(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のエピタキシャル構造体の製造方法の実施形態について説明する。以下の各実施形態において、同じ部材は同じ記号で表示する。
【0011】
(実施形態1)
図1を参照すると、本発明の実施形態1は、エピタキシャル構造体10の製造方法を提供する。エピタキシャル構造体10の製造方法は、基板120を提供し、基板120は成長表面122を有するステップ(S10)と、基板120の成長表面122に、第一カーボンナノチューブフィルム100を設置するステップ(S11)であって、第一カーボンナノチューブフィルム100は複数の第一間隙101を有し、成長表面122の一部を複数の第一間隙101から露出させるステップ(S11)と、成長表面122にマスク層110を堆積し、第一カーボンナノチューブフィルム100を被覆するステップ(S12)であって、該マスク層110の厚さは、第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さより薄く、また、マスク層110は、第一カーボンナノチューブフィルム100の表面及び露出された成長表面122の表面に堆積するステップ(S12)と、第一カーボンナノチューブフィルム100を除去し、パターン化されたマスク層112を取得するステップ(S13)であって、パターン化されたマスク層112は、複数の開口114を有し、成長表面122の一部を複数の開口114から露出させるステップ(S13)と、基板120の成長表面122にエピタキシャル構造層130を成長させるステップ(S14)と、を含む。
【0012】
ステップ(S10)において、基板120は、エピタキシャル層130に結晶成長させるための成長表面122を提供し、成長表面122は、エピタキシャル層130の結晶成長を支持する。基板120の成長表面122は、平滑な表面であり、且つ酸素又は炭素などの不純物は含まれない。また、基板120は、単層構造又は多層構造である。基板120が単層構造である場合、基板120は、単結晶構造体である。この場合、基板120は、少なくとも一つの結晶面を含み、該結晶面はエピタキシャル層130の成長表面122として用いられる。基板120が多層構造である場合、基板120は、少なくとも一層の単結晶構造体を含み、この単結晶構造体は、少なくとも一つの結晶面を含み、該結晶面は、エピタキシャル層130の成長表面122として用いられる。基板100の単結晶構造体は、GaAs、GaN、Si、SOI(Silicon Sn Insulator)、AlN、SiC、MgO、ZnO、LiGaO
2、LiAlO
2及びAl
2O
3の一種又は数種からなる。基板120の材料は、製造しようとするエピタキシャル層130の材料に応じて選択可能であるが、エピタキシャル層130の材料と類似する格子定数及び熱膨張係数を有することが好ましい。基板120の厚さ、サイズ及び形状は制限されず、必要に応じて選択できる。
【0013】
図2を併せて参照すると、ステップ(S11)において、第一カーボンナノチューブフィルム100は、自立構造体であり、相互に平行であり、且つ間隔をあけて位置する複数の第一カーボンナノチューブ104を含む。該複数の第一カーボンナノチューブ104は、分子間力によって端と端とが接続され、同じ方向に沿って配列され、隣接する第一カーボンナノチューブ104の間には第一間隙101を有する。第一カーボンナノチューブフィルム100を基板120の成長表面122に設置した際、第一カーボンナノチューブフィルム100における複数の第一カーボンナノチューブ104の延伸方向は、基板120の成長表面122に基本的に平行する。第一カーボンナノチューブフィルム100における複数の第一カーボンナノチューブ104の延伸方向は、基板120の結晶方向に沿って延伸しても良い、或いは基板120の結晶方向と交差して角度を成しても良い。またこの際、成長表面122の一部は、複数の第一間隙101から露出する
【0014】
第一カーボンナノチューブフィルム100のサイズは、成長表面122のサイズより大きいので、第一カーボンナノチューブフィルム100は、基板120の成長表面122を完全に被覆し、且つ基板120の成長表面122からはみ出している。これにより、後の第一カーボンナノチューブフィルム100を機械剥離する工程において、第一カーボンナノチューブフィルム100を効果的に剥離できる。好ましくは、
図2に示すように、端と端とが接続されている第一カーボンナノチューブ104の長さは、第一カーボンナノチューブ104の延伸方向における基板120の長さより長い。
【0015】
図3を参照すると、第一カーボンナノチューブフィルム100は、水平カーボンナノチューブアレイでも良い。具体的には、水平カーボンナノチューブアレイは、第一カーボンナノチューブフィルム100の表面と基本的に平行する複数の第一カーボンナノチューブ104を含む。複数の第一カーボンナノチューブ104の長さは基本的に同じである。第一カーボンナノチューブ104の長さは1cmより長い。第一カーボンナノチューブフィルム100における、隣接する二つの第一カーボンナノチューブ104の距離は数μm〜数十μmである。本実施形態において、好ましくは、第一カーボンナノチューブ104の長さは3cmより長く、隣接する二つの第一カーボンナノチューブ104の距離は5μm〜20μmである。第一カーボンナノチューブ104の直径は10nmより大きく、好ましくは、20nm〜100nmである。水平カーボンナノチューブアレイの構造及び製造方法は、特許文献1に掲載されている。
【0016】
図4〜
図7を参照すると、第一カーボンナノチューブフィルム100は、カーボンナノチューブアレイから引き出したドローン構造カーボンナノチューブフィルムでも良い。第一カーボンナノチューブフィルム100は、複数の第一カーボンナノチューブ104及び複数の第三カーボンナノチューブ106からなる自立構造体である。即ち、第一カーボンナノチューブフィルム100は、複数の第一カーボンナノチューブ104及び複数の第三カーボンナノチューブ106が互いに緊密に結合して形成された単純な構造体である。
【0017】
ここで自立構造体とは、支持体材を利用せず、第一カーボンナノチューブフィルム100を独立して利用することができる形態のことである。即ち、第一カーボンナノチューブフィルム100を対向する両側から支持して、第一カーボンナノチューブフィルム100の構造を変化させずに、第一カーボンナノチューブフィルム100を懸架させることができることを意味する。具体的には、第一カーボンナノチューブフィルム100における第一カーボンナノチューブ104が同じ方向に沿って配列されて、分子間力で端と端とが接続されており、また、第三カーボンナノチューブ106はランダムに分散している。これにより、第一カーボンナノチューブフィルム100は、自立構造体を実現することができる。端と端とが接続されているとは、軸方向において隣接する第一カーボンナノチューブ104の端と端とが接続して配列されていることを意味する。複数の第一カーボンナノチューブ104及び第三カーボンナノチューブ106は、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブの少なくとも一種を含む。カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmであり、カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1.0nm〜50nmであり、カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmである。
【0018】
第一カーボンナノチューブフィルム100において、複数の第一カーボンナノチューブ104は、基本的に同じ方向に沿って配列されている。複数の第一カーボンナノチューブ104の延伸する方向は、第一カーボンナノチューブフィルム100の表面と基本的に平行である。また、複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。具体的には、複数の第一カーボンナノチューブ104における各カーボンナノチューブは、延伸する方向において分子間力によって、隣接するカーボンナノチューブの端と端とが接続されている。また、第一カーボンナノチューブフィルム100は、少数のランダムに分散された第三カーボンナノチューブ106を含む。しかし、大部分の第一カーボンナノチューブ104が同じ方向に沿って配列されているので、このランダムに分散された第三カーボンナノチューブ106の延伸方向は、第一カーボンナノチューブ104の延伸方向に影響を与えない。具体的には、第一カーボンナノチューブフィルム100における多数の第一カーボンナノチューブ104は、絶対的に直線状ではなくやや湾曲している。または、延伸する方向に完全に配列せず、少しずれている場合もある。従って、同じ方向に沿って配列している多数の第一カーボンナノチューブ104において、隣接する第一カーボンナノチューブ104は部分的に接触する可能性がある。
【0019】
図5を参照すると、第一カーボンナノチューブフィルム100は、複数のカーボンナノチューブセグメント108を含む。複数のカーボンナノチューブセグメント108は、長さ方向に沿って分子間力で端と端とが接続されている。各カーボンナノチューブセグメント108は、相互に平行に分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブを含む。カーボンナノチューブセグメント108の長さ、厚さ、形状及び均一性は制限されない。第一カーボンナノチューブフィルム100は、カーボンナノチューブアレイの選択された一部を引き出すことによって形成される。形成された第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さは0.5nm〜100μmであり、例えば、10nm、50nm、200nm、500nm、1μm、10μm、50μmである。形成された第一カーボンナノチューブフィルム100の幅は、選択されたカーボンナノチューブアレイの幅に関係し、形成されたカーボンナノチューブフィルムの長さは制限されない。カーボンナノチューブフィルムの構造及び製造方法は、特許文献1に掲載されている。
【0020】
図6及び
図7を参照すると、第一カーボンナノチューブフィルム100は、間隔をあけて且つ基本的に平行に設置された複数のカーボンナノチューブワイヤ102と、隣接する二つのカーボンナノチューブワイヤ102の間にランダムに連接された少数の第三カーボンナノチューブ106と、からなる。カーボンナノチューブワイヤ102は、複数の第一カーボンナノチューブ104が同じ方向に沿って端と端とが接続されて形成されている。本実施形態において、複数の第一カーボンナノチューブ104の延伸する方向をD1方向と定義する。第一カーボンナノチューブフィルム100の平面において、D1方向に垂直である方向をD2方向と定義する。各カーボンナノチューブワイヤ102における隣接する第一カーボンナノチューブ104は、D1方向に分子間力によって端と端とが接続されて配列し、基本的にはD2方向に平行に配列して分子間力によって連接されて、カーボンナノチューブセグメント108を形成する。この際、隣接するカーボンナノチューブワイヤ102の間、或いは隣接する第一カーボンナノチューブ104の間には、複数の間隙101を有する。
【0021】
第一カーボンナノチューブフィルム100は、少数のランダムに分散された第三カーボンナノチューブ106を有するので、フィルム構造体を維持したままD2方向に引っ張ることができる。第一カーボンナノチューブフィルム100をD2方向に引っ張ると、第一カーボンナノチューブフィルム100は変形し、複数の第一カーボンナノチューブ104間の距離も変化する。D2方向における第一カーボンナノチューブフィルム100の変形率の増加に伴い、D2方向における複数の第一カーボンナノチューブ104間の距離も大きくなる。第一カーボンナノチューブフィルム100を引っ張る前において、隣接する二つの第一カーボンナノチューブ104が分離しているものと、隣接する二つの第一カーボンナノチューブ104が分離していないものとを含むので、隣接する二つの第一カーボンナノチューブ104間の距離は0μm〜10μmである。第一カーボンナノチューブフィルム100をD2方向に引っ張ると、隣接する二つの第一カーボンナノチューブ104が分離しているものと、隣接する二つの第一カーボンナノチューブ104が分離していないものとを含むので、隣接する二つの第一カーボンナノチューブ104間の距離は0μm〜50μmとなる。複数の平行する第一カーボンナノチューブ104及び少数のランダムに分散された第三カーボンナノチューブ106の数量比或いは質量比は、2:1〜6:1である。好ましくは、複数の平行する第一カーボンナノチューブ104及び少数のランダムに分散された第三カーボンナノチューブ106の数量比或いは質量比は、4:1〜6:1である。少数のランダムに分散された第三カーボンナノチューブ106の数量が多くなると、D2方向における第一カーボンナノチューブフィルム100の変形率も大きくなる。第一カーボンナノチューブフィルム100のD2方向における変形率は300%以下である。第一カーボンナノチューブフィルム100のD2方向における変形率が300%以下であるとは、第一カーボンナノチューブフィルム100にD2方向に対して所定の力を加えて引っ張ると、D2方向における第一カーボンナノチューブフィルム100の幅は、引っ張る前の第一カーボンナノチューブフィルム100のD2方向における幅の3倍以下であり、この際、第一カーボンナノチューブフィルム100は一体性を有して、損傷しないことを意味する。本実施形態において、平行する複数の第一カーボンナノチューブ104及び少数のランダムに分散された第三カーボンナノチューブ106の数量比は、4:1である。
【0022】
第一カーボンナノチューブフィルム100は、カーボンナノチューブアレイから引き出して得られる。第一カーボンナノチューブフィルム100の製造方法は以下のステップを含む。
【0023】
第一ステップでは、カーボンナノチューブアレイを提供する。カーボンナノチューブアレイは、超配列カーボンナノチューブアレイであり、該超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、化学気相蒸着法によって超配列カーボンナノチューブアレイを製造する。化学気相蒸着法によって超配列カーボンナノチューブアレイを製造する工程は、次のステップを含む。ステップ(a)では、平らな基材を提供する。該基材はp型のシリコン基材、n型のシリコン基材及び酸化層が形成されたシリコン基材のいずれか一種である。本実施形態においては、4インチ(略101.6mm)のシリコン基材を選択することが好ましい。ステップ(b)では、平らな基材の表面に、触媒層を均一に形成する。該触媒層の材料は、鉄、コバルト、ニッケル或いはこれら2種以上を組み合わせて製造された合金のうちの何れか一種である。ステップ(c)では、触媒層が形成された基材を700℃〜900℃の空気で30分〜90分間アニーリングする。ステップ(d)では、アニーリングされた基材を反応炉に置き、保護ガスによって500℃〜740℃の温度で加熱した後、カーボンを含むガスを導入して、5分〜30分間反応を行って、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1)を成長させる。該超配列カーボンナノチューブアレイは、互いに平行し、且つ基材に対して垂直に生長する複数のカーボンナノチューブからなる。カーボンナノチューブアレイは、生長の条件を制御することによって、例えば、アモルファスカーボンや残存する触媒である金属粒子などの不純物は含まれない。
【0024】
第二ステップでは、カーボンナノチューブアレイから、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを引き伸ばす。まず、ピンセットなどの工具を利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。例えば、一定の幅を有するテープを利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。次に、所定の速度で複数のカーボンナノチューブを引き出して、端と端とが接続されている複数のカーボンナノチューブセグメント108からなる連続した第一カーボンナノチューブフィルム100を形成する。カーボンナノチューブを引き出す方向は、カーボンナノチューブアレイの成長方向と角度を成す。該角度は0°〜90°(0°を含まず)である。本実施形態において、カーボンナノチューブを引き出す方向は、カーボンナノチューブアレイの成長方向に対して垂直である。
【0025】
複数のカーボンナノチューブを引き出す工程において、複数のカーボンナノチューブセグメント108をそれぞれ基材から脱離させると、カーボンナノチューブセグメント108は、その端と端とが分子間力で接合される。これにより、所定の幅を有する連続した、且つ均一な第一カーボンナノチューブフィルム100が形成される。該第一カーボンナノチューブフィルム100の幅は、カーボンナノチューブアレイの寸法に関係する。第一カーボンナノチューブフィルム100の長さは制限されず、必要に応じて選択できる。カーボンナノチューブアレイの径が4インチ(101.6mm)である場合、第一カーボンナノチューブフィルム100の幅は、0.5nm〜10cmであり、第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さは、0.5nm〜10μmである。
【0026】
第三ステップでは、第一カーボンナノチューブフィルム100を基板120の成長表面122上に設置する。
【0027】
更に、複数の第一カーボンナノチューブフィルム100は、相互に連接して一つの面に設置できる、或いは複数の第一カーボンナノチューブフィルム100は、積層して設置できる。複数の第一カーボンナノチューブフィルム100を積層して設置した場合、隣接する二つの第一カーボンナノチューブフィルム100における第一カーボンナノチューブ104の延伸方向は同じでも、同じでなくてもよい。複数の第一カーボンナノチューブフィルム100は分子間力で緊密に結合する。
図8を参照すると、本実施形態において、二つの第一カーボンナノチューブフィルム100は積層して設置され、また、二つの第一カーボンナノチューブフィルム100における第一カーボンナノチューブ104の延伸方向は相互に垂直に交差している。
【0028】
第一カーボンナノチューブフィルム100がドローン構造カーボンナノチューブフィルムである場合、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを基板120の成長表面122上に設置する前に、D2方向に沿って第一カーボンナノチューブフィルム100を引っ張ることができる。第一カーボンナノチューブフィルム100を引っ張ることによって、第一カーボンナノチューブフィルム100における隣接する二つのカーボンナノチューブ104或いは隣接する二つのカーボンナノチューブワイヤ102の距離を増大させ、第一カーボンナノチューブフィルム100の密度を減少させ、第一カーボンナノチューブフィルム100が被覆される成長表面122の面積を減少させることができる。これにより、第一カーボンナノチューブフィルム100を除去した後、パターン化されたマスク層112における複数の開口114のサイズは小さくなり、エピタキシャル層130の品質を高めることができる。
【0029】
図9を参照すると、第一カーボンナノチューブフィルム100を引っ張る方法は次のステップを含む。第一ステップでは、D2方向に平行である第一カーボンナノチューブフィルム100の両端を二つの弾性支持体200にそれぞれ設置して、二つの弾性支持体200と接触しない第一カーボンナノチューブフィルム100の部分を懸架させる。二つの弾性支持体200はストリップ状の構造体であり、D2方向に沿って延伸している。第二ステップでは、二つの弾性支持体200をD2方向に沿って引っ張る。弾性支持体200は弾性ゴム、ばね、ゴムひもの何れか一種である。好ましくは、弾性支持体200を引っ張る速度は10cm/sより小さい。弾性支持体200によって第一カーボンナノチューブフィルム100を引っ張ることで、後のステップ(S13)の工程において、第一カーボンナノチューブフィルム100を効果的に剥離することができる。
【0030】
第一カーボンナノチューブフィルム100がドローン構造カーボンナノチューブフィルムである場合、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを基板120の成長表面122上に設置する前に、有機溶剤によって第一カーボンナノチューブフィルム100を処理することができる。有機溶剤によって第一カーボンナノチューブフィルム100を処理する際、霧状の有機溶剤によって第一カーボンナノチューブフィルム100を処理することができる。この際、懸架された第一カーボンナノチューブフィルム100に霧状の有機溶剤を浸透させる。この霧状の有機溶剤は、第一カーボンナノチューブフィルム100を処理する前に準備してもよい。または、霧状の有機溶剤は、第一カーボンナノチューブフィルム100を処理すると同時に製造してもよい。第一カーボンナノチューブフィルム100を処理すると同時に霧状の有機溶剤を製造する場合、次のステップを含む。第一ステップでは、揮発性の有機溶剤を提供する。第二ステップでは、有機溶剤を霧化して、分散する複数の有機溶剤霧滴を形成する。第二ステップでは、懸架された第一カーボンナノチューブフィルム100の表面に複数の有機溶剤霧滴をスプレーして、第一カーボンナノチューブフィルム100に有機溶剤を浸透させて、第一カーボンナノチューブフィルム100を収縮させる。有機溶剤霧滴は、周囲の媒体に浮遊する小さな有機溶剤液滴である。超音波霧化、高圧霧化等の方法によって有機溶剤を霧化して、有機溶剤霧滴を形成する。霧化した有機溶剤霧滴の直径は、10μm〜100μmであり、例えば、20μm、50μmである。有機溶剤霧滴の直径が10μm〜100μmである場合、第一カーボンナノチューブフィルム100と有機溶剤霧滴との間には適当な界面張力が形成されるため、第一カーボンナノチューブフィルム100を収縮させ、第一カーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブを均一に分散させることができる。
【0031】
有機溶剤は、揮発性が高く揮発し易い。有機溶剤霧滴を第一カーボンナノチューブフィルム100の表面にスプレーして、第一カーボンナノチューブフィルム100に浸透させることで、有機溶剤の揮発によって、元の第一カーボンナノチューブフィルム100における比較的緩んでいるカーボンナノチューブを収縮させる。有機溶剤霧滴の直径は、10μm〜100μmであり、有機溶剤霧滴のサイズは小さいので、各有機溶剤霧滴が第一カーボンナノチューブフィルム100に浸透する面積は小さい。これにより、第一カーボンナノチューブフィルム100におけるカーボンナノチューブを収縮させて形成されたカーボンナノチューブ束の直径は小さく、10μmより小さい。カーボンナノチューブ束の直径は小さいので、肉眼で見ることはできず、第一カーボンナノチューブフィルム100の透明性を高めることができる。また、有機溶剤霧滴をスプレーする工程において、有機溶剤霧滴をスプレーする際の気流の圧力を制御して、第一カーボンナノチューブフィルム100を損傷しないようにしなければならない。
【0032】
ステップ(S12)において、成長表面122にマスク層110を堆積する方法は制限されず、例えば、物理気相成長法、化学気相成長法、マグネトロンスパッタリング方法、原子層堆積法などの何れか一種又は多種である。マスク層110の材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素の何れか一種又は多種である。マスク層110の厚さは、10nm〜100nmであり、好ましくは、20nm〜50nmである。マスク層110は、第一間隙101によって露出された成長表面122及び第一カーボンナノチューブフィルム100における各第一カーボンナノチューブ104の表面に堆積される。該マスク層110の厚さは、第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さより薄いので、第一間隙101によって露出された成長表面122及び第一カーボンナノチューブフィルム100における各第一カーボンナノチューブ104の表面に堆積されたマスク層110は、間隔をあけて設置されるため、連続した層状構造体が形成され難く、又は、第一間隙101によって露出された成長表面122上に堆積されたマスク層110と第一カーボンナノチューブフィルム100における各第一カーボンナノチューブ104の表面に堆積されたマスク層110との結合力は弱い。これにより、第一カーボンナノチューブフィルム100を除去するステップにおいて、第一カーボンナノチューブフィルム100における各第一カーボンナノチューブ104の表面に堆積されたマスク層110は第一カーボンナノチューブフィルム100と共に除去でき、この際、第一間隙101によって露出された成長表面122に堆積されたマスク層110は成長表面122に残り、パターン化されたマスク層112が形成される。第一カーボンナノチューブフィルム100における第一カーボンナノチューブ104の直径は小さく、数十ナノメートルであるので、パターン化されたマスク層112における複数の開口114の幅は、数十ナノメートルに達することができる。
【0033】
本実施形態において、マスク層110は、酸化アルミニウムナノ材料層である。原子層堆積法によって、第一カーボンナノチューブフィルム100の表面及び第一間隙101によって露出された成長表面122上に、酸化アルミニウムナノ材料層を堆積する。成長源は、トリメチルアルミニウム及び水であり、キャリアガスは窒素ガスである。しかし、成長源は、トリメチルアルミニウム及び水に制限されず、必要に応じて選択できる。
【0034】
本実施形態のステップ(S12)は、第一カーボンナノチューブフィルム100が設置された基板120を、原子層堆積システムの真空容器内に置くステップ(S121)と、キャリアガスによって、原子層堆積システムの真空容器にトリメチルアルミニウム及び水を交互に導入して、カーボンナノチューブフィルム100の表面及び第一間隙101によって露出された成長表面122に酸化アルミニウム層を形成するステップ(S122)と、を含む。
【0035】
ステップ(S122)において、キャリアガスは窒素ガスである。キャリアガスの流量は5sccmである。原子層堆積システムの到達圧力(Ultimate Pressure)は0.23Torrである。原子層堆積システムの真空容器に、トリメチルアルミニウム及び水を交互に導入する工程において、原子層堆積システムの真空容器にトリメチルアルミニウムを一回導入した後、水を一回導入することを一つのサイクルとする。具体的には、一つのサイクルにおいて、真空容器にトリメチルアルミニウムを一回導入した際、真空容器の真空度は0.26Torrに達する。この後、真空容器を25秒間真空にして、真空容器の真空度を0.23Torrに戻す。次いで、真空容器に水を導入する。これにより、真空容器の真空度は再度0.26Torrに達する。この後、真空容器を50秒間真空にして、真空容器の真空度を0.23Torrに戻す。これらの工程において、酸化アルミニウムの堆積速度は、0.14nm/cycleである。従って、サイクルの回数を制御することによって、酸化アルミニウム層の厚さを制御できる。酸化アルミニウム層は、第一間隙101によって露出された成長表面122及び第一カーボンナノチューブフィルム100における各第一カーボンナノチューブ104の表面に堆積される。
【0036】
ステップ(S13)において、機械剥離法、酸化法、接着テープによって、第一カーボンナノチューブフィルム100を除去する。機械剥離法によって、第一カーボンナノチューブフィルム100を除去する場合、第一カーボンナノチューブフィルム100における各第一カーボンナノチューブ104の表面に堆積されたマスク層110は、第一カーボンナノチューブフィルム100と共に除去され、この際、第一間隙101によって露出された成長表面122に堆積されたマスク層110は成長表面122に残り、パターン化されたマスク層112が形成される。接着テープによって、第一カーボンナノチューブフィルム100を除去する場合、第一カーボンナノチューブフィルム100と基板120との結合力は、マスク層110と基板120との結合力より弱く、且つ成長表面122に堆積されたマスク層110と第一カーボンナノチューブフィルム100における第一カーボンナノチューブ104の表面のマスク層110との結合力は弱いので、適当な接着度を有する接着テープによって、第一カーボンナノチューブフィルム100における各第一カーボンナノチューブ104の表面に堆積されたマスク層110は、第一カーボンナノチューブフィルム100と共に除去できる。酸化法によって、第一カーボンナノチューブフィルム100を除去する場合、まず、第一カーボンナノチューブフィルム100が設置された基板120を電気炉に置いて、酸素ガスの雰囲気でアニーリングして、第一カーボンナノチューブフィルム100を除去した後、第一カーボンナノチューブフィルム100における各第一カーボンナノチューブ104の表面に堆積されたマスク層110を成長表面122に落とす。次いで、超音波振動によって、成長表面に落ちたマスク層110を洗浄して除去する。又は第一カーボンナノチューブフィルム100を除去した後、第一カーボンナノチューブフィルム100における各第一カーボンナノチューブ104の表面に堆積されたマスク層110は、重力によって、成長表面122から落とすことができる。この際、マスク層110の落とす方向に対応して、第一カーボンナノチューブフィルム100を基板120の下方に位置させる。アニーリング温度は、500℃〜1000℃である。
【0037】
パターン化されたマスク層112は、複数の開口114を有する。複数の開口114のパターンは、第一カーボンナノチューブフィルム100のパターンと同じである。本実施形態において、複数の開口114は、基本的には、平行して、且つ間隔をあけて設置されたストリップ状の複数の溝である。開口114は、成長表面122の一端から該一端と対向する端部まで延伸している。開口114の幅は、10nm〜100nmであり、好ましくは、20nm〜50nmである。パターン化されたマスク層112は、一部の成長表面122を被覆して、パターン化されたマスク層112が被覆されていない成長表面122にエピタキシャル構造層130を成長させる。本発明のパターン化されたマスク層112の製造工程は簡単で、フォトエッチングよりも、コストが低く、且つ基板120の成長表面122は汚染されない。また、開口114の幅は、カーボンナノチューブの直径に相当し、約数十ナノメートルである。これにより、エピタキシャル構造層130の品質を高めることができる。
【0038】
ステップ(S14)において、エピタキシャル構造層130は、基板120の成長表面122に成長した単晶構造体である。エピタキシャル構造層130の材料は、基板120の材料と同じでも或いは同じでなくても良い。エピタキシャル構造層130の厚さは、必要に応じて選択できる。具体的には、エピタキシャル構造層130の厚さは、0.5nm〜1mmである。例えば、100nm〜500μm、200nm〜200μm或いは500nm〜100μmである。エピタキシャル構造層130は、半導体、金属又は合金のエピタキシャル構造層であることができる。半導体のエピタキシャル構造層の材料は、GaMnAs、GaAlAs、GaInAs、GaAs、SiGe、InP、Si、AlN、GaN、GaInN、AlInN、GaAlN、AlGaInNなどである。金属のエピタキシャル構造層の材料は、アルミニウム、プラチナ、銅、銀などである。合金のエピタキシャル構造層の材料は、MnGa、CoMnGa、Co
2MnGaなどである。
【0039】
図11を参照すると、エピタキシャル構造層130の成長工程は、基板120の成長表面122が露出した部分に、エピタキシャル構造層130の核を形成する。この際の核の寸法は、主に成長表面122に垂直する方向に沿って増加して、複数のエピタキシャル結晶粒132を形成するステップ(141)と、複数のエピタキシャル結晶粒132による横方向結晶成長及び隣接するエピタキシャル結晶粒132同士の合体によって、連続したエピタキシャル膜134を形成するステップ(142)と、エピタキシャル膜134が成長表面122に垂直する方向に成長して、エピタキシャル構造層130を形成するステップ(143)と、を含む。
【0040】
ステップ(141)において、エピタキシャル結晶粒132は、パターン化されたマスク層112における開口114によって露出された基板120の成長表面122から、開口114を貫通して成長する。ここで、形成しようとするエピタキシャル構造層130の核が、主に成長表面122に垂直する方向に沿って成長することを縦方向結晶成長と定義する。
【0041】
ステップ(142)において、隣接するエピタキシャル結晶粒132同士の合体によって、複数のエピタキシャル結晶粒132は互いに接続されて、一体構造を有するエピタキシャル膜134を形成する。隣接するエピタキシャル結晶粒132及びエピタキシャル膜134は、共にパターン化されたマスク層112を囲んで被覆する。
【0042】
ステップ(143)において、エピタキシャル膜134は、成長表面122に垂直な方向に増大する。従って、エピタキシャル構造層130を形成する時間は長くなる。しかし、基板120の成長表面122に、パターン化されたマスク層112が設置されているので、ステップ(142)において、エピタキシャル膜134の欠陥は少ない。従って、エピタキシャル膜134が成長表面122に垂直な方向に増大して形成されたエピタキシャル構造層130も欠陥は少ない。
【0043】
エピタキシャル構造層は、分子線エピタキシー法(MBE)、化学ビームエピタキシー法(CBE)、減圧エピタキシャル成長法、低温エピタキシー法、選択エピタキシー法、液相エピタキシー法(LPE)、有機金属気相エピタキシー法(MOVPE)、超高真空化学気相堆積法(UHVCVD)、ハイドライド気相エピタキシー法(HVPE)及び有機金属気相成長法(MOCVD)などの一種又は数種の方法によって成長させる。
【0044】
本実施形態において、基板120はサファイア基板であり、且つパターン化されたマスク層112は、酸化アルミニウムナノ材料層からなる。該酸化アルミニウムナノ材料層は交差した酸化アルミニウムナノチューブからなる二層構造体である。エピタキシャル構造層を、前記有機金属気相成長法によって、基板120の成長表面122に成長させる。ここで、高純度アンモニア(NH
3)を窒素源ガスとして、トリメチルガリウム(TMGa)又はトリエチルガリウム(TEGa)をガリウム(Ga)の原料ガスとして、窒素(N
2)又は水素(H
2)又はこれらの混合気体をキャリアガスとして用いる。
【0045】
本実施形態において、エピタキシャル構造層130の成長方法は、パターン化されたマスク層112が設置されたサファイア基板を真空反応室に設置して、反応室を1100℃〜1200℃まで加熱した後キャリアガスを反応室に導入して、サファイア基板を200秒〜1000秒にわたって焼成するステップ(a)と、キャリアガスの雰囲気で、反応室の温度を500℃〜650℃まで下げて、同時にガリウムの原料ガス及び窒素源ガスを反応室に導入して、10nm〜50nmの低温GaNバッファ層(図示せず)を成長させるステップ(b)と、ガリウムの原料ガスの導入を停止して、キャリアガス及び窒素源ガスはそのまま導入し続け、反応室の温度を1100℃〜1200℃まで昇温し、反応室のガス圧を1100Torr〜1200Torrに維持したまま、30秒〜300秒にわたってアニーリング処理するステップ(c)と、反応室の温度を1000℃〜1100℃に維持し、ガリウムの原料ガスを再び導入して、高品質の第一半導体層130を成長させるステップ(d)と、を含む。
【0046】
(実施形態2)
図12を参照すると、本発明の実施形態2は、エピタキシャル構造体20の製造方法を提供する。エピタキシャル構造体20の製造方法は、基板120を提供し、基板120は、成長表面122を有するステップ(S20)と、基板120の成長表面122に、第一カーボンナノチューブフィルム100を設置するステップ(S21)であって、第一カーボンナノチューブフィルム100は、相互に平行して、且つ間隔をあけて設置された複数の第一カーボンナノチューブ104を含むステップ(S21)と、第一カーボンナノチューブフィルム100の表面に第二カーボンナノチューブフィルム103を設置するステップ(S22)であって、第二カーボンナノチューブフィルム103は、相互に平行して、且つ間隔をあけて設置された複数の第二カーボンナノチューブ105を含み、第二カーボンナノチューブ105の延伸方向は、第一カーボンナノチューブ104の延伸方向と角度を成し、且つ該角度は、0°より大きいステップ(S22)と、成長表面122にマスク層110を堆積して、第一カーボンナノチューブフィルム100及び前記第二カーボンナノチューブフィルム103を被覆するステップ(S23)であって、該マスク層110の厚さは、第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さより厚く、且つ第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さと第二カーボンナノチューブフィルム103との厚さの総和より小さいステップ(S23)と、第二カーボンナノチューブフィルム103を除去し、パターン化されたマスク層112を取得するステップ(S24)であって、パターン化されたマスク層112は複数の開口114を有し、成長表面122の一部を複数の開口114から露出させるステップ(S24)と、基板120の成長表面122にエピタキシャル構造層130を成長させるステップ(S25)と、を含む。
【0047】
本実施形態2のエピタキシャル構造体20の製造方法は、実施形態1のエピタキシャル構造体10の製造方法と基本的に同じであるが、以下の点が異なる。基板120の成長表面122にマスク層110を堆積するステップの前に、交差して積層された第一カーボンナノチューブフィルム100及び第二カーボンナノチューブフィルム103を、基板120の成長表面122に設置する。また、基板120の成長表面122にマスク層110を堆積するステップにおいて、マスク層110の厚さは、第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さより厚く、且つ第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さと第二カーボンナノチューブフィルム103の厚さとの総和より薄い。ステップ(S24)において、第二カーボンナノチューブフィルム103のみを除去する。
【0048】
ステップ(S23)において、好ましくは、第二カーボンナノチューブ105の延伸方向と第一カーボンナノチューブ104の延伸方向とが成す角度は30°より大きい。本実施形態において、第二カーボンナノチューブ105の延伸方向と第一カーボンナノチューブ104の延伸方向とが成す角度は90°である。
【0049】
ステップ(S23)において、
図13及び
図14を参照すると、マスク層110の厚さは、第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さより厚く、且つ第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さと第二カーボンナノチューブフィルム103の厚さの総和より薄い。これにより、マスク層110は、成長表面122、第一カーボンナノチューブフィルム100の表面及び第二カーボンナノチューブフィルム103の表面に堆積し、且つ第一カーボンナノチューブフィルム100を被覆する。また、第二カーボンナノチューブフィルム103を除去すると同時に、第二カーボンナノチューブフィルム103における第二カーボンナノチューブ105の表面に堆積されたマスク層110を除去できる。この際、成長表面122及び第一カーボンナノチューブフィルム100の表面に堆積されたマスク層110は残り、パターン化されたマスク層112が形成される。パターン化されたマスク層112は、複数の開口114を有し、成長表面122の一部を複数の開口114から露出させる。複数の開口114は、相互に平行して、且つ間隔をあけて設置された溝である。開口114の延伸方向は、第一カーボンナノチューブ104の延伸方向と垂直である。また、第一カーボンナノチューブ104の一部を複数の開口114から露出させる。
【0050】
ステップ(S24)において、機械剥離法、接着テープによって、第二カーボンナノチューブフィルム103を除去する。この際、第一カーボンナノチューブフィルム100は、マスク層110に被覆されているので、機械剥離法、接着テープによって、第一カーボンナノチューブフィルム100は除去されない。
【0051】
(実施形態3)
図15を参照すると、本発明の実施形態3は、エピタキシャル構造体30の製造方法を提供する。エピタキシャル構造体30の製造方法は、基板120を提供し、基板120は、成長表面122を有するステップ(S30)と、基板120の成長表面122に、第一カーボンナノチューブフィルム100を設置するステップ(S31)であって、第一カーボンナノチューブフィルム100は、相互に平行して、且つ間隔をあけて設置された複数の第一カーボンナノチューブ104を含むステップ(S31)と、第一カーボンナノチューブフィルム100の表面に第二カーボンナノチューブフィルム103を設置するステップ(S32)であって、第二カーボンナノチューブフィルム103は、相互に平行して、且つ間隔をあけて設置された複数の第二カーボンナノチューブ105を含み、第二カーボンナノチューブ105の延伸方向は、第一カーボンナノチューブ104の延伸方向と角度を成し、且つ該角度は、0°より大きいステップ(S32)と、成長表面122にマスク層110を堆積して、第一カーボンナノチューブフィルム100及び前記第二カーボンナノチューブフィルム103を被覆するステップ(S33)であって、該マスク層110の厚さは、第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さより薄いステップ(S33)と、第一カーボンナノチューブフィルム100及び第二カーボンナノチューブフィルム103を除去して、パターン化されたマスク層112を取得するステップ(S34)であって、パターン化されたマスク層112は、複数の開口114を有し、成長表面122の一部を複数の開口114から露出させるステップ(S34)と、基板120の成長表面122にエピタキシャル構造層130を成長させるステップ(S35)と、を含む。
【0052】
本実施形態3のエピタキシャル構造体30の製造方法は、実施形態2のエピタキシャル構造体20の製造方法と基本的に同じであるが、異なる点は、ステップ(S33)及びステップ(S34)である。具体的には、ステップ(S33)において、マスク層110の厚さは、第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さより薄い。ステップ(S34)において、第一カーボンナノチューブフィルム100及び第二カーボンナノチューブフィルム103を除去する。
【0053】
ステップ(S33)において、マスク層110を成長表面122、第一カーボンナノチューブフィルム100の表面及び第二カーボンナノチューブフィルム103の表面に堆積する。マスク層110の厚さは、第一カーボンナノチューブフィルム100の厚さより薄い。
【0054】
ステップ(S34)において、第一カーボンナノチューブフィルム100及び第二カーボンナノチューブフィルム103を除去すると同時に、第一カーボンナノチューブフィルム100の表面及び第二カーボンナノチューブフィルム103の表面に堆積されたマスク層110を共に除去して、パターン化されたマスク層112を形成する。パターン化されたマスク層112は、複数の開口114を有し、成長表面122の一部を複数の開口114から露出させる。複数の開口114は、相互に平行して、且つ間隔をあけて設置された溝である。該複数の開口114は交差して設置される。本実施形態において、複数の開口114は直交する。