特許第5951752号(P5951752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951752
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】PTP1B発現のアンチセンス調節
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20160630BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20160630BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20160630BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20160630BHJP
   A61K 31/7115 20060101ALI20160630BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20160630BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20160630BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160630BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   C12N15/00 GZNA
   A61K31/7088
   A61K31/7125
   A61K31/712
   A61K31/7115
   A61P3/10
   A61P3/04
   A61P43/00 105
   A61K48/00
【請求項の数】9
【全頁数】116
(21)【出願番号】特願2014-505350(P2014-505350)
(86)(22)【出願日】2012年4月13日
(65)【公表番号】特表2014-512186(P2014-512186A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】US2012033588
(87)【国際公開番号】WO2012142458
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2014年7月23日
(31)【優先権主張番号】61/474,981
(32)【優先日】2011年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117813
【弁理士】
【氏名又は名称】深澤 憲広
(72)【発明者】
【氏名】バノット,サンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フレアー,スーザン・エム
【審査官】 伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/109470(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0197773(US,A1)
【文献】 特表2004−535179(JP,A)
【文献】 特表2003−523739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
CAplus/REGISTRY(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾型一本鎖オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、前記修飾型オリゴヌクレオチドが配列番号26からなる核酸塩基配列を有する20個の連結ヌクレオシドからなり、
前記修飾型オリゴヌクレオチドが、
10個の連結デオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;
5個の連結ヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;および
5個の連結ヌクレオシドからなる3’ウイングセグメント;
を含み、
前記ギャップセグメントが前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、前記修飾型オリゴヌクレオチドの各シトシン残基が5−メチルシトシンである、前記の化合物。
【請求項2】
前記化合物が複合体化されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、前記修飾型オリゴヌクレオチドの塩を含む、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記塩が、ナトリウム塩またはカリウム塩である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物および少なくとも1の薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む、組成物。
【請求項6】
a)動物におけるPTP1Bに関する疾患または状態を予防するか、治療するか、改善するか、その疾患または状態の進行を遅らせるか、またはその疾患または状態の開始を遅延させる際に使用するための、または
b)動物における血中グルコースレベルの増加を予防するかまたはその増加の開始を遅らせる際に使用するための、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項7】
a)前記動物がヒトである、
b)前記動物が糖尿病動物である、および/または
c)血中グルコースレベルが血漿グルコースレベルまたは血清グルコースレベルである、
請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記疾患または状態が
a)糖尿病、場合により2型糖尿病;または
b)肥満;
である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記化合物または組成物を第2の薬剤とともに共投与し、そして、場合により、前記化合物または組成物と前記第2の薬剤が同時投与される、請求項6〜8のいずれかに記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本願は電子形式の配列表と共に出願される。その配列表は、2012年4月12日に作製されたBIOL0149WOSEQ.txtという表題の、サイズが111Kbであるファイルとして提供される。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
動物においてPTP1B mRNAとタンパク質の発現を低減させる方法、化合物および組成物が本明細書において提供される。そのような方法、化合物および組成物は、例えば、代謝性疾患、特に、糖尿病に関連する障害の治療、予防、遅延化または改善に有用である。
【背景技術】
【0003】
タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)は、PTPファミリーに属する(Barfordら, Science 1994. 263: 1397-1404)細胞質内酵素である(Neel and Tonks, Curr. Opin. Cell Biol. 1997. 9: 193-204)。PTP1Bは、肝臓、筋肉および脂肪などの主要なインスリン代謝調整因子である組織を含め遍在的に発現し(Goldstein, Receptor 1993. 3: 1-15)、そこでPTP1Bは主なPTP酵素である。
【0004】
PTP1Bは、インスリンシグナル伝達の負の調節因子と考えられている。PTP1Bはインスリン受容体と相互作用して脱リン酸化するので、インスリンシグナル伝達を弱化させ、停止させる可能性もある。(Goldsteinら, J. Biol. Chem. 2000. 275: 4383-4389)。インスリンシグナル伝達におけるPTP1Bの生理学的役割は、ノックアウトマウスモデルで証明されている。PTP1B遺伝子が欠失したマウスでは、インスリン抵抗性および肥満が予防された(Elcheblyら, Science 1999. 283: 1544-1548)。PTP1B欠損マウスは、低肥満であり、基礎代謝率並びに総エネルギー消費量が増加し、食餌誘発性肥満が予防された。インスリン刺激性グルコース取込みは骨格筋では増加したが、脂肪組織は影響を受けず、PTP1B欠損マウスにおけるインスリン感受性の増加が組織特有である証拠が提供された(Klamanら, Mol. Cell. Biol. 2000. 20: 5479-5489)。これらのマウスは表現型的には正常であり、食餌誘発性肥満、インスリン抵抗性に対する耐性もあり、高脂肪食でトリグリセリドレベルが有意に低かった。従って、II型糖尿病、メタボリックシンドローム、糖尿病性異脂肪血症または関連の代謝性疾患の患者におけるPTP1Bの阻害は有益であろう。
【0005】
PTP1Bのアンチセンス阻害は、アンチセンス阻害剤が化合物のタンパク質への競合的結合に依存せず、PTP1Bの発現を低減させることによって活性を直接阻害するという点で、従来の小分子阻害剤に対して独特な利点を提供する。アンチセンス技術は、ある遺伝子産物の発現を低減させるための有効な手段として現れつつあり、したがって、それはPTP1Bの調節について多数の治療上、診断上および研究上の応用で独自の有用性が判明し得る。
【0006】
代謝性障害の治療にとって許容できる選択肢は現在のところ無い。それ故、そのような疾患および障害の治療用の化合物および方法を提供することが、本願の1つの目的である。
【0007】
本願で引用される、特許、特許出願、記事、書籍および学術論文を含むが、これらに限定されないあらゆる文書、または文書の一部が、本明細書で考察される文書の一部ならびにそれらの全体についての参照により明確に本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
PTP1B発現の調節のための、ならびに代謝性障害、特に、糖尿病関連障害および/またはその症状の治療、予防、遅延化または改善のための方法、化合物および組成物が本明細書で提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の多数の目的および利点は、添付の図面を参照することにより、当業者にはよりよく理解されよう。
図1】PTP1BアンチセンスオリゴヌクレオチドISIS404173およびISIS142082のウェスタンブロットを示し、8mgk/週でPTP1Bタンパク質の発現が低減し、かかる化合物の効力が示されている。表47参照。
図2】カニクイザルの主要な忍容性の研究の集計表である(実施例17参照)。
図3】用量反応前臨床試験におけるヒトPTP1B mRNAの減少のグラフ表示である。ISIS404173での処置を以前の臨床候補のISIS113715での処置と比較した。ここに示すように、ISIS404173を用いた投与は、ISIS113715を用いた投与と比べて効力が高く、PTP1B mRNAレベルの有意な低下をもたらした。特に、0.3μM用量で、ISIS404173ではISIS113715と比べてPTP1B mRNAレベルが5倍減少した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特許請求の範囲で請求されるように、前述の概要および下記の詳細な説明の両方が例示および説明のみを目的とし、本発明を限定するものではないことが理解されるものとする。本明細書において、単数形の使用は、別途特に明言されない限り、複数形を包含する。本明細書で使用される場合、「または(or)」の使用は、別途明言されない限り、「および/または(and/or)」を意味する。さらに、「含んでいる(including)」という用語ならびに「含む(includes)」および「含んだ(included)」などの他の語形の使用は非限定的である。また、「要素(element)」または「成分(component)」などの用語は、別途特に明言されない限り、1つの単位を含む複数の要素および成分ならびに1つより多い副単位を含む複数の要素および成分の両方を包含する。
【0011】
本明細書で使用されている項目は文書の構成のみを目的としており、記載内容を限定するものと解釈されてはならない。本願で引用される、特許、特許出願、記事、書籍および学術論文を含むが、これらに限定されないあらゆる文書、または文書の一部が、本明細書で考察される文書の一部ならびにそれらの全体についての参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0012】
定義
特定の定義が提供されない限り、本明細書に記載される、分析化学、合成有機化学および医化学および薬化学に関連して使用される命名法、およびそれらの方法および技術は周知であり、当技術分野において一般に使用される。化学合成および化学分析に標準的な技法を使用することができる。許される場合、本願で引用される、あらゆる特許、特許出願、特許出願公開、および他の論文発表、GENBANK受託番号、および国立生物工学情報センター(NCBI)などのデータベースから得ることができる関連の配列情報、および本開示を通して参照される他のデータを含むが、これらに限定されないあらゆる文書、または文書の一部が、本明細書で考察される文書の一部ならびにそれらの全体について、参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
特定の定義が提供されない限り、本明細書に記載される、分析化学、合成有機化学および医化学および薬化学に関連して使用される命名法、およびそれらの方法および技術は周知であり、当技術分野において一般に使用される。化学合成および化学分析に標準的な技法を使用することができる。許される場合、あらゆる特許、特許出願、特許出願公開、および他の発表論文、GENBANK受託番号、および国立生物工学情報センター(NCBI)などのデータベースから得ることができる関連の配列情報、および本開示を通して参照される他のデータが、本明細書で考察される文書の一部ならびにそれらの全体について、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
別途指示されない限り、以下の用語は次の意味を有する。
【0015】
「2’−O−メトキシエチル」(2’−MOEおよび2’−O(CH−OCHも)はフロシル環の2’位のO−メトキシ−エチル修飾を指す。2’−O−メトキシエチル修飾型糖は修飾型糖である。
【0016】
「2’−O−メトキシエチルヌクレオチド」は2’−O−メトキシエチル修飾型糖部分を含むヌクレオチドを意味する。
【0017】
「3’標的部位」は、特定のアンチセンス化合物の最も3’側のヌクレオチドに相補的な標的核酸のヌクレオチドを指す。
【0018】
「5’標的部位」は、特定のアンチセンス化合物の最も5’側のヌクレオチドに相補的な標的核酸のヌクレオチドを指す。
【0019】
「5−メチルシトシン」は、5’位に結合したメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5−メチルシトシンは修飾型核酸塩基である。
【0020】
「約」はある値の±10%以内を意味する。例えば、「マーカーが約50%増加し得る」と記述される場合、それは、そのマーカーが45%〜55%だけ増加し得ることを暗に意味する。
【0021】
「活性薬剤」は、個体に投与されると治療上の利益をもたらす医薬組成物中の単数の物質または複数の物質を意味する。例えば、ある特定の実施形態では、PTP1Bを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドが活性薬剤である。
【0022】
「活性標的領域」または「標的領域」は1つ以上の活性アンチセンス化合物が標的とする領域を意味する。「活性アンチセンス化合物」は、標的核酸レベルまたはタンパク質レベルを低減させるアンチセンス化合物を意味する。
【0023】
「脂肪形成」は前脂肪細胞からの脂肪細胞の発生を意味する。「脂質生成」は脂肪の産生または形成、脂肪変性または脂肪浸潤のどちらかを意味する。
【0024】
「肥満症」または「肥満」は、肥満である状態、すなわち、除脂肪体重に比して非常に大量の体脂肪または脂肪組織がある状態を指す。体脂肪の量には身体での脂肪の分布および貯蔵脂肪組織のサイズと質量の両方に対する問題が含まれる。体脂肪分布は、皮下脂肪の測定値、腹囲対臀囲比、または超音波、コンピュータ断層法もしくは核磁気共鳴画像法などの技術によって推定することができる。疾病予防管理センターによれば、30以上のボディマス指数(BMI)を有する個体は肥満であるとみなされている。「肥満」という用語は、本明細書で使用される場合、身体での脂肪組織の過剰な蓄積の結果として身体上の必要を越えた体脂肪の増加が存在する状態を包含する。「肥満」という用語には、次の状態が含まれるが、これらに限定されない:成人発症型肥満;食餌性肥満;内在性または炎症性肥満;内分泌性肥満;家族性肥満;高インスリン性肥満;過形成性肥厚性肥満;性機能低下性肥満;甲状腺機能低下性肥満;終身性肥満;病的肥満および外因性肥満。
【0025】
「同時に投与される」は、2つの薬剤の両方の薬理学的効果が同時に患者で現れるあらゆる方法でのそれらの薬剤の共投与を指す。同時投与は、両方の薬剤が単一の医薬組成物、同一の剤形または同一の投与経路で投与されることを必要としない。両方の薬剤の効果が同時に発現することを必要としない。ある期間効果が重なっているだけでよく、同一の期間に効果が存在する必要は無い。
【0026】
「投与」は動物に薬剤を提供することを意味し、そして、医療従事者による投与および自己投与を含むがこれらに限定されない。
【0027】
「薬剤」は、動物に投与されると治療上の利益を提供し得る活性物質を意味する。「第1薬剤」は、本明細書で提供される治療用化合物を意味する。例えば、第1薬剤はPTP1Bを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。「第2薬剤」は本発明の第2治療用化合物(例えば、PTP1Bを標的とする第2アンチセンスオリゴヌクレオチド)および/または非PTP1B治療用化合物を意味する。
【0028】
「改善」は、関連の疾患、障害または健康状態の少なくとも1つの指標、徴候または症状の減少を指す。指標の重症度は当業者に知られている主観的測定方法または客観的測定方法により決定され得る。
【0029】
「動物」はヒトまたは非ヒト動物を指し、非ヒト動物はマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタおよび非ヒト霊長類を含むが、これらに限定されず、非ヒト霊長類はサルおよびチンパンジーを含むが、これらに限定されない。
【0030】
「アンチセンス活性」は、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼーションに帰すことができるあらゆる検出可能または測定可能な活性を意味する。ある特定の実施形態では、アンチセンス活性は、標的核酸またはそのような標的核酸によりコードされるタンパク質の量または発現の低下である。
【0031】
「アンチセンス化合物」は、水素結合を介して標的核酸にハイブリダイゼーションすることができるオリゴマー化合物を意味する。
【0032】
「アンチセンス阻害」は、標的核酸に相補的であるアンチセンス化合物の存在下で、そのアンチセンス化合物が存在しないときの標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比較した、標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルの低下を意味する。
【0033】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的核酸の対応する領域または区域へのハイブリダイゼーションを可能とする核酸塩基配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。
【0034】
「二環式糖」は、2個の非ジェミナル環原子の架橋により修飾されたフロシル環を意味する。二環式糖は修飾型糖である。
【0035】
「二環式核酸」または「BNA」は、ヌクレオシドまたはヌクレオチドのフラノース部分がフラノース環上の2個の炭素原子を連結する架橋を含み、それにより二環式系を形成しているヌクレオシドまたはヌクレオチドを指す。
【0036】
「キャップ構造」または「末端キャップ部分」は、アンチセンス化合物のどちらかの末端に組み込まれている化学修飾を意味する。
【0037】
「化学的に異なる領域」は、あるアンチセンス化合物の別の領域と何らかの点で化学的に異なる同一のアンチセンス化合物のある領域を指す。例えば、2’−O−メトキシエチルヌクレオチドを有する領域は2’−O−メトキシエチル修飾が無いヌクレオチドを有する領域と化学的に異なる。
【0038】
「キメラアンチセンス化合物」は、少なくとも2つの化学的に異なる領域を有するアンチセンス化合物を意味する。
【0039】
「共投与」は2つ以上の薬剤の個体への投与を意味する。その2つ以上の薬剤は単一の医薬組成物の形状であり得るし、別々の医薬組成物の形状でもあり得る。2つ以上の薬剤のそれぞれが同一の、または異なる投与経路を介して投与され得る。共投与は並行投与または順次投与を包含する。
【0040】
「コレステロール」はあらゆる動物組織の細胞膜に見出されるステロール分子である。コレステロールは、超低密度リポタンパク質(VLDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)、低密度リポタンパク質(LDL)および高密度リポタンパク質(HDL)を含むリポタンパク質によって動物の血漿中に輸送されなければならない。「血漿コレステロール」は血漿または血清中に存在する全てのリポタンパク質(VDL、IDL、LDL、HDL)エステル化および/または非エステル化コレステロール全体を指す。
【0041】
「コレステロール吸収阻害剤」は食事から得られる外因性コレステロールの吸収を阻害する薬剤を意味する。
【0042】
「相補性」は第1核酸と第2核酸の核酸塩基間で対合する能力を意味する。
【0043】
「連続核酸塩基」は互いに直ぐ隣接する核酸塩基を意味する。
【0044】
「デオキシリボヌクレオチド」は、ヌクレオチドの糖部分の2’位に水素を有するヌクレオチドを意味する。デオキシリボヌクレオチドは様々な置換基のうちのいずれかにより修飾され得る。
【0045】
「真性糖尿病」または「糖尿病」は、不十分なレベルのインスリンまたはインスリン感受性の低下に起因する代謝乱調および異常高血糖(高血糖症)を特徴とする症候群である。特徴的な症状は、高血糖レベルが原因の大量の尿の産生(多尿症)、排尿の増加を補償しようとする多渇と水分摂取の増加(多飲症)、眼の光学系への高血糖の影響が原因の霞視、原因不明の体重減少および気力、活力の欠如である。
【0046】
「糖尿病性脂質異常症」または「脂質異常症併発2型糖尿病」は、2型糖尿病、HDL−C低下、トリグリセリド増加および高密度小LDL粒子の増加を特徴とする健康状態を意味する。
【0047】
「希釈剤」は、薬理学的活性は無いが、薬学的に必要な、または望ましい組成物中の成分を意味する。例えば、注射組成物中の希釈剤は液体、例えば、生理食塩水であり得る。
【0048】
「脂質異常症」は、脂質および/またはリポタンパク質の過剰産生または欠乏を含む、脂質代謝および/またはリポタンパク質代謝の障害を指す。脂質異常症は、コレステロールおよびトリグリセリドなどの脂質ならびに低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールなどのリポタンパク質の増加が徴候となり得る。
【0049】
「投薬単位」は、医薬が提供される形状、例えば、丸剤、錠剤、または当技術分野において公知の他の投薬単位を意味する。ある特定の実施形態では、投薬単位は凍結乾燥アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有するバイアルである。ある特定の実施形態では、投薬単位は加水して再構成したアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有するバイアルである。
【0050】
「用量」は、単回投与で、または特定の期間に提供される医薬品の特定の量を意味する。ある特定の実施形態では、1、2またはそれ以上のボーラス、錠剤または注射で用量が投与され得る。例えば、皮下投与が望ましいある特定の実施形態では、所望の用量が単回注射では容易に処理されない体積を必要とし、それ故、所望の用量を達成するために2回以上の注射が用いられ得る。ある特定の実施形態では、医薬が長時間にわたる点滴によって、または持続的に投与される。用量は1時間、1日、1週間または1か月当たりの医薬の量と述べることができる。
【0051】
「有効量」または「治療上有効量」は、活性医薬の、その薬剤を必要とする個体において所望の生理的結果を生じさせるのに十分な量を意味する。有効量は、治療される個体の健康状態および生理状態、治療される個体の分類群、組成物の剤形、個体の医学的状態の評価、および他の妥当な要因に応じて個体間でまちまちであり得る。
【0052】
「完全に相補的な」または「100%相補的な」は、第1核酸の核酸塩基配列の各核酸塩基が第2核酸の第2核酸塩基配列中に相補的な核酸塩基を有することを意味する。ある特定の実施形態では、第1核酸はアンチセンス化合物であり、標的核酸が第2核酸である。
【0053】
「ギャップマー」は、1つ以上のヌクレオシドを有する外部領域の間にRNase H切断を助ける複数のヌクレオシドを有する内部領域が位置し、内部領域を含むヌクレオシドが外部領域を含む単数のヌクレオシドまたは複数のヌクレオシドと化学的に異なるキメラアンチセンス化合物を意味する。その内部領域を「ギャップセグメント」と呼称することができ、その外部領域を「ウイングセグメント」と呼称することができる。
【0054】
「ギャップが拡張した」は、1個から6個までのヌクレオシドを有する5’および3’ウイングセグメントの間に、およびそれらに直ぐ隣接して位置する12個以上の連続する2’−デオキシリボヌクレオシドのギャップセグメントを有するキメラアンチセンス化合物を意味する。
【0055】
「グルコース」はエネルギー源および炎症性中間物として細胞によって使用される単糖である。「血漿グルコース」は血漿中に存在するグルコースを指す。
【0056】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、酵素HMG−CoAレダクターゼ阻害を通じて作用するアトルバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチンなどの薬剤を指す。
【0057】
「ハイブリダイゼーション」は相補的な核酸分子のアニーリングを意味する。ある特定の実施形態では、相補的な核酸分子にはアンチセンス化合物と標的核酸が含まれる。
【0058】
「高脂質血症」または「高脂肪血症」は、血清中脂質または循環(血漿中)脂質の増加を特徴とする健康状態である。この健康状態は異常に高濃度の脂肪を示す。循環血液中の脂質画分はコレステロール、低密度リポタンパク質、超低密度リポタンパク質およびトリグリセリドである。
【0059】
「高トリグリセリド血症」はトリグリセリドレベルの上昇を特徴とする健康状態を意味する。
【0060】
代謝性を有する動物を「特定すること」または「選択すること」は、代謝性疾患もしくは代謝性障害と診断されている対象を特定もしくは選択すること、または、メタボリックシンドローム、高血糖症、高トリグリセリド血症、高血圧、インスリン抵抗性の増加、インスリン感受性の低下、正常値を超える体重、および/もしくは正常値を超える体脂肪、もしくはこれらのあらゆる組合せを含むが、これらに限定されない代謝性疾患の任意の症状を有する対象を特定もしくは選択することを意味する。そのような特定は、血清または循環(血漿)血糖の測定、血清または循環(血漿)トリグリセリドの測定、血圧の測定、体脂肪の測定、体重測定などのような標準的な臨床試験または臨床評価を含むが、これらに限定されない任意の方法により達成することができる。
【0061】
「直ぐ隣接する」は、直ぐ隣接する要素の間に介在性要素が存在しないことを意味する。
【0062】
「個体」または「対象」または「動物」は処置または治療に選択されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0063】
「発現または活性の阻害」は、RNAまたはタンパク質の発現または活性の低下または妨害を指し、発現または活性の完全な排除を必ずしも表さない。
【0064】
「インスリン抵抗性」は、正常量のインスリンが脂肪細胞、筋肉細胞および肝細胞から正常なインスリン応答を引き出すのに不十分である健康状態と定義される。脂肪細胞におけるインスリン抵抗性は貯蔵トリグリセリドの加水分解を引き起こし、それが血漿中の遊離脂肪酸を増加させる。筋肉でのインスリン抵抗性はグルコース取込を低下させ、一方、肝臓でのインスリン抵抗性はグルコース貯蔵を低下させ、両方の効果が血糖を増加させるように働く。インスリン抵抗性が原因のインスリンとグルコースの高血漿中レベルが、多くの場合、メタボリックシンドロームと2型糖尿病を引き起こす。
【0065】
「インスリン感受性」は、個体がどれくらい効果的にグルコースを処理するかということの尺度である。高インスリン感受性を有する個体は効果的にグルコースを処理し、一方、低インスリン感受性を有する個体は効果的にグルコースを処理することがない。
【0066】
「ヌクレオシド間結合」はヌクレオシド間の化学結合を指す。
【0067】
「静脈内投与」は静脈への投与を意味する。
【0068】
「連結ヌクレオシド」は共に結合している隣接ヌクレオシドを意味する。
【0069】
「脂質低下治療」または「脂質低下薬剤」は、対象において1つ以上の脂質を低下させるために対象に提供される治療計画を意味する。ある特定の実施形態では、ApoB、総コレステロール、LDL−C、VLDL−C、IDL−C、非HDL−C、トリグリセリド、高密度小LDL粒子およびLp(a)のうちの1つ以上を対象で低下させるために、脂質低下治療が提供される。脂質低下治療の例にはスタチン類、フィブラート類およびMTP阻害剤が挙げられる。
【0070】
「主要リスクファクター」は、特定の疾患または健康状態の高いリスクに寄与する要因を指す。ある特定の実施形態では、冠状動脈性心疾患の主要リスクファクターには、喫煙、高血圧、低HDL−C、冠状動脈性心疾患の家族歴、年齢、および本明細書で開示される他の要因が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
「代謝性疾患」または「代謝性障害」は、代謝機能の異常または障害を特徴とする健康状態を指す。「代謝性」および「代謝」は当技術分野において周知の用語であり、そして、生物内で起こる生化学的処理の全範囲を一般に包含する。代謝性疾患または代謝性障害は肥満、糖尿病、高血糖症、前糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、糖尿病性脂質異常症または高トリグリセリド血症、またはそれらの組合せを包含するが、これらに限定されない。
【0072】
「メタボリックシンドローム」は、代謝起源の脂質性および非脂質性心血管系リスクファクターの集積を特徴とする健康状態を意味する。ある特定の実施形態では、メタボリックシンドロームは、次の要因のうちのいずれか3つの存在により特定される:男性では102cm、または女性では88cmを超える腹囲;少なくとも150mg/dLの血清中トリグリセリド;男性では40mg/dL未満、または女性では50mg/dL未満のHDL−C;少なくとも130/85mmHgの血圧;および少なくとも110mg/dLの空腹時グルコース。これらの決定要素は臨床診療で容易に測定され得る(JAMA, 2001, 285: 2486-2497)。
【0073】
「ミスマッチ」または「非相補的核酸塩基」は、第1核酸の核酸塩基が第2核酸または標的核酸の対応する核酸塩基と対合することができない場合を指す。
【0074】
「混合型脂質異常症」はコレステロールの増加とトリグリセリドの増加を特徴とする健康状態を意味する。
【0075】
「修飾型ヌクレオシド間結合」は天然のヌクレオシド間結合(すなわち、ホスホジエステルヌクレオシド間結合)からの置換またはあらゆる変化を指す。
【0076】
「修飾型核酸塩基」はアデニン、シトシン、グアニン、チミジンまたはウラシル以外のあらゆる核酸塩基を指す。「非修飾型核酸塩基」はプリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)ならびにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を意味する。
【0077】
「修飾型ヌクレオシド」は独立して修飾型糖部分または修飾型核酸塩基を有するヌクレオシドを意味する。
【0078】
「修飾型ヌクレオチド」は独立して修飾型糖部分、修飾型ヌクレオシド間結合または修飾型核酸塩基を有するヌクレオチドを意味する。「修飾型ヌクレオシド」は独立して修飾型糖部分または修飾型核酸塩基を有するヌクレオシドを意味する。
【0079】
「修飾型オリゴヌクレオチド」は少なくとも1つの修飾型ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0080】
「修飾型糖」は天然糖からの置換または変化を指す。
【0081】
「モチーフ」はアンチセンス化合物内の化学的に異なる領域のパターンを意味する。
【0082】
「MTP阻害剤」は酵素であるミクロソームトリグリセリド移送タンパク質を阻害する薬剤を意味する。
【0083】
「天然ヌクレオシド間結合」は3’から5’ホスホジエステル結合を意味する。
【0084】
「天然糖部分」はDNA(2’−H)またはRNA(2’−OH)に見出される糖を意味する。
【0085】
「非アルコール性脂肪肝疾患」または「NAFLD」は、過剰なアルコール使用(例えば、20g/日を超えるアルコール消費)が原因ではない肝臓の脂肪性炎症を特徴とする健康状態を意味する。ある特定の実施形態では、NAFLDはインスリン抵抗性およびメタボリックシンドロームに関連する。NAFLDは肝細胞での単なるトリグリセリド蓄積(脂肪肝)から炎症併発性脂肪肝(脂肪性肝炎)、線維症および硬変までの範囲の疾患を包含する。
【0086】
「非アルコール性脂肪性肝炎」(NASH)はトリグリセリドの蓄積を超えたNAFLDの進行から生じる。壊死、炎症および線維症を誘導することができる「第2撃」がNASHの発生に必要とされる。その第2撃の候補は、酸化ストレスの増加を引き起こす要因、および炎症誘発性サイトカインの発現を促進する要因という大分類に分けることができる。
【0087】
「核酸」は単量体のヌクレオチドから構成される分子を指す。核酸にはリボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸、二本鎖核酸、低分子干渉リボ核酸(siRNA)、およびマイクロRNA(miRNA)が含まれる。核酸はまた一つの分子にこれらの要素の組み合わせを含むこともできる。
【0088】
「核酸塩基」は別の核酸の塩基と対合することができる複素環部分を意味する。
【0089】
「核酸塩基配列」はあらゆる糖、結合または核酸塩基修飾から独立した連続する核酸塩基の順序を意味する。
【0090】
「ヌクレオシド」は糖に結合した核酸塩基を意味する。
【0091】
「ヌクレオシド模倣物」は、例えば、モルホリノ糖模倣物、シクロヘキセニル糖模倣物、シクロヘキシル糖模倣物、テトラヒドロピラニル糖模倣物、ビシクロまたはトリシクロ糖模倣物、例えば、非フラノース糖単位を有するヌクレオシド模倣物など、糖、または糖と塩基を置換するために使用され、必ずしもオリゴマー化合物の1つ以上の位置の結合を置換するために使用されるわけではない構造を包含する。
【0092】
「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。
【0093】
「ヌクレオチド模倣物」は、例えば、ペプチド核酸またはモルホリノ類(−N(H)−C(=O)−O−または他の非ホスホジエステル結合によって連結したモルホリノ類)など、オリゴマー化合物の1つ以上の位置のヌクレオシドと結合を置換するために使用される構造を包含する。
【0094】
「オリゴマー化合物」または「オリゴマー」は、2つ以上の副構造を含み、核酸分子のある領域にハイブリダイズすることができる重合体構造を指す。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物はオリゴヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物はオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物はアンチセンス化合物である。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物はキメラオリゴヌクレオチドである。
【0095】
「オリゴヌクレオチド」は、ヌクレオシドのそれぞれが互いに独立して修飾型または非修飾型であり得る、連結したヌクレオシドからなる重合体を意味する。
【0096】
「非経口投与」は注射または点滴による投与を意味する。非経口投与には皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与または頭蓋内投与、例えば、髄腔内投与もしくは脳室内投与が含まれる。投与は連続投与、または長期投与、または短期投与、または断続的投与であり得る。
【0097】
「ペプチド」は、アミド結合により少なくとも2つのアミノ酸を結合して形成された分子を意味する。ペプチドはポリペプチドおよびタンパク質を指す。
【0098】
「医薬」は、個体に投与されると治療上の利益を提供する物質を意味する。例えば、ある特定の実施形態では、PTP1Bを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは医薬である。
【0099】
「医薬組成物」は個体への投与に適切な物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は1つ以上の活性薬剤および無菌水溶液を含み得る。
【0100】
「薬学的に許容可能な担体」は、オリゴヌクレオチドの構造に干渉しない媒体または希釈剤を意味する。そのような担体のある特定のものによって、医薬組成物は、例えば、対象による経口摂取用の錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤およびトローチ剤として製剤され得る。例えば、薬学的に許容可能な担体は無菌水溶液であり得る。
【0101】
「薬学的に許容可能な誘導体」は本明細書に記載される化合物の薬学的に許容可能な塩、複合体、プロドラッグまたは異性体を包含する。
【0102】
「薬学的に許容可能な塩」はアンチセンス化合物の生理学的および薬学的に許容可能な塩、すなわち、親オリゴヌクレオチドの所望の生物活性を保持し、望ましくない毒性をそれに加えない塩を意味する。
【0103】
「ホスホロチオエート結合」は、非架橋酸素原子のうちの1つをイオウ原子で置換することによりホスホジエステル結合が修飾されているヌクレオシド間の結合を意味する。ホスホロチオエート結合は修飾型ヌクレオシド間結合である。
【0104】
「部分」は、核酸の限定した数の連続する(すなわち、連結した)核酸塩基を意味する。ある特定の実施形態では、部分は、標的核酸の限定した数の連続する核酸塩基である。ある特定の実施形態では、部分は、アンチセンス化合物の限定した数の連続する核酸塩基である。
【0105】
「予防する」は、数分から無限までの期間、疾患、障害または病気の発症または発生を遅らせること、または未然に防ぐことを指す。「予防する」は疾患、障害または病気の発生のリスクを低減することも意味する。
【0106】
「プロドラッグ」は、不活性型で調製され、内在性の酵素または他の化学物質または条件によって体内または細胞内でその活性型に変換される治療薬を意味する。
【0107】
「タンパク質チロシンホスファターゼ1B」または「PTP1B」(PTPN1;タンパク質チロシンホスファターゼ非受容体1型;PTP−1B;RKPTPとしても知られる)はPTP1Bの任意の核酸またはタンパク質を意味する。
【0108】
「PTP1B発現」はPTP1Bをコードする遺伝子から転写されるmRNAのレベル、またはそのmRNAから翻訳されたタンパク質のレベルを意味する。PTP1B発現は、ノーザンブロットまたはウェスタンブロットなどの当技術分野で公知の方法によって決定することができる。
【0109】
「PTP1B核酸」はPTP1Bをコードするあらゆる核酸を意味する。例えば、ある特定の実施形態では、PTP1B核酸はPTP1BをコードするDNA配列、PTP1BをコードするDNA(イントロンおよびエクソンを含むゲノムDNAを包含する)から転写されるRNA配列、およびPTP1BをコードするmRNA配列を包含する。「PTP1B mRNA」はPTP1Bタンパク質をコードするmRNAを意味する。
【0110】
「副作用」は、ある処置に帰することができる、所望の効果以外の生理的反応を意味する。ある特定の実施形態では、副作用には注射部位反応、肝機能検査異常、腎機能異常、肝毒性、腎毒性、中枢神経系異常、筋障害および倦怠感が含まれる。例えば、血清中のアミノトランスフェラーゼレベルの上昇は肝毒性または肝機能異常を示し得る。例えば、ビリルビンの増加は肝毒性または肝機能異常を示し得る。
【0111】
「一本鎖オリゴヌクレオチド」は、相補鎖にハイブリダイズされていないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0112】
「特異的にハイブリダイズ可能な」は、インビボ測定および治療の場合に、所望の効果を誘導するのに十分な程度のアンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸の間の相補性を有しているが、特異的な結合が望ましい条件、すなわち、生理的条件では、非標的核酸に対して最小の効果を示す、または全く効果を示さないアンチセンス化合物を指す。
【0113】
「スタチン」はHMG−CoA還元酵素の活性を阻害する薬剤を意味する。
【0114】
「皮下投与」は皮膚のすぐ下への投与を意味する。
【0115】
「標的とする」または「標的とした」は、標的核酸に特異的にハイブリダイズし、そして、所望の効果を誘導するアンチセンス化合物の設計および選択の過程を意味する。
【0116】
「標的核酸」、「標的RNA」および「標的RNA転写物」は全てアンチセンス化合物によって標的とされ得る核酸を指す。
【0117】
「標的セグメント」は、アンチセンス化合物が標的とする標的核酸のヌクレオチド配列を意味する。「5’標的部位」は標的セグメントの最も5’側のヌクレオチドを指す。「3’標的部位」は標的セグメントの最も3’側のヌクレオチドを指す。
【0118】
「治療上有効量」は、個体に治療上の利益を提供する薬剤の量を意味する。
【0119】
「治療のための生活習慣の変更(therapeutic lifestyle change)」は、脂肪/脂肪組織質量および/またはコレステロールの低減を目的とした食事および生活習慣の変更を意味する。そのような変更は心臓疾患を発症するリスクを低下させることができ、そして、1日の総カロリー、総脂肪、飽和脂肪、多価不飽和脂肪、一価不飽和脂肪、炭水化物、タンパク質、コレステロール、不溶性繊維の食事による摂取に対する勧告ならびに身体活動に対する勧告を包含する。
【0120】
「トリグリセリド」または「TG」は、3つの脂肪酸分子と組み合わさったグリセロールからなる脂質または中性脂肪を意味する。
【0121】
「2型糖尿病」(「2型真性糖尿病」または「真性糖尿病、2型」としても知られており、以前は「真性糖尿病2型」、「非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)」、「肥満関連糖尿病」または「成人発症性糖尿病」と呼ばれていた)は、インスリン抵抗性、相対的インスリン欠乏および高血糖症を主な特徴とする代謝性障害である。
【0122】
「治療する」は、疾患、障害または健康状態の変化または改善をもたらすために動物に医薬組成物を投与することを指す。
【0123】
「非修飾型ヌクレオチド」は天然の核酸塩基、糖部分およびヌクレオシド間結合から構成されるヌクレオチドを意味する。ある特定の実施形態では、非修飾型ヌクレオチドはRNAヌクレオチド(すなわち、β−D−リボヌクレオシド)またはDNAヌクレオチド(すなわち、β−D−デオキシリボヌクレオシド)である。
【0124】
ある特定の実施形態
特定の実施形態は、PTP1B発現を阻害するための方法、化合物および組成物を提供する。
【0125】
ある特定の実施形態は、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物を提供する。ある特定の実施形態では、PTP1B核酸は、GENBANK受託番号NM_002827.2(配列番号1として本明細書に組み込まれる)、GENBANK受託番号NT_011362.9から切り出したヌクレオチド14178000から14256000(配列番号2として本明細書に組み込まれる);およびアカゲザルPTP1B足場のエクソン1〜9、イントロン9およびエクソン10の配列の連鎖(配列番号3として本明細書に組み込まれる)に示されるもののうちの任意の配列である。
【0126】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する10〜30個のヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0127】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、10〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0128】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、10〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号4〜32または100〜111のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有することができる。
【0129】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、10〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号26または44のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有することができる。
【0130】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、10〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173、410002、438373、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有することができる。
【0131】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、10〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有することができる。
【0132】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する15〜30個のヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0133】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、15〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0134】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、15〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号4〜32または100〜111のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有することができる。
【0135】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、15〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号26または44のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有することができる。
【0136】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、15〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173、410002、438373、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有することができる。
【0137】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、15〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有することができる。
【0138】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する18〜21個のヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0139】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、18〜21個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0140】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、18〜21個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号4〜32または39〜49のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0141】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、18〜21個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号26または44のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0142】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、18〜21個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173、410002、438373、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0143】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、18〜21個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0144】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する20〜35個のヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0145】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0146】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号4〜32または50の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0147】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号26の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0148】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173、410002、438373、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0149】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0150】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する20〜30個のヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0151】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜30個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0152】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜30個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号4〜32または50の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0153】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜30個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号26の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0154】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜30個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173、410002、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0155】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜30個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0156】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する20〜25個のヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0157】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜25個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0158】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜25個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号4〜32の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0159】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜25個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号26の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0160】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜25個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173、410002、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0161】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜25個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0162】
ある特定の実施形態では、本発明の化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する20〜24個のヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0163】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜24個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0164】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜24個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号4〜32の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0165】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜24個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号26の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0166】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜24個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173、410002、438373、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0167】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜24個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0168】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する20〜23個のヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0169】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜23個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22または23個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0170】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜23個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号4〜32の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0171】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜23個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号26の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0172】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜23個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173、410002、438373、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0173】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜23個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0174】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する20〜22個のヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0175】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜22個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0176】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜22個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号4〜32の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0177】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜22個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号26の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0178】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜22個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173、410002、438373、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0179】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜22個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0180】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する20〜21個のヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0181】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜21個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0182】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜21個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号4〜32の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0183】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜21個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号26の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0184】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜21個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173、410002、438373、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0185】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20〜21個の連結したヌクレオシドからなり、ISIS番号404173の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0186】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20個のヌクレオシドからなり、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0187】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0188】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号4〜32の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0189】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、20個の連結したヌクレオシドからなり、配列番号26の少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する。
【0190】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、ISIS番号404173、410002、438373、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかからなる。
【0191】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、ISIS番号404173からなる。
【0192】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号26からなる。
【0193】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は前記修飾型オリゴヌクレオチドの塩を含む。
【0194】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は薬学的に許容可能な担体または希釈剤をさらに含む。
【0195】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、前記修飾型オリゴヌクレオチドの全体に対して測定すると、配列番号1〜3のいずれか1つに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相補的である。
【0196】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、前記修飾型オリゴヌクレオチドの全体に対して測定すると、配列番号4〜32または39〜50のいずれか1つに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する。
【0197】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、前記修飾型オリゴヌクレオチドの全体に対して測定すると、配列番号26から44のいずれか1つに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する。
【0198】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、前記修飾型オリゴヌクレオチドの全体に対して測定すると、ISIS番号404173、410002、438373、438383、438445、438454、438463または438472のいずれか1つに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する。
【0199】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、前記修飾型オリゴヌクレオチドの全体に対して測定すると、ISIS番号404173に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する。
【0200】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物は一本鎖修飾型オリゴヌクレオチドからなる。
【0201】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドは8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35個の連結したヌクレオシドからなる。ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドは20個の連結したヌクレオシドからなる。ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドは18個の連結したヌクレオシドからなる。
【0202】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシド間結合は修飾型ヌクレオシド間結合である。ある特定の実施形態では、各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0203】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオシドは修飾型核酸塩基を含む。ある特定の実施形態では、前記修飾型核酸塩基は5−メチルシトシンである。
【0204】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドは、a)連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;およびc)連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含む。ギャップセグメントは前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、そして、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが修飾型糖を含む。
【0205】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドは20個の連結したヌクレオシドからなり、前記ギャップセグメントは10個の連結したデオキシヌクレオシドからなり、前記5’ウイングセグメントは5個の連結したヌクレオシドからなり、前記3’ウイングセグメントは5個の連結したヌクレオシドからなり、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシンが5−メチルシトシンである。
【0206】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドは20個の連結したヌクレオシドからなり、前記ギャップセグメントは8個の連結したデオキシヌクレオシドからなり、前記5’ウイングセグメントは6個の連結したヌクレオシドからなり、前記3’ウイングセグメントは6個の連結したヌクレオシドからなり、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシンが5−メチルシトシンである。
【0207】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドは20個の連結したヌクレオシドからなり、前記ギャップセグメントは13個の連結したデオキシヌクレオシドからなり、前記5’ウイングセグメントは2個の連結したヌクレオシドからなり、前記3’ウイングセグメントは5個の連結したヌクレオシドからなり、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシンが5-メチルシトシンである。
【0208】
ある特定の実施形態では、前記修飾型オリゴヌクレオチドは18個の連結したヌクレオシドからなり、前記ギャップセグメントは8個の連結したデオキシヌクレオシドからなり、前記5’ウイングセグメントは5個の連結したヌクレオシドからなり、前記3’ウイングセグメントは5個の連結したヌクレオシドからなり、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシンが5−メチルシトシンである。
【0209】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは、a)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;およびc)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含む。前記ギャップセグメントは前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシン残基が5−メチルシトシンである。
【0210】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号1〜3のいずれかの等しい長さの部分に相補的である少なくとも8個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、18個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは、a)8個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)6個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;およびc)6個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含む。前記ギャップセグメントは前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシン残基が5−メチルシトシンである。
【0211】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号4〜32の少なくとも19個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは、a)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;およびc)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含む。前記ギャップセグメントは前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシン残基が5−メチルシトシンである。
【0212】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号26の少なくとも19個の連続する核酸塩基配列を有する、20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは、a)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;およびc)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含む。前記ギャップセグメントは前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシン残基が5−メチルシトシンである。
【0213】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号26の核酸塩基配列を有する20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは、a)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;およびc)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含む。前記ギャップセグメントは前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシン残基が5−メチルシトシンである。
【0214】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号26または44の少なくとも19個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは、a)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;およびc)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含む。前記ギャップセグメントは前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシン残基が5−メチルシトシンである。ある特定の実施形態では、前記化合物または組成物はISIS番号 404173、410002、438383、438445、438454、438463または438472のいずれかの化合物を含む。
【0215】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号4〜32の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは、a)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;およびc)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含む。前記ギャップセグメントは前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシン残基が5−メチルシトシンである。
【0216】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号26の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する、20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは、a)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;およびc)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含む。前記ギャップセグメントは前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシン残基が5−メチルシトシンである。
【0217】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、配列番号26の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは、a)10個の連結したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント;b)5個の連結したヌクレオシドからなる5’ウイングセグメント;およびc)5個の連結したヌクレオシドからなる3’ウイングセグメントを含む。前記ギャップセグメントは前記5’ウイングセグメントと前記3’ウイングセグメントの間に位置し、各ウイングセグメントの各ヌクレオシドが2’−O−メトキシエチル修飾型糖を含み、各ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であり、そして、各シトシン残基が5−メチルシトシンである。ある特定の実施形態では、前記化合物または組成物はISIS番号404173の化合物を含む。
【0218】
特定の実施形態は、PTP1B発現を阻害するための方法、化合物および組成物を提供する。
【0219】
特定の実施形態は、本明細書に記載されるような化合物を動物に投与することを含む、前記動物においてPTP1B発現を低下させる方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、10〜30個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、20〜35個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、20〜25個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、20〜24個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、20〜23個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、20〜22個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、20〜21個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、20個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0220】
特定の実施形態は、本明細書に記載されるような化合物を動物に投与することを含む、前記動物において代謝性疾患を予防、改善または治療する方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、10〜30個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、20個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。代謝性疾患または障害の例には肥満、糖尿病、高血糖症、前糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、糖尿病性脂質異常症または高トリグリセリド血症、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0221】
特定の実施形態は、本明細書に記載されるような化合物を動物に投与することを含む、前記動物においてグルコースレベルを低下させる方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、10〜30個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、前記化合物は、PTP1Bを標的とする、20個の連結したヌクレオシドの長さの修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、動物でのグルコースレベルの低下が代謝性疾患を予防、改善または治療する。ある特定の実施形態では、動物でのグルコースレベルの低下が糖尿病を予防、改善または治療する。ある特定の実施形態では、動物でのグルコースレベルの低下が肥満を予防、改善または治療する。ある特定の実施形態では、動物でのグルコースレベルの低下がメタボリックシンドロームを予防、改善または治療する。ある特定の実施形態では、動物でのグルコースレベルの低下がインスリン抵抗性を予防、改善または治療する。ある特定の実施形態では、動物でのグルコースレベルの低下が高血糖症を予防、改善または治療する。ある特定の実施形態では、動物でのグルコースレベルの低下がNAFLDを予防、改善または治療する。ある特定の実施形態では、動物でのグルコースレベルの低下が糖尿病性脂質異常症を予防、改善または治療する。ある特定の実施形態では、グルコースレベルが少なくとも5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%低下する。
【0222】
ある特定の実施形態では、PTP1Bは、GenBank受託番号:GENBANK受託番号NM_002827.2(配列番号1として本明細書に組み込まれる)、GENBANK受託番号NT_011362.9から切り出したヌクレオチド14178000から14256000まで(配列番号2として本明細書に組み込まれる);およびアカゲザルPTP1B足場のエクソン1〜9、イントロン9およびエクソン10の配列の連鎖(配列番号3として本明細書に組み込まれる)のいずれかに示されるような配列を有する。ある特定の実施形態では、PTP1Bは、配列番号1〜2に示されるようなヒト配列を有する。ある特定の実施形態では、PTP1Bは、配列番号3に示されるようなアカゲザル配列を有する。
【0223】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、それらの塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号4〜32、50に列挙される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20〜25個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号4〜32、50に列挙される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号4〜32、50に列挙される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。
【0224】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、それらの塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号26に列挙される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20〜25個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号26に列挙される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号26に列挙される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。
【0225】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、それらの塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173、410002、438383、438445、438454、438463または438472に列挙される核酸塩基配列の中から選択される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20〜25個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173、410002、438383、438445、438454、438463または438472に列挙される核酸塩基配列の中から選択される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173、410002、438383、438445、438454、438463または438472に列挙される核酸塩基配列の中から選択される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。
【0226】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供される化合物または組成物は、それらの塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173に列挙される核酸塩基配列の中から選択される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20〜25個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173に列挙される核酸塩基配列の中から選択される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。ある特定の実施形態では、前記組成物は、20個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173に列挙される核酸塩基配列の中から選択される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドまたはその塩、および薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む。
【0227】
特定の実施形態は、PTP1Bが関連する疾患または健康状態を有する動物を治療する方法であって、a)前記のPTP1Bが関連する疾患または健康状態を有する前記動物を特定すること、およびb)10〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドであって、前記修飾型オリゴヌクレオチドの全体にわたって測定すると、配列番号1〜3のいずれかに対して少なくとも90%相補的である核酸塩基配列を有する前記修飾型オリゴヌクレオチドを含む化合物の治療上有効量を前記動物に投与することを含む前記方法を提供する。ある特定の実施形態では、動物に投与された前記の治療上有効量の化合物が前記の動物におけるPTP1Bが関連する疾患もしくは健康状態またはその症状を治療または軽減する。ある特定の実施形態では、前記のPTP1Bが関連する疾患または健康状態は糖尿病である。
【0228】
特定の実施形態は、PTP1Bが関連する疾患または健康状態を有する動物を治療する方法であって、a)前記のPTP1Bが関連する疾患または健康状態を有する前記動物を特定すること、およびb)20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドであって、前記修飾型オリゴヌクレオチドの全体にわたって測定すると、配列番号1〜3のいずれかに対して少なくとも100%相補的である核酸塩基配列を有する前記修飾型オリゴヌクレオチドを含む化合物の治療上有効量を前記動物に投与することを含む前記方法を提供する。ある特定の実施形態では、動物に投与された前記の治療上有効量の化合物が前記の動物におけるPTP1Bが関連する疾患もしくは健康状態またはその症状を治療または軽減する。ある特定の実施形態では、前記のPTP1Bが関連する疾患または健康状態は糖尿病である。
【0229】
特定の実施形態は、代謝性疾患を治療、予防または改善する方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記代謝性疾患は肥満、糖尿病、高血糖症、前糖尿病、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、糖尿病性脂質異常症または高トリグリセリド血症、またはそれらの組合せである。
【0230】
特定の実施形態は、過剰増殖性疾患を治療、予防または改善する方法を提供する。
【0231】
特定の実施形態は、動物に対して本明細書に記載されるような化合物を動物に投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記方法は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号4〜32または50に列挙される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを動物に投与することを含む。特定の実施形態は、動物に対して本明細書に記載されるような化合物を動物に投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記方法は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつ配列番号26に列挙される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを動物に投与することを含む。
【0232】
特定の実施形態は、動物に対して本明細書に記載されるような化合物を動物に投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記方法は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173、410002、438383、438445、438454、438463または438472に列挙される核酸塩基配列の中から選択される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを動物に投与することを含む。
【0233】
特定の実施形態は、動物に対して本明細書に記載されるような化合物を動物に投与することを含む方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記方法は、20〜35個の連結したヌクレオシドからなり、かつISIS番号404173に列挙される核酸塩基配列の中から選択される核酸塩基配列の少なくとも20個の連続する核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾型オリゴヌクレオチドを動物に投与することを含む。
【0234】
ある特定の実施形態では、前記動物はヒトである。
【0235】
ある特定の実施形態では、前記の投与が本明細書に記載されるような代謝性疾患を予防、治療、改善し、またはその進行を遅らせる。
【0236】
ある特定の実施形態では、前記の投与が本明細書に記載されるような糖尿病を予防、治療、改善し、またはその進行を遅らせる。
【0237】
ある特定の実施形態では、前記化合物は第2の薬剤と共投与される。
【0238】
ある特定の実施形態では、前記化合物と前記第2薬剤は同時投与される。
【0239】
ある特定の実施形態では、投与は非経口投与である。
【0240】
特定の実施形態は、動物においてPTP1B mRNAまたはタンパク質の発現を減少させる方法であって、前記動物においてPTP1B mRNAまたはタンパク質の発現を減少させるために本明細書に記載されるような化合物または組成物を前記動物に投与することを含む前記方法をさらに提供する。ある特定の実施形態では、前記動物はヒトである。ある特定の実施形態では、PTP1B mRNAまたはタンパク質の発現の低下が代謝性疾患を予防、治療、改善し、またはその進行を遅らせる。ある特定の実施形態では、前記の代謝性の疾患または健康状態は糖尿病である。
【0241】
特定の実施形態は、代謝性疾患を有するヒトを治療する方法であって、その疾患を有するヒトを特定し、そして、治療上有効量の本明細書に記載されるような化合物または組成物をそのヒトに投与することを含む前記方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記の治療が、メタボリックシンドローム、高血糖症、高トリグリセリド血症、高血圧、グルコースレベルの上昇、インスリン抵抗性の増加、インスリン感受性の低下、正常値を超える体重、および/または正常値を超える体脂肪、またはそれらの任意の組合せからなる群より選択される症状を軽減する。
【0242】
特定の実施形態は、糖尿病を有するヒトを治療する方法であって、その疾患を有するヒトを特定し、そして、治療上有効量の本明細書に記載されるような化合物または組成物をそのヒトに投与することを含む前記方法を提供する。ある特定の実施形態では、前記の治療が、メタボリックシンドローム、高血糖症、高トリグリセリド血症、高血圧、グルコースレベルの上昇、インスリン抵抗性の増加、インスリン感受性の低下、正常値を超える体重、および/または正常値を超える体脂肪、またはそれらの任意の組合せからなる群より選択される症状を軽減する。
【0243】
治療上有効量の本明細書に記載されるような化合物または組成物をヒトに投与し、それにより代謝性疾患を軽減または予防することを含む、代謝性疾患を軽減または予防する方法がさらに提供される。
【0244】
治療上有効量の本明細書に記載されるような化合物または組成物をヒトに投与し、それにより糖尿病を軽減または予防することを含む、糖尿病を軽減または予防する方法がさらに提供される。
【0245】
代謝性疾患の症状を改善する方法であって、20〜35個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む化合物を必要とする人に投与することを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは配列番号1、2または3に特異的にハイブリダイズし、それによりそのヒトの代謝性疾患の症状が改善する方法がさらに提供される。
【0246】
糖尿病の症状を改善する方法であって、10〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む化合物を必要とする人に投与することを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは配列番号1、2または3に特異的にハイブリダイズし、それによりそのヒトの糖尿病の症状が改善する方法がさらに提供される。
【0247】
糖尿病の症状を改善する方法であって、20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む化合物を必要とする人に投与することを含み、前記修飾型オリゴヌクレオチドは配列番号1、2または3に特異的にハイブリダイズし、それによりそのヒトの糖尿病の症状が改善する方法がさらに提供される。
【0248】
代謝性疾患に関係する症状の進行を減速させる方法であって、10〜30個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む化合物を必要とするヒトに投与し、前記修飾型オリゴヌクレオチドは配列番号1、2または3に特異的にハイブリダイズし、それによりそのヒトの代謝性疾患の症状の進行が減速する方法がさらに提供される。
【0249】
糖尿病に関係する症状の進行を減速させる方法であって、20〜35個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチド含む化合物を必要とするヒトに投与し、前記修飾型オリゴヌクレオチドは配列番号1、2または3に特異的にハイブリダイズし、それによりそのヒトの糖尿病の症状の進行が減速する方法がさらに提供される。
【0250】
糖尿病に関係する症状の進行を減速させる方法であって、20個の連結したヌクレオシドからなる修飾型オリゴヌクレオチド含む化合物を必要とするヒトに投与し、前記修飾型オリゴヌクレオチドは配列番号1、2または3に特異的にハイブリダイズし、それによりそのヒトの糖尿病の症状の進行が減速する方法がさらに提供される。
【0251】
代謝性疾患の治療、予防または改善用の医薬の調製のための方法および化合物もまた提供される。
【0252】
糖尿病の治療、予防または改善用の医薬の調製のための方法および化合物もまた提供される。
【0253】
ある特定の実施形態は、代謝性疾患の治療、改善または予防用の医薬の製造における本明細書に記載されるような化合物の使用法を提供する。
【0254】
ある特定の実施形態は、糖尿病の治療、改善または予防用の医薬の製造における本明細書に記載されるような化合物の使用法を提供する。
【0255】
ある特定の実施形態は、追加の薬剤との併用療法または本明細書に記載されるような治療法による、本明細書に記載されるような代謝性疾患の治療、予防または改善に使用される、本明細書に記載されるような化合物を提供する。薬剤または治療法を共投与または同時投与することができる。
【0256】
ある特定の実施形態は、追加の薬剤との併用療法または本明細書に記載されるような治療法による、本明細書に記載されるような糖尿病の治療、予防または改善に使用される、本明細書に記載されるような化合物を提供する。薬剤または治療法を共投与または同時投与することができる。
【0257】
ある特定の実施形態は、追加の薬剤との併用療法または本明細書に記載されるような治療法による、本明細書に記載されるような代謝性疾患の治療、予防または改善用の医薬の製造における本明細書に記載されるような化合物の使用法を提供する。薬剤または治療法を共投与または同時投与することができる。
【0258】
ある特定の実施形態は、追加の薬剤との併用療法または本明細書に記載されるような治療法による、本明細書に記載されるような糖尿病の治療、予防または改善用の医薬の製造における本明細書に記載されるような化合物の使用法を提供する。薬剤または治療法を共投与または同時投与することができる。
【0259】
ある特定の実施形態は、本明細書に記載されるような追加の薬剤または治療法が後に投与される患者での本明細書に記載されるような代謝性疾患の治療、予防または改善用の医薬の製造における本明細書に記載されるような化合物の使用法を提供する。
【0260】
ある特定の実施形態は、本明細書に記載されるような追加の薬剤または治療法が後に投与される患者での本明細書に記載されるような糖尿病の治療、予防または改善用の医薬の製造における本明細書に記載されるような化合物の使用法を提供する。
【0261】
ある特定の実施形態は、本明細書に記載されるような代謝性疾患の治療、予防または改善用のキットであって、
(i)本明細書に記載されるような化合物;および、代わりに
(ii)本明細書に記載されるような追加の薬剤または治療法
を含む前記キットを提供する。
【0262】
ある特定の実施形態は、本明細書に記載されるような糖尿病の治療、予防または改善用のキットであって、
(i)本明細書に記載されるような化合物;および、代わりに
(ii)本明細書に記載されるような追加の薬剤または治療法
を含む前記キットを提供する。
【0263】
本明細書に記載されるようなキットは、本明細書に記載されるような併用療法により本明細書に記載されるような代謝性疾患を治療、予防または改善するためにそのキットを使用するための使用説明書をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、前記代謝性疾患は糖尿病である。
【0264】
アンチセンス化合物
オリゴマー化合物にはオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド類似体、オリゴヌクレオチド模倣物、アンチセンス化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびsiRNAが含まれるが、これらに限定されない。オリゴマー化合物は標的核酸に対して「アンチセンス」であり得るが、それは、水素結合を介した標的核酸へのハイブリダイゼーションを行うことができることを意味する。
【0265】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、5’から3’方向で記述されると、それが標的とする標的核酸の標的セグメントの逆相補的配列を含む核酸塩基配列を有する。特定のそのような実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’から3’方向で記述されると、それが標的とする標的核酸の標的セグメントの逆相補的配列を含む核酸塩基配列を有する。
【0266】
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物は長さが10〜30ヌクレオチドである。すなわち、アンチセンス化合物は10個から30個までの連結した核酸塩基である。ほかの実施形態では、前記アンチセンス化合物は、8〜80個、10〜50個、15〜30個、18〜21個、20〜80個、20〜35個、20〜30個、20〜29個、20〜28個、20〜27個、20〜26個、20〜25個、20〜24個、20〜23個、20〜22個、20〜21個または20個の連結した核酸塩基からなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。特定のそのような実施形態では、アンチセンス化合物は8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79または80個の長さの、または上記の値のいずれか2つにより限定される範囲の連結した核酸塩基からなる修飾型オリゴヌクレオチドを含む。
【0267】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は短縮化または切断化修飾型オリゴヌクレオチドを含む。短縮化または切断化修飾型オリゴヌクレオチドは5’末端(5’切断)、または代わりに3’末端(3’切断)から1個のヌクレオシドを欠失させることができる。短縮化または切断化修飾型オリゴヌクレオチドは2つのヌクレオシドを5’末端から欠失させることができ、または代わりに3’から2個のサブユニットを欠失させることができる。あるいは、例えば、5’末端から1個のヌクレオシドを欠失させ、3’末端から1個のヌクレオシドを欠失させたアンチセンス化合物において、欠失したヌクレオシドは前記修飾型オリゴヌクレオチド全体に散在し得る。
【0268】
延長型オリゴヌクレオチドに1個の追加のヌクレオシドが存在するとき、その追加のヌクレオシドは前記オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端に位置することができる。2個以上の追加のヌクレオシドが存在するとき、例えば、オリゴヌクレオチドの5’末端(5’付加)、または代わりに3’末端(3’付加)に2個のヌクレオシドが付加されているオリゴヌクレオチドでは、その付加されたヌクレオシドは互いに隣接することができる。あるいは、例えば1個のヌクレオシドが5’末端に付加され、1個のサブユニットが3’末端に付加されているオリゴヌクレオチドでは、付加されたヌクレオシドはアンチセンス化合物全体に散在させることができる。
【0269】
活性を損なうことなく、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス化合物の長さを増加もしくは減少することができ、および/またはミスマッチ塩基を導入することができる。例えば、Woolfら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7305-7309, 1992)では、卵母細胞注入モデルで標的RNAの切断を誘導する能力について13〜25核酸塩基長の一連のアンチセンスオリゴヌクレオチドが試験された。アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端付近に8または11か所のミスマッチ塩基を有する25核酸塩基長のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、ミスマッチを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも程度が低いものの標的mRNAの特異的な切断を指令することができた。同様に、1または3か所のミスマッチを有するものを含む、13核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して標的特異的切断が達成された。
【0270】
Gautschiら(J. Natl. Cancer Inst. 93:463-471, March 2001)は、bcl−2 mRNAに対して100%の相補性を有し、および、bcl−xL mRNAに対して3か所のミスマッチを有するオリゴヌクレオチドがbcl−2とbcl−xLの両方の発現をインビトロとインビボで低下させる能力を示した。さらに、このオリゴヌクレオチドは強力な抗腫瘍活性をインビボで示した。
【0271】
MaherおよびDolnick(Nuc. Acid. Res. 16:3341-3358,1988)は、ウサギ網赤血球アッセイでヒトDHFRの翻訳を停止させる能力について一連の14核酸塩基のタンデムアンチセンスオリゴヌクレオチド、ならびに、それぞれ2つまたは3つのそのタンデムアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列から構成される28核酸塩基および42核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドを試験した。28核酸塩基または42核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも控えめなレベルではあったが、前記の3つの14核酸塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれだけでも翻訳を阻害することができた。
【0272】
アンチセンス化合物モチーフ
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物は、強化された阻害活性、標的核酸への増大した結合親和性、または生体内核酸分解酵素による分解に対する抵抗性などの特性を前記アンチセンス化合物に付与するための、パターンまたはモチーフとして配列されている化学的に修飾されたサブユニットを有する。
【0273】
キメラアンチセンス化合物は通常、核酸分解酵素による分解に対する増大した抵抗性、増加した細胞内取り込み、標的核酸への増大した結合親和性および/または増加した阻害活性を付与するように修飾された少なくとも1つの領域を含有する。キメラアンチセンス化合物の第2領域は、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼRNase Hの基質として働いても働かなくてもよい。
【0274】
ギャップマーモチーフを有するアンチセンス化合物はキメラアンチセンス化合物とみなされる。ギャップマーでは、RNaseH切断を助ける複数のヌクレオチドを有する内部領域は、その内部領域のヌクレオシドと化学的に異なる複数のヌクレオチドを有する外部領域の間に位置する。ギャップマーモチーフを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの場合、ギャップセグメントは一般にエンドヌクレアーゼ切断の基質として働くが、ウイングセグメントは修飾型ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、ギャップマーの領域は、それぞれの別個の領域を含む糖部分の種類が様々である。ギャップマーの領域に差異を生じさせるために使用される糖部分の種類には、いくつかの実施形態では、β−D−リボヌクレオシド、β−D−デオキシリボヌクレオシド、2’修飾型ヌクレオシド(そのような2’−修飾型ヌクレオシドは、中でも2’−MOEおよび2’−O−CHを含み得る)、および二環式糖修飾型ヌクレオシド(そのような二環式糖修飾型ヌクレオシドには拘束エチルを有するヌクレオシドが含まれ得る)が含まれ得る。ある特定の実施形態では、ウイングは、例えば、2’−MOEおよび拘束エチルを含む、いくつかの修飾型糖部分を含み得る。ある特定の実施形態では、ウイングはいくつかの修飾型および非修飾型糖部分を含み得る。ある特定の実施形態では、ウイングは2’−MOEヌクレオシド、拘束エチルヌクレオシドおよび2’−デオキシヌクレオシドの様々な組合せを含み得る。
【0275】
それぞれの別個の領域は均一な糖部分、異型体または交替性の糖部分を含み得る。ウイング−ギャップ−ウイングモチーフはしばしば「X−Y−Z」と記述され、「X」は5’−ウイングの長さを表し、「Y」はギャップの長さを表し、「Z」は3’−ウイングの長さを表す。「X」と「Z」は均一な糖部分、異型体または交替性の糖部分を含み得る。ある特定の実施形態では、「X」と「Y」は1個以上の2’−デオキシヌクレオシドを含み得る。「Y」は2’−デオキシヌクレオシドを含み得る。本明細書で使用される場合、「X−Y−Z」と記述されるギャップマーは、ギャップが5’−ウイングと3’−ウイングのそれぞれに直ぐに隣接して位置するような配置を有する。したがって、5’−ウイングとギャップの間、またはギャップと3’−ウイングの間に介在性ヌクレオチドが存在しない。本明細書に記載されるアンチセンス化合物のいずれもギャップマーモチーフを有し得る。ある特定の実施形態では、「X」と「Z」が同一であり、他の実施形態ではそれらは異なる。ある特定の実施形態では、「Y」は8ヌクレオシドと15ヌクレオシドの間である。X、YまたはZは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30またはそれ以上のヌクレオシドのいずれかであり得る。
【0276】
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物は5−10−5ギャップマーモチーフを有する。
【0277】
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物は6−8−6ギャップマーモチーフを有する。
【0278】
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物は5−8−5ギャップマーモチーフを有する。
【0279】
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物はギャップ拡張モチーフを有する。
【0280】
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物は2−13−5のギャップ拡張モチーフを有する。
【0281】
標的核酸、標的領域およびヌクレオチド配列
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸は、GENBANK受託番号NM_002827.2(配列番号1として本明細書に組み込まれる)、GENBANK受託番号NT_011362.9から切り出した14178000から14256000まで(配列番号2として本明細書に組み込まれる);およびアカゲザルPTP1B足場のエクソン1〜9、イントロン9およびエクソン10の配列の連鎖(配列番号3として本明細書に組み込まれる)に示されるような配列のいずれかである。
【0282】
本明細書に含まれる実施例の各配列番号で示される配列は糖部分、ヌクレオシド間結合または核酸塩基に対する任意の修飾と無関係であることが理解される。したがって、配列番号によって限定されるアンチセンス化合物は、糖部分、ヌクレオシド間結合または核酸塩基に対して1つ以上の修飾を独立して含み得る。Isis番号(Isis番号)で記述されるアンチセンス化合物は核酸塩基配列とモチーフの組合せを示す。
【0283】
ある特定の実施形態では、標的領域は標的核酸の構造的に限定された領域である。例えば、標的領域は3’UTR、5’UTR、エクソン、イントロン、エクソン/イントロンジャンクション、コード領域、翻訳開始領域、翻訳終止領域または他の限定的な核酸領域を包含し得る。NCBIなどの配列データベースから受託番号によってPTP1Bの構造的に限定された領域を入手することができ、そして、そのような情報が参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、標的領域は標的領域内の1つの標的セグメントの5’標的部位から同じ標的領域内の別の標的セグメントの3’標的部位までの配列を包含することができる。
【0284】
標的化には、所望の効果が生じるように、アンチセンス化合物がハイブリダイズする少なくとも1つの標的セグメントの決定が含まれる。ある特定の実施形態では、所望の効果はmRNA標的核酸レベルの低下である。ある特定の実施形態では、所望の効果は標的核酸によってコードされるタンパク質のレベルの低下または標的核酸が関係する表現型の変化である。
【0285】
標的領域は1つ以上の標的セグメントを含み得る。標的領域内の複数の標的セグメントが重なり合ってよい。あるいは、それらは重なり合っていなくてよい。ある特定の実施形態では、標的領域内の標的セグメントは約300を超えないヌクレオチドによって分断されている。ある特定の実施形態では、標的領域内の標的セグメントは標的核酸上の250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、もしくは10ヌクレオチドの、約250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、もしくは10ヌクレオチドの、250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、もしくは10ヌクレオチドを超えない、約250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、もしくは10ヌクレオチドを超えない多数のヌクレオチドによって分断されている、または前述の値のうちのいずれか2つによって限定される範囲にあるヌクレオチドによって分断されている。ある特定の実施形態では、標的領域内の標的セグメントは、標的核酸上の5以下または約5以下のヌクレオチドによって分断されている。ある特定の実施形態では、標的セグメントは連続している。本明細書に列挙される5’標的部位または3’標的部位のいずれかである出発核酸を有する範囲によって限定される標的範囲が企図されている。
【0286】
5’UTR、コード領域、3’UTR、イントロン、エクソンまたはエクソン/イントロンジャンクション内に適切な標的セグメントを見つけることができる。開始コドンまたは終止コドンを含む標的セグメントも適切な標的セグメントである。適切な標的セグメントは、開始コドンまたは終止コドンなどの特定の構造的に限定された領域を特異的に排除することができる。
【0287】
適切な標的セグメントの決定には、標的核酸の配列のゲノム全体の他の配列に対する比較が含まれ得る。例えば、様々な核酸の間でにている領域を特定するためにBLASTアルゴリズムを使用することができる。この比較によって、選択された標的核酸以外の配列(すなわち、非標的配列または標的外配列)に非特異的にハイブリダイズし得るアンチセンス化合物配列の選択を防ぐことができる。
【0288】
活性標的領域内におけるアンチセンス化合物の(例えば、標的核酸レベルのパーセント減少で定義されるような)活性は様々であり得る。ある特定の実施形態では、PTP1B mRNAレベルの低下はPTP1B発現の阻害を示す。PTP1Bタンパク質レベルの低下も標的mRNAの発現の阻害を示す。さらに、表現型の変化がPTP1B発現の阻害を示す。ある特定の実施形態では、グルコースレベルの低下、脂質レベルの低下および体重の減少がPTP1B発現の阻害を示し得る。ある特定の実施形態では、代謝性疾患関連の症状の改善がPTP1B発現の阻害を示し得る。ある特定の実施形態では、糖尿病関連の症状の改善がPTP1B発現の阻害を示し得る。ある特定の実施形態では、インスリン抵抗性の低下がPTP1B発現の阻害を示す。ある特定の実施形態では、糖尿病バイオマーカーの減少がPTP1B発現の阻害を示し得る。
【0289】
ハイブリダイゼーション
いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションが本発明で開示されるアンチセンス化合物とPTP1B核酸の間で起こる。ハイブリダイゼーションの最も一般的な機序には核酸分子の相補的な核酸塩基の間の水素結合(例えば、ワトソン−クリック型水素結合、フーグスティーン型水素結合または逆フーグスティーン型水素結合)が関わる。
【0290】
ハイブリダイゼーションは様々な条件下で起こり得る。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、ハイブリダイズされる核酸分子の性質と組成によって決定される。
【0291】
配列が標的核酸に特異的にハイブリダイズすることが可能であるかどうか判定する方法は当技術分野で周知である。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるアンチセンス化合物はPTP1B核酸に特異的にハイブリダイズすることが可能である。
【0292】
相補性
アンチセンス化合物の十分な数の核酸塩基が標的核酸の対応する核酸塩基と水素結合することができるとき、前記のアンチセンス化合物と標的核酸は互いに相補的であり、所望の効果(例えば、PTP1B核酸などの標的核酸のアンチセンス阻害)が生じる。
【0293】
アンチセンス化合物はPTP1B核酸の1つ以上のセグメントに、介在性セグメントまたは隣接セグメントがハイブリダイゼーション事象に関わらないように、ハイブリダイズすることができる(例えば、ループ構造、ミスマッチ構造またはヘアピン構造)。
【0294】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるアンチセンス化合物、またはそれらの特定の部分はPTP1B核酸、その標的領域、標的セグメントまたは特定の部分に対して70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%相補的である、または少なくとも70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%相補的である。日常的方法を用いてアンチセンス化合物の標的核酸とのパーセント相補性を決定することができる。
【0295】
例えば、アンチセンス化合物の20核酸塩基のうち18核酸塩基が標的領域に相補的であり、それ故、特異的にハイブリダイズするだろうアンチセンス化合物なら90パーセントの相補性を表すだろう。この例では、残りの非相補的核酸塩基はクラスターを形成していても相補的な核酸塩基がそれらの間に点在していてもよく、互いに対して、または相補的な核酸塩基に対して連続していなくてよい。したがって、標的核酸と完全に相補的な2つの領域が隣接する4個の非相補的核酸塩基を有する18核酸塩基長のアンチセンス化合物なら標的核酸と全体で77.8%の相補性を有し、従って、本明細書の範囲内に収まるだろう。当技術分野において公知のBLAST(基本的局所アラインメント検索ツール(basic local alignment search tools))プログラムとPowerBLASTプログラムを使用して標的核酸の領域を有するアンチセンス化合物のパーセント相補性を日常的に決定することができる(Altschulら, J. Mol. Biol., 1990, 215, 403 410; Zhang and Madden, Genome Res., 1997, 7, 649 656)。例えば、初期設定を用いる、Smith−Watermanアルゴリズム(Adv. Appl. Math., 1981, 2, 482 489)を使用するGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package, Version 8 for Unix, Genetics Computer Group, University Research Park, Madison Wis.)によりパーセント相同性、配列同一性または相補性を決定することができる。
【0296】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるアンチセンス化合物またはそれらの特定の部分は、標的核酸またはその特定の部分に対して完全に相補的(すなわち、100%相補的)である。例えば、アンチセンス化合物はPTP1B核酸、または標的領域、またはその標的セグメントもしくは標的配列に対して完全に相補的であり得る。本明細書で使用される場合、「完全に相補的な」は、アンチセンス化合物の各核酸塩基が標的核酸の対応する核酸塩基と正確に塩基対合することができることを意味する。例えば、20核酸塩基のアンチセンス化合物は、そのアンチセンス化合物に対して完全に相補的である対応する20核酸塩基部分が標的核酸に存在する限り、400核酸塩基長の標的配列に対して完全に相補的である。第1核酸および/または第2核酸の特定の部分への言及において「完全に相補的な」を使用することもできる。例えば、30核酸塩基のアンチセンス化合物の20核酸塩基部分は400核酸塩基長の標的配列に対し「完全に相補的」であり得る。前記標的配列が対応する20核酸塩基部分を有し、その各核酸塩基が前記のアンチセンス化合物の20核酸塩基部分に相補的である場合、前記の30核酸塩基のオリゴヌクレオチドの前記20核酸塩基部分は前記標的配列に対して完全に相補的である。同時に、前記アンチセンス化合物の残りの10核酸塩基も前記標的配列に相補的であるかどうかによって、前記30核酸塩基のアンチセンス化合物の全体は前記標的配列に対して完全に相補的である場合もあれば、完全には相補的ではない場合もある。
【0297】
非相補的核酸塩基の位置は、アンチセンス化合物の5’末端または3’末端であり得る。あるいは、非相補的核酸塩基(単数または複数)はアンチセンス化合物の内部にあり得る。2つ以上の非相補的核酸塩基が存在するとき、それらは連続(すなわち連結)していても、連続していなくてもよい。1つの実施形態では、ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのウイングセグメントに非相補的核酸塩基が位置する。
【0298】
ある特定の実施形態では、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20核酸塩基長の、または最大で12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20核酸塩基長のアンチセンス化合物は、PTP1B核酸などの標的核酸またはその特定の部分に対して4個を超えない、3個を超えない、2個をこえない、または1個を超えない非相補的核酸塩基を含む。
【0299】
ある特定の実施形態では、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30核酸塩基長の、または最大で12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30核酸塩基長のアンチセンス化合物は、PTP1B核酸などの標的核酸またはその特定の部分に対して6個を超えない、5個を超えない、4個を超えない、3個を超えない、2個を超えないまたは1を超えない非相補的核酸塩基を含む。
【0300】
本明細書で提供されるアンチセンス化合物は、標的核酸のある部分に相補的であるものも包含する。本明細書で使用される場合、「部分」は、標的核酸の領域またはセグメント内にある限定された数の連続する(すなわち、連結した)核酸塩基を指す。「部分」はアンチセンス化合物の限定された数の連続する核酸塩基も指すことができる。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも8核酸塩基の部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも12核酸塩基の部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも13核酸塩基の部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも14核酸塩基の部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも15核酸塩基の部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも16核酸塩基の部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも17核酸塩基の部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも18核酸塩基の部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも19核酸塩基の部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも20核酸塩基の部分に相補的である。標的セグメントの少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれより多い核酸塩基部分またはこれらの値のうちのいずれか2つによって限定される範囲の核酸塩基部分に相補的であるアンチセンス化合物も企図されている。
【0301】
同一性
本明細書で提供されるアンチセンス化合物は、特定のヌクレオチド配列、配列番号、または特定のIsis番号で表される化合物、またはそれらの部分に対する限定されたパーセント同一性を有することもできる。本明細書で使用される場合、アンチセンス化合物は、それが同一の核酸塩基対合能力を有する場合、本明細書で開示される配列に対して同一である。例えば、開示されるDNA配列中にチミジンの代わりにウラシルを含有するRNAは、ウラシルとチミジンの両方がアデニンと対合するので、そのDNA配列に対して同一であるとみなされるだろう。本明細書に記載されるアンチセンス化合物の短縮型および延長型ならびに本明細書で提供されるアンチセンス化合物に対して同一ではない塩基を有する化合物もまた企図されている。同一ではない塩基は互いに隣接していてもアンチセンス化合物全体に散在していてもよい。アンチセンス化合物のパーセント同一性は、それが比較される配列に対する同一の塩基対合を有する塩基の数にしたがって計算される。
【0302】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物またはそれらの部分は、本明細書で開示されるアンチセンス化合物または配列番号、またはそれらの部分のうちの1つ以上と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0303】
修飾
ヌクレオシドは塩基と糖の組合せである。ヌクレオシドの核酸塩基(塩基としても知られる)部分は通常は複素環塩基部分である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドでは、リン酸基は糖の2’、3’または5’ヒドロキシル部分に結合し得る。オリゴヌクレオチドは互いに隣接するヌクレオシドの、直鎖重合オリゴヌクレオチドを形成するための共有結合により形成される。オリゴヌクレオチド構造内で、リン酸基はオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合を形成すると一般に称される。
【0304】
アンチセンス化合物に対する修飾は、ヌクレオシド間結合、糖部分または核酸塩基への置換または変更を包含する。修飾型アンチセンス化合物は、多くの場合、例えば、強化された細胞内取込、核酸標的との強化された親和性、核酸分解酵素存在下での増加した安定性、または増加した阻害活性などの望ましい特性のため、天然型よりも好まれる。
【0305】
短縮化または切断化アンチセンスオリゴヌクレオチドとその標的核酸との結合親和性を増加させるために化学的に修飾されたヌクレオシドを使用することもできる。その結果、そのような化学的に修飾されたヌクレオシドを有するより短いアンチセンス化合物を使用して、多くの場合、同等の結果を得ることができる。
【0306】
修飾型ヌクレオシド間結合
RNAおよびDNAの天然ヌクレオシド間結合は、3’から5’ホスホジエステル結合である。1つ以上の修飾型、すなわち非天然のヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物は、例えば強化された細胞内取込、核酸標的との強化された親和性および核酸分解酵素存在下での増加した安定性などの望ましい特性のため、天然のヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物よりも多く選択される。
【0307】
修飾型ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドは、リン原子を保持するヌクレオシド間結合ならびにリン原子を持たないヌクレオシド間結合を包含する。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合にはホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホナート、ホスホラミデートおよびホスホロチオエートが含まれるが、これらに限定されない。リン含有結合およびリン非含有結合の調製方法は周知である。
【0308】
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物は1つ以上の修飾型ヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、修飾型ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の各ヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0309】
修飾型糖部分
本明細書で提供されるアンチセンス化合物は、糖基が修飾されている1つ以上のヌクレオシドを任意で含有することができる。そのような糖修飾型ヌクレオシドは強化された核酸分解酵素安定性、増加した結合親和性または他の有益な生物学的特性をアンチセンス化合物に付与することができる。
ある特定の実施形態では、ヌクレオシドは化学的に修飾されたリボフラノース環部分を含む。化学的に修飾されたリボフラノース環の例には置換基の付加(5’ 置換基および2’置換基を含む);二環式核酸(BNA)を形成するための非ジェミナル環原子の架橋;リボシル環酸素原子のS、N(R)、またはC(R1)(R)2(R=H、C〜C12アルキルまたは保護基)による置換;およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。化学的に修飾された糖の例としては、2’−F−5’−メチル置換ヌクレオシド(他の開示された5’,2’−ビス置換ヌクレオシドについては2008年8月21日に公開されたPCT国際特許出願公開第2008/101157号を参照のこと)、2’位にさらなる置換を有するリボシル環酸素原子のSによる置換(2005年6月16日に公開された米国特許出願公開第2005/0130923号を参照のこと)、または代わりに、BNAの5’置換(2007年11月22日に公開されたPCT国際特許出願公開第2007/134181号(例えば、5’−メチル基または5’−ビニル基でLNAが置換されている)を参照のこと)が挙げられる。
【0310】
修飾型糖部分を有するヌクレオシドの例には、5’−ビニル置換基、5’−メチル置換基(RまたはS)、4’−S置換基、2’−F置換基、2’−OCH置換基および2’−O(CH)2OCH置換基を含むヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。2’位の置換基もアリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C〜C10アルキル、OCF、O(CH)2SCH、O(CH)2−O−N(Rm)(Rn)、およびO−CH−C(=O)−N(Rm)(Rn)から選択され得るが、式中、RmおよびRnはそれぞれ独立してHまたは置換型もしくは非置換型のC〜C10アルキルである。
【0311】
本明細書で使用される場合、「二環式ヌクレオシド」は、二環式糖部分を含む修飾型ヌクレオシドを指す。二環式ヌクレオシドの例としては、4’と2’リボシル環原子間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられるが、これに限定されない。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるアンチセンス化合物は、架橋が4’から2’二環式ヌクレオシドを含む1個以上の二環式ヌクレオシドを含む。そのような4’から2’二環式ヌクレオシドの例としては式:4’−(CH)−O−2’(LNA);4’−(CH)−S−2’;4’−(CH−O−2’(ENA);4’−CH(CH)−O−2’および4’−CH(CHOCH)−O−2’のうちの1つ、およびその類似体(2008年7月15日に発行された米国特許第7,399,845号を参照のこと);4’−C(CH)(CH)−O−2’およびその類似体(2009年1月8日に公開されたPCT国際特許出願公開第2009/006478号を参照のこと);4’−CH−N(OCH)−2’およびその類似体(2008年12月11日に公開されたPCT国際特許出願公開第2008/150729号を参照のこと);4’−CH−O−N(CH)−2’(2004年9月2日に公開された米国特許出願公開第2004/0171570号を参照のこと);4’−CH−N(R)−O−2’(ここでRはH、C〜C12アルキルまたは保護基である)(2008年9月23日に発行された米国特許第7,427,672号を参照のこと);4’−CH−C(H)(CH)−2’( Chattopadhyayaら, J. Org. Chem.,2009, 74, 118-134を参照のこと);および4’−CH−C(=CH)−2’およびその類似体(2008年12月8日に公開されたPCT国際特許出願公開第2008/154401号を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Singhら, Chem. Commun., 1998, 4, 455-456; Koshkinら, Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630; Wahlestedtら, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 2000, 97, 5633-5638; Kumarら, Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2219-2222; Singhら, J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039; Srivastavaら, J. Am. Chem. Soc., 129(26) 8362-8379 (Jul. 4, 2007); Elayadiら, Curr. Opinion Invens. Drugs, 2001, 2, 558-561; Braaschら, Chem. Biol., 2001, 8, 1-7; Orumら, Curr. Opinion Mol. Ther., 2001, 3, 239-243; 米国特許第6,670,461号、同第7,053,207号、同第6,268,490号、同第6,770,748号、同第6,794,499号、同第7,034,133号、同第6,525,191号、同第7,399,845号;PCT国際特許出願公開第2004/106356号、同第94/14226号、同第2005/021570号および同第2007/134181号;米国特許公開第2004/0171570号、同第2007/0287831号および同第2008/0039618号;および米国特許出願第12/129,154号、同第60/989,574号、同第61/026,995号、同第61/026,998号、同第61/056,564号、同第61/086,231号、同第61/097,787および同第61/099,844号;およびPCT国際特許出願第PCT/US2008/064591号、同第PCT/US2008/066154号、および同第PCT/US2008/068922号も参照のこと。前述の二環式ヌクレオシドはそれぞれ、例えばα−L−リボフラノースおよびβ−D−リボフラノースを含む1つ以上の立体化学的糖構造を有して調製され得る(国際公開第99/14226号として1999年3月25日に公開されたPCT国際特許出願第PCT/DK98/00393号を参照のこと)。
【0312】
ある特定の実施形態では、BNAヌクレオシドの二環式糖部分は、限定ではないが、ペントフラノシル糖部分の4’位と2’位間に少なくとも1つの架橋を有し、そのような架橋が−[C(R)(R)]−、−C(R)=C(R)−、−C(R)=N−、−C(=NR)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−Si(R−、−S(=O)−および−N(R)−
(式中、
xは0、1または2であり;
nは1、2、3または4であり;
とRはそれぞれ独立してH、保護基、ヒドロキシル、C〜C12アルキル、置換型C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、置換型C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、置換型C〜C12アルキニル、C〜C20アリール、置換型C〜C20アリール、複素環ラジカル、置換型複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換型ヘテロアリール、C〜C脂環式ラジカル、置換型C〜C脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ、NJ、SJ、N、COOJ、アシル(C(=O)−H)、置換型アシル、CN、スルホニル(S(=O)−J)、またはスルフオキシル(S(=O)−J)であり;
とJがそれぞれ独立してH、C〜C12アルキル、置換型C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、置換型C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、置換型C〜C12アルキニル、C〜C20アリール、置換型C〜C20アリール、アシル(C(=O)−H)、置換型アシル、複素環ラジカル、置換型複素環ラジカル、C〜C12アミノアルキル、置換型C〜C12アミノアルキル、または保護基である)
より独立して選択される1個または2個から4個の連結した基を独立して含む、化合物を含む。
【0313】
ある特定の実施形態では、二環式糖部分の架橋は−[C(R)(R)]−、−[C(R)(R)]−O−、−C(R)−N(R)−O−または−C(R)−O−N(R)−である。ある特定の実施形態では、架橋は4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’および4’−CH−N(R)−O−2’−であり、式中、各Rは独立してH、保護基またはC〜C12アルキルである。
【0314】
ある特定の実施形態では、異性体配置によって二環式ヌクレオシドをさらに定義する。例えば、4’−2’メチレン−オキシ架橋を含むヌクレオシドは、α−L配置またはβ−D配置であり得る。これまでに、α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNAがアンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれ、アンチセンス活性を示している(Friedenら, Nucleic Acids Research, 2003, 21, 6365-6372)。
【0315】
ある特定の実施形態では、二環式ヌクレオシドには、限定ではないが、以下に図示されるような(A)α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、(B)β−D−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、(C)エチレンオキシ(4’−(CH−O−2’)BNA、(D)アミノオキシ(4’−CH−O−N(R)−2’)BNA、(E)オキシアミノ(4’−CH−N(R)−O−2’)BNA、(F)メチル(メチレンオキシ)(4’−CH(CH)−O−2’)BNA、(G)メチレン−チオ(4’−CH−S−2’)BNA、(H)メチレン−アミノ(4’−CH2−N(R)2’)BNA、(I)メチル炭素環式(4’−CH−CH(CH)−2’)BNAおよび(J)プロピレン炭素環式(4’−(CH−2’)BNA
【0316】
【化1】
が含まれ、式中、Bxは塩基部分であり、Rは独立してH、保護基またはC〜C12アルキルである。
【0317】
ある特定の実施形態では、二環式ヌクレオシドは式I:
【0318】
【化2】
を有し、式中、
Bxは複素環塩基部分であり;
−Q−Q−Q−は−CH−N(R)−CH−、−C(=O)−N(R)−CH−、−CH−O−N(R)−、−CH−N(R)−O−または−N(R)−O−CHであり;
はC〜C12アルキルまたはアミノ保護基であり;
とTはそれぞれ独立してH、ヒドロキシル保護基、複合体基、反応性リン基、リン部分、または支持媒体への共有結合である。
【0319】
ある特定の実施形態では、二環式ヌクレオシドは式II:
【0320】
【化3】
を有し、式中、
Bxは複素環塩基部分であり;
とTはそれぞれ独立してH、ヒドロキシル保護基、複合体基、反応性リン基、リン部分または支持媒体への共有結合であり;
はC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、置換型C〜Cアルキル、置換型C〜Cアルケニル、置換型C〜Cアルキニル、アシル、置換型アシル、置換型アミド、チオールまたは置換型チオである。
【0321】
1つの実施形態では、置換された基はそれぞれハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ、NJ、SJ、N、OC(=X)JおよびNJC(=X)NJより独立して選択される置換基で独立して単一置換または多重置換されており、式中、J、JおよびJはそれぞれ独立してH、C〜Cアルキル、または置換型C〜Cアルキルであり、XはOまたはNJである。
【0322】
ある特定の実施形態では、二環式ヌクレオシドは式III:
【0323】
【化4】
を有し、式中、
Bxは複素環塩基部分であり;
とTはそれぞれ独立してH、ヒドロキシル保護基、複合体基、反応性リン基、リン部分、または支持媒体への共有結合であり;
はC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、置換型C〜Cアルキル、置換型C〜Cアルケニル、置換型C〜Cアルキニル、または置換型アシル(C(=O)−)である。
【0324】
ある特定の実施形態では、二環式ヌクレオシドは式IV:
【0325】
【化5】
を有し、式中、
Bxは複素環塩基部分であり;
とTはそれぞれ独立してH、ヒドロキシル保護基、複合体基、反応性リン基、リン部分、または支持媒体への共有結合であり;
はC〜Cアルキル、置換型C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、置換型C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニルまたは置換型C〜Cアルキニルであり;
、q、qおよびqはそれぞれ独立してH、ハロゲン、C〜Cアルキル、置換型C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、置換型C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、または置換型C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシル、置換型C〜Cアルコキシル、アシル、置換型アシル、C〜Cアミノアルキル、または置換型C〜Cアミノアルキルである。
【0326】
ある特定の実施形態では、二環式ヌクレオシドは式V:
【0327】
【化6】
を有し、式中、
Bxは複素環塩基部分であり;
とTはそれぞれ独立してH、ヒドロキシル保護基、複合体基、反応性リン基、リン部分または支持媒体への共有結合であり;
、q、qおよびqはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、C〜C12アルキル、置換型C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、置換型C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、置換型C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシ、置換型C〜C12アルコキシ、OJ、SJ、SOJ、SO、NJ、N、CN、C(=O)OJ、C(=O)NJ、C(=O)J、O−C(=O)NJ、N(H)C(=NH)NJ、N(H)C(=O)NJまたはN(H)C(=S)NJであり;または
とqは一緒になって=C(q)(q)であり;
とqはそれぞれ独立してH、ハロゲン、C〜C12アルキル、または置換型C〜C12アルキルである。
【0328】
メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA単量体アデニン、シトシン、グアニン、5−メチル−シトシン、チミンおよびウラシルの合成ならびに調製と共にそれらのオリゴマー化および核酸認識特性について記述されている(例えばKoshkinら, Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630を参照のこと)。BNAとその調製も国際公開第98/39352および同第99/14226号に記載されている。
【0329】
メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNAの類似体、メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNAおよび2’−チオ−BNAも調製されている(例えばKumarら, Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2219-2222を参照のこと)。核酸ポリメラーゼの基質としてのオリゴデオキシリボヌクレオチド二重鎖を含むロックドヌクレオシド類似体の調製も記述されている(例えばWengelら, 国際公開第99/14226号を参照のこと)。さらに、新規の立体構造的に限定された高親和性オリゴヌクレオチド類似体である2’−アミノ−BNAの合成が当技術分野において記述されている(例えばSinghら, J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039を参照のこと)。さらに、2’−アミノ−BNAおよび2’−メチルアミノ−BNAが調製されており、それらの二重鎖と相補的なRNA鎖およびDNA鎖との熱安定性がこれまでに報告されている。
【0330】
ある特定の実施形態では、二環式ヌクレオシドは式VI:
【0331】
【化7】
を有し、式中、
Bxは複素環式塩基部分であり;
とTはそれぞれ独立してH、ヒドロキシル保護基、複合体基、反応性リン基、リン部分、または支持媒体への共有結合であり;
、q、qおよびqはそれぞれ独立してH、ハロゲン、C〜C12アルキル、置換型C〜C12アルキル、C〜C12アルケニル、置換型C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、置換型C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシル、置換型C〜C12アルコキシル、OJ、SJ、SOJ、SO、NJ、N、CN、C(=O)OJ、C(=O)NJ、C(=O)J、O−C(=O)NJ、N(H)C(=NH)NJ、N(H)C(=O)NJ、またはN(H)C(=S)NJであり;
とq、またはqとqは一緒になって=C(q)(q)であり、式中、qとqはそれぞれ独立してH、ハロゲン、C〜C12アルキル、または置換型C〜C12アルキルである。
【0332】
4’−(CH−2’架橋を有する1つの炭素環二環式ヌクレオシドおよびアルケニル類似体である架橋4’−CH=CH−CH−2’が記述されている(例えばFreierら, Nucleic Acids Research, 1997, 25(22), 4429-4443およびAlbaekら, J. Org. Chem., 2006, 71, 7731-7740を参照のこと)。炭素環二環式ヌクレオシドの合成と調製と共にそれらのオリゴマー化および生化学的研究も記述されている(例えばSrivastavaら, J. Am. Chem. Soc. 2007, 129(26), 8362-8379を参照のこと)。
【0333】
本明細書で使用される場合、「4’−2’二環式ヌクレオシド」または「4’から2’二環式ヌクレオシド」は、2’炭素原子と4’炭素原子を連結する架橋を含むフラノース環を含む二環式ヌクレオシドを指す。
【0334】
本明細書で使用される場合、「単環式ヌクレオシド」は、二環式糖部分ではない修飾型糖部分を含むヌクレオシドを指す。ある特定の実施形態では、ヌクレオシドの糖部分または糖部分類似体は任意の位置で修飾または置換されていてよい。
【0335】
本明細書で使用される場合、「2’−修飾型糖」は2’位を修飾されたフラノシル糖を意味する。ある特定の実施形態では、そのような修飾は、ハライド、置換型および非置換型アルコキシ、置換型および非置換型チオアルキル、置換型および非置換型アミノアルキル、置換型および非置換型アルキル、置換型および非置換型アリル、ならびに置換型および非置換型アルキニルを含むが、これらに限定されない置換基から選択される置換基を包含する。ある特定の実施形態では、2’修飾は、限定ではないがO[(CHO]CH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、OCHC(=O)N(H)CHおよびO(CHON[(CHCH(ここでnとmは1から10である)を含む置換基から選択される。他の2’−置換基もC〜C12アルキル;置換型アルキル;アルケニル;アルキニル;アルカリール;アラルキル;O−アルカリールまたはO−アラルキル;SH;SCH;OCN;Cl;Br;CN;CF;OCF;SOCH;SOCH;ONO;NO;N;NH;複素環アルキル;複素環アルカリール;アミノアルキルアミノ;ポリ-アルキルアミノ;置換型シリル;RNA切断基;レポーター基;インターカレーター;アンチセンス化合物の薬物動態特性を改善する基;およびアンチセンス化合物の薬力学特性を改善する基、および類似の特性を有する他の置換基から選択され得る。ある特定の実施形態では、修飾型ヌクレオシドは2’−MOE側鎖を含む(例えばBakerら, J. Biol. Chem., 1997, 272, 11944-12000を参照のこと)。そのような2’−MOE置換が、非修飾型ヌクレオシドならびに2’−O−メチル、O−プロピルおよびO−アミノプロピルなどの他の修飾型ヌクレオシドと比較して結合親和性を向上させたと記載されている。2’−MOE置換基を有するオリゴヌクレオチドも、インビボでの使用に有望な特徴を有する遺伝子発現のアンチセンス阻害剤であることが示されている(例えばMartin, P., Helv. Chim. Acta, 1995, 78, 486-504; Altmannら, Chimia, 1996, 50, 168-176; Altmannら, Biochem. Soc. Trans., 1996, 24, 630-637; およびAltmannら, Nucleosides Nucleotides, 1997, 16, 917-926を参照のこと)。
【0336】
本明細書で使用される場合、「修飾型テトラヒドロピランヌクレオシド」または「修飾型THPヌクレオシド」は通常のヌクレオシドのペントフラノシル残基が6員のテトラヒドロピラン「糖」で置換されたヌクレオシドを意味する(糖代用物)。修飾型THPヌクレオシドには、限定ではないが、当技術分野ではヘキシトール核酸(HNA)、アニトール核酸(ANA)、マニトール核酸(MNA)(Leumann, CJ. Bioorg. & Med. Chem. (2002) 10:841-854を参照のこと)、フルオロHNA(F−HNA)と称されるもの、または式X:
【0337】
【化8】
を含む化合物を含み、
式中、式Xの前記少なくとも1つのテトラヒドロピランヌクレオシド類似体のそれぞれについて独立して、
Bxは複素環塩基部分であり;
とTはそれぞれ独立してテトラヒドロピランヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物に結合するヌクレオシド間結合基であり、またはTとTのうち一方がテトラヒドロピランヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物に結合するヌクレオシド間結合基であり、TとTのうち他方がH、ヒドロキシル保護基、連結した複合体基、または5’末端基もしくは3’末端基であり;
、q、q、q、q、qおよびqはそれぞれ独立してH、C〜Cアルキル、置換型C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、置換型C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、または置換型C〜Cアルキニルであり;
とRの一方が水素であり、他方がハロゲン、置換型または非置換型アルコキシ、NJ、SJ、N、OC(=X)J、OC(=X)NJ、NJC(=X)NJ、およびCNから選択され、式中、XはO、SまたはNJであり、J、JおよびJはそれぞれ独立してHまたはC〜Cアルキルである。
【0338】
ある特定の実施形態では、q、q、q、q、q、qt、およびqがそれぞれHである式Xの修飾型THPヌクレオシドが提供される。ある特定の実施形態では、q、q、q、q、q、qt、およびqのうちの少なくとも1つがH以外である。ある特定の実施形態では、q、q、q、q、q、qおよびqのうちの少なくとも1つがメチルである。ある特定の実施形態では、RとRの一方がFである式XのTHPヌクレオシドが提供される。ある特定の実施形態では、RはフルオロでRはHであり、RはメトキシでRはHであり、RはメトキシエトキシでRはHである。
【0339】
本明細書で使用される場合、「2’−修飾型」または「2’−置換型」は、2’位にHまたはOH以外の置換基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。2’−修飾型ヌクレオシドには、限定ではないが、糖環の2つの炭素原子を連結する架橋が糖環の2’炭素と別の炭素を連結する二環式ヌクレオシド、およびアリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C〜C10アルキル、−OCF、O−(CH−O−CH、2’−O(CHSCH、O−(CH−O−N(R)(R)またはO−CH−C(=O)−N(R)(R)(ここで各RとRは独立してHまたは置換型もしくは非置換型C〜C10アルキルである)などの非架橋2’置換基を有するヌクレオシドが含まれる。2’−修飾型ヌクレオシドは、例えば糖の他の位置および/または核酸塩基に他の修飾をさらに含むことができる。
【0340】
本明細書で使用される場合、「2’−F」は2’位にフルオロ基を含む糖を指す。
【0341】
本明細書で使用される場合、「2’−OMe」または「2’−OCH」または「2’−O−メチル」はそれぞれ糖環の2’位に−OCH基を含む糖を指す。
【0342】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」は複数の連結したヌクレオシドを含む化合物を指す。ある特定の実施形態では、複数のヌクレオシドのうちの1個以上が修飾されている。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは1個以上のリボヌクレオシド(RNA)および/またはデオキシリボヌクレオシド(DNA)を含む。
【0343】
アンチセンス化合物への組み込み用にヌクレオシドを修飾するために使用され得る他の多くの二環式および三環式の糖代用環系も当技術分野において公知である(例えば総説:Leumann, J. C, Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2002, 10, 841-854を参照のこと)。そのような環系は様々な追加の置換を受けて活性を増強させることができる。
【0344】
修飾型糖の調製方法は当業者に周知である。
【0345】
修飾型糖部分を有するヌクレオチドでは、適切な核酸標的とのハイブリダイゼーションのために核酸塩基部分(天然型、修飾型、またはそれらの組合せ)が維持される。
【0346】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、修飾型糖部分を有する1個以上のヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、その修飾型糖部分は2’−MOEである。ある特定の実施形態では、その2’−MOE修飾型ヌクレオチドはギャップマーモチーフ内に配置される。ある特定の実施形態では、その修飾型糖部分はcEtである。ある特定の実施形態では、そのcEt修飾型ヌクレオチドはギャップマーモチーフのウイング中に配置される。
【0347】
修飾型核酸塩基
核酸塩基(または塩基)修飾または置換は天然または合成の非修飾型核酸塩基と構造的に区別可能であるが、機能的には互換性がある。天然型核酸塩基と修飾型核酸塩基の両方が水素結合に関与することができる。そのような核酸塩基修飾は、アンチセンス化合物に核酸分解酵素安定性、結合親和性または他の有益な生物学的特性を付与することができる。修飾型核酸塩基には、例えば、5−メチルシトシン(5−me−C)などの合成核酸塩基および天然核酸塩基が含まれる。5−メチルシトシン置換を含む特定の核酸塩基置換は、アンチセンス化合物の標的核酸への結合親和性を増加させるのに特に有用である。例えば、5−メチルシトシン置換は、核酸二重鎖の安定性を0.6〜1.2℃増加させることが示されている(Sanghvi, Y.S., Crooke, S.T. and Lebleu, B., eds., Antisense Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, pp. 276-278)。
【0348】
さらなる非修飾型核酸塩基には、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチル誘導体および他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピル誘導体および他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよび5−ハロシトシン、5−プロピニル(−CoC−CH)ウラシルおよび5−プロピニルシトシンならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、6−アゾシトシンおよび6−アゾチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換型アデニンおよびグアニン、5−ハロ特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換型ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンおよび3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが含まれる。
【0349】
複素環塩基部分は、例えば7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジンおよび2−ピリドンなど、そのプリン塩基またはピリミジン塩基が他の複素環で置換されたものも含みうる。アンチセンス化合物の結合親和性の増強に特に有用な核酸塩基は5−置換型ピリミジン、6−アザピリミジンならびに2アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6およびO−6置換型プリンを包含する。
【0350】
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物は1個以上の修飾型核酸塩基を含む。ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするギャップ拡張型アンチセンスオリゴヌクレオチドは1個以上の修飾型核酸塩基を含む。ある特定の実施形態では、前記修飾型核酸塩基は5−メチルシトシンである。ある特定の実施形態では、各シトシンは5−メチルシトシンである。
【0351】
組成物および医薬組成物の製剤方法
医薬組成物または製剤の調製のためにアンチセンスオリゴヌクレオチドを薬学的に許容される活性または不活性物質と混合することができる。組成物および医薬組成物の製剤方法は、限定ではないが投与経路、疾患の程度または投与される用量を含む多数の基準に依存する。
【0352】
PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物は、アンチセンス化合物を適切な薬学的に許容可能な希釈剤または担体と組み合わせることにより医薬組成物に利用され得る。薬学的に許容可能な希釈剤にはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。PBSは非経口的に送達される組成物での使用に適した希釈剤である。従って、1つの実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物と薬学的に許容可能な希釈剤を含む医薬組成物が本明細書に記載される方法に使用される。ある特定の実施形態では、薬学的に許容可能な希釈剤はPBSである。ある特定の実施形態では、前記アンチセンス化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0353】
アンチセンス化合物を含む医薬組成物は任意の薬学的に許容可能な塩、エステル、またはそのようなエステルの塩、またはヒトを含む動物に投与されると、生物学的に活性がある代謝物もしくはその残基を(直接的または間接的に)提供することができる他の任意のオリゴヌクレオチドを包含する。したがって、例えば、本開示はまたアンチセンス化合物の薬学的に許容可能な塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの薬学的に許容可能な塩、および他の生物学的等価物を対象とする。適切な薬学的に許容可能な塩にはナトリウム塩およびカリウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0354】
当技術分野において周知の方法によって本明細書に記載される化合物の薬学的に許容可能な塩を調製することができる。薬学的に許容可能な塩の概説については、Stahl and Wermuth, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use(Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)を参照のこと。アンチセンスオリゴヌクレオチドのナトリウム塩はヒトへの治療用投与に有用であり、十分に許容される。したがって、1つの実施形態では、本明細書に記載される化合物はナトリウム塩の形態である。
【0355】
プロドラッグは、身体内の内在性核酸分解酵素によって切断されて活性型アンチセンス化合物を形成する、前記アンチセンス化合物の一端または両端での追加のヌクレオシドの組み込みを包含し得る。
【0356】
複合体化アンチセンス化合物
アンチセンス化合物は、結果生じるアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性、細胞内分布または細胞取込を増強する1つ以上の部分または複合体に共有結合することができる。典型的な複合体基にはコレステロール部分および脂質部分が含まれる。その他の複合体基には炭水化物、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリンおよび色素が含まれる。
【0357】
アンチセンス化合物は、例えば、核酸分解酵素への安定性などの特性を強化するために一般にアンチセンス化合物の一端または両端に結合する1つ以上の安定化基を有するように修飾されることもできる。安定化基に含まれるものはキャップ構造である。これらの末端修飾は、末端核酸を有するアンチセンス化合物をエクソヌクレアーゼによる分解から保護し、細胞内送達および/または局在化を助けることができる。キャップは5’末端(5’キャップ)または3’末端(3’キャップ)に存在し得るか、または両端に存在し得る。キャップ構造は当技術分野において周知であり、例えば逆方向デオキシ脱塩基キャップを包含する。核酸分解酵素安定性を付与するためにアンチセンス化合物の一端または両端をキャップするために使用され得るさらなる3’安定化基および5’安定化基には、2003年1月16日に公開された国際公開第03/004602号に開示されるものが含まれる。
【0358】
細胞培養およびアンチセンス化合物処理
PTP1B核酸のレベル、活性または発現に及ぼすアンチセンス化合物の効果は、様々な細胞型でインビトロで試験され得る。そのような分析に使用される細胞型は、供給業者(例えばアメリカ培養細胞系統保存機関、バージニア州マナサス;Zen-Bio社、ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク;クロネティックス社、メリーランド州ウォーカーズビル)から入手可能であり、供給業者の使用説明書に従って市販の試薬(例えばインビトロジェンライフテクノロジーズ社、カリフォルニア州カールスバッド)を使用して細胞を培養する。例となる細胞型としては、限定ではないがHepG2細胞、Hep3B細胞、初代培養肝細胞、A549細胞、GM04281線維芽細胞およびLLC−MK2細胞が挙げられる。
【0359】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのインビトロ試験
アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する細胞の処理方法が本明細書に記載されるが、それは、他のアンチセンス化合物を用いる処理のために適切に改変され得る。
【0360】
一般に、培養中に細胞がおよそ60〜80%の集密に至ったときにアンチセンスオリゴヌクレオチドでその細胞が処理される。
【0361】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞に導入するのに一般的に使用される1つの試薬に、カチオン性脂質形質移入試薬リポフェクチン(登録商標)(インビトロジェン社、カリフォルニア州カールスバッド)がある。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOPTI−MEM(登録商標)1(インビトロジェン社、カリフォルニア州カールスバッド)中リポフェクチン(登録商標)と混合し、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の最終濃度および典型的には100nMのアンチセンスオリゴヌクレオチド当たり2から12ug/mLの範囲のリポフェクチン(登録商標)濃度を得る。
【0362】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞に導入するのに使用される別の試薬に、リポフェクタミン2000(登録商標)(インビトロジェン社、カリフォルニア州カールスバッド)がある。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOPTI−MEM(登録商標)1減血清培地(インビトロジェン社、カリフォルニア州カールスバッド)中リポフェクタミン2000(登録商標)と混合し、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望濃度および典型的には100nMのアンチセンスオリゴヌクレオチド当たり2から12ug/mLの範囲のリポフェクタミン(登録商標)濃度を得る。
【0363】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞に導入するのに使用される別の試薬に、サイトフェクチン(登録商標)(インビトロジェン社、カリフォルニア州カールスバッド)がある。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOPTI−MEM(登録商標)1減血清培地(インビトロジェン社、カリフォルニア州カールスバッド)中サイトフェクチン(登録商標)と混合し、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望濃度および典型的には100nMのアンチセンスオリゴヌクレオチド当たり2から12ug/mLの範囲のサイトフェクチン(登録商標)濃度を得る。
【0364】
培養細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入するために使用される別の技術には電気穿孔法が含まれる。
【0365】
日常的方法によりアンチセンスオリゴヌクレオチドで細胞を処理する。通常、細胞はアンチセンスオリゴヌクレオチド処理後16〜24時間で回収され、その時点で標的核酸のRNAまたはタンパク質のレベルを当技術分野において公知の方法および本明細書に記載される方法により測定する。一般に、複数繰り返して処理を実施するときは、繰り返した処理の平均としてデータが提示される。
【0366】
使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度は細胞株毎に異なる。特定の細胞株に最適なアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度を決定する方法は当技術分野において周知である。通常、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リポフェクタミン2000(登録商標)、リポフェクチンまたはサイトフェクチンを使用して形質移入されるとき、1nM〜300nMの範囲の濃度で使用される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、電気穿孔法を使用して形質移入されるとき、625〜20,000nMの範囲にある、より高い濃度で使用される。
【0367】
RNAの単離
全細胞性RNAまたはポリ(A)+ mRNAに対してRNA分析を実行することができる。RNA単離の方法は当技術分野において周知である。当技術分野において周知の方法を使用して、例えば製造業者が勧めるプロトコルに従ってTRIZOL(登録商標)試薬(インビトロジェン社、カリフォルニア州カールスバッド)を使用してRNAが調製される。
【0368】
標的のレベルまたは発現の阻害の分析
PTP1B核酸のレベルまたは発現の阻害は、当技術分野において公知の様々な方法で測定することができる。例えば、標的核酸レベルは、例えばノーザンブロット分析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、または定量的リアルタイムPCRにより定量化され得る。全細胞性RNAまたはポリ(A)+ mRNAに対してRNA分析を実施することができる。RNA単離の方法は当技術分野において周知である。ノーザンブロット分析も当技術分野においては日常的方法である。定量的リアルタイムPCRは、好都合なことに、カリフォルニア州フォスターシティーのPE−アプライドバイオシステムズ社から入手可能であり、製造業者の使用説明書に従い用いられる市販のABI PRISM(登録商標)7600、7700または7900配列検出システムを使用して達成することができる。
【0369】
標的RNAレベルの定量的リアルタイムPCR分析
標的RNAレベルの定量は、製造業者の使用説明書に従いABI PRISM(登録商標)7600、7700または7900配列検出システム(PE−アプライドバイオシステムズ社、カリフォルニア州フォスターシティー)を使用して定量的リアルタイムPCRにより達成することができる。定量的リアルタイムPCRの方法は当技術分野において周知である。
【0370】
リアルタイムPCRの前に、単離されたRNAを逆転写(RT)反応に供して相補性DNA(cDNA)を生産してから、cDNAをリアルタイムPCR増幅の基質として用いる。RTとリアルタイムPCR反応は同一の試料ウェル中で連続して実行される。RTとリアルタイムPCRの試薬やインビトロジェン社(カリフォルニア州カールスバッド)から得られる。RT反応、リアルタイムPCR反応は当業者に周知の方法により実施される。
【0371】
リアルタイムPCRで得られた遺伝子(またはRNA)標的の量を、シクロスフィリンAなどの発現が一定である遺伝子の発現レベルを使用するか、リボグリーン(登録商標)(インビトロジェン社、カリフォルニア州カールスバッド)を使用して全RNAを定量化することにより、正規化する。標的と同時に、多重化して、または別々にリアルタイムPCRを行うことにより、シクロスフィリンAの発現が定量化される。全RNAはリボグリーン(登録商標)RNA定量試薬(インビトロジェン社、オレゴン州ユージーン)を使用して定量化される。リボグリーン(登録商標)によるRNA定量の方法はJones, L.J.ら(Analytical Biochemistry, 1998, 265, 368-374)に教示される。リボグリーン(登録商標)の蛍光を測定するためにCYTOFLUOR(登録商標)4000機器(PE−アプライドバイオシステムズ社)が使用される。
【0372】
プローブとプライマーはPTP1B核酸にハイブリダイズするように設計される。リアルタイムPCRプローブとプライマーを設計する方法は当技術分野において周知であり、PRIMER EXPRESS(登録商標)ソフトウェア(アプライドバイオシステムズ社、カリフォルニア州フォスターシティー)などのソフトウェアの使用が含まれ得る。
【0373】
タンパク質レベルの分析
PTP1B核酸のアンチセンス阻害は、PTP1Bタンパク質レベルを測定することにより評価することができる。PTP1Bのタンパク質レベルは、免疫沈降、ウェスタンブロット分析(イムノブロッティング)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、定量的タンパク質アッセイ、タンパク質活性アッセイ(例えばカスパーゼ活性アッセイ)、免疫組織化学、免疫細胞化学または蛍光活性化細胞分別(FACS)などの当技術分野において周知の様々な方法で評価または定量化できる。標的に対する抗体は、抗体のMSRSカタログ(Aerie Corporation社、ミシガン州バーミンガム)などの様々なソースから同定して得ることができ、または当技術分野において周知の従来のモノクローナルまたはポリクローナル抗体作製方法により調製することができる。ヒトおよびラットのPTP1B検出に有用な抗体は市販されている。
【0374】
アンチセンス化合物のインビボ試験
アンチセンス化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドを動物で試験して、PTP1Bの発現を阻害し表現型の変化をもたらす能力を評価する。正常な動物または実験用疾患モデルで試験を実施することができる。動物への投与のため、アンチセンスオリゴヌクレオチドはリン酸緩衝生理食塩水などの薬学的に許容可能な希釈液中で製剤される。投与には非経口投与経路が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置期間の後にRNAを組織から単離し、PTP1B核酸の発現の変化を測定する。PTP1Bタンパク質レベルの変化も測定する。
【0375】
ある特定の適応症
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるような1つ以上の医薬組成物を投与することを含む、個体を治療する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、その個体は代謝関連疾患を有する。
【0376】
下記の実施例で示されるように、本明細書に記載されるようなPTP1Bを標的とする化合物は、メタボリックシンドローム、真性糖尿病、インスリン抵抗性、糖尿病性脂質異常症、高トリグリセリド血症、肥満および体重増加を含む代謝関連疾患の生理的症状の重症度を軽減することが示されている。実験のいくつかでは、化合物により血中グルコースレベルが低下し、例えば、動物の症状は継続したが、未処置の動物と比較すると症状は軽かった。しかし、他の実験では、化合物は糖尿病の症状を軽減するようであり、例えば、長期間処置を受けた動物は、化合物を短期間投与された動物と比較して症状が軽かった。しかし、他の実験では、化合物は体重増加を阻害するようであり、例えば、長期間処置を受けた動物は、化合物を短期間投与された動物と比較して症状が軽かった。しかし、他の実験では、化合物は高グリセリド血症を阻害するようであり、例えば、長期間処置を受けた動物は、化合物を短期間投与された動物と比較して症状が軽かった。従って、以下に例示する化合物の機能回復能は、本明細書に記載の化合物を用いる処置により疾患の症状が逆転し得ることを示す。
【0377】
真性糖尿病は多数の身体的および生理的症状を特徴とする。2型糖尿病に関連して当業者に知られる任意の症状が、前述の方法で上述したように改善またはその他調節されうる。ある特定の実施形態では、症状は、グルコースレベルの上昇、大幅な体重増加、頻尿、異常な口渇、過度の空腹、過度の疲労、霞視、頻繁な感染、四肢の刺痛またはしびれ、皮膚の乾燥および痒み、体重減少、傷の治癒が遅い、および歯肉の腫れからなる群より選択される身体的症状である。
【0378】
ある特定の実施形態では、症状は、インスリン抵抗性の増加、グルコースレベルの上昇、体脂肪量の増加、代謝速度の低下、グルコースクリアランスの低下、グルコース忍容性の低下、インスリン感受性の低下、肝臓のインスリン感受性の低下、脂肪組織のサイズと重量の増加、体脂肪の増加および体重の増加からなる群より選択される生理的症状である。
【0379】
ある特定の実施形態では、身体的症状は大幅な体重増加である。ある特定の実施形態では、症状は頻尿である。ある特定の実施形態では、症状は異常な口渇である。ある特定の実施形態では、症状は過度の空腹である。ある特定の実施形態では、症状は過度の疲労である。ある特定の実施形態では、症状は霞視である。ある特定の実施形態では、症状は頻繁な感染である。ある特定の実施形態では、症状は四肢の刺痛またはしびれである。ある特定の実施形態では、症状は皮膚の乾燥および痒みである。ある特定の実施形態では、症状は体重減少である。ある特定の実施形態では、症状は傷の治癒が遅いことである。ある特定の実施形態では、症状は歯肉の腫れである。ある特定の実施形態では、症状はインスリン抵抗性の増加である。ある特定の実施形態では、症状は増体脂肪量の増加である。ある特定の実施形態では、症状は代謝速度の低下である。ある特定の実施形態では、症状はグルコースクリアランスの低下である。ある特定の実施形態では、症状はグルコース忍容性の低下である。ある特定の実施形態では、症状はインスリン感受性の低下である。ある特定の実施形態では、症状は肝臓のインスリン感受性の低下である。ある特定の実施形態では、症状は脂肪組織のサイズと重量の増加である。ある特定の実施形態では、症状は体脂肪の増加である。ある特定の実施形態では、症状は体重の増加である。
【0380】
Liu and Chernoffは、PTP1Bが上皮成長因子受容体(EGFR)に結合しその基質として働くことを示している(Liu and Chernoff, Biochem. J.,1997, 327, 139-145)。さらに、A431ヒト類表皮癌細胞では、PT1Bは、EGFの追加により生じたHの存在により不活性化されることが見出された。これらの研究は、腫瘍形成中はしばしば調節解除されるPTP1Bが、細胞の酸化状態により負に調節され得ることを示す(Leeら, J. Biol. Chem., 1998, 273, 15366-15372)。
【0381】
PTP1Bの過剰発現は悪性卵巣癌で示されており、この相関関係に伴い関連の成長因子受容体の発現が同時に増加した(Wienerら, Am. J. Obstet. Gynecol., 1994, 170, 1177-1183)。
【0382】
PTP1Bは、neu発がん遺伝子に誘導されるNIH3T3細胞における形質転換を抑制すること(Brown-Shimerら, Cancer Res., 1992, 52, 478-482)並びにv−srk、v−srcおよびv−rasに誘導されるラット3Y1線維芽細胞における形質転換を抑制すること(Liuら, Mol. Cell. Biol., 1998, 18, 250-259)およびbcr−ablに誘導されるラット−1線維芽細胞における形質転換を抑制すること(LaMontagneら, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 1998, 95, 14094-14099)が示されている。PTP1Bは、bcr−abl腫瘍タンパク質阻害剤と同様に、慢性骨髄性白血病細胞株であるK562細胞の分化を促進することも示されている。これらの研究は、PTP1Bが慢性骨髄性白血病の病原性を制御する役割を果たし得ることを記述している(LaMontagneら, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 1998, 95, 14094-14099)。
【0383】
従って、本明細書では過剰増殖性疾患に関連する症状を改善することを、それを必要とする対象において行う方法が提供される。ある特定の実施形態では、過剰増殖性疾患は癌である。ある特定の実施形態では、癌関連の症状を改善する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、過剰増殖性疾患関連の症状の発症の速度を低下させる方法が提供される。ある特定の実施形態では、癌関連の症状の発症の速度を低下させる方法が提供される。ある特定の実施形態では、過剰増殖性疾患関連の症状の重症度を軽減する方法が提供される。ある特定の実施形態では、癌関連の症状の重症度を軽減する方法が提供される。そのような実施形態では、方法は、必要とする個体にPTP1B核酸を標的とする化合物を治療上有効な量投与することを含む。
【0384】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるような1つ以上の医薬組成物を投与することを含む、個体を治療する方法が提供される。ある特定の実施形態では、その個体は代謝関連疾患を有する。
【0385】
ある特定の実施形態では、PTP1B核酸を標的とするアンチセンス化合物の投与により、PTP1B発現が少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは99%またはこれらの値のうち任意の2つで限定される範囲だけ低下する。
【0386】
ある特定の実施形態では、トランスチレチンを標的とするアンチセンス化合物を含む医薬組成物が、代謝関連疾患患者または罹患しやすい患者の治療用医薬の調製に使用される。
【0387】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法には、配列番号26(ISIS404173)に列挙される配列の本明細書に記載されるような連続核酸塩基部分を有する修飾型オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することが含まれる。
【0388】
投与
ある特定の実施形態では、局所的治療が望ましいか、全身的治療が望ましいかということ、および治療される領域に応じて多数の方法で本明細書に記載されるような化合物と組成物を投与することができる。投与は、局所投与;噴霧器によるものを含む、粉剤の吸入もしくは吹送による肺性投与;気管支内投与;鼻腔内投与;表皮投与および経皮投与;経口投与または非経口投与であり得る。本明細書に記載されるような化合物と組成物は組織または器官に直接投与され得る。
【0389】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるような化合物と組成物が非経口的に投与される。「非経口投与」は注射または点滴による投与を意味する。非経口投与には皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または頭蓋内投与、例えば、脳内投与、髄腔内投与、脳室内投与、脳室性投与、側脳室内投与、大脳脳室内投与もしくは大脳脳室性投与が含まれる。投与は連続投与、または長期投与、または短期投与、または断続的投与であり得る。
【0390】
ある特定の実施形態では、非経口投与は注射による。注射は注射筒またはポンプを用いて行われ得る。ある特定の実施形態では、注射はボーラス注射である。ある特定の実施形態では、注射は組織または器官に直接投与される。
【0391】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるような化合物と組成物は非経口的に投与される。
【0392】
ある特定の実施形態では、非経口投与は皮下投与である。
【0393】
さらなる実施形態では、投与用の製剤は本明細書に記載される化合物と生理食塩水である。
【0394】
ある特定の実施形態では、1か月毎、2か月毎、90日毎、3か月毎、6か月毎、1年に2回、または1年に1回の注射または点滴によりアンチセンスオリゴヌクレオチドを送達する。
【0395】
ある特定の併用療法
ある特定の実施形態では、本発明の1つ以上の医薬組成物は1つ以上の他の医薬と共投与される。ある特定の実施形態では、そのような1つ以上の他の医薬が、本明細書に記載される1つ以上の医薬組成物が治療するものと同じ疾患、傷害、または健康状態を治療するように企図される。ある特定の実施形態では、そのような1つ以上の他の医薬は、本明細書に記載される1つ以上の医薬組成物が治療するものと異なる疾患、傷害、または健康状態を治療するように企図される。ある特定の実施形態では、そのような1つ以上の他の医薬は本明細書に記載されるような1つ以上の医薬組成物の望まれない副作用を治療するように企図される。ある特定の実施形態では、1つ以上の医薬組成物は別の医薬と、前記の他の医薬の望まれない副作用を治療するために共投与される。ある特定の実施形態では、複合的効果をもたらすために1つ以上の医薬組成物が別の医薬と共投与される。ある特定の実施形態では、相乗的効果をもたらすために1つ以上の医薬組成物が別の医薬と共投与される。
【0396】
ある特定の実施形態では、第1薬剤と1つ以上の第2薬剤が同時に投与される。ある特定の実施形態では、前記の第1薬剤と1つ以上の第2薬剤が異なる時点で投与される。ある特定の実施形態では、前記の第1薬剤と1つ以上の第2薬剤が単一の医薬製剤中に一緒に調製される。ある特定の実施形態では、前記の第1薬剤と1つ以上の第2薬剤が別々に調製される。
【0397】
ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物の投与の前に前記第2化合物が投与される。ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物の投与の後に前記第2化合物が投与される。ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物と同時に前記第2化合物が投与される。ある特定の実施形態では、共投与される第2化合物の用量は、前記第2化合物が単独で投与される場合に投与されるだろう用量と同一である。ある特定の実施形態では、共投与される第2化合物の用量は、前記第2化合物が単独で投与される場合に投与されるだろう用量よりも少ない。ある特定の実施形態では、共投与される第2化合物の用量は、前記第2化合物が単独で投与される場合に投与されるだろう用量よりも多い。
【0398】
ある特定の実施形態では、第1化合物と第2化合物の共投与が第1化合物の単独投与の効果よりも大きい効果をもたらすように、第2化合物の共投与が第1化合物の効果を増強する。ある特定の実施形態では、前記の共投与は、前記化合物が単独で投与されたときの効果の相加である効果をもたらす。ある特定の実施形態では、前記の共投与は、前記化合物が単独で投与されたときの効果の相加よりも高い効果をもたらす。ある特定の実施形態では、前記第1化合物はアンチセンス化合物である。ある特定の実施形態では、前記第2化合物はアンチセンス化合物である。
【0399】
ある特定の実施形態では、第2薬剤にはグルコース低下薬剤が含まれるが、これに限定されない。グルコース低下薬剤には治療のための生活習慣の変更、PPARアゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼ(IV)阻害剤、GLP−1類似体、インスリンもしくはインスリン類似体、インスリン分泌促進物質、SGLT2阻害剤、ヒトアミリン類似体、ビグアニド、α−グルコシダーゼ阻害剤、またはそれらの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。グルコース低下薬剤にはメトホルミン、スルホニル尿素、ロシグリタゾン、メグリチニド、チアゾリジンジオン、α−グルコシダーゼ阻害剤、またはそれらの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。スルホニル尿素はアセトヘキサミド、クロルプロパミド、トルブタミド、トラザミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリドまたはグリクラジドであり得る。メグリチニドはナテグリニドまたはレパグリニドであり得る。チアゾリジンジオンはピオグリタゾンまたはロシグリタゾンであり得る。α−グルコシダーゼはアカルボースまたはミグリトールであり得る。
【0400】
いくつかの実施形態では、グルコース低下治療薬はGLP−1類似体である。いくつかの実施形態では、GLP−1類似体はエキセンジン−4またはリラグルチドである。
【0401】
他の実施形態では、グルコース低下治療薬はスルホニル尿素である。いくつかの実施形態では、スルホニル尿素はアセトヘキサミド、クロルプロパミド、トルブタミド、トラザミド、グリメピリド、グリピジド、グリブリドまたはグリクラジドである。
【0402】
いくつかの実施形態では、グルコース低下薬はビグアニドである。いくつかの実施形態では、ビグアニドはメトホルミンであり、そして、いくつかの実施形態では、メトホルミン単独で治療した後に観察される乳酸アシドーシスと比較して、乳酸アシドーシスが上昇することなく血中グルコースレベルが低下する。
【0403】
いくつかの実施形態では、グルコース低下薬はメグリチニドである。いくつかの実施形態では、メグリチニドはナテグリニドまたはレパグリニドである。
【0404】
いくつかの実施形態では、グルコース低下薬はチアゾリジンジオンである。いくつかの実施形態では、チアゾリジンジオンはピオグリタゾン、ロシグリタゾンまたはトログリタゾンである。いくつかの実施形態では、ロシグリタゾン治療単独で観察されるものより大きな体重増加を経ることなく、血中グルコースレベルが低下する。
【0405】
いくつかの実施形態では、グルコース低下薬はα−グルコシダーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、α−グルコシダーゼ阻害剤はアカルボースまたはミグリトールである。
【0406】
ある特定の実施形態では、共投与されるグルコース低下薬剤はISIS113715である。
【0407】
ある特定の実施形態では、グルコース低下治療は治療のための生活習慣の変更である。
【0408】
ある特定の実施形態では、第2薬剤には脂質低下薬剤が含まれるが、これらに限定されない。脂質低下薬剤にはアトルバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチンおよびエゼチミブが含まれ得るが、これらに限定されない。特定のそのような実施形態では、本発明の医薬組成物の投与前に脂質低下薬剤が投与される。特定のそのような実施形態では、本発明の医薬組成物の投与の後に脂質低下薬剤が投与される。特定のそのような実施形態では、本発明の医薬組成物と同時に脂質低下薬剤が投与される。特定のそのような実施形態では、共投与される脂質低下薬剤の用量は、前記脂質低下薬剤が単独で投与される場合に投与されるだろう用量と同一である。特定のそのような実施形態では、共投与される脂質低下薬剤の用量は、前記脂質低下薬剤が単独で投与される場合に投与されるだろう用量よりも少ない。特定のそのような実施形態では、共投与される脂質低下薬剤の用量は、前記脂質低下薬剤が単独で投与される場合に投与されるだろう用量よりも多い。
【0409】
ある特定の実施形態では、共投与される脂質低下薬剤はHMG−CoA還元酵素阻害剤である。特定のそのような実施形態では、HMG−CoA還元酵素阻害剤はスタチンである。特定のそのような実施形態では、スタチンはアトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチンおよびロスバスタチンから選択される。
【0410】
ある特定の実施形態では、共投与される脂質低下薬剤はコレステロール吸収阻害剤である。特定のそのような実施形態では、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。
【0411】
ある特定の実施形態では、共投与される脂質低下薬剤は、共製剤されたHMG−CoA還元酵素阻害剤とコレステロール吸収阻害剤である。特定のそのような実施形態では、共製剤された脂質低下薬剤はエゼチミブ/シンバスタチンである。
【0412】
ある特定の実施形態では、共投与される脂質低下薬剤はミクロソーム・トリグリセリド転移タンパク質阻害剤(MTP阻害剤)である。
【0413】
ある特定の実施形態では、共投与される脂質低下薬剤は、ApoBを標的とするオリゴヌクレオチドである。
【0414】
ある特定の実施形態では、第2薬剤には抗肥満薬または薬剤が含まれるが、これらに限定されない。そのような抗肥満薬剤にはオルリスタット、シブトラミンまたはリモナバンが含まれるが、これらに限定されず、そして、それらは体脂肪蓄積または体重低下薬剤として上述のように投与され得る。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は食欲抑制剤と共投与され得る。そのような食欲抑制剤にはジエチルプロピオン・テニュエート、マジンドール、オルリスタット、フェンジメトラジン、フェンテルミン、およびシブトラミンが含まれるが、これらに限定されず、そして、それらは本明細書に記載されるように投与され得る。ある特定の実施形態では、抗肥満薬剤は、シブトラミンまたは、これに限定されないが、リラグルチドなどのGLP−1系薬剤などの、しかし、これらに限定されないCNS系薬剤である。
【0415】
製剤
本明細書で提供される化合物はまた、例えば、取込、分布および/または吸収を補助するためのリポソーム、受容体標的化分子または他の製剤のような他の分子、分子構造または化合物の混合物と混合、複合体化、そうでなければ結合され得る。そのような取込、分布および/または吸収補助製剤の調製を教示する代表的な米国特許には米国特許第5,108,921号;第5,354,844号;第5,416,016号;第5,459,127号;第5,521,291号;第5,543,158号;第5,547,932号;第5,583,020号;第5,591,721号;第4,426,330号;第4,534,899号;第5,013,556号;第5,108,921号;第5,213,804号;第5,227,170号;第5,264,221号;第5,356,633号;第5,395,619号;第5,416,016号;第5,417,978号;第5,462,854号;第5,469,854号;第5,512,295号;第5,527,528号;第5,534,259号;第5,543,152号;第5,556,948号;第5,580,575号;および第5,595,756号が含まれるが、これらに限定されず、これらの各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0416】
本明細書で提供されるアンチセンス化合物は、任意の薬学的に許容可能な塩、エステル、またはそのようなエステルの塩、またはヒトを含む動物に投与されると、生物学的に活性がある代謝物またはその残基を(直接的または間接的に)提供することができる他の任意の化合物を包含する。
【0417】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、本明細書で提供される化合物の生理的および薬学的に許容可能な塩:すなわち、親化合物の所望の生物活性を保持し、それに望ましくない毒性を加えない塩を指す。「薬学的に許容可能な塩」という用語には、無機または有機の酸および塩基を包含する薬学的に許容可能な毒性が無い酸または塩基から調製された塩が含まれる。オリゴヌクレオチドについて、薬学的に許容可能な塩の好ましい例とそれらの使用法は米国特許第6,287,860号にさらに記載され、その全体が参照により組み込まれる。ナトリウム塩はオリゴヌクレオチド薬品の適切な形態であることが示されている。
【0418】
「薬学的に許容可能な誘導体」という用語は、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容可能な塩、溶媒和化合物、水和物、エステル、プロドラッグ、多形体、異性体、同位体により標識された異型体を包含するが、これらに限定されない。
【0419】
本発明は、本明細書で提供されるアンチセンス化合物を包含する、医薬組成物および製剤も包含する。本発明の医薬組成物は、局所的治療が望ましいか、全身的治療が望ましいかということ、および治療される領域に応じて多数の方法で投与され得る。投与は非経口投与であり得る。非経口投与には静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内の注射もしくは点滴;または頭蓋内投与、例えば、脳内投与、髄腔内投与、脳室内投与、脳室性投与、側脳室内投与、大脳脳室内投与もしくは大脳脳室性投与が含まれる。
【0420】
非経口投与が肝臓および血漿中のPTP1B発現を標的とするために好ましい。少なくとも1つの2’−O−メトキシエチル修飾を有するオリゴヌクレオチドは経口投与に特に有用であると考えられている。局所投与用の医薬組成物と製剤には経皮パッチ、軟膏、外用水薬、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、スプレー剤、液剤および粉剤が含まれ得る。従来の医薬担体、水性、粉体または油系の基剤、増粘剤などが必要または望ましい場合がある。被覆されたコンドーム、グローブなども有用であり得る。
【0421】
単位剤形で都合よくも提供され得る本発明の医薬製剤は製薬業界に周知の従来の技術に従って調製され得る。そのような技術は活性成分を医薬担体または添加剤と会合させるステップを包含する。一般に、活性成分を液体担体または細分した固形担体または両方と均一に密に会合させ、その後、必要であれば、産物を成形することにより製剤が調製される。
【0422】
本発明の組成物は、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、軟質ゲル剤、坐剤、および直腸投与剤などの、しかし、これらに限定されない多数の可能な剤形のうちのいずれかに製剤され得る。本発明の組成物は水性媒体、非水性媒体、または混合媒体中の懸濁液としても製剤され得る。水性懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む、前記の懸濁液の粘度を上昇させる物質をさらに含有することができる。前記懸濁液は安定化剤を含有することもできる。
【0423】
本発明の医薬組成物には水剤、乳剤、泡剤およびリポソーム含有製剤が含まれるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物および製剤は1つ以上の浸透増強剤、担体、添加剤または他の活性成分もしくは非活性成分を含み得る。
【0424】
乳剤は、直径が通常0.1μmを超える液滴の形状の、1つの液体が別の液体に分散した通常は非均質的な系である。乳剤は、分散相、および水相、油相または分離した相としてのそれ自体の形態の溶液として存在し得る活性薬品に加えて追加成分を含有し得る。本発明の実施形態としてミクロエマルジョンが含まれる。乳剤とそれらの使用法は当技術分野において周知であり、そして、それらは米国特許第6,287,860号にさらに記載され、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0425】
本発明の製剤にはリポソーム製剤が含まれる。本発明で使用される場合、「リポソーム」という用語は、球状の二層または複数の二層に配置された脂肪族脂質から構成される小胞を意味する。リポソームは、送達される組成物を含有する水性内部と親油性物質から形成される膜を有する単層または多重層の小胞である。カチオン性リポソームは、負に帯電したDNA分子と相互作用して安定な複合体を形成すると考えられている、正に帯電したリポソームである。pH感受性である、または負に帯電したリポソームはDNAと複合体を形成するよりもむしろDNAを封入すると考えられている。カチオン性リポソームと非カチオン性リポソームの両方がDNAを細胞に送達するために使用されている。
【0426】
リポソームには「静電気的に安定化された」リポソームも含まれ、その用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上の特殊な脂質を含むリポソームであって、リポソームに組み込まれると、そのような特殊な脂質を欠くリポソームに対して循環存続期間を向上することになる脂質を含む前記リポソームを指す。リポソームとそれらの使用法は米国特許第6,287,860号にさらに記載され、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0427】
別の実施形態では、本発明の製剤には生理食塩水製剤が含まれる。ある特定の実施形態では、製剤は本明細書に記載される化合物と生理食塩水からなる。ある特定の実施形態では、製剤は本明細書に記載される化合物と生理食塩水から基本的になる。ある特定の実施形態では、前記生理食塩水は薬学的に許容可能な等級の生理食塩水である。ある特定の実施形態では、前記生理食塩水は緩衝生理食塩水である。ある特定の実施形態では、前記生理食塩水はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0428】
ある特定の実施形態では、製剤はリポソームを除外する。ある特定の実施形態では、前記製剤は静電気的に安定化されたリポソームを除外する。ある特定の実施形態では、製剤はリン脂質を除外する。ある特定の実施形態では、前記製剤は本明細書に記載される化合物と生理食塩水から基本的になり、そして、リポソームを除外する。
【0429】
本発明の医薬製剤と組成物は界面活性剤を含むこともできる。界面活性剤とそれらの使用法は米国特許第6,287,860号にさらに記載され、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0430】
1つの実施形態では、本発明は、核酸、特に、オリゴヌクレオチドの効率的な送達に影響する様々な浸透増強剤を使用する。浸透増強剤とそれらの使用法は米国特許第6,287,860号にさらに記載され、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0431】
当業者は、製剤がそれらの意図された使用法、すなわち、投与経路に従って日常的にデザインされることを理解する。
【0432】
局所投与用の製剤には、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドが脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド類、キレート剤および界面活性剤などの局所送達薬剤と混合されている製剤が含まれる。好ましい脂質とリポソームには中性のもの(例えば、ジオレオイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰性のもの(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)および陽性のもの(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAPおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が含まれる。
【0433】
静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、筋肉内の注射もしくは点滴、または頭蓋内投与を含む非経口投与用の組成物および製剤は、緩衝剤、希釈剤、ならびに、これらに限定されないが、浸透増強剤、担体化合物および他の薬学的に許容可能な担体または添加剤などの他の適切な添加物を含有することもできる無菌水溶液を包含し得る。
【0434】
本明細書で提供される特定の実施形態は、1つ以上のオリゴマー化合物、および非アンチセンス機序により機能する1つ以上の他の化学療法剤を含有する医薬組成物を提供する。そのような化学療法剤の例には、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イホスファミド、シトシンアラビノシド、bis−クロロエチルニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロラムブチル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4−ヒドロキシペルオキシシクロホスホルアミド、5−フルオロウラシル(5−FU)、5−フルオロデオキシウリジン(5−FUdR)、メトトレキサート(MTX)、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP−16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチンおよびジエチルスチルベストロール(DES)などの癌化学療法薬が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される化合物と共に使用されるとき、そのような化学療法剤は個々に(例えば、5−FUとオリゴヌクレオチド)、連続的に(例えば、ある期間に5−FUとオリゴヌクレオチドとそれらに続いてMTXとオリゴヌクレオチド)、または1つ以上の他のそのような化学療法剤と組み合わせて(例えば、5−FU、MTXとオリゴヌクレオチド、または5−FU、放射線治療とオリゴヌクレオチド)使用され得る。非ステロイド性抗炎症薬とコルチコステロイドを含むが、これらに限定されない抗炎症薬、ならびにリビビリン(ribivirin)、ビダラビン、アシクロビルおよびガンシクロビルを含むが、これらに限定されない抗ウイルス薬も本明細書で提供される組成物に組み合わせることができる。アンチセンス化合物と他の非アンチセンス薬の組合せもこの発明の範囲内である。2つ以上の組み合わせた化合物を一緒に、または連続的に使用することができる。
【0435】
別の関連の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、第1核酸を標的とする1つ以上のアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドと第2核酸標的を標的とする1つ以上の追加のアンチセンス化合物を含有することができる。あるいは、本明細書で提供される組成物は、同一の核酸標的の異なる領域を標的とする2つ以上のアンチセンス化合物を含有することができる。アンチセンス化合物の多数の例が当技術分野において公知である。2つ以上の組み合わせた化合物を一緒に、または逐次的に使用することができる。
【0436】
投薬
治療組成物を製剤し、続いてこれを投与(投薬)することは、当業者の技術の範囲内であると考えられる。投薬は、治療される疾患状態の重症度および反応性に依存し、治療期間は数日から数か月、または治癒がもたらされるまで、または疾患状態の消失が達成されるまで続く。患者体内の薬品蓄積の測定から最適な投薬計画を見積もることができる。個々のオリゴヌクレオチドの相対的な力価に応じて最適な投薬量は変化し得るが、インビトロとインビボの動物モデルで有効であることが分かっているEC50に基づいて一般に推定され得る。一般に、投薬量は体重1kg当たり0.01μgから100gまでであり、一日、一週間、一か月または一年に1回以上、または所望の間隔で与えられ得る。治療が成功した後に疾患状態の再発を防ぐために、体重1kg当たり0.01μgから100gの範囲の維持用量のオリゴヌクレオチドが1日に1回以上投与される維持療法を患者に受けさせることが望ましい場合がある。
【0437】
本発明は、その好ましい実施形態に従い具体的に記述されているが、以下の実施例は本発明の例示のためのみに役立ち、それが本発明を限定することは意図されていない。本願で引用される参照文献、GenBank受託番号などの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0438】
ある特定の化合物
約276種の様々な長さ、モチーフおよび骨格組成の新規に設計されたアンチセンス化合物を、インビトロでヒトPTP1B mRNAに及ぼす効果について複数の細胞型で試験した。新規の化合物を、インビトロでもっとも効力のあるアンチセンス化合物の一部であると以前に判断されているISIS107772、ISIS107831、ISIS142025、ISIS142026、ISIS142027、ISIS142028、ISIS142082、ISIS146908およびISIS146909(例えば2003年11月27日に公開された米国特許公報第2003/0220282号および2007年11月15日に公開されたPCT国際特許出願公開第2007/131237号を参照のこと)を含む約500種の以前に設計された化合物と比較した。新規および以前に設計されたアンチセンス化合物約285種のうち約11種の化合物がインビトロの効力に基づきさらなる試験のために選択された。選択された化合物を用量依存的阻害についてHuVEC、HepG2、HuVEC、LLC−MK2およびカニクイザル初代培養肝細胞で試験した。試験した全細胞株でPTP1B mRNAの有意な減少を示した、選択された化合物の一つであるISIS409826のマイクロウォークに基づき、追加のオリゴヌクレオチドを設計した。オリゴヌクレオチドは、事前のスクリーン(実施例1)のギャップマーと共にHuVEC細胞で試験した(実施例5)。実施例5のスクリーンから複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを選択し、用量依存的阻害をHuVEC細胞(実施例6)およびHepG2細胞(実施例7)で試験した。加えて、選択した化合物の一つであるISIS1428082に対するショートマーとして2種のオリゴヌクレオチドを設計した。これら2種のショートマー(ISIS446431、ISIS446432)ならびに実施例6および7に記載の研究から選択された5種のISISオリゴヌクレオチドをHepG2細胞、LLC−MK2細胞、HuVEC細胞およびカニクイザル初代培養肝細胞で試験した(実施例8〜11)。全細胞株でPTP1B mRNAの用量依存的減少を示したISISオリゴヌクレオチドのインビボの忍容性を試験した。ISIS409826に対するショートマーとして設計したもう2種類のオリゴヌクレオチドISIS446433およびISIS446434もインビボの忍容性研究に含めた。
【0439】
選択した12種のギャップマーをマウスモデル(実施例12を参照)およびラットモデル(実施例13)で試験した。それらの相補的配列により、化合物は、配列番号1の領域3291〜3310、989〜1008、3290〜3309、3287〜3306、3291〜3310、3288〜3307、3292〜3309、3293〜3308、3288〜3305および3289〜3304に相補的である。インビボモデルでは、体重および器官重量、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼおよびビリルビンなどの肝臓代謝マーカー、BUNおよびクレアチニン、血漿グルコースレベル、コレステロールおよびトリグリセリドレベルなどの腎臓代謝マーカーならびに炎症性サイトカインレベルを測定した。試験した12種の化合物のうち5種の化合物であるISIS142082、ISIS404173、ISIS410003、ISIS446431およびISIS446432を選択し、それらの粘度を測定した(実施例14)。5種すべてのオリゴヌクレオチドは、試験用に記述された基準に従い、粘度は最適であると考えられた。
【0440】
これらの研究の最終評価(実施例12〜14)から、配列番号27(ISIS142082)、46(ISIS446431)、26(ISIS404173)および23(ISIS409826)に記載の配列の核酸塩基配列を有する4種の化合物が選択された。それらの相補的配列により、化合物は配列番号1の領域3291〜3310、3292〜3309、3290〜3309、3287〜3306に相補的である。ある特定の実施形態では、本発明でさらに記載されるように、列挙した領域を標的とする化合物は、本明細書にさらに記載される、配列番号に列挙される配列の何らかの核酸塩基部分を有する修飾型オリゴヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、列挙された領域を標的とする、すなわち列挙された配列番号に記載の配列の核酸塩基部分を有する化合物は、本明細書にさらに記載されるように、長さが様々であり得るし、本明細書にさらに記載されるように、様々なモチーフのうちの1つを有し得る。ある特定の実施形態では、ある領域を標的とする、すなわち列挙された配列番号に記載の配列の核酸塩基部分を有する化合物は、ISIS番号:ISIS142082、ISIS446431、ISIS404173およびISIS409826により表されるように、特定の長さとモチーフを有する。
【0441】
配列番号27(ISIS142082)、23(ISIS404173)および46(ISIS446431)に記載の配列の核酸塩基を有する3種の化合物を、マウスモデルで長期の6か月間忍容性研究でさらに試験した(実施例15を参照のこと)。配列番号53(ISIS409826)、27(ISIS142082)、26(ISIS404173)および46(ISIS446431)に記載の配列の核酸塩基配列を有する全4種の化合物のCD1マウスの肝臓における半減期も評価した(実施例16)。
【0442】
これら4種の化合物を有効性、薬物動態プロファイルおよび忍容性についてカニクイザルで試験した(実施例17)。これらのサルにおける阻害研究で、これらの化合物のいくつかでの処置により肝臓と脂肪組織でPTP1B mRNAの減少がもたらされることが示された。具体的には、ISIS409826、ISIS142082、ISIS446431およびISIS404173での処置により、それぞれPBS対照と比較して、45%、48%、18および22%のPTP1B mRNAの減少が肝臓組織でもたらされた。ISIS409826、ISIS142082、ISIS446431およびISIS404173での処置により、PBS対照と比較して、脂肪組織中それぞれ21%、28%、12%および31%のPTP1B mRNA減少がもたらされた。ISIS404173はISIS142082と比較して、それら2種のオリゴヌクレオチドが配列番号1の標的部位の1つの塩基対シフトにより互いに異なるにもかかわらず、PTP1B mRNAの同様の減少をもたらしたことが注目された。ウェスタンブロット分析により、肝臓組織のタンパク質分析も行った。ISIS409826、ISIS142082、ISIS446431およびISIS404173を用いてのPTP1B mRNAの減少を、有効性については40mgk/週の最大用量で、効力については8mgk/週の低用量で測定した(表45を参照のこと)。8mgk/週の低用量でのタンパク質分析では、ISIS404173(33%)がISIS142082(20%)よりも大幅なPTP1Bタンパク質の減少をもたらすことが示され、ISIS404173はISIS142082よりも効力が大きいことが示された(表47および図1を参照のこと)。40mg/週の高用量でのタンパク質分析で、ISIS404173(タンパク質60%減少)は、ISIS142082(タンパク質65%減少)と同じくらい有効であることが示された。最後に、PBS対照と比較して、ISIS409826およびISIS142082での処置によりトリグリセリドレベルは22%減少し、ISIS404173での処置の結果トリグリセリドレベルは37%減少した。
【0443】
カニクイザルでの忍容性試験(実施例17)で、この霊長類でISIS142082での処置はISIS404173での処置ほど忍容性が高くないことが示された。肝臓で合成されて炎症マーカーとして働くC反応性タンパク質のレベルを93日目に測定した。40mg/週の高用量では、ISIS142082での処置により、CRPレベルは対照レベルの1.2mg/Lと比較して12mg/Lと有意に増加した。ISIS404173を40mg/Lで用いる処置では1.6mg/LのCRPレベルの増加がもたらされた。試験した他の化合物のISIS409826とISIS446431によりCRPレベルは4.8mg/Lと6.7mg/L増加した。従って、ISIS404173がもたらしたCRPレベルの増加が最小であり、ISIS404173が極めて忍容性が高く非炎症誘発性であることが示された。器官重量も測定し、ISISオリゴヌクレオチドの忍容性をサルで評価した。ISIS142082を40mg/Lで用いる処置は腎臓で21g、肝臓で18gの重量増加をもたらしたが、これは対照(腎臓10g、肝臓10.5g)の2倍の増加である。ISIS409826での処置により、肝臓の重量は2倍増加し(18.5gに対し対照は10.5g)、脾臓の重量は3倍増加した(6.0gに対し対照は2.3g)。ISIS446431での処置により、脾臓の重量は4倍増加した(9.6gに対し対照は2.3g)。ISIS404173での処置は、すべての器官で1倍よりも少ない増加をもたらした(腎臓14.8g;肝臓15.5g;脾臓3.7g)。(図2)を参照されたい。従って、前記サルでは、ISIS142082、ISIS409826およびISIS446431での処置は忍容されないがISIS404173での処置は忍容されると考えられた。
【0444】
ISIS142082での処置は器官重量の増加とCRPレベルの上昇をもたらし、炎症状態を示した。ISIS409826での処置もCRPレベルの上昇と低補体C3レベルをもたらし、疾患状態を示した。ISIS404173およびISIS446431での処置はカニクイザルの忍容性プロファイルという点で最適であると考えられた。しかし、ISIS446431はISIS404173と比較すると効力が低いことが示された。
【0445】
肝臓と腎臓におけるオリゴヌクレオチドの薬物動態プロファイル試験の場合、どのISISオリゴヌクレオチドも何ら異常な肝臓対腎臓の濃度比率を示さなかった。ISIS404173はISIS142082と比較して直腸での蓄積が優れているという結果が示された。
【0446】
従って、インビボ試験、特にカニクイザルでの試験は、ISIS404173が他の化合物とちょうど同程度の効力を持ちながら、忍容性はそれらよりも極めて高かったことを示している。これらの試験で、ISIS142082は、ISIS407173から1個核酸塩基をシフトさせただけであるが、ISIS404173と同じくらいの有効性はあるものの効力と忍容性は劣ることが、代謝および炎症性マーカーの測定で示された。全体的に、ISIS404173は他のどの化合物と比較しても効力と忍容性が高かった。
【0447】
従って、改善された特性のうちのいずれか1つ以上を有するアンチセンス化合物が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、本明細書にさらに記載されるような、配列番号1のヌクレオチドの領域を標的とする、またはそれと特異的にハイブリダイズ可能である修飾型オリゴヌクレオチドを含む化合物が本明細書で提供される。
【0448】
従って、改善された特性のうちのいずれか1つ以上を有するアンチセンス化合物が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、本明細書にさらに記載されるような、配列番号2のヌクレオチドの領域を標的とする、またはそれと特異的にハイブリダイズ可能である修飾型オリゴヌクレオチドを含む化合物が本明細書で提供される。
【0449】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるような化合物は、実施例11に記載されるように電気穿孔法を用いてカニクイザルの肝細胞細胞株に送達されると、0.4μM未満、0.35μM未満、0.3μM未満、2.5μM未満、2.0μM未満、1.5μM未満、1.0μM未満のインビトロIC50のうちの少なくとも1つを有するため、有効である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるような化合物は、生理食塩水で処置した動物に対し4倍、3倍または2倍を超えないALTまたはAST値の増加;または肝臓、脾臓または腎臓の重量の30%、20%、15%、12%、10%、5%または2%を超えない増加のうちの少なくとも1つを有することにより示されるように、極めて忍容できるものである。
【実施例】
【0450】
非限定的な開示および参照による組み込み
本明細書に記載の特定の化合物、組成物および方法は特定の実施形態に従い具体的に記述されているが、以下の実施例は本明細書に記載の化合物を例示説明するためのみに用いられ、その化合物を限定することは意図しない。本願で引用される参照文献、GenBank受託番号などはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0451】
実施例1:HuVEC細胞におけるヒトPTP1B mRNAのアンチセンス阻害
ヒトPTP1B核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計し、それらがPTP1B RNA転写物に及ぼす効果をインビトロで試験した。以前の特許(BIOL001USP2)で請求されたISIS107772、ISIS107831、ISIS142025、ISIS142026、ISIS142027、ISIS142028、ISIS142082、ISIS146908およびISIS146909を比較のためにこの測定に含めた。培養HuVEC細胞をウェル当たり5000細胞の密度で2nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドと共にLipofectAMINE 2000(登録商標)を使用して形質移入した。およそ24時間後、RNAを細胞から単離し、PTP1B mRNAレベルを定量的リアルタイムPCRにより測定した。PTP1B mRNAレベルをリボグリーン(登録商標)で測定される全RNA含量に従って補正した。結果は未処理の対照細胞に対するPTP1B mRNAレベルの阻害パーセントとして示される。
【0452】
表1のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5MOEギャップマーまたは2−13−5MOEギャップマーである。5−10−5MOEギャップマーは、10個の2’−デオキシヌクレオシドを含むギャップセグメントと、5個の2’−MOEヌクレオシドを含む2つのウイングセグメントを有する。2−13−5MOEギャップマーは、13個の2’−デオキシヌクレオシドを含むギャップセグメント、2個の2’−MOEヌクレオシドを含む5’ウイングセグメント、および3個の2’−MOEヌクレオシドを含む3’ウイングセグメントを有する。各ギャップマー全体のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体の全シトシン残基は5−メチルシトシンである。「標的開始部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的とする、ヒト遺伝子配列中の最も5’側のヌクレオチドを表す。「標的終止部位」は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的とする、ヒト遺伝子配列中の最も3’側のヌクレオチドを表す。表1に列挙した全アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ここでは配列番号1として示されるmRNA配列(GENBANKアクセション番号NM_002827.2)またはここでは配列番号2として示されるゲノム配列(GENBANK受託番号NT_011362.9から切り出したヌクレオチド14178000から14256000)の一方、または両方を標的とする。
【0453】
表1のヒトオリゴヌクレオチドの一部はまた、アカゲザルの遺伝子配列と完全に交差反応性である。「n/a」は、ヒトオリゴヌクレオチドとアカゲザル遺伝子配列の間に3塩基よりも多いミスマッチがあったことを表す。ヒトオリゴヌクレオチドとアカゲザル遺伝子配列の間の相補性が高いほど、ヒトオリゴヌクレオチドはアカゲザル配列と交差反応できる可能性がより高い。表1のヒトオリゴヌクレオチドを配列番号3(アカゲザルPTP1B足場のエクソン1〜9、イントロン9およびエクソン10)と比較した。「アカゲザル標的開始部位」は、ギャップマーが標的とする、アカゲザル遺伝子配列の最も5’側のヌクレオチドを表す。「アカゲザル標的終止部位」は、ギャップマーが標的とする、アカゲザル遺伝子配列の最も3’側のヌクレオチドを表す。
【0454】
【表1-1】
【表1-2】
【0455】
実施例2:HuVEC細胞におけるヒトPTP1B mRNAの用量依存的アンチセンス阻害
実施例1に記載の研究でPTP1B mRNAの有意なアンチセンス阻害を示した複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、HuVEC細胞において様々な用量でさらに試験した。細胞をウェル当たり5000細胞の密度で蒔き、LipofectAMINE 2000(登録商標)を用いて0.9375nM、1.875nM、3.75nM、7.5nM、15nMおよび30nMの濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドで形質移入した。およそ16時間後、RNAを細胞から単離し、PTP1B mRNAレベルをプライマープローブセットRTS3000(ここでは配列番号33として示されるフォワード配列CTGGTTTAACCTCCTATCCTTGGA;ここでは配列番号34として示されるリバース配列CAGAGCAGCTCGCTACCTCTCT、ここでは配列番号35として示されるプローブ配列CAGCTGGCTCTCCACCTTGTTACACATTATGT)を用いて定量的リアルタイムPCRにより測定した。PTP1B mRNAレベルをリボグリーン(登録商標)で測定される全RNA含量に対し正規化した。結果を未処理の対照細胞に対するPTP1B mRNAの阻害パーセントとして表2に示す。
【0456】
【表2】
【0457】
実施例3:LLC−MK2細胞におけるPTP1B mRNAの用量依存的アンチセンス阻害
実施例2に記載の試験のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、アカゲザル遺伝子配列(配列番号3)と交差反応性があり、アカゲザルLLC−MK2細胞において様々な用量でさらに試験された。細胞をウェル当たり3000細胞の密度で蒔き、リポフェクチンを用いて3.125nM、6.25nM、12.5nM、25nM、50nMおよび100nMの濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドで形質移入した。およそ16時間後、RNAを細胞から単離し、PTP1B mRNAレベルをプライマープローブセットRTS198(ここでは配列番号36として示されるフォワード配列GGAGTTCGAGCAGATCGACAA;ここでは配列番号37として示されるリバース配列GGCCACTCTACATGGGAAGTC、ここでは配列番号38として示されるプローブ配列AGCTGGGCGGCCATTTACCAGGAT)を用いて定量的リアルタイムPCRにより測定した。PTP1B mRNAレベルをリボグリーン(登録商標)で測定される全RNA含量に対し正規化した。結果を未処理の対照細胞に対するPTP1B mRNAの阻害パーセントとして表3に示す。アカゲザル配列番号3(アカゲザルPTP1B足場(遺伝子足場240)のエクソン1〜9、イントロン9およびエクソン10の連鎖)の各オリゴヌクレオチドの開始および終止部位を表4に示す。
【0458】
【表3】
【0459】
【表4】
【0460】
実施例4:カニクイザル初代培養肝細胞におけるPTP1B mRNAの用量依存的アンチセンス阻害
実施例1、2および3に記載の研究のアンチセンスオリゴヌクレオチドの一部をカニクイザル初代培養肝細胞において様々な用量でさらに試験した。細胞をウェルあたり35000細胞の密度で蒔き、リポフェクチンを用いて6.25nM、12.5nM、25nM、50nM、100nMおよび200nMの濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドで形質移入した。およそ16時間後、RNAを細胞から単離し、PTP1B mRNAレベルをプライマープローブセットRTS198を用いて定量的リアルタイムPCRにより測定した。PTP1B mRNAレベルをリボグリーン(登録商標)で測定される全RNA含量に対し正規化した。結果を未処理の対照細胞に対するPTP1B mRNAの阻害パーセントとして表5に示す。
【0461】
【表5】
【0462】
実施例5:マイクロウォークにより設計されたオリゴヌクレオチドによるHuVEC細胞におけるヒトPTP1B mRNAのアンチセンス阻害
試験した全細胞株で有意なPTP1B阻害を示したISIS409826に基づき追加のギャップマーを設計した。これらのギャップマーは、ISIS409826のわずかに上流および下流にシフトさせたギャップマー(すなわち「マイクロウォーク」)を作成することで設計した。オリゴヌクレオチドはまた、様々なモチーフ、例えば5−10−5MOE、5−8−5MOE、2−13−5MOE、6−8−6MOEモチーフで作成し、またはデオキシとMOEユニットの均質のオリゴヌクレオチドであった。これらのギャップマーをインビトロで試験した。ISISオリゴヌクレオチドのISIS142082、ISIS113715、ISIS373125、ISIS404161、ISIS404172、ISIS404173、ISIS404176、ISIS409825、ISIS409827、ISIS409828、ISIS409829、ISIS409845、ISIS409998、ISIS409999、ISIS410000、ISIS410001、ISIS410002、ISIS410003、ISIS410004およびISIS410030(実施例1より)、並びに以前の出願(CORE0061WO15)のISIS399038、ISIS404159およびISIS404174も比較のために測定に含めた。培養HuVEC細胞をウェル当たり20,000細胞の密度で電気穿孔法を使用して2,000nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドで形質移入した。およそ24時間の処置期間後、RNAを細胞から単離し、定量的リアルタイムPCRによりPTP1B mRNAレベルを測定した。ヒトプライマープローブセットRTS3000を使用してPTP1B mRNAレベルを測定した。PTP1B mRNAレベルをリボグリーン(登録商標)で測定される全RNA含量に従い補正した。結果を未処理対照細胞に対するPTP1B mRNAの阻害パーセントとして表す。結果を表6および7に示す。
【0463】
5−10−5MOEギャップマーは長さが20ヌクレオチドであり、中央のギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、両側(5’と3’の方向)にそれぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。5−8−5MOEギャップマーは長さが18ヌクレオチドであり、中央のギャップセグメントは8個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、両側(5’と3’の方向)にそれぞれ5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。2−13−5MOEギャップマーは長さが20ヌクレオチドであり、中央のギャップセグメントは13個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、5’と3’の方向にそれぞれ2個と5個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。6−8−6MOEギャップマーは長さが18ヌクレオチドであり、中央のギャップセグメントは8個の2’−デオキシヌクレオチドで構成され、両側(5’と3’の方向)にそれぞれ6個のヌクレオチドを含むウイングが隣接する。各モチーフ(5−10−5、5−8−5、2−13−5および6−8−6)で、5’ウイングセグメントの各ヌクレオチドと3’ウイングセグメントの各ヌクレオチドは2’−MOE修飾を有する。均質なオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの全長に分布するデオキシとMOEユニットを有する。均質なオリゴヌクレオチド配列中の様々な単位の化学物質の記号は次のとおりである:「d」=2’−デオキシリボース;「e」=2’−O−メトキシエチルリボース。各ギャップマー全体のすべてのヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体のシチジン残基は5−メチルシチジンである。「標的開始部位」は、ギャップマーが標的とする最も5’側のヌクレオチドを表す。「標的終止部位」は、ギャップマーが標的とする最も3’側のヌクレオチドを表す。表6に列挙する各ギャップマーは、配列番号1(GENBANK受託番号NM_002827.2)を標的とする。表7に列挙するアンチセンスオリゴヌクレオチドはすべて配列番号2(GENBANK受託番号NT_011362.9から切り出したヌクレオチド14178000から14256000)を標的とする。
【0464】
表6および7に示すように、ISIS番号:113715、142082、373125、399038、404159、404161、404172、404173、404176、409826、409827、409999、410000、410001、410002、410003、410004、438371、438372、438373、438374、438375、438377、438379、438380、438381、438382、438383、438384、438439、438442、438443、438444、438445、438450、438451、438452、438453、438454、438455、438456、438458、438459、438460、438461、438462、438464、438465、438468、438469、438472、438473および438474を含む複数のギャップマーが少なくとも50%の阻害を示した。
【0465】
ISIS番号:113715、142082、373125、399038、404161、404172、404173、404176、409826、409827、409999、410000、410001、410002、410003、438373、438374、438380、438381、438382、438442、438444、438445、438450、438451、438452、438453、438459、438460、438461、438462、438468、438469、438472および438474を含む複数のギャップマーが少なくとも60%の阻害を示した。
【0466】
ISIS番号:142082、373125、399038、404161、404172、404173、404176、409826、409827、409999、410000、410001、410002、410003、438373、438374、438444、438451、438452、438453、438460、438461、438462、438468、438469、438472および438474を含む複数のギャップマーが少なくとも70%の阻害を示した。
【0467】
ISIS番号:142082、404161、404173、404176、409826、410000、410001、410002、410003、438451、438452、438460、438461および438474を含む複数のギャップマーが少なくとも80%の阻害を示した。
【0468】
ISIS番号:142082、404161、404173、404176、409826、410001、410002および410003を含む複数のギャップマーが少なくとも85%の阻害を示した。
【0469】
ISIS番号:142082、404161および409826を含む複数のギャップマーが少なくとも90%の阻害を示した。
【0470】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【0471】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【0472】
実施例6:HuVEC細胞におけるヒトPTP1B mRNAの用量依存的アンチセンス阻害
実施例5に記載される研究でPTP1B mRNAの有意なアンチセンス阻害を示した複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドをHuVEC細胞において様々な用量でさらに試験した。ウェル当たり2000細胞の密度で細胞を蒔き、電気穿孔法により31.25nM、62.5nM、125nM、250nM、500nM、1000nM、2000nMおよび4000nMの濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドで形質移入した。およそ16時間後、RNAを細胞から単離し、PTP1B mRNAレベルをプライマープローブセットRTS3000を用いて定量的リアルタイムPCRにより測定した。リボグリーン(登録商標)で測定し、PTP1B mRNAレベルを総RNA含量に対し正規化した。結果を未処理対照細胞に対するPTP1B mRNAの阻害パーセントとして表8に示す。
【0473】
【表8】
【0474】
実施例7:HepG2細胞におけるヒトPTP1B mRNAの用量依存的アンチセンス阻害
実施例6に記載される研究で試験したアンチセンスオリゴヌクレオチドを、HepG2細胞において様々な用量でさらに試験した。ウェル当たり20,000細胞の密度で細胞を蒔き、電気穿孔法により31.25nM、62.5nM、125nM、250nM、500nM、1000nM、2000nMおよび4000nMの濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドで形質移入した。およそ16時間後、RNAを細胞から単離し、PTP1B mRNAレベルをプライマープローブセットRTS3000を用いて定量的リアルタイムPCRにより測定した。リボグリーン(登録商標)で測定し、PTP1B mRNAレベルを総RNA含量に対し正規化した。結果を未処理対照細胞に対するPTP1B mRNAの阻害パーセントとして表9に示す。mRNAレベルはまた、アカゲザルプライマープローブセットRTS198を用いて分析を行い、その結果が表10に示される。アカゲザル配列番号3の各オリゴヌクレオチドの開始および終止部位を表11に示す。
【0475】
【表9】
【0476】
【表10】
【0477】
【表11】
【0478】
実施例8:HepG2細胞におけるヒトPTP1B mRNAの用量依存的アンチセンス阻害
ISIS142082の標的部位に対する短いアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計した。かかるショートマーの標的部位、モチーフおよび配列の詳細を表12に示す。かかるアンチセンスオリゴヌクレオチドをHepG2細胞において様々な用量で試験した。実施例7に記載の研究のアンチセンスオリゴヌクレオチドの一部を比較のために測定に含めた。ウェル当たり20,000細胞の密度で細胞を蒔き、電気穿孔法により78.125nM、156.25nM、312.5nM、625nM、1,250nM、2,500nM、5,000nMおよび10,000nMの濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドで形質移入した。およそ16時間後、RNAを細胞から単離し、PTP1B mRNAレベルをプライマープローブセットRTS3000を用いて定量的リアルタイムPCRにより測定した。PTP1B mRNAレベルをリボグリーン(登録商標)で測定される全RNA含量に対し正規化した。結果を未処理対照細胞に対するPTP1B mRNAの阻害パーセントとして表13に示す。
【0479】
【表12】
【0480】
【表13】
【0481】
実施例9:LLC−MK2細胞におけるPTP1B mRNAの用量依存的アンチセンス阻害
実施例8に記載の研究のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、アカゲザルPTP1B遺伝子配列(配列番号3)と交差反応性であり、アカゲザルLLC−MK2細胞において様々な用量でさらに試験された。ウェル当たり25,000細胞の密度で細胞を蒔き、電気穿孔法を使用して78.125nM、156.25nM、312.5nM、625nM、1,250nM、2,500nM、5,000nMおよび10,000nMの濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドで形質移入した。およそ16時間後、RNAを細胞から単離し、PTP1B mRNAレベルをプライマープローブセットRTS198を用いて定量的リアルタイムPCRにより測定した。PTP1B mRNAレベルをリボグリーン(登録商標)で測定される全RNA含量に対し正規化した。結果を未処理対照細胞に対するPTP1B mRNAの阻害パーセントとして表14に示す。アカゲザル配列番号3の各オリゴヌクレオチドの開始および終止部位を表15に示す。
【0482】
【表14】
【0483】
【表15】
【0484】
実施例10:HuVEC細胞におけるヒトPTP1B mRNAの用量依存的アンチセンス阻害
実施例8および9に記載の研究で試験されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、HuVEC細胞において様々な用量でさらに試験した。ウェル当たり20,000細胞の密度で細胞を蒔き、電気穿孔法により31.25nM、62.5nM、125nM、250nM、500nM、1000nM、2000nMおよび4000nMの濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドで形質移入した。およそ16時間後、RNAを細胞から単離し、PTP1B mRNAレベルをプライマープローブセットRTS3000を用いて定量的リアルタイムPCRにより測定した。PTP1B mRNAレベルをリボグリーン(登録商標)で測定される全RNA含量に対し正規化した。結果を未処理対照細胞に対するPTP1B mRNAの阻害パーセントとして表16に示す。
【0485】
【表16】
【0486】
実施例11:カニクイザル初代培養肝細胞におけるPTP1B mRNAの用量依存的アンチセンス阻害
実施例8〜10に記載の研究のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、カニクイザル初代培養肝細胞において様々な用量でさらに試験した。ウェル当たり35,000細胞の密度で細胞を蒔き、電気穿孔法を使用して31.25nM、62.5nM、125nM、250nM、500nM、1000nM、2000nMおよび4000nMの濃度の各アンチセンスオリゴヌクレオチドで形質移入した。およそ16時間後、RNAを細胞から単離し、PTP1B mRNAレベルをプライマープローブセットRTS198を用いて定量的リアルタイムPCRにより測定した。PTP1B mRNAレベルをリボグリーン(登録商標)で測定される全RNA含量に対し正規化した。結果を未処理対照細胞に対するPTP1B mRNAの阻害パーセントとして表17に示す。
【0487】
【表17】
【0488】
実施例12:マウスモデルにおけるヒトPTP1Bを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの忍容性
実施例8〜11に記載の研究で用量依存的阻害を示したISISオリゴヌクレオチドを、CD1マウスにおける様々な代謝マーカーのレベル変化をモニターし、マウスモデルにおける忍容性を評価した。もう2つのISISオリゴヌクレオチド、ISIS446433(4−10−4MOE;5’−GTTTATTCCATGGCCATT−3’(配列番号42);配列番号1での標的開始部位は3288)およびISIS446434(3−10−3;5’−TTTATTCCATGGCCAT−3’(配列番号49);配列番号1での標的開始部位は3289)をISIS409826に対するショートマー(配列番号1での標的開始部位は3287)として設計し、それらもこの研究で評価した。
【0489】
処置
CD1マウス(メイン州バーハーバーのJackson Labsより入手可能)を12時間明暗周期で飼育し、通常のラボ飼料(ハーランラボラトリーズ社、インディアナ州インディアナポリス)を自由に食べさせた。動物は、実験を開始する前に研究施設内で少なくとも7日間順化させた。PBS中アンチセンスオリゴヌクレオチドを調製し、0.2ミクロンのフィルターで濾過して滅菌した。オリゴヌクレオチドは注射用に0.9%PBS中に溶解させた。
【0490】
各5匹ずつのCD1マウスの群に100mg/kgのISIS142082、ISIS373125、ISIS404173、ISIS409826、ISIS410002、ISIS410003、ISIS438452、ISIS438460、ISIS446431、ISIS446432、ISIS446433またはISIS446434を週2回、4週間皮下注射した。5匹のCD1マウスの1群にPBSを週2回、4週間皮下注射した。このPBS群を対照群とした。尾の切除により血液試料を回収した。最終投与の2日後、体重を量り、マウスを安楽死させ、器官と血漿を採取しさらに分析した。
【0491】
体重および器官重量
マウスの体重を毎週測定した。体重を表18に示す。肝臓、脾臓および腎臓の重量を試験終了時に測定した結果を表19に示す。結果は、どのISISオリゴヌクレオチドもマウスの総合的な健康になんら有害作用を及ぼさなかったことを示す。
【0492】
【表18】
【0493】
【表19】
【0494】
肝機能
ISISオリゴヌクレオチドが肝機能に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて血漿トランスアミナーゼレベルを測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿レベルを隔週で測定した。結果は表20と21に示され、マウスの肝臓トランスアミナーゼプロファイルが示すようにISISオリゴヌクレオチドのほとんどがマウスで忍容されるとみなされたことを示す。
【0495】
【表20】
【0496】
【表21】
【0497】
血漿グルコースレベル
ISISオリゴヌクレオチドがグルコース代謝に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて血漿グルコースレベルを測定した。結果を表22にmg/dLで表して示す。どのISISオリゴヌクレオチドもマウスのグルコース代謝に何ら有害作用を及ぼさなかった。
【0498】
【表22】
【0499】
血漿脂質およびトリグリセリドのレベル
ISISオリゴヌクレオチドがコレステロールとトリグリセリドの代謝に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いてそれらの血漿レベルをそれぞれ測定した。結果を表23と24にmg/dLで表して示す。ほとんどのISISオリゴヌクレオチドがマウスの脂質代謝に何ら有害作用を及ぼさなかった。
【0500】
【表23】
【0501】
【表24】
【0502】
サイトカインレベル
ISISオリゴヌクレオチドが炎症に関与する因子に及ぼす効果を評価するために、処置期間終了後、サイトカインレベルを測定するため血液を採取した。試料を分析のためオーションバイオシステムズ社(マサチューセッツ州ウォバーン)に送った。マウスIL−6、JE、MIP−1αおよびTNF−αの各レベルをマウス抗体を用いて測定した。結果を表25に示す。ほとんどのISISオリゴヌクレオチドがマウスのサイトカインレベルになんら有害作用を及ぼさなかった。
【0503】
【表25】
【0504】
実施例13:ラットモデルにおけるヒトPTP1Bを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの忍容性
実施例12に記載の試験のISISオリゴヌクレオチドを、ラットモデルでの忍容性について、スプレーグドーリーラットにおける様々な代謝マーカーレベルの変化をモニタリングすることでさらに評価した。
【0505】
処置
スプレーグドーリーラットを12時間明暗周期で飼育し、通常のラボ飼料(ハーランラボラトリーズ社、インディアナ州インディアナポリス)を自由に食べさせた。動物は、実験を開始する前に研究施設内で少なくとも7日間順化させた。PBS中アンチセンスオリゴヌクレオチドを調製し、0.2ミクロンのフィルターで濾過して滅菌した。オリゴヌクレオチドは注射用に0.9%PBS中に溶解させた。
【0506】
各4匹ずつのラットの群に週2回50mg/kgの用量のISIS142082、ISIS373125、ISIS404173、ISIS409826、ISIS410002、ISIS410003、ISIS438452、ISIS438460、ISIS446431、ISIS446432、ISIS446433またはISIS446434を週2回、4週間皮下注射し、続けて30mg/kgの用量を週2回、8週間皮下注射した。4匹のラットの1群にPBSを週2回、12週間皮下注射した。このPBS群を対照群とした。尾の切除により血液試料を回収した。最終投与の2日後、体重を量り、ラットを安楽死させ、器官と血漿を採取しさらに分析した。
【0507】
体重および器官重量
ラットの体重を毎週測定した。体重を表26に示す。肝臓、脾臓および腎臓の重量を試験終了時に測定した結果を表27に示す。「n/a」は、ある特定の群のラットをその時点以前に全て安楽死させたため、その群のデータがその時点で入手不能であることを示す。
【0508】
【表26】
【0509】
【表27】
【0510】
肝機能
ISISオリゴヌクレオチドが肝機能に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて血漿トランスアミナーゼレベルを測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿レベルを隔週で測定した。血漿ビリルビンレベル(mg/dL)も同じ臨床化学分析装置を用いて測定した。結果を表28、29および30に示す。「n/a」は、ある特定の群のラットをその時点以前に全て安楽死させたため、その群のデータがその時点で入手不能であることを示す。
【0511】
【表28】
【0512】
【表29】
【0513】
【表30】
【0514】
腎機能
ISISオリゴヌクレオチドが腎機能に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて血中尿素窒素(BUN)およびクレアチニンの血漿レベルを測定した。結果を表31および32にmg/dLで表して示す。総尿タンパク対尿クレアチニン比率も計算し、その結果を表33に示す。
【0515】
【表31】
【0516】
【表32】
【0517】
【表33】
【0518】
血漿グルコースレベル
ISISオリゴヌクレオチドがグルコース代謝に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて血漿グルコースレベルを測定した。結果を表34にmg/dLで表して示す。
【0519】
【表34】
【0520】
血漿脂質およびトリグリセリドのレベル
ISISオリゴヌクレオチドが総コレステロールおよびトリグリセリドのレベルに及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いてそれらの血漿グルコースレベルをそれぞれ測定した。結果を表35と36にmg/dLで表して示す。
【0521】
【表35】
【0522】
【表36】
【0523】
サイトカインレベル
ISISオリゴヌクレオチドが炎症に関与する因子に及ぼす効果を評価するために、処置期間終了後、サイトカインレベルを測定するため血液を採取した。試料を分析のためオーションバイオシステムズ社(マサチューセッツ州ウォバーン)に送った。ラットIL−6、MCP−1、MIP−1αおよびTNF−αの各レベルをそれぞれの抗体を用いて測定した。結果を表37に示す。
【0524】
【表37】
【0525】
実施例14:ヒトPTP1Bを標的とするISISアンチセンスオリゴヌクレオチドの粘度測定
実施例12および13に記載の研究から選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの粘度を、濃度165〜185mg/mLで40cPを超える粘度を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを排除する目的で測定した。40cPを上回る粘度を有するオリゴヌクレオチドは、どの対照に投与するにも粘性が高すぎるであろう。
【0526】
ガラスバイアル管中にISISオリゴヌクレオチド(32〜35mg)を量りとり、120μLの水を添加し、前記のバイアル管を50℃で加熱して前記アンチセンスオリゴヌクレオチドを溶液に溶解した。前記の予熱した試料の一部(75μL)をピペットでマイクロ粘度計(ケンブリッジ社)に移した。マイクロ粘度計の温度を25℃に設定し、前記試料の粘度を測定した。85℃、260nMでのUV測定(Cary社UV測定器)のために、前記の予熱した試料の別の一部(20μL)をピペットで10mLの水に加えた。結果は表38に示され、上述の基準では全てのアンチセンスオリゴヌクレオチド溶液の粘度が最適であることを示している。
【0527】
【表38】
【0528】
実施例15:マウスモデルにおけるヒトPTP1Bを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの6か月間忍容性試験
実施例12〜14に記載の試験から選択されたISISオリゴヌクレオチドを、マウスモデルにおける長期忍容性について、CD1マウスの様々な代謝マーカーレベルの変化をモニタリングして評価した。
【0529】
処置
雄のCD1マウスを12時間明暗周期で飼育し、通常のラボ飼料(ハーランラボラトリーズ社、インディアナ州インディアナポリス)を自由に食べさせた。動物は、実験を開始する前に研究施設内で少なくとも7日間順化させた。PBS中アンチセンスオリゴヌクレオチドを調製し、0.2ミクロンのフィルターで濾過して滅菌した。オリゴヌクレオチドは注射用に0.9%PBS中に溶解させた。
【0530】
各10匹ずつのラットの群に25mg/kgのISIS142082、ISIS404173またはISIS446431を週2回、24週間皮下注射した。10匹のラットの1群にPBSを週2回、24週間皮下注射した。このPBS群を対照群とした。140日目に下顎からの出血により血液試料を回収した。168日目にCO麻酔下で最終処置の心臓穿刺により血液を回収し、マウスを安楽死させ、器官を採取しさらに分析した。
【0531】
血漿グルコースレベル
ISISオリゴヌクレオチドがグルコース代謝に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて血漿グルコースレベルを測定した。結果を表39にmg/dLで表して示す。
【0532】
【表39】
【0533】
肝機能
ISISオリゴヌクレオチドが肝機能に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて血漿トランスアミナーゼレベルを測定した。168日目のALT(アラニントランスアミナーゼ)およびAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿レベルを測定した。血漿ビリルビンレベル(mg/dL)も同じ臨床化学分析装置を用いて測定した。損傷を受けた肝細胞によりその合成量が増加するアルカリホスファターゼも、肝臓疾患のマーカーである(Narayanan, S. Ann. Clin. Lab. Sci. 21: 12-8, 1991)ので同様に測定した。肝臓疾患で典型的に減少するアルブミン(Oettl, K.ら, Biochim. Biophys. Acta. 1782: 469-73, 2008)も同様に測定した。結果を表40に示す。
【0534】
【表40】
【0535】
心機能
ISISオリゴヌクレオチドが心機能に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて168日目の血漿クレアチンホスホキナーゼ(CPK)レベルを測定した。このマーカーレベルの増加は、心筋の損傷を意味する(Barohn, R.J. In: Goldman L, Ausiello D編. Cecil Medicine. 23版. Philadelphia, Pa: Saunders Elsevier; 2007: 447章)。結果を表41に示す。
【0536】
【表41】
【0537】
膵機能
ISISオリゴヌクレオチドが膵機能に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて168日目の血漿アミラーゼレベルを測定した。このマーカーレベルの増加は、急性膵炎を意味する(Sternby, B.ら, Mayo Clin. Proc. 71: 1138-44, 1996)。結果を表42に示す。
【0538】
【表42】
【0539】
腎機能
ISISオリゴヌクレオチドが腎機能に及ぼす効果を評価するために、臨床化学自動分析装置(日立オリンパスAU400e、ニューヨーク州メルビル)を用いて血中尿素窒素(BUN)およびクレアチニンの血漿レベルを測定した。結果を表43にmg/dLで表して示す。
【0540】
【表43】
【0541】
実施例16:CD1マウス肝臓におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの半減期測定
CD1マウスを実施例14に記載の試験から選択されたISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置し、オリゴヌクレオチドの半減期並びにオリゴヌクレオチドの分解および肝臓からの排泄までの経過時間を評価した。
【0542】
処置
各10匹ずつのCD1マウスの群に50mg/kgのISIS142082、ISIS446431、ISIS404173またはISIS409826を週2回、2週間皮下注射した。最後の投与から3日後および56日後に各群から5匹のマウスをと殺した。分析のために肝臓を回収した。
【0543】
オリゴヌクレオチド濃度の測定
全長型オリゴヌクレオチドの濃度を測定した。使用した方法は、以前公開されたフェノール−クロロホルム(液体−液体)の抽出とそれに続く固相抽出からなる方法(Leedsら, 1996; Gearyら, 1999)の改変である。抽出前に内部標準(ISIS355868、27マー2’−O−メトキシエチル修飾型ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、GCGTTTGCTCTTCTTCTTGCGTTTTTT、本明細書では配列番号50として示される)を添加した。およそ1.14μg/gの定量下限(LLOQ)を有する校正曲線を使用して組織試料濃度を計算した。その後、WinNonlinソフトウェア(PHARSIGHT社)を使用して半減期を計算した。
【0544】
結果を表44に示す。11〜34日以内の半減期をもつアンチセンスオリゴヌクレオチドをその後の試験用に選択した。
【0545】
【表44】
【0546】
実施例17:カニクイザルにおけるヒトPTP1Bを標的とするISISアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果
カニクイザルを、実施例15および16に記載の試験のISISアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性および忍容性並びに肝臓と腎臓における薬物動態プロファイルを評価した。
【0547】
処置
試験に先立ち、前記サルは30日間の検疫を受け、この間に異常または病気のサルを排除するため血清化学および血液学の標準パネル、糞便試料の寄生虫および寄生虫卵検査、および結核検査が実施された。カニクイザル雄3匹雌2匹を各群にランダムに割り付けた6群に、8mg/kgまたは40mg/kgのいずれかのISIS142082、ISIS446431またはISIS404173を1週目は週3回、その後は週1回12週間皮下注射した。カニクイザル雄3匹雌2匹の1群に40mg/kgのISIS409826を1週目は週3回、その後は週1回12週間皮下注射した。カニクイザル雄3匹雌2匹の対照1群にPBSを1週目は週3回、その後は週1回12週間皮下注射した。全群のと殺を最終投与から48時間後の93日目に実施した。
【0548】
試験期間中、サルの病気または苦痛の兆候について観察した。処置に対し何らかの有害作用を示す動物は除外し、獣医と試験責任者に託した。
【0549】
阻害試験
RNA分析
RNAを肝臓と腹部脂肪組織から抽出し、PTP1B mRNAの別々の領域をそれぞれ標的とするプライマープローブセット1(ここでは配列番号51として示されるフォワード配列GACCAGCTGCGCTTCTCCTA;ここでは配列番号52として示されるリバース配列CAGAGGAGTCCCCCATGATG;ここでは配列番号53として示されるプローブ配列TTGGCTGTGATCGAAGGTGCCAAA)またはプライマープローブセット2(ここでは配列番号54として示されるフォワード配列GGGCCCTTTGCCTAACACA;ここでは配列番号55として示されるリバース配列CGACACCCCTGCTTTTCTG;ここでは配列番号56として示されるプローブ配列CGGTCACTTTTGGGAGATGGTGTGG)を用いてPTP1BのリアルタイムPCR分析を行った。結果は、リボグリーン(登録商標)で正規化されるPBS対照に対するPTP1B mRNA減少パーセントとして示される。表45に示すように、ISISアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処置の結果、PBS対照と比較して有意なPTP1B mRNA減少がもたらされた。ISIS404173での処置により、ISIS142082での処置と同様のPTP1B mRNAレベルの減少がもたらされた。
【0550】
【表45】
【0551】
タンパク質の分析
肝臓から組織を抽出し、ウェスタンブロット分析によりPTP1Bタンパク質レベルを測定した。具体的には、ISIS404173で処置されたサル由来のPTP1Bタンパク質試料を、ISIS142082で処置された試料と比較した。結果を表46、47および48に対照レベルと比較してのパーセント減少として示して表す。PTP1Bレベルは、総タンパク質レベルに対し、並びに構造的に発現するタンパク質IR−βに対し正規化した。ISIS404173での処置は、8mg/kgの低用量で、ISIS142082での処置よりも大幅なPTP1B肝臓タンパク質の減少をもたらした(表47)。
【0552】
【表46】
【0553】
【表47】
【0554】
【表48】
【0555】
忍容性の研究
体重と器官重量の測定
ISISアンチセンスオリゴヌクレオチドが動物の総合的な健康に及ぼす効果を評価するために、と殺後、体重と器官重量を測定した。体重を測定し、PBS対照動物の体重と比較した。器官重量を測定し、処置群の重量を対応するPBS対照の重量と比較した。データを表49に示す。ISIS142082での処置により、高用量で、肝臓と腎臓の重量は実際増加した。
【0556】
【表49】
【0557】
肝機能
ISISアンチセンスオリゴヌクレオチドが肝機能に及ぼす効果を評価するために、全研究群の血液試料を処置開始の7日前、並びに処置期間の30日目、58日目、93日目に回収した。血液試料は血清分離のため一切の抗凝固剤なしで試験管に集めた。試験管を90分室温下に置いた後遠心分離(室温3000rpmで10分間)して血清を得た。
【0558】
トランスアミナーゼのレベルは、東芝200FR NEO化学分析装置(株式会社東芝、日本国)を使用して測定した。ALT(アラニントランスアミナーゼ)とAST(アスパラギン酸トランスアミナーゼ)の血漿レベルを測定した結果を表50および51にIU/Lで表して示す。損傷を受けた肝細胞によりその合成量が増加し、かつ肝臓疾患のマーカーでもあるアルカリホスファターゼを同様に測定たデータを表52に示す。全処置群のAST、ALTおよびアルカリホスファターゼのレベルは、PBS対照群のものと類似していた。
【0559】
肝臓で合成され、かつ炎症マーカーとして働くC反応性タンパク質(CRP)も同様に測定し、そのデータを表53に示す。ISIS142082およびISIS409826の高用量での処置は結果として高CRPレベルをもたらし、肝臓の炎症が示唆された。
【0560】
ビリルビンも肝臓代謝マーカーであり、同様に測定し表54にmg/dLで表して示す。全処置群のビリルビンレベルはPBS対照群のものと類似していることが見出された。ガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)は肝臓で産生される酵素であり、初期の肝臓障害または胆汁鬱血性疾患の有用な検査マーカーである(Betro, M.G.ら, Am. J. Clin. Pathol. 60: 672-8, 1973)。GGTレベルを測定した結果が表55に示され、PBS対照群と処置群の間に差がないことを示している。
【0561】
【表50】
【0562】
【表51】
【0563】
【表52】
【0564】
【表53】
【0565】
【表54】
【0566】
【表55】
【0567】
腎機能
ISISオリゴヌクレオチドが腎機能に及ぼす効果を評価するために、全研究群から血液試料を回収した。血液試料は血清分離用に一切の抗凝固剤なしで試験管に集めた。試験管を90分室温下に置いた後遠心分離(室温3000rpmで10分間)して血清を得た。BUNおよびクレアチニンのレベルを、処置開始の7日前並びに処置期間の30日目、58日目、93日目に、東芝200FR NEO化学分析装置(株式会社東芝、日本国)を使用して測定した。結果を表56および57にmg/dLで表して示す。ISISオリゴヌクレオチドでの処置はBUNレベルまたはクレアチニンレベルのいずれにも有害作用を及ぼさなかった。
【0568】
【表56】
【0569】
【表57】
【0570】
コレステロールおよびトリグリセリドのレベル
ISISオリゴヌクレオチドが脂質代謝に及ぼす効果を評価するために全研究群から血液試料を回収した。血液試料は血清分離用に一切の抗凝固剤なしで試験管に集めた。試験管を90分室温下に置いた後遠心分離(室温3000rpmで10分間)して血清を得た。コレステロールおよびトリグリセリドの濃度を、処置開始の7日前並びに処置期間の30日目、58日目、93日目に、東芝200FR NEO化学分析装置(株式会社東芝、日本国)を使用して測定した。結果を表58および59にmg/dLで表して示す。ISISオリゴヌクレオチドでの処置はコレステロールレベルまたはトリグリセリドレベルのいずれにも有害作用を及ぼさなかった。
【0571】
【表58】
【0572】
【表59】
【0573】
血液学
カニクイザルにおけるISISオリゴヌクレオチドの炎症性効果を評価するため、利用可能な各研究動物から血液およそ0.5mLの血液試料をEDTAカリウム塩を含む試験管に回収した。試料を、赤血球(RBC)数、白血球(WBC)数、血小板数およびヘモグロビン含量について、ADVIA120血液学分析装置(バイヤー社、米国)を使用して分析した。データを表60〜63に示す。ISISオリゴヌクレオチドでの処置により血球数またはヘモグロビンのレベルは対照と比較して有意に変化しなかった。
【0574】
【表60】
【0575】
【表61】
【0576】
【表62】
【0577】
【表63】
【0578】
炎症因子の分析
ISISオリゴヌクレオチドが炎症因子としての補体C3に及ぼす影響を評価するため、利用可能な全動物から血液を血清分離用に抗凝固剤なしで試験管に回収した。試験管を90分室温下に置いた後遠心分離(室温3000rpmで10分間)して血清を得た。補体C3を自動分析装置(東芝200FR NEO化学分析装置、株式会社東芝、日本国)を使用して測定した。結果を表64にmg/dLで表して示す。ISIS409826での処置の結果、低補体C3レベルとなり、罹患状態が示された。
【0579】
【表64】
【0580】
インスリンレベルの分析
ISISオリゴヌクレオチドが甲状腺に与える効果を評価するため、一晩絶食させた動物から42日目、84日目、91日目に血液をEDTA処理した試験管に回収した。試験管を氷中保管し、遠心分離(4℃3000rpmで10分間)により血液採取の30分以内に血漿を得た。インスリンレベルを自動分析装置(東芝200FR NEO化学分析装置、株式会社東芝、日本国)を使用して測定した。データを表65にng/mLで表して示す。
【0581】
【表65】
【0582】
薬物動態研究
オリゴヌクレオチド濃度の測定
全長型オリゴヌクレオチドの濃度並びにオリゴヌクレオチド全体(分解型も含む)の濃度を測定した。使用した方法は、以前公開されたフェノール−クロロホルム(液体−液体)の抽出とそれに続く固相抽出からなる方法(Leedsら, 1996; Gearyら, 1999)の改変である。抽出前に内部標準(ISIS355868、27マー2’−O−メトキシエチル修飾型ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、GCGTTTGCTCTTCTTCTTGCGTTTTTT、本明細書では配列番号50として示される)を添加した。およそ1.14μg/gの定量下限(LLOQ)を有する校正曲線を使用して組織試料濃度を計算した。結果を表66および67にμg/g組織として表して示す。腎臓対肝臓の濃度比率を計算した。ISISオリゴヌクレオチドでの処置の結果、比率に一切異常はなかった。この結果は、高用量でISIS404173がISIS142082よりも直腸での蓄積が優れていることを示す。
【0583】
【表66】
【0584】
【表67】
図1
図2
図3
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]