(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
図1、2に、本発明の複合パネルAの一例を示す。本発明の複合パネルAは、断熱パネル1と、プレキャストコンクリート板2とが重ね合わされて形成されるものである。
図1(a)〜(c)はそれぞれ複合パネルAの縦断面図(側面視断面図)、正面図及び横断面図(平面視断面図)を示し、
図2は、複合パネルAの端部付近を拡大した横断面図を示している。
【0012】
断熱パネル1は、平板状に形成されるサンドイッチパネルであって、表面金属板11と裏面金属板12の二枚の金属板が対向配置されており、その間に断熱材3が充填されて形成される。この場合、表面金属板11は複合パネルAの表面側に、裏面金属板12はプレキャストコンクリート板2と重なり合う面に位置する。
【0013】
表面金属板11及び裏面金属板12を形成する材料としては、例えば、鉄板、鋼板、アルミニウム板、着色亜鉛めっき鋼板、着色合金めっき鋼板、フッ素樹脂フィルムラミネート鋼板、チタン合金板などを用いることができる。表面金属板11及び裏面金属板12の厚みはいずれも0.35〜0.8mmとすることができる。
【0014】
一方、断熱材3としては、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、スチレンフォームなど、発泡性材料を成形硬化すると共に発泡させた多孔質性のものを用いることができる。あるいは、断熱材3はロックウール、グラスウール等の無機繊維材料で形成してもよい。断熱材3の厚みは20〜100mmであるものを使用することができ、好ましくは20〜50mmである。また、耐火性を向上させるために、断熱材3と共に珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等で形成される耐火材を設けてもよい。
【0015】
また、断熱パネル1の両側端部には、断熱材3の欠損部分の断熱補強のために充填材33が複合パネルAの縦方向全長に亘って設けられていてもよい。同様に、断熱材3の上下端部には、充填材33が複合パネルAの幅方向全長に亘って設けられていてもよい。尚、断熱パネル1の製造方法は特に限定されず、公知の方法で製造することができる。
【0016】
断熱パネル1は、
図1に示すように、一対の断熱パネル分体1s、1sが横方向で接続されたものを用いてもよい。この場合、
図3(a)、(b)に示すように、一方の断熱パネル分体1sの片側端部には嵌合部S1、他方の断熱パネル分体1sの片側端部には被嵌合部S2が形成され、両者が嵌合されて1枚の断熱パネル1が形成される。勿論、断熱パネル1は、嵌合されたものではなく、一枚のものからなるものであってもよい。
【0017】
図3(a)に示すように、一方の断熱パネル分体1sにおける嵌合部S1は、表面金属板11の一方の端部が屈曲加工されて、表面側から順に、外方に突出する平面視で略倒U字状の被覆部23、凹曲部25及び外方に突出する凸部覆い片26が形成されている。また、裏面金属板12の一方の端部が屈曲加工されて、裏面側から順に段部30、外方に突出する凸型部31が形成されている。
【0018】
また、
図3(b)に示すように、他方の断熱パネル分体1sにおける被嵌合部S2は、表面金属板11の一方の端部が屈曲加工されて、表面側から順に、屈曲部40、外方に突出する前方折り返し部42及び支持部45が形成されている。そして、前方折り返し部42の表面側には凹み部41が前方折り返し部42の全長に亘って裏面金属板12と対向するように設けられている。また、裏面金属板12の一方の端部が屈曲加工されて、裏面側から順に後方折り返し部44、支持部45が形成されている。この被嵌合部S2において、支持部45、45には、これらを架け渡すように板状の防水部材28が設けられている。屈曲部40及び支持部45は表面金属板11に対して略垂直に形成されている。
【0019】
嵌合部S1と被嵌合部S2とによる嵌合部は、
図3(c)に示すように、被覆部先端23a、凹曲部25及び段部30はそれぞれ、屈曲部40、前方折り返し部先端42a及び後方折り返し部先端44aと対向し、凸部覆い片先端26a及び凸型部先端31aは、防水部材28に当接する。また、被覆部23は凹み部41を覆い隠すように配置される。そして、被覆部23と屈曲部40との間には、間隙47aが形成され、また、段部30と後方折り返し部44との間には、間隙47bが形成されている。間隙47aは、断熱パネル1表面の縦方向の全長に亘って形成される縦目地48となる(
図1(b)参照)。
【0020】
凹み部41には、固定具9が断熱材3の方向へ挿入されて、断熱パネル分体1sの裏面金属板12を貫通しており、後述するプレキャストコンクリート板2に埋設された結合具10に締結されている。この固定具9と結合具10との締結により、断熱パネル1とプレキャストコンクリート板2との連結がより安定するものとなる。
【0021】
また、後方折り返し部44の裏面側からは、フラットビス50が挿入されており、後方折り返し部44と凸部31とがフラットビス50で貫通された状態になっている。このような構成により、断熱パネル分体1s同士の嵌合状態がより安定するようになる。
【0022】
次に、プレキャストコンクリート板2について説明する。プレキャストコンクリート板2は、断熱パネル1の裏面金属板12の面と対向配置されるように重ね合わされて設けられるものであって、平板状又はブロック状に形成されるものである。このプレキャストコンクリート板2の厚みは、適宜設定することができ、例えば、100〜300mmとすることができる。
【0023】
プレキャストコンクリート板2を形成するコンクリートの素材としては特に限定されないが、例えば、設計基準強度36N/mm
2の普通コンクリートなどとすることができる。尚、プレキャストコンクリート板2の内部には、強度を補填することを目的として、鉄筋等の骨格が埋設されて形成されていることが好ましい。
【0024】
本発明の複合パネルAの形状や寸法は、特に限定されないが、例えば、縦長の矩形状に形成させれば縦貼りの複合パネルAとなり、この場合、複合パネルAの高さは1000mm〜10000mm、幅は1000mm〜3400mmにすることができる。
【0025】
本発明の複合パネルAでは、断熱パネル1とプレキャストコンクリート板2とは、断熱パネル1に設けられた固定具9と、プレキャストコンクリート板2に埋設されて設けられている結合具10とが締結されることによって連結される。
【0026】
固定具9は、表面金属板11の表面から断熱パネル1の厚み方向で貫通するように設けられ、上述した凹み部41の箇所以外に、例えば、
図1のように、断熱パネル1の側端部付近において、縦方向全長に亘って所定の間隔を空けながら複数設けることができる。一方、結合具10は、プレキャストコンクリート板2に埋設されており、断熱パネル1とプレキャストコンクリート板2とを重ね合わせたときに、固定具9と対応するような位置に設けられている。すなわち、断熱パネル1とプレキャストコンクリート板2とを重ね合わせたときに、結合具10は、固定具9と締結可能となる位置にプレキャストコンクリート板2内に埋設されたものである。固定具9及び結合具10を設ける箇所や個数は特に限定されるものではない。
【0027】
固定具9としては、例えば、通しボルト、結合具10としては、例えば、インサートナットを使用することができ、この場合、両者は螺合されることで締結される。
【0028】
また、
図2に示すように、固定具9と結合具10との間には、円盤状のワッシャーのようなスペーサー13及びナット14が介されていてもよい。この場合、スペーサー13とナット14は共にプレキャストコンクリート板2内に位置している。また、ナット14は固定具9と締結されており、両者の間に複数枚のスペーサー13が介在されている。
【0029】
上記のように、断熱パネル1とプレキャストコンクリート板2とが固定具9と結合具10とで締結されて連結されているものであるので、例えば、断熱パネル1が損傷した場合、断熱パネル1のみをプレキャストコンクリート板2から取り外すことができる。また、必要に応じて新しい断熱パネル1をプレキャストコンクリート板2に取り付けることが可能となる。
【0030】
例えば、
図1に示す複合パネルAであれば、以下の手順に従って断熱パネル1の取り外し及び取り付けを行うことができる。まず、隣り合う断熱パネル分体1s、1sとの嵌合部の固定具9、すなわち、
図3(c)において凹み部41に挿入された固定具9をすべて取り外す。この場合、固定具9を被覆している被覆部23はめくりあげるようにすればよい。固定具9と結合具10との間にスペーサー13及びナット14が設けられている場合、プレキャストコンクリート板2と固定具9の軸とは接していないので、固定具9を容易に取り外すことができる。
【0031】
次いで、
図1において断熱パネル1の両端部付近に挿入されている固定具9を順に取り外していけば、断熱パネル1とプレキャストコンクリート板2との連結が解除され、断熱パネル1はプレキャストコンクリート板2から取り外される。
【0032】
断熱パネル1を取り外した後、新たな断熱パネル1の取り付けにあたっては、以下の手順で行う。すなわち、プレキャストコンクリート板2の縦横寸法と同サイズの断熱パネル1を用意し、これをプレキャストコンクリート板2に取り付けることができる。この場合、あらかじめ寸法を測るなどして、プレキャストコンクリート板2に埋設された結合具10の位置と対向するような箇所に、断熱パネル1表面から固定具9を挿入させておけば、断熱パネル1とプレキャストコンクリート板2とを位置合わせしやすくなり、固定具9と結合具10との締結が容易に行える。また、新たな断熱パネル1の取り付けにあたっては、最初に取り付けられていた断熱パネル1のような一対の断熱パネル分体1s、1sが嵌合されたものを取り付けてもよいし、一方の断熱パネル分体1sをプレキャストコンクリート板2に固定具9により連結させた後、他方の断熱パネル分体1sを同様に連結させるようにしてもよい。尚、一対の断熱パネル分体1s、1sが嵌合されて形成された断熱パネル1の製作については後述する。
【0033】
特に、新たな断熱パネル1をプレキャストコンクリート板2に取り付ける場合、
図4及び
図5に示すように、コンクリートジャックのようなアンカー部材90により、断熱パネル1とプレキャストコンクリート板2とを連結させることが好ましい。ここで、
図4は、断熱パネル1を新たなものに取り替えた後の複合パネルAの端部付近の横断面図、
図5は、同様に嵌合部分の断面図を示している。
【0034】
アンカー部材90により新たな断熱パネル1をプレキャストコンクリート板2に取り付ける場合、アンカー部材90は、新たな断熱パネル1表面から直接挿入するようにすればよい。具体的には、元々複合パネルAに取り付けられていた断熱パネル1を上記と同様の手順で取り外した後、新設する断熱パネル1をプレキャストコンクリート板2に重ね、次いで、該断熱パネル1表面からアンカー部材90を挿入することで、断熱パネル1を新設することができる。なお、この他の手順については上記と同様である。
【0035】
アンカー部材90は、軸部分となるアンカー部92と、このアンカー部92の先端部分のアンカー部先端91と、アンカー部先端91とは逆側の端部のアンカー部材頂部93とを有しており、アンカー部先端91はドリル刃のように形成されたものである。そのため、アンカー部材90は、アンカーとしての役割を果たすと共にドリルとしての役割も果たすものである。このようなアンカー部材90としては、例えば、上述のようなコンクリートジャックが挙げられる。
【0036】
アンカー部材90は上記構造を有するものであるため、あらかじめアンカー部材90挿入用の貫通孔を断熱パネル1に設ける必要がなく、断熱パネル1とプレキャストコンクリート板2との連結時に、断熱パネル1表面からアンカー部材90を直接挿入することができる。アンカー部材90の断熱パネル1への挿入に際しては、市販の電動工具等が使用可能である。すなわち、アンカー部材90の先端部(アンカー部材頂部93)に電動工具をセットして作動させることで、アンカー部材90が断熱パネル1、プレキャストコンクリート板2の順に貫通しながら打設される。打設されたアンカー部材90は、
図4、5のようにアンカー部92の一部とアンカー部先端91とがプレキャストコンクリート板2内に配置され、アンカー部92の一部は断熱パネル1内に配置され、アンカー部材頂部93は断熱パネル1表面(又は凹み部41表面上)に配置される。
【0037】
アンカー部材90の断熱パネル1表面への挿入箇所や断熱パネル分体1s、1s嵌合部の凹み部41への挿入箇所については、アンカー部材90を挿入したときにプレキャストコンクリート板2に埋設された結合具10に衝突・接触しない位置であれば、特に限定されるものではない。すなわち、
図4や
図5に示すように、アンカー部材90を挿入した場合に、プレキャストコンクリート板2内に位置するアンカー部材90と、結合具10とが互いに接触しないような位置にアンカー部材90を挿入すればよい。尚、あらかじめ結合具10と接触しないような位置については、事前に寸法を測るなどして調べておくようにすればよい。
【0038】
このように、アンカー部材90を使用すれば、以下の理由により、断熱パネル1の新設作業がより容易に行うことができるものとなる。すなわち、断熱パネル1の新設取り付けにおいて、固定具9を断熱パネル1に挿入させてプレキャストコンクリート板2に埋設されている結合具10と締結させる方法では、固定具9の挿入位置を正確に調節しなければならないものである。これは、断熱パネル1への固定具9の挿入位置が大きくずれてしまうと、プレキャストコンクリート板2に埋設されている結合具10と締結できなくなるおそれがあるためである。それに対して、アンカー部材90を使用する場合であれば、結合具10と衝突しないような位置に挿入しなければならないものの、結合具10と締結させるような位置に調節することに比べると明らかに位置決めしやすいものである。従って、断熱パネル1の新設にかかる手間が大きく低減させることができ、また、新設した断熱パネル1とプレキャストコンクリート板2との位置ずれのおそれも低減できるものとなる。
【0039】
以上のように、本発明の複合パネルAでは、短時間、かつ、容易な作業で断熱パネル1の取り外しや新たな断熱パネル1の新設を行うことができるものである。従って、断熱パネル1の表面が損傷して、外観の意匠性が低下してしまった場合や、断熱材3が劣化して断熱性能が低下してしまった場合に、その断熱パネル1を取り外して、新たな断熱パネル1を取り付ければ、複合パネルAの意匠性や断熱性能を長期間確保することができるものとなる。また、断熱パネル1は、従来のような外壁成形板等に比べると軽量であるので、その新設作業時の作業者の負担も低減されるものとなる。
【0040】
本発明の複合パネルAは、建物の外壁に施工することで、外断熱壁70を形成させることができる。具体的には、
図6に示すように、複数枚の複合パネルA、A、・・・を用意し、これらを外壁の上下及び左右方向に取り付けていくことで、外断熱壁70を施工することができる。
【0041】
上記施工においては、
図7に示すように、左右に隣接する複合パネルA、Aの間には水密性を高めるために、複合パネルA、A間の隙間55の後方部にガスケット65を縦方向の全長に亘って設けることができる。同様に水密性を高めるために、複合パネルA、A間の隙間55の前方部となる断熱パネル1、1の間には、シーリング66、バックアップ材67がこの順に設けられており、そのすぐ後方のプレキャストコンクリート板2、2の間にも同様にシーリング66、バックアップ材67がこの順に設けられている。
【0042】
複合パネルAは、断熱パネル1を取り替えできるものであるが、
図6のように外壁に施工して外断熱壁70として形成された後でも同様の方法で断熱パネル1の取り替えを実施することができるものである。
【0043】
本発明の複合パネルAの製造方法は、あらかじめ工場等(あるいは施工現場)で製作することが可能である。以下、複合パネルAの製造方法の詳細について説明する。
【0044】
複合パネルAの製造に使用する断熱パネル1として、一対の断熱パネル分体1sどうしを嵌合させて形成されるものである場合、この断熱パネル1は以下の手順で製作することができる。まず、片側端部に嵌合部S1を有する断熱パネル分体1sと、片側端部に被嵌合部S2を有する断熱パネル分体1sをそれぞれ準備する。尚、嵌合部S1及び被嵌合部S2はそれぞれ
図3(a)、(b)に示すものと同じものである。そして、被嵌合部S2における凹み部41から固定具9を挿入して裏面金属板12を貫通させる。この場合、固定具9は、凹み部41の全長に亘って所定の間隔を空けながら設けることができる。次いで、断熱パネル分体1s、1sを嵌合部S1と被嵌合部S2とで嵌合させると共に、後方折り返し部44の裏面側からフラットビス50を挿入して、後方折り返し部44と凸部31とがフラットビス50で貫通された状態にすることで、断熱パネル分体1s、1sが嵌合された断熱パネル1を得る。尚、フラットビス50を挿入する際、その挿入位置を微調整することで、接合部に形成される間隙47aの幅長さ、すなわち断熱パネル1表面に形成される縦目地48の幅を所望の長さで調節できる。
【0045】
次いで、
図8に示すように、断熱パネル1の表面(表面金属板11側)の両端部付近の所定の箇所に固定具9を、断熱パネル1の全長に亘って所定の間隔を空けながら挿入させ、裏面金属板12を貫通させた状態にする。このように凹み部41及び断熱パネル1表面の両端部付近に固定具9を貫通させるように挿入した後、
図9(b)に示すように、固定具9の先端(裏面金属板12側)から、複数枚のスペーサー13を通し、次いで、ナット14及び結合具10をこの順に締結させる。このとき、断熱パネル1の裏面側は
図9(a)に示すような状態となる。
【0046】
ここで、
図10に示すように、断熱パネル1の裏面の上下端部には横方向の全長に亘って充填材33を接着剤等で取り付けてもよい。また、断熱パネル分体1sどうしの嵌合部分に形成される間隙47bには、その全長にわたって気密テープ51を貼着することで気密性を高めてもよい。
【0047】
次に、上記のように製作した断熱パネル1を、
図11(a)に示すようなあらかじめ製作した上端全面が開口した方形状の型枠60内に収容させる。この型枠60は、例えば、4枚の長方形状の木板で四周を形成させて平面視矩形状にしたようなものを使用すればよい。尚、型枠60は断熱パネル1のサイズや形状と略一致しており、型枠60の深さは、複合パネルAの厚みに相当する。断熱パネル1を収容する際、
図11(b)に示すように、断熱パネル1の裏面側が上方を向くように型枠60内に収容させる。このとき、型枠60内に断熱パネル1が収容されすいように、型枠60の四周は仮固定の状態にしておき、断熱パネル1の収容後に型枠60の四隅を断熱パネル1の外周に締め付けるように固定させればよい。断熱パネル1の外周と型枠60との間に隙間ができる場合は、その隙間にシーリング材等を充填させることもできる。そして、複合パネルAの強度を補強することを目的として、
図11(c)のように、型枠60内に収容した断熱パネル1の上側に鉄筋格子61を載置する。この鉄筋格子61は、平面形状のものであっても、立体形状のものであっても良く、平面状の場合は複数個の鉄筋格子61を重ねるように載置することができる。
【0048】
次に、
図11(d)に示すように、コンクリート材料20を型枠60内の最上面まで充填し、コンクリート材料20の表面を平滑にする。上記のように断熱パネル1の四周にシーリング剤が充填されていると、断熱パネル1と型枠60との隙間にコンクリート材料20が流れ込むのを防ぐことができる。また、コンクリート材料20を流し込む際、型枠60の四周枠が動かないように、例えば、あらかじめ2本の木棒62、62で型枠60のそれぞれの対角どうしを固定しておいてもよい。このように、型枠60内にコンクリート材料を充填した後、所定時間静置させてコンクリート材料20を養生硬化させ、プレキャストコンクリート板2が形成される。最後に、型枠60の四周枠を取り外すことで、断熱パネル1にプレキャストコンクリート板が重ね合わされて成る複合パネルAを得ることができる。このように製造された複合パネルAは、
図1のように、表面金属板11の表面から断熱パネル1の厚み方向で貫通して設けられた固定具9が、プレキャストコンクリート板2に埋設された結合具10に締結された構造を有するものである。
【0049】
本発明の複合パネルAの製造方法では、上方が開口した方形状の型枠内60に、断熱パネル1の裏面が上方を向くように収容して、プレキャストコンクリート板2を打設させる方法をとるものである。そのため、断熱パネル1を直立させてプレキャストコンクリート板2を打設させる場合に比べて、断熱パネル1にかかる応力が均等になりやすくなるので、製作後の複合パネルAは安定した形状を維持することができる。
【0050】
そして、このような製造方法で得られた複合パネルAでは、プレキャストコンクリート板2の形成後に固定具9と結合具10とは製造と同時に締結されることになるので、プレキャストコンクリート板2への断熱パネル1の取り付けが容易であると共に両者の位置ずれが生じるおそれも小さくなる。