(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属膜で覆う工程は、少なくとも前記空間部内における前記基板の前記電子部品実装面に対して垂直な面に位置する箇所を除いて前記電子部品モジュールの少なくとも一つの側面全体を前記金属膜で覆う、
請求項1に記載の電子部品モジュールの製造方法。
前記空間部を設ける工程は、前記空間部を段差状に形成すると共に、前記空間部の前記基板の厚み方向における高さを5μmから50μm、奥行きを50μm以上、に形成する、
請求項1乃至4のいずれかに記載の電子部品モジュールの製造方法。
前記金属膜で覆った後に、前記所定のシート部材とは反対側に位置する前記金属膜で覆われた面に所定温度のリフローに耐えうる他のシートを固着すると共に、前記基板の前記電子部品実装面とは反対側の面から前記所定のシート部材を剥がし、
その後、前記基板の前記電子部品実装面とは反対側の面に予め設けられた所定の端子上に半田ペーストを塗布して、リフローを行い、前記所定の端子上に半田バンプを形成する、
請求項1乃至5のいずれかに記載の電子部品モジュールの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように電子部品を電磁波シールドで覆う技術では、以下のような不都合があった。まず、上記特許文献1,2の技術では、基板上の半導体チップの周囲は電磁波シールドで覆っているものの、基板の側面の全部あるいは一部は電磁波シールドで覆われていない。このため、電子部品モジュールに対する電磁波シールド効果が低い、という問題が生じる。
【0005】
また、上記特許文献3の技術では、基板の側面まで電磁波シールドで覆っているものの、電子部品モジュール自体の製造効率が低下する、という問題が生じる。つまり、特許文献3の技術では、個々の電子部品モジュールを製造した後に、その上面及び側面を覆う金属キャップを配置するという手順で製造する必要があるため、複数個の電子部品モジュールをまとめて製造することができず、製造効率が低下するという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述した課題である、電磁波シールド効果の低下と製造効率の低下を解決することができる電子部品モジュール、及び、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態である電子部品モジュールは、
基板と、当該基板の電子部品実装面上に実装された電子部品と、前記基板の電子部品実装面上で前記電子部品を覆う絶縁体と、前記絶縁体の外面と前記基板の側面とを覆う無電解めっきによる金属膜と、を備える電子部品モジュールであって、
前記基板は、当該基板の前記電子部品実装面とは反対側の面の周囲に、当該基板の内部側に向かう空間が形成された空間部が設けられ、
前記金属膜は、少なくとも前記空間部内における前記基板の前記電子部品実装面に対して垂直な面に位置する箇所を除いて前記電子部品モジュールの少なくとも一つの側面全体を覆って設けられている、
という構成を取る。
【0008】
また、上記電子部品モジュールでは、
前記金属膜は、前記空間部の形成箇所を除いて前記電子部品モジュールの少なくとも一つの側面全体を覆って設けられている、
という構成を取る。
【0009】
また、上記電子部品モジュールでは、
前記空間部は、前記基板の前記電子部品実装面とは反対側の面の全ての周囲に形成されており、
前記金属膜は、前記電子部品モジュールの全ての側面全体を覆って設けられている、
という構成を取る。
【0010】
また、上記電子部品モジュールでは、
前記空間部は、段差状に形成されている、
という構成を取る。
【0011】
また、上記電子部品モジュールでは、
前記段差状に形成された前記空間部は、前記基板の厚み方向における高さが5μmから50μm、奥行きが50μm以上、に形成されている、
という構成を取る。
【0012】
上記構成の本発明によると、電子部品モジュールは、電磁波が漏洩し易いまたは電磁波の影響を受け易い電子モジュールの側面全体が、金属膜にて覆われているため、電磁波シールド効果の向上を図ることができる。そして、製造過程において、電子部品モジュールを構成する基板の電子部品実装面とは反対側の面が所定のシート部材上に配置された状態で金属膜が形成された場合であっても、当該シート部材に配置されている面の周囲に空間部が形成されているため、かかる空間部に金属膜が形成されることを抑制できる。従って、電子部品モジュールの少なくとも一側面に形成される金属膜が、シート部材に連結して形成されることを抑制できる。その結果、電子部品モジュールからシート部材を剥がす作業が容易となり、製造効率の向上を図ることができる。
【0013】
また、本発明の他の形態である電子部品モジュールの製造方法は、
基板の電子部品実装面上に電子部品を実装し、
前記基板の前記電子部品実装面上で前記電子部品を絶縁体で覆い、
前記基板が所定のシート部材上に配置された状態で、当該シート部材の少なくとも一部を残して1個の電子部品モジュール又は複数個の電子部品モジュール群に切断し、
前記絶縁体の外面と前記基板の側面とを無電解めっきによる金属膜で覆うと共に、
前記基板が前記所定のシート部材上に配置される前に、前記電子部品モジュール又は前記電子部品モジュール群に切断された状態における前記基板の前記電子部品実装面とは反対側の面の周囲の少なくとも一部に、当該基板の内部側に向かう空間が形成された空間部を設ける、
という構成を取る。
【0014】
また、上記電子部品モジュールの製造方法では、
前記金属膜で覆う工程は、少なくとも前記空間部内における前記基板の前記電子部品実装面に対して垂直な面に位置する箇所を除いて前記電子部品モジュールの少なくとも一つの側面全体を前記金属膜で覆う、
という構成を取る。
【0015】
また、上記電子部品モジュールの製造方法では、
前記金属膜で覆う工程は、前記空間部の形成箇所を除いて前記電子部品モジュールの少なくとも一つの側面全体を前記金属膜で覆う、
という構成をとる。
【0016】
また、上記電子部品モジュールの製造方法では、
前記空間部を設ける工程は、前記基板の前記電子部品実装面とは反対側の面の全ての周囲に、当該基板の内部側に向かう空間が形成された前記空間部を設け、
前記金属膜で覆う工程は、前記電子部品モジュールの全ての側面全体を前記金属膜で覆う、
という構成をとる。
【0017】
また、上記電子部品モジュールの製造方法では、
前記空間部を設ける工程は、前記空間部を段差状に形成すると共に、前記空間部の前記基板の厚み方向における高さを5μmから50μm、奥行きを50μm以上、に形成する、
という構成をとる。
【0018】
また、上記電子部品モジュールの製造方法では、
前記金属膜で覆った後に、前記所定のシート部材とは反対側に位置する前記金属膜で覆われた面に所定温度のリフローに耐えうる他のシートを固着すると共に、前記基板の前記電子部品実装面とは反対側の面から前記所定のシート部材を剥がし、
その後、前記基板の前記電子部品実装面とは反対側の面に予め設けられた所定の端子上に半田ペーストを塗布して、リフローを行い、前記所定の端子上に半田バンプを形成する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように構成されることにより、電子部品モジュールの電磁波シールド効果の向上を図りつつ、その製造効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態1における電子部品モジュールを製造する動作を示すフローチャートである。
【
図2A】本発明の実施形態1における電子部品モジュールを製造する各工程の様子を示す図である。
【
図2B】本発明の実施形態1における電子部品モジュールを製造する各工程の様子を示す図であり、
図2Aの続きを示す図である。
【
図2C】本発明の実施形態1における電子部品モジュールを製造する各工程の様子を示す図であり、
図2Bの続きを示す図である。
【
図3A】本発明の実施形態1における電子部品モジュールを製造する各工程における
図2A〜
図2CのA−A断面を示す図である。
【
図3B】本発明の実施形態1における電子部品モジュールを製造する各工程における
図2A〜
図2CのA−A断面を示す図であり、
図3Aの続きを示す図である。
【
図3C】本発明の実施形態1における電子部品モジュールの構成を示す図であり、
図3B(b)の一部の拡大図である。
【
図4】本発明の比較対象となる電子部品モジュールを製造する方法における各工程の様子を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態1における電子部品モジュールの構成を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態2における電子部品モジュールを製造する動作を示すフローチャートである。
【
図7A】本発明の実施形態2における電子部品モジュールを製造する各工程の様子を示す図である。
【
図7B】本発明の実施形態2における電子部品モジュールを製造する各工程の様子を示す図であり、
図7Aの続きを示す図である。
【
図7C】本発明の実施形態2における電子部品モジュールを製造する各工程の様子を示す図であり、
図7Bの続きを示す図である。
【
図8A】本発明の実施形態2における電子部品モジュールを製造する各工程における
図7A〜
図7CのB−B断面を示す図である。
【
図8B】本発明の実施形態2における電子部品モジュールを製造する各工程における
図7A〜
図7CのB−B断面を示す図であり、
図8Aの続きを示す図である。
【
図9】本発明の実施形態2における電子部品モジュールの構成を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態3における電子部品モジュールを製造する動作を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態3における電子部品モジュールを製造する各工程の様子を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態3における電子部品モジュールを製造する各工程における
図11のC−C断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態における電子部品モジュールを製造する動作を示すフローチャートである。
図2A乃至
図3Cは、本実施形態における電子部品モジュールを製造する各工程の様子を示す図である。
図4は、本発明の比較対象となる電子部品モジュールを製造する方法における各工程の様子を示す図である。
図5は、本実施形態における電子部品モジュールの構成を示す図である。
【0022】
以下、
図1乃至
図4を参照して、本実施形態における電子部品モジュールを製造する方法を説明する。
図2A乃至
図2Cは、基板20の上方から見た図である。
図3A乃至
図3Cは、基板20の側方から見た図であり、
図2A乃至
図2CにおけるA−A線断面図を示したものである。また、
図5に、本実施形態における電子部品モジュールの構成を示す。なお、本実施形態における電子部品モジュールは、基板上に実装された電子部品が絶縁体にてモールドされ、その周囲を電磁波シールドした構成のものである。
【0023】
まず、
図2A(a)及び
図3A(a)に示すように、複数の接続端子21が形成された基板20を、粘着性を有する第一のシート11に装着する(ステップS1)。このとき、基板20の接続端子21が形成された面である接続端子形成面とは反対側の面である電子部品実装面を、第一のシート11に装着する。
【0024】
ここで、上記基板20は、例えば、ガラスエポキシ基板やアルミナ基板などのプリント基板である。そして、基板20は、縦横に12個×12個、合計144個の電子部品モジュール100が形成できる大きさのものであり、個々の電子部品モジュール100に対応して、接続端子21が一方の面(接続端子形成面)に形成されており、また、電子部品を実装する導体パターンが他の方の面(電子部品実装面)に形成されている。なお、個々の電子部品モジュール100は、例えば、100μmから300μmの間隔をあけて形成されるよう、上記接続端子21や導体パターンがそれぞれ形成されている。ここで、
図2や
図3では、基板20の一部のみを図示しており、また、接続端子21もその一部のみを図示している。また、基板20の大きさは、上記大きさに限定されない。
【0025】
また、上記第一のシート11は、例えば、UVシートであるが、粘着性を有して基板20を固定できるものであれば、いかなるシートであってもよい。なお、第一のシート11の粘着力は、固定した基板20を簡単にはがせる程度であり、シートの粘着力を発揮する粘着材料は、後述するめっき液に浸食されにくいものであるとよい。後述する第二のシート12も、第一のシート11と同様の構成である。
【0026】
続いて、
図2A(b)及び
図3A(b)に示すように、第一のシート11に固着された基板20の接続端子形成面に、所定の深さの溝22を格子状に形成する(ステップS2)。この溝22は、後述するように、電子部品モジュール100の基板20の接続端子形成面における外形部分に位置し、電子部品モジュール100の側面に対して内部側に向かって段差状の空間部22’を形成するものである(
図5参照)。
【0027】
上記溝22は、例えば、基板20の接続端子形成面にレジストを形成し、当該レジストを部分的に除去して溝パターンを形成し、エッチングにより形成する。そして、溝22の深さ、つまり、基板20の厚み方向における溝22の高さは、例えば、5μmに形成する。但し、溝22の高さは5μmに限定されず、いかなる高さに形成してもよいが、レジストの厚みによって16μm、32μm、48μm、50μmというように、5μmから50μmの高さに形成すると望ましい。なお、その理由については後述する。
【0028】
上記溝22の幅は、レジストの溝パターンの幅によって決まるが、後述するように電子部品モジュール100の外形よりも当該電子部品モジュール100の内側に所定の長さだけ入り込むような長さ(奥行き)に形成する。例えば、電子部品モジュール100の外形から内側に向かって、50μm以上100μm以下に入り込むよう、溝22の幅を形成するとよい。従って、溝22を挟んで相互に隣り合う各電子部品モジュール100の間隔を100μmから300μmとした場合には、それぞれの電子部品モジュール100の外形から内側に向かって入り込んで形成される空間部22’の長さ(奥行き)を考慮すると、上記間隔よりも溝22の幅を50μmの2倍から100μmの2倍の長さだけ広く形成する必要があり、例えば、200μmから500μmの幅とするとよい。なお、溝22の幅を上述した値とする理由については後述する。
【0029】
なお、上記では、溝22をソルダーレジスト工程により形成したが、ブレードを用いて切削加工して形成してもよく、その他のいかなる方法で形成してもよい。
【0030】
続いて、
図3A(c)に示すように、第一のシート11に固着された基板20を、当該第一のシート11から剥がして取り外す(ステップS3)。そして、
図2A(c)、
図3A(d)に示すように、基板20の接続端子形成面つまり上記溝22を形成した溝形成面を、第一のシート11と同様に粘着性を有する第二のシート12に貼り付けて装着する(ステップS4)。つまり、基板20をひっくり返して溝形成面を下側にし、かかる溝形成面に第二のシート12を固着する。なお、第二のシート12は、第一のシート11をそのまま使用してもよい。
【0031】
続いて、
図2B(a)、
図3A(e)に示すように、基板20の溝形成面とは反対側の面である電子部品実装面に、電子部品を実装する(ステップS5)。このとき、個々の電子部品モジュールに対応する箇所に、それぞれ電子部品を実装して、複数の電気回路を形成する。これにより、複数の電子部品モジュール100の集合体が形成される。
【0032】
続いて、
図2B(b)、
図3A(f)に示すように、基板20の電子部品実装面を絶縁樹脂によりトランスファーモールド成形して、平板状のモールド部30を形成する(ステップS6)。モールド方法としては、例えば、インサート樹脂形成で行う。なお、絶縁樹脂は絶縁体であればいかなる材料であってもよい。
【0033】
続いて、
図2B(c)、
図3B(a)に示すように、モールド部30を形成した電子部品モジュール100の集合体を、モールド部30上から個々の電子部品モジュール間を切削して切断する(ステップS7)。このとき、切削部分23の深さは、モールド部30及び基板20を切断する深さであるが、第二のシート12の一部を残した所定の厚みの位置までの深さとなる。つまり、切断により電子部品モジュール100は個片化されるが、第二のシート12は完全に切断されず、厚み方向の一部が切り残された状態となる。これにより、電子部品モジュール100が個片化された後でも、一枚の第二のシート12に固着された状態で連結しているため、その後の搬送が容易となる。
【0034】
そして、切削部分23の幅は、予め設定された各電子部品モジュール100の間隔に応じて設定されるが、100μm以上、300μm以下である。このとき、上述したように基板20の溝形成面(接続端子形成面)に形成された格子状の溝22の位置を、当該溝22の幅よりも狭い幅の歯で切削する。すると、溝22は切削部分23の幅よりも広く形成されているため、各電子部品モジュール100を構成する基板20の溝形成面には、溝22の幅方向の両端部分が空間部22’として段差状に形成されることとなる(
図3C参照)。具体的に、電子部品モジュール100の溝形成面側の外形は、電子部品モジュール100の側面の外形よりも、内側に向かって50μmから100μmほど切除されて形成され、段差状の空間部22’が形成されることとなる。そして、段差状の空間部22’の高さは、溝22の深さ(高さ)である5μmから50μmとなる。
【0035】
続いて、
図2C(a)、
図3B(b)に示すように、第二のシート12上に固着された複数の電子部品モジュール100を無電解めっき液に浸漬し、個片化された電子部品モジュール100の露出面、つまり、モールド部30の外面と基板20の側面に、導電性の金属膜40を形成する(ステップS18)。これにより、各電子部品モジュール100の外面全体に対して(基板20の接続端子形成面を除いて)、金属膜40による電磁波シールドを形成することができ、磁気漏洩防止効果および磁気遮蔽効果の向上を図ることができる。
【0036】
さらに、本発明では、電子部品モジュール100の第二のシート12との固着面の外周に空間部22’が形成されているため、かかる空間部22’形成箇所には金属膜40が形成されることなく、電子部品モジュール100と第二のシート12とが金属膜40で繋がることがない。
【0037】
ここで、
図3Cに、
図3B(b)の一部の拡大図を示す。この図に示すように、めっき処理を行った場合であっても、電子部品モジュール100の第二のシート12との固着面の外周に形成された微小な隙間である空間部22’には、金属膜40が入り込んで形成されることがない。特に、空間部22’の高さが5μm以上50μm以下とし、その奥行きが50μm以上100μm以下とすることで、めっき液に含まれる還元剤の酸化によって放出される電子が空間部22’に浸入せず、無電解めっきによる金属膜40が空間部22’内に付着することを有効に抑制できる。
【0038】
なお、空間部22’の高さが5μm未満の場合には、基板20を固定する第二のシート12のたわみ等により、当該第二のシートと基板20とがめっきで繋がることも起こりうる。すると、第二のシート12から電子部品モジュール100を外す際に、めっきによるバリが発生することもあり、好ましくない。一方で、空間部22’の高さが50μm超過の場合には、電子部品モジュール100自体の高さが高くなり、低背化にできないため望ましくない。また、めっき液が空間部22’に侵入して潤滑してしまい、溝内部もめっきされてしまう可能性もあるため、好ましくない。なお、上記は、様々な高さの空間部22’を形成して実験した結果である。
【0039】
また、空間部22’の奥行きは、50μm未満の場合には空間を十分に形成することができず、めっき液に含まれる還元剤の酸化によって放出される電子が浸入しやすいため、無電解めっきが付着する可能性があり、好ましくない。奥行きが50μm以上であれば、電子が侵入しにくいため、無電解めっきが付着しないため、幅をいくらでも大きくすることは可能である。但し、空間部22’の段差状の領域が大きくなるので、シールド付電子部品の面積が大きくなるという不都合が生じる。このため、空間部22’の奥行きは、50μm以上100μm以下であることが望ましい。なお、上記は、空間部22’の奥行きが、50μm〜100μmで10μm間隔のものを製造して実験した結果である。
【0040】
なお、上述したように電子部品モジュール100を個片化すべく切削を行う際の切削部分23の幅は、100μm以上、300μm以下であることが望ましい。これは、各電子部品モジュール100は第二のシート12上に相互に隣接して形成されるが、上記幅の切削部分23を形成することで、隣接する各電子部品モジュール100の各側面に確実に無電解めっきによる金属膜40を形成できることとなる。逆に言うと、切削部分23の幅が100μm未満の場合には、無電解めっきを形成したい箇所に無電解めっきが形成されないおそれがあり、切削部分23の幅が300μm超過の場合には、電子部品モジュール100の取り個数が減ってしまう、という不都合がある。
【0041】
ここで、
図3Cでは、空間部22’形成箇所に金属膜40が全く形成されていない状態を示しているが、空間部22’内の一部に金属膜40が形成されてもよい。その場合であっても、少なくとも空間部22’内の基板20の接続端子形成面に位置する箇所であり、特に、電子部品実装面に対して垂直な面に位置する箇所、つまり、基板20と第二のシート12との接触箇所、に金属膜40が形成されなければよい。これは、上述したように、空間部22’を設け、特に、当該空間部22’の高さや奥行きの長さを上述のようにすることで可能となる。
【0042】
なお、空間部22’は、上述したように必ずしも段差状に形成されることに限定されない。例えば、空間部22’の形状は、くさび型形状などいかなる形状であってもよく、少なくとも第二のシート12と基板20との接触箇所の周囲に、空間が形成されていればよい。なお、空間部22’の形状は、溝22の幅方向の両端部分の形状による。
【0043】
その後、
図2C(b)、
図3B(c)に示すように、第二のシート12から個々の電子部品モジュール100を剥がして取り外す(ステップS9)。このとき、上述したように、電子部品モジュール100の基板20と第二のシート12とが、金属膜40で繋がっていないため、各電子部品モジュール100を第二のシート12から容易に取り外すことができる。
【0044】
ここで、本発明と比較する他の電子部品モジュール、及び、その製造方法を、
図4を参照して説明する。まず、
図4(a)に示すように、第二のシート312に基板320を固着し、当該基板320の電子部品実装面上に電子部品331を実装して、その上部にモールド部330を形成する。但し、ここでは、基板320の接続端子形成面に、上述した溝22を形成していない。
【0045】
続いて、
図4(b)に示すように、電子部品モジュール300を個片化するために、電子部品モジュール300間を切削する。このとき、切削部分323は第二のシート312を貫通しないため、当該第二のシート312は分断されず、厚み方向の一部が切り残された状態となる。
【0046】
その後、無電解めっきを行うと、
図4(c)に示すように、個片化された電子部品モジュール300の露出面に導電性の金属膜340が形成される。このとき、金属膜340は、電子部品モジュール300の基板320と第二のシート312との接触箇所にも形成されるため、当該金属膜340にて電子部品モジュール300の基板320と第二のシート312とが繋がった状態となる。このため、第二のシート312から電子部品モジュール300を取り外す際には、当該電子部品モジュール300の基板320の電子部品実装面側の縁部を切断する必要があるが、かかる作業の手間が生じると共に、金属膜340の切断によるバリが生じることもある。
【0047】
これに対して、本発明では、上述したように空間部22’を設けることで、電子部品モジュール100の基板20と第二のシート12とが金属膜40で繋がることがなく、各電子部品モジュール100を第二のシート12から容易に取り外すことができる。その結果、製造効率の向上を図ることができる。さらに、このようにして製造した電子部品モジュール100は、
図5に示すように、全ての側面が空間部22’の形成箇所を除いてほぼ全面的に金属膜40で覆われているため、磁気漏洩防止効果および磁気遮蔽効果の向上も図ることができる。
【0048】
なお、上述した説明で参照した図面は、電子部品モジュール100の製造方法を模式的に示したものであり、各構成の形状や寸法比率は、図示したものに限定されない。また、以下の他の実施形態で参照する図面も同様である。
【0049】
<実施形態2>
本発明の第2の実施形態を、
図6乃至
図9を参照して説明する。
図6は、本実施形態における電子部品モジュールを製造する動作を示すフローチャートである。
図7A乃至
図8Bは、本実施形態における電子部品モジュールを製造する各工程の様子を示す図である。
図9は、本実施形態における電子部品モジュールの構成を示す図である。
【0050】
以下、
図6乃至
図8を参照して、本実施形態における電子部品モジュールを製造する方法を説明する。そして、
図7A乃至
図7Cは、基板20の上方から見た図である。
図8A乃至
図8Bは、基板20の側方から見た図であり、
図7A乃至
図7CにおけるB−B線断面図を示したものである。また、
図9に、本実施形態における電子部品モジュールの構成を示す。なお、本実施形態における電子部品モジュールは、上述した実施形態1で製造したものとほぼ同様の構成を取っているが、電子部品モジュール200の全ての側面が電磁波シールドで覆われておらず、一部の側面のみが覆われている点で異なる。
【0051】
まず、
図7A(a)及び
図8A(a)に示すように、複数の接続端子21が形成された基板20を、粘着性を有する第一のシート11に装着する(ステップS11)。このとき、基板20の接続端子21が形成された面である接続端子形成面とは反対側の面である電子部品実装面を、第一のシート11に装着する。なお、基板20などの構成は、上述した実施形態1で説明したものと同様である。
【0052】
続いて、
図7A(b)及び
図8A(b)に示すように、第一のシート11に固着された基板20の接続端子形成面に、所定の深さの溝22を形成する(ステップS12)。このとき、本実施形態では、格子状ではなく、直線状の溝22を形成する。つまり、電子部品モジュール200を構成する基板20の接続端子形成面において相互に対向して対となる2つの辺にのみ、空間部22’が形成されるよう溝22を形成する。なお、溝22の形成方法や形状、寸法などは、上述した実施形態1と同様である。
【0053】
続いて、
図8A(c)に示すように、第一のシート11に固着された基板20を、当該第一のシート11から剥がして取り外す(ステップS13)。そして、
図7A(c)、
図8A(d)に示すように、基板20の接続端子形成面つまり上記溝22を形成した溝形成面を、第一のシート11と同様に粘着性を有する第二のシート12に貼り付けて装着する(ステップS14)。つまり、基板20をひっくり返して溝形成面を下側にし、かかる溝形成面に第二のシート12を固着する。なお、第二のシート12は、第一のシート11をそのまま使用してもよい。
【0054】
続いて、
図7B(a)、
図8A(e)に示すように、基板20の溝形成面とは反対側の面である電子部品実装面に、電子部品を実装する(ステップS15)。このとき、個々の電子部品モジュールに対応する箇所に、それぞれ電子部品を実装して、複数の電気回路を形成する。これにより、複数の電子部品モジュール200の集合体200’が形成される。
【0055】
続いて、
図7B(b)、
図8A(f)に示すように、基板20の電子部品実装面を絶縁樹脂によりトランスファーモールド成形して、平板状のモールド部30を形成する(ステップS16)。モールド方法としては、例えば、インサート樹脂形成で行う。なお、絶縁樹脂は絶縁体であればいかなる材料であってもよい。
【0056】
続いて、
図7B(c)、
図8B(a)に示すように、モールド部30を形成した電子部品モジュール200の集合体200’に対して、溝22に沿って連なる複数の電子部品モジュール群200’の間を、モールド部30上から切削して切断する(ステップS17)。このとき、切削部分23の深さは、モールド部30及び基板20を切断する深さであるが、第二のシート12の一部を残した所定の厚みの位置までとなる。つまり、電子部品モジュール群200’はそれぞれ分断されるが、第二のシート12は分断されず、厚み方向の一部が切り残された状態となる。
【0057】
ここで、切削部分23の幅は、上述同様に、溝22の幅よりも狭い幅である。これにより、各電子部品モジュール200を構成する基板20の溝形成面には、相互に対向して対となる2つの辺にのみ、空間部22’として段差状に形成されることとなる(
図9参照)。なお、空間部22’の寸法は、上述した実施形態1の場合と同様である。
【0058】
続いて、
図7C(a)、
図8B(b)に示すように、上述したように第二のシート12上に固着された電子部品モジュール群200’を無電解めっき液に浸漬し、電子部品モジュール群200’の露出面、つまり、モールド部30の外面と基板20の側面に、導電性の金属膜40を形成する(ステップS18)。これにより、電子部品モジュール200において相互に対向して対となる2つの側面に対して、基板20の接続端子形成面を除いて、金属膜40による電磁波シールドを形成することができ、磁気漏洩防止効果および磁気遮蔽効果の向上を図ることができる。
【0059】
さらに、本発明では、電子部品モジュール200の第二のシート12との固着面の外周の一部に、空間部22’が形成されているため、かかる空間部22’形成箇所には金属膜40が形成されることなく、電子部品モジュール200と第二のシート12とが金属膜40で繋がることがない。
【0060】
続いて、
図7C(b)に示すように、複数の電子部品モジュール200が連なる電子部品モジュール群200’から、個々の電子部品モジュール200を個片化すべく、上記直線状の切削部分23に対して直交する方向に切削する(ステップS19)(符号24参照)。このときの切削部分24の深さは、モールド部30及び基板20を切断する深さであるが、第二のシート12の一部を残した所定の厚みの位置までとなる。
【0061】
その後、
図7C(c)、
図8B(c)に示すように、第二のシート12から個々の電子部品モジュール200を剥がして取り外す(ステップS20)。このとき、上述したように、電子部品モジュール200の基板20と第二のシート12とが、金属膜40で繋がっていないため、各電子部品モジュール200を第二のシート12から容易に取り外すことができる。さらに、このようにして製造した電子部品モジュール200は、
図9に示すように、相互に対向して対となる2つの側面が、空間部22’の形成箇所を除いてほぼ全面的に金属膜40で覆われているため、磁気漏洩防止効果および磁気遮蔽効果の向上も図ることができる。
【0062】
なお、上記では、外形が矩形の電子部品モジュール200において相互に対向して対となる2つの側面に電磁波シールドとなる金属膜40を形成すると共に、かかる側面に空間部22’を形成した場合を例示したが、少なくとも1つの側面のみに金属膜40を形成すると共に空間部22’を形成してもよい。例えば、電子部品モジュール200の1つの側面に対応する位置のみに、上述した溝22やめっき処理前の切削部分23を形成してめっき処理を行うことで、1つの側面のみを覆う金属膜40を形成することも可能である。
【0063】
<実施形態3>
本発明の第3の実施形態を、
図10乃至
図12を参照して説明する。
図10は、本実施形態における電子部品モジュールを製造する動作を示すフローチャートである。
図11乃至
図12は、本実施形態における電子部品モジュールを製造する各工程の様子を示す図である。特に、
図11は基板20の上方から見た図であり、
図12は基板20の側方から見た図であり、
図11におけるC−C線断面図を示したものである。
【0064】
本実施形態における電子部品モジュールは、上述した実施形態1で製造した電子部品モジュール100の基板20に形成された接続端子21に、半田バンプを形成したものである。なお、電子部品モジュール100を形成する方法は実施形態1とほぼ同一であるため、その説明は省略し、半田バンプを形成する工程について詳しく説明する。
【0065】
まず、
図11(a)、
図12(a)は、実施形態1の
図1:ステップ8で説明したように、無電解めっきが行われた状態を表している。つまり、個片化された電子部品モジュール100は、空間部22’を形成したことによって第二のシート12とは金属膜40で連結されていない状態である。かかる状態では、第二のシート12から取り外すことで電子部品モジュール100が完成するが、本実施形態では、さらに、接続端子21に半田バンプ電極50’を形成する。
【0066】
上述した
図1のステップ8の状態から、
図11(b)、
図12(b)に示すように、電子部品モジュール100の上面側に形成された金属膜40のさらに上面、つまり、電子部品モジュール100の第二のシート12側とは反対側に、耐熱性及び粘着性を有する第三のシート13を装着する(ステップS31)。その後、
図11(c)、
図12(c)に示すように、電子部品モジュール100から第二のシート12を剥がして取り外す(ステップS32)。なお、
図11(c)、
図12(c)は、
図11(b)、
図12(b)の状態から第二のシート12を取り外して、上下をひっくり返した時の様子を示しており、複数の電子部品モジュール100は第三のシート13に固着され保持されている。
【0067】
ここで、第三のシート13は、半田リフロー時の温度に耐えることができる程度の耐熱性と、電子部品モジュール100を固着可能な粘着性と、を有していればよく、例えば、マジックレジン(登録商標)を用いるとよい。
【0068】
続いて、
図12(d)に示すように、各電子部品モジュール100を構成する基板20の接続端子面に形成された各接続端子21上に、半田ペースト50を塗布する(ステップS33)。例えば、基板20の接続端子面側に接続端子21の位置に対応したマスクを施し、半田ペースト50を印刷することで塗布する。但し、半田ペースト50の塗布方法は、上記方法に限定されない。
【0069】
続いて、半田ペースト50を塗布した電子部品モジュール100を、第三のシート13に固着された状態で半田リフローを行う(ステップS34)。これにより、各電子部品モジュール100の各接続端子21に、半田バンプ電極50’を形成することができる。その後、電子部品モジュールを第三のシート13から取り外す(ステップS35)。
【0070】
以上のように、電子部品モジュール100に半田バンプ電極50’の形成を製造工程の最後に行うことで、電子部品モジュール100自体の品質の向上を図ることができる。つまり、本実施形態とは異なり、製造工程の最初の工程から半田バンプ電極を有する基板を使用する場合には、各工程においてはんだバンプ電極が存在するので、半田バンプ電極が潰れるなど強度的にもたないという問題が生じたり、無電解めっきの際に、半田バンプ電極の大きさによっては、電子が空間部22’に侵入してめっきしてはいけない箇所に無電解めっきされたりするおそれがあった。ところが、本実施形態のように、半田バンプ電極50’の形成を、一連の製造工程の最後に持ってくることで、上述した問題は解消し、製品品質の向上を図ることができる。