(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面は、例示のみを目的として一実施形態を示すものである。当業者であれば、以下の説明から、本明細書に記載の趣旨から逸脱することなく、本明細書に示された構成および方法の代替の形態が可能であることを容易に理解するであろう。
【0008】
I.概要
図1は、一実施形態に係るコンピュータ環境100の上位レベルブロック図である。
図1は、ネットワーク108を介して接続された、取引システム102、3つのユーザデバイス104、および3つの財務システム106を示している。例示されたコンピュータ環境100では、選択した数の各エンティティしか含まれていないが、別の実施形態では各エンティティを増減させること(例えば、ユーザデバイス104および財務システム106の数を増やすこと)ができる。
【0009】
図1では、同一の参照番号は同一の要素を示している。「104A」などの参照番号の後に続くアルファベットは、特定の参照番号における要素を具体化する文字を示している。「104」など、後に続くアルファベットのない参照番号は、参照番号が示す数字の任意のまたは全ての要素を示している(例えば、テキストにおける「104」は、その図における参照番号「104A」、「104B」、および/または「104C」を指す)。
【0010】
取引システム102は、グループの支出を追跡し、グループのメンバー間での残高の清算を可能とする。取引システム102では、ユーザが、グループのユーザの支出を追跡するグループを作成することができる。取引システム102には、グループのユーザの支払取引を含むグループごとの取引履歴が保存される。グループのユーザが支払いを行う(例えば、レストランで食事代を支払う)際に、取引システム102では、支払取引を支出としてグループの取引履歴に追加することができる。
【0011】
一実施形態では、取引システム102は、グループの取引履歴に含まれる支払取引に基づいて、グループのユーザの残高(例えば、ユーザ同士の借入額)を保存する。ユーザの残高は、ユーザの金融機関口座間での送金により清算することができる。取引システム102は、送金を開始するにあたり、適切な財務システム106と通信して残高の清算管理を行っている。残高の清算は、例えば、定期的(例えば、各月末)またはユーザの要求に応じて行ってもよい。
【0012】
ユーザデバイス104は、ユーザがネットワーク108に接続されたエンティティと通信するための電子デバイスである。一実施形態では、コンピュータ環境100におけるユーザデバイス104には、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、携帯情報端末(PDA)などの、移動コンピューティングデバイスが含まれる。一実施形態では、コンピュータ環境100におけるユーザデバイス104には、デスクトップPCなどの、有線接続を介してネットワーク108に接続された演算装置が含まれる。
【0013】
ユーザは、ユーザデバイス104を使用して、人またはエンティティに支払いを行うことができる。モバイルユーザデバイス104には、ユーザがモバイル決済できるアプリケーションを備えてもよい。一実施形態では、ユーザデバイス104では、チェックアウト端末(例えば、モバイル決済リーダ)と通信して支払いが行われる。一実施形態では、ユーザデバイス104では、ネットワーク108を介した支払システムと通信して支払いが行われる。支払いは、例えば、クレジットカードまたは口座間の送金で行われてもよい。
【0014】
一実施形態では、ユーザがユーザデバイス104を使用して支払いを行うと、ユーザデバイス104から、ユーザによって支払いが行われたことを示すメッセージが取引システム102に送信される。一実施形態では、いつ支払いが行われたか、支払先、および支払額などの、支払いに関する情報が含まれる。
【0015】
ユーザデバイス104を使用して、ユーザは、取引システム102と通信して新しいグループを作成することおよびユーザにグループへの参加を招待することができる。ユーザは、さらに、取引システム102と通信して、グループの支払取引を参照すること、グループの取引履歴に支払取引の追加を要求すること、およびグループのユーザに対する残高を清算することができる。
【0016】
財務システム106は、財務サービスを提供する金融機関の電子システムの代理となる。金融機関は、例えば、銀行またはクレジットカードの発行会社でもよい。ユーザは、金融機関に口座を開設する。ユーザが有する金融機関の口座の1タイプは、ユーザが引出または預入できる口座(例えば、普通または当座預金口座)である。ユーザが有する金融機関口座の別のタイプは、ユーザが他のエンティティに支払う金額を借入れできる限度額が付与されたリボルビング口座(例えば、クレジットカードの口座)である。
【0017】
一実施形態では、財務システム106は、財務システム106の金融機関の口座を使用してユーザが支払いを行った情報を取引システム102に提供する。一実施形態では、要求に応じて、支払取引情報が財務システム106から取引システム102に提供される。例えば、取引システム102は、ユーザの口座の支払取引情報を財務システム106に定期的に要求してもよい。
【0018】
一実施形態では、財務システム106は、ユーザの口座の支払取引情報についての要求を受けると、取引システム102が口座情報を受信することをユーザが承認したか否かを判断する。取引システム102が口座情報を受信することをユーザが承認した場合には、財務システム106は、要求された情報を取引システム102に提供する。
【0019】
一実施形態では、情報を要求されなくても、1つ以上の財務システム106が自動的に取引システム102に支払取引情報を提供する。一実施形態では、ユーザの口座の支払取引情報が、財務システム106から取引システム102に定期的に提供される。一実施形態では、取引が行われると、取引情報が自動的に財務システム106から提供される。
【0020】
一実施形態では、財務システム106は、口座間の送金要求を処理する。一実施形態では、要求は、取引システム102を介してユーザが行うか、または取引システム102により開始される。一実施形態では、ユーザによる口座間の送金要求には、送金する口座(送金元の口座)、送金される口座(送金先の口座)、および送金金額の情報が含まれる。
【0021】
財務システム106は、送金要求を受けると、送金元の口座へのアクセスが承認された要求元であるか、および送金元の口座に送金を完了させるための十分な残高があるか否かを確認する。正規の要求元であると認定され、かつ口座に十分な残高がある場合には、財務システム106は、送金元の口座から送金先の口座への送金を完了させる。2つの口座が同じ金融機関ではない場合には、財務システム106は、他の財務システム106と通信して送金を完了させてもよい。
【0022】
ネットワーク108は、取引システム102、ユーザデバイス104、および財務システム106の間を結ぶ通信経路である。一実施形態では、ネットワーク108は、インターネットであり、標準的なコミュニケーション技術および/またはプロトコルを使用する。このため、ネットワーク108には、イーサネット(登録商標)802.11、ワールド・ワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WiMax)、3G、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、デジタル加入者線(DSL)、非同期転送モード(ATM)、InfiniBand、PCIエクスプレス・アドバンスド・スイッチングなどの技術を使用したリンクを含むことができる。同様に、ネットワーク108で使用されるネットワーキングプロトコルには、マルチプロトコル・ラベル・スイッチング(MPLS)、転送制御プロトコル/インターネット・プロトコル(TCP/IP)、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、シンプル・メール転送プロトコル(SMTP)、ファイル転送プロトコル(FTP)などを含むことができる。別の実施形態では、上記に代わり、または加えて、エンティティが、カスタムされたおよび/または専用のデータコミュニケーション技術を使用することができる。
【0023】
II.システムアーキテクチャ
図2は、一実施形態に係る
図1のコンピュータ環境100に示したエンティティの1つとして使用される一般的なコンピュータシステム200の機能図を示す上位レベルブロック図である。チップセット204に接続された少なくとも1つのプロセッサ202が示されている。チップセット204には、メモリ206、記憶装置208、キーボード210、グラフィックアダプタ212、ポインティングデバイス214、およびネットワークアダプタ216が接続されている。ディスプレイ218は、グラフィックアダプタ212に接続されている。一実施形態では、チップセット204の機能は、メモリコントローラハブ220およびI/Oコントローラハブ222により実現される。一実施形態では、メモリ206は、チップセット204ではなく、プロセッサ202に直接接続される。
【0024】
記憶装置208は、ハードドライブ、コンパクト・ディスク・リード・オンリー・メモリ(CD−ROM)、DVD、またはソリッド・ステート・メモリ・デバイスなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体である。メモリ206には、プロセッサ202が使用する命令およびデータが保存される。ポインティングデバイス214は、マウス、トラックボール、または他のタイプのポインティングデバイスでもよく、キーボード210を介してコンピュータシステム200へのデータ入力に使用される。グラフィックアダプタ212は、ディスプレイ218に画像および他の情報を表示する。ネットワークアダプタ216は、コンピュータシステム200をネットワーク108に接続する。コンピュータシステム200の一部の実施形態では、
図2とは異なる構成要素および/または他の構成要素を備える。
【0025】
コンピュータ200は、本明細書に記載された機能を提供するためのコンピュータプログラムの実行に適用される。本明細書で用いられる「モジュール」との用語は、特定の機能を提供するコンピュータプログラムの命令および他のロジックを指す。モジュールは、ハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアとして実装することができる。モジュールは、一般的には、記憶装置208に保存され、メモリ206に読み込まれて、プロセッサ202により実行される。
【0026】
モジュールは、1つ以上のプロセスを含み、および/またはプロセスの一部分だけとしても提供することができる。本明細書に記載されたエンティティの実施形態は、本明細書に記載されたモジュールとは異なるモジュールおよび/または他のモジュールを含むこともできる。また、モジュールの特徴となる機能は、別の実施形態での他のまたは異なるモジュールで実行することができる。さらに、この記載では、明確性および便宜上の目的から、時として、用語「モジュール」を省略する。
【0027】
図1のエンティティで使用されるコンピュータシステム200のタイプは、実施形態およびエンティティによって使用される処理能力に応じて変わり得る。例えば、携帯電話であるユーザデバイス104は、一般に、処理能力が限られており、小型ディスプレイ218を有するが、ポインティングデバイス214は付属していないこともある。対照的に、本明細書に記載された機能を提供するために、取引システム102および財務システム106は、組み合わせて稼働させるマルチ・ブレード・サーバーを備えてもよい。
【0028】
図3は、一実施形態に係る取引システム102内のモジュールを示す上位レベルブロック図である。当業者であれば、本明細書に記載されたモジュールとは異なるモジュールおよび/または他のモジュールを別の実施形態が備え得、異なる方法によってモジュール間で機能を分布させることができることを理解するであろう。
【0029】
認証モジュール302では、取引システム102のユーザを認証する。一実施形態では、認証モジュール302は、取引システム102が提供するサービスを利用するためにサインアップした(つまり、登録した)各ユーザの認証情報をユーザ記憶部312に保存する。一実施形態では、認証情報には、ユーザのIDおよびパスワードが含まれる。
【0030】
一実施形態では、ユーザが取引システム102に通信を試みたが、取引システム102にログインしていない場合には、認証モジュール302がユーザのユーザデバイス104を介してユーザにログインページを提示する。ログインページでは、ユーザが取引システム102に既にサインアップしている場合には、ユーザの認証情報を入力することができる。認証情報が入力されると、情報が有効であるか否かを認証モジュール302が確認する。情報が有効であれば、ユーザは取引システム102にログインする。別の実施形態では、ユーザは、ユーザデバイス104で自動的に取引システム102にログインする。
【0031】
一実施形態では、ユーザが取引システム102と通信したが、取引システム102にサインアップを済ませていなかった場合、認証モジュール302が取引システム102のサービスを利用するためのサインアップのオプションをユーザに提示する。ユーザがサインアップを要求する場合、ユーザはサインアッププロセスに進む。サインアッププロセスでは、ユーザがログイン時に使用を希望する認証情報、および個人情報(例えば、氏名、電子メールアドレス、電話番号)を提供する。
【0032】
一実施形態では、サインアッププロセスでは、ユーザは少なくとも1つの引出または預入可能な(例えば、残高を清算するための)ユーザの金融機関口座の口座情報を提供する。一実施形態では、ユーザは、取引システム102に口座を使用して支払追跡を行わせたい1つ以上の金融機関口座の口座情報を提供する。
【0033】
金融機関口座についてユーザによって提供された口座情報には、次の1つ以上が含まれていてもよい。すなわち、金融機関名、金融機関のルーティングトランジットナンバー、口座の種類、口座番号、クレジットカード番号、口座にアクセスするために必要な情報(例えば、金融機関のウェブサイトでのユーザのログイン情報)のうちの1つ以上である。一実施形態では、サインアッププロセスの一部として、ユーザが金融機関口座の口座情報を提供する際、ユーザは口座にアクセスするおよび/または口座から送金を開始するための認証情報も提供する。サインアッププロセスで認証モジュール302が受け取った情報は、ユーザ記憶部312に保存される。
【0034】
グループモジュール304では、登録したユーザがグループを作成することおよびグループに参加することができる。グループは、一緒に行ったある支出の追跡を行いたいシステム102の複数のユーザで構成される。例えば、ユーザが一緒に旅行に行った際の支出、同居にかかった支出、あるイベントにおいてまたはあるイベントの企画に要した支出を追跡するためにグループを作成してもよい。
【0035】
登録したユーザから新しいグループの作成要求があった場合、グループモジュール304は、グループ記憶部314に新しいグループを作成する。グループ記憶部314には、グループモジュール304により作成された各グループの情報およびどのユーザが各グループに属するかの情報が含まれる。ユーザがシステム102の選択ユーザを招待し、グループに参加させることを要求する場合、グループモジュール304は、各選択されたユーザにグループへの参加を招待するメッセージを送信する。一実施形態では、送信されたメッセージは、電子メール、ショート・メッセージ・サービス(SMS)、マルチメディア・メッセージング・サービス(MMS)などのデジタルメッセージである。招待されたユーザがグループへの参加の招待を承諾すると、グループモジュール304は、グループ記憶部314を更新して、ユーザがグループのメンバーであることを提示する。
【0036】
一実施形態では、登録されたユーザが、非登録のユーザ(つまり、取引システム102を使用するためのサインアップを済ませていないユーザ)のグループへの参加を招待することを要求できる。一実施形態では、取引システム102は、ソーシャルネットワーキングシステムと統合されており、登録されたユーザがソーシャルネットワークのユーザを招待することを要求できる。例えば、登録されたユーザは、自身のネット上の友人にグループへの参加を招待することができる。一実施形態では、非登録ユーザがグループへの参加を承諾する場合、ユーザは、グループに参加可能にするために取引システム102にサインアップしなければならない。
【0037】
一実施形態では、ユーザの要求に応じて、グループモジュール304は、他のシステムから既存のグループをコピーしてグループ記憶部314に新たなグループを作成してもよい。例えば、ユーザがソーシャルネットワーキングシステムのソーシャルネットワークグループのメンバーである場合、グループモジュール304は、同じグループをグループ記憶部314に作成できる。同様に、他のシステム(例えば、ソーシャルネットワーキングシステム)は、グループ記憶部314からグループをコピーしてグループを作成できる。
【0038】
一実施形態では、グループ記憶部314にグループが作成されると、グループモジュール304は、さらに取引履歴記憶部316にグループの取引履歴を作成する。取引履歴記憶部316には、グループの取引履歴、および取引履歴に関する残高が含まれる。取引履歴では、グループのユーザの支出追跡が作成される。
【0039】
一実施形態では、各グループには、少なくとも1人の管理者を有する。デフォルトでは、グループの作成を要求したユーザがグループの管理者となる。グループの管理者は、グループの他のユーザ(つまり、管理者以外のユーザ)にはない特定の権利を有する。管理者は、グループの管理を目的とする権利を有する。管理者の権利としては、例えば、ユーザにグループへの参加を招待すること、ユーザをグループから削除すること、グループを抹消すること、グループの取引履歴への支払取引の追加を認可すること、および取引履歴から支払取引を削除することが挙げられる。
【0040】
一実施形態では、グループの管理者は、グループに追加の管理者を追加することができる。グループモジュール304は、グループの管理者から、追加の管理者としてユーザを追加する要求を受けると、グループ記憶部314を更新してユーザがグループの管理者であることを提示する。
【0041】
追跡モジュール306は、取引システム102のユーザの支払取引を追跡する。支払取引とは、人が他者またはエンティティに支払いを行う取引のことである。例えば、商品やサービスの対価として店に行われた支払でもよい。支払いは、寄付として行われたものでもよい。
【0042】
一実施形態では、取引システム102のユーザがユーザデバイス104(例えば、モバイル決済)を使用して支払いを行うと、追跡モジュール306がユーザデバイス104から支払取引の情報に係る通知を受信する。通知に含まれる支払情報には、例えば、支払った金額、支払先、時間、日付、および場所情報(例えば、ユーザデバイス104により追跡された位置)が含まれてもよい。一実施形態では、取引がユーザの設定したグループの基準に適合している場合には、追跡モジュール306は、自動的にユーザの属するグループの取引履歴に支払取引を追加する。例えば、ユーザは、特定の場所または場所の半径内で特定の日付に行われる支払取引をグループに追加されるべきグループの基準としてもよい。
【0043】
一実施形態では、通知を受けると、追跡モジュール306は、ユーザが、ユーザの属するグループの1つの支出として支払取引を追加したいか否かを、ユーザデバイス104に問い合わせるメッセージを送信する。一実施形態では、ユーザがグループに支払取引の追加を要求する場合、追跡モジュール306は、自動的に取引履歴記憶部316にグループの取引履歴に支払取引を追加する。一実施形態では、ユーザがグループへの支払取引の追加を要求する場合、追跡モジュール306は、ユーザデバイス104に、多数の項目にわたるフォームを送信する。フォームは、ユーザが支払取引の詳細を提供するためのものである。
【0044】
一実施形態では、フォームでは、グループのどのユーザに取引が配分されるべきか、および互いの配分額についての情報が要求される。ユーザに配分される取引の部分とは、ユーザが取引に責任がある部分のことを意味する。ユーザへの配分額は、例えば、支払いの割合または金額でもよい。
【0045】
例えば、マイアミに休暇に来た4人の友人(友人1〜4)の支出を追跡して管理するグループを作成すると仮定する。休暇中のある1日は、友人4は空腹ではなかったので、友人3人(友人1〜3)のみが昼食を取りにレストランに出かける。昼食代は60ドルで、友人1が彼のユーザデバイス104を利用してモバイル決済サービスで支払いを済ませる。友人1は、グループの支出として昼食代を追加する。友人1に昼食代としてフォームが表示されると、友人1が昼食代を友人1〜3に配分するよう提示する。友人4は昼食に行かなかったため、昼食代は友人4には配分されない。さらに、友人1は、フォームに、友人1は25ドル、友人2は16ドル、そして友人3は19ドルという配分額を提示する。この例では、各友人の配分額は、各友人が何を昼食に注文したかに基づいている。
【0046】
支払取引のフォームに要求されてもよい他の情報は、支払額、支払先のエンティティ(例えば、店名)、支払日、支払取引の概略、および支払いを行ったグループのユーザが含まれてもよい。一実施形態では、いくつかの項目は、ユーザのユーザデバイス104から受信した情報を基に、追跡モジュール306によって自動で入力される。フォームが完成し、ユーザから提出されると、追跡モジュール306は、フォームに入力された情報に従って、取引履歴記憶部316を更新して、支払取引をグループの取引履歴に追加する。
【0047】
一実施形態では、支払取引をグループの取引履歴に追加する前に、グループの管理者が取引の追加を承認しなければならない。一実施形態では、支払取引がグループの取引履歴に追加されると、グループのユーザは追加の通知を受ける。例えば、グループのユーザ、および他の人々は、ソーシャルネットワーキングシステムを介して通知を受けてもよい(例えば、取引の追加は、ソーシャルネットワークフィードで共有することができる)。一実施形態では、支払取引がグループの取引履歴に追加されるとき、グループのユーザは取引に反対することができる。ユーザは、例えば、支払取引がグループの支出ではなかったか、または間違ったユーザに配分されたことについて反対してもよい。ユーザが反対すると、追跡モジュールが反対されていることをグループの管理者に通知する。管理者は、支払取引を維持、調整、または削除するか否かを判断する。管理者が支払取引の調整または削除を要求する場合、追跡モジュール306は、管理者の指示に従って取引履歴を更新する。
【0048】
一実施形態では、追跡されてもよいとした金融機関口座の情報を提供した取引システム102の各ユーザについて、追跡モジュール306は、口座の金融システム106から支払取引情報を定期的に入手する。入手した情報とは、口座を利用して最近行った支払い(つまり、追跡モジュール306が前回情報を入手した後で行われた支払い)に関するものである。一実施形態では、追跡モジュール306は、ユーザによる取引システム102へのアクセス情報を使用して支払取引情報を入手する。アクセス情報とは、例えば、財務システム106に対するユーザのログインIDやパスワードである。
【0049】
財務システム106から入手した各支払取引について、追跡モジュール306は、支払取引がユーザの属するグループに追加済みであるか否かを判断する。一実施形態では、支払取引がグループに追加済みでないが、取引はユーザの設定したグループの基準に適合している場合には、追跡モジュール306は自動的にグループに支払取引を追加する。別の実施形態では、支払取引の少なくとも1つがグループに追加済みではない場合、追跡モジュール306はユーザにメッセージを送信する。メッセージでは、ユーザの属するグループの1つの支出として、追加済みではない任意の支払取引の追加を望むか否かについて、ユーザに問合わせる。ユーザが支払取引のグループへの追加を要求する場合には、追跡モジュール306は、先に記載したように取引を追加する。
【0050】
一実施形態では、取引システム102のユーザは、支払取引のグループへの追加を手動で行うことができる。例えば、ユーザが現金で支払いを行う場合、ユーザは手動で取引の追加を開始してもよい。追跡モジュール306は、ユーザのユーザデバイス104から手動で支払取引を追加したい旨の要求を受けると、先に記載したフォームと類似のフォームをユーザデバイス104に送信する。フォームが完成しユーザから提出されると、追跡モジュール306は、ユーザにより特定されるグループの取引履歴に取引を追加する。
【0051】
残高モジュール308では、グループの残高を更新する。一実施形態では、取引履歴記憶部316の各取引履歴には、総残高が保存される。一実施形態では、グループの取引履歴の総残高は、グループの取引履歴に含まれる支払取引の支払総額(つまり、グループのユーザによって支払われた金額)である。
【0052】
追跡モジュール306が支払取引をグループの支払履歴に追加すると、残高モジュール308は、取引履歴記憶部316から取引履歴の総残高を検索する。追跡モジュール306は、取引の支払額を確認し、支払額と総残高の現在値とを合計して、新たな総残高の金額を確定する。残高モジュール308は、総残高を確定された新たな金額で取引履歴記憶部316に更新する。
【0053】
一実施形態では、グループの各ユーザに対して、残高モジュール308は、グループの取引履歴に基づいて個人残高を保存する。各個人残高とは、グループの取引履歴に含まれた取引に基づいてグループ内のユーザ同士で貸し借りが行われた金額を示す。
図4に示す表400は、例えば、グループ内の3人のユーザ(ユーザA〜C)の個人残高を示す。表400の各縦列は、ユーザごとの個人残高を含む。例えば、縦列402は、ユーザAの個人残高を含む。この例では、ユーザBはユーザAに130ドルを借りており、ユーザCはユーザAに20ドルを貸している。縦列404と縦列406は、それぞれユーザBとユーザCの個人残高を含む。
【0054】
一実施形態では、追跡モジュール306がグループの取引履歴に支払取引を追加すると、残高モジュール308は、どのユーザに取引が配分されたかを確認する。残高モジュール308は、どのユーザが取引で支払いを行ったか、および取引に関係するユーザに配分された金額に基づいて、取引履歴記憶部316にて関係するユーザの個人残高を更新する。
【0055】
例えば、
図4の例で見れば、ユーザA〜Cがバーで飲み物を注文し、ユーザBが飲み物代の45ドルを支払うとする。ユーザBは、グループの支出として支払取引に追加し、ユーザAに取引の15ドル、ユーザBに20ドル、ユーザCに10ドルをそれぞれ配分する。この例では、残高モジュール308は、ユーザBはユーザAに115ドル借りており(130ドル−15ドル)、ユーザCはユーザBに10ドルを借りている(0+10ドル)と、ユーザA〜Cの個人残高を更新する。
【0056】
清算モジュール310が、取引履歴記憶部316に保存された情報にアクセスし、ユーザは残高の清算が可能となる。一実施形態では、ユーザが、ユーザデバイス104を介してユーザの属するグループの取引履歴を要求すると、清算モジュール310が、取引履歴記憶部316から取引履歴を検索し、ユーザに履歴を送信してユーザデバイス104に表示する。一実施形態では、清算モジュール310は、さらに取引履歴の総残高を送信する。一実施形態では、グループのユーザがグループ内の1人または複数のユーザの個人残高を要求すると、清算モジュール310が取引履歴記憶部316から要求された残高を検索し、ユーザのユーザデバイス104に残高を送信する。
【0057】
一実施形態では、清算モジュール310は、清算イベントが行われると、自動的にグループ内のユーザの個人残高を清算する。一実施形態では、清算イベントは、グループのユーザ(例えば、グループの管理者)によって行われる。清算イベントは、例えば、特定日の到来(例えば、月初または月末)、グループのユーザ(例えば、管理者)による清算要求、またはグループの取引履歴が設定金額の総残高に到達したときに行われてもよい。
【0058】
グループ内のユーザの個人残高を清算するために、清算モジュール310は、グループのどのユーザ(借り手)がグループのどのユーザ(貸し手)にお金を借りているのかを各個人残高で確認する。各個人残高として、清算モジュール310は、残高を清算するために、ユーザ記憶部312から借り手により提供された金融機関の口座情報を検索する。さらに、清算モジュール310は、残高の清算として貸し手に提供されることになる口座の口座情報を検索する。清算モジュール310は、検索した口座情報を使用して適切な1つ以上の財務システム106と通信し、借り手の口座から貸し手の口座に残高の金額を送金する。
【0059】
一実施形態では、清算イベントが行われた時にグループ内のユーザの個人残高を一度に自動清算する代わりに、各個人残高の清算をユーザがそれぞれ管理して行う。一実施形態では、いつでも、ユーザは、清算モジュール310から残高を清算するために他のユーザの口座への送金を要求できる。清算モジュール310は、そのような要求を受けると、適切な1つ以上の財務システムと通信して送金を完了させる。
【0060】
III.プロセス
図5は、一実施形態に係る取引システム102の動作を示すフローチャート500である。当業者であれば、別の実施形態において異なる順序で
図5のステップを実行できることを理解するであろう。さらに、別の実施形態では、本明細書に記載するステップとは異なるステップおよび/または追加のステップを含むことができる。
【0061】
例示を目的として、取引システム102のユーザがグループを作成して複数のユーザの支出を追跡するよう要求したとする。要求に基づいて、取引システム102は、複数のユーザを含むグループを作成する(ステップ502)。取引システム102は、グループの取引履歴を作成する(ステップ504)。
【0062】
取引システム102は、取引履歴を更新して支払取引を追加する(ステップ506)。履歴に追加された各取引には、グループの少なくとも1人のユーザが関与する。ユーザが取引に少なくとも部分的に責任がある(例えば、取引の金額がユーザに配分されていた)場合には、ユーザは取引に含まれる。取引システム102は、取引履歴に含まれる支払取引に基づいてグループのユーザに対する残高を判断する(ステップ508)。一実施形態では、残高とは、グループのユーザが他のユーザに貸したまたは借りている金額を指す。取引システム102は、ユーザの残高を清算する(ステップ510)。一実施形態では、清算イベントが行われると、残高が清算される。
【0063】
上記の説明の一部では、情報に対する動作のアルゴリズムおよび記号表現で、本発明の特徴を表している。アルゴリズム的記述および表現は、当業者によるデータ処理の作業の内容を、他の当業者に最も効率よく伝えるために使用される手段である。これらの動作は、機能的または論理的に記載されているが、コンピュータプログラムによって実現されることが理解されよう。さらに、これらの動作群を、モジュールまたは機能名で呼ぶことは、一般性が失われることなく、時に簡便であることも立証されている。
【0064】
先の記載から明らかなように、別途明記されない限り、本明細書全体にわたって、「処理する」、「演算する」、「計算する」、「確認する」、「表示する」などの用語が使用される記載は、コンピュータシステムのメモリまたはレジスタあるいは他のそのような情報記憶、送信、ディスプレイ装置内の物理的(電子的)数量として表されるデータを操作して変換する、コンピュータシステムまたは類似の電子演算装置の動作および処理に関する。
【0065】
本発明の特定の態様には、本明細書に記載されたプロセスのステップおよび命令をアルゴリズムの形で含む。本発明のプロセスのステップおよび命令は、ソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアとして実装でき、ソフトウェアとして実装された場合には、リアルタイムのネットワークオペレーティングシステムを使用して異なるプラットフォームにダウンロードして組み込むか、または動作を行うことができる。
【0066】
本発明の開示は、例示のためのものであり、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。