(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951824
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】台間機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
A63F7/02 352N
A63F7/02 324Z
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-35242(P2015-35242)
(22)【出願日】2015年2月25日
(62)【分割の表示】特願2010-185959(P2010-185959)の分割
【原出願日】2010年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-128632(P2015-128632A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】大竹 裕
(72)【発明者】
【氏名】吉野 智昭
【審査官】
足立 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−173711(JP,A)
【文献】
特開平10−249047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台間機の玉通路に設けられたシャッター装置において、該シャッター装置を前記玉通路の底板に玉の通過が可能に形成されたストッパの出没透孔と、このストッパの出没透孔より前記玉通路内へ突出して玉の通過を阻止する、該玉通路の下流側が玉通路内へ突出する遊端部となるように前記台間機のケース体に枢支ピンで枢支され、かつ底面に下方へ突出する突片を有するストッパと、このストッパの突片と当接し、該ストッパを前記玉通路内へ突出させることができるカム面を備えるとともに、常時、突出させる方向に付勢スプリングで付勢され、かつ前記ケース体にスライド移動可能に取付けられた板カムと、前記ストッパを異常を検出したときに前記玉通路内へ突出させるように前記板カムに当接するスクリュー軸を介してスライド移動させる、前記ケース体に取付けられたスクリューモータあるいはステッピングモータとで構成したことを特徴とする台間機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパチンコ機間に設置され、パチンコ玉を貸し出すため等の処理をする台間機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の台間機は故障した場合等に玉通路を遮断するソレノイドを用いたシャッター装置を使用していた。
このため、ソレノイドが大きく、小スペース設計ができないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−156033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、故障等の異常を検出したときに確実にストッパを作動させることができ、小スペース設計が可能で、かつ制御が容易なモータを使用するシャッター装置を備えた台間機を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は台間機の玉通路に設けられたシャッター装置において、該シャッター装置を前記玉通路の底板に玉の通過が可能に形成されたストッパの出没透孔と、このストッパの出没透孔より前記玉通路内へ突出して玉の通過を阻止する、該玉通路の下流側が玉通路内へ突出する遊端部となるように前記台間機のケース体に枢支ピンで枢支され、かつ底面に下方へ突出する突片を有するストッパと、このストッパの突片と当接し、該ストッパを前記玉通路内へ突出させることができるカム面を備えるとともに、常時、突出させる方向に付勢スプリングで付勢され、かつ前記ケース体にスライド移動可能に取付けられた板カムと、前記ストッパ
を異常を検出したときに前記玉通路内へ突出させるように前記板カムに当接するスクリュー軸を介してスライド移動させる、前記ケース体に取付けられたスクリューモータあるいはステッピングモータとで台間機を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、異常を検出したときにスクリューモータあるいはステッピングモータで、板カムをスライド移動させてストッパを玉通路内へ突出させて、玉の玉通路の通過を確実に阻止することができる。
したがって、玉の通過を阻止する時にだけモータが駆動するため、消費電力が小さく、経済的に使用することができる。
(2)前記(1) によって、スクリューモータあるいはステッピングモータを使用するので、従来のソレノイドを用いるものに比べ、小型コンパクト化を図ることができるとともに、DCモータ等で動かそうとするとメカストッパーに突き当て、ある程度余分に動かし続けるか、フォトセンサ等を設けて位置制御しなければ正確な制御ができないのに比べ、制御が容易なモータを使用することができる。
(3)前記(1) により、板カムを、ストッパを玉通路内へ突出するように付勢スプリングで付勢された板カムを用いているので、閉鎖途中で玉がストッパに挟まった時、後続の玉圧によって抜けてしまっても、次の玉が通過するよりも付勢スプリングの付勢力によるストッパの戻ろうとする速さのほうが速く、ストッパを正規の位置にでき、遊技者の被害を最小限に止めることができる。
すなわち、モータでストッパを動かそうとすると、ストッパが上がってくるタイミングで玉が転がってきて狭まると脱調する可能性がある。また、その場所が玉圧を抑えられる定位置でない場合、後続の玉が流れてしまう可能性がある。その点、付勢スプリングを用いるものであれば、途中で挟まってもモータはそのまま定位置まで動き続けるため脱調の可能性が減る。
(4)前記(1)により、スクリューモータあるいはステッピングモータのスクリュー軸を板カムに当接するように設けているので、玉通路内へ突出したストッパに遊技球が挟まるなど、ストッパを押し戻す方向に力が作用したときには、前記スクリューモータあるいはステッピングモータと前記板カムとの係合が外れ、該スクリューモータあるいはステッピングモータの動作とは無関係に該板カムを前記付勢スプリングの付勢力に抗してスライド移動させることができる。
(5)前記(1)により、開放する時、モータが板カムを押す方向と玉の圧力ベクトルが同じ方向に働くため、モータへの負荷を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【
図2】本発明を実施するための第1の形態の側面図。
【
図3】本発明を実施するための第1の形態の要部正面図。
【
図4】本発明を実施するための第1の形態の要部平面図。
【
図5】本発明を実施するための第1の形態のストッパの説明図。
【
図6】本発明を実施するための第1の形態の板カムの説明図。
【
図7】本発明を実施するための第1の形態の玉通路を閉鎖した状態の要部正面図。
【
図8】本発明を実施するための第1の形態の玉通路を閉鎖した状態の要部平面図。
【
図9】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【
図10】本発明を実施するための第2の形態の要部正面図。
【
図11】本発明を実施するための第2の形態の要部平面図。
【
図12】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
【
図13】本発明を実施するための第3の形態の要部正面図。
【
図14】本発明を実施するための第3の形態の要部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0010】
図1ないし
図8に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は例えばパチンコ機2、2間に設置され、パチンコ玉を貸し出しするため等の処理を行なう台間機で、この台間機1の傾斜面に形成された玉通路3には、該玉通路3を開閉するシャッター装置4が設けられている。
【0011】
このシャッター装置4は前記傾斜面に形成された玉通路3の底板3aに玉の通過が可能に形成されたストッパの出没透孔5と、このストッパの出没透孔5より前記玉通路3内へ突出して玉6の通過を阻止する、該玉通路3の下流側が玉通路3内へ突出する遊端部となるように前記台間機1のケース体7に枢支ピン8で枢支された底面に下方へ突出する突片9を有するストッパ10と、このストッパ10の突片9と当接し、該ストッパ10を前記玉通路3内へ突出させることができるカム面11を備えるとともに、常時突出させる方向に付勢スプリング12で付勢され、かつ前記ケース体7にスライド移動可能に取付けられた板カム13と、この板カム13を前記付勢スプリング12の付勢力を利用して、前記ストッパ10を玉通路3内へ突出させるように移動させる、故障等の異常を検出すると駆動される、前記ケース体7に取付けられたスクリューモータ16とで構成されている。
【0012】
なお、故障等の異常を検出するとは、システムとの通信が異常に遮断されたり、ユニットの各機能が正常でなくなる場合等である。
【0013】
前記ストッパ10は
図5に示すように、後端部に枢支ピン挿入孔17が形成されたストッパ本体18と、このストッパ本体18の遊端部側の上面に玉6を係止することができる玉係止部19と、この玉係止部19近傍の前記ストッパ本体18の底面に下方へ突出するように形成された突片9とで構成されている。
【0014】
前記板カム13は
図6に示すように、棒状の板カム本体20と、この板カム本体20の後端部にスクリューモータ16のスクリュー軸21が当接するように形成されたスクリュー軸当接部22と、前記板カム本体20の先端部側の上面に前記ストッパ10を玉通路3内へ順次突出させる傾斜面23および玉通路3内へ突出した状態で、その状態を保つことができる平面部24が形成されたカム面11と、前記板カム本体20を、常時前記ストッパ10を玉通路3内へ突出するように付勢する付勢スプリング12を取付ける、該板カム本体20に形成された付勢スプリング係止片25とで構成されている。
【0015】
前記スクリューモータ16は正・逆回転させることにより、スクリュー軸21が前進・後進するもので、スクリュー軸21の後進するような駆動時に、前記付勢スプリング12の付勢力が作用するようになっている。
【0016】
上記構成の台間機1は故障等の異常が発生すると、スクリューモータ16が駆動し、スクリュー軸21を後進させるため、前記付勢スプリング12の付勢力により板カム13が後退するようにスクリューモータ16方向へスライド移動する。
【0017】
この板カム13のスライド移動によって、ストッパ10の突片9が板カム13の傾斜面23をスライド移動しながら、遊端部がストッパの出没透孔5より玉通路3内へ入り込み、突片9が板カム13の平面部24に位置した所でスクリューモータ16の駆動が停止するとともに、板カム13の移動が停止する。
【0018】
この板カム13の移動時には付勢スプリング12の付勢力が作用し、スムーズに移動させることができる。
【0019】
この板カム13の移動停止でストッパ10の遊端部は玉通路3内に入り込み、玉通路3内を通過する玉6が玉係止部19に係止され、かつストッパ10の突片9が板カム13の平面部24に当接された状態となるため、玉の圧力が作用してもストッパ10が開放方向に回動することのない完全な停止状態にできる。
【0020】
故障等の異常がなおると、スクリューモータ16が駆動して、スクリュー軸21を付勢スプリング12の付勢力に抗して前進させ、板カム13を前進させ、ストッパ10の突片9を平面部24から傾斜面23の下部位置まで移動した所でスクリューモータ16の駆動が停止するとともに、板カム13のスライド移動が停止する。
【0021】
この板カム13のスライド移動により、ストッパ10は玉通路3内よりストッパの出没透孔5を通過して玉通路3外へ位置する。
【0022】
なお、前記本発明の実施の形態で使用されるスクリューモータ16はステッピング機能のあるモータを用いることにより、消費電流の低減や、位置制御が不要となる。
【0023】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図9ないし
図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図9ないし
図11に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、板カム13に軸心方向のねじ部26を形成したねじ筒27が当接するようにケース体7に回転不能でかつ軸心方向にスライド移動可能に支持台34を介して取付けるとともに、該ねじ筒27のねじ部26と螺合するねじ28を正・逆回転モータ29の駆動軸30に形成した軸心方向の移動機構31を用いた点で、このような軸心方向の移動機構31を用いて構成したシャッター装置4Aを用いた台間機1Aにしても正・逆回転モータ29の正・逆回転によりねじ筒27、すなわち板カム13が前・後進して玉通路3をストッパ10で開閉させることができ、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
図12ないし
図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、正・逆回転モータ29の駆動軸30Aにピニオン32を固定するとともに、このピニオン32と噛み合うラック33を板カム13に当接するようにケース体7に軸心方向にスライド移動可能に支持台34を介して取付けた軸心方向の移動機構31Aを用いた点で、このような移動機構31Aを用いて構成したシャッター装置4Bを用いた台間機1Bにしても、正・逆回転モータ29を正・逆回転させることによりラック33、すなわち板カム13が前・後進して玉通路3をストッパ10で開閉させることができ、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明はパチンコ機間に設置される台間機を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0027】
1、1A、1B:台間機、 2:パチンコ機、
3:玉通路、
4、4A、4B:シャッター装置、
5:ストッパの出没透孔、 6:玉、
7:ケース体、 8:枢支ピン、
9:突片、 10:ストッパ、
11:カム面、 12:付勢スプリング、
13:板カム、 16:スクリューモータ、
17:枢支ピン挿入孔、 18:ストッパ本体、
19:玉係止部、 20:板カム本体、
21:スクリュー軸、 22:スクリュー軸当接部、
23:傾斜面、 24:平面部、
25:付勢スプリング係止片、 26:ねじ部、
27:ねじ筒、 28:ねじ、
29:正・逆回転モータ、 30、30A:駆動軸、
31、31A:軸心方向の移動機構、
32:ピニオン、 33:ラック、
34:支持台。