【実施例】
【0106】
本発明の内容を以下の実施例及び試験例でさらに詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。全ての出発物質および試薬は、商業的供給業者から入手、もしくは公知の方法を用いて合成した。
1H−NMRスペクトルは、内部標準としてMe
4Siを用いてまたは用いずに、Mercury300(varian製)、ECP−400(JEOL製)、または400−MR(varian製)を用いて測定した(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、brs=ブロードシングレット、m=マルチプレット)。質量分析は、質量分析装置、ZQ2000(Waters製)、SQD(Waters製)、2020(Shimazu製)を用いて測定した。
【0107】
実施例1
1−(4−(2−((2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物1)
【0108】
(反応1−1)
【化19】
【0109】
4−ブロモ−3,5−ジメチルアニリン(3.47g,17.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン(5.3ml,30.4mmol)のDMI(13ml)溶液に、2−ブロモイソ酪酸(3.86g,23.1mmol)を室温にて加えた。混合物を100度Cにて1時間加熱攪拌した。さらに、2−ブロモイソ酪酸(496mg,2.97mmol)とジイソプロピルエチルアミン(0.8ml,4.59mmol)を加えた後、混合物を100度Cにて1時間加熱攪拌した。
反応混合物にMeOH(52ml)と5N水酸化ナトリウム水溶液(52ml,260mmol)を室温にて加えた後、この混合物を75度Cにて1.5時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、水を加え、1N硫酸水素カリウム水溶液でpH5とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、2−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)−2−メチルプロパン酸を粗生成物として得た(5.79g)。
MS(ESI) m/z = 286, 288 (M+H)+
【0110】
(反応1−2)
【化20】
【0111】
2−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)−2−メチルプロパン酸(5.79g、反応1−1で得られた化合物)のジクロロメタン(62ml)と酢酸(62ml)混合物にシアン酸ナトリウム(5.03g,59.8mmol)を室温にて加えた。混合物を室温にて3時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(400ml)に加えた後、さらに5N水酸化ナトリウム水溶液にてpH7−8とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた固体を酢酸エチル−ヘキサン、ジクロロメタン−ヘキサンで順次洗浄し1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(3.80g,66%)。
MS(ESI) m/z = 311, 313 (M+H)+
【0112】
(反応1−3)
【化21】
【0113】
8−(ビニルスルホニル)−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン(431mg,1.85mmol)、1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(575mg,1.85mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(508mg,0.55mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィンテトラフルオロホウ酸(165mg,0.55mmol)とメチルジシクロヘキシルアミン(2.1ml,9.25mmol)のN−メチル−2−ピロリドン(18.5ml)混合物を窒素気流下、110度Cにて2時間攪拌した。反応混合物を冷却後、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)にて精製し、(E)−1−(4−(2−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イルスルホニル)ビニル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(584mg,68%)。
MS(ESI) m/z = 464 (M+H)+
【0114】
(反応1−4)
【化22】
【0115】
(E)−1−(4−(2−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イルスルホニル)ビニル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(1.2g,2.58mmol)のテトラヒドロフラン(26ml)溶液に、2N塩酸水溶液(26ml,52mmol)を10分で滴下した。混合物を60度Cにて2時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、2N水酸化ナトリウム水溶液でpH7とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−酢酸エチル)にて精製し、(E)−1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソピペリジン−1−イル)スルホニル)ビニル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(998mg,92%)。
MS(ESI) m/z = 420 (M+H)+
【0116】
(反応1−5)
【化23】
【0117】
(E)−1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソピペリジン−1−イル)スルホニル)ビニル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(994mg,2.37mmol)のメタノール(24ml)溶液に、シアン化カリウム(188mg,2.84mmol)と酢酸アンモニウム(237mg,3.08mmol)を室温にて順次加えた。混合物を60〜70度Cにて3時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、減圧下濃縮し、酢酸エチルで希釈した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−酢酸エチル)にて精製し、(E)−4−アミノ−1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルスチリル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリルを得た(681mg,68%)。
1H-NMR (300MHz, DMSO-d
6) δ: 1.3 (6H, s), 1.7 (2H, m), 2.0 (2H, m), 2.3 (6H, s), 2.7 (2H, s), 2.9 (2H, m), 3.4 (2H, m), 6.9 (1H, d, J = 15.9 Hz), 7.1 (2H, s), 7.4 (1H, d, J = 15.9 Hz), 11.2 (1H, brs)
【0118】
(反応1−6)
【化24】
【0119】
(E)−4−アミノー1−((4−(5,5−ジメチル―2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルスチリル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボニトリル(675mg,1.50mmol)のメタノール(7.5ml)とジメチルスルホキシド(0.195ml)溶液に、室温にて、2N水酸化ナトリウム水溶液(1.6ml,1.6mmol)と30%過酸化水素水(0.2ml,1.95mmol)を順次ゆっくり滴下した。混合物を室温にて1時間攪拌した。反応混合物に酢酸エチル、ヘキサン、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。析出した固体を濾取、洗浄、乾燥し、(E)−4−アミノー1−((4−(5,5−ジメチル―2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルスチリル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボキサミドを得た(498mg,72%)。
MS(ESI) m/z = 464 (M+H)+
【0120】
(反応1−7)
【化25】
【0121】
(E)−4−アミノ−1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルスチリル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボキサミド(1.3g,2.8mmol)と水酸化パラジウム/炭素(Pd20%)(約50%水湿潤品)(1.3g)のメタノール(21ml)−ジメチルホルムアミド(7ml)混合物を水素雰囲気下、室温にて4時間攪拌した。反応混合物をろ過、洗浄した後、ろ液を減圧下濃縮し、4−アミノ−1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルフェネチル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボキサミドを得た(998mg,77%)。
MS(ESI) m/z = 466 (M+H)+
【0122】
(反応1−8)
【化26】
【0123】
4−アミノ−1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルフェネチル)スルホニル)ピペリジン−4−カルボキサミド(120 mg,0.258mmol)、4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)安息香酸(69mg,0.309mmol)とジイソプロピルエチルアミン(0.09ml,0.516mmol)のジメチルホルムアミド(2.5ml)溶液に、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェイト(HATU)(118mg,0.309mmol)を加えた。混合物を室温にて1.5時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで洗浄後、減圧下濃縮し、1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルフェネチル)スルホニル)−4−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)ベンズアミド)ピペリジン−4−カルボキサミドを得た(150 mg,67%)。
MS(ESI) m/z = 672 (M+H)+
【0124】
(反応1−9)
【化27】
【0125】
1−((4−(5,5−ジメチル−2,4−ジオキソイミダゾリジン−1−イル)−2,6−ジメチルフェネチル)スルホニル)−4−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)ベンズアミド)ピペリジン−4−カルボキサミド(150 mg,0.223mmol)のtert−ブタノール(2.5ml)とエタノール(2.5ml)の混合液にカリウムtert−ブトキシド(75mg,0.670mmol)を0度Cにて加えた。混合物を窒素気流下、50度Cにて1.5時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、水で希釈、飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)にて精製し、1−(4−(2−((2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−4−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(118mg,81%)。
MS(ESI) m/z = 654 (M+H)+。
1H-NMR (400MHz, CD
3OD) δ: 1.40 (6H, s), 1.71-1.80 (2H, m), 2.00-2.08 (2H, m), 2.43 (6H, s), 3.22 (4H, s), 3.47-3.57 (2H, m), 3.80-3.88 (2H, m), 7.01 (2H, s), 7.50-7.57 (1H, m), 7.97-8.04 (1H, m), 8.05-8.12 (1H, m)
【0126】
適切なカルボン酸出発原料、試薬、溶媒を用い、実施例1の反応1−8、反応1−9と同様な操作により、以下に示す実施例化合物を合成した。
【0127】
(化合物2−5)
【表1】
【0128】
実施例2
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物6)
【0129】
(反応2−1)
【化28】
【0130】
WO2010/126030(A1)のスキーム2、スキーム3、およびスキーム12に記載の方法に従って合成した、2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−8−(ビニルスルホニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−4−オン(150 mg,0.387mmol)、1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(169mg,0.542mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(45mg,0.077mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィンテトラフルオロホウ酸(22mg,0.077mmol)とメチルジシクロヘキシルアミン(0.123ml,0.581mmol)のN−メチル−2−ピロリドン(0.97ml)混合物を窒素気流下、100度Cにて1時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)にて精製し、(E)−1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)ビニル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(197mg,82%)。
MS(ESI) m/z = 618 (M+H)+。
【0131】
(反応2−2)
【化29】
【0132】
(E)−1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)ビニル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(195mg,0.316mmol)と水酸化パラジウム/炭素(Pd20%)(約50%水湿潤品)(195mg,0.139mmol)の2,2,2−トリフルオロエタノール(6ml)混合物を水素雰囲気下、室温にて14時間攪拌した。混合物をろ過した後、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)にて精製し、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(121mg,62%)。
MS(ESI) m/z = 620 (M+H)+。
1H-NMR (400MHz, CD
3OD) δ: 1.40 (6H, s), 1.72-1.81 (2H, m), 2.00-2.10 (2H, m), 2.44 (6H, s), 3.22 (4H, s), 3.50-3.58 (2H, m), 3.80-3.88 (2H, m), 7.01 (2H, s), 7.72-7.79 (1H, m), 7.88-7.94 (1H, m), 8.16-8.23 (1H, m), 8.31 (1H, s)
【0133】
実施例3
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物7)
【0134】
(反応3)
【化30】
【0135】
適切な出発原料、溶媒を用い、実施例2と同様な操作により、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−5,5−ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(化合物7)を合成した。
MS(ESI) m/z = 636 (M+H)+。
1H-NMR (400MHz, CDCl
3) δ: 1.47 (6H, s), 1.70-1.78 (2H, m), 2.10-2.19 (2H, m), 2.40 (6H, s), 3.00-3.07 (2H, m), 3.19-3.25 (2H, m), 3.45-3.53 (2H, m), 3.81-3.88 (2H, m), 6.94 (2H, s), 7.35 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.73 (1H, brs), 7.93 (2H, d, J = 8.0 Hz), 9.37 (1H, brs)
【0136】
実施例4
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン(化合物8)
【0137】
(反応4−1)
【化31】
【0138】
シクロペンタノン(42mg,0.500mmol)と4−ブロモ−3,5−ジメチルアニリン(100 mg,0.500mmol)の酢酸(0.5ml)混合物にシアン化トリメチルシリル(0.063ml,0.500mmol)を室温にて加えた。混合物を窒素気流下、室温にて1.5時間攪拌した。反応混合物を28%アンモニア水(1ml)に入れクエンチした後、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し1−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)シクロペンタンカルボニトリルを粗生成物として得た(152mg)。
1H-NMR (400MHz, CDCl
3) δ: 1.83-1.92 (4H, m), 2.07-2.15 (2H, m), 2.33-2.42 (2H, m), 2.37 (6H, m), 3.71 (1H, brs), 6.56 (2H, s)
【0139】
(反応4−2)
【化32】
【0140】
1−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)シクロペンタンカルボニトリル(145mg,0.495mmol)のジクロロメタン(5ml)溶液に、2,2,2−トリクロロアセチルイソシアナート(0.070ml,0.593mmol)を室温にて加えた。混合物を窒素気流下、室温にて1時間攪拌した。
反応混合液に、トリエチルアミン(0.103ml,0.742mmol)、水(0.045ml)およびメタノール(0.10ml)を順次加えた後、混合物を窒素気流下、1.5時間加熱還流した。反応混合物を冷却後、水で希釈し、1N塩酸水溶液でpH5とした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮し1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−4−イミノ−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2−オンを粗生成物として得た。
MS(ESI) m/z = 336, 338 (M+H)+。
【0141】
(反応4−3)
【化33】
【0142】
1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−4−イミノ−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2−オン(前反応で得た粗生成物)の酢酸(1.0ml)と水(0.25ml)の混合物を窒素気流下、65度Cにて1.5時間加熱攪拌した。さらに、酢酸(1.0ml)と水(0.25ml)を加えた後、混合物を窒素気流下、65度Cにて17時間加熱攪拌した。反応混合物を冷却後、水で希釈、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)にて精製し1−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンを得た(121mg)。
MS(ESI) m/z = 337, 339 (M+H)+。
【0143】
(反応4−4)
【化34】
【0144】
適切な出発原料、溶媒を用い、実施例2と同様な操作により、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン(化合物8)を得た。
MS(ESI) m/z = 662 (M+H)+。
1H-NMR (400MHz, DMSO-d
6) δ: 1.36-1.44 (2H, m), 1.60-1.70 (4H. m), 1.82-1.91 (2H, m), 1.91-2.06 (4H, m), 2.38 (6H, s), 3.01-3.09 (2H, m), 3.22-3.30 (2H, m), 3.30-3.42 (2H, m), 3.70-3.77 (2H, m), 7.03 (2H, s), 7.57 (2H, d, J = 8.4 Hz), 8.14 (2H, d, J = 8.4 Hz)
【0145】
実施例5
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−8−メチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン(化合物9)
【0146】
(反応5−1)
【化35】
【0147】
出発原料として4−オキソピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを用い、また、適切な溶媒を用い、実施例4と同様な操作により、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2,4−ジオキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボン酸tert−ブチルを得た。
MS(ESI) m/z = 777 (M+H)+。
【0148】
(反応5−2)
【化36】
【0149】
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2,4−ジオキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボン酸tert−ブチル(11.7mg,0.015mmol)のジクロロメタン(0.13ml)混合液に、トリフルオロ酢酸(0.05ml,0.673mmol)を室温にて加えた。混合物を窒素気流下、室温にて1時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン2トリフルオロ酢酸塩を得た(13.6mg)。
MS(ESI) m/z = 677 (M+H)+。
【0150】
(反応5−3)
【化37】
【0151】
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン2トリフルオロ酢酸塩(21.1mg,0.022mmol)のギ酸(0.033ml)混合物に、37%ホルムアルデヒド水溶液(0.055ml)を加えた。混合物を窒素気流下、80度Cにて3時間加熱攪拌した。反応混合物を濃縮後、残渣を酢酸エチルで希釈した。有機層を希水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール)にて精製し、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−8−メチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンを得た(4.5mg,30%)。
MS(ESI) m/z = 691 (M+H)+。
1H-NMR (400MHz, CD
3OD) δ: 1.76-1.84 (2H, m), 1.92-2.02 (2H, m), 2.02-2.12 (4H, m), 2.38 (3H, s), 2.46 (6H, s), 2.81-2.88 (2H, m), 2.92-3.02 (2H, m), 3.23 (4H, s), 3.51-3.60 (2H, m), 3.72-3.80 (2H, m), 7.01 (2H, s), 7.48 (2H, d, J = 8.0 Hz), 8.10 (2H, d, J = 8.0 Hz)
【0152】
実施例6
5−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2−オキサ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−6,8−ジオン(化合物10)
【0153】
(反応6)
【化38】
【0154】
出発原料としてオキセタン−3−オンを用い、また、適切な溶媒を用い、実施例4と同様な操作により、5−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−2−オキサ−5,7−ジアザスピロ[3.4]オクタン−6,8−ジオンを得た。
MS(ESI) m/z = 650 (M+H)+。
1H-NMR (400MHz, CDCl
3) δ: 1.69-1.77 (2H, m), 2.12-2.22 (2H, m), 2.45 (6H, s), 3.03-3.11 (2H, m), 3.22-3.29 (2H, m), 3.46-3.53 (2H, m), 3.84-3.91 (2H, m), 4.86 (2H, d, J = 7.2 Hz), 5.03 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.07 (2H, s), 7.35 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.98 (2H, d, J = 8.4 Hz), 8.56 (1H, s), 10.34 (1H, s)
【0155】
実施例7
4−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−5,7−ジオン(化合物11)
【0156】
(反応7−1)
【化39】
【0157】
2−ブロモ−5−ヨード−1,3−ジメチルベンゼン(300 mg,0.965mmol)、1−アミノシクロプロパンカルボン酸(195mg,1.93mmol)、ヨウ化銅(I)(37mg,0.194mmol)とジアザビシクロウンデセン(0.50ml,3.35mmol)のジメチルアセトアミド(2.6ml)混合物を窒素気流下、120度Cにて3時間加熱攪拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Wakosil C18,アセトニトリル−水(0.1%ギ酸))にて精製し、1−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)シクロプロパンカルボン酸を得た(219mg,80%)。
MS(ESI) m/z = 284, 286 (M+H)+。
【0158】
(反応7−2)
【化40】
【0159】
1−((4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)アミノ)シクロプロパンカルボン酸(198mg,0.697mmol)の酢酸(3ml)とジクロロメタン(1.5ml)混合物に、シアン酸カリウム(424mg,5.23mmol)を室温にて加えた。混合物を室温にて1時間攪拌した後、60度Cにて2時間加熱攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ヘキサン)にて精製し、4−(4−ブロモ−3,5−ジメチルフェニル)−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−5,7−ジオンを得た(49mg,23%)。
MS(ESI) m/z = 309, 311 (M+H)+。
【0160】
(反応7−3)
【化41】
【0161】
適切な出発原料、溶媒を用い、実施例2と同様な操作により、4−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−4,6−ジアザスピロ[2.4]ヘプタン−5,7−ジオン(化合物11)を得た。
MS(ESI) m/z = 634 (M+H)+。
1H-NMR (400MHz, DMSO-d
6) δ: 0.99-1.03 (2H, m), 1.19-1.27 (4H, m), 1.58-1.64 (2H, m), 1.81-1.90 (2H, m), 2.35 (6H, s), 2.99-3.04 (2H, m), 3.22-3.29 (2H, m), 3.67-3.73 (2H, m), 6.95 (2H, s), 7.56 (2H, d, J = 8.4 Hz), 8.12 (2H, d, J = 8.4 Hz)
【0162】
実施例8
1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオン(化合物12)
【0163】
(反応8)
【化42】
【0164】
適切な出発原料、溶媒を用い、実施例2と同様な操作により、1−(3,5−ジメチル−4−(2−((4−オキソ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−1−エン−8−イル)スルホニル)エチル)フェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2,4−ジオンを得た。
MS(ESI) m/z = 646 (M+H)+。
1H-NMR (400MHz, DMSO-d
6) δ: 1.40-1.48 (2H, m), 1.62-1.71 (4H, m), 1.88-1.97 (2H, m), 1.97-2.08 (4H, m), 2.41 (6H, s), 3.03-3.10 (2H, m), 2.29-3.34 (2H, m), 3.38-3.47 (2H, m), 3.72-3.79 (2H, m), 7.06 (2H, s), 7.84 (1H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz), 8.02 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.33 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.38 (1H, s)
【0165】
試験例
本発明の化合物について、ヒトPTH1Rを介するcAMP産生能、ラット受容体を介するcAMP産生能、ヒト肝ミクロソームを用いた代謝安定性、ラット肝細胞を用いた代謝安定性、TPTXラットモデルでの血清Ca濃度上昇作用、に対する各試験結果を試験例1〜5に示す。尚、比較化合物として、表2に示すWO2010/126030A1に記載の化合物を用いた。
【0166】
【表2】
【0167】
試験例1:ヒトPTH1Rにおける化合物のインビトロcAMPシグナル活性の測定
(ペプチド)
ヒトPTH(1−34)およびカルシトニンはペプチド研究所(日本、大阪)より購入して、10mM酢酸に溶解して1mMとし、−80℃冷凍庫で保存した。
(細胞培養)
細胞は、10%ウシ胎児血清(Hyclone)、100単位/mlペニシリンG、および100μg/ml硫酸ストレプトマイシン(Invitrogen Corp)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で、5%CO2含有加湿雰囲気下、37℃で培養した。
PTH1Rを発現していないLLC−PK1細胞、および、LLC−PK1の1細胞あたり9.5×10
5個のヒトPTH1Rを過剰発現するHKRK−B7を、cAMPシグナル伝達分析に用いた(Takasu et al., J. Bone. Miner. Res. 14:11-20, 1999)。
(cAMP刺激)
HKRK−B7またはLLC−PK1細胞を1X10
5細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種し、一晩インキュベーションした。翌日、次にヒトPTH(1−34)または化合物を含む50μlのcAMPアッセイ緩衝液(DMEM、2mM IBMX、0.2mg/mlウシ血清アルブミン、35mM Hepes−NaOH、pH7.4)を加え、37℃のインキュベーター中に置き、20分間インキュベーションした。培地を除去した後、細胞を100μlのcAMPアッセイ緩衝液で1回洗浄した。細胞を凍結させるためにプレートをドライアイス粉末上に置き、その後ドライアイスから取り出した。40μlの50mM HClを用いて細胞を融解させ、ドライアイス上で再度凍結させた。市販のcAMP EIAキット(Biotrack cAMP EIA system, GE health care)を用いて細胞内cAMPの産生量を測定した。
【0168】
(インビトロcAMP誘導能の測定での20%有効濃度(EC20)および50%有効濃度(EC50)の算出。)
可変勾配によるS字形用量反応式を用いて解析し、100nMでのヒトPTH(1−34)のcAMPシグナル活性を100%として、各化合物が20%もしくは50%のcAMPシグナル活性を示す濃度をEC20もしくはEC50として算出した。
HKRK−B7細胞における結果を表3に示す。
なお、LLC−PK1細胞においてのcAMP応答の程度はHKRK−B7細胞での程度に比べ低いものであった。
【0169】
【表3】
【0170】
試験例2:ラットPTH1Rにおける化合物のインビトロcAMPシグナル活性の測定
HKRK−B7細胞の代わりに中外製薬で樹立したラットPTH1Rを過剰発現するLLC−PK46_RATO_PTH1R細胞を用いて試験例1と同様に測定を行った。
LLC−PK46_RATO_PTH1R細胞を用いた結果を表4に示す。
ラットPTH1受容体におけるインビトロcAMPシグナル活性のEC20値は、ヒトPTH1RにおけるインビトロcAMPシグナル活性のEC20値と良好な相関関係にあった。EC50値についても、ラットとヒトの間で良好な相関関係にあった。
【0171】
【表4】
【0172】
試験例3:ヒト肝ミクロソームを用いた代謝安定性試験
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中、ヒト肝ミクロゾームと化合物あるいは比較例をNADPH共存下37℃で所定の時間インキュベーションした。各反応時間における親化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定し、反応時間に対する残存率の傾きから固有クリアランス(μL/min/mg protein)を算出した。
【0173】
<アッセイ条件>
化合物濃度: 1μM
ミクロゾーム: 0.5mg/mL
NADPH: 1mM
反応時間: 0、5、15および30分
【0174】
結果を表5に示す。化合物1〜11は比較例1〜6に比べヒト肝ミクロソームに対し高い代謝安定性を示した。
【0175】
【表5】
【0176】
試験例4:ラット肝細胞を用いた代謝安定性試験
ラット(SD、♀)の肝臓からコラゲナーゼ還流法により肝細胞を調製した。実施例化合物あるいは比較例を添加して37℃で所定の時間インキュベーションした後反応停止液を添加した。各反応時間における親化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定し、反応時間に対する残存率の傾きから固有クリアランス(μL/10
6cells/min)を算出した。
【0177】
<アッセイ条件>
細胞濃度: 1×10
6cells/mL
化合物濃度: 1μM
培地: Williams' medium E
反応時間: 0、15、30、60、120および240分
反応停止液: アセトニトリル/2−プロパノール(4/6、v/v)
【0178】
結果を表6に示す。化合物2、4、5、7、8、9、10、11の化合物は比較例1、2、3、5、6に比べラット肝細胞代謝安定性が向上した。
【0179】
【表6】
【0180】
試験例5:TPTXラットモデルでの血清Ca濃度上昇作用
4週齢の雌性Crl:CD(SD)ラットを日本チャールス・リバー株式会社(厚木飼育センター)より入手し、20〜26℃、湿度35〜75%の標準実験室条件下で1週間順化させた。ラットには、水道水ならびに1.1%カルシウム、1.0%リン酸および250IU/100gのビタミンD3を含む標準げっ歯動物飼料(CE−2)(日本クレア株式会社)を自由に摂取させた。
5週齢のラットにTPTXを実施した。一部の個体には、偽手術(Sham)を実施した。使用するためのTPTXラットは、手術4日後の血清Ca濃度が8mg/dL未満の個体を選択した。手術5日後に、手術4日後に測定した血清Ca濃度と体重に基づき、各群5匹ずつ8つのTPTX群と1つのSham群に振り分けた。Sham群およびTPTX−Vehicle群には、溶媒のみを10mL/kgの用量で経口投与した。TPTX−各検体群には、各検体30 mg/10mL/kgの用量で溶媒に溶解させてそれぞれ経口投与した。溶媒の組成は、10%ジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社)、10%クレモフォールEL(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社)、20%ヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン(日本食品化工株式会社)、グリシン(和光純薬工業株式会社)によりpH10に調製したものを使用した。各々の投与直前にPre採血をし、投与2、6、10および24時間後にも採血を実施して血清Ca濃度を測定した。各血液採取はイソフルラン吸入麻酔下にて頸静脈から行った。
【0181】
血清のCaの測定。採取した血液から遠心分離により取得した血清を、自動分析装置TBA−120FR(東芝メディカルシステムズ株式会社)を用いて測定した。
【0182】
動物試験についての統計解析。データを平均値±標準誤差(SE)として表す。統計的有意性は、SAS前臨床パッケージ(Ver.5.00.010720、SAS Institute Japan, Tokyo, Japan)を使用して決定した。<0.05のp値を統計的に有意とみなした。2群のt検定によりTPTX‐Vehicle群に対して#P<0.05、比較例1の群に対して*P<0.05、比較例2の群に対して∫P<0.05として示した。
【0183】
血清Ca濃度のPre値は、Sham群で9.9mg/dL、TPTX各群で5.3〜6.2mg/dLであった。各化合物の投与後24時間までの血清Ca濃度について、Pre値からの変化量を平均した値を
図1に示した。また、各化合物を投与した後の血清Ca濃度のピークは、どの化合物についても投与6時間後、もしくは10時間後であった。
【0184】
ラット肝細胞代謝安定性の高い、化合物6、化合物7、化合物8は、pre値からの正の変化量が大きく、経口投与において強い血清Ca濃度上昇作用が認められた。一方、ラット肝細胞代謝安定性の低い、化合物1、比較例1、比較例2のPre値からの正の変化量は化合物6、化合物7、化合物8に比べ小さかった。特に化合物7、化合物8は比較例1、比較例2に対し統計上優位であった。
【0185】
さらに、ラット肝細胞代謝安定性の高い、化合物6、化合物7、化合物8は、投与後6時間もしくは10時間後において、各化合物の最大値として7.8〜8.5mg/dLの値を示し、副甲状腺機能低下症患者での血清Ca濃度の治療目標域7.6〜8.8mg/dLを達成した。一方、ラット肝細胞代謝安定性の低い、化合物1、比較例1、比較例2はすべての測定時間において、この治療目標域に達しなかった。
【0186】
以上の試験結果から、ラットPTH1Rを強制発現させた細胞において強いcAMPシグナル活性を示し、かつラット肝細胞での代謝に対して高い安定性を示す、化合物6、化合物7、化合物8は、ラットにおいて、経口投与下で強い血清Ca濃度上昇作用が認められた。これら化合物はヒトPTH1Rを強制発現させた細胞でのcAMPシグナル活性を有し、ヒト肝ミクロソーム代謝安定性が比較化合物に比べ高く、経口投与で副甲状腺機能低下症患者への高い治療効果が期待される。さらに、化合物6、化合物7、化合物8と同じ程度のヒトPTH1Rを強制発現させた細胞でのcAMPシグナル活性とヒト肝ミクロソーム代謝安定性を示す一般式(1)で表わされる化合物についても副甲状腺機能低下症患者への高い治療効果が期待される。