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特許5951925無線通信システムのリモートノードによるランダムアクセスチャネルを介して信号を送信するための方法及びリモートノード装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951925
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】無線通信システムのリモートノードによるランダムアクセスチャネルを介して信号を送信するための方法及びリモートノード装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20160630BHJP
   H04W 72/02 20090101ALI20160630BHJP
   H04W 72/08 20090101ALI20160630BHJP
【FI】
   H04W72/04 137
   H04W72/02
   H04W72/08
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-237533(P2010-237533)
(22)【出願日】2010年10月22日
(65)【公開番号】特開2011-91807(P2011-91807A)
(43)【公開日】2011年5月6日
【審査請求日】2013年7月24日
【審判番号】不服2015-10889(P2015-10889/J1)
【審判請求日】2015年6月9日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0100626
(32)【優先日】2009年10月22日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2010-0103077
(32)【優先日】2010年10月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】文 熹燦
【合議体】
【審判長】 加藤 恵一
【審判官】 佐藤 智康
【審判官】 古市 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−505446(JP,A)
【文献】 特開2004−207921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線通信システムのリモートノードによるランダムアクセスチャネルを介して信号を送信するための方法であって、
順方向リンクを介して受信した第1の信号を利用して、逆方向チャネル状態を推定する過程と、
前記逆方向チャネル状態と閾値を比較して、前記ランダムアクセスチャネルを介して第2の信号を送信するか否かを決定する過程と、
前記逆方向チャネル状態が前記閾値よりも大きい場合、前記ランダムアクセスチャネルを介して前記第2の信号を送信する過程と、
前記逆方向チャネル状態が前記閾値よりも大きくない場合、前記ランダムアクセスチャネルを介した前記第2の信号の送信を停止する過程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記逆方向チャネル状態を推定する過程は、
順方向リンクを介して受信した信号の電力レベル、順方向リンクを介して受信した信号の経路減衰、順方向リンクを介して受信した信号の信号対雑音比(SNR)、順方向チャネル利得のうち、少なくとも一つを利用して前記逆方向チャネル状態を推定する過程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記逆方向チャネル状態を推定する過程は、
順方向リンクを介して受信した信号の電力レベルを利用して、逆方向チャネルのフェージング値を算出する過程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ストノードから少なくとも1つの閾値を受信する過
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
記ホストノードから少なくとも二つの閾値が提供された場合、サービスの品質及びチャネルの統計的な特性のうち少なくとも一つを考慮して、一つの値を選択する過程を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
記ホストノードから少なくとも二つの閾値が提供された場合、前記ランダムアクセスチャネルの遅延時間及びチャネルの統計的な特性のうち少なくとも一つを考慮して、一つの値を選択する過程を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
ービスの品質及びチャネルの統計的な特性のうち少なくとも一つを利用して、前記値を決定する過程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記ランダムアクセスチャネルの遅延時間及びチャネルの統計的な特性のうち少なくとも一つを利用して、前記閾値を決定する過程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記ランダムアクセスチャネルを介して前記第2の信号を送信する過程は、
前記ランダムアクセスチャネルを介して前記第2の信号を送信すると決定することに応じ、逆方向チャネル利得に基づいて送信電力を決定する過程と、
前記決定した送信電力を使用して、前記ランダムアクセスチャネルを介して前記第2の信号を送信する過程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記送信電力を決定する過程は、
電波減衰と瞬間的逆方向チャネル利得とに基づいて送信電力決定する過程を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
ランダムアクセスチャネルを介して信号を送信するように構成されたリモートノード装置であって、
第1の信号を受信する受信装置と、
前記受信装置で順方向リンクを介して受信した前記第1の信号を利用して、逆方向チャネル状態を推定するチャネル推定部と、
前記逆方向チャネル状態と閾値を比較して、前記ランダムアクセスチャネルを介して第2の信号を送信するか否かを決定する制御部と、
前記逆方向チャネル状態が前記閾値よりも大きい場合、前記ランダムアクセスチャネルを介して前記第2の信号を送信し、前記逆方向チャネル状態が前記閾値よりも大きくない場合、前記ランダムアクセスチャネルを介した前記第2の信号の送信を停止する送信装置とを備えて構成されることを特徴とする装置。
【請求項12】
前記チャネル推定部は、前記受信装置で順方向リンクを介して受信した信号の電力レベル、順方向リンクを介して受信した信号の経路減衰、順方向リンクを介して受信した信号の信号対雑音比(SNR)、順方向チャネル利得のうち、少なくとも一つを利用して前記逆方向チャネル状態を推定するように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記チャネル推定部は、前記受信装置で順方向リンクを介して受信した信号の電力レベ
ルを利用して、逆方向チャネルのフェージング値を算出するように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記制御部は、ホストノードから少なくとも1つの閾値を受信するように構成された受信装置をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記ホストノードから少なくとも二つの閾値が提供された場合、サービスの品質及びチャネルの統計的な特性のうち少なくとも一つを考慮して、一つの値を選択するように構成されたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記ホストノードから少なくとも二つの閾値が提供された場合、前記ランダムアクセスチャネルの遅延時間及びチャネルの統計的な特性のうち少なくとも一つを考慮して、一つの値を選択するように構成されたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記制御部は、サービスの品質及びチャネルの統計的な特性のうち少なくとも一つを利用して前記値を決定するように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記ランダムアクセスチャネルの遅延時間及びチャネルの統計的な特性のうち少なくとも一つを利用して前記閾値を決定するように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記ランダムアクセスチャネルを介して前記第2の信号を送信すると決定することに応じ、逆方向チャネル利得に基づいて送信電力を決定する電力制御部をさらに備え、
前記送信装置は、前記電力制御部で決定した送信電力を使用して、前記ランダムアクセスチャネルを介して前記第2の信号を送信するように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項20】
前記電力制御部は、電波減衰と瞬間的逆方向チャネル利得とに基づいて送信電力決定することを特徴とする請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおける任意接近チャネル(RACH)送信装置及び方法に関し、特に、無線通信システムのリモートノードで逆リンクチャネル情報を考慮して、任意接近チャネルを介して信号を送信するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、任意バースト型データを送信するための逆方向共通チャネルとして任意接近チャネルを用いる。前記任意接近チャネルは、無線通信システムにおいてリモートノードが逆方向リンクに短いバースト型データを送信できるように構成されたチャネルのことを意味する。例えば、3GPP標準の無線通信システムは、プリアンブルから構成された任意接近チャネルを用いる。他の例として、3GPP2標準の無線通信システムは、プリアンブルと短いメッセージとから構成された任意接続チャネルを用いる。
【0003】
リモートノードが任意接近チャネルを介して信号を送信する場合、ホストノードは、任意接近チャネルを介して前記リモートノードから受信した信号が一定水準の検出確率及び誤警報確率条件を満たすことを希望する。これにより、リモートノードは、任意接近チャネルを介して送信する信号の送信電力を高く設定しなければならないという問題が発生する。また、リモートノードの最大送信電力とフェージングにより逆方向リンクのサービス領域が制限されるという問題が発生できる。例えば、プリアンブルの長さが1msで任意接続チャネル送信方式を使用するリモートノードの最大送信電力が250mWである場合、逆方向サービス領域は、2Kmに制限される。前記リモートノードは、プリアンブルの長さを増やして逆方向サービス領域を広めることができる。しかしながら、プリアンブルの長さが長くなる場合、前記プリアンブルによるオーバーヘッドが増加してシステムの容量が減少するという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2008−0016367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、無線通信システムにおける任意接近チャネルの送信に応じるリモートノードの電力消費を減らすための装置及び方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、無線通信システムにおける任意接近チャネルの送信により制限された逆方向リンクのサービス領域を広めるための装置及び方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、無線通信システムにおける逆方向リンクのチャネル状態を考慮して、任意接近チャネルの送信を選択的に行うための装置及び方法を提供することにある。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、無線通信システムのリモートノードで逆方向リンクのチャネル状態を考慮して、任意接近チャネルの送信を選択的に行うための装置及び方法を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、無線通信システムのリモートノードで逆方向リンクのチャネル利得を考慮して、任意接近チャネルを送信するための送信電力を決定するための装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するための本発明の第1見地によれば、時分割複信方式を使用する無線通信システムのリモートノードで任意接近チャネルを介して信号を送信するための方法は、順方向リンクを介して受信した信号を利用して、逆方向チャネル状態を推定する過程と、前記逆方向チャネル状態を考慮して、任意接近チャネルを介して信号を送信するか否かを決定する過程と、任意接近チャネルを介して信号を送信すると決定した場合、前記任意接近チャネルを介して信号を送信する過程とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2見地によれば、時分割複信方式を使用する無線通信システムにおける任意接近チャネルを介して信号を送信するためのリモートノード装置は、信号を受信する受信装置と、前記受信装置で順方向リンクを介して受信した信号を利用して、逆方向チャネル状態を推定するチャネル推定部と、前記逆方向チャネル状態を考慮して、任意接近チャネルを介して信号を送信するか否かを決定する制御部と、前記制御部で任意接近チャネルを介して信号を送信すると決定した場合、前記任意接近チャネルを介して信号を送信する送信装置とを備えて構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無線通信システムのリモートノードで逆方向リンクのチャネル状態を考慮して、任意接近チャネルの送信を選択的に行なうことによって、逆方向接近チャネルの成功率を向上させることができ、逆方向接近チャネルを介して信号を送信するための端末の電力消費を減らすことができ、最大送信電力に制限された逆方向リンクのサービス領域を広めることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるアップリンクRACHを介した信号送信構造を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係るホストノードでリモートノードのRACHを介した信号送信を制御するための手順を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係るリモートノードでRACHを介して信号を送信するための手順を示す図である。
図4】本発明の他の実施の形態に係るリモートノードでRACHを介して信号を送信するための手順を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係るRACHを介して信号を送信するためのリモートノードのブロック構成を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係るRACHを介して送信する接近プローブ(AP)の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。下記で本発明を説明するに当たって、関連した公知の機能又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不明確にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語であり、これは、ユーザ、操作者の意図又は慣例などによって変わりうる。したがって、その定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて行わなければならない。
【0013】
以下、本発明は、無線通信システムにおいて逆方向チャネル状態を考慮して、任意接近チャネル(RACH)送信を行うための技術について説明する。
以下、本発明において無線通信システムは、時分割複信(TDD)方式を使用すると仮定する。
【0014】
以下の説明において任意接近チャネルは、前記任意接近チャネルの構成方式に関係なしで適用できる。例えば、前記任意接近チャネルは、プリアンブルのみを含むように構成される。他の例として、前記任意接近チャネルは、プリアンブルと短いメッセージとを含むように構成されることができる。
【0015】
以下の説明においてホストノードは、順方向リンクを介して信号を送信するノードを示し、リモートノードは、逆方向リンクを介して信号を送信するノードを示す。
以下の説明においてホストノードは、リモートノードが順方向リンクのチャネル状態を確認することのできるチャネル(例:パイロットチャネル)を持続的又は周期的に送信すると仮定する。また、時分割複信方式を使用する場合、チャネル相互関係特性により、順方向チャネルと逆方向チャネルの状態が同じであると仮定することができる。これにより、以下の説明においてリモートノードは、順方向リンクのチャネル状態値を逆方向リンクのチャネル状態値として活用すると仮定する。
【0016】
リモートノードは、下記図1に示すように任意接近チャネルを介して信号を送信する。
図1は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるアップリンクRACHを介した信号送信構造を示している。
前記図1に示すように、順方向チャネルは、接近プリアンブル捕捉表示チャネル(AP−AICH)であると仮定し、逆方向チャネルは、任意接近チャネルであると仮定する。
図示のように、リモートノードは、通信の初期同期のためにプリアンブルを逆方向リンクの任意接近チャネルを介して送信する。このとき、前記リモートノードは、プリアンブルを含む接近プローブAP0 100を前記任意接近チャネルを介して送信する。例えば、前記リモートノードは、下記図6の(a)に示すように構成される接近プローブを任意接近チャネルを介して送信する。
【0017】
前記リモートノードは、TP−P102時間の間にホストノードから前記AP0 100に対する応答信号を受信しない場合、前記AP0 100より送信電力を△P104分増加させたAP1 110を任意接近チャネルを介して再送信する。このとき、前記AP1 110は、前記AP0 100と同じシグナチャーから構成されたプリアンブルを含む。
【0018】
ホストノードは、任意接近チャネルを介してAP1 110を受信した場合、TP−AI120時間の間に待機した後、前記AP1 110と同じシグナチャーをAICH130を介して前記リモートノードに送信する。
【0019】
図示していないが、前記リモートノードは、AICH130を介して提供された信号を復調して、シグナチャーと捕捉確認子(AI)とを確認する。万一、前記捕捉確認子を介してホストノードのACKが確認される場合、前記リモートノードは、tp−mag時間分だけ待機した後、逆方向任意接近チャネルを介して逆方向データを含むメッセージを前記ホストノードに送信する。例えば、前記リモートノードは、前記図6の(b)に示すように構成されるメッセージを含む接近プローブを任意接近チャネルを介して送信する。このとき、前記リモートノードは、前記AP1 110に相応する送信電力で前記接近プローブを送信する。
【0020】
上述したように、リモートノードは、逆方向チャネル状態を考慮して任意接近チャネルを送信することができる。すなわち、前記リモートノードは、逆方向チャネル状態が基準値以上である場合にのみ、任意接近チャネルを送信することができる。前記基準値は、リモートノードのサービスのQoS及びチャネルの統計的な特性を考慮して決定される。ここで、前記チャネルの統計的な特性は、無線チャネルのドップラー周波数と受信信号対雑音比の平均及び受信電力レベルの平均のうち、少なくとも一つを含む。
【0021】
前記基準値は、リモートノード又はホストノードで決定できる。例えば、ホストノードで前記基準値を決定する場合、前記ホストノードは、下記図2に示すようにリモートノードのサービスのQoSを考慮して、前記基準値を決定することができる。
図2は、本発明の実施の形態に係るホストノードでリモートノードのRACHを介した信号送信を制御するための手順を示している。
前記図2に示すように、前記ホストノードは、ステップ201にてリモートノードに提供するサービスのQoSを確認する。
【0022】
以後、前記ホストノードは、ステップ203に進んで前記リモートノードのサービスのQoSを考慮して、前記リモートノードが任意接近チャネルを送信するか否かを判断するための基準値を決定する。例えば、ホストノードがリモートノードにリアルタイムサービスを提供する場合、前記ホストノードは、前記リモートノードの遅延を減らすために、前記基準値を低く設定する。他の例として、ホストノードがリモートノードに非リアルタイムサービスを提供する場合、前記ホストノードは、前記基準値を高く設定する。
【0023】
前記基準値を決定した後、前記ホストノードは、ステップ205に進んで前記決定した基準値を前記リモートノードに送信する。例えば、前記ホストノードは、放送チャネルまたは専用チャネルを介して前記基準値情報を送信する。
以後、前記ホストノードは、本アルゴリズムを終了する。
上述した実施の形態においてホストノードは、リモートノードが任意接近チャネルの送信を行うか否かを判断する一つの基準値を決定する。
【0024】
他の実施の形態においてホストノードは、チャネル条件に応じるいくつかの基準値を決定することもできる。例えば、前記ホストノードは、下記の表1のように、ドップラー周波数に応じるいくつかの基準値を決定する。
【0025】
【表1】
【0026】
前記表1に示すように、ホストノードは、リモートノードに提供するサービスのQoSとチャネルのドップラー周波数に応じるいくつかの基準値とを決定して、リモートノードに送信する。このとき、前記ホストノードは、リアルタイムサービスより時間遅延に少なく敏感な非リアルタイムサービスの基準値を高く設定する。また、前記ホストノードは、チャネルのドップラー周波数が高いほど基準値を高く設定する。
【0027】
リモートノードは、ホストノードから提供された基準値のうち、前記ホストノードと通信しようとするサービスのQoS及びチャネルのドップラー周波数を考慮して、基準値を設定する。また、前記リモートノードは、サービスのQoSが変わるか、又はチャネルのドップラー周波数が変わる場合、前記表1において該当QoSとドップラー周波数に応じる基準値に変更することもできる。
【0028】
さらに他の実施の形態において、ホストノードは、QoSに応じる任意接近送信が許容される時間の限界をリモートノードに送信し、前記リモートノードは、前記時間の限界内で任意接近チャネルを送信しつつ送信電力を最適化するための基準値を変更することもできる。例えば、前記ホストノードは、任意接近チャネルの遅延性能とチャネルの統計的な特性とを利用して、リモートノードが任意接近チャネルの送信を行うか否かを判断する一つの基準値を下記の表2のように決定する。他の例として、下記の表2のような基準値は標準やチャネル環境に応じるシミュレーションを介して前記リモートノードで決定することもできる。ここで、前記表2の任意接近チャネルの遅延性能は、任意接近チャネルの平均遅延を用い、チャネルの統計的な特性は、チャネルのドップラー周波数を用いると仮定する。
【0029】
【表2】
【0030】
リモートノードは、サービスの特性による遅延性能が決定されると、チャネルのドップラー周波数に応じて前記表2を利用して基準値を変更することもできる。
無線通信システムにおいて時分割複信方式を使用する場合、順方向リンクと逆方向リンクとは、同じ周波数を使用する。これにより、リモートノードは、下記図3に示すように順方向リンク信号の強度を介して推定した逆方向チャネル状態を考慮して、任意接近チャネルを送信する。ここで、前記リモートノードは、受信信号の電力レベル、受信信号の経路減衰、受信信号の信号対雑音比(SNR)、順方向チャネル利得などを利用して、逆方向チャネル状態を推定することができる。以下の説明において、リモートノードは、受信信号の電力レベルを利用して逆方向チャネル状態を推定すると仮定して説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係るリモートノードでRACHを介して信号を送信するための手順を示している。
【0031】
前記図3に示すように、前記リモートノードは、ステップ301にてホストノードが送信した順方向信号が受信されているか否かを確認する。
順方向信号が受信される場合、前記リモートノードは、ステップ303に進んで前記ホストノードから受信した順方向信号の電力を測定する。
【0032】
以後、前記リモートノードは、ステップ305に進んで任意接近チャネルを送信するか否かを判断するための基準値を確認する。例えば、前記リモートノードは、ユーザが要求するサービスのQoS及びチャネルの統計的な特性を考慮して、任意接近チャネルの送信有無を判断するための基準値を決定する。他の例として、前記リモートノードは、ホストノードから任意接近チャネルの送信有無を判断するための基準値を提供されることもできる。さらに他の例として、前記リモートノードは、予め決まった任意接近チャネルの送信有無を判断するための基準値を確認することもできる。さらに他の例として、前記リモートノードは、通信を使用するチャネルの統計的な特性を考慮して、いくつかの基準値のうちの何れか一つの基準値を選択することもできる。このとき、前記リモートノードは、チャネルの統計的な特性であるドップラー周波数を考慮して基準値を選択することもできる。
【0033】
任意接近チャネル送信遂行有無を判断するための基準値を確認した後、前記リモートノードは、ステップ307に進んで前記ステップ303にて測定した順方向信号の電力と前記ステップ305にて確認した基準値とを比較する。
前記順方向信号の電力が前記基準値より小さいか、又は同じである場合、前記リモートノードは、逆方向チャネル状態が任意接近チャネルの送信に適していないと判断する。これにより、前記リモートノードは、任意接近チャネルの送信を行わない。
【0034】
一方、前記順方向信号の電力が前記基準値より大きい場合、前記リモートノードは、逆方向チャネル状態が任意接近チャネルの送信に適していると判断する。これにより、前記リモートノードは、ステップ309に進んで逆方向任意接近チャネルを介して信号を送信する。
以後、前記リモートノードは、本アルゴリズムを終了する。
【0035】
上述したように、リモートノードが逆方向チャネル状態を考慮して任意接近チャネルの送信を行う場合、前記リモートノードは、開ループを介して任意接近チャネルの送信に使用する電力を決定することができる。
【0036】
また、前記リモートノードは、ホストノードで逆方向リンクの電力を容易に推定できるように、一定の大きさの電力で任意接近チャネルの送信を行うこともできる。
また、前記リモートノードは、下記図4に示すように、逆方向チャネルの利得を考慮して、任意接近チャネルの送信に使用する電力を決定することもできる。
【0037】
図4は、本発明の他の実施の形態に係るリモートノードでRACHを介して信号を送信するための手順を示している。
【0038】
前記図4に示すように、前記リモートノードは、ステップ401にてホストノードが送信した順方向信号が受信されているか否かを確認する。
順方向信号が受信される場合、前記リモートノードは、ステップ403に進んで前記ホストノードから受信した順方向信号の電力を測定する。
【0039】
以後、前記リモートノードは、ステップ405に進んで任意接近チャネル送信遂行有無を判断するための基準値を確認する。例えば、前記リモートノードは、ユーザが要求するサービスのQoS及びチャネルの統計的な特性を考慮して、任意接近チャネル送信遂行有無を判断するための基準値を決定する。他の例として、前記リモートノードは、ホストノードから任意接近チャネル送信遂行有無を判断するための基準値を提供されることもできる。さらに他の例として、前記リモートノードは、予め決まった任意接近チャネル送信遂行有無を判断するための基準値を確認することもできる。また、さらに他の例として、前記リモートノードは、通信を使用するチャネルの統計的な特性を考慮して、いくつかの基準値のうちの何れか一つの基準値を選択することもできる。このとき、前記リモートノードは、チャネルの統計的な特性であるドップラー周波数を考慮して、基準値を選択することもできる。
【0040】
任意接近チャネル送信遂行有無を判断するための基準値を確認した後、前記リモートノードは、ステップ407に進んで前記ステップ403にて測定した順方向信号の電力と前記ステップ405にて確認した基準値とを比較する。
前記順方向信号の電力が前記基準値より小さいか、又は同じである場合、前記リモートノードは、逆方向チャネル状態が任意接近チャネルの送信に適しないと判断する。これにより、前記リモートノードは、任意接近チャネルを送信しない。
【0041】
一方、前記順方向信号の電力が前記基準値より大きい場合、前記リモートノードは、逆方向チャネル状態が任意接近チャネルの送信に適していると判断する。これにより、前記リモートノードは、ステップ409に進んで逆方向チャネルの利得を確認する。
以後、前記リモートノードは、ステップ411に進んで前記ステップ409にて確認した逆方向チャネル利得を考慮して、任意接近チャネルの送信に使用する送信電力を決定する。例えば、前記リモートノードは、逆方向チャネル利得に反比例するように、前記任意接近チャネルの送信に使用する送信電力を決定する。他の例として、前記リモートノードは、電波減衰に応じる変数と瞬間的逆方向チャネル利得の差を前記任意接近チャネルの送信に使用する送信電力として決定することができる。さらに他の例としては、前記リモートノードは、逆方向チャネルの瞬間的な利得に関係なく、任意接近チャネルの送信に使用する送信電力を一定のレベルに維持することもできる。ここで、一定のレベルは、ホストノードとリモートノードとの間の平均経路減衰と比例するように設定されることができる。
【0042】
前記任意接近チャネルの送信に使用する送信電力を決定した後、前記リモートノードは、ステップ413に進んで逆方向任意接近チャネルを介して信号を送信する。このとき、前記リモートノードは、前記ステップ411にて決定した送信電力で信号を送信する。
以後、前記リモートノードは、本アルゴリズムを終了する。
以下の説明は、逆方向チャネル状態を考慮して任意接近チャネルの送信を行うためのリモートノードの構成について説明する。このとき、前記リモートノードは、チャネルの統計的な特性でドップラー周波数を使用すると仮定する。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態に係るRACHを介して信号を送信するためのリモートノードのブロック構成を示している。
前記図5に示すように、リモートノードは、送受切り替え器500、受信装置510、チャネル推定部520、ドップラー周波数推定部530、制御部540及び送信装置550を備えて構成される。
前記送受切り替え器500は、デュプレックス方式に従って前記送信装置550から提供された送信信号をアンテナを介して送信し、アンテナからの受信信号を受信装置510に提供する。
【0044】
前記受信装置510は、前記送受切り替え器500から提供された信号からデータを復元する。例えば、前記受信装置510は、RF受信ブロック、復調ブロック、チャネル復号ブロックなどを含んで構成される。前記RF受信ブロックは、フィルタ及びRF前処理器などから構成される。前記復調ブロックは、無線通信システムが直交周波数分割多重方式を使用する場合、各副搬送波に載せられたデータを抽出するためのFFT演算器などから構成される。前記チャネル復号ブロックは、復調器、デインターリーバ及びチャネルデコーダなどから構成される。
【0045】
前記チャネル推定部520は、前記受信装置510から提供された受信信号を利用して、順方向のチャネルを推定する。例えば、前記チャネル推定部520は、順方向信号のパイロットを利用して受信信号の受信電力を推定する。
【0046】
前記ドップラー周波数推定部530は、前記受信装置510から提供された受信信号を利用して、ホストノードとリモートノードとの間のドップラー周波数を推定する。すなわち、前記ドップラー周波数推定部530は、順方向チャネルを介して受信された信号の変化を介して、ドップラー周波数を推定する。
【0047】
前記制御部540は、前記チャネル推定部520から提供された順方向リンクのチャネルの状態情報に基づいて、任意接近チャネルを送信するか否かを決定する。すなわち、前記制御部540は、前記チャネル推定部520で推定した受信信号の電力と基準値とを比較して、任意接近チャネルを送信するか否かを決定する。例えば、前記チャネル推定部520で推定した受信信号の電力が基準値より小さいか、又は同じである場合、前記制御部530は、逆方向チャネル状態が任意接近チャネルの送信に適していないと判断する。これにより、前記制御部530は、任意接近チャネルの送信を行わないように前記送信装置550を制御する。他の例として、前記チャネル推定部520で推定した受信信号の電力が前記基準値より大きい場合、前記制御部540は、逆方向チャネル状態が任意接近チャネルの送信に適していると判断する。これにより、前記制御部540は、任意接近チャネルの送信を行うように前記送信装置550を制御する。
【0048】
このとき、前記制御部540は、ホストノードから提供された基準値を利用して、任意接近チャネルを送信するか否かを決定する。他の例として、前記制御部540は、ユーザが要求するサービスのQoSを考慮して基準値を算出することもできる。さらに他の例として、前記制御部540は、固定された基準値を利用することもできる。さらに他の例として、前記制御部540は、サービスのQoSと前記ドップラー周波数推定部530で推定したドップラー周波数とを利用して、前記表1から該当基準値を選択することもできる。さらに他の例として、前記制御部540は、サービスのQoSに応じる遅延特性及び前記ドップラー周波数推定部530で推定したドップラー周波数を利用して、前記表2から該当基準値を選択することもできる。
【0049】
前記送信装置550は、前記制御部540の制御に応じて、任意接近チャネルを介して基地局も送信する信号を生成する。すなわち、前記送信装置550は、前記制御部540で任意接近チャネルの送信を行うように制御する場合にのみ任意接近チャネルを介して基地局に送信する信号を無線資源を介して送信のための形態に変換して、前記送受切り替え器500に提供する。例えば、前記送信装置550は、信号生成ブロック、チャネル符号ブロック、変調ブロック、RF送信ブロックなどを含んで構成される。前記チャネル符号ブロックは、変調器、インタリーバ及びチャネルエンコーダなどから構成される。前記変調ブロックは、無線通信システムが直交周波数分割多重方式を使用する場合、各副搬送波にデータをマッピングするためのIFFT演算器などから構成される。前記RF送信ブロックは、フィルタ及びRF前処理器などから構成される。
【0050】
図示していないが、前記リモートノードは、逆方向チャネル利得を考慮して任意接近チャネルの送信に使用する送信電力を決定する電力制御部をさらに備えて構成される。このとき、前記電力制御部は、逆方向チャネル利得を考慮して、任意接近チャネルの送信電力を決定する。例えば、前記電力制御部は、逆方向チャネル利得に反比例するように、任意接近チャネルの送信に使用する送信電力を決定する。他の例として、前記電力制御部は、逆方向チャネルの瞬間的な利得に関係なく、任意接近チャネルの送信に使用する送信電力を一定のレベルに維持することもできる。ここで、一定のレベルは、ホストノードとリモートノードとの間の平均経路減衰と比例するように設定されることができる。
【0051】
上述した実施の形態においてリモートノードは、順方向信号の受信電力を考慮して、任意接近チャネル送信の遂行有無を決定する。
他の実施の形態においてリモートノードは、順方向チャネルのフェージング値を考慮して、任意接近チャネル送信の遂行有無を決定することもできる。このとき、前記リモートノードは、下記の式1のように順方向チャネルのフェージング値を算出することができる。
Y=(瞬間的なパイロット受信電力)/(平均パイロットチャネル受信電力)・・・式1
【0052】
式中、前記Yは、順方向チャネルのフェージング値を示す。
このとき、前記式1のように算出された順方向チャネルのフェージング値が基準値より大きい場合、リモートノードは、逆方向チャネル状態が任意接近チャネルの送信に適していると判断する。これにより、前記リモートノードは、逆方向任意接近チャネルの送信を行う。
【0053】
一方、前記式1のように算出された順方向チャネルのフェージング値が基準値より小さいか、又は同じである場合、リモートノードは、逆方向チャネル状態が任意接近チャネルの送信に適していないと判断する。これにより、前記リモートノードは、逆方向任意接近チャネルの送信を行わない。
【0054】
上述したように、無線通信システムのリモートノードで逆方向リンクのチャネル状態を考慮して、任意接近チャネルの送信を選択的に行なうことによって、逆方向接近チャネルの成功率を向上させることができ、逆方向接近チャネルを介して信号を送信するための端末の電力消費を減らすことができ、最大送信電力に制限された逆方向リンクのサービス領域を広めることができるという利点がある。
【0055】
一方、本発明の詳細な説明では具体的な実施の形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内で多様な変形が可能であることは勿論である。したがって、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限って決まらず、特許請求の範囲だけでなく、特許請求の範囲と均等なものによって決まらねばならない。
【符号の説明】
【0056】
100 AP0
110 AP1
120 TP−AI
130 AICH
図1
図2
図3
図4
図5
図6