(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交流モータの複数の駆動電流供給相其々の1周期内の複数のキャリア周期ごとに駆動電流を出力するインバータをPWMパルス信号でスイッチ制御するためのPWM回路と、
前記PWMパルス信号のデューティをフィードバック制御するCPUと、
フィードバック情報のサンプリング周期が可変にされていて、前記交流モータのいずれかの前記駆動電流供給相の1周期における前記PWM回路のキャリア周期の周期数が所定数と比較して多少を判定し、前記所定数よりも多い時は前記PWM回路のキャリア周期ごとのサンプリング周期で前記フィードバック情報を取得し、前記所定数よりも少ないときは前記PWM回路のキャリア周期よりも短いサンプリング周期で取得された前記フィードバック情報を前記キャリア周期の1周期分の比較対象に集約するための所定の演算処理を行う演算ユニットとを有し、
前記CPUは前記演算ユニットによる演算結果と前記駆動指令値とに基づいて続く前記PWM回路のキャリア周期の前記PWMパルス信号のデューティを制御する、モータ制御装置。
請求項1において、前記フィードバック情報は交流モータからフィードバックされる電流をAD変換して得られるモータ電流値と前記交流モータのロータ位置から得られるロータ回転角度値である、モータ制御装置。
請求項2において、前記制御ユニットは、前記駆動電流供給相の1周期が前記PWM回路のキャリア周期数の所定数よりも少ない場合にフィードバック情報のサンプリング周期を可変に制御する制御回路と、前記所定の演算処理を行う演算回路とを有し、
前記制御回路は、前記交流モータの制御が負荷変動に追従するまで前記フィードバック情報を取得する周期を短くし、前記交流モータの制御が負荷変動に追従したとき前記フィードバック情報を取得する周期を前記PWM回路のキャリア周期ごとに前記フィードバック情報を取得する周期に戻す制御を行う、モータ制御装置。
請求項3において、前記演算回路による所定の演算処理は、前記モータ電流値とロータ回転角度値を2相電流値に変換する座標変換処理と、座標変換された2相電流値に対するフィルタ演算処理又は平均演算処理とを含む、モータ制御装置。
請求項7において、前記制御回路は更に、前記フィードバック情報を取得する周期を短く設定するとき前記演算回路における前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを必要に応じて変更し、前記フィードバック情報を取得する周期を基準値に戻すとき前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを初期値に戻す制御を行う、モータ制御装置。
請求項8において、前記CPUは前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを初期設定し、前記制御回路は初期設定された前記ゲインを制御対象とする、モータ制御装置。
請求項7において、前記制御回路は、前記フィードバックされる電流のAD変換処理のAD変換起動トリガ間隔、及び前記ロータ回転角度値の前記演算回路への取り込み間隔を制御することによって、前記フィードバック情報を取得する周期を決定する、モータ制禦装置。
請求項11において、前記CPUは前記ロータ回転角度値又はモータ電流値を用いて前記駆動電流供給相の1周期における前記所定数と比較しての前記PWM回路のキャリア周期数の多少を判定する、モータ制御装置。
請求項11において、前記演算回路による所定の演算処理は、前記モータ電流値とロータ回転角度値を2相電流値に変換する座標変換処理と、座標変換された2相電流値に対するフィルタ演算処理又は平均演算処理とを含む、モータ制御装置。
請求項14において、前記CPUは前記フィードバック情報を取得する周期を短く設定するとき前記演算回路における前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを必要に応じて変更し、前記フィードバック情報を取得する周期を基準値に戻すとき前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを初期値に戻す制御を行う、モータ制御装置。
請求項14において、前記CPUは、前記フィードバックされる電流のAD変換処理のAD変換起動トリガ間隔、及び前記ロータ回転角度値の前記演算回路への取り込み間隔を制御することによって、前記フィードバック情報の取得周期を決定する、モータ制禦装置。
車両走行用の交流モータを駆動するモータ駆動装置であって、前記交流モータにモータ電流を供給するインバータと、駆動指令値に基づいて前記インバータが出力するモータ電流をフィードバック制御するモータ制御装置とを有し、
前記モータ制御装置は、前記モータ電流の1周期内に複数回のキャリア周期ごとに前記インバータをPWMパルス信号でスイッチ制御するPWM回路と、
前記PWMパルス信号のデューティをフィードバック制御するCPUと、
フィードバック情報のサンプリング周期が可変にされていて、前記モータ電流の1周期におけるキャリア周期数が所定数よりも多い時は前記キャリア周期ごとにフィードバック情報を取得し、前記所定数よりも少ないときは前記PWM回路のキャリア周期よりも短いサンプリング周期で取得された複数の前記フィードバック情報を前記キャリア周期の1周期分の比較対象に集約するための所定の演算処理を行う演算ユニットとを有し、
前記CPUは前記演算ユニットによる演算結果と前記駆動指令値とに基づいて次のキャリア周期での前記PWMパルス信号のデューティを制御する、モータ駆動装置。
請求項18において、前記フィードバック情報は前記交流モータからフィードバックされる電流をAD変換して得られるモータ電流値と前記交流モータのロータ位置から得られるロータ回転角度値である、モータ駆動装置。
請求項19において、前記制御ユニットは、前記交流モータの1周期におけるキャリア周期数が所定数の多少に応じてフィードバック情報のサンプリング周期を可変に制御する制御回路と、前記所定の演算処理を行う演算回路とを有し、
前記制御回路は、前記交流モータの1周期におけるキャリア周期数が所定数よりも少ないか否かを判定し、少ないと判別したときは、前記交流モータの1周期におけるキャリア周期数が所定数よりも多くなるまで前記フィードバック情報を取得する周期を短くし、前記交流モータの1周期におけるキャリア周期数が所定数より多いとき前記フィードバック情報を取得する周期を基準値に戻す制御を行う、モータ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0013】
〔1〕<PWMキャリア周期に対して負荷変動のサンプリング周期を可変とする>
代表的な実施の形態に係るモータ制御装置(13)は、交流モータ(2)へ駆動電流を出力するインバータ(10)をPWMパルス信号(Pu,Pv,Pw)でスイッチ制御するためのPWM回路(23)と、前記PWMパルス信号のデューティをフィードバック制御するCPU(20)と、フィードバック情報(iv,iw,θ)のサンプリング周期が可変にされていて、前記交流モータに所定の負荷変動を生じたときは前記PWM回路のキャリア周期よりも短いサンプリング周期で取得された前記フィードバック情報を前記キャリア周期の1周期分の比較対象に集約するための所定の演算処理を行う演算ユニット(26,26A)とを有する。前記CPUは前記演算ユニットによる演算結果と前記駆動指令値とに基づいて前記所定の負荷変動を生じた後の前記PWMパルス信号のデューティを制御する。
【0014】
これによれば、モータ負荷の所定の変動に応じてキャリア周期よりも短い周期でフィードバック情報を取得したとき、キャリア周期単位で複数取得されたフィードバック情報をキャリア周期の1周期分の比較対象に集約する演算を演算ユニットに負担させることができる。したがって、交流モータの回転がキャリア周期に対して速くなり過ぎる事態に対して、CPUの演算制御負荷の増大を抑えながら、速く反応してモータ負荷の急激な変動を抑えるモータ回転制御が可能になる。
【0015】
〔2〕<モータ電流とモータのロータ角度の情報>
項1において、前記フィードバック情報は交流モータからフィードバックされる電流をAD変換して得られるモータ電流値(iv,iw)と前記交流モータのロータ位置から得られるロータ回転角度値(θ)である。
【0016】
これによれば、交流モータのベクトル制御に好適である。
【0017】
〔3〕<制御回路が負荷変動を検出してサンプリング周期を変更>
項2において、前記制御ユニット(26)は、前記交流モータに所定の負荷変動を生じたときフィードバック情報のサンプリング周期を可変に制御する制御回路(46)と、前記所定の演算処理を行う演算回路(47)とを有する。前記制御回路は、前記交流モータに所定の負荷変動を生じているか否かを判定し、生じていると判別したときは、前記交流モータの制御が負荷変動に追従するまで前記フィードバック情報を取得する周期を短くし、前記交流モータの制御が負荷変動に追従したとき前記フィードバック情報を取得する周期を順次に基準値に戻す制御を行う。
【0018】
これによれば、スリップなどにより交流モータが空転してから回復するまでの間における前記フィードバック情報の取得周期の制御を制御回路に負担させることができる。この点においてもCPUの負担を軽減することができる。
【0019】
〔4〕<CPUがフィードバック情報の取得周期を初期設定>
項3において、前記CPUは前記フィードバック情報を取得する周期を初期設定し、前記制御回路は初期設定された前記周期を制御対象とする。
【0020】
これによれば、制御回路によるフィードバック情報の取得周期の制御とは別にCPUはフィードバック制御に必要な回転トルクとの関係に従ってPMW回路のキャリア周期の設定制御が必要であることから、それとの関係でCPUが前記フィードバック情報を取得する周期を初期設定するのはシステム上経済的である。
【0021】
〔5〕<制御回路による負荷変動感知(ロータ角度、モータ電流)>
項3において、前記制御回路は前記所定の負荷変動を前記ロータ回転角度値又はモータ電流値から感知する。
【0022】
これによれば、CPUに負担をかけずにモータ負荷の変動を容易に取得することができる。
【0023】
〔6〕<制御回路による負荷変動感知(走行面の状態検出情報)>
項5において、前記制御回路は更に前記交流モータの回転力を受ける走行面の状態検出情報(RDST)から前記所定の負荷変動を予知する。
【0024】
これによれば、モータ負荷の変動を予知することによって、更に速く反応してモータ負荷の急激な変動を抑えるモータ回転制御が可能になる。
【0025】
〔7〕<フィルタ演算、平均演算>
項3において、前記演算回路による所定の演算処理は、前記モータ電流値とロータ回転角度値を2相電流値に変換する座標変換処理(座標変換部40)と、座標変換された2相電流値に対するフィルタ演算処理又は平均演算処理(集約演算部41d、41q)とを含む。
【0026】
これによれば、直流電源で座標変換を用いて交流モータを駆動する場合に好適であり、フィルタ演算処理又は平均演算処理を用いることによって容易に複数の情報を集約することができる。
【0027】
〔8〕<制御回路による演算ゲイン制御>
項7において、前記制御回路は更に、前記フィードバック情報を取得する周期を短く設定するとき前記演算回路における前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを必要に応じて変更し、前記フィードバック情報を取得する周期を基準値に戻すとき前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを初期値に戻す制御を行う。
【0028】
これによれば、CPUに負担をかけずに、応答が過敏にならないようにフィードバック情報の取得数の増大に応じてゲインを小さくしたり、フィードバック情報の取得数が増大しても速く応答するためにゲインをそのままにしたりする対応が可能になる。
【0029】
〔9〕<CPUによるゲインの初期設定>
項8において、前記CPUは前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを初期設定し、前記制御回路は初期設定された前記ゲインを制御対象とする。
【0030】
これによれば、制御回路によるフィードバック情報の取得周期の制御とは別にCPUはフィードバック制御に必要な回転トルクとの関係に従ってPMW回路のキャリア周期の設定に応じてゲイン設定も必要になることから、それとの関係でCPUが前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを初期設定するのはシステム上経済的である。
【0031】
〔10〕<制御回路によるサンプリング周期制御;AD変換の起動トリガ間隔>
項7において、前記制御回路は、前記フィードバックされる電流のAD変換処理のAD変換起動トリガ間隔、及び前記ロータ回転角度値の前記演算回路への取り込み間隔を制御することによって、前記フィードバック情報を取得する周期を決定する。
【0032】
これによれば、追従制御においてCPUに負担をかけずに、フィードバック情報を得るためのフィードバック情報のサンプリング周期を容易に制御することができる。
【0033】
〔11〕<CPUが負荷変動を検出してサンプリング周期を変更>
項11乃至項16は項3乃至項10における追従制御部の機能をCPUで代替するものである。項2において、前記制御ユニット(26A)は前記所定の演算処理を行う演算回路(47)を有し、前記CPUは、フィードバック情報のサンプリング周期を可変に制御し、前記交流モータの所定の負荷変動を生じているか否かを判定し、生じていると判別したときは、前記交流モータの制御が負荷変動に追従するまで前記フィードバック情報の取得周期を短くし、前記交流モータの制御が負荷変動に追従したとき前記フィードバック情報の取得周期を基準値に戻す。
【0034】
これによれば、項3に比べて前記フィードバック情報の取得周期の制御にCPUの負担が増えるが、CPUのソフトウェアによって柔軟に対処することが可能になる。
【0035】
〔12〕<CPUによる負荷変動感知(ロータ角度、モータ電流)>
項11において、前記CPUは前記所定の負荷変動をモータのロータ位置情報又はモータ電流から感知する。
【0036】
これによれば、項5に比べてCPUの負担は増えるが、モータ負荷の変動を容易に取得することができる。
【0037】
〔13〕<CPUによる負荷変動感知(走行面の状態検出情報)>
項12において、前記CPUは更に、前記交流モータの回転力を受ける走行面の状態検出情報から前記所定の負荷変動を予知する。
【0038】
これによれば、項6に比べてCPUの負担は増えるが、モータ負荷の変動を予知することによって、更に速く反応してモータ負荷の急激な変動を抑えるモータ回転制御が可能になる。
【0039】
〔14〕<フィルタ演算、平均演算>
項11において、前記演算回路による所定の演算処理は、前記モータ電流値とロータ回転角度値を2相電流値に変換する座標変換処理と、座標変換された2相電流値に対するフィルタ演算処理又は平均演算処理とを含む。
【0040】
これによれば、直流電源で座標変換を用いて交流モータを駆動する場合に好適であり、フィルタ演算処理又は平均演算処理を用いることによって容易に複数の情報を集約することができる。
【0041】
〔15〕<CPUによる演算ゲイン制御>
項14において、前記CPUは前記フィードバック情報を取得する周期を短く設定するとき前記演算回路における前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを必要に応じて変更し、前記フィードバック情報を取得する周期を基準値に戻すとき前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを初期値に戻す制御を行う。
【0042】
これによれば、項8に比べてCPUの負担は増えるが、応答が過敏にならないようにフィードバック情報の取得数の増大に応じてゲインを小さくしたり、フィードバック情報の取得数が増大しても速く応答するためにゲインをそのままにしたりする対応が可能になる。
【0043】
〔16〕<CPUによるサンプリング周期;AD変換の起動トリガ間隔>
項14において、前記CPUは、前記フィードバックされる電流のAD変換処理のAD変換起動トリガ間隔、及び前記ロータ回転角度値の前記演算回路への取り込み間隔を制御することによって、前記フィードバック情報の取得周期を決定する。
【0044】
これによれば、追従制御において項10よりもCPUの負担が増えるが、フィードバック情報を得るためのフィードバック情報のサンプリング周期を容易に制御することができる。
【0045】
〔17〕<マイクロコンピュータ>
項1乃至16の何れかにおいて、モータ制御装置はシリコン基板に半導体集積回路化されたマイクロコンピュータによって構成される。
【0046】
これによれば、モータ制御装置の小型化に資することができる。
【0047】
〔18〕<PWMキャリア周期に対して負荷変動のサンプリング周期を可変とする>
項1乃至項18とは異なる別の実施の形態に係るモータ駆動装置(1)は車両走行用の交流モータ(2)を駆動する装置であって、前記交流モータにモータ電流を供給するインバータ(10)と、駆動指令に基づいて前記インバータが出力するモータ電流をフィードバック制御するモータ制御装置(13)とを有する。前記モータ制御装置は、前記インバータをPWMパルス信号(Pu,Pv,Pw)でスイッチ制御するPWM回路(23)と、前記PWMパルス信号のデューティをフィードバック制御するCPU(20)と、フィードバック情報(id,iq,θ)のサンプリング周期が可変にされていて、前記交流モータに所定の負荷変動を生じたときは前記PWM回路のキャリア周期よりも短いサンプリング周期で取得された複数の前記フィードバック情報を前記キャリア周期の1周期分の比較対象に集約するための所定の演算処理を行う演算ユニット(26,26A)とを有する。前記CPUは前記演算ユニットによる演算結果と前記駆動指令値とに基づいて前記所定の負荷変動を生じた後の前記PWMパルス信号のデューティを制御する。
【0048】
これによれば、モータ負荷の所定の変動に応じてキャリア周期よりも短い周期でフィードバック情報を取得したとき、キャリア周期単位で複数取得されたフィードバック情報をキャリア周期の1周期分の比較対象に集約する演算を演算ユニットに負担させることができる。したがって、交流モータの回転がキャリア周期に対して速くなり過ぎる事態に対して、CPUの演算制御負荷の増大を抑えながら、速く反応してモータ負荷の急激な変動を抑えるモータ回転制御が可能になる。よって、車輪の空転に対して少しでも速く反応して負荷の急激な変動を抑えることが可能になり、EVやHVなどにおいて、急加速、急ハンドル、凍結路面などによるスリップで車輪が空転して生ずる事故の防止に資することができる。
【0049】
〔19〕<モータ電流とモータのロータ角度の情報>
項18において、前記フィードバック情報は前記交流モータの負荷の状態に応ずる情報は、フィードバックされるモータ電流と前記交流モータのロータ位置情報である。
【0050】
これによれば、項2と同様の作用効果を奏する。
【0051】
〔20〕<制御回路が負荷変動を検出してサンプリング周期を変更>
項19において、前記制御ユニット(26)は、前記交流モータに所定の負荷変動を生じたときフィードバック情報のサンプリング周期を可変に制御する制御回路(46)と、前記所定の演算処理を行う演算回路(47)とを有する。前記制御回路は、前記交流モータの所定の負荷変動を生じているか否かを判定し、生じていると判別したときは、前記交流モータの制御が負荷変動に追従するまで前記フィードバック情報を取得する周期を短くし、前記交流モータの制御が負荷変動に追従したとき前記フィードバック情報を取得する周期を順次に基準値に戻す制御を行う。
【0052】
これによれば、項2と同様の作用効果を奏する。
【0053】
〔21〕<CPUによるフィードバック情報の取得周期を初期設定>
項20において、前記CPUは前記フィードバック情報を取得する周期を初期設定し、前記追従制御部は初期設定された前記周期を制御対象とする。
【0054】
これによれば、項4と同様の作用効果を奏する。
【0055】
〔22〕<制御回路による負荷変動感知(ロータ角度、モータ電流)>
項20において、前記制御回路は前記所定の負荷変動を前記ロータ回転角度値又はモータ電流値から感知する。
【0056】
これによれば、項5と同様の作用効果を奏する。
【0057】
〔23〕<制御回路による負荷変動感知(走行面の状態検出情報)>
項22において、前記制御回路は更に前記所定の負荷変動を車両の走行路面の状態検出情報から予知する。
【0058】
これによれば、項6と同様の作用効果を奏する。
【0059】
〔24〕<フィルタ演算、平均演算>
項20において、前記演算回路による所定の演算処理は、前記モータ電流値とロータ回転角度値を2相電流値に変換する座標変換処理と、座標変換された2相電流値に対するフィルタ演算処理又は平均演算処理とを含む。
【0060】
これによれば、項7と同様の作用効果を奏する。
【0061】
〔25〕<制御回路による演算ゲイン制御>
項24において、前記制御回路は更に、前記フィードバック情報を取得する周期を短く設定するとき前記演算回路における前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを必要に応じて変更し、前記フィードバック情報を取得する周期を基準値に戻すとき前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを初期値に戻す制御を行う。
【0062】
これによれば、項8と同様の作用効果を奏する。
【0063】
〔26〕<CPUによるゲインの初期設定>
項25において、前記CPUは前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを初期設定し、前記制御回路は初期設定された前記ゲインを制御対象とする、モータ駆動装置。
【0064】
これによれば、項9と同様の作用効果を奏する。
【0065】
〔27〕<制御回路によるサンプリング周期制御;AD変換の起動トリガ間隔>
請求項24において、前記制御回路は、前記フィードバックされる電流のAD変換処理のAD変換起動トリガ間隔、及び前記ロータ回転角度値の前記演算回路への取り込み間隔を制御することによって、前記フィードバック情報を取得する周期を決定する。
【0066】
これによれば、項10と同様の作用効果を奏する。
【0067】
〔28〕<CPUが負荷変動を検出してサンプリング周期を変更>
項28乃至項33は項20乃至項27における追従制御部の機能をCPUで代替するものである。項19において、前記制御ユニット(26A)は前記所定の演算処理を行う演算回路(47)を有する。前記CPU(20)は、フィードバック情報のサンプリング周期を可変に制御し、前記交流モータの所定の負荷変動を生じているか否かを判定し、生じていると判別したときは、前記交流モータの制御が負荷変動に追従するまで前記フィードバック情報を取得する周期を短くし、前記交流モータの制御が負荷変動に追従したとき前記フィードバック情報を取得する周期を基準値に戻す。
【0068】
これによれば、項11と同様の作用効果を奏する。
【0069】
〔29〕<CPUによる負荷変動感知(ロータ角度、モータ電流)>
項29において、前記CPUは前記所定の負荷変動を前記ロータ回転角度値又はモータ電流値から感知する。
【0070】
これによれば、項12と同様の作用効果を奏する。
【0071】
〔30〕<CPUによる負荷変動感知(路面反射率)>
項29において、前記CPUは更に前記所定の負荷変動を車両の走行路面の状態検出情報から予知する。
【0072】
これによれば、項13と同様の作用効果を奏する。
【0073】
〔31〕<フィルタ演算、平均演算>
項28において、前記演算回路による所定の演算処理は、前記モータ電流値とロータ回転角度値を2相電流値に変換する座標変換処理と、座標変換された2相電流値に対するフィルタ演算処理又は平均演算処理とを含む。
【0074】
これによれば、項14と同様の作用効果を奏する。
【0075】
〔32〕<CPUによる演算ゲイン制御>
項31において、前記CPUは前記フィードバック情報を取得する周期を短く設定するとき前記演算回路における前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを必要に応じて変更し、前記フィードバック情報を取得する周期を基準値に戻すとき前記フィルタ演算処理又は前記平均演算処理のゲインを初期値に戻す制御を行う。
【0076】
これによれば、項15と同様の作用効果を奏する。
【0077】
〔33〕<CPUによるサンプリング周期制御;AD変換の起動トリガ間隔>
項31において、前記CPUは、前記フィードバックされる電流のAD変換処理のAD変換起動トリガ間隔、及び前記ロータ回転角度値の前記演算回路への取り込み間隔を制御することによって、前記フィードバック情報の取得周期を決定する。
【0078】
これによれば、項16と同様の作用効果を奏する。
【0079】
〔34〕<ECU>
項10乃至17の何れかにおいて、前記モータ制御装置は車載ネットワークに接続するECUを構成する。
【0080】
これによれば、モータ駆動装置はEV又はHVに好適となる。
【0081】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。なお、発明を実施するための形態を説明するための全図において、同一の機能を有する要素には同一の符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【0082】
《モータ駆動装置》
図1にはモータ駆動装置の一例が示される。同図に示されるモータ駆動装置1はEV又はHVの走行用動力源である交流モータ(MT)2を駆動する装置である。交流モータ2のモータ軸は、特に制限されないが、トランスミッション3を介して車輪4に接続される。更に交流モータ2のモータ軸にはその回転角を検出するためのレゾルバ5が接続される。特に図示はしないが、インホイールモータ駆動の場合には車輪毎に独立して交流モータ及びレゾルバが設けられる。
【0083】
モータ駆動装置1は、6個の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いた3相電圧型のインバータ10、プリドライバ11、レゾルバデジタルコンバータ(RDコンバータ)12、モータ制御装置の一例であるマイクロコンピュータ(MCU)13、及びCANなどの車載ネットワーク6に接続するネットワークトランシーバ(TRC)14を備え、一つのECU(Electronic Control Unit)を構成する。
【0084】
インバータ10の駆動電流は、例えば電流センサ14でモータ電流Iv,Iwとして検出されて、マイクロコンピュータ13にフィードバックされる。
【0085】
レゾルバ5はRDコンバータ12から励磁信号Smgを入力することにより、回転子の角度に応じて検出コイルから正弦及び余弦のレゾルバ信号Srsを出力する。RDコンバータ12はレゾルバ信号Srsからエンコーダ相当パルス信号等のモータ回転位相信号Rpを生成してマイクロコンピュータ13にフィードバックする。
【0086】
マイクロコンピュータ13は、特に制限されないが、単結晶シリコンのような1個の半導体基板にCMOS回路製造技術などによって構成される。
【0087】
マイクロコンピュータ13は、駆動指令に基づいて前記インバータが出力するモータ電流をフィードバック制御するモータ制御装置の一例を成す。ここでは、プリドライバ11及びRDコンバータ12はマイクロコンピュータ13の外付け部品とされるが、マイクロコンピュータ13に内蔵することも可能である。
【0088】
マイクロコンピュータ13はネットワークコントローラ(COM)22を介してネットワークトランシーバ14に接続され、センサ(SNSR)7からの検出信号を受け取ったり、他の図示を省略するECUと通信を行う。
【0089】
マイクロコンピュータ13は、プログラムを実行する中央処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)20、CPU20が実行するプログラムや制御データを格納する不揮発性メモリ及びCPU20のワーク領域に用いられるRAMから成る内部メモリ(MRY)21を有する。マイクロコンピュータ13は、前記インバータ10を駆動するための3相のPWMパルス信号Pu,Pv,Pwをプリドライバ11に出力するPWM回路(PWM)23を有する。更にマイクロコンピュータ13は、アナログ信号をディジタル信号に変換するAD変換器(ADC)24、位相信号を入力して計数するカウンタ(COUNT)25、所要の演算と演算制御を行う演算回路としてのアクセラレータ(ACCL)26を備える。尚。マイクロコンピュータ13内部に回路ブロックは代表的に示された内部バス27を介して信号インタフェース可能にされる。
【0090】
AD変換器24はCPU20又はアクセラレータ26から指示されるサンプリング周期にしたがって、モータのモータ電流Iv,IwをAD変換してモータ電流値iv,iwを得て、アクセラレータ26などに出力する。カウンタ25はRDコンバータ12を介して入力されたモータ回転位相信号Rpを計数して電気角(モータのロータ位置を示すロータ回転角度値)θを取得し、取得した電気角θはCPU20又はアクセラレータ26により所要のサンプリング周期毎に用いられる。上記モータ電流値iv,iw及び電気角θは、交流モータの駆動によってアクセラレータ26にフィードバックされるフィードバック情報の一例とされる。
【0091】
図2にはCPUによる交流モータのベクトル制御のためのPWM制御機能とアクセラレータの演算機能が原理的に示される。
【0092】
車両の場合には、まずアクセル開度や車速などからモータの出力トルク指令が決定される。そして、この出力トルク指令に基づいて、ベクトル制御を行うために、駆動指令値としてのd 軸およびq 軸電流指令値id,iq が計算される。出力トルク指令は例えばネットワーク6を介してCPU20に与えられ、それにしたがってCPU20がd軸電流指令値id及びq軸電流指令値iqを計算する。
【0093】
得られたd軸電流指令値id及びq軸電流指令値iqは、減算器30d、30qに供給され、ここで、現在のd軸電流値idc及びq軸電流値iqcとの偏差Δid,Δiqが求められる。求められた偏差Δid,Δiqは、PI演算器32d,32qにおいて、比例積分アルゴリズムによるPI(Proportional-Integral)制御演算によってd軸電圧指令値Vd及びq軸電圧指令値Vqが算出される。すなわち、偏差Δid,Δiqに対し、Pゲイン(比例ゲイン)を乗算したPフィードバック値と、偏差Δid,Δiqの積分値にIゲイン(積分ゲイン)を乗算したIフィードバック値の和によりd軸およびq軸電流idc,iqcの補正をすると共に、これを電圧指令値に変換してd軸およびq軸電圧指令Vd、Vqを算出する。
【0094】
算出されたd軸およびq軸電圧指令値Vd,Vqは、2相から3相への座標変換を行う座標変換部34に供給され、d,qの2軸からU,V,Wの3軸に座標変換され、互いに120度位相の異なる3相のモータ駆動電圧指令Vu,Vv,Vwが得られる。得られたモータ駆動電圧指令値Vu,Vv,Vwは、PWM回路23において、PWMパルス信号Pu,Pv,Pwに変換される。この変換は、例えばモータ駆動電圧指令Vu,Vv,Vwを例えば所定周波数(キャリア周波数)のキャリア信号である所定周波数の三角波と比較し、PWMパルス信号Pu,Pv,Pwのデューティ比を決定することで行われる。このようにして、各相のPWMパルス信号Pu,Pv,Pwが形成され、これがプリドライバ11を介してインバータ10に供給される。
【0095】
インバータ10は、図示を省略するバッテリからの直流電圧を正極電源ラインおよび負極電源ライン間に受け、これを3相の交流電流に変換するものであり、例えば2個の相補型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタの直列回路が正極電源ラインと負極電源ラインの間に3個接続されて構成され、各直列回路における2個の相補型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタの結合ノードが各相の出力とされる。夫々の直列回路がPWMパルス信号Pu,Pv,Pwで相補的にスイッチ動作されることにより、3相のモータ駆動電流が生成される。モータ駆動電流がモータ2に供給され、モータ2が出力トルク指令に応じた出力で駆動される。
【0096】
ここで、モータ駆動電流の位相は、モータ2の電気角(ロータ位置)に応じて決定される。従って、モータ2には角度センサとしてのレゾルバ5が取り付けられており、レゾルバ5からRDコンバータ12にレゾルバ信号Srsが出力され、RDコンバータ12はモータ回転位相信号Rpを生成する。
【0097】
モータ回転位相信号Rpはカウンタ25で計数され且つオフセット誤差が加算されて、交流モータ2の電気角θが計算される。電気角θは座標変換部34に供給されることによって前記モータ駆動電圧指令Vu,Vv,Vwの位相制御に利用される。また、電気角θはアクセラレータ26の座標変換部40に供給され、モータ電流値iv,iwの3相から2相への座標変換に用いられる。
【0098】
座標変換部40は、AD変換器24から出力されるモータ電流値iv,iwを、前記電気角θを用いてd,q軸への座標変換を行って、d軸電流値idm及びq軸電流値iqmを算出する。座標変換演算部34は座標変換演算に必要な電気角θをPWM回路23のキャリア周期毎に取得すればよい。これに対して座標変換部40は、座標変換演算に必要な電気角θをモータ電流値iv,iwのサンプリング周期毎に取得することが必要とされる。
【0099】
算出されたd軸電流値idm及びq軸電流値iqmは集約演算部41d,41qに供給されて所定の演算が行われ、それによる演算結果は、上述の減算器30d,30qに現在のd軸電流値id及びq軸電流値iqとして供給される。
【0100】
ここで、モータ電流値iv,iw及び電気角θを生成する周期は、PWM回路23のキャリア周期単位に限定されず、キャリア周期の複数分の一の短い周期にして、交流モータ2の急激な負荷変動にモータ制御を追従可能に考慮されている。前記交流モータ2に所定の負荷変動を生じたときPWM回路23のキャリア周期よりも短い間隔でモータ電流値iv,iw及び電気角θが取得され、集約演算部41d,41qは、その取得周期で順次座標変換演算されたキャリア周期1周期分の複数のd軸電流値idm及びq軸電流値iqmを、キャリア周期1周期分の比較対象に集約するためのフィルタ演算処理又は平均演算処理などの所定の演算処理を行う。なお、モータ電流値iv,iw及び電気角θのサンプリング周期がPWM回路23のキャリア周期に等しく設定されているときは、集約するためのフィルタ演算処理又は平均演算処理は実質的な意味はなく、サンプリングされた情報がそのまま後段に出力されることになる。
【0101】
ここで、上記モータ電流値iv,iw及び電気角θが取得されるサンプリング周期とキャリア周期との関係について説明する。
【0102】
図3には上記モータ電流値iv,iw及び電気角θが取得されるサンプリング周期とキャリア周期が一致している場合が概念的に例示される。fcrrはPWM回路23の概念上のキャリア周期、Iuは1相のモータ電流波形、Tsmはモータ電流のサンプリングタイミング、Pu、Pubは1相の相補PWMパルス信号である。この例の場合のPWM動作はキャリア周期毎にモータ電流値iv,iw及び電気角θを1回サンプリングしてそれを座標変換演算(ベクトル演算)し、その結果をPWMパルス信号の次のパルスデューティの設定に反映する。このとき、車輪のスリップなどにより急にモータ回転が速くなると、其れに応じてモータ電流波形の周波数が高くなり、モータ電流をAD変換で取得することは可能であるが、キャリア周期に対してモータ電流波形の周波数が高いので、その正弦波の波形に対して十分な回数のモータ電流値をサンプリングすることができず、負荷の急な変動に応ずるモータの高回転を抑制する方向にPWM波形を追従させることができない。要するに、
図4に例示されるようにモータ回転が遅いときの低い周波数のモータ電流ではPWMパルスによりモータ駆動電流を正弦波で表現することは容易であるが、モータ回転が速くなって高い周波数のモータ電流ではPWMパルスによりモータ駆動電流を正弦波で表現することが困難になる。比較結果に応じてスイッチ動作されるパルス波形生成スイッチの1回のスイッチングの影響が大きくなってしまう。その影響を小さくするにはサンプリング回数を増やしてスイッチング回数を増やせばよいが、PWM動作を規定するキャリア周期に対して、モータ回転が速くなり過ぎてしまうと、モータ電流のサンプリング間隔を短くしても、最早モータ電流を正弦波状に取得することは不可能になる。
【0103】
そこで、取得した電流値を反映するPWMパルスはキャリア周期に依存するので、キャリア周期の間でフィードバック情報として複数取得したモータ電流値などをフィルタや平均化でまとめる演算を行って、PWMパルスのデューティに反映しなければならない。その演算を行うのが演算部41d,41qである。
【0104】
図5にはそのような処理手法として、上記モータ電流値iv,iw及び電気角θを取得するサンプリング周期をキャリア周期に対して短くした場合の処理が概念的に例示される。PWM動作ではキャリア周期毎にモータ電流値iv,iw及び電気角θを複数回サンプリングしてそれを座標変換演算(ベクトル演算)し、それら座標変換演算結果idm,iqmに対して演算部41d,41qで平均などの所定の演算を行うことによってキャリア周期1周期分の比較対象に集約する。集約した演算結果をPWMパルス信号の次のパルスデューティの設定に反映する。これにより、車輪のスリップなどにより急にモータ回転が速くなってモータ電流波形の周波数が高くなっても、その正弦波の波形に対して十分な回数のモータ電流値をサンプリングして、モータの高回転を抑制する方向にPWM波形を追従させることができるようになる。
【0105】
以下において、急激な負荷変動による交流モータの高回転を抑制させる方向にPWMパルスを追従させるための具体的な制御形態について説明する。
【0106】
《負荷変動に対する第1のPWMパルス追従制御形態》
第1のPWMパルス追従制御形態について説明する。
図2においてアクセラレータ26を除く上記減算器30d,30q、PI演算器32d,32q、及び座標変換部34などの機能ブロックとそれらを用いる演算シーケンス制御はCPU20とその動作プログラムによって実現されているものとする。アクセラレータ26はCPU20とは異なるハードウェアで実現されている。
【0107】
図2において、AD変換器24によるモータ電流値iv,iwの取得周期(即ちモータ電流Iv,Iwに対するAD変換動作の起動周期)は、CPU20の制御により、PWM回路23のキャリア周期に同期される。これと同様に、カウンタ25による電気角θの取得周期もAD変換動作の起動周期と同じにされる。そのような周期を以下単に、アクセラレータ26によるフィードバック情報(モータ電流値iv,iw及び電気角θ)のサンプリング周期と記す。
【0108】
上記フィードバック情報のサンプリング周期は、PWM回路23のキャリア周期に同期され、その同期制御は、本実施の形態では、CPUによるサンプリング周期の同期制御とアクセラレータ26によるサンプリング周期の自立的同期制御とがある。
【0109】
CPU20によるサンプリング周期の同期制御は、サンプリング周期をキャリア周期に合わせる制御、即ち、フィードバック情報(モータ電流値iv,iw、)をキャリア周期毎に1回サンプリングできるようにする制御である。例えば、AD変換回路24の変換動作の起動タイミングをキャリア周期毎に設定し、其れに応じた周期でカウンタ25から電気角θを出力させる。ここで、PWM回路23のキャリア周期は原則的にCPU20が電流指令値から把握されるトルク指令に応じて設定する。例えば、大きなトルクを必要とするときキャリア周期を小さくして制御の負担が増してもPWMパルス駆動のロスを少なくし、小さなトルクでよい場合にはキャリア周期を大きくしてPWMパルス駆動の制御負担が大きくならないことを優先する。
【0110】
アクセラレータ26によるサンプリング周期の自立的同期制御は、アクセラレータ26が前記交流モータ2に所定の負荷変動を生じているか否かを判定し、生じていると判別したときは、CPU20が初期設定したフィードバック情報(モータ電流値iv,iw及び電気角θ)のサンプリング周期を、前記交流モータ2の高回転が治まるまで(モータの高回転を抑制する方向にPWM波形が追従するまで)短くし、前記モータ制御が負荷変動に対して追従したとき前記フィードバック情報のサンプリング周期を初期設定値である基準値に戻す制御を行う。
【0111】
図6にはサンプリング周期の同期制御を行うためのアクセラレータ26の構成が例示される。アクセラレータ26は前記座標変換部40及び集約演算部41d,41qの他に、追従制御部42、負荷変動判定部43、補正部44,45、及び、レジスタRG1θ〜RG12tを有する。前記座標変換部40及び集約演算部41d,41qは、フィードバック情報を集約する演算を行う演算回路47の一例である。追従制御部42及び負荷変動判定部43は前記交流モータ2に所定の負荷変動を生じたときフィードバック情報のサンプリング周期を可変に制御する制御回路46の一例である。
【0112】
レジスタRG1θはカウンタ25で取得された電気角θが供給され、レジスタRG2iviwはAD変換器24で取得されたモータ電流iv,iwが供給される。レジスタRG3ofs、RG4ofsにはCPU120によってオフセット値がセットされる。補正部44はレジスタRG2iviwに供給されたモータ電流iv,iwを、レジスタRG3ofsにセットされたオフセット値で補正する。例えばAD変換器のAD変換レンジを0〜5Vとするとき、それによって得られたAD変換値を2.5Vを中心とする変換値に補正する処理を行う。補正部45はレジスタRG1θに供給された電気角θを、レジスタRG2ofsにセットされたオフセット値で補正する。例えばレゾルバ5のロータ位置などの機械的誤差による位置ずれを相殺する補正を行う。補正部44,45で補正されたモータ電流iv,iw及び電気角θは座標変換部40でd軸電流値idm及びq軸電流値iqmに変換される。電気角θはレジスタRG5θに供給され、レジスタRG5θに供給された電気角θは座標変換部34を構成するCPU20が所要の座標変換タイミングに同期して参照する。
【0113】
AD変換器24によるAD変換動作の起動トリガの設定は、CPU20がレジスタREG7adtに対して行い、或いは、追従制御部42がレジスタREG7adtに対して行う。前記CPU20によるサンプリング周期の同期制御ではレジスタREG7adtの設定はCPU20だけが行う。一方、前記アクセラレータ26によるサンプリング周期の自立的同期制御では、CPU20により初期設定されたレジスタREG7adtを追従制御部42が再設定することにより、AD変換器24によるAD変換動作周期を可変に制御する。
【0114】
座標変換部40はAD変換器24によるモータ電流のサンプリング周期に同期して順次座標変換を行い、座標変換されたd軸電流値idm及びq軸電流値iqmは集約演算部41d,41qにて夫々キャリア周期単位でフィルタ演算又は平均演算される。平均演算は例えば、d軸電流値idm及びq軸電流値iqmをキャリア周期単位で算術平均又は加重平均する処理である。フィルタ演算は例えばバンドパスフィルタのような通過帯域を通過したd軸電流値idm及びq軸電流値iqmを、若しくはその平均値を、d軸電流値id及びq軸電流値iqとする処理である。演算部41d,41qにおける演算処理にはレジスタRG8g、RG9gに設定されたゲインが指定される。例えば算術平均処理の場合には演算された平均値に対する加重値がゲインで決定され、また、加重平均処理の場合には夫々のd軸電流値idm及びq軸電流値iqmに対する加重値がゲインで決定される。また、フィルタ演算処理では直前のフィルタ演算結果であるd軸電流値id及びq軸電流値iqの大きさに応じて通過帯域値若しくは遮断値がゲインで決定される。
【0115】
対応するゲインの設定は、CPU20がレジスタレジスタRG8g、RG9gに対して行い、或いは、追従制御部42がレジスタレジスタRG8g、RG9gに対して行う。前記CPUによるサンプリング周期の同期制御ではレジスタRG8g、RG9gの設定はCPU20だけが行う。一方、前記アクセラレータ26によるサンプリング周期の自立的同期制御では、CPU20により初期設定されたRG8g、RG9gを追従制御部42が再設定する。この再設定により、AD変換器24によるAD変換動作周期の変化(モータ電流のサンプリング周期の変化)に応じて一つのサンプルデータが持つ重みの違い、若しくは一つのサンプリングデータがPWMパルスの1パルスに与える影響の違いに、対応することができる。
【0116】
演算部41d,41qで演算されたd軸電流値id及びq軸電流値iqはレジスタRG10pid,RG11kiqにセットされ、セットされた軸電流値id及びq軸電流値iqはCPU20によって参照され、前記減算器30d、30qの処理が行われる。
【0117】
負荷変動判定部43は、特に制限されないが、モータ負荷のトルクに対応した成分であるq軸電流値iqmに基づいてモータ負荷の変動を検出する。例えばq軸電流値iqmの変化率に基づいてモータ負荷の変動を検出する。その検出結果は追従制御部42に与えられる。また、負荷変動はマイクロコンピュータ1の外部に配置され
図1のセンサ(SNSR)7の検出出信号をネットワーク6からCPU20が取得して検知することもできる。例えばセンサ7は車両走行路からの反射信号を受け、CPU20はその反射信号の変化を路面状態信号RDSTとして追従制御部42に与える。追従制御部42は路面状態信号42に基づいて凍結路面や雨水路面への急な侵入を想定して交流モータの急激な負荷低下を予知する。
【0118】
追従制御部42は、負荷変動判定部43の検出出力又は路面状態信号RDSTに基づいてモータ負荷の急激な低下、すなわち急激なトルク低下を検出した時、アクセラレータ26によるサンプリング周期の自律的同期制御を開始する。この制御に必要な制御データは例えばCPU20によってレジスタRG11t、RG12tにセットされる。例えば制御データは、PWMのキャリア周期を示すデータ、自律的同期制御のためのサンプリング周期の短縮度合い及びゲインの変化度合いなどを示すデータである。追従制御部42はレジスタRG11t、RG12tからそのような制御データを参照することにより、レジスタRG7adtへの起動トリガ設定、レジスタRG8g、RG9gへのゲイン設定、及び、座標変換部40の変換周期を制御して、サンプリング周期の自律的同期制御を行う。
【0119】
図7にはサンプリング周期の自律的同期制御の処理手順がCPUによるサンプリング周期の同期制御手順と共に例示される。フィードバック情報のサンプリング周期及び演算部41d、41qのゲイン制御は、例えば
図7のステップS1乃至S5に集約される。ステップS1はCPUの処理である。CPU20は必要なトルクに応じたキャリア周期を決め、レジスタRG11t,RG12tに制御データをセットすると共に、キャリア周期に従ってレジスタRGadtにAD変換の起動トリガ、即ちサンプリング周期を初期設定し、更に、レジスタRG8g,RG9gにゲインを設定する。これによってCPU20はモータ電流をフィードバックさせながら、電流指令値id,iqに従って交流モータ2を駆動制御する。
【0120】
CPU20の制御で交流モータ2が回転駆動されているとき、負荷変動判定部43は座標変換部40で取得されたq軸電流値iqmからモータ負荷の変動が大きいか否かを判別している(S2)。例えば、車輪のスリップによるモータ2の高回転化による負荷の急激な低下、即ち、q軸電流値iqmが閾値以下になったかを判別する。負荷変動が大きいことを判別したとき負荷変動判定回路部43は負荷変動フラグ(図示を省略)をセットする。負荷変動フラグはCPU20も参照可能にされ、モータ負荷の変動が大きくない状態では、そのときの負荷にしたがってステップS1の処理を行う。
【0121】
モータ負荷の変動が大きくなったときは追従制御部42が交流モータのPWM制御を担うことになり、モータ制御が負荷の変動に追従しているか否かを判別する(S3)。この判別は、例えば負荷変動判別回路が上記の如くq軸電流値iqmが閾値よりも大きくなったか否かを判定することによって行う。急激な負荷の変動によるモータ高回転を元に戻すようにモータ電流の制御が負荷の変動に追従しないと、モータ2の駆動電流が正弦波状にならず、モータ回転が不安定になる。
【0122】
モータ電流の制御が負荷の変動に追従していない場合、追従制御部42は、そのときのキャリア周期においてサンプリング周期をレジスタRG12tの制御データに従って短縮し、それに応じて演算部41d、41qのゲインを設定変更する(S4)。これによってそのキャリア周期におけるモータ電流のサンプリング数が増える傾向になるので、PWMパルスによる駆動電流を正弦波状に近づけること可能になってくる。これによりモータの回転が元に戻ったか、即ち、モータ電流の制御が負荷の変動に追従したか否かは、ステップS3で逐次判別される。判別毎に未だ追従していないときはステップS4でサンプリング周期を更に短くして追従応答性を徐々に上げるように設定変更してもよい。追従したところで、追従制御部42はサンプリング周期とゲインを、ステップS4による操作の前の状態にもどし、且つ、前記負荷変動フラグをクリアして、サンプリング周期の同期制御をCPU20の制御に委ねる。
【0123】
上記CPU20によるサンプリング周期の同期制御では
図8に例示されるように、キャリア周期の1周期にフィードバック情報のサンプリング回数を4回のような複数回に制御することも可能である。CPU20の動作プログラムにしたがって、キャリア周期に大きさにしたがってサンプリング回数を決めればよい。
【0124】
また、上記サンプリング周期の自律的同期制御では
図8に例示されるように、キャリア周期の途中で大きな負荷変動を検出したときは、その途中からサンプリング周期を短くすればよい。
【0125】
図9には車輪の空転と正常回転への復帰とにおける制御態様が例示される。空転を生じていない通常走行時にはトルクはモータの回転速度に対応する。これに対して路面凍結やアクセルの急な踏み込み等による車輪の空転時にトルクが減少するとモータの回転速度が高速化し、空転が解消されたときにトルクが増大するとモータの回転速度が低速化する。空転時と空転解消時のCPU20による基本的な制御は以下の通りである。スリップなどにより車輪が空転すると、モータ20の回転が進み、モータ20の負荷が減る。この場合にCPU20は、PWMパルスの立ち上がりを遅延させ、PWMパルス信号のデューティ比を減らす処理を行って、モータ20のトルクを調整し、モータ20の回転数を戻そうとする。その際に、追従制御部42はモータ負荷の減少という急な負荷の変動に応答してサンプリング周期を短くして、負荷の変動に対するモータ制御の追従応答性を向上させるようにフィードバックによるモータ電流値id,iqを生成する制御を行う。この後、スリップが止んで車輪の空転が解消されると、モータ20の回転が遅れ、モータ20の負荷が増える。そうすると、CPU20はPWMパルスの立ち上がりタイミングを早め、PWMパルス信号のデューティ比を増やす処理を行って、モータ20のトルクを調整し、モータ20の回転数を戻そうとする。その際に、追従制御部42はモータ負荷の増大という急な負荷の変動には応答せず、CPU20に制御を委ねる。
【0126】
アクセラレータ26によるサンプリング周期の自律的同期制御によれば以下の作用効果を得る。
【0127】
(1)CPU20とは別のハードウェアであるアクセラレータ26によって、モータ負荷の大きな変動に対するフィードバック電流のサンプリング周期を短くし、それによって得られたモータ電流値をフィルタ又は平均などによって纏める演算を行ってPWMパルスのデューティに反映する処理を行う。これにより、車輪のスリップなどにより急にモータ回転が速くなってモータ電流波形の周波数が高くなっても、その正弦波の波形に対して十分な回数のモータ電流値をサンプリングして、不所望なモータの高回転を抑制するようにPWM波形を追従させることができるようになる。この追従制御にはCPU20の負担を大幅に軽減することができる。
【0128】
(2)スリップなどにより交流モータが空転してから回復するまでの間における前記フィードバック情報の取得周期の制御を追従制御部42に負担させることができるから、この点においてもCPU20の負担を軽減することができる。
【0129】
(3)追従制御部42は前記所定の負荷変動をモータ電流値iqmから感知するから、CPU20に負担をかけずにモータ負荷の変動を容易に取得することができる。
【0130】
(4)追従制御部42は更に、前記フィードバック情報のサンプリング周期を短くするとき演算部41d,41qのゲインを必要に応じて変更し、前記サンプリング周期を基準値に戻すとき演算部41d,41qのゲインを元に戻す制御を行う。したがって、CPU20に負担をかけずに、応答が過敏にならないようにフィードバック情報の取得数の増大に応じてゲインを小さくしたり、フィードバック情報の取得数が増大しても速く応答するためにゲインをそのままにしたりする対応が可能になる。
【0131】
(5)アクセラレータ26がCPU20とは別のハードウェアである専用ハードウェアであるから、演算ビット数や、演算回路に対するレジスタ配置などを最適化し易く、データ処理の高速化に適する。CPU20より低い動作周波数と少ない回路規模でより高速な処理も可能となり、CPUがすべて負担する場合に比べて低消費電力化が可能となり、製品の発熱特性の改善にも寄与することができる。
【0132】
(6)アクセラレータにフィードバックされるフィードバック情報は交流モータ2からフィードバックされる電流をAD変換して得られるモータ電流値iv,iwと前記交流モータ2のロータ位置から得る電気角であるから、交流モータ2のベクトル制御に好適である。
【0133】
(7)追従制御部42による追従制御とは別にCPU20はフィードバック制御に必要な回転トルクとの関係に従ってPMW回路23のキャリア周期の設定制御が必要であることから、それとの関係でCPU20が前記フィードバック情報を取得する周期を初期設定するのはシステム上経済的である。
【0134】
(8)追従制御部42による追従制御とは別にCPU20はフィードバック制御に必要な回転トルクとの関係に従ってPMW回路23のキャリア周期の設定に応じてゲイン設定も必要になることから、それとの関係でCPU20が前記演算部41d,41qのゲインを初期設定するのはシステム上経済的である。
【0135】
(9)前記追従制御部42は前記交流モータの回転力を受ける走行面の状態検出情報RDSTから前記所定の負荷変動を予知することによって、更に速く反応してモータ負荷の急激な変動を抑えるモータ回転制御が可能になる。
【0136】
(10)追従制御部42は、フィードバックされる電流のAD変換処理のAD変換起動トリガ間隔、及び前記ロータ回転角度値の前記演算回路への取り込み間隔を制御することによって、フィードバック情報を取得する周期を決定するから、追従制御においてCPU20に負担をかけずに、フィードバック情報を得るためのフィードバック情報のサンプリング周期を容易に制御することができる。
【0137】
《負荷変動に対する第2のPWMパルス追従制御形態》
第1のPWMパルス追従制御形態では追従制御部42はCPU20が決めたキャリア周期の変更は行わないものとして説明した。第2のPWMパルス追従制御形態では、負荷の急激な変動に対してサンプリング周期と共にキャリア周期の変更も可能にするものである。
【0138】
図10には負荷の急激な変動に対してサンプリング周期と共にキャリア周期を変更する場合の動作例が示される。負荷の急激な変動があったととき、
図7のステップS4の処理で最初はキャリア周期を変更せずにフィードバック情報のサンプリング回数だけ増やす。それによってモータ制御が負荷変動に追従していないと判別されたとき(S3)、次のステップS4ではキャリア周期を長くすると共にサンプリング回数を増やして、追従の応答性を改善し易くしてもよい。
【0139】
《負荷変動に対する第3のPWMパルス追従制御形態》
第1のPWMパルス追従制御形態では負荷の急激な変動の場合だけフィードバック情報のサンプリング周期を短くするものとして説明した。第3のPWMパルス追従制御形態では、CPU20によるサンプリング周期の同期制御においてモータ負荷(モータ回転数)に応じてキャリア周期内のサンプリング回数を可変可能にするものである。
【0140】
CPU20によるサンプリング周期の同期制御において、
図11に例示されるように、モータ回転の低速から中速ではキャリア周期の1周期に1回の割合でフィードバック情報をサンプリングし、モータ回転の高速ではキャリア周期の1周期に4回の割合でフィードバック情報をサンプリングする。CPU20の動作プログラムにしたがって、モータ回転に応じてサンプリング回数を決めればよい。高回転の状態で急激な負荷変動があったときはアクセラレータ26によるサンプリング周期の同期制御によって、サンプリング周期を更に短くしてモータ回転を元に戻すPWM制御の応答性を改善する。
【0141】
《負荷変動に対する第4のPWMパルス追従制御形態》
第1のPWMパルス追従制御形態ではCPU20の制御負担を軽減することを最優先として追従制御部42を採用して、専用の演算回路である座標変換部40及び演算部41d,41qの動作を制御させた。第4のPWMパルス追従制御形態では、CPU20Aにその制御だけでも負担させることができる余裕があることを前提として、当該制御をCPU20Aに実行させるものである。
【0142】
この場合、
図12に例示されるように、演算回路26Aにおいて、追従制御部42の制御機能と、負荷変動判定部43の判定機能をCPU20Aが負担する。CPU20AはレジスタRG13iqmを介してモータ電流値iqmを参照可能にされる。座標変換部40はCPU20AからレジスタRG14syncに設定される制御データによってそのときのキャリア周期とサンプリング周期が伝達されることによって必要なタイミングで座標変換を行う。当然であるが、負荷変動時にサンプリング周期を短くするためのレジスタRG7adtに対する起動とリガの設定操作、それに応ずるレジスタRG8g、RG9gに対するゲインの設定操作はCPU20Aが行う。
【0143】
尚、第4のPWMパルス追従制御形態におけるその他の構成は第1のPWMパルス追従制御形態と同様であり、その詳細な説明は省略する。第2乃至第3のPWMパルス追従制御形態は第4のPWMパルス追従制御形態にも適用可能である。
【0144】
第4のPWMパルス追従制御形態によれば、
図6に代表されるように追従制御部42を採用する場合に比べてフィードバック情報の取得周期の制御にCPU20Aの負担が増えるが、CPU20Aのソフトウェアによって柔軟に対処することが可能になる。
【0145】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0146】
例えばアクセラレータを一例として説明した演算ユニットは汎用のDSP等の演算機能を全部又は一部流用して構成することも可能である。演算ユニットにおける集約する演算処理機能はフィルタ又は平均処理に限定されず、適宜変更可能である。走行面の状態検出情報は路面空の反射率の変化に限定されず、路面の凸凹に応ずる揺れなどを検出してもよい。モータ制御装置は1チップのマイクロコンピュータに限定されず、マルチチップの半導体モジュールなどであってもよい。モータ軸の回転角度検出はレゾルバを用いるものに限定されない。