(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5951821
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】エレベータのドア装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/30 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
B66B13/30 F
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-31706(P2015-31706)
(22)【出願日】2015年2月20日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】葛 武志
【審査官】
大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−131314(JP,A)
【文献】
特開2003−252557(JP,A)
【文献】
実開平04−014273(JP,U)
【文献】
特開平09−086843(JP,A)
【文献】
実開平04−107771(JP,U)
【文献】
実開昭61−176179(JP,U)
【文献】
実開昭64−012070(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置されるエレベータのドア装置において、
下端部側に被取付部材を有し、前記エレベータ乗り場の出入口又は前記乗りかごの出入口を開閉するドアパネルと、
前記ドアパネルの下方に設けられ、上面に前記ドアパネルの開閉方向へ延びたシル溝が形成されたシルと、
前記ドアパネルの前記被取付部材に設けられ、前記ドアパネルの下端部を前記開閉方向へ案内するガイドシューと、を具備し、
前記ガイドシューは、
前記ドアパネルの前記被取付部材に取付具によって取付可能であって、前記シル溝の溝幅方向へ延びかつ前記取付具を挿通させるための長穴が形成され、上下方向へ延びかつ前記開閉方向に離隔した棒状の一対のシュー支持部材を有し、各シュー支持部材がその軸周り回転調節可能に構成されたシュー取付部材と、
各シュー支持部材の下端部の少なくとも片側に設けられ、前記シル溝内に前記開閉方向へ摺動可能に嵌合し、前記シル溝の壁面に平行に対向可能な側面を有したシュー本体と、を備え、
前記シュー取付部材は、前記ドアパネルの前記被取付部材に固定する前、前記長穴と前記取付具との間における前記長穴の短手方向の隙間を利用して、前記溝幅方向へ移動しつつ水平方向へ揺動可能に構成されていることを特徴とするエレベータのドア装置。
【請求項2】
エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置されるエレベータのドア装置において、
下端部側に被取付部材を有し、前記エレベータ乗り場の出入口又は前記乗りかごの出入口を開閉するドアパネルと、
前記ドアパネルの下方に設けられ、上面に前記ドアパネルの開閉方向へ延びたシル溝が形成されたシルと、
前記ドアパネルの前記被取付部材に設けられ、前記ドアパネルの下端部を前記開閉方向へ案内するガイドシューと、を具備し、
前記ガイドシューは、
前記ドアパネルの前記被取付部材に取付具によって取付可能であって、前記取付具を挿通させるための丸穴が形成され、上下方向へ延びかつ前記開閉方向に離隔した棒状の一対のシュー支持部材を有し、各シュー支持部材がその軸周り回転調節可能に構成されたシュー取付部材と、
各シュー支持部材の下端部の少なくとも片側に設けられ、前記シル溝内に前記開閉方向へ摺動可能に嵌合し、前記シル溝の壁面に平行に対向可能な側面を有したシュー本体と、を備え、
前記シュー取付部材は、前記ドアパネルの前記被取付部材に固定する前、前記丸穴と前記取付具との間における前記丸穴の径方向の隙間を利用して、前記シル溝の溝幅方向へ移動しつつ前記取付具の周りを回転可能に構成されていることを特徴とするエレベータのドア装置。
【請求項3】
各シュー支持部材の下端部の両側に、前記シュー本体が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータのドア装置。
【請求項4】
エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置されるエレベータのドア装置において、
下端部側に被取付部材を有し、前記エレベータ乗り場の出入口又は前記乗りかごの出入口を開閉するドアパネルと、
前記ドアパネルの下方に設けられ、上面に前記ドアパネルの開閉方向へ延びたシル溝が形成されたシルと、
前記ドアパネルの前記被取付部材に設けられ、前記ドアパネルの下端部を前記開閉方向へ案内するガイドシューと、を具備し、
前記ガイドシューは、
前記ドアパネルの前記被取付部材に取付具によって取付可能であって、前記シル溝の溝幅方向へ延びかつ前記取付具を挿通させるための長穴が形成され、上下方向へ延びたシュー支持部を有したシュー取付部材と、
前記シュー支持部の下端部に設けられ、前記シル溝内に前記開閉方向へ摺動可能に嵌合したシュー本体と、を備え、
前記シュー取付部材は、前記ドアパネルの前記被取付部材に固定する前、前記長穴と前記取付具との間における前記長穴の短手方向の隙間を利用して、前記溝幅方向へ移動しつつ水平方向へ揺動可能に構成され、
前記ドアパネルの前記被取付部材の被取付面は、水平方向に対して傾斜しており、前記ドアパネルの前記被取付部材に、前記開閉方向へ延びたガイド長穴が形成され、前記シュー取付部材の取付面は、水平方向に対して傾斜しており、前記取付具は、前記ガイド長穴に前記開閉方向へ移動可能に支持されていることを特徴とするエレベータのドア装置。
【請求項5】
エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置されるエレベータのドア装置において、
下端部側に被取付部材を有し、前記エレベータ乗り場の出入口又は前記乗りかごの出入口を開閉するドアパネルと、
前記ドアパネルの下方に設けられ、上面に前記ドアパネルの開閉方向へ延びたシル溝が形成されたシルと、
前記ドアパネルの前記被取付部材に設けられ、前記ドアパネルの下端部を前記開閉方向へ案内するガイドシューと、を具備し、
前記ガイドシューは、
前記ドアパネルの前記被取付部材に取付具によって取付可能であって、前記取付具を挿通させるための丸穴が形成され、上下方向へ延びたシュー支持部を有したシュー取付部材と、
前記シュー支持部の下端部に設けられ、前記シル溝内に前記開閉方向へ摺動可能に嵌合したシュー本体と、を備え、
前記シュー取付部材は、前記ドアパネルの前記被取付部材に固定する前、前記丸穴と前記取付具との間における前記丸穴の径方向の隙間を利用して、前記シル溝の溝幅方向へ移動しつつ前記取付具の周りを回転可能に構成され、
前記ドアパネルの前記被取付部材の被取付面は、水平方向に対して傾斜しており、前記ドアパネルの前記被取付部材に、前記開閉方向へ延びたガイド長穴が形成され、前記シュー取付部材の取付面は、水平方向に対して傾斜しており、前記取付具は、前記ガイド長穴に前記開閉方向へ移動可能に支持されていることを特徴とするエレベータのドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータのドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのドア装置は、建屋の各階のエレベータ乗り場の出入口に設置されるホールドア装置と、建屋の昇降路内を昇降する乗りかごの出入口に設置されるかごドア装置とから成る。乗りかごが所定の階のエレベータ乗り場に着床すると、着床階のホールドア装置とかごドア装置とが互いに連動して開くことにより、エレベータ乗り場と乗りかごとの間で乗客の乗り降りが可能になる。
【0003】
エレベータのドア装置は、エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に固定されたドアレールと、ドアレールに懸架されたドアパネルと、ドアパネルの下方に設けられ、上面にドアパネルの開閉方向(ドアパネルのドア幅方向)へ延びたシル溝が形成されたシルとから概略構成されている。
【0004】
また、ドアパネルの下端部には、ドアを開閉方向へ案内する複数のガイドシューが開閉方向に間隔を置いて設けられている。各ガイドシューは、ドアパネルの下端部に設けられた被取付部材に止めネジ等の取付具によって取り付けられている。
【0005】
ところで、例えば、既設のシルを利用しながらエレベータのドア装置をリニューアルする場合には、ガイドシューのガタツキ音の発生等を防止するために、シュー本体の嵌合幅(シュー本体における嵌合する部分のシル溝の溝幅方向の長さ)の寸法をシル溝の溝幅の寸法に応じた寸法にして、シュー本体をシル溝内に適切に嵌合させる必要がある。一方、シル溝の溝幅の寸法は様々であり、シル溝の溝幅の寸法に応じた寸法の嵌合幅のシュー本体を作製しようとすると、エレベータのドア装置のリニューアルコストが増大する。
【0006】
そこで、エレベータのドア装置のリニューアルコストの低減を図るために、シュー本体の嵌合幅を調節可能なエレベータのドア装置が開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−244155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のエレベータのドア装置においては、一対のシュー取付部材を備える他に、一対のシュー取付部材の間に一対の楔部材を介在させる等、ガイドシューの部品点数が増加して、エレベータのドア装置の構成が複雑化するという問題がある。また、シュー本体の嵌合幅の調節作業に多くの時間を要するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、ガイドシューの部品点数の増加を抑えつつ、シュー本体の嵌合幅を簡単に調節することができる、新規な構成のエレベータのドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の実施形態は、エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置されるエレベータのドア装置において、下端部側に被取付部材を有し、前記エレベータ乗り場の出入口又は前記乗りかごの出入口を開閉するドアパネルと、前記ドアパネルの下方に設けられ、上面に前記ドアパネルの開閉方向へ延びたシル溝が形成されたシルと、前記ドアパネルの前記被取付部材に設けられ、前記ドアパネルの下端部を前記開閉方向へ案内するガイドシューと、を具備し、前記ガイドシューは、前記ドアパネルの前記被取付部材に取付具によって取付可能であって、前記シル溝の溝幅方向へ延びかつ前記取付具を挿通させるための長穴が形成され、上下方向へ延び
かつ前記開閉方向に離隔した棒状の一対のシュー支持部材を有し
、各シュー支持部材がその軸周り回転調節可能に構成されたシュー取付部材と、
各シュー支持部材の下端部の少なくとも片側に設けられ、前記シル溝内に前記開閉方向へ摺動可能に嵌合し
、前記シル溝の壁面に平行に対向可能な側面を有したシュー本体と、を備え、前記シュー取付部材は、前記ドアパネルの前記被取付部材に固定する前、前記長穴と前記取付具との間における前記長穴の短手方向の隙間を利用して、前記溝幅方向へ移動しつつ水平方向へ揺動可能に構成されていることを特徴としている。
【0011】
本発明の他の実施形態は、エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置されるエレベータのドア装置において、下端部側に被取付部材を有し、前記エレベータ乗り場の出入口又は前記乗りかごの出入口を開閉するドアパネルと、前記ドアパネルの下方に設けられ、上面に前記ドアパネルの開閉方向へ延びたシル溝が形成されたシルと、前記ドアパネルの前記被取付部材に設けられ、前記ドアパネルの下端部を前記開閉方向へ案内するガイドシューと、を具備し、前記ガイドシューは、前記ドアパネルの前記被取付部材に取付具によって取付可能であって、前記取付具を挿通させるための丸穴が形成され、上下方向へ延び
かつ前記開閉方向に離隔した棒状の一対のシュー支持部材を有し
、各シュー支持部材がその軸周り回転調節可能に構成されたシュー取付部材と、
各シュー支持部材の下端部の少なくとも片側に設けられ、前記シル溝内に前記開閉方向へ摺動可能に嵌合し
、前記シル溝の壁面に平行に対向可能な側面を有したシュー本体と、を備え、前記シュー取付部材は、前記ドアパネルの前記被取付部材に固定する前、前記
丸穴と前記取付具との間における前記丸穴の径方向の隙間を利用して、前記シル溝の溝幅方向へ移動しつつ前記取付具の周りを回転可能に構成されていることを特徴としている。
【0012】
ここで、「エレベータのドア装置」とは、エレベータ乗り場の出入口に設置されるホールドア装置、及び乗りかごの出入口に設置されるかごドア装置を含む意である。「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたことを含む意である。「取付具」とは、止めネジ、取付ボルト、及びリベット等を含む意である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1に係るエレベータのドア装置の一部の斜視図。
【
図2】本発明の実施形態1に係るエレベータのドア装置の一部の側断面図。
【
図3】(a)(b)は
図2におけるI-I線に沿った断面図、(a)はシュー本体の嵌合幅を最小の嵌合幅に調節した場合、(b)はシュー本体の嵌合幅を最大の嵌合幅に調節した場合を示す。
【
図4】本発明の実施形態2に係るエレベータのドア装置の一部の側断面図。
【
図5】(a)(b)は
図4におけるII-II線に沿った断面図、(a)はシュー本体の嵌合幅を最小の嵌合幅に調節した場合、(b)はシュー本体の嵌合幅を最大の嵌合幅に調節した場合を示す。
【
図6】本発明の実施形態3に係るエレベータのドア装置の一部の側断面図。
【
図7】(a)(b)は
図6におけるIII-III線に沿った断面図、(a)はシュー本体の嵌合幅を最小の嵌合幅に調節した場合、(b)はシュー本体の嵌合幅を最大の嵌合幅に調節した場合を示す。
【
図8】本発明の実施形態4に係るエレベータのドア装置の一部の側断面図。
【
図9】(a)(b)は
図8におけるIV-IV線に沿った断面図、(a)はシュー本体の嵌合幅を最小の嵌合幅に調節した場合、(b)はシュー本体の嵌合幅を最大の嵌合幅に調節した場合を示す。
【
図10】本発明の実施形態5に係るエレベータのドア装置の一部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明の実施形態1>
(エレベータのドア装置10の構成)
図1から
図3(a)に示すように、本発明の実施形態1に係るエレベータのドア装置10は、エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置される。
【0015】
エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に固定されたドアレール(図示省略)には、エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口を開閉するドアパネル12が懸架されている。また、ドアパネル12は、その下端部側に、ドアパネル12の開閉方向(ドアパネル12のドア幅方向)である左右方向へ延びた被取付部材(相手側取付部)14を一体的に有しており、この被取付部材14の被取付面(上面)14aは、水平方向に対して平行になっている。
【0016】
ドアパネル12の下方には、左右方向(開閉方向)へ延びたシル16がドアパネル12に上下に対向して設けられている。また、シル16の上面には、左右方向へ延びた矩形断面のシル溝18が形成されている。なお、シル溝18の断面形状を矩形形状にする代わりに、例えば逆T字形状等の矩形形状以外の形状に変更しても構わない。
【0017】
ドアパネル12の一部である被取付部材14(被取付部材14の被取付面14a)には、ドアパネル12の下端部を左右方向へ案内する複数(1つのみ図示)のガイドシュー20が左右方向に間隔を置いて設けられている。各ガイドシュー20の具体的な構成は、次のようになる。
【0018】
図2及び
図3(a)(b)に示すように、各ガイドシュー20は、被取付部材14の被取付面14aに一対の止めネジ22(取付具の一例)によって取付可能(固定可能)な断面L型のシュー取付部材24を備えている。このシュー取付部材24の取付面(下面)24aは、水平方向に対して平行になっている。また、シュー取付部材24には、対応する止めネジ22をそれぞれ挿通させるための一対の長穴26が左右方向に離隔して形成されている。各長穴26は、シル溝18の溝幅方向(ドアパネル12のドア奥行方向)である前後方向へ平行に延びている。更に、シュー取付部材24は、その先端側に、上下方向(鉛直方向)へ延びた板状のシュー支持部材28を一体的に有している。ここで、各止めネジ22は、シュー取付部材24を貫通し、被取付部材14の下面に固定した固定ナット30に螺合してある。なお、一対の長穴26が平行でかつ各長穴26が前後方向(溝幅方向)へ延びていれば、各長穴26が前後方向に対して傾斜していても構わない。
【0019】
シュー支持部材28の下端部には、左右方向(開閉方向)へ延びたシュー本体(スライド部材)32が設けられており、このシュー本体32は、シル溝18内に左右方向へ摺動可能に嵌合している。また、シュー本体32の一方の側面32aは、シル溝18の一方の壁面18aに摺接可能であって、シュー本体32の他方の側面32bは、シル溝18の他方の壁面18bに摺接可能である。シュー本体32の外側部分(側面32a,32bを含む部分)は、フッ素樹脂等の摺動材からなっている。
【0020】
各長穴26と対応する止めネジ22との間における長穴26の短手方向の隙間(隙間の寸法)は、シュー取付部材24を被取付部材14に固定する前に、各ガイドシュー20が前後方向(溝幅方向)へ移動しながら水平方向へ揺動できるように設定されている。換言すれば、各ガイドシュー20は、シュー取付部材24を被取付部材14に固定する前に、各長穴26と対応する止めネジ22との間における長穴26の短手方向の隙間(クリアランス)を利用して、前後方向へ移動しながら水平方向へ揺動できるように構成されている(特有の構成1)。
【0021】
(作用及び効果)
続いて、本発明の実施形態1の作用及び効果について説明する。
【0022】
各シュー取付部材24を被取付部材14に固定する前に、各止めネジ22を緩めた状態で、各長穴26と対応する止めネジ22との間における長穴26の短手方向の隙間を利用して、各ガイドシュー20を前後方向へ移動させながら水平方向へ揺動させる。そして、各シュー取付部材24の姿勢を保った状態で、各止めネジ22を締め付けて、各シュー取付部材24を被取付部材14に固定する。これにより、シュー本体32の嵌合幅を最小の嵌合幅(
図3(a)参照)と最大の嵌合幅(
図3(b)参照)との範囲内で調節することができる。
【0023】
つまり、各ガイドシュー20が前述の特有の構成1を有しているため、ガイドシュー20の部品点数の増加を抑えつつ、シュー本体32の嵌合幅を簡単に調整することができる。よって、本発明の実施形態1によれば、エレベータのドア装置10の構成の簡略化を図りつつ、シュー本体32の嵌合幅の調節作業を短時間で行うことができる。
【0024】
<実施形態2>
本発明の実施形態2について
図4及び
図5を参照して説明する。
【0025】
(エレベータのドア装置34の構成)
図4及び
図5に示すように、本発明の実施形態2に係るエレベータのドア装置34は、エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置されるものであって、一部を除き、本発明の実施形態1に係るエレベータのドア装置10(
図2参照)と同様の構成を有している。以下、エレベータのドア装置34の構成のうち、エレベータのドア装置10と異なる部分の構成についてのみ説明する。なお、エレベータのドア装置34における複数の構成要素のうち、エレベータのドア装置10における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
【0026】
シュー取付部材24が被取付部材14に一対の止めネジ22(
図2参照)によって取付可能に構成する代わりに、1つの止めネジ22によって取付可能になっている。また、シュー取付部材24に一対の長穴26(
図3(a)参照)が形成される代わりに、シュー取付部材24の中央部には、止めネジ22を挿通させるための丸穴36が形成されている。
【0027】
各ガイドシュー20が前述の特有の構成1を有する代わりに、丸穴36と止めネジ22との間における丸穴36の径方向の隙間(隙間の寸法)は、シュー取付部材24を被取付部材14に固定する前に、各ガイドシュー20が前後方向(溝幅方向)へ移動しながら止めネジ22の周りを回転できるように設定されている。換言すれば、各ガイドシュー20は、シュー取付部材24を被取付部材14に固定する前に、丸穴36と止めネジ22との間における丸穴36の径方向の隙間(クリアランス)を利用して、前後方向へ移動しながら止めネジ22の周りを回転できるように構成されている(特有の構成2)。
【0028】
(作用及び効果)
従って、本発明の実施形態2においては、各シュー取付部材24を被取付部材14に固定する前に、止めネジ22を緩めた状態で、丸穴36と止めネジ22との間における丸穴36の径方向の隙間を利用して、各ガイドシュー20を前後方向へ移動させながら止めネジ22の周りを回転させる。そして、各シュー取付部材24の姿勢を保った状態で、各止めネジ22を締め付けて、各シュー取付部材24を被取付部材14に固定する。これにより、シュー本体32の嵌合幅を最小の嵌合幅(
図5(a)参照)と最大の嵌合幅(
図6(b)参照)との範囲内で調節することができる。
【0029】
つまり、各ガイドシュー20が前述の特有の構成2を有しているため、ガイドシュー20の部品点数の増加を抑えつつ、シュー本体32の嵌合幅を簡単に調整することができる。よって、本発明の実施形態2によれば、本発明の実施形態1と同様の効果を奏する。
【0030】
<実施形態3>
本発明の実施形態3について
図6及び
図7を参照して説明する。
【0031】
(エレベータのドア装置38の構成)
図6及び
図7に示すように、本発明の実施形態3に係るエレベータのドア装置38は、エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置されるものであって、一部を除き、本発明の実施形態1に係るエレベータのドア装置10(
図2参照)と同様の構成を有している。以下、エレベータのドア装置38の構成のうち、エレベータのドア装置10と異なる部分の構成についてのみ説明する。なお、エレベータのドア装置38における複数の構成要素のうち、エレベータのドア装置10における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
【0032】
シュー取付部材24がその先端側にシュー支持部材28(
図2参照)を一体的に有する代わりに、上下方向(鉛直方向)へ延びかつ前後方向に離隔した棒状の一対のシュー支持部材40を有している。また、各シュー支持部材40は、調節ナット42の回転操作によって各シュー支持部材40の軸周りに回転調節可能に構成されている。
【0033】
シュー支持部材28の下端部にシュー本体32(
図2参照)が設けられる代わりに、各シュー支持部材40の下端部の片側には、左右方向(溝幅方向)へ延びたシュー本体(スライド部材)44が設けられており、各シュー本体44は、シル溝18内に左右方向へ摺動可能に嵌合している。また、一方のシュー本体44の側面44aは、シル溝18の一方の壁面18aに摺接可能であって、他方のシュー本体44の側面44aは、シル溝18の他方の壁面18bに摺接可能である。各シュー本体44の外側部分(側面44aを含む部分)は、フッ素樹脂等の摺動材からなっている。
【0034】
(作用及び効果)
従って、本発明の実施形態3においては、各シュー取付部材24を被取付部材14に固定する前に、各止めネジ22を緩めた状態で、各ガイドシュー20を前後方向へ移動させながら水平方向へ揺動させる。そして、各シュー取付部材24の姿勢を保った状態で、各止めネジ22を締め付けて、各シュー取付部材24を被取付部材14に固定する。更に、各シュー支持部材40をその軸回りに回転調節することにより、一方のシュー本体44の側面44a、他方のシュー本体44の側面44bを、シル溝18の一方の壁面18a、他方の壁面18bにそれぞれ平行に対向させる。これにより、シュー本体44(一対のシュー本体44)の嵌合幅を最小の嵌合幅(
図7(a)参照)と最大の嵌合幅(
図7(b)参照)との範囲内で調節することができる。
【0035】
本発明の実施形態3によれば、本発明の実施形態1と同様の効果を奏する他に、一方のシュー本体44の側面44a、他方のシュー本体44の側面44bを、シル溝18の一方の壁面18a、他方の壁面18bにそれぞれ平行に対向させているため、一方のシュー本体44の側面44aとシル溝18の一方の壁面18aとの接触面積、及び他方のシュー本体44の側面44bとシル溝18の他方の壁面18bとの接触面積を十分に確保して、シュー本体44の摩耗を低減して、シュー本体44の寿命を延ばすことができる。
【0036】
なお、エレベータのドア装置38に本発明の実施形態2の構成を適用しても構わない。
【0037】
<実施形態4>
本発明の実施形態4について
図8及び
図9を参照して説明する。
【0038】
(エレベータのドア装置46の構成)
図8及び
図9に示すように、本発明の実施形態4に係るエレベータのドア装置46は、エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置されるものであって、一部を除き、本発明の実施形態3に係るエレベータのドア装置38(
図6及び
図7参照)と同様の構成を有している。以下、エレベータのドア装置46の構成のうち、エレベータのドア装置38と異なる部分の構成についてのみ説明する。なお、エレベータのドア装置46における複数の構成要素のうち、エレベータのドア装置38における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
【0039】
各シュー支持部材40の下端部の片側だけでなく、各シュー支持部材40の下端部の両側に亘ってシュー本体44が設けられている。
【0040】
(作用及び効果)
従って、本発明の実施形態4においては、本発明の実施形態3と同様に、一方のシュー本体44の側面44a、他方のシュー本体44の側面44bを、シル溝18の一方の壁面18a、他方の壁面18bにそれぞれ平行に対向させた状態で、シュー本体44(一対のシュー本体44)の嵌合幅を最小の嵌合幅(
図9(a)参照)と最大の嵌合幅(
図9(b)参照)との範囲内で調節することができる。
【0041】
また、いずれかのシュー本体44の片方の側面44aの摩耗量が大きくなった場合には、対応するシュー支持部材40をその軸回りに回転調節することにより、いずれかのシュー本体44の摩耗していない方の側面44aをシル溝18の一方の壁面18a又は他方の壁面18bに平行に対向させる。
【0042】
本発明の実施形態4によれば、本発明の実施形態3と同様の効果を奏する他に、いずれかのシュー本体44の片方の側面44aの摩耗量が大きくなった場合には、いずれかのシュー本体44のもう片方の側面44aをシル溝18の一方の壁面18a又は他方の壁面18bに平行に対向させているため、シュー本体44全体を有効利用して、シュー本体44の寿命を更に延ばすことができる。
【0043】
なお、エレベータのドア装置46に本発明の実施形態2の構成を適用しても構わない。
【0044】
<実施形態5>
本発明の実施形態5について
図10を参照して説明する。
【0045】
(エレベータのドア装置48の構成)
図10に示すように、本発明の実施形態5に係るエレベータのドア装置48は、エレベータ乗り場の出入口又は乗りかごの出入口に設置されるものであって、一部を除き、本発明の実施形態1に係るエレベータのドア装置10(
図2参照)と同様の構成を有している。以下、エレベータのドア装置48の構成のうち、エレベータのドア装置10と異なる部分の構成についてのみ説明する。なお、エレベータのドア装置48における複数の構成要素のうち、エレベータのドア装置10における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
【0046】
ドアパネル12がその下端部側に被取付部材14(
図2参照)を一体的に有する代わりに、左右方向(開閉方向)に離隔した一対(1つのみ図示)の被取付部材50を一体的に有しており、各被取付部材50の被取付面(下面)50aは、水平方向に対して傾斜している。また、各被取付部材50には、左右方向(開閉方向)へ延びた一対のガイド長穴52が形成されている。
【0047】
被取付部材14に複数のガイドシュー20が設けられる代わりに、各被取付部材50にガイドシュー20が設けられている。また、シュー取付部材24の取付面24a(
図2参照)が水平方向に対して平行に構成する代わりに、シュー取付部材24の取付面(上面)24bは、水平方向に対して傾斜している。更に、シュー取付部材24が一対の止めネジ22(
図2参照)によって被取付部材14の被取付面14aに取付可能に構成する代わりに、一対の取付ボルト54によって被取付部材50の被取付面50aに取付可能になっている。各取付ボルト54は、対応するガイド長穴52に左右方向へ移動可能に支持されており、各取付ボルト54には、締結ナット56が螺合してある。
【0048】
(作用及び効果)
従って、本発明の実施形態5においては、本発明の実施形態1と同様の作用を奏する他に、各シュー取付部材24を対応する被取付部材50に固定する前に、各取付ボルト54を緩めた状態で、各シュー取付部材24を対応する被取付部材50の被取付面50aに沿って左右方向へ移動させて、各シュー本体32を上下方向へ変位(移動)させる。そして、各シュー取付部材24の姿勢を保った状態で、各取付ボルト54を締め付けて、各シュー取付部材24を対応する被取付部材50に固定する。これにより、シュー本体32における上下方向の位置、換言すれば、シル溝18の溝深さ方向の位置を調節することができる。
【0049】
本発明の実施形態5によれば、本発明の実施形態1と同様の効果を奏する他に、シュー本体32における溝深さ方向の位置を調節できるため、シュー本体32を溝深さの異なる種々のシル溝18内に適切に嵌合させることができ、エレベータのドア装置48の汎用性(利用価値)を高めることができる。
【0050】
なお、エレベータのドア装置48に本発明の実施形態2から本発明の実施形態4の構成を適用しても構わない。
【0051】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
10:ドア装置、12:ドアパネル、14:被取付部材、14a:被取付面、16:シル、18:シル溝、18a:一方の壁面、18b:他方の壁面、20:ガイドシュー、22:止めネジ(取付具)、24:シュー取付部材、24a:取付面、24b:取付面、26:長穴、28:シュー支持部材、30:固定ナット、32:シュー本体、32a:一方の側面、32b:他方の側面、34:ドア装置、36:丸穴、38:ドア装置、40:シュー支持部材、42:調節ナット、44:シュー本体、44a:側面、46:ドア装置、48:ドア装置、50:被取付部材、50a:被取付面、52:ガイド長穴、54:取付ボルト、56:締結ナット
【要約】
【課題】 エレベータのドア装置10の構成の簡略化を図りつつ、シュー本体32の嵌合幅の調節作業を短時間で行うこと。
【解決手段】 ガイドシュー20は、ドアパネル12の被取付部材14に止めネジ22によって取付可能でかつ長穴26が形成されかつ上下方向へ延びたシュー支持部材28を有したシュー取付部材24と、シュー支持部材28の下端部に設けられかつ開閉方向へ摺動可能に嵌合したシュー本体32と、を備え、シュー取付部材24をドアパネル12の被取付部材14に固定する前に、長穴26と止めネジ22との間における長穴26の短手方向の隙間を利用して、溝幅方向へ移動しながら水平方向へ揺動できるように構成されている。
【選択図】
図3