特許第5951746号(P5951746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951746
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】絶縁シート部材
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/56 20060101AFI20160630BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   H01B17/56 B
   H02G1/02
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-252227(P2014-252227)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-115478(P2016-115478A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2015年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】近藤 貞正
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−106631(JP,U)
【文献】 特開2008−199742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/56
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱又は電柱に支持される腕金又は子を覆うための絶縁シート部材であって、前記電柱又は腕金又は碍子に巻き付け可能な巻付部と、前記巻付部から巻き付けの周方向に交差する方向に帯状に延出される可撓性を有する覆い部とを備え、前記巻付部は、前記電柱又は腕金又は碍子に巻き付けてからその巻き付け状態を維持することができるように構成され、前記覆い部は、前記周方向に沿って多数並設され、隣り合う覆い部の互いに対向する端部同士を連結する連結部であって、広がって離間した隣り合う覆い部の端部間の隙間の全部を埋める連結部を備えることによりスカート状に構成されていることを特徴とする絶縁シート部材。
【請求項2】
前記巻付部には、前記巻き付け状態を維持するために、巻き付け方向の一端部に巻き付け方向に延びる延出部を備えるとともに、該延出部に第1面ファスナーを備え、かつ、巻き付け方向の他端部に前記第1面ファスナーに係脱自在な第2面ファスナーを備えていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁シート部材。
【請求項3】
前記多数の覆い部のうちの覆い部併設方向一端に位置する覆い部に覆い部併設方向外側に突出するバンド部を備え、該バンド部に第3面ファスナーを備え、該第3面ファスナーに係脱自在な第4面ファスナーを各覆い部に備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の絶縁シート部材。
【請求項4】
前記多数の覆い部のうちの各覆い部が、延出方向における先端側ほど幅広い形状になっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁シート部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱又は電柱に支持される腕金又は子を覆うための絶縁シート部材に関する。
【背景技術】
【0002】
上記絶縁シート部材は、バインド線(縁線を碍子に固定する鋼線)の取替えや耐張碍子の上部の絶縁カバーの取替えを行う際に、腕金や碍子等の装柱用品に間接活線工具の先端が接触して短絡事故や地絡事故が起きないように、腕金や碍子を覆うために使用される。
【0003】
絶縁シート部材として、例えば特許文献1の図14に示す長方形状の絶縁性シート材が従来から使用されている。この絶縁性シート材を腕金に巻き付けてからクリップ等で挟み込んでその巻付け状態を維持する。この絶縁性シート材の幅方向両側縁には、長さ方向に延びる剛性を有する材料からなる棒状の骨材が貼り付けられている。そのため、碍子のような上方に突出するような突起物に、絶縁性シート材を変形させて覆うことができない。そこで、特許文献1では、前記絶縁性シート材とは別のもの、つまりフレキシブル間接シートで覆うようにしている。このフレキシブル間接シートは、柔軟性を有する絶縁性シート材と、絶縁シート材に一体化され、絶縁シート材とともに任意の形状に変形させることができ、しかも、変形した状態を維持できる材料からなる骨材とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−206255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記フレキシブル間接シートの絶縁性シート材で、特許文献1の図13に示すように、碍子やその下方に位置する形状の異なる腕金等の全体を覆う場合には、碍子の上方に縁線が位置しているため、上から被せることができない。そのため、横から碍子や腕金等の全体を包むように被せることになるが、作業がやり難く、作業性が悪い。しかも、この場合、碍子や腕金等の全体を包むことができる大きな絶縁シート材を用いなければならないことから、更に作業性が悪化し、改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、作業性が良く、電柱又は電柱に支持される腕金又は子を適切に覆うことができる絶縁シート部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る絶縁シート部材は、電柱又は電柱に支持される腕金又は子を覆うための絶縁シート部材であって、前記電柱又は腕金又は碍子に巻き付け可能な巻付部と、前記巻付部から巻き付けの周方向に交差する方向に帯状に延出される可撓性を有する覆い部とを備え、前記巻付部は、前記電柱又は腕金又は碍子に巻き付けてからその巻き付け状態を維持することができるように構成され、前記覆い部は、前記周方向に沿って多数並設され、隣り合う覆い部の互いに対向する端部同士を連結する連結部であって、広がって離間した隣り合う覆い部の端部間の隙間の全部を埋める連結部を備えることによりスカート状に構成されていることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、巻付部を電柱又は腕金又は碍子に巻き付けることによって、絶縁シート部材を電柱又は腕金又は碍子に迅速に装着することができる。そして、絶縁シート部材を構成する多数の帯状の可撓性を有する覆い部が、巻付部を起点に先端側ほど広がって、個々に覆う対象となる電柱又は腕金又は碍子の形状に対応して変形することができる。これにより、碍子やその下方に位置する形状の異なる腕金の全体を覆う場合でも、電柱又は腕金又は碍子を適切に覆うことができる。巻付部は、電柱又は腕金又は碍子巻付けることができる。
【0009】
また、本発明に係る絶縁シート部材は、前記巻付部には、前記巻き付け状態を維持するために、巻き付け方向の一端部に巻き付け方向に延びる延出部を備えるとともに、該延出部に第1面ファスナーを備え、かつ、巻き付け方向の他端部に前記第1面ファスナーに係脱自在な第2面ファスナーを備えていてもよい。
【0011】
また、本発明に係る絶縁シート部材は、前記多数の覆い部のうちの覆い部併設方向一端に位置する覆い部に覆い部併設方向外側に突出するバンド部を備え、該バンド部に第3面ファスナーを備え、該第3面ファスナーに係脱自在な第4面ファスナーを各覆い部に備えていてもよい。
【0013】
また、本発明に係る絶縁シート部材は、前記多数の覆い部のうちの各覆い部が、延出方向における先端側ほど幅広い形状になっていてもよい。
【0014】
上記のように、各覆い部が、延出方向における先端側ほど幅広い形状になっていることによって、覆い部が広がった場合に、延出方向における先端部側における覆い部間に発生する隙間の発生を抑制しやすい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、電柱又は腕金又は碍子に巻き付ける巻付け部と、多数の帯状の可撓性を有する覆い部とを備えることによって、作業性が良く、電柱又は腕金又は子を適切に覆うことができる絶縁シート部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る絶縁シート部材の正面図である。
図2】絶縁シートを装柱用品に装着した状態を示す電柱付近の平面図である。
図3図2において第1実施形態の絶縁シート部材をピン碍子及び電柱に装着した状態を示す電柱付近の平面図である。
図4図3を左側から見た一部省略した側面図である。
図5】(a)は図4におけるA−A線断面図、(b)はクリップの平面図である。
図6】(a)は本発明の参考例を示す絶縁シート部材の正面図、(b)は図6(a)の絶縁シート部材をピン碍子に装着した側面図である。
図7】(a)は本発明の参考例を示す絶縁シート部材の正面図、(b)は図7(a)の絶縁シート部材をピン碍子に装着した側面図である。
図8】他の参考例を示す絶縁シート部材の要部を示しており、(a)は覆い部が開いていない状態から開いた状態を示す正面図、(b)は図8(a)のB−B線断面図である。
図9】参考例の絶縁シート部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る絶縁シート部材の実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、絶縁シート部材1が示され、この絶縁シート部材1は、電柱(図4参照)に巻き付け可能な横長状の巻付部(取付部)3と、巻付部3から巻き付けの周方向に交差する方向(ここでは下方)に帯状に延出される覆い部4とを備えている。
【0018】
巻付部3は、横長の長方形状で厚みが薄い可撓性を有するシート状のものから構成されている。巻付部3の巻き付けの方向の一端には、巻き付けの方向に延びる延出部5を備え、延出部5の内側面に面ファスナー6を備えている。前記巻付部3の巻き付けの方向の他端部の外側面には、前記面ファスナー6に係脱自在な面ファスナー7を備えている。これら面ファスナー6,7を備えることによって、巻付部3を巻き付けてから両面ファスナー6,7を係止することによって、巻き付け状態を維持することができるように構成されている。また、巻付部3の外面には、巻き付けたのちにクリップ8(図5(a),(b)参照)の一対の挟持部8A,8Aを差し込むことができる一対の差込部9,9を備えている。これら一対の挟持部8A,8Aを一対の差込部9,9に差し込むことによって、電柱2に巻付部3を一対の挟持部8A,8Aで挟持固定することができる。
【0019】
差込部9,9は、図1図4及び図5(a)に示すように、一対の挟持部8A,8Aが入り込む長方形状の挿入部9A,9Aと、各挿入部9Aを巻付部3の外面に固定すべく長さ方向両端に設けられた一対の固定部9B,9Bとを備えている。挿入部9A,9Aは、長さ方向両端が開放されている。また、クリップ8は、一対の挟持部8A,8Aのそれぞれから延びる把持部8B,8Bを備え、それら把持部8B,8Bを図5(b)に示す接近する側に縦軸X回りに揺動させることによって、一対の挟持部8A,8Aが離間する開放状態にして図5(a)に示すように一対の挟持部8A,8Aを挿入部9A,9Aに挿入することができる。また、把持部8B,8Bから手を離すことによって、図示していないバネの付勢力によって、図5(b)に示す一対の挟持部8A,8Aが接近する閉塞状態にすることができる。
【0020】
覆い部4は、可撓性材料(例えば絶縁性を有する軟質の合成樹脂)で構成され、周方向に沿って多数並設され、隣り合う覆い部4,4同士は、互いに接近して配置されている。
【0021】
また、覆い部4は、長さ方向下端側(先端側)ほど幅広い形状になっている。更にまた、隣り合う覆い部4,4の互いに対向する端部同士を連結し、広がって離間した隣り合う覆い部4,4の端部間の隙間の全部を埋める連結部(以下、襞部という)4Aを備えている。この襞部4Aを備えることによりスカート状に構成される。この襞部4Aの覆い部4の裏側での重なり合い部分は、覆い部4の3分の1よりも少ない面積になっているが、面積の大きさは自由に変更できる。尚、この重なり合い部分が多くなればなるほど、覆い部4が広がる度合いが大きくなる。
【0022】
また、覆い部4のうちの幅方向(覆い部4の併設方向)一端に位置する覆い部4に幅方向に突出するバンド部4Bを備え、そのバンド部4Bの内側面に面ファスナー4aを備えている。これに対して各覆い部4の長さ方向下部の外側面に、前記面ファスナー4aに係脱自在な面ファスナー4bを備えて、両者を係止することによって、覆い部4を環状にした状態で固定することができる。しかも、全ての覆い部4に面ファスナー4bを備えているので、覆いたい部分の形状や大きさに応じてバンド部4Bの面ファスナー4aを任意の覆い部4の面ファスナー4bに係止することによって、的確に覆うことができるようになっている。また、バンド部4Bの面ファスナー4aを係止状態の面ファスナー4bから引き剥がすだけで、係止を解除することができる。
【0023】
次に、バインド線(縁線を碍子に固定する鋼線)の取替えや耐張碍子の上部の絶縁カバーの取替えを行う際に、腕金や碍子等の装柱用品に間接活線工具の先端が接触して短絡事故や地絡事故が起きないように、腕金10、ピン碍子11、耐張碍子12等の装柱用品を前述した絶縁シート部材1で覆う手順について説明する。
【0024】
図2には、電柱2に腕金10が取り付けられ、腕金10の両端部のそれぞれに、ピン碍子11(全部で3個)が取り付られ、各ピン碍子11にバインド線(図示せず)を介して縁線13が固定され、各縁線13は、2連の耐張碍子12,12で引き留められている状態が示されている。
【0025】
ここで、まず、図2に示すように、可撓性を有する矩形状の従来から用いている絶縁シート14,15,16(長さが異なる3種類の絶縁シート)を、ピン碍子11を除く他の装柱用品(ここでは、耐張碍子12と腕金10)に巻き付けた状態を示している。具体的には、6箇所の耐張碍子12,12に絶縁シート14を巻き付ける。また、電柱2と電柱2の両側に位置するピン碍子11,11間の腕金10の2箇所の部分に絶縁シート15を巻き付ける。また、電柱2から最も遠い位置にあるピン碍子11とこれと隣り合うピン碍子11との間の腕金10の部分に絶縁シート16を巻き付ける。この巻き付ける順番は、どのような順番でもよい。また、ここでは、長さが最も短い絶縁シート16、それよりも長い絶縁シート14、それよりも少し長い絶縁シート15とから構成されているが、装柱用品の寸法やピン碍子11の設置位置によって絶縁シートの長さを変更することになる。
【0026】
前述のように装柱用品を絶縁シート14,15,16により覆う作業が終了すると、引き続いて、ピン碍子11及び絶縁シート14,15,16で覆うことができなかった部分を本発明の絶縁シート部材1で覆う作業を行う。ここで、絶縁シート14,15,16で覆うことができなかった部分は、図2に示すように、腕金10の両端部10A,10A、各ピン碍子11の下方の腕金10の部分10B(図2では左から2番目のピン碍子11の下方の部分)及び耐張碍子12の先端部分12A、腕金10の電柱2の取付部分10Cである。
【0027】
各ピン碍子11に、絶縁シート部材1の巻付部3を前述のように巻き付けてから、クリップ8にて挟み込んでピン碍子11に固定する。この後、バンド部4Bを任意の覆い部4に固定して絶縁シート部材1のピン碍子11への装着を完了する(図3及び図4参照)。前記絶縁シート部材1の装着時に、図3及び図4に示すように、覆い部4の裏面に重なっていた襞部4Aが露出することによって、覆い部4が先端側ほど広がって、ここで覆う対象となる装柱用品(ここでは、腕金10及び耐張碍子12)の形状に対応して変形する。これによって、装柱用品(ここでは、腕金10及び耐張碍子12)を適切に覆うことができる。また、電柱2にも絶縁シート部材1の巻付部3(ピン碍子11に巻き付ける巻付部3よりも長い寸法に構成されている)を前述のように巻き付けてから、クリップ8にて挟み込んで電柱2に固定することによって、装柱用品(ここでは、腕金10)を適切に覆うことができる。また、絶縁シート部材1が襞部4Aで連結されてスカート状に構成されているので、襞部4Aが露出して絶縁シート部材1が広がることで、隣り合う覆い部4A,4A同士間に隙間が発生することがなく、腕金10や碍子11,12等を適切に覆うことができる。
【0028】
次に、参考例の絶縁シート部材1を、図6(a),(b)に示し、この絶縁シート部材1は、前記襞部4Aがない場合を示している。具体的には、前述同様に、横長状で長方形状を有する巻付部3と、可撓性を有する材料から構成され、巻付部3の下端から下方に延出され、巻き付けの周方向(巻付部3の長さ方向)に沿って互いに接近した状態(図6(a)では隙間の無い状態)で配置された多数(ここでは11枚)の同一幅を有する帯状の覆い部4とを備えている。前述同様に、巻付部3の巻き付けの周方向の一端には、巻付方向に延びる延出部5を備え、延出部5の内側面に面ファスナー6を備えている。前記巻付部3の巻き付けの周方向の他端部の外側面には、前記面ファスナー6に係脱自在な面ファスナー7を備えている。尚、前述した差込部9は、描いていないが、前述同様に、差込部9を備えていてもよいし、無くてもよい。
【0029】
このように構成された絶縁シート部材1をピン碍子11に巻き付けた状態を図6(b)に示している。絶縁シート部材1をピン碍子11に巻き付けると、覆い部4が腕金10の形状に合わせるように広がってピン碍子11の下方を適切に覆うことができる。このとき、隣り合う覆い部4,4同士間に若干の隙間が発生するが、間接活線工具の先端が装柱用品に接触するような大きさの隙間ではなく、問題にはならない。
【0030】
次に、参考例の絶縁シート部材1を、図7(a),(b)に示し、この絶縁シート部材1は、前記襞部4Aがない場合を示している。具体的には、前述同様に、横長状で長方形状を有する巻付部3と、巻付部3の下端から延出され、可撓性を有する材料から構成され、巻き付けの周方向(巻付部3の長さ方向)に沿って互いに接近した状態(図7(a)では隙間の無い状態)で配置された多数(ここでは12枚)の同一幅を有する帯状の覆い部4とを備えている。前述同様に、巻付部3の巻き付けの周方向の一端には、巻付方向に延びる延出部5を備え、延出部5の内側面に面ファスナー6を備えている。前記巻付部3の巻き付けの周方向の他端部の外側面には、前記面ファスナー6に係脱自在な面ファスナー7を備えている。尚、前述した差込部9は、描いていないが、前述同様に、差込部9を備えていてもよい。また、前記隣り合う覆い部4の互いに対向する端部4T1,4T2同士が表裏で延出方向略全域に亘って重なる重合部を構成している。この重合部の重合面積は図7(a)に示すものに限定されない。
【0031】
このように構成された絶縁シート部材1をピン碍子11に巻き付けた状態を図7(b)に示している。絶縁シート部材1をピン碍子11に巻き付けると、覆い部4が腕金10の形状に合わせるように広がってピン碍子11の下方を覆うことができる。このとき、隣り合う覆い部4,4同士間に隙間が発生することを、重合部(端部4T1,4T2)が抑制する。
【0032】
図9には、絶縁シート部材1の参考例を示している。前述した第1実施形態から第3実施形態までの絶縁シート部材1が多数の覆い部材4から構成されているのに対して、図9では、1枚の覆い部4から構成されている点において異なる。つまり、横長状で長方形状を有する前述と同様の巻付部3の下端から1枚の覆い部4を延出している。この覆い部4は、下方側ほど拡がった台形状に構成されている。また、図9の絶縁シート部材1をピン碍子(図示せず)に巻き付けた状態では、図9の斜線で示す部分4Z、つまり覆い部4の両端部が重複するような横長状の寸法にしている。このようにすることによって、装柱用品の大きさや形状に応じて重複部分4Zの重複する面積を調節することで、装柱用品を適切に覆うことができる。尚、図9に示す6,7は、前述した面ファスナーである。
【0033】
なお、本発明に係る絶縁シート部材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更することができる。
【0034】
縁シート部材1の参考例を、図8(a),(b)に示している図8(a)の上側の図では、図6で示した絶縁シート部材1の隣り合う覆い部4,4の巻付部3側の端部間に、それら端部を連結し、広がって離間した隣り合う覆い部4,4の端部の一部を埋める連結部(襞部)4Hを備えた場合を示している。このように隣り合う覆い部4,4の巻付部3側の端部間に、襞部4Hを備えることによって、図8(a)の下側の図に示すように、覆い部4が広がった場合に、隣り合う覆い部4,4の巻付部3側の端部間に隙間が発生することを回避できる。
【0035】
上記実施形態では、覆い部4を延出方向における先端側ほど幅広い形状に構成した場合や、覆い部4を延出方向に同一幅を有する縦長で長方形状のものに構成した場合を示したが、延出方向における先端側ほど幅広い形状となる第1覆い部と延出方向における巻付部3側ほど幅広い形状となる第2覆い部とを巻付部3の巻付方向に交互に備えさせてもよい。つまり、隣り合う覆い部4,4同士間に隙間ができないように接近させることができる形状であれば、覆い部4の形状はどのような形状であってもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、面ファスナーを用いて巻付部3をピン碍子11に巻き付けた状態を維持するようにしたが、巻付け部3に紐状体を備えて紐状体を括り付けることによって付部3をピン碍子11に巻き付けた状態を維持する構成であってもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、巻付部3を可撓性材料から構成したが、可撓性の無い硬い材料、例えば硬質性の合成樹脂等でピン碍子11の周面に合致する円弧形状に構成して、その円弧形状のものをピン碍子11に巻き付ける構成であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…絶縁シート部材、2…電柱、3…巻付部、4…覆い部、4A,4H…襞部、4B…バンド部、4Z…部分、4T1,4T2…端部、4a,4b…面ファスナー、5…延出部、6,7…面ファスナー、8…クリップ、8A…挟持部、8B…把持部、9…差込部、9A…挿入部、9B…固定部、10…腕金、10A…端部、10B…部分、10C…取付部分、11…ピン碍子、12…耐張碍子、12A…先端部分、13…縁線、14,15,16…絶縁シート、X…縦軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9