特許第5951887号(P5951887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951887
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】連続鋳造機用セグメント
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/124 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   B22D11/124 G
   B22D11/124 H
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-506881(P2015-506881)
(86)(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公表番号】特表2015-514590(P2015-514590A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】KR2012011702
(87)【国際公開番号】WO2013157726
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2014年10月20日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0041586
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ハ、 テ−チョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 サン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 グァン モ
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−042664(JP,U)
【文献】 特開昭61−226152(JP,A)
【文献】 特開昭62−077162(JP,A)
【文献】 米国特許第04256168(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/124
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に離設される上部フレーム及び下部フレームと、前記上部フレーム及び下部フレームにそれぞれ配設され、鋳片の幅方向に配置される複数のローラー及び前記複数のローラーの間に冷却水を噴射する冷却装置を備える連続鋳造機用セグメントであって、
前記上部フレーム及び下部フレームの上部の中央にそれぞれ配設される駆動手段と、
前記駆動手段の両側にそれぞれ配設され、冷却水が噴射される少なくとも一つのノズルがそれぞれ配設される冷却水噴射部と、
前記駆動手段と前記冷却水噴射部との間に配設されて前記冷却水噴射部を対称的に移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記駆動手段に水平方向に連結される外周面にスクリューが形成される回転軸と、
一方の側が前記冷却水噴射部に連結されて前記セグメントの内側に向かって傾くように配置され、外周面に長手方向に沿って歯車が形成されるロッドと、
前記回転軸と前記ロッドとの間にそれぞれ配設されて前記回転軸の回転運動を直線運動に変換して前記ロッドを対角移動させる運動変換手段と、
を備え、
前記運動変換手段は、
前記回転軸のスクリュー及び前記ロッドの歯車が噛み合う歯車が形成される複数のホイールと、
前記回転軸と直交する方向に配置され、前記ホイールの回転軸として用いられるシャフトと、
を備える連続鋳造機用セグメント。
【請求項2】
前記冷却水噴射部は、
内部に流路が形成され、前記鋳片の長手方向に配置されるヘッドと、
前記ヘッドに前記流路と連通するように隔設される複数のノズルと
備える請求項1に記載の連続鋳造機用セグメント
【請求項3】
前記移動手段は、前記冷却水噴射部を前記鋳片の幅方向及び上下方向に往復移動させる請求項1に記載の連続鋳造機用セグメント
【請求項4】
前記回転軸はウォームギアを形成し、前記ロッドはラックギアを形成する請求項1に記載の連続鋳造機用セグメント
【請求項5】
前記移動手段は筐体内に収納されて前記駆動手段及び前記冷却水噴射部に固定される請求項に記載の連続鋳造機用セグメント
【請求項6】
前記ロッドの他方の側には前記ロッドが移動するように内部空間が形成された中空のガイド部材が配設され、前記ガイド部材は前記筐体に固定される請求項に記載の連続鋳造機用セグメント
【請求項7】
前記駆動手段は、サーボモーターである請求項1または請求項3に記載の連続鋳造機用セグメント
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置及びこれを備える連続鋳造機用セグメントに係り、さらに詳しくは、連続鋳造に際して鋳片の幅の変化に対応して鋳片を効果的に冷却させることのできる冷却装置及びこれを備える連続鋳造機用セグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、連続鋳造工程(Continuous casting process)は、所定の形状の鋳型に溶鋼を連続して注入し、鋳型内において半凝固された鋳片を連続して鋳型の下側に引き抜いてスラブ、ブルーム、ビレット(鋼片)などの様々な形状の半製品を製造する工程である。
【0003】
このような連続鋳造工程が行われる通常の連続鋳造機(以下、「連鋳機」と称する。)の大まかな構成と、連鋳機に配設されるセグメントについて図1を参照して説明する。
【0004】
通常の連鋳機は、製鋼工程において精錬された溶鋼が入れられる取鍋(レードル)10と、取鍋10に連結される注入ノズルを介して溶鋼が供給され、これを一時的に保存するタンディシュ20と、タンディシュ20に一時的に保存された溶鋼を受け取って所定の形状に初期凝固させる鋳型30及び鋳型30の下部に配設されて未凝固の鋳片Sを冷却させながら一連の成形作業を行うように多数のセグメント50が連続して配置される冷却ライン40を備える。ここで、セグメント50は多数のローラー52、54が対向するように整列され、上下に離隔される上部フレーム51及び下部フレーム53を上下に連結させる多数のタイロッド(図示せず)と、ピストンがタイロッドに取って代わって上部フレーム51と下部フレーム53との間の離隔距離を調節することにより鋳片Sに押下力を加える多数の油圧シリンダー55及び上部フレーム51及び下部フレーム53の内部に配設されて鋳片1を冷却させる冷却装置(図示せず)を備える。
【0005】
鋳型30を通過した鋳片Sは、上部フレーム51と下部フレーム53との間の離隔空間を通過しながら多数のローラー52、54によって押下されて所定の形状に成形される。このとき、冷却装置においては、上部フレーム51と下部フレーム53との間を通過する鋳片Sに冷却水を噴射して冷却させる。冷却装置は、鋳片の幅の変化に対応するために、狭幅から広幅まで同じ冷却レベルを維持しなければならない。このため、このような条件を満たすために、図2に示すように、複数のノズル56a、56bを鋳片Sの幅方向に配置して鋳片Sの幅に応じて一部のノズル、例えば、鋳片Sの周縁部に配設されるノズル56bをオン/オフにしながら鋳片Sを冷却させた。しかしながら、このような方式は、ノズルの数が増大するに伴い配管などの設備が複雑になり、その結果、メンテナンスを行うことが困難になるなどの制限要素が多かった。この理由から、広い噴射角度を有するノズルを鋳片の幅に応じて移動させながら冷却水を噴射する方法が提案された。この方法においては、ノズルを移動させる駆動手段が鋳片の近くに配設されるため、鋳片から発生する熱と冷却水による湿気によって劣化及び故障が頻繁に発生するという問題点があった。
【0006】
この理由から、熱と湿気による被害を抑えるために駆動手段をセグメントの外部に配置させる方法も提案されている。しかしながら、この方法においては、ノズルと駆動手段との間の距離が遠ざかってノズルの動きを微細に制御することが困難であり、ノズルも長くなって冷却水圧によるノズルの振動現象が発生して損傷され易いという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、鋳片の幅の変化に応じて冷却水の噴射領域を容易に調節することのできる冷却装置及びこれを備える連続鋳造機用セグメントを提供する。
本発明は、精度よくしかも安定して制御することのできる冷却装置及びこれを備える連続鋳造機用セグメントを提供する。
【0008】
本発明は、耐久性を向上させることのできる冷却装置及びこれを備える連続鋳造機用セグメントを提供する。
本発明は、工程効率及び生産性を向上させることのできる冷却装置及びこれを備える連続鋳造機用セグメントを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る冷却装置は、回転力を提供する駆動手段と、前記駆動手段の両側にそれぞれ配設され、冷却水が噴射される少なくとも一つのノズルがそれぞれ配設される冷却水噴射部と、前記駆動手段と前記冷却水噴射部のそれぞれとの間に配設されて前記冷却水噴射部のそれぞれを互いに対称的に移動させる移動手段と、を備える。
【0010】
前記冷却水噴射部は、内部に流路が形成されるヘッドと、前記ヘッドに前記流路と連通するように隔設される複数のノズルと、を備える。
【0011】
前記移動手段は、前記冷却水噴射部を上下方向及び左右方向に移動させ、前記移動手段は、前記駆動手段に連結される回転軸と、一方の側が前記冷却水噴射部に連結されて傾くように配置されるロッドと、前記回転軸と前記ロッドとの間に配設されて前記回転軸の回転運動を直線運動に変換して前記ロッドを直線運動させる運動変換手段と、を備える。
【0012】
前記回転軸と前記運動変換手段はウォームギアを形成してもよく、前記運動変換手段と前記ロッドはラックギアを形成してもよい。
前記移動手段は筐体内に収納して前記駆動手段及び前記冷却水噴射部に固定してもよい。
前記ロッドの他方の側には前記ロッドが移動するように内部空間が形成された中空のガイド部材が配設され、前記ガイド部材は前記筐体に固定してもよい。
【0013】
前記駆動手段は、サーボモーターであってもよい。
本発明の実施形態に係る連続鋳造機用セグメントは、上下に離設される上部フレーム及び下部フレームと、前記上部フレーム及び下部フレームにそれぞれ配設され、鋳片の幅方向に配置される複数のローラー及び前記複数のローラーの間に冷却水を噴射する冷却装置を備える連続鋳造機用セグメントであって、前記上部フレーム及び下部フレームの上部の中央にそれぞれ配設される駆動手段と、前記駆動手段の両側にそれぞれ配設され、冷却水が噴射される少なくとも一つのノズルがそれぞれ配設される冷却水噴射部と、前記駆動手段と前記冷却水噴射部との間に配設されて前記冷却水噴射部を対称的に移動させる移動手段と、を備える。
【0014】
前記冷却水噴射部は、内部に流路が形成され、前記鋳片の長手方向に配置されるヘッドと、前記ヘッドに前記流路と連通するように離設される複数のノズルと、を備えていてもよい。
前記移動手段は、前記冷却水噴射部を前記鋳片の幅方向及び上下方向に往復移動させてもよい。
【0015】
前記移動手段は、前記駆動手段に連結される回転軸と、一方の側が前記冷却水噴射部に連結されて前記セグメントの内側に向かって傾くように配置されるロッドと、前記回転軸と前記ロッドとの間に配設されて前記回転軸の回転運動を直線運動に変換して前記ロッドを対角移動させる運動変換手段と、を備えていてもよい。
前記駆動手段は、サーボモーターであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態に係る冷却装置及びこれを備える連続鋳造機用セグメントは、連続して鋳造される鋳片の幅の変化に対応して冷却水の噴射領域を容易に制御することができる。また、一つの駆動手段を用いて冷却水が噴射される領域の分布を左右対称的に制御することができる。さらに、設備を小型化させて整備し易さを図るので、工程効率及び生産性を向上させることができ、設備コスト及びメンテナンスコストを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】通常の連続鋳造機の構成及びセグメントを示す図である。
図2図1に示すセグメント内に配設される冷却装置の使用例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る連続鋳造機用セグメントの構造を示す図である。
図4図3に示す冷却装置の斜視図である。
図5図4に示す冷却装置の正面図である。
図6】本発明の実施形態に係る冷却装置の使用状態を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る冷却装置の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態についてより詳細に詳述する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化可能であり、単に、これらの実施形態は、本発明の開示を完全たるものにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供するものである。図中、同じ符号は同じ構成要素を示す。
【0019】
以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係るガイドローラーの構成について説明するに先立って、通常の連鋳機の構成について説明する。
【0020】
図3は、本発明の実施形態に係る連続鋳造機用セグメントの構造を示す図であり、図4及び図5は、図3に示す冷却装置の斜視図及び正面図である。
【0021】
図3を参照すると、セグメントは、上部ローラー係合体及び下部ローラー係合体を備える。セグメントは、上下に離隔される上部フレーム100及び下部フレーム102を備え、上部フレーム100及び下部フレーム102のそれぞれに配設されて鋳片Sの幅方向に配置される複数のローラーをそれぞれ支持する複数のガーダープレート110及び複数のローラー120、122の間に冷却水を噴射する冷却装置を備える。また、セグメントには、上部フレーム100及び下部フレーム102を離隔された状態で上下連結させるタイロッド140と、鋳片Sに押下力を加えるように上部フレーム100と下部フレーム102との間の離隔距離を調節する油圧シリンダー130と、を備える。
【0022】
冷却装置は、上部フレーム100及び下部フレーム102の上部の中央、より具体的には、ガーダープレート110に設けられて上部フレーム100と下部フレーム102との間に搬送される鋳片Sに冷却水を噴射する。
【0023】
図4及び図5を参照すると、冷却装置は、ガーダープレート110に回転力を提供する駆動手段210と、駆動手段210の両側にそれぞれ配設され、冷却水が噴射される少なくとも一つのノズル224がそれぞれ配設される第1及び第2冷却水噴射部220、220’と、駆動手段210に第1及び第2冷却水噴射部220、220’のそれぞれを対角方向に往復移動するように連結する第1及び第2移動手段230及び駆動手段210の動作を制御する制御部と、を備える。
第1及び第2冷却水噴射部220、220’のそれぞれは、冷却水が供給される冷却水注入口が形成され、内部に冷却水が移動する流路が形成されるヘッド222と、流路と連通され、ヘッド222に鋳片Sの長手方向に沿って離設される複数のノズル224と、を備える。複数のノズル224は、セグメント内において鋳片Sの長手方向に冷却水を噴射するようにヘッドに連結される。また、複数のノズル224は、上部フレーム100と下部フレーム102との間を通過する鋳片Sに冷却水を噴射するように、上部フレーム100に配設されるノズル224は下方に延設されて冷却水を下部に噴射し、下部フレーム102に配設されるノズル224は上方に延設されて冷却水を上部に噴射するように形成される。このとき、ノズル224は、冷却水の噴射領域が鋳片Sの幅方向に形成されるようにスリット状に形成してもよい。このように複数のノズル224をヘッド222に形成された流路と連通するように形成することにより、複数のノズル224のそれぞれに冷却水を供給する従来の場合よりも冷却水の供給のための配管などの設備を簡素化させることができる。
【0024】
駆動手段210としては、回転軸232を回転させるDCモーター、ステッピングモーター、ACサーボモーターなどの種々の種類が使用可能である。特に、駆動手段210としてACサーボモーターを用いる場合に、回転速度を微細に調節することができるので、冷却水噴射部220、220’の移動距離も精度よく制御することができる。本発明においては、回転速度を微細に調節する一つの駆動手段210を用いて、駆動手段210に対称的に連結される一対の冷却水噴射部220、220’の移動距離を制御する。このため、一つの駆動手段210により一対の冷却水噴射部220、220’が同じ距離を対称的に移動する。なお、駆動手段210がセグメント内に設けられて冷却水噴射部220、220’に冷却水を供給するための配管の距離も短くなって設備を簡素化させることができ、しかも、駆動手段210の設置空間も狭めることができる。
【0025】
第1及び第2移動手段230のそれぞれは、駆動手段210に連結される回転軸232と、ヘッドに連結されるロッド236と、回転軸232とロッド236との間に配設される運動変換手段と、を備える。第1及び第2移動手段230は、内部に空間が形成される筐体240の内部に収容されて駆動手段210と第1及び第2冷却水噴射部220、220’に固定される。
【0026】
回転軸232は、駆動手段210に水平方向に連結され、外周面に沿ってスクリューが形成される。このとき、第1及び第2駆動手段210にそれぞれ連結される回転軸232は、スクリューが互いに反対方向に形成されて第1及び第2冷却水噴射部220、220’を互いに対称的に移動させる。すなわち、第1及び第2冷却水噴射部220、220’は一つの駆動手段210により駆動されるため、駆動手段210に連結される回転軸232にスクリューを互いに反対方向に形成することにより、互いに反対方向に配置される第1及び第2冷却水噴射部220、220’を対称的に移動させることができる。
【0027】
ロッド236は、回転軸232の上下方向に同一線上に配置され、一方の側がヘッド222に連結される。また、ロッド236は、ヘッドに連結された状態で他方の側がセグメントの中心部に向かって傾くように配置される。ロッド236は、冷却水噴射部220、220’を十分に支持するように複数連結してもよい。ロッド236は外周面にはロッド236の長手方向に沿って鋸の歯が形成される。
【0028】
運動変換手段は環状に形成され、外周面に回転軸232のスクリューとロッド236の鋸の歯とが噛合する鋸の歯が形成されるホイール234と、回転軸として用いられるシャフト234と、を備える。運動変換手段は、回転軸232の回転運動を直線運動に変換してロッド236に伝える。このため、ロッド236は駆動手段210から提供される回転力を用いて直線運動をする。このとき、シャフト234は回転軸232と直交する方向に配置され、筐体240の内部に回転自在に固定される。
【0029】
ここで、回転軸232はウォームであり、運動変換手段はウォームホイールとして用いられてウォームギアを形成し、運動変換手段とロッド236はラックギアを形成することにより、ウォームギアとラックギアとの組み合わせによりロッド236が対角方向に直線移動して第1及び第2冷却水噴射部220、220’を鋳片Sの幅方向及び上下方向に往復移動させる。
【0030】
そして、回転軸232に形成されるスクリューと、ロッド236及び運動変換手段にそれぞれ形成される鋸の歯は、駆動手段210から提供される回転力により第1及び第2冷却水噴射部220、220’が同じ距離を移動するように形成することが好ましい。
【0031】
一方、筐体240から露出されるロッド236の一方の外周面には伸縮可能な保護部材237が配設され、保護部材237は筐体240に固定される。保護部材237は、ロッド236の移動に対応して伸縮し、ロッド236が高熱及び水分によって劣化することを防ぐとともに、ロッド236が移動しながら発生する衝撃を緩和させて冷却水噴射部220、220’とロッド236との連結部位が損傷することを防ぐ。なお、ロッド236の他方の側にはガイド部材238が配置される。ガイド部材238は一方の側が開放された中空の筒状に形成され、その内部にロッド236が往復移動する。ガイド部材238は、ロッド236の配置形状に応じてセグメントの中心部に向かって傾くように配置され、筐体240に固定される。
【0032】
図6及び図7は、本発明の実施形態に係る冷却装置の使用状態を示す図である。ここで、冷却装置が上部ローラー係合体に設けられることについて説明する。冷却装置が下部ローラー係合体に設けられる場合、冷却装置の上昇または下降方向が反対になるだけであり、その駆動原理は同様である。
【0033】
まず、連続鋳造工程により狭幅の鋳片S、例えば、幅200mmの鋳片Sを製造する場合について説明する。
図6を参照すると、制御部の制御により駆動手段210を動作させると、駆動手段210に連結された回転軸232が一方向に回転する。これにより、回転軸232に噛合されている運動変換手段が回転され、運動変換手段と噛合されているロッド236が運動変換手段の回転によってガイド部材238の内部に移動する。これにより、ロッド236に連結されている冷却水噴射部220、220’はセグメントの内側方向に対角移動して鋳片Sに向かって下降する。このとき、駆動手段210の両側にそれぞれ連結される冷却水噴射部220、220’は同じ距離を対称的に移動する。冷却水噴射部220、220’を形成するノズル224と鋳片Sの表面との間の距離が近づくことにより、ノズル224を介して噴射される冷却水の噴射面積が狭まる。
【0034】
一方、連続鋳造工程により広幅の鋳片S、例えば、700mmの鋳片Sを製造する場合には、相対的に狭幅の鋳片Sを製造する場合と反対の過程により鋳片Sを冷却させることができる。
【0035】
図7を参照すると、制御部の制御により駆動手段210を動作させて駆動手段210に連結された回転軸232を狭幅の鋳片Sを製造する場合とは反対方向に回転させる。このため、回転軸232に噛合されている運動変換手段も回転軸232の回転方向に対応して回転し、運動変換手段と噛合されているロッド236は運動変換手段の回転によってガイド部材238の外部に移動する。これにより、ロッド236に連結されている冷却水噴射部220、220’はセグメントの外側方向に対角移動して鋳片Sの表面から上昇する。その結果、冷却水噴射部220、220’を形成するノズル224と鋳片Sの表面との間の距離が遠ざかってノズル224を介して噴射される冷却水の噴射面積が広くなる。
【0036】
本発明の実施形態に係る冷却装置は、上述した連続鋳造機を構成するセグメントに配設される冷却装置であるが、その技術思想がこれに何ら限定されない。
このように、本発明の詳細な説明の欄においては具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において種々に変形可能であるということはいうまでもない。よって、本発明の範囲は上述された実施形態に限って定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけではなく、この請求範囲と均等なものによって定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る冷却装置及びこれを備える連続鋳造機用セグメントは、一つの駆動手段により連続して鋳造される鋳片の幅の変化に対応して冷却水の噴射領域を容易に制御することができる。
【0038】
これにより、従来に比べて設備を小型化させて整備性を向上させることができ、工程効率及び生産性を向上させることができる。その結果、本発明は、産業上の利用可能性が向上する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7