【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置は、エアバッグが、インフレーターからの膨張用ガスの流入時、車両の前席側方の窓の上縁側の収納部位から下方へ展開しつつ、車内側壁部と車外側壁部とを離すように膨張して、前記窓の車内側を覆う前膨張遮蔽部を備え、
該前膨張遮蔽部が、主膨張部と、該主膨張部の前側に配置されて、前記主膨張部の膨張完了後に膨張を完了させるように前記主膨張部と連通する副膨張部と、を備え、
前記副膨張部が、膨張完了時の下端に、前記窓のベルトラインの下方における車体側部材の車内側に支持される支持膨張部を備え、
前記エアバッグが、平らに展開した状態の下縁側を上縁側に接近させる上下寸法縮小折りにより、折り畳まれて、前記収納部位に収納される頭部保護エアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、前記上下寸法縮小折りの前に、平らに展開した状態の前記副膨張部の前下隅部を、前記エアバッグの前縁から下縁にかける斜め後下方向に沿う折目を付けて、前記車内側壁部における前記ベルトラインに対応する位置より上方の車内側に配置させる内折りを行って、前記収納部位に収納されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグが膨張用ガスを流入させると、折り畳み順序と逆の態様で折りを解消しつつ、エアバッグは、収納部位から展開膨張する。そして、エアバッグの前膨張遮蔽部では、折りの解消の最終段階で、内折りした副膨張部の前下隅部が、窓のベルトラインの下方の車体側部材の車内側に重なるように、展開しつつ、膨張する。そのため、車体側部材が車内側に押し込まれていても、円滑に、副膨張部は、下端の支持膨張部を含めて、ベルトライン下方の車体側部材の車内側に展開し、そして、厚さを増すように膨張することができて、エアバッグの前膨張遮蔽部は、車外側に移動し難く、車両のロールオーバ時、乗員を車内側に的確に拘束できて、所定の乗員拘束性能を発揮できる。
【0012】
また、乗員頭部が窓に接近していても、エアバッグの折り畳み当初に車内側に折り返される部位が、前膨張遮蔽部の主膨張部の前方に配置される副膨張部の前下隅部であり、換言すれば、車両の側面衝突時に膨張する主膨張部の前方側の前縁側である。そのため、側面衝突対応時の膨張当初に、乗員頭部が窓に接近していても、折り返した副膨張部の前下隅部付近は、乗員頭部と接触し難く、接触したとしても、折り返した後部側の小さい三角部位であって、その三角部位は、乗員頭部と窓との間に容易に進入する。その結果、エアバッグは、前膨張遮蔽部の下縁までの全域を、展開させることが可能となり、良好な割り込み性能を維持できる。
【0013】
したがって、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、車両のロールオーバ時のエアバッグの良好な乗員拘束性能とエアバッグの良好な割り込み性能とを確保できる。
【0014】
本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、前記上下寸法縮小折りが、前記エアバッグの下縁側を前記車外側壁部の側に巻く外ロール折りを主体として、前記エアバッグを折り畳んでいることが望ましい。
【0015】
このような上下寸法縮小折りにより、エアバッグが折り畳まれていれば、展開膨張時における上下寸法縮小折りの解消時、エアバッグは、窓に沿って展開し易く、安定した割り込み性能を確保できる。
【0016】
また、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、前記エアバッグが、上縁側に、前記窓の上縁側の車体側に取り付ける複数の取付部を備えるとともに、
前端の前記取付部が、前記エアバッグの前縁に配設されていれば、
前記内折りの折目は、
上端を前記エアバッグの前端の前記取付部の直下付近に配置し、下端を前記副膨張部の下端の後下隅部を越えた後方側に配置させて、
前端の前記取付部の直下から前記後下隅部を通るような直線として設定することが望ましい。
【0017】
このような構成では、内折りとして、主膨張部を折ること無く、副膨張部の領域内での内折りした部位の面積を広く確保できることから、側面衝突時の車体側部材の車内側への移動量が大きくとも、容易に対処して、副膨張部が、支持膨張部を車体側部材の車内側に配置させることができる。
【0018】
勿論、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、前記エアバッグの内折りの折目は、前記エアバッグの前縁から下縁に向けて、斜め後下向きの45°の傾斜角度として、下端を副膨張部の前後方向の中間付近に配置させるように設定されていてもよい。
【0019】
さらに、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、前記上下寸法縮小折りにおける外ロール折りの前に、前記内折り後の前記エアバッグの下縁側が、前後方向に沿った折目を付けて車外側に外折りされていてもよい。
【0020】
このような構成では、外ロール折りする折り治具(具体的には、外折りした折目付近の全域を吸引して巻く折り治具)を、その折目の直線に合わせて円滑に配置できて、外ロール折りが行い易くなる。
【0021】
さらにまた、本発明に係る頭部保護エアバッグ装置では、前記エアバッグが、
前記前膨張遮蔽部の車両後方側に後膨張遮蔽部を備えるとともに、
膨張完了時の前後方向の中央付近の上縁側に、前記前膨張遮蔽部と前記後膨張遮蔽部とを連通する連通部を備えていれば、
前記連通部の上下方向の上側半分の領域を、前後方向に沿った折目を付けた蛇腹折りして、
前記収納部位に収納されることが望ましい。
【0022】
このような構成では、エアバッグに膨張用ガスが供給されて、連通部が折りを解消する際、蛇腹折りの折りの解消が、外ロール折りより素早く行われることから、前膨張遮蔽部と後膨張遮蔽部とが、迅速に連通して膨張できる。
【0023】
本発明に係るエアバッグの折り畳み方法では、エアバッグが、
インフレーターからの膨張用ガスの流入時、車両の前席と後席との側方の窓の上縁側の収納部位から下方へ展開しつつ、車内側壁部と車外側壁部とを離すように膨張して、前記前席と前記後席との側方の前記窓の車内側を覆う前膨張遮蔽部及び後膨張遮蔽部と、
前記エアバッグの膨張完了時の前後方向の中央付近の上縁側に配置されて、前記前膨張遮蔽部と前記後膨張遮蔽部とを連通する連通部と、
を備え、
前記前膨張遮蔽部が、主膨張部と、該主膨張部の前側に配置されて、前記主膨張部の膨張完了後に膨張を完了させるように前記主膨張部と連通する副膨張部と、を備え、
前記副膨張部が、膨張完了時の下端に、前記窓のベルトラインの下方における車体側部材の車内側に支持される支持膨張部を備えて、
頭部保護エアバッグ装置に使用される構成とし、
前記収納部位に収納可能に折り畳むエアバッグの折り畳み方法であって、
平らに展開した状態の下縁側を上縁側に接近させる上下寸法縮小折り工程と、
該上下寸法縮小折り工程の前に、平らに展開した状態の前記副膨張部の前下隅部を、前記エアバッグの前縁から下縁にかける斜め後下方向に沿う折目を付けて、前記車内側壁部における前記ベルトラインに対応する位置より上方の車内側に配置させる内折り工程と、
を含んで構成されることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る折り畳み方法では、折り畳まれて収納部位に収納されたエアバッグが膨張用ガスを流入させると、折り畳み順序と逆の態様で折りを解消しつつ、エアバッグは、収納部位から展開膨張する。そして、エアバッグの前膨張遮蔽部では、折りの解消の最終段階で、内折りした副膨張部の前下隅部が、窓のベルトラインの下方の車体側部材の車内側に重なるように、展開しつつ、膨張する。そのため、車体側部材が車内側に押し込まれていても、円滑に、副膨張部は、下端の支持膨張部を含めて、ベルトライン下方の車体側部材の車内側に展開し、そして、厚さを増すように膨張することができて、エアバッグの前膨張遮蔽部は、車外側に移動し難く、車両のロールオーバ時、乗員を車内側に的確に拘束できて、所定の乗員拘束性能を発揮できる。
【0025】
また、乗員頭部が窓に接近していても、エアバッグの折り畳み当初に車内側に折り返される部位が、前膨張遮蔽部の主膨張部の前方に配置される副膨張部の前下隅部であり、換言すれば、車両の側面衝突時に膨張する主膨張部の前方側の前縁側である。そのため、側面衝突対応時の膨張当初に、乗員頭部が窓に接近していても、折り返した副膨張部の前下隅部付近は、乗員頭部と接触し難く、接触したとしても、折り返した後部側の小さい三角部位であって、その三角部位は、乗員頭部と窓との間に容易に進入する。その結果、エアバッグは、前膨張遮蔽部の下縁までの全域を、展開させることが可能となり、良好な割り込み性能を維持できる。
【0026】
したがって、本発明に係るエアバッグの折り畳み方法では、車両のロールオーバ時のエアバッグの良好な乗員拘束性能とエアバッグの良好な割り込み性能とを確保できるように、エアバッグを折り畳むことができる。
【0027】
本発明に係るエアバッグの折り畳み方法では、前記上下寸法縮小折り工程が、前記エアバッグの下縁側を前記車外側壁部の側に巻く外ロール折り工程を主体として、前記エアバッグを折り畳んでいることが望ましい。
【0028】
このような上下寸法縮小折り工程により、エアバッグが折り畳まれていれば、展開膨張時における上下寸法縮小折りの解消時、エアバッグは、窓に沿って展開し易く、安定した割り込み性能を確保できる。
【0029】
また、本発明に係るエアバッグの折り畳み方法では、前記外ロール折り工程が、前記エアバッグの下縁から前記連通部の上下方向の幅寸法の中央付近までの領域を外ロール折りすることが望ましい。
【0030】
このような構成では、エアバッグの全域、すなわち、エアバッグの上縁側の連通部の上下方向の中央付近から下方の全域が、外ロール折りされることから、一層、窓に沿って展開し易く、安定した割り込み性能を確保できる。
【0031】
さらに、本発明に係るエアバッグの折り畳み方法では、前記上下寸法縮小折り工程は、前記外ロール折り工程の前に、前記内折り工程後の前記エアバッグの下縁側を前後方向に沿った折目を付けて車外側に外折りする下縁外折り工程を、具備していることが望ましい。
【0032】
このような構成では、このような構成では、外ロール折りする折り治具(具体的には、外折りした折目付近の全域を吸引して巻く折り治具)を、その折目の直線に合わせて円滑に配置できて、外ロール折り工程が行い易くなる。
【0033】
さらにまた、本発明に係るエアバッグの折り畳み方法では、前記上下寸法縮小折り工程が、前記連通部の上下方向の上側半分の領域を前後方向に沿った折目を付けた蛇腹折りする蛇腹折り工程を、含むことが望ましい。
【0034】
このような構成では、エアバッグに膨張用がガスが供給されると、連通部が折りを解消する際、蛇腹折りの折りの解消が、外ロール折りより素早く行われることから、前膨張遮蔽部と後膨張遮蔽部とが、迅速に連通して膨張できる。