特許第5951927号(P5951927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951927
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】ガスメータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20160630BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G01F3/22 B
   F23K5/00 304
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-290586(P2010-290586)
(22)【出願日】2010年12月27日
(65)【公開番号】特開2012-137402(P2012-137402A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年12月17日
【審判番号】不服2015-19627(P2015-19627/J1)
【審判請求日】2015年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄大
(72)【発明者】
【氏名】岡村 繁憲
【合議体】
【審判長】 酒井 伸芳
【審判官】 中塚 直樹
【審判官】 関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平4−62976(JP,U)
【文献】 実公昭56−46259(JP,Y2)
【文献】 特開平10−30948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常発生時に閉弁作動してケーシング内に形成されたガス流路を遮断する遮断弁と、閉弁状態の前記遮断弁を開弁側に操作する弁操作部を開弁側に操作して、前記遮断弁を開弁
状態に復帰させる軸状の復帰用操作体とが設けられ、
前記復帰用操作体が、前記ケーシングの内外方向に移動自在でかつ一端側部分を前記ケーシングの外方に突出させた待機位置に復帰付勢される状態で、且つ、前記待機位置から
前記ケーシングの内方に向けて移動されることより前記弁操作部を開弁側に操作する状態で設けられているガスメータであって、
前記復帰用操作体が前記ケーシングの内方に向けて単位量移動されるに伴ってその単位量よりも大きな移動量にて前記弁操作部を前記遮断弁の開弁側に移動させる移動量拡大連
係機構が、前記ケーシング内に設けられ、
前記ガス流路における入口部と計量部とに亘る入口側流路部分を区画形成する入口側の流路形成部材、及び、前記計量部と出口部とに亘る出口側流路部分を区画形成する出口側
の流路形成部材が、前記ケーシング内に装備され、
前記計量部が、その内部を通してガスを流動させて計量するように構成され、
前記弁操作部としての弁操作軸が、前記遮断弁の弁体に接続されかつ前記入口側の流路形成部材を貫通する状態で設けられ、
前記移動量拡大連係機構が、前記ケーシング内における前記入口側の流路形成部材、前記計量部及び前記出口側の流路形成部材の外方に相当する空間に装備され、
前記移動量拡大連係機構が、前記復帰用操作体の前記ケーシング内方側の移動によって回転される小径のピニオン部と、その小径のピニオン部の回転に伴って回転して前記弁操作部としての前記弁操作軸を開弁側に移動させる大径のピニオン部とを一体回転状態に備えた連係ピニオンにて構成され、
前記入口側の流路形成部材の外面に接続した支持部材に、前記復帰用操作体の前記ケーシング内の端部にて押圧移動される被操作部が、前記弁操作部としての前記弁操作軸の軸心方向と並行する方向に沿って移動自在に支持され、かつ、前記連係ピニオンが前記支持部材に、前記大径のピニオン部に前記弁操作部としての前記弁操作軸に形成したラック部が係合する状態かつ前記小径のピニオン部に前記被操作部が係合する状態で回転自在に支持され、
前記復帰用操作体が移動自在な方向である前記ケーシングの内外方向が、前記弁操作部としての前記弁操作軸の軸心方向と並行する方向であるガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常発生時に閉弁作動してケーシング内に形成されたガス流路を遮断する遮断弁と、閉弁状態の前記遮断弁を開弁側に操作する弁操作部を開弁側に操作して、前記遮断弁を開弁状態に復帰させる軸状の復帰用操作体とが設けられ、前記復帰用操作体が、前記ケーシングの内外方向に移動自在でかつ一端側部分を前記ケーシングの外方に突出させた待機位置に復帰付勢される状態で、且つ、前記待機位置から前記ケーシングの内方に向けて移動されることより前記弁操作部を開弁側に操作する状態で設けられているガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるガスメータは、ケーシング内のガス流路を流動するガス流量が過大となった場合や、ガスが継続してガス流路を流動する時間が異常に長くなった場合等の異常が発生したときに、自動的に閉弁作動してガス流路を遮断する遮断弁を備えるものであり、そして、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させる場合には、復帰用操作体を、待機位置からケーシングの内方に向けて移動操作することにより、遮断弁を開弁状態に復帰操作することになる。
【0003】
かかるガスメータの従来例として、復帰用操作体がケーシングの内方に向けて単位量移動すると遮断弁を開弁側に操作する弁操作部としての中間軸も単位量移動するように、復帰用操作体が弁操作部としての中間軸を押圧するように設けられ、そして、復帰用操作体の軸心方向に摺動自在な筒状の復帰軸押えが、復帰用操作体よりも外方に突出した突出姿勢と復帰用操作体に重複する引退姿勢とに位置変更自在で、かつ、突出姿勢において正逆に回転操作することにより、復帰用操作体をケーシング内方に向けて押圧可能な押圧状態とその押圧を解除する解除状態とに切り替え可能に設けられたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
すなわち、この特許文献1のガスメータは、通常時は、復帰軸押えを引退姿勢にしておくことになる。
そして、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰操作する場合には、引退姿勢の復帰軸押えを、突出姿勢に引き出し操作したのち押圧状態に回転操作し、その状態において、復帰軸押えをケーシング内方に向けて押し移動操作することにより、復帰用操作体にて弁操作部としての中間軸を押圧して、遮断弁を開弁状態に復帰操作することができるようにしたものである。
また、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させる操作が終了した後は、復帰軸押えを解除状態に回転操作したのち、引退姿勢に操作することになる。
【0005】
つまり、復帰用操作体は、待機位置からケーシング内方に向けて移動されることによって、遮断弁を閉弁状態から開弁状態に操作するものであるから、待機位置においては、その一端側部分がケーシングの外方に突出されることになり、その突出量は、遮断弁を閉弁状態から開弁状態に操作するために、復帰用操作体を待機位置からケーシングの内方に向けて移動させる必要がある開き操作用移動量に相当する長さとなる。
【0006】
そして、復帰用操作体が単位量移動すると弁操作部としての中間軸も単位量移動するように、復帰用操作体が弁操作部としての中間軸を押圧するように設けられる場合には、復帰用操作体の開き操作用移動量がかなり大きいため、待機位置において、復帰用操作体が開き操作用移動量に相当する長さ分をケーシングの外方に突出していると、復帰用操作体のケーシングからの突出量が大きいため、使用者が接触する等のトラブルを発生する虞がある。
【0007】
特許文献1のガスメータは、復帰軸押えを突出姿勢に操作した状態においては、上述の開き操作用移動量に相当する長さ分を、復帰軸押えがケーシングの外方に突出した状態とはなるものの、復帰軸押さえを引退姿勢に操作した状態においては、復帰軸押さえや復帰用操作体のケーシングの外方への突出量を、上述の開き操作用移動量に相当する長さ分よりも小さくできるため、復帰軸押さえや復帰用操作体に使用者が接触する等のトラブル発生を抑制できることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−97743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のガスメータは、復帰軸押さえや復帰用操作体に使用者が接触する等のトラブルの発生を抑制できるものの、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させる場合には、引退姿勢の復帰軸押えを突出姿勢に引き出し操作し、次に、引き出し操作した復帰軸押えを、回転操作して、解除状態から押圧状態に切り替え、その後に、復帰軸押えをケーシング内方側に向けて移動操作することになるため、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させる際には、復帰軸押えに対する面倒な操作が必要となるものであった。
【0010】
また、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させた後においては、引き出し操作した復帰軸押えを、回転操作して、押圧状態から解除状態に切り替えたのちに、復帰軸押えをケーシング内方側に向けて移動させて引退姿勢に切り替える必要があり、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させた後においても、復帰軸押えを引退姿勢に切り替える面倒な操作を要するもものであった。
【0011】
つまり、従来のガスメータは、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させるためには、先ず、復帰軸押えを突出姿勢で且つ押圧状態にする操作を必要とし、しかも、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させた後においても、復帰軸押えを引退姿勢に切り替える操作を要するものであるから、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させるための操作が煩雑となるものであり、改善が望まれるものであった。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、復帰用操作体がケーシングの外方に大きく突出することを回避しながらも、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させるための操作の簡略化を図ることができるガスメータを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のガスメータは、異常発生時に閉弁作動してケーシング内に形成されたガス流路を遮断する遮断弁と、閉弁状態の前記遮断弁を開弁側に操作する弁操作部を開弁側に操作して、前記遮断弁を開弁状態に復帰させる軸状の復帰用操作体とが設けられ、
前記復帰用操作体が、前記ケーシングの内外方向に移動自在でかつ一端側部分を前記ケーシングの外方に突出させた待機位置に復帰付勢される状態で、且つ、前記待機位置から
前記ケーシングの内方に向けて移動されることより前記弁操作部を開弁側に操作する状態で設けられているものであって、その第1特徴構成は、
前記復帰用操作体が前記ケーシングの内方に向けて単位量移動されるに伴ってその単位量よりも大きな移動量にて前記弁操作部を前記遮断弁の開弁側に移動させる移動量拡大連
係機構が、前記ケーシング内に設けられ、
前記ガス流路における入口部と計量部とに亘る入口側流路部分を区画形成する入口側の流路形成部材、及び、前記計量部と出口部とに亘る出口側流路部分を区画形成する出口側
の流路形成部材が、前記ケーシング内に装備され、
前記計量部が、その内部を通してガスを流動させて計量するように構成され、
前記弁操作部としての弁操作軸が、前記遮断弁の弁体に接続されかつ前記入口側の流路形成部材を貫通する状態で設けられ、
前記移動量拡大連係機構が、前記ケーシング内における前記入口側の流路形成部材、前記計量部及び前記出口側の流路形成部材の外方に相当する空間に装備され、
前記移動量拡大連係機構が、前記復帰用操作体の前記ケーシング内方側の移動によって回転される小径のピニオン部と、その小径のピニオン部の回転に伴って回転して前記弁操作部としての前記弁操作軸を開弁側に移動させる大径のピニオン部とを一体回転状態に備えた連係ピニオンにて構成され、
前記入口側の流路形成部材の外面に接続した支持部材に、前記復帰用操作体の前記ケーシング内の端部にて押圧移動される被操作部が、前記弁操作部としての前記弁操作軸の軸心方向と並行する方向に沿って移動自在に支持され、かつ、前記連係ピニオンが前記支持部材に、前記大径のピニオン部に前記弁操作部としての前記弁操作軸に形成したラック部が係合する状態かつ前記小径のピニオン部に前記被操作部が係合する状態で回転自在に支持され、
前記復帰用操作体が移動自在な方向である前記ケーシングの内外方向が、前記弁操作部としての前記弁操作軸の軸心方向と並行する方向である点を特徴とする。


【0014】
すなわち、復帰操作用体をケーシングの内方に向けて移動させると、移動量拡大連係機構により、復帰操作用体の移動量よりも大きな移動量にて、弁操作部が遮断弁の開弁側に移動されて、遮断弁が開弁状態に復帰操作されることになる。
【0015】
つまり、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させる場合には、弁操作部を、遮断弁を閉弁状態から開弁状態に操作するために必要となる開き操作移動量にて、遮断弁の開弁側に移動させる必要はあるが、移動量拡大連係機構により、復帰用操作体の移動量よりも大きな移動量にて弁操作部が移動されるものとなるから、復帰用操作体を、弁操作部の開き操作移動量よりも小さな移動量にて、待機位置からケーシングの内方に向けて移動させることにより、弁操作部を開き操作移動量にて移動させることができるものとなる。
【0016】
このように、遮断弁を閉弁状態から開弁状態に操作するために、復帰用操作体を待機位置からケーシングの内方に向けて移動させる移動量が、弁操作部の開き操作移動量よりも小さな量となるから、待機位置において、復帰用操作体がケーシングの外方に突出する突出量を小さくできるため、復帰用操作体が待機位置においてケーシングの外方に大きく突出することを回避して、復帰用操作体に使用者が接触する等のトラブルを発生することを抑制できる。
【0017】
しかも、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させる場合の操作としては、単に、復帰用操作体をケーシングの内方向けて移動させる操作を行えばよいため、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させるための操作の簡略化を図ることができるのである。
【0018】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、復帰用操作体がケーシングの外方に大きく突出することを回避しながらも、閉弁状態になった遮断弁を開弁状態に復帰させるための操作の簡略化を図ることができるガスメータを提供できる。
【0020】
又、本発明の第1特徴構成によれば、入口部に供給されたガスが、入口側の流路形成部材にて区画形成された入口側流路部分を通して計量部に流動し、計量部に供給されたガスが、計量部の内部を通して流動しながら計量され、計量部から排出されるガスが、出口側の流路形成部材にて区画形成された出口側流路部分を通して出口部に流動することになる。
したがって、ケーシング内における入口側の流路形成部材、計量部及び出口側の流路形成部材の外方に相当する空間には、ガスが流動しないことになり、このガスが流動しない空間に、移動量拡大連係機構が装備されることになる。
【0021】
このように、ガスが流動しない空間に移動量拡大連係機構を装備するものであるから、例えば、ガス流路を通してガスを通流させながら、つまりガスの消費を継続しながら、ケーシングを開いて、移動量拡大連係機構の点検調整を行える等、メンテナンス性の向上を図ることができるものとなる。
【0022】
また、ケーシング内における入口側の流路形成部材、計量部及び出口側の流路形成部材の外方に相当する空間には、ガスが流動しないため、復帰用操作体をケーシングに装備するにあたり、ガス漏れを抑制するシール構造を不要にして、その構成の簡素化を図ることができるものとなる。
【0023】
要するに、本発明の第特徴構成によれば、上記作用効果に加えて、メンテナンス性の向上を図ることができ、また、復帰用操作体をケーシングに装備する構成の簡素化を図ることができるガスメータを提供できる。
【0025】
又、本発明の第1特徴構成によれば、復帰用操作体のケーシング内方側の移動によって小径のピニオン部が回転されると、その回転と一体回転する状態で大径のピニオン部が回転して、弁操作部が開弁側に移動されることにより、復帰用操作体の移動量よりも大きな移動量にて弁操作部が開弁側に移動されることになる。
【0026】
そして、小径のピニオン部と大径のピニオン部とを一体回転状態に備えた連係ピニオンは、簡素な構成でありかつコンパクトに配置できるため、移動量拡大連係機構の簡素化及びコンパクト化を図ることができる。
【0027】
要するに、本発明の第特徴構成によれば、上記作用効果に加えて移動量拡大連係機構の簡素化及びコンパクト化を図ることができるガスメータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態のガスメータの切欠き正面図
図2】同実施形態の遮断弁の装着部の縦断側面図、
図3】同実施形態の復帰用操作体の装着部の縦断側面図
図4】同実施形態の復帰用操作体の装着部の縦断側面図
図5】同実施形態の復帰用操作体の装着部の縦断側面図
図6】復帰用操作体の装着部の構成を示す分解斜視図
図7】第2実施形態の遮断弁の装着部の縦断側面図、
図8】同実施形態の復帰用操作体の装着部の縦断側面図
図9】同実施形態の復帰用操作体の装着部の縦断側面図
図10】同実施形態の復帰用操作体の装着部の縦断側面図
図11】復帰用操作体の装着部の構成を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態のガスメータを図面に基づいて説明する。
図1に示すように、上下に分割自在なケーシング1内に、計量部2が装備され、ガス流路Gにおける入口部3と計量部2とに亘る入口側流路部分G1を区画形成する入口側の流路形成部材4、及び、計量部2と出口部5とに亘る出口側流路部分G2を区画形成する出口側の流路形成部材6が、ケーシング1内に装備されている。また、計量部2が、その内部を通して計測対象のガスを流動させて計量する内部通流式に構成されている。
つまり、本第1実施形態のガスメータは、入口部3から流入するガスが、ケーシング1内に区画形成されたガス流路Gを通して出口部5に流動するように構成されており、ケーシング1の内部における入口側の流路形成部材4、計量部2及び出口側の流路形成部材6の外方に相当する空間内にはガスが流動しない状態となっている。
【0030】
本実施形態の計量部2は、計量本体部2Aと、入口側流路部分G1からのガスを計量本体部2Aに導く入口側マニホールド部2Bと、計量本体部2Aからのガスを出口側流路部分G2に導く出口側マニホールド部2Cとから構成されている。
計量本体部2Aは、例えば、超音波式の流量計等を用いて構成されている。
【0031】
図2に示すように、異常発生時に閉弁作動してケーシング1内に形成されたガス流路Gを遮断する遮断弁Vが、入口側の流路形成部材4に装備されている。
この遮断弁Vは、閉弁状態側に復帰付勢され、且つ、電磁保持部7にて開弁状態に保持されるものであって、電磁保持部7の通電を制御する制御部(例示せず)が、計量部2の計量情報に基づいて、ガス流路Gを流動するガス流量が異常に過大となることや、ガス流路Gをガスが継続して流動する時間が異常に長くなること等の異常が発生したことを判別したときに、電磁保持部7の通電を停止して、遮断弁Vを閉弁作動させることになる。
【0032】
遮断弁Vは、弁本体8が入口側の流路形成部材4に形成した弁座9に接当すると、閉弁状態となり、弁本体8が弁座9から離間すると開弁状態になるように構成されている。
そして、閉弁状態の遮断弁Vを開弁側に操作する弁操作部としての弁操作軸10が、弁本体8に接続され且つ入口側の流路形成部材4を貫通して突出する状態で設けられている。
尚、詳述はしないが、入口側の流路形成部材4における弁操作軸10の貫通部には、シール材が装備されて、ガス漏れが抑制されることになる。
【0033】
そして、上述の如く閉弁状態に操作された遮断弁Vを閉弁状態から開弁状態に復帰操作するためには、遮断弁Vを閉弁状態から開弁状態に復帰操作するために必要となる開き操作移動量にて、弁操作軸10を遮断弁Vの開弁側に移動操作する必要がある。
このため、弁操作軸10を遮断弁Vの開弁側に移動操作する復帰操作手段Uが装備されており、以下、この復帰操作手段Uについて説明する。
【0034】
図2図5に示すように、弁操作軸10を開弁側に操作して、遮断弁Vを開弁状態に復帰させる軸状の復帰用操作体11が、ケーシング1の内外方向に移動自在でかつ一端側部分をケーシング1の外方に突出させた待機位置に復帰付勢される状態で、且つ、待機位置からケーシング1の内方に向けて移動されることより弁操作軸10を開弁側に操作する状態で設けられている。
【0035】
具体的には、復帰用操作体11がケーシング1の内方に向けて単位量移動されるに伴ってその単位量よりも大きな移動量にて弁操作軸10を遮断弁Vの開弁側に移動させる移動量拡大連係機構Kが、ケーシング1内における入口側の流路形成部材4、計量部2及び出口側の流路形成部材6の外方に相当する空間内に設けられており、復帰用操作体11をケーシング1の内方に向けて移動させると、弁操作軸10が移動量拡大連係機構Kにて開弁側に移動されるように構成されている。
【0036】
説明を加えると、復帰用操作体11におけるケーシング1内の端部にて押圧移動される被操作部としての被操作体12が、入口側の流路形成部材4の外面に接続した支持部材13に、弁操作軸10の軸心方向と並行する軸心方向に沿って移動自在に支持されている。
また、弁操作軸10に形成されたラック部10aに係合する大径のピニオン部14Aと、被操作体12に形成されたラック部12aに係合する小径のピニオン部14Bとを一体回転する状態に備えた連係ピニオン14が、上述の支持部材13に回転自在に支持される状態で設けられて、移動量拡大連係機構Kが、連係ピニオン14にて、被操作体12と弁操作軸10とを連係する手段として構成されている。
ちなみに、本実施形態においては、被操作体12が単位量移動すると、その2倍の移動量にて弁操作軸10が移動する状態となるように、連係ピニオン14が形成されている。
【0037】
したがって、遮断弁Vが閉弁状態になったときには、図3及び図4に示すように、ケーシング1の外方側に復帰付勢された待機位置に位置する復帰用操作体11を、図5に示すように、ケーシング1の内方に向けて押し移動することにより、復帰用操作体11にて被操作体12が押し移動され、連係ピニオン14が、被操作体12の移動に伴って弁操作軸10を遮断弁Vの開弁状態側に移動させることにより、遮断弁Vが開弁状態に復帰されることになる。
【0038】
そして、移動量拡大連係機構Kにより、復帰用操作体11の単位移動量よりも弁操作軸10の移動量が大きく拡大されるものであるから、復帰用操作体11を待機位置からケーシング1の内方側に移動させる量が弁操作軸10の開き操作移動量より小さくても、遮断弁Vを開弁状態に復帰操作できるのであり、その結果として、図3及び図4に示すように、復帰用操作体11がケーシング1の外方側に復帰付勢された待機位置に位置する状態において、復帰用操作体11のケーシング1の外方に突出する突出量を小さくできることになる。
【0039】
また、図2図4に示すように、遮断弁Vの開閉状態をケーシング1の外部より監視可能にするための弁開閉状態表示手段Hが装備されている。
すなわち、復帰用操作体11におけるケーシング1の外方に位置する一端側部分の外周が、遮断弁Vが開弁状態であることを表示するための開弁状態表示部11Aに構成され、復帰用操作体11を外套する筒状体15が、ケーシング1の内外方向に移動自在でかつ待機位置の復帰用操作体11における開弁状態表示部11Aを覆う閉弁状態表示位置に復帰付勢された状態で設けられている。
【0040】
閉弁状態表示位置に位置する筒状体15におけるケーシング1の外方に位置する一端側部分の外周が、遮断弁Vが閉弁状態であることを表示するための閉弁状態表示部15Aに構成され、遮断弁Vが開弁状態のときには筒状体15をケーシング1の内方側に移動させた退避位置にて係止保持しかつ遮断弁Vが閉弁状態のときには係止保持作用を解除する係止保持手段Jが設けられている。
ちなみに、復帰用操作体11のケーシング外方側の端部には、透明な樹脂材にて形成された有底筒状のカバー体16が、復帰用操作体11と一体移動するように、接着剤等により止着された状態で設けられている。
【0041】
つまり、遮断弁Vの開弁状態においては、図3に示すように、筒状体15が係止保持手段Jにて退避位置に保持されているため、復帰用操作体11におけるケーシング1の外方に位置する開弁状態表示部11Aが視認可能となり、この開弁状態表示部11Aを、ケーシング1の外部より視認することにより、遮断弁Vが開弁状態であることを確認できる。
【0042】
また、遮断弁Vの閉弁状態においては、係止保持手段Jの係止保持作用が解除されて筒状体15が閉弁状態表示位置に移動しているため、図4に示すように、復帰用操作体11の開弁状態表示部11Aが筒状体15にて覆われて、筒状体15におけるケーシング1の外方に位置する閉弁状態表示部15Aが視認可能となり、この閉弁状態表示部15Aを、ケーシング1の外部より視認することにより、遮断弁Vが閉弁状態であることを確認できる。
【0043】
ちなみに、本実施形態においては、復帰用操作体11における弁開弁状態表示部11Aが、緑色に着色され、筒状体15における閉弁状態表示部15Aが、赤色に着色されており、色の変化によって、遮断弁Vの開閉状態を視認し易いようになっている。
【0044】
係止保持手段Jは、図3に示すように、筒状体15の被係止孔17に係合自在で且つ係合側に復帰付勢された係止体18を、筒状体15が退避位置に位置するときに被係止孔17に係合させることによって、筒状体15を退避位置にて係止保持するように構成され、かつ、図4に示すように、被係止孔17に係合している係止保持状態の係止体18を、遮断弁Vが閉弁状態になるに伴って弁操作軸10の端部にて押圧して、係止保持作用を解除する解除状態に切り替えるように構成されている。
【0045】
また、閉弁状態の遮断弁Vを開弁状態に復帰させるために、図5に示すように、復帰用操作体11をケーシング1の内方に向けて移動させると、筒状体15がカバー体16に押圧されてケーシング1の内方に移動し、係止体18が被係止孔17に係合するように構成されている。
したがって、復帰用操作体11をケーシング1の内方に移動させる操作を終了して、復帰用操作体11が退避位置に復帰移動したときには、図3に示すように、筒状体15が退避位置に保持されることになる。
【0046】
以下、復帰用操作体11及び筒状体15の装着部の構成について説明を加える。
すなわち、図6にも示すように、二重筒状でかつ底部が接続された主体枠19、及び、この主体枠19の底部に嵌合状態に接続される有底筒状の副体枠20が設けられている。
この副体枠20は、その長手方向に沿って大径の開口側部分20aと小径の底部側部分20bとを備える状態に形成され、大径の開口側部分20aが、上述の如く、主体枠19の底部に嵌合された状態で接続されている。
【0047】
主体枠19が、ケーシング1に形成した装着孔Eを貫通する状態に配置され、この主体枠19の外周部におけるケーシング1の内方側及び外方側に亘る箇所には、ネジ部19aが形成されている。
そして、主体枠19のケーシング1の内方側部分に螺合される内方側止着体21、及び、主体枠19のケーシング1の外方側部分に螺合される外方側止着体22が設けられ、これら内方側止着体21と外方側止着体22との間にケーシング1を挟持する状態となるように、内方側止着体21と外方側止着体22とを締結することにより、主体枠19及びその主体枠19に接続された副体枠20を、ケーシング1に止着できるように構成されている。
【0048】
復帰用操作体11のケーシング外方側の端部に止着されたカバー体16におけるケーシング内方側の端部には、フランジ状部16aが形成され、このフランジ状部16aが、外方側止着体22に接当することにより、カバー体16と一体移動する復帰用操作体11の待機位置が定められるように構成されている。
ちなみに、復帰用操作体11が、筒状体15の底部を貫通し、かつ、副体枠20の底部を貫通して、遮断弁Vの存在側に突出するようになっており、その突出側の端部が、上述の如く、被操作体12を押圧移動させることになる。
【0049】
カバー体16が、二重筒状の主体枠19における内外筒部の間に挿入され、且つ、その内外筒部のうちの内方側の筒部に対してケーシング内外方向に移動自在に外嵌支持されており、このように、カバー体16が主体枠19にケーシング内外方向に移動自在に支持されることにより、カバー体16と一体移動する復帰用操作体11が、主体枠19に対してケーシング内外方向に移動自在に支持されるようになっている。
そして、カバー体16のフランジ状部16aをケーシング外方側に押圧するスプリング23が、二重筒状の主体枠19における内外筒部の間に配設され、このスプリング23にて、復帰用操作体11が、待機位置に復帰付勢されることになる。
【0050】
筒状体15が、主体枠19の内外筒部のうちの内側筒部及び副体枠20における小径の底部側部分20bに対して、ケーシング1の内外方向に移動自在に内嵌されている。
また、筒状体15をケーシング外方に押圧するスプリング24が、副体枠20における小径の底部側部分20bの内部に配設されており、このスプリング24によって、筒状体15が、待機位置の復帰用操作体11における開弁状態表示部11Aを覆う閉弁状態表示位置に復帰付勢されている。
【0051】
筒状体15の外周部に、被係止用の突起部15aが形成され、この被係止用の突起部15aが、主体枠19の内外筒部のうちの内方側の筒部の内面にケーシング内外方向に沿って形成した嵌合溝Dに、ケーシング内外方向に移動自在に係合して、筒状体15の回転が牽制阻止されるように構成されている。
つまり、筒状体15の回転位相が、筒状体15に形成した被係止孔17に対して係止体18が係脱するのに適する位相となるように、筒状体15の回転が牽制阻止されるようになっている。
【0052】
係止体18が、副体枠20の大径の開口側部分20aの内部に設けた支持片25に、揺動自在に枢支されて、筒状体15を退避位置にて係止保持する係止保持姿勢と係止保持作用を解除する解除姿勢とに切換え自在に構成され、そして、捩りスプリング26にて、係止保持姿勢に復帰付勢されている。
また、係止体18における弁操作軸10にて押圧される一端部が、副体枠20の大径の開口側部分20aに形成した挿通孔27を通して、外方に突出されている。
【0053】
以上の通り、復帰用操作体11及び筒状体15やそれらに付属する部材が、主体枠19及びそれに接続されている副体枠20に装備されている。
したがって、主体枠19を、ケーシング1の装着孔Eを貫通する状態で、ケーシング1に組み付けることにより、復帰用操作体11及び筒状体15やそれに付属する部材をケーシング1に組み付けることができるようになっている。
【0054】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の参考の実施形態である第2実施形態のガスメータを図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同様な構成部分については、重複する説明を省略するために、第1実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0055】
この第2実施形態のガスメータは、図7に示すように、ケーシング1の内部に、膜式の計量部(図示せず)を装備するものであって、ガス流路Gにおける入口側流路部分G1を形成する入口側の流路形成部材4が、ケーシング1の内方空間に向けてガスを流動させるように構成されている。つまり、このガスメータは、ケーシング1の内方空間に、ガスが充満することになる。
【0056】
したがって、主体枠19及びそれに接続されている副体枠20を、ケーシング1の装着孔Eを貫通する状態で、ケーシング1に止着するにあたり、密封性を有する状態でケーシング1に装着されている。
すなわち、図8図11に示すように、主体枠19のケーシング外方側の端部に、環状枠28が、溶接により取り付けられている。
尚、このように環状枠28が設けられることにより、第1実施形態において説明した外方側止着体22は、この第2実施形態においては省略されることになり、そして、この第2実施形態においては、主体枠19の内外筒部のうちの外側筒部の長さが、第1実施形態よりも短く形成されている。
【0057】
そして、環状枠28と内方側止着体21との間にケーシング1を挟持する状態となるように、内方側止着体21を締め付けることにより、主体枠19及びそれに接続されている副体枠20が、ケーシング1の装着孔Eを貫通する状態で、ケーシング1に装着されるようになっている。
【0058】
環状枠28のケーシング側の端面のうちの、主体枠19よりも外方側部分には、ガス漏れ阻止用のシール体としての環状の弾性シール体29が装備され、この弾性シール体29がケーシング1の外面に当て付けられることにより、環状枠28のケーシング側の端面のうちの、主体枠19よりも外方側部分とケーシング1の外面との間が密封されるように構成されている。
つまり、ケーシング内に存在するガスが、主体枠19の外方側を通して、ケーシング1の外方に流出することが抑制されるようになっている。
【0059】
復帰用操作体11のケーシング外方側の端部に接続されたカバー体16が、環状枠28に内嵌された状態で、ケーシング1の内外方向に移動するように配設されている。
そして、環状枠28の内面に、ガス漏れ阻止用のシール体としての環状の弾性シール体30が装備され、この弾性シール体29がカバー体16の外面に当て付けられることにより、環状枠28の内面とカバー体16の外面との間が密封されるように構成されている。
【0060】
つまり、ケーシング内に存在するガスが、副体枠20における復帰用操作体11の貫通部を通して、副体枠20の内部に流入すること等により、ケーシング内に存在するガスが主体枠19の内外の筒部の間に流動する虞があるが、このように流動したガスが、環状体28の内面とカバー体16の外面との間を通して、ケーシング1の外方に流出することが抑制されるようになっている。
【符号の説明】
【0062】
1 ケーシング
2 計量部
3 入口部
4 入口側の流路形成部材
5 出口部
6 出口側の流路形成部材
10 弁操作部
11 復帰用操作体
14 連係ピニオン
14A 大径のピニオン部
14B 小径のピニオン部
G ガス流路
G1 入口側流路部分
G2 出口側流路部分
K 移動量拡大連係機構
V 遮断弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11