
コンペンロープ7は、かご2および釣合おもり6に懸架されている。コンペンロープ7は、一方の端部がかご2に連結され、他方の端部が釣合おもり6に連結されている。本実施形態では、コンペンロープ7は、一方の端部がかご2の鉛直方向下部に固定され、他方の端部が釣合おもり6の鉛直方向下部に固定されている。
【0016】
コンペンシーブ8は、昇降路15の下部に設けられたピットPに配置され、コンペンロープ7に巻き掛けられている。コンペンシーブ8は、かご2の昇降中にコンペンロープ7が水平方向に振れることを抑制するものである。コンペンシーブ8は、ピットP内で回転自在に支持されている。
【0017】
ここで、本実施形態における長尺物は、メインロープ3と、コンペンロープ7である。メインロープ3は、かご2と、かご2と異なる他の支持部材である巻上プーリ42との間で支持され、かご2の昇降に応じてかご2と巻上プーリ42との間の支持長さが変化する。さらに、メインロープ3は、釣合おもり6と、巻上プーリ42との間で支持され、釣合おもり6の昇降に応じて釣合おもり6と巻上プーリ42との間の支持長さが変化する。また、コンペンロープ7は、かご2と、異なる他の支持部材であるコンペンシーブ8との間で支持され、かご2の昇降に応じてかご2とコンペンシーブ8との間の支持長さが変化する。さらに、コンペンロープ7は、釣合おもり6と、コンペンシーブ8との間で支持され、釣合おもり6の昇降に応じて釣合おもり6とコンペンシーブ8との間の支持長さが変化する。
【0018】
調速機9は、ループ状の調速機ロープ11が巻き掛けられており、かご2とともに昇降する調速機ロープ11の速度が所定速度以上となると回転を停止するものである。調速機9の回転が停止すると、かご2と調速機ロープ11との間に相対移動が発生し、相対速度によりかご2に設けられた非常止め装置21が作動し、かご2の昇降が停止される。
【0019】
調速機張り車10は、昇降路15の下部に設けられたピットPに配置され、ループ状の調速機ロープ11に巻き掛けられている。調速機張り車10は、調速機ロープ11の張力を発生させるものである。
【0020】
感知器12は、揺れ検出手段であり、昇降路15が設置された建物100の揺れを検出することで、長尺物の振れを検出するものである。感知器12は、本実施形態では、加速度センサであり、建物100として、例えば高層ビルの揺れを加速度に基づく電気信号として出力するものである。感知器12は、建物100のうち地面から鉛直方向に離れた所定部位、本実施形態では、機械室16に設けられる。これは、建物100が揺れる際、建物100は地面を支点に揺れるためである。感知器12は、エレベータ制御盤14と電気的に接続されており、検出された加速度に基づいた加速度信号がエレベータ制御盤14に入力される。
【0021】
かご位置センサ13は、かご位置検出手段であり、昇降路15に対するかごの位置であるかご位置を検出するものである。かご位置センサ13は、本実施形態では、パルスセンサであり、調速機9に取り付けられている。かご位置センサ13は、調速機9がかご2の昇降に応じて回転するので、調速機9の回転回数をパルスとして検出することで、かご2の昇降路15に対する位置を検出する。かご位置センサ13は、エレベータ制御盤14と電気的に接続されており、パルス信号がエレベータ制御盤14に入力される。
【0022】
エレベータ制御盤14は、制御手段であり、少なくとも巻上機4駆動制御するものであり、本実施形態では、モータ制御部141と、メインマイコン142と、信号入力部143とを含んで構成されている。
【0023】
モータ制御部141は、巻上機4のモータ41を制御するものである。モータ制御部141は、メインマイコン142からの指令信号に基づいて、モータ41を正回転、逆回転、停止などの状態に制御し、かご2を上昇、下降、停止などの状態とするものである。
【0024】
メインマイコン142は、エレベータ1の運転状態を制御するものである。メインマイコン142は、信号入力部143に入力され、各階の乗り場20に設けられた図示しない操作盤や、かご2内に設けられた操作盤を乗客が操作することで出力される操作信号に基づいて、モータ制御部141に指令信号を出力し、巻上機4を駆動制御することで、かご2を目的階まで昇降させる。また、本実施形態におけるメインマイコン142は、加速度信号に基づいて、建物100の揺れが所定以上の揺れ、すなわち「高」である場合に、かご2が昇降中であると、最寄階にかご2を着床させる最寄階着床機能を有する。メインマイコン142は、建物100の揺れが上記「高」である場合に、着床しているかご2と乗り場20とを閉塞する図示しない扉を開く戸開動作を行わせる戸開動作機能を有する。メインマイコン142は、建物100の揺れが上記「高」である場合に、着床して戸開状態しているかご2を操作信号に基づいて昇降させることを禁止する運転停止機能を有する。また、メインマイコン142は、運転休止状態から、本実施形態では、かご2の停止階が共振階でなく、かつ建物100の揺れが上記「高」となってからの揺れの検出時間が設定値以下であると、自動的に着床して戸開状態しているかご2を操作信号に基づいて昇降させることを許可する運転自動復帰機能を有する。また、メインマイコン142は、運転休止状態から、本実施形態では、かご2の停止階が共振階である、あるいは建物100の揺れが上記「高」となってからの揺れの検出時間が設定値を超えると、運転自動復帰機能を禁止し、外部の作業員による復帰作業、すなわち手動により着床して戸開状態しているかご2を操作信号に基づいて昇降させることを許可する運転手動復帰機能を有する。
【0025】
ここで、設定値とは、かご2が停止可能な各階における、かご2と巻上プーリ42との間のメインロープ3、釣合おもり6と巻上プーリ42との間のメインロープ3、かご2と調速機張り車10との間のコンペンロープ7、あるいは釣合おもり6と調速機張り車10との間のコンペンロープ7の少なくともいずれか1つが昇降路15あるいは昇降路15内の各機器と接触する振れとなる揺れにはならない検出時間である。なお、本実施形態では、停止階が共振階であるか否かで、運転自動復帰を行うか否かを判定するので、本実施形態では、設定値は、共振階を除いたかご2が停止可能な各階に対応して設定されるものとなる。
【0026】
ここで、共振階とは、かご2の停止階がかご2の停止階における長尺物の支持長さに基づいた長尺物に共振が発生する場合の階をいう。本実施形態における共振階とは、停止階におけるかご2と巻上プーリ42との間のメインロープ3、釣合おもり6と巻上プーリ42との間のメインロープ3、停止階におけるかご2と調速機張り車10との間のコンペンロープ7、あるいは停止階における釣合おもり6と調速機張り車10との間のコンペンロープ7の少なくともいずれか1つが建物100の揺れに共振して、大きな振れとなる階をいう。なお、かご2が停止可能な各階にかご2が停止しても、長尺物に共振が発生しないエレベータ1もある。このようなエレベータ1においては、エレベータ制御盤14において共振階は設定されなくてもよい。
【0027】
なお、共振階、設定値は、予めエレベータ1が設置されている建物100の構造や建物100の高さ、昇降路15の広さや昇降路15の高さなどに基づいて事前に設定され、エレベータ制御盤14の図示しない記憶部に格納されている。また、メインマイコン142は、図示しないカウンタを有しており、時間の計測をすることができる。また、かご2が着床可能な各階に応じたかご2の昇降路15に対する位置は、予め記憶されている。従って、メインマイコン142は、かご位置センサ13により検出されたかご2の昇降路15に対する位置に基づいて、かご2の停止階を取得することができる。
【0028】
信号入力部143は、エレベータ1の各種センサからの信号や、上記操作信号などが入力されるものである。本実施形態における信号入力部は、感知器12からの加速度信号、かご位置センサ13からのパルス信号が入力される。
【0029】
次に、本実施形態に係るエレベータ1の動作、特に揺れが発生した場合の運転停止から運転復帰までについて説明する。図3は、実施形態に係るエレベータの動作フローを示す図である。
【0030】
まず、メインマイコン142は、図3に示すように、感知器12により検出された建物100の揺れが所定の揺れ以上、すなわち「高」であるか否かを判定する(ステップST1)。ここでは、メインマイコン142は、建物100の揺れが、長尺物が昇降路15あるいは昇降路15内の各機器と接触する可能性があるほど、高いか否かを判定する。
【0031】
次に、メインマイコン142は、建物100の揺れが所定の揺れ以上であると判定する(ステップST1:Yes)と、建物100の揺れが所定の揺れ以上と検出され続ける時間、すなわち検出時間の計測を開始する(ステップST2)。なお、建物100の揺れが所定の揺れ未満であると判定する(ステップST1:No)と、建物100の揺れが所定の揺れ以上となるまで、ステップST1を繰り返す。また、メインマイコン142は、建物100の揺れが所定の揺れ未満である場合は、建物100の揺れが検出されない場合と比較して、エレベータ1の運転を通常運転と異なる運転状態としてもよい。
【0032】
次に、メインマイコン142は、かご2が昇降中であるか否かを判定する(ステップST3)。
【0033】
次に、メインマイコン142は、かご2が昇降中であると判定する(ステップST3:Yes)と、かご2を最寄階に着床させる(ステップST4)。つまり、かご2の停止階は、かご2が昇降中であると、最寄階となる。なお、かご2が昇降中でないと判定する(ステップST3:No)と、現在、かご2が停止しているので、その階が停止階となる。
【0034】
次に、メインマイコン142は、かご位置を取得する(ステップST5)。
【0035】
次に、メインマイコン142は、戸開動作を行う(ステップST6)。これにより、かご2内の乗客は、最寄階、あるいはすでに停止している階の乗り場20に移動することができる。
【0036】
次に、メインマイコン142は、エレベータ1の運転休止を行う(ステップST7)。
【0037】
次に、メインマイコン142は、かご2の停止階が共振階であるか否かを判定する(ステップST8)。ここでは、メインマイコン142は、かご2の停止階が建物の揺れにより、上記メインロープ3あるいはコンペンロープ7の少なくともいずれかが共振して振れる階であるか否かを判定する。
【0038】
次に、メインマイコン142は、かご2の停止階が共振階でないと判定する(ステップST8:No)と、検出時間が設定値以下であるか否かを判定する(ステップST9)。ここでは、メインマイコン142は、所定の揺れ以上の建物100の揺れが継続することで、上記メインロープ3あるいはコンペンロープ7の少なくともいずれかが昇降路15あるいは昇降路15内の各機器と接触する振れとなる揺れとなったか否かを判定する。
【0039】
次に、メインマイコン142は、検出時間が設定値以下であると判定する(ステップST9:Yes)と、感知器12により検出された建物100の揺れが「高」であるか否かを判定する(ステップST10)。ここでは、メインマイコン142は、所定の揺れ以上の建物100の揺れが継続しているか否かを判定する。
【0040】
次に、メインマイコン142は、感知器12により検出された建物100の揺れが「高」でないと判定する(ステップST10:No)と、エレベータ1の運転自動復帰を行う(ステップST11)。ここでは、メインマイコン142は、かご2の停止階が、共振階ではなく、所定の揺れ以上の建物100の揺れが継続、すなわち検出時間がメインロープ3あるいはコンペンロープ7の少なくともいずれかが昇降路15あるいは昇降路15内の各機器と接触する振れとなる揺れとなっていない場合に、エレベータ1の運転自動復帰を行う。なお、メインマイコン142は、感知器12により検出された建物100の揺れが「高」であると判定する(ステップST10:Yes)と、ステップST7以降を繰り返す。
【0041】
また、かご2の停止階が共振階であると判定する(ステップST8:Yes)、あるいは検出時間が設定値を超えると判定する(ステップST9:No)と、エレベータ1の運転手動復帰が行われる(ステップST12)。ここでは、メインマイコン142は、かご2の停止階が共振階である場合、あるいは検出時間がかご2の停止階に基づいた設定値を超える場合、すなわち、メインロープ3あるいはコンペンロープ7の少なくともいずれかが昇降路15あるいは昇降路15内の各機器と接触する振れとなる揺れとなっている場合に、エレベータ1の運転自動復帰を禁止する。
【0042】
以上のように、本実施形態に係るエレベータ1では、感知器12により所定以上の揺れを検出した場合に、かご2が昇降中であると最寄階に着床させ、かご2を着床状態とする運転休止を行い、検出時間がかご2の停止階に応じた設定値以下である場合に運転自動復帰を行い、検出時間が設定値超える場合に運転自動復帰を禁止する。従って、長周期振動が検出された場合に、検出時間により揺れの大きさを推定し、停止階に応じて支持長さが変化するメインロープ3あるいはコンペンロープ7のいずれも振れが小さい場合には運転自動復帰を行い、停止階に応じて支持長さが変化するメインロープ3あるいはコンペンロープ7のいずれかの振れが大きく、昇降路15あるいは昇降路15内の各機器と接触する場合には、運転自動復帰を禁止し、運転手動復帰での運転再開となる。これにより、損傷が発生しないエレベータ1を自動的に復帰することができるので、エレベータ1を乗客が長時間利用できない状況を回避することができ、乗客の利便性が向上する。また、同一建物100内に複数台のエレベータ1が設置された場合に、運転休止時における各エレベータ1のかご2の停止階が異なるので、メインロープ3あるいはコンペンロープ7の振れは異なり、エレベータによっては運転自動復帰が可能な場合がある。この場合に、エレベータ1の運転自動復帰を行うことで、外部の作業員によって手動で運転再開しなければならないエレベータ1の台数を削減することができる。従って、建物100のすべてのエレベータ1を早期に運転再開することができる。
【0043】
また、本実施形態に係るエレベータ1では、感知器12により所定以上の揺れを検出した場合に、かご2が昇降中であると最寄階に着床させ、かご2を着床状態とする運転休止を行い、かご2の停止階が共振階でない場合に運転自動復帰を行い、かご2の停止階が共振階である場合に運転自動復帰を禁止する。従って、停止階が共振階であると、停止階に応じて支持長さが変化するメインロープ3あるいはコンペンロープ7が検出時間が設定値以下であっても大きく振れ、エレベータ1の損傷の可能性が高くなるので、運転自動復帰を禁止することで、外部の作業員が損傷を確認して、安全にエレベータ1の運転を再開することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、長尺物をメインロープ3とコンペンロープ7としたが、エレベータ1によっては、コンペンロープ7を備えていないものもあるので、その場合メインロープ3のみを長尺物としてもよい。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 エレベータ、2 かご、3 メインロープ、4 巻上機、5 そらせシーブ、6
釣合おもり、7 コンペンロープ、8 コンペンシーブ、9 調速機、10 調速機張り
車、11 調速機ロープ、12 感知器、13 かご位置センサ13、14 エレベータ
制御盤、15 昇降路、16 機械室
図1
図2
図3