(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記定量化されたレベルを、心不全を示す基準レベルと比較し、心エコー図データを解析するように構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の移植可能な医療装置。
前記バイオマーカーパネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFNg、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、TIMP−4からなる群から選択される少なくとも5つを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の移植可能な医療装置。
前記バイオマーカーパネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFNg、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、TIMP−4からなる群から選択される少なくとも6つを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の移植可能な医療装置。
前記定量化されたレベルを解析することは、前記定量化されたレベルを使用して、前記患者を、心不全進行リスクに関連する1組のカテゴリの1つに分けることを含む、請求項8〜13のいずれか一項に記載の方法。
前記バイオマーカーパネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFNg、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、TIMP−4からなる群から選択される少なくとも4つを含む、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法。
前記バイオマーカーパネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFNg、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、TIMP−4からなる群から選択される少なくとも5つを含む、請求項8〜15のいずれか一項に記載の方法。
前記バイオマーカーパネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFNg、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、TIMP−4からなる群から選択される少なくとも6つを含む、請求項8〜16のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、様々な変更及び代替の形態を受けることが可能であるが、本開示の詳細は、例及び図面として示されており、詳細に説明される。しかし、本開示が、記載される特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。逆に、本開示の趣旨及び範囲内の変更、均等物、及び代替を包含することが意図される。
【0013】
本明細書での実施形態は、バイオマーカーパネルデータを利用して、患者のスクリーニング、患者の診断等の様々なタスクを実行するシステム及び方法を含む。
【0014】
本明細書で使用される場合、「バイオマーカー」という用語は、限定ではなく、小分子、タンパク質、核酸、炭水化物、脂質、及びそれらの組み合わせを含む生物学的状態の指標として使用することができる測定可能な物質を含む。本明細書での特定のバイオマーカーへの参照が、内容により別段のことが示される場合を除き、前駆体、プロフォーム、イソフォーム、成熟形態変異体、及び代謝物を含むが、それに限定されないその分解形態への参照を含むことが理解されるだろう。
【0015】
多くの異なるタイプのバイオマーカーを本明細書での実施形態に利用可能なことが理解されるだろう。本明細書での様々な実施形態に使用されるバイオマーカーは、アディポネクチン、アドレノメジュリン、中間領域プロアドレノメデュリン、アンギオテンシンII、アペリン、BNP、BNP1−32、NTproBNP1−76、カスパーゼ−3、コネクシン−43、コペプチン、C−反応タンパク質(CRP)、ジヒドロピリジン受容体、表皮成長因子(EGF)、エンドグリン、エンドセリン、エンドセリン−1、巨大エンドセリン、エオタキシン、繊維芽細胞成長因子−2(FGF−2)、フィブロネクチン、Flt−3リガンド、フラクタルキン、ガレクチン3(Gal−3)、G−CSF、GDF−15、GM−CSF、GRO、ICTP、IFNa2、IFN−γ、IGF−1、IL−1、IL−1a、IL−1b、IL−1ra、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−12(p40)、IL−12(p70)、IL−13、IL−15、IL−17、IP−10、L−タイプカルシウムチャネルαサブユニット、MCP−1、MCP−3、MDC、MIP−1a、MIP−1b、miR−1、miR−21、miR−29、miR−30、miR−133、miR−208、miR−486、miR−760、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−12、MMP−13、MPO、オステオポンチン、PAI−I、PDGF−AA、PDGF−AB/BB、PIIINP、PINP、PRA−プラズマレンニン、RANTES、RNU 44、RNU 6B、sCD30、sCD40L、sEGFR、sE−セレクチン、sgp130、sICAM−I、sIL−1Rib、sIL−1RII、sIL−2Ra、sIL−4R、sIL−6R、sRAGE、ST2、sST2、sTNF RI、sTNF RII、sVCAM−I、sVEGFR1、sVEGFR2、sVEGFR3、TGFa、TGF bI、TGF bII、TGF bIII、TIMP−1、TIMP−2、TIMP−3、TIMP−4、TNFa、TNFb、TROPONIN−I、VEGF、ANP、NTproANP、中間領域pro−ANP SERCA2a、リアノジン受容体、I型プロコラーゲンのカルボキシ末端プロペプチド(PICP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP、NTproCNP)、アルドステロン、エピネフリン、アルギニンパソプレシン(AVP)、コペプチン、ウルコルチンI、II、III、Fas(APO−1)、sFas、FasL、IL−18、酸化低密度リポタンパク質、ミエロペルオキシダーゼ、尿中ビリルビン酸化生成物、尿中及びプラズマイソプロスタン、プラズママロンアルデヒド、カルボニル化タンパク質、心筋トロポニンI及びT、ミオシン軽鎖キナーゼI、ヒト心臓脂肪酸結合タンパク質、クレアチンキナーゼMB分画、虚血変性アルブミン、オステオプロテゲリン、コエンザイムQ10、sGp130、sTNFr−II、VAP−1、sVCAM−1、M−CSF、GM−CSF、及びそれらの類似体を含むことができるが、これらに限定されない。
【0016】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、心不全マーカー、炎症バイオマーカー、及び/又は再形成バイオマーカーを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、炎症のバイオマーカー、生理活性バイオマーカー、及び/又はタンパク質分解性バイオマーカーを含むことができるが、これらに限定されない。
【0017】
比較的多様なバイオマーカーセットが、炎症を示すことに関して妥当であり得ることが理解されるだろう。本明細書での様々な実施形態での炎症の特定のバイオマーカーは、CRP(C−反応タンパク質)、SGP−130(可溶性糖タンパク質130)、sIL−2R(可溶性インターロイキン−2受容体)、sTNFR−II(可溶性腫瘍壊死因子受容体−II)、IFN−γ(インターフェロンγ)、sST2(可溶性腫瘍形成能−2の抑圧遺伝子)、及びこれらの任意の断片を含むことができるが、これらに限定されない。
【0018】
生理活性バイオマーカーは、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)及びその断片を含むことができる。
【0019】
タンパク質分解性バイオマーカーは、MMP及びTIMPを含むことができる。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、亜鉛依存エンドペプチダーゼである。大半のMMPは、プロ酵素として合成され、分泌されていから、活性形に変換される。MMPは、いくつかの生理活性分子の処理に加えて、細胞外基質タンパク質を分解することが可能である。MMPは、細胞外基質(ECM)の分解成分で重要な役割を果たす。本明細書での様々な実施形態においてタンパク質分解性バイオマーカーとして使用される特定のMMPは、MMP−2、MMP−9、及びこれらの任意の断片を含むことができるが、これらに限定されない。
【0020】
メタロプロテアーゼ(TIMP)の組織阻害剤は、MMPを抑圧することによって機能する。構造的に、TIMPは2つのドメインを含む。N末端ドメインは、1:1非共有相互作用を介して成熟メタロプロテアーゼの活性部位に結合し、触媒部位への物質のアクセスを妨げる。本明細書での様々な実施形態でのタンパク質分解性バイオマーカーとして使用される特定のTIMPは、TIMP−1、TIMP−2、TIMP−4、及びこれらの任意の断片を含むことができるが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書で使用される場合、「バイオマーカーパネル」という用語は、単独で、一緒に、又は副結合で使用可能であり、ヒトである被験者のコンディション、状態、又は健康状態に関して、ヒトである被験者の状態を示すバイオマーカーセットを指す。バイオマーカーパネル内のバイオマーカーは、上述したバイオマーカーを含むことができる。パネル内のバイオマーカーの特定の身元が、バイオマーカーパネルが置かれる特定の用途と、特定用途でパネルの結果が満たされなければならない厳密性に依存し得ることが理解されるだろう。
【0022】
いくつかの実施形態では、パネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4から選択される少なくとも2つの別個のバイオマーカーを含む。他の実施形態では、パネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4から選択される少なくとも3つの別個のバイオマーカーを含む。他の実施形態では、パネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4から選択される少なくとも4つの別個のバイオマーカーを含む。他の実施形態では、パネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4から選択される少なくとも5つの別個のバイオマーカーを含む。他の実施形態では、パネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4から選択される少なくとも6つの別個のバイオマーカーを含む。他の実施形態では、パネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4から選択される少なくとも7つの別個のバイオマーカーを含む。他の実施形態では、パネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4から選択される少なくとも8つの別個のバイオマーカーを含む。他の実施形態では、パネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4から選択される少なくとも9つの別個のバイオマーカーを含む。他の実施形態では、パネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4から選択される少なくとも10の別個のバイオマーカーを含む。他の実施形態では、パネルは、CRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4から選択される少なくとも11の別個のバイオマーカーを含む。他の実施形態では、パネルCRP、SGP−130、sIL−2R、sTNFR−II、IFN−γ、BNP、sST2、MMP−2、MMP−9、TIMP−1、TIMP−2、及びTIMP−4。
【0023】
いくつかの実施形態では、パネルは少なくともCRP、sST2、TIMP1、及びTIMP2を含む。いくつかの実施形態では、パネルは少なくともCRP、BNP、及びTNFR−IIを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、パネルは少なくともCRP及びBNPを含む。
【0025】
特定のバイオマーカーパネル内のバイオマーカーは、基礎となる生物学的機能に関して異種群を含むことができるため、パネル内に含まれる各バイオマーカーが異なる正常生物学的濃度を有し得、したがって、パネル内に含まれる各バイオマーカーが、特定の生物学的状態を示すのに有意な異なる濃度又は濃度閾値を有し得ることが理解されるだろう。例として、CRP(C−反応タンパク質)の正常血清濃度は、IL−2の正常血清濃度と異なり、したがって、バイオマーカーパネルの状況で適用される濃度の解析では、これら2つの濃度の固有の異なる大きさを計上する必要がある。
【0026】
いくつかの実施形態では、個々の各バイオマーカーは、患者母集団でのそのバイオマーカーの正常値(又は基準正常値)に従って評価される。換言すれば、個々の各バイオマーカーは、正常よりも高値、正常、又は正常よりも低値のいずれかとして評価することができる。いくつかの実施形態では、群は健康な患者で構成される。他の実施形態では、群は心不全を有する患者である。他の実施形態では、群は、CRT治療装置を受けた、心不全を有する患者である。更に他の実施形態では、群は、CRT治療への反応者である、心不全を有する患者で構成される。いくつかの実施形態では、群は、CRT治療への反応者ではない、心不全を有する患者で構成される。
【0027】
バイオマーカーパネルの解析により、肯定的な結果、否定的な結果、又は中間結果がもたらされる。いくつかの実施形態では、肯定的なバイオマーカーパネル結果は、パネル内の全てのバイオマーカーが閾値を超えることに基づいて定義することができる。他の実施形態では、肯定的なバイオマーカーパネル結果は、パネル内の大半のバイオマーカーが閾値を超えることに基づいて定義することができる。いくつかの実施形態では、閾値は、その特定のバイオマーカーに固有の量的濃度であることができる。他の実施形態では、閾値は、正常若しくは異常、又は正常よりも高値、正常、若しくは正常よりも低値のいずれかとしてより質的に評価することもできる。
【0028】
本明細書での様々な実施形態は、患者の生物学的サンプルのバイオマーカーパネルのうちの1つ又は複数のレベルを定量化することを含むことができる。いくつかの実施形態では、レベルを定量化することは、生体外で行うことができる。いくつかの実施形態では、レベルを定量化することは、生体内で行うことができる。当然、特定のバイオマーカーの性質に応じて、バイオマーカーのレベルを定量化する多くの様々な技法が存在することが理解されるだろう。例えば、タンパク質又はその断片を識別する状況では、使用される方法は、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)、ウェスタンブロット法、他のタイプの電気泳動分析アッセイ、免疫組織化学染色、親和クロマトグラフィ、質量分析等を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のバイオマーカーのレベルを定量化することは、レベルを示す他の化合物のレベルを定量化することを含むことができる。例として、特定のタンパク質のレベルを定量化する状況では、タンパク質又はその前駆体のmRNAコーディングの検出を使用して、そのようなレベルを定量化することができる。したがって、様々な実施形態では、ノーザンブロット法、RT−PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、遺伝子発現の逐次分析(SAGE)、マイクロアレイアッセイ等を含む技法を使用することができる。特定のタンパク質のレベルを定量化する状況では、それらのレベルを示す他の化合物は、前駆体、プロフォーム、イソフォーム、成熟形態変異体、及び代謝物を含むが、それに限定されないその分解形態を含むことができる。しかし、バイオマーカーのレベルを検出及び/又は定量化に使用可能な多くの他の技法が存在することが理解されるだろう。
【0029】
いくつかの実施形態では、他のタイプのデータを、本明細書での方法のバイオマーカーデータと併せて使用することができる。例として、データは、患者の性別に関するデータ、心不全の虚血性起源又は非虚血性起源、左脚ブロックの有無、QRS幅(150ミリ秒以上のQRS幅等)、過去の入院についての情報、左心室拡張末期容量(LVEDV)(125ml/m
2を超えるLVEDV等、及び左心房容量(40ml/m
2を未満の左心房容量等)を含むことができるが、これらに限定されない。このような他のタイプのデータの使用は、二進変数または必要に応じて連続変数としての使用を含むことができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、使用されるデータは、ST2、CRP、TIMP1、TIMP2、及びベースラインでのLVESVのうちの1つ、2つ、3つ、又は4つ以上、ベースラインでの年齢、性別、ベースラインでの収縮期血圧、ベースラインでのQRS持続時間、ベースラインでのPR間隔、ベースラインでの虚血性状態、並びにベースラインでのACE(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)/ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)の使用を含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、使用されるデータは、CRP、BNP、及びベースラインでのLVESVのうちの1つ、2つ、3つ、又は4つ以上、ベースラインでの年齢、性別、ベースラインでの収縮期血圧、ベースラインでの左脚ブロックの存在、ベースラインでの腎疾患、ベースラインでの虚血性状態、並びにベースラインでのベータ遮断薬の使用を含むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、使用されるデータは、CRP、BNP、及びベースラインでのLVESVのうちの1つ、2つ、3つ、又は4つ以上、ベースラインでの年齢、性別、ベースラインでの収縮期血圧、ベースラインでのQRS持続時間、ベースラインでのPR間隔、ベースラインでの虚血性状態、ベースラインでのベータ遮断薬の使用、並びにベースラインでのACE/ARBの使用を含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、使用されるデータは、BNP、CRP、TNFR−II、及びベースラインでのLVESVのうちの1つ、2つ、3つ、又は4つ以上、ベースラインでの年齢、性別、ベースラインでの収縮期血圧、ベースラインでのQRS持続時間、ベースラインでの左脚ブロックの存在、ベースラインでの虚血性状態、並びにベースラインでの腎疾患を含むことができる。
【0034】
様々なサンプルを、本明細書での様々な実施形態によるテストの生物学的サンプルとして使用可能なことが理解されるだろう。例として、サンプルは、流体サンプル(プラズマ、血液、血清、間質性流体、体濾過、胸膜液、リンパ液、脳脊髄液、粘液、腹膜液、唾液、汗、涙、尿、並びに他の分泌液等)並びに組織サンプルを含むことができるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、方法は、患者の生物学的サンプルを採取するステップを更に含むことができる。
【0035】
本明細書でのいくつかの実施形態では、アッセイキットが含まれる。アッセイキットは、患者の生物学的サンプルのバイオマーカーパネルのうちの1つ又は複数のレベルを定量化するのに役立つ材料を含むことができる。アッセイキットの特定の構成要素は、バイオマーカーの定量化に使用される技法に依存することができる。例として、いくつかの実施形態では、キットは、バイオマーカーパネルの1つ又は複数に固有のプローブを含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、バイオマーカーパネルの1つ又は複数への結合特異性を示すプローブを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、キットは、バイオマーカーパネルの1つ又は複数への結合特異性を示す抗体を含むことができる。いくつかの実施形態では、プローブはハイブリダイゼーションブローブであることができる。いくつかの実施形態では、プローブはそれ自体、タンパク質、核酸等を含むことができる。いくつかの実施形態では、プローブは、コーティングガラススライド又はジーンチップに取り付けられたプローブ等、基板に取り付けることができる。
【0036】
これより
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、患者の生物学的サンプルのバイオマーカーパネルのうちの1つ又は複数のレベルを定量化すること(102)を含むことができる。バイオマーカーパネルのレベルの定量化は、上述した様々な技法の使用を通してなど、様々な方法で実行することができる。いくつかの実施形態では、定量化は、1つのバイオマーカー又はバイオマーカーパネルの絶対値である。いくつかの実施形態では、定量化は、他のマーカーの値、ゲノム標的、プロテオーム標的、又は基準値に対する相対値である。更に他の実施形態では、定量化は、時間期間(臨床医への経過観察診療の時間期間又は装置を移植してから、臨床医に経過観察で診療を受けるまでの時間期間等)にわたるレベル変化を反映することができる。いくつかの実施形態では、特定の患者のバイオマーカーレベルに関するデータは、複数(例えば、2〜100以上)の時間点での測定を含む長い時間期間にわたり追跡することができ、変化の全体プロファイルを特定することができる。
【0037】
方法は、定量化されたレベルを解析すること(104)を含むこともできる。例えば、方法は、定量化されたレベルを解析して、患者をスクリーニングすることができる。例えば、患者を心不全、他の心臓状態、及び/又はCRT装置を受ける者としての候補性等に関してスクリーニングすることができる。いくつかの実施形態では、患者は、心不全の存在とともに、併存疾患又は二次的病変に関してスクリーニングすることができる。いくつかの実施形態では、患者において、心不全を、併存疾患又は二次的病変と共に識別することができる。例として、心不全及び腎不全、心不全及び糖尿病、心不全及び癌、心不全及び関節炎等に関して患者をスクリーニングすることができる(又はこれらの疾患を識別することができる)。いくつかの実施形態では、心不全と、心不全等の最適な状態及び準最適な薬物療法の存在又は心不全及び不適切な食生活(ナトリウム過多等)の存在とに関して患者をスクリーニングすることができる。
【0038】
定量化されたレベルを解析することは、様々な動作を含むことができる。いくつかの実施形態では、定量化されたレベルを解析することは、定量化されたレベルを基準正常レベルと比較して、患者をスクリーニングすることを含む。
【0039】
基準正常レベルは、様々な方法で特定することができる。いくつかの実施形態では、基準正常レベルは患者群に基づいて特定される。いくつかの実施形態では、群は健康な患者で構成される。他の実施形態では、群は心不全を有する患者である。他の実施形態では、群は、CRT治療装置を受け取った、心不全を有する患者である。更に他の実施形態では、群は、CRT治療への反応者である、心不全を有する患者で構成される。いくつかの実施形態では、群は、CRT治療への反応者ではない、心不全を有する患者で構成される。
【0040】
いくつかの実施形態では、定量化されたレベルを解析することは、バイオマーカーパネルの基準正常レベルからの、定量化されたレベルの逸脱を表す集計スコアを計算することを含む。基準正常レベルからのプラス又はマイナスの逸脱は、患者のスクリーニングに関連し得る。いくつかの実施形態では、基準正常レベルからのプラス又はマイナスの逸脱の特定の程度は、指示的であり得る。いくつかの実施形態では、基準正常レベルから逸脱しないことは、指示的であり得る。いくつかの実施形態では、定量化されたレベルを解析することは、定量化されたレベルを閾値レベルと比較して、患者をスクリーニングすることを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、方法は、患者を選択することを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、症状に基づいて患者を選択することができる。例えば、患者を選択することは、心不全症状に基づいて行うことができる。いくつかの実施形態では、症状は主観的な症状を含むことができる。他の実施形態では、症状は客観的な症状を含むことができる。更に他の実施形態では、症状は、主観的な症状と客観的な症状との組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、患者を選択することは、患者に何が示されたかに基づくことができる。例として、患者を選択することは、CRT治療に示された患者に基づくことができる。いくつかの実施形態では、患者を選択することは、心不全を患っているが、CRT治療に示されていない患者に基づくことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法は、患者をカテゴリに分けることを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態は、患者をスクリーニングし、且つ/又は患者を診断する方法に向けられ、定量化されたレベルを使用して、患者を1組のカテゴリの1つに分ける。カテゴリは、正常、心不全のリスクあり、急速に進行する心不全のリスクあり、心不全を患っている、急速に進行する心不全(急速に進行している細胞/心腔リモデリング等)を患っている、治療からの恩恵を受ける可能性が高い、治療からの恩恵を受ける可能性が低い等のうちの1つ又は複数を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1組のカテゴリは少なくとも2つのカテゴリを含むことができる。いくつかの実施形態では、1組のカテゴリは少なくとも3つのカテゴリを含むことができる。いくつかの実施形態では、1組のカテゴリは少なくとも4つのカテゴリを含むことができる。いくつかの実施形態では、1組のカテゴリは少なくとも5つのカテゴリを含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、カテゴリへの分類は、バイオマーカーパネルの1つ又は複数の定量化されたレベルと、バイオマーカーパネルの1つ又は複数の基準正常レベルとの差に基づくことができる。いくつかの実施形態では、異なるバイオマーカーは等しい重みを受ける。他の実施形態では、異なるバイオマーカーは異なる重みを受け取った。
【0044】
いくつかの実施形態では、患者を診断する方法が本明細書に含まれる。これより
図2を参照すると、方法は、患者の生物学的サンプルのバイオマーカーパネルのうちの1つ又は複数のレベルを定量化すること(202)を含むことができる。方法は、少なくとも部分的に定量化されたレベルに基づいて前記患者を診断すること(204)を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、患者を診断する方法は、心不全の症状を示す患者を選択するのを含むことができる。心不全の症状としては、運動への耐性のなさ、息切れ、心肥大、肺水腫、及び代償イベントの証拠を含むことができるが、これらに限定されない。
【0045】
診断を様々な方法で進めることができることが理解されるだろう。いくつかの実施形態では、患者を診断することは、患者が独自の心不全病因を有するか否かを判断することを含むことができる。いくつかの実施形態では、患者を診断することは、バイオマーカーの定量化されたレベルを、心不全を示す基準レベルと比較することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、患者を診断することは、他のタイプのデータの解析と併せて、バイオマーカーの定量化されたレベルを、心不全を示す基準レベルと比較することを含む。他のタイプのデータは、等の心不全の診断に使用される従来のデータ、他のタイプの撮像データ(MRI、CT等を含むが、これらに限定されない)、心電図データ(右脚ブロック及び左脚ブロック等の伝導問題を示すQRS幅及び丘の心電図データを含むが、これに限定されない)、周期変動能力、心内膜心筋生検データ、移植された装置からのデータ(心拍変動、活動、ペーシングの割合等)、心機能データ(右心室駆出率(LVEF)、心拍出量等)、構造情報(左心房収縮末期容量(LVESV)、左心房拡張末期容量(LVEDV)、左心房(LV)径等)、臨床的状態、臨床的病歴、服用された薬剤、性能試験(6分間の廊下歩行、VO
2最大等)、貧血、及び運動への耐性のなさ、息切れ、心肥大、肺水腫、代償イベントの証拠等の症状を含むことができる。
【0047】
更に他の実施形態では、診断は、ある時間期間にわたるレベルの変化に関するデータに頼ることができる(経過観察での臨床医訪問間の時間期間又は装置の移植から経過観察での臨床医の訪問までの時間期間等)。いくつかの実施形態では、バイオマーカーパネルの個々の構成要素の絶対値の傾向を超えるバイオマーカーパネルによって示される変化の傾向を、診断で重要視することができる。いくつかの実施形態では、複数の時間点での測定を含む、長い時間期間にわたって追跡された特定の患者のバイオマーカーレベルに関するデータを使用して、診断に至ることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、患者を診断することは、バイオマーカーの定量化されたレベルを使用して、従来の診断アルゴリズムに従って行われた心不全の診断を確認することができる。いくつかの実施形態では、患者を診断することは、患者が心不全のいくつかの症状を示すが、診断をはっきりと決められない場合、バイオマーカーの定量化されたレベルを使用して、患者が心不全を有するか否かを判断することができる。
【0049】
更に他の実施形態では、患者を診断することは、バイオマーカーの定量化されるレベルを使用して、コストがかかり、侵襲的な技法を試みて、状態を診断する前に、心不全の診断に至るよう試みることを含むことができる。これより
図3を参照すると、患者が心不全の症状を示すか否かを判断すること(302)ができる。患者が心不全の症状を示している(302)場合、別の動作では、バイオマーカーパネルが、心不全の診断に一致する結果をもたらすか否かを判断する(304)ことができる。答えが肯定的である場合、心不全の診断を行うことができる(310)。答えが否定的である場合、非心不全の診断を行うことができる(308)。バイオマーカーレベル解析の結果が不確定である場合、侵襲的及び/又は非侵襲的な臨床テスト等の更なるステップを実行して、結果が心不全の診断に一致するか否かを判断ことができる(306)。更なるテストが肯定的である場合、心不全の診断を行うことができる(310)。更なるテストが否定的である場合、非心不全の診断を行うことができる(308)。
【0050】
いくつかの実施形態はシステム及び/又は装置を含むことができる。しかし、本明細書においてバイオマーカーに関連する実施形態が、装置又はシステムを通しての実施に限定されないことが理解されるだろう。
図4は、本明細書での様々な実施形態による、いくつかのシステム400の構成要素の概略図である。
図4は、実行されているバイオマーカー診断テストと、サーバ並びに装置プログラマー(外部医療装置)及び移植可能な医療装置と通信されている値を概略的に示す。いくつかの実施形態では、プログラマーは装置と通信することができ、バイオマーカー値に基づいて、装置の設定を適宜再プログラムすることができる。いくつかの実施形態は、
図4に示される構成要素の全てを含むことができるが、他の実施形態は、構成要素のうちのいくつかのみを含むことができる。データは、様々な特定の構成要素から、矢印で示されるように、システム内の他の構成要素に渡すことができる。しかし、通信がそのような経路に限定されず、装置間のデータ通信を、自動的又は手動データ入力プロセスを通してなど様々な方法で行うことができることが理解されるだろう。システム400は、移植可能な医療装置414を含むことができる。本明細書に記載の方法又はその部分は、移植可能な医療装置414によって実行することができる。移植可能な医療装置414は、患者412内に配置することができる。移植可能な医療装置414は、例えば、ペースメーカー、除細動器、心臓再同期装置等の様々なタイプのものであることができる。いくつかの実施形態では、移植可能な医療装置414は特に、心臓再同期装置である。移植可能な医療装置の一例は、本願と同じ譲受人に譲渡された米国特許第4,562,841号明細書に開示されており、この発明を参照により本明細書に援用する。いくつかの実施形態では、移植可能な医療装置414は、患者の心臓426内又はその近傍に配置される1つ又は複数のリード422を含むことができる。リードは、リング電極及び/又は先端電極等の複数の電極を含むことができる。いくつかの実施形態では、リード422は、心臓の左心室及び右心室の両方に配置することができる。
【0051】
移植可能な医療装置414は、外部医療装置416と通信することができる。本明細書に記載の方法又はその部分は、外部医療装置416によって実行することができる。いくつかの実施形態では、移植可能な医療装置414と外部医療装置416との通信は、移植可能な医療装置414の近傍で患者412の外部に保持されるワンド410を通しての誘導通信を介することができる。しかし、他の実施形態では、通信は、無線周波数伝送を介して、又は音響的に実行することができる。
【0052】
外部医療装置416は、ビデオ出力を表示する表示画面418等のビデオ出力装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、外部医療装置416は、収集されたデータを処理するように構成することができる。外部医療装置416は、キー等のユーザ入力装置420を含むこともできる。外部医療システム416は、例えば、プログラマー/レコーダー/モニタ装置、コンピュータ、高度患者管理システム、又は個人情報端末(PDA)であることができる。例示的なプログラマー/レコーダー/モニタ装置は、マサチューセッツ州Natickに所在のBoston Scientific Corporationから利用可能な型番3120Programmerを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、移植可能な医療装置414は、1つ又は複数の移植可能なセンサを含み、患者412に関するデータを収集することができる。例として、医療装置414は移植可能なセンサを含み、予測マーカーの濃度を感知することができる。いくつかの実施形態では、移植可能なセンサは、CRPの生体内濃度を感知することができる。例示的な移植可能なセンサは、米国特許出願第2007/0270675号明細書に記載されており、この出願を参照により本明細書に援用する。
【0054】
いくつかの実施形態では、生体外アッセイを使用して、バイオマーカーの濃度を測定することができる。例として、いくつかの実施形態では、外部アッセイ装置428を使用して、CRP等のバイオマーカーの濃度を測定することができる。患者412は、アッセイ可能な量の血液又は他の体液を外部アッセイ装置428に提供することができ、装置は、存在するバイオマーカーの量を測定し、移植可能な医療装置414に直接、又は外部医療装置416を通して、濃度データに関して報告することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、システム400はサーバ430を含むことができる。サーバ430は、システム400の他の構成要素からリモートに配置することができるが、パケット交換ネットワーク等のネットワーク等を通して通信することができる。サーバ430は、移植可能な医療装置414、外部医療装置416、及び外部アッセイ装置428のうちの1つ又は複数と、そのような構成要素がシステム400の部分である場合、通信することができる。サーバ430は、プロセッサ、メモリ、入/出力インタフェース等の標準サーバ構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、サーバ430は、データベース(図示せず)と更に通信することができる。本明細書に記載の方法又はその部分は、サーバ430によって実行することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数の動作、方法、又はその部分は、外部装置によって実行することができる。プログラマー/レコーダー/モニタ等の例示的な外部装置は、多くの計算装置に共通する構成要素を含むことができる。これより
図5を参照して、いくつかの実施形態による様々な構成要素の図を示す。外部システムは、従来のマイクロプロセッサを含み得る中央演算処理装置(CPU)705又はプロセッサと、情報を永続的に記憶する読み取り専用メモリ(ROM)715とを含む。メモリコントローラ720が提供され、システムRAM710を制御する。バスコントローラ725が提供され、データバス730を制御し、割り込みコントローラ735を使用して、他のシステム構成要素から様々な割り込み信号を受信して処理する。
【0057】
いくつかの実施形態では、大容量記憶装置を、コントローラ740によってバス730に接続されるディスクドライブ741、コントローラ745によってバス730に接続されるCD−ROMドライブ746、及びコントローラ750によってバス730に接続されるハードディスクドライブ751によって提供することができる。プログラマーシステムへのユーザ入力は、いくつかの装置によって提供し得る。例えば、キーボード及びマウスは、キーボード及びマウスコントローラ755によってバス730に接続することができる。DMAコントローラ760を提供して、システムRAM710への直接メモリアクセスを提供する。視覚的表示が、ビデオ表示770を制御するビデオコントローラ765又はビデオ出力によって生成される。外部システムは遠隔測定インタフェース790又は遠隔測定回路を含むこともでき、これにより、外部システムは、移植可能な医療装置又は外部装置とインタフェースし、データを交換することができる。いくつかの実施形態では、外部システムはネットワークインタフェースを含むことができる。外部プログラマー装置は、患者の生物学的サンプルのバイオマーカーパネルのうちの1つ又は複数のレベルに関するデータを受信するように構成することができる。要素のこの説明は、単なる例として提供され、いくつかの実施形態が、
図5に示される様々な要素を有さなくてもよいことが理解されるだろう。例えば、外部装置のいくつかの実施形態は、ディスクドライブ741を有さなくてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数の動作、方法、又はその部分は、移植可能な医療装置によって実行することができる。これより
図6を参照して、例示的な移植可能な装置800のいくつかの構成要素を概略的に示す。移植可能な医療装置800は、1つ又は複数の刺激リード830及び828に結合されたコントローラモジュール872を含むことができる。コントローラモジュール872は、双方向データバスを介してメモリ回路(モジュール)846と通信するマイクロプロセッサ848を含むことができる。メモリ回路846は、プログラムを記憶するROM又はRAMと、データを記憶するROM(EEPROM等)又はRAMとを含むことができる。コントローラモジュール872は、信号の処理及び本明細書に記載の方法又はその部分の実行等の様々な動作を実行するように構成することができる。例えば、コントローラモジュールは、バイオマーカーパネルのうちの1つ又は複数のレベルに関するデータを処理するように構成することができる。遠隔測定インタフェース864又は通信回路も提供され、プログラマー装置又は患者管理システム等の外部ユニットと通信する。通信回路は、バイオマーカーパネルのうちの1つ又は複数のレベルに関するデータを受信するように構成することができる。
【0059】
コントローラモジュール872は、1つ又は複数の心室感知・ペーシングチャネルを含むことができ、このチャネルは、感知増幅器852と、出力回路854と、心室チャネルインタフェース850とを含み、心室チャネルインタフェース850は、マイクロプロセッサ848のポートと双方向的に通信する。さらに、いくつかの実施形態では、追加の要素を含み得る。心室感知・ペーシングチャネルは、刺激リード830及び電極834と通信することができる。
【0060】
コントローラモジュール872は、1つ又は複数の動脈感知・ペーシングチャネルを含むことができ、このチャネルは、感知増幅器858と、出力回路860と、動脈チャネルインタフェース856とを含み、動脈チャネルインタフェース856は、マイクロプロセッサ848のポートと双方向的に通信する。動脈感知・ペーシングチャネルは、刺激リード828及び電極832と通信することができる。チャネル毎に、同じリード及び電極を感知及びペーシングの両方に使用することができる。チャネルインタフェース850及び856は、アナログ/デジタル変換器を含み、感知増幅器及びレジスタからの感知信号入力をデジタル化することができ、レジスタには、パルスを出力し、ペーシングパルス振幅を変更し、感知増幅器の利得及び閾値を調整するようにマイクロプロセッサによって書き込むことができる。いくつかの実施形態では、
図6に示されるコントローラモジュール872の要素のうちのいくつかを省いてもよいことが理解されるだろう。
【0061】
ショックパルス生成器874をマイクロプロセッサにインタフェースすることもでき、それにより、別個の電極対876、878を介して除細動ショックを心臓に送る。いくつかの実施形態では、電極876及び878は、刺激リード830及び刺激リード828のそれぞれに沿って配置することができる。いくつかの実施形態では、これらの構成要素の1つ又は複数を省いてもよい。例として、移植可能な医療装置がペースメーカーである場合、ショックパルス生成器874が含まれないことがある。同様に、装置のタイプ及び構成に応じて、より多数又はより少数の電極及びチャネルを有し得る。
【0062】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」が、内容により明らかに別段のことが示される場合を除き、複数形を含むことに留意されたい。「or(又は)」という用語が一般に、内容により明らかに別段のことが示される場合を除き、「及び/又は」を含む意味で採用されることにも留意されたい。
【0063】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「構成される」という語句が、特定のタスクを実行するか、又は特定の構成を利用するように構築されるか、又は構成されるシステム、装置、又は他の構造体を記述することにも留意されたい。「構成される」という用語は、「配置される」、「配置され構成される」、「構築され配置される」、「構築される」、「製造され配置される」等の他の同様の語句と同義で使用することができる。
【0064】
様々な実施形態に関して本明細書に示され説明されるモジュール、回路、及び方法を、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組み合わせを使用して実施可能なことを当業者は理解するだろう。したがって、図示され、且つ/又は説明されるモジュール及び回路は、ソフトウェア実施、ハードウェア実施、及びソフトウェアとハードウェアとの実施を包含することが意図される。
【0065】
本明細書での全ての公開物及び特許出願は、本開示が関連する分野での通常技能のレベルを示す。全ての公開物及び特許出願は、まるで個々の各公開物又は特許出願が特に且つ個々に参照によって示されるかのような程度と同じ程度まで、参照により本明細書に援用される。
【0066】
本願は、本趣旨の適合又は変形の包含を意図する。上記説明が限定ではなく例示を意図されていることを理解されたい。本趣旨の範囲は、添付の特許請求の範囲と共に、そのような特許請求の範囲に与えられる均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。
【実施例】
【0067】
実施例1:心不全に関連するバイオマーカー
トライアルに登録した心不全を有する患者(n=764)から、ベースライン(CRT評価中であるが、CRT移植前)で、CRTが配置されてから3か月後、及び6か月後に前向き調査でプラズマを収集した。Ellenbogenら、Primary results from the SmartDelay determined AV optimization:a comparison to other AV delay methods used in cardiac resynchronization therapy(SMART−AV)trial.Circulation 2010;122:2660−2668参照。トライアルは、機能的反応として、CRT後6か月での15mlのLV収縮末期容量の低減という、予め指定された評価項目を確立し、この定義をこのバイオマーカープロファイリング研究で利用した。トライアルの初期目標は、CRT房室(A−V)遅延の3つの異なるモードを比較することであり、続くランダム化は、主要評価項目と比較的等しいことを示し、したがって、これらの患者を本解析に向けてプールした。
【0068】
特に、末梢静脈血サンプルを、米国及び欧州でのCRTの標準指標を満たす、心不全を有する患者から収集した。サンプルは、2つのエチレンジアミン四酢酸(EDTA、18mgパープルトップ)管(BD Vacutainer、366643)での標準静脈穿刺によって収集した。遠心分離を室温で10分間、高速(毎分3000回転以上(RPM)又は1300g以上(相対遠心力=RCF=g)であることが推奨される)で実行した。各血液サンプル管からのプラズマを2つの別個の、適宜ラベルされたポリプロピレン管に移した。プラズマを貯蔵冷凍庫に移すまで、氷上に保持した。遠心分離後、可能限りすぐにプラズマサンプルを凍結させた。次に、出荷まで、プラズマサンプルを−20°Cで貯蔵した。サンプルを、登録センターから72時間以内に分析施設に出荷した。
【0069】
抽出効率、検出閾値、及び対照非装置患者(n=25)でのばらつきのために、シグナリング、炎症、筋細胞/母型構造等の機能ドメインに広がった90のプラズマタンパク質候補。この後、SMART−AV患者サンプル(n=25/25、反応者/非反応者)の第2の部分集合での18のバイオマーカー候補の検証段階が続いた。例えば、アレイ(Millipore Cytokine Panel)を使用してIFN−γを解析し、アレイ(Millipore Cytokine Receptor Panel)を使用してsIL−2RA及びsTNF−RIIを解析し、アレイ(Millipore HCVD1 Panel)を使用してsVCAM−1を解析し、MMP Multiplex Array Panel(RnD Systems−Cat#LMP000)を使用してMMP−2(LMP902、RnD Systems)及びMMP−9(LMP911、RnD Systems)を解析し、TIMP Array Panel(Cat#LKT003、RnD Systems)を使用してTIMP−1を解析し、ELISAアッセイ(Cat#DCRP00、RnD Systems)を使用してCRPを解析し、ELISAアッセイ(Cat#04−BI−20852、ALPCO Immunoassays)を使用してBNPを解析し、ELISAアッセイ(Cat#DST200、RnD Systems)を使用してST2を解析した。
【0070】
ロジスティック回帰及び曲線下面積(AUC)を使用して、前向きに収集された全体的なサンプルセット(2200サンプル超)に対して、内部検証されたロボット支援の高感度マルチプレックスサスペンションアレイによって、最終的な1セット12のバイオマーカーを解析し、6か月で、独立したレビューを通して、338人の患者を反応者として定義し、376人を非反応者として定義した。
【0071】
12のバイオマーカーがいくつかのドメインを表した:炎症(C−反応タンパク質:CRP、可溶性糖タンパク質130:SGP−130、可溶性インターロイキン−2受容体:sIL−2R、可溶性腫瘍壊死因子受容体−II:sTNFR−II、インターフェロン−γ:IFNg)、生理活性(脳性ナトリウム利尿ペプチド:BNP、可溶性腫瘍形成能−2の抑圧遺伝子:sST2)、及びタンパク質分解性(マトリクスメタロプロテアーゼ−2及び−9:MMP−2/−9、MMPの組織阻害剤:TIMP−1、−2、−4)。sST2及びsTNFR−II(31219
±980対35435
±1120、及び8839
±497対9145
±281pg/ml、p<0.05のそれぞれ)等の、これらの前向きに収集されたバイオマーカーのいくつかの絶対値での有意差が、6か月での反応者及び非反応者として定義される患者間で、ベースラインで生じた。
【0072】
より重要なことに、多変量回帰モデルでの12全てのバイオマーカーのベースライン測定を含むことにより、6か月でのCRT反応の予測に関して有意なAUCがもたらされた(0.60、p<0.05)。加えて、有意で示差的なバイオマーカープロファイルが、CRTへの反応者と非反応者との間で、時間の関数として生じた(図)。例えば、CRTの3か月後に、BNP、MMP−2、TIMP−2、及びTIMP−4での有意で示差的な変化が、反応者/非反応者間で生じ(p<0.05)、3か月での12全てのバイオマーカーの多変量解析により、6か月反応が予測された(AUC=0.64、p<、0.05)。
図7は、12の選択されたバイオマーカーのCRT反応者対非反応者の3か月及び6か月でのベースラインからの絶対変化を示すグラフである。しかし、様々な実施形態では、相対変化を考慮してもよいことが理解されるだろう。
【0073】
この前向きに設計されるプラズマプロファイリング研究からの新しい独自の発見は、特定のバイオマーカーパネルが、装置に示されたHFを有する患者でのCRT反応を首尾良く予測することができること(NYHAクラスIII/IV、EF≦35%、QRS持続時間>120ms)並びにCRT後の機能的反応を監視するために利用されることである。しかし、本明細書での実施形態が、その特定の指標を有する患者に限定されないことが理解されるだろう。したがって、プラズマバイオマーカープロファイリングは、CRTに関してHFを有する患者を評価する際に予後ユーティリティを提供するとともに、CRT配置後の初期期間での機能的反応を監視する補助的な診断ツールを提供することができる。
【0074】
多変量ロジスティック回帰モデリングを実行して、肯定的反応者(ベースラインからの−15ml以下のLVESV(左心室収縮末期容量)の変化として定義される)対中立/否定的反応者(最初の6か月以内の死亡又は−15mlを超えるベースラインからのLVESVの変化として定義される)を評価した。最終的な多変量モデルに含まれる以下のバイオマーカー及び臨床共変量が、10分割交差検証法を使用して選択された:ST2(連続変数)、CRP(連続変数)、TIMP1(連続変数)、TIMP2(連続変数)、ベースラインでのLVESV(連続変数)、ベースラインでの年齢(連続変数)、性別(二進変数)、ベースラインでの収縮期血圧(連続変数)、ベースラインでのQRS(連続変数)、ベースラインでのPR間隔(連続変数)、ベースラインでの虚血性状態(二進変数)、ベースラインでのACE(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)/ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)の使用(二進変数)。最終的な共変量集合の交差検証を介して得られる曲線下面積(AUC)は0.731に等しく、全体のデータセットでのモデル近似によって得られたAUCは0.754に等しかった。
【0075】
多変量ロジスティック回帰モデリングを実行して、否定的な反応者(最初の6か月以内の死亡又は−20ml以上のベースラインからのLVESVの変化として定義される)対肯定的/中立反応者(ベースラインからの20ml未満のLVESVの変化として定義される)を評価した。最終的な多変量モデルに含まれる以下のバイオマーカー及び臨床共変量が、10分割交差検証法を使用して選択された:CRP(連続変数)、BNP(連続変数)、ベースラインでのLVESV(連続変数)、ベースラインでの年齢(連続変数)、性別(二進変数)、ベースラインでの収縮期血圧(連続変数)、ベースラインでの左脚ブロックの存在(二進変数)、ベースラインでの腎疾患(二進変数)、ベースラインでの虚血性状態(二進変数)、ベースラインでのベータ遮断薬の使用(二進変数)。最終的な共変量集合の交差検証を介して得られる曲線下面積(AUC)は0.676に等しく、全体のデータセットでのモデル近似によって得られたAUCは0.715に等しかった。
【0076】
多変量ロジスティック回帰モデリングを実行して、肯定的反応者(ベースラインからの−15ml以下のLVESVの変化として定義される)対否定的反応者(最初の6か月以内の死亡又は20ml以上のベースラインからのLVESVの変化として定義される)を評価した。最終的な多変量モデルに含まれる以下のバイオマーカー及び臨床共変量が、10分割交差検証法を使用して選択された:CRP(連続変数)、BNP(連続変数)、ベースラインでのLVESV(連続変数)、ベースラインでの年齢(連続変数)、性別(二進変数)、ベースラインでの収縮期血圧(連続変数)、ベースラインでのQRS持続時間(連続変数)、ベースラインでのPR間隔(連続変数)、ベースラインでの虚血性状態(二進変数)、ベースラインでのベータ遮断薬の使用(二進変数)、ベースラインでのACE/ARBの使用(二進変数)。最終的な共変量集合の交差検証を介して得られる曲線下面積(AUC)は0.739に等しく、全体のデータセットでのモデル近似によって得られたAUCは0.765に等しかった。
【0077】
多変量ロジスティック回帰モデリングを実行して、3つのレベル結果として反応を評価した:肯定的反応者(ベースラインからの−15ml以下のLVESVの変化として定義される)、中立反応者(ベースラインからの−15mlを超え、且つ20ml未満のLVESVの変化として定義される)、及び否定的反応者(最初の6か月以内の死亡又はベースラインからの20ml以上のLVESVの変化として定義される)。最終的な多変量モデルに含まれる以下のバイオマーカー及び臨床共変量が、10分割交差検証法を使用して選択された:BNP(連続変数)、CRP(連続変数)、TNFR−II(連続変数)、ベースラインでのLVESV(連続変数)、ベースラインでの年齢(連続変数)、性別(二進変数)、ベースラインでの収縮期血圧(連続変数)、ベースラインでのQRS持続時間(連続変数)、ベースラインでの左脚ブロックの存在(二進変数)、ベースラインでの虚血性状態(二進変数)、ベースラインでの腎疾患(二進変数)。最終的な共変量集合の交差検証を介して得られる曲線下面積(AUC)は0.681に等しく、全体のデータセットでのモデル近似によって得られたAUCは0.696に等しかった。