特許第5951974号(P5951974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951974
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】車両乗降用ステップ
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/02 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   B60R3/02
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-268052(P2011-268052)
(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-119310(P2013-119310A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】393020122
【氏名又は名称】トーシンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】塚西 大輔
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−137661(JP,A)
【文献】 特開平07−315742(JP,A)
【文献】 特開2010−188840(JP,A)
【文献】 特開2009−234519(JP,A)
【文献】 実開平06−068998(JP,U)
【文献】 特開2007−203923(JP,A)
【文献】 特開2007−090910(JP,A)
【文献】 実開昭62−099456(JP,U)
【文献】 特開2007−022142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の車両ステップ(S)と合わせて面積拡張する進退踏板(1)を、該進退踏板(1)の前端が車両ステップ(S)より食み出ない様に車両ステップ(S)上方で水平配置される格納位置(X)と、車両ステップ(S)の前方でこれと同一平面上に連接する張出位置(Y)との間を往復動自在に設けた車両乗降用ステップであって、進退踏板(1)の左右側縁に上部前後の夫々に外方突出する転子(2)、(3)を設けた吊下げブラケット(4)を立設し、車両ステップ(S)上の吊下げブラケット(4)の外側対応部位には、前端が車両ステップ前端(Sa)と同一鉛直線上に位置又はこれより後方に近接して位置し、前方転子(2)を滑走可能に上端に載置した前方降下状の固定スロープ(5)と、該固定スロープ(5)下方に平行配置され、後方転子(3)を進退踏板格納時に後端(6b)に位置させ、進退踏板張出時に前端(6a)に位置させる様に摺動自在に装着した長孔(6)とを設けた傾斜台(7)を立設し、該傾斜台(7)の前端に隣接配置され、進退踏板格納時に固定スロープ(5)上の前方転子(2)の前方にして且つ車両ステップ前端(Sa)より後方で起立し、進退踏板張出時に滑降する前方転子(2)の前方押圧にて固定スロープ(5)の前端よりこれに連続して前方突出する様に倒伏して前方転子(2)が引き続き滑走可能な可動スロープ(9)を前後揺動自在に枢着し、該可動スロープ(9)を起立方向に付勢したことを特徴とする車両乗降用ステップ。
【請求項2】
進退踏板(1)は駆動機構部(14)に連繋され、該駆動機構部(14)は、外側方に突出した後方転子(3)の支軸(3a)に一端を連結したワイヤ(17 、17a)の他端をこれを繰り出し巻取り可能なプーリー(16)に固着したことを特徴とする請求項1記載の車両乗降用ステップ。
【請求項3】
車両ステップ(S)はスライドドアで開閉される乗降口に設置され、上記プーリー(16)の正逆回転をスライドドアの開閉動作に連動させたことを特徴とする請求項2記載の車両乗降用ステップ。
【請求項4】
プーリー(16)にはこれと同軸の従動歯車(26)を軸着し、該従動歯車(26)に中間歯車(27)を噛合すると共に、該中間歯車(27)には、車両ステップ前端(Sa)側にして、且つ車両ステップ(S)上で進退踏板(1)に隣接する車両後方側でスライドドアの開閉方向に沿って配置された複数の原動歯車(28 、28a)を夫々に噛合し、各原動歯車(28 、28a)には、これに噛合可能なラック(29)をスライドドアの内側適所に設けたことを特徴とする請求項3記載の車両乗降用ステップ。
【請求項5】
進退踏板格納時に長孔後端(6b)に位置する後方転子(3)において、該後方転子(3)の支軸(3a)の進退踏板張出時における往路始点の直前位置(B)に、後方転子(3)の滑走を阻止可能なストッパー(30)を出没自在に設けたことを特徴とする請求項2、3又は4記載の車両乗降ステップ。
【請求項6】
ストッパー(30)の出没動作をスライドドアの開閉動作に連動させたことを特徴とする請求項5記載の車両乗降用ステップ。
【請求項7】
ストッパー(30)は先端(30a) が上記直前位置(B)に出没可能な梃子杆(30)を上下揺動自在に設けて成り、該梃子杆(30)はその先端(30a) が上記直前位置(B)に位置する上方へ付勢されると共に、該梃子杆先端(30a) に一端を連結したストッパー用ワイヤ(32)の他端をこれを繰り出し巻取り可能なストッパー用プーリー(33)に固着し、該ストッパー用プーリー(33)にはこれと同軸のストッパー用従動歯車(36)を軸着すると共に、該ストッパー用従動歯車(36)にストッパー用中間歯車(37)を噛合し、該ストッパー用中間歯車(37)には、車両ステップ前端(Sa)側にして、且つ車両ステップ(S)上で進退踏板(1)に隣接する車両後方側でスライドドアの開閉方向に沿って上記各原動歯車(28 、28a)と共に配置されたストッパー用原動歯車(38)を噛合し、該ストッパー用原動歯車(38)に上記ラック(29)を噛合可能と成したことを特徴とする請求項6記載の車両乗降用ステップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗降時にバス、ワンボックスカー等の車両ステップと同一平面上で奥行き方向前方に面積拡張する様に展開される車両乗降用ステップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両においては、乗降用ステップが車内フロアの側部を一段低くして既設されているが、車内スペースを広く確保するためにそのステップの奥行き長さが充分に確保されていない(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−90910号公報(図1、2の車両乗降用ステップ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、乗降に際しては、ステップを踏み込む足元を気にしながら踏み外しのない様に乗降せねばならず、使い勝手が悪いといった課題を有している。
また、昨今の市バス等の利用者数の減少などの理由から、ワンボックスカーを小型バスに改良して運行することも考えられるが、この場合には、旅客車両としての使用基準に適合する様にステップの奥行きを長くせねばならなかった。
【0005】
そこで、本発明では、たとえ既設の車両ステップが旅客車両としての使用基準に不適合であっても、乗降時にはその基準に適合する様に、車両ステップと同一平面上で奥行き方向前方に面積拡張する様に展開される車両乗降用ステップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑み、本発明の車両乗降用ステップは、既設の車両ステップと合わせて面積拡張する進退踏板を、該進退踏板の前端が車両ステップより食み出ない様に車両ステップ上方で水平配置される格納位置と、車両ステップの前方でこれと同一平面上に連接する張出位置との間を往復動自在に設けたことを特徴とする。
具体的には、進退踏板の左右側縁に上部前後の夫々に外方突出する転子を設けた吊下げブラケットを立設し、車両ステップ上の吊下げブラケットの外側対応部位には、前端が車両ステップ前端と同一鉛直線上に位置又はこれより後方に近接して位置し、前方転子を滑走可能に上端に載置した前方降下状の固定スロープと、該固定スロープ下方に平行配置され、後方転子を進退踏板格納時に後端に位置させ、進退踏板張出時に前端に位置させる様に摺動自在に装着した長孔とを設けた傾斜台を立設し、該傾斜台の前端に隣接配置され、進退踏板格納時に固定スロープ上の前方転子の前方にして且つ車両ステップ前端より後方で起立し、進退踏板張出時に滑降する前方転子の前方押圧にて固定スロープの前端よりこれに連続して前方突出する様に倒伏して前方転子が引き続き滑走可能な可動スロープを前後揺動自在に枢着し、該可動スロープを起立方向に付勢したことを特徴とする。
そして、進退踏板は駆動機構部に連繋され、該駆動機構部は、外側方に突出した後方転子の支軸に一端を連結したワイヤの他端をこれを繰り出し巻取り可能なプーリーに固着したことを特徴とする。
又、車両ステップはスライドドアで開閉される乗降口に設置され、上記プーリーの正逆回転をスライドドアの開閉動作に連動させたことを特徴とする。
プーリーにはこれと同軸の従動歯車を軸着し、該従動歯車に中間歯車を噛合すると共に、該中間歯車には、車両ステップ前端側にして、且つ車両ステップ上で進退踏板に隣接する車両後方側でスライドドアの開閉方向に沿って配置された複数の原動歯車を夫々に噛合し、各原動歯車には、これに噛合可能なラックをスライドドアの内側適所に設けたことを特徴とする。
更に、進退踏板格納時に長孔後端に位置する後方転子において、該後方転子の支軸の進退踏板張出時における往路始点の直前位置に、後方転子の滑走を阻止可能なストッパーを出没自在に設け、ストッパーの出没動作をスライドドアの開閉動作に連動させたとを特徴とする。
又、ストッパーは先端が上記直前位置に出没可能な梃子杆を上下揺動自在に設けて成り、該梃子杆はその先端が上記直前位置に位置する上方へ付勢されると共に、該梃子杆先端に一端を連結したストッパー用ワイヤの他端をこれを繰り出し巻取り可能なストッパー用プーリーに固着し、該ストッパー用プーリーにはこれと同軸のストッパー用従動歯車を軸着すると共に、該ストッパー用従動歯車にストッパー用中間歯車を噛合し、該ストッパー用中間歯車には、車両ステップ前端側にして、且つ車両ステップ上で進退踏板に隣接する車両後方側でスライドドアの開閉方向に沿って上記各原動歯車と共に配置されたストッパー用原動歯車を噛合し、該ストッパー用原動歯車に上記ラックを噛合可能と成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
要するに本発明は、既設の車両ステップと合わせて面積拡張する進退踏板を、該進退踏板の前端が車両ステップより食み出ない様に車両ステップ上方で水平配置される格納位置と、車両ステップの前方でこれと同一平面上に連接する張出位置との間を往復動自在に設けたので、車両ステップと同一平面上でこれより奥行きが長く、乗降口より車外へ張り出した乗降用ステップを構成できる。
よって、乗降用ステップの奥行きを旅客車両としての使用基準に適合する様に長くすることができると共に、乗降用ステップの面積を拡張できるため、乗降時の安全性を確保でき、従来の様にステップを踏み込む足元を気にすることもなく、安心して乗降できる。
【0008】
進退踏板の左右側縁に上部前後の夫々に外方突出する転子を設けた吊下げブラケットを立設し、車両ステップ上の吊下げブラケットの外側対応部位には、前端が車両ステップ前端と同一鉛直線上に位置又はこれより後方に近接して位置し、前方転子を滑走可能に上端に載置した前方降下状の固定スロープと、該固定スロープ下方に平行配置され、後方転子を進退踏板格納時に後端に位置させ、進退踏板張出時に前端に位置させる様に摺動自在に装着した長孔とを設けた傾斜台を立設し、該傾斜台の前端に隣接配置され、進退踏板格納時に固定スロープ上の前方転子の前方にして且つ車両ステップ前端より後方で起立し、進退踏板張出時に滑降する前方転子の前方押圧にて固定スロープの前端よりこれに連続して前方突出する様に倒伏して前方転子が引き続き滑走可能な可動スロープを前後揺動自在に枢着し、該可動スロープを起立方向に付勢したので、乗降(進退踏板張出)時には、後方転子は長孔の前端に当止めされるまでその長孔の下り傾斜に沿って、前方転子は固定スロープと可動スロープの下り傾斜に沿って夫々滑降させるだけで、簡単容易に進退踏板を車両ステップ前端に連接させられ面積拡張した車両乗降用ステップを構成できる。
又、進退踏板格納時には、後方転子を長孔の後端に移動させる様に、進退踏板を車両ステップ上の格納位置に後退させることにより、可動スロープ上の前方転子が固定スロープへ後退して可動スロープを倒伏させる押圧力を解除し、可動スロープは起立復帰して車両ステップより食み出ないから、何らの支障なく車両ステップを有する乗降口のドアを閉鎖できる。
【0009】
そして、進退踏板は駆動機構部に連繋され、該駆動機構部は、外側方に突出した後方転子の支軸に一端を連結したワイヤの他端をこれを繰り出し巻取り可能なプーリーに固着したので、該プーリーの回転によるワイヤの繰り出しにより、傾斜台の下り傾斜する固定及び可動スロープと長孔内を夫々に滑降する前後転子の速度を制御でき、これにより安全に進退踏板を車両ステップ前方に張り出させることができる。
又、プーリーの回転によるワイヤの巻取りにより、車両ステップ前方に張り出した進退踏板を車両ステップ上に格納でき、その格納状態を保持できる。
【0010】
車両ステップはスライドドアで開閉される乗降口に設置され、上記プーリーの正逆回転をスライドドアの開閉動作に連動させたので、進退踏板の格納位置と張出位置との間の往復動をスライドドアの開閉に対応して自動化できる。
【0011】
プーリーにはこれと同軸の従動歯車を軸着し、該従動歯車に中間歯車を噛合すると共に、該中間歯車には、車両ステップ前端側にして、且つ車両ステップ上で進退踏板に隣接する車両後方側でスライドドアの開閉方向に沿って配置された複数の原動歯車を夫々に噛合し、各原動歯車には、これに噛合可能なラックをスライドドアの内側適所に設けたので、中間歯車を従動歯車と原動歯車の間に介在させることによって、原動歯車を車両ステップ前端側でスライドドアの開閉方向に沿って配置させることができると共に、従動歯車及びプリーを比較的自由に配置でき、そのスペースを確保し易い。
又、1個の原動歯車に対するラックの噛合長さが短くても、ラックの移動(スライドドアの開閉)方向に複数の原動歯車を配置しているので、進退踏板の格納位置と張出位置との間の往復移動のためにワイヤを繰り出し又は巻取りするに充分な回転を従動歯車(プーリー)に付与でき、この様にラックを短くできるから、スライドドア内側適所に比較的容易に取付けられる。
【0012】
進退踏板格納時に長孔後端に位置する後方転子において、該後方転子の支軸の進退踏板張出時における往路始点の直前位置に、後方転子の滑走を阻止可能なストッパーを出没自在に設けたので、進退踏板格納時に進退踏板を確実に車両ステップ上の格納位置に保持でき、例え進退踏板に張出方向へ何らかの荷重が作用しても張り出すことはなく安全であり、進退踏板張出時には進退踏板を支障なく往復動させることができる。
【0013】
ストッパーの出没動作をスライドドアの開閉動作に連動させたので、進退踏板の上記往復動と共に、ストッパーの出没による進退踏板の動作抑止と、その解除を、スライドドアの開閉に対応して自動化できる。
【0014】
又、ストッパーは先端が上記直前位置に出没可能な梃子杆を上下揺動自在に設けて成り、該梃子杆はその先端が上記直前位置に位置する上方へ付勢されると共に、該梃子杆先端に一端を連結したストッパー用ワイヤの他端をこれを繰り出し巻取り可能なストッパー用プーリーに固着したので、進退踏板張出時には、ストッパー用プーリーの回転によるストッパー用ワイヤの巻取りにより、梃子杆を下方揺動させてその先端を上記直前位置から離脱させ、進退踏板を張出可能状態と成すことができ、進退踏板格納時には、ストッパー用プーリーの回転によるストッパー用ワイヤの繰り出しにより、梃子杆の下方揺動保持状態を解除できると共に、梃子杆の先端を上記直前位置へ復帰させられ、進退踏板を確実に車両ステップ上の格納位置に保持できる。
そして、ストッパー用プーリーにはこれと同軸のストッパー用従動歯車を軸着すると共に、該ストッパー用従動歯車にストッパー用中間歯車を噛合し、該ストッパー用中間歯車には、車両ステップ前端側にして、且つ車両ステップ上で進退踏板に隣接する車両後方側でスライドドアの開閉方向に沿って上記各原動歯車と共に配置されたストッパー用原動歯車を噛合し、該ストッパー用原動歯車に上記ラックを噛合可能と成したので、ストッパー用中間歯車をストッパー用従動歯車とストッパー用原動歯車の間に介在させることによって、ストッパー用原動歯車を車両ステップ前端側でスライドドアの開閉方向に沿って配置させることができると共に、ストッパー用従動歯車及びストッパー用プリーを比較的自由に配置でき、そのスペースを確保し易い。
又、スライドドアの開閉と共に移動する1個のラックによって進退踏板の動作抑止とその解除、及び往復動を順次に行うことができる等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】進退踏板の張出状態を示す斜視図である。
図2】進退踏板の移動状態を示す斜視図である。
図3】進退踏板の格納状態を示す斜視図である。
図4】進退踏板の張出状態を示す一部破断平面図である。
図5】同上正面図である。
図6】同上右側面図である。
図7】同上一部省略右側面断面図である。
図8】進退踏板の格納状態を示す一部破断平面図である。
図9】同上正面図である。
図10】同上右側面図である。
図11】同上一部省略右側面断面図である。
図12】進退踏板の格納時の駆動機構部の一部破断平面図である。
図13】ストッパーによる進退踏板の動作抑止解除時の駆動機構部の一部破断平面図である。
図14】進退踏板の張出時の駆動機構部の一部破断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
本発明に係る車両乗降用ステップは、図示しない車両に装備されたスライドドアで開閉される乗降口において、車内フロアFに段差を以て乗降口下部に既設された車両ステップSに、これと同一平面上の前方に進退踏板1を合わせて面積拡張することにより、その奥行き長さを伸縮可能と成している。
【0017】
この進退踏板1は、その前端が車両ステップSより食み出ない様に車両ステップS上方で水平配置される格納位置Xと、車両ステップSの前方でこれと同一平面上に連接する張出位置Yとの間を往復動自在に設けている。
【0018】
具体的な進退踏板1の構成を以下詳述する。
進退踏板1の左右側縁には、上部前後の夫々に外方突出する転子(ローラー)2、3を設けた吊下げブラケット4を立設している。
【0019】
この吊下げブラケット4は、進退踏板1の側縁前部より立ち上がり形成した直立部4aと、該直立部4aの上端より後方へ上り傾斜状に連続形成した後倒部4bとから成り、該後倒部4bの外側前部には前方転子2を回転自在に装着し、後倒部4bの外側後部にして前方転子2より下方部位には後方転子3を回転自在に装着している。
【0020】
一方、車両ステップS上での吊下げブラケット4の外側対応部位には、前端が車両ステップ前端Saと同一鉛直線上に位置又はこれより後方に近接して位置し、前方転子2を滑走可能に上端に載置した前方降下状の固定スロープ5と、該固定スロープ5下方に平行配置され、後方転子3を進退踏板格納時に後端6bに位置させ、進退踏板張出時に前端6aに位置させる様に摺動自在に装着した長孔6とを設けた傾斜台7を立設している。
固定スロープ5は車両ステップSの前後に渡り一定の勾配を以て傾斜して成り、固定スロープ5の下方に所定の平行間隔を置いて、上下間隔が後方転子3と同径で前後端6a、6bが傾斜台7の前後端の夫々に近接した長孔6を傾斜台7に貫設している。
【0021】
又、吊下げブラケット4の後倒部4bにおいて後方転子3の上部には、固定スロープ5と平行な矩形状の突片を設け、該突片には、その一対角線上において固定スロープ5の左右側面(上記平行間隔部位に相当)を前後で挟持しながら摺接する一対の案内転子8、8aを垂下し、傾斜台7からの吊下げブラケット4の離脱、即ち前後転子2、3の脱輪を防止している。
【0022】
そして、傾斜台7の前端には、その内側に隣接配置して成る可動スロープ9を前後揺動自在に枢着している。
この可動スロープ9は、上底と下底が平行で直角部を有する斜辺9aの長い台形板を基体と成し、該基体の直角部を円板状に膨出形成すると共に、その中心に設けた枢軸10を傾斜台7の内側面に回転自在に取付け、進退踏板格納時に斜辺9aが固定スロープ5上の前方転子2の前方にして且つ車両ステップ前端Saより後方で斜辺9aの対辺9bが起立し、進退踏板張出時に滑降する前方転子2による斜辺9aの前方押圧にて固定スロープ5の前端よりこれに斜辺9aが連続して前方突出する様に倒伏して前方転子2を引き続き滑走可能と成している。
【0023】
又、枢軸10には、一端を傾斜台7の前端適所に、他端を可動スロープ9の直角部適所に固着した捻じりコイルバネ11を外嵌し、該バネ11にて可動スロープ9を起立方向に付勢している。
尚、傾斜台7の前端適所には、枢軸10を中心に形成した円弧状のガイド溝12を貫設し、該ガイド溝12には可動スロープ9の直角部適所に突設したピン13を摺動自在に装着している。
【0024】
上記の様に構成された進退踏板1は駆動機構部14に連繋されている。
駆動機構部14は、その主要部を車両ステップS上で進退踏板1に隣接する車両後方側(図示例では右側傾斜台7の右側)に設置したベース15上に配置している。
このベース15上の適所には、周面に同径で2条の溝を平行に周設したプーリー16を水平状態で回転自在に設置している。
【0025】
一方、左右の傾斜台7の各長孔6を通して外側方に突出した後方転子3の支軸3aの夫々には、2本の長さの異なるワイヤ17、17aの各一端を連結し、該ワイヤ17、17aの他端をプーリー16の適所に固着してその各溝にワイヤ17、17aを巻き付け、該ワイヤ17、17aをプーリー16に繰り出し巻取り可能と成し、該プーリー16の正逆回転をスライドドアの開閉動作に連動する様にプーリー16とスライドドアとを連繋している。
【0026】
又、各傾斜台7の後端には、傾斜台7に対し外側へ直角な立壁18を配置し、該立壁18の上部には、貫通穴18aを設けると共に、該貫通穴18aには、支軸3aに平行な軸を有する方向転換用の上部プーリー19を配置している。
上部プーリー19には、支軸3aに一端を固着したワイヤ17、17aを掛止して、該ワイヤ17、17aを貫通穴18aに挿通すると共に、立壁18背面側で下方垂直に方向転換している。
立壁18の背面下部には、方向転換用の下部プーリー20、20a、20bを適宜に複数又は単数配置し、該下部プーリー20、20a、20bに貫通穴18aを通じて垂下するワイヤ17、17aを掛止してこれをベース15上へ指向する様に方向転換させ、該ベース15上でプーリー16に水平状態で隣接配置され、該プーリー16の各溝に同一平面上で対応して各ワイヤ17、17aを掛止する溝を2条有するテンションプーリー21を経由してワイヤ17、17aの他端をプーリー16に連結している。
【0027】
又、プーリー16の上方には、これの回転軸上端を軸受けすると共に、プーリー16の回転軌道に対応する優弧状の案内溝22aを貫設した支持板22を水平配置している。
そして、プーリー16の上面適所に設けられ、案内溝22aに摺動自在に貫通した突棒23の上端と、ベース15の適所に突設した支柱24との間に引張コイルバネ25を介装し、該バネ25の引張力にてプーリー16をワイヤ17、17aの繰り出し方向又は巻取り方向に付勢している。
【0028】
更に、プーリー16にはこれと同軸で大径な従動歯車26を軸着し、該従動歯車26にこれより小径でベース15上に枢着配置された中間歯車27を噛合すると共に、該中間歯車27には、ベース15上の車両ステップ前端Sa側でスライドドアの開閉方向に沿って複数枢着配置された中間歯車27と同形の原動歯車28、28aを夫々に噛合し、各原動歯車28、28aには、これらに噛合可能なラック29をスライドドア前端の内側適所に設けている。
ラック29は、進退踏板1の格納位置Xと張出位置Yとの間の往復移動のためにワイヤ17、17aを繰り出し又は巻取りするに充分な回転を原動歯車28、28a及び中間歯車27を介して従動歯車26(プーリー16)に付与可能な長さに設定している。
尚、図1〜3に示すラック29は、説明の便宜上、その軌道上より離間して表している。
【0029】
又、駆動機構部14には、進退踏板格納時に長孔後端6bに位置する後方転子3において、該後方転子3の支軸3aの進退踏板張出時における往路始点の直前位置B(以下、支軸直前位置Bと称する。)に、後方転子3の滑走を阻止可能なストッパー30を出没自在に設け、該ストッパー30の出没動作をプーリー16と同じくスライドドアの開閉動作に連動させている。
ストッパー30は、所定長さを有する帯板状の梃子杆から成り、該梃子杆30は、基端を右側傾斜台7外側面(右側面)の適所に枢着することにより、その先端30aが支軸直前位置Bに出没可能となる様に上下揺動自在に設けている。
梃子杆30基端の枢軸には、一端を梃子杆30の基端側に、他端を右側傾斜台7の適所に固着した捻じりコイルバネ31を外嵌し、該バネ31にて梃子杆30はその先端30aが支軸直前位置Bに位置する上方へ付勢される。
【0030】
そして、梃子杆先端30aに一端を連結したストッパー用ワイヤ32の他端をこれを繰り出し巻取り可能なストッパー用プーリー33の適所に固着している。
このストッパー用プーリー33は、ベース15上において梃子杆30基端との対応位置(前方)に水平状態で回転自在に設置されており、梃子杆先端30aとの間のストッパー用ワイヤ32は、下部プーリー34に掛止されることにより、梃子杆先端30a下方で前方へ直角に方向変換されている。
下部プーリー34は、梃子杆先端30a下方の右側傾斜台7下部より一部が外側(右側)へL字状に突設したブラケット35の直立壁35aに枢着されている。
【0031】
又、ストッパー用プーリー33にはこれと同軸のストッパー用従動歯車36を軸着すると共に、該ストッパー用従動歯車36にこれより小径でベース15上に枢着配置されたストッパー用中間歯車37を噛合し、該ストッパー用中間歯車37には、車両ステップ前端Sa側でスライドドアの開閉方向に沿って原動歯車28、28aと共に枢着配置されたストッパー用中間歯車37と同形のストッパー用原動歯車38を噛合し、該ストッパー用原動歯車38にラック29を噛合可能と成している。
【0032】
次に、上記の様に構成された車両乗降用ステップの動作について説明する。
スライドドアによる乗降口の閉鎖状態では、進退踏板1は車両ステップS上の格納位置Xに水平に配置されている。
この時、ワイヤ17、17aは緊張状態でプーリー16に巻き取られ、後方転子3を長孔6の後端6bに保持しており、前方転子2は固定スロープ5上で、これに隣接して起立する可動スロープ9の斜辺9a後方に位置している。
尚、プーリー16によるワイヤ17、17aの上記巻取り状態はバネ25の引張力により保持されている。
【0033】
かかる状態において、ラック29は、駆動機構部14の原動歯車28、28a及びストッパー用原動歯車38より離間している。
そして、ストッパー用ワイヤ32はストッパー用プーリー33から繰り出されており、梃子杆30は上方揺動状態で、その先端30aが支軸直前位置Bに位置して、進退踏板1にその張出方向へ何らかの荷重が作用しても、後方転子3の滑降を阻止して進退踏板1が勝手に張出すことを防止している。
【0034】
次に、車両へ乗降するためにスライドドアを開放方向ODへ移動させる。
この移動で徐々に間口が広くなる乗降口から進退踏板1全体が現れた張出可能な頃に、スライドドア前端内側のラック29がこれの後端からストッパー用原動歯車38に噛合する。
【0035】
これにより、ストッパー用原動歯車38が回転し、ストッパー用中間歯車37及びストッパー用従動歯車36を介してストッパー用プーリー33をストッパー用ワイヤ32の巻取り方向へ回転させ、バネ31の付勢力に抗して梃子杆30を下方へ揺動させ、その先端30aを支軸直前位置Bより離脱させ、後方転子3を滑走可能状態、即ち進退踏板1を張出可能状態と成す。
【0036】
続いて、ラック29は原動歯車28、28aと順に噛合し、原動歯車28、28aが回転している間に、中間歯車27を介して従動歯車26は回転し、これと同軸のプーリー16をワイヤ17、17aの繰出し方向へ回転させる。
これにより、緊張状態のワイヤ17、17aは徐々に弛緩するため、長孔後端6bに位置していた後方転子3は、進退踏板1の自重により長孔6をその傾斜に沿って前方へ滑降する。
同時に前方転子2も固定スロープ5上をその傾斜に沿って前方へ滑降し、その前方に起立している可動スロープ9の斜辺9aをバネ11に抗して前方押圧する。
【0037】
上記押圧により、可動スロープ9は徐々に前傾し、その斜辺9a上に前方転子2が移動しながら可動スロープ9を倒伏させ、その先端を車両ステップSより前方突出させる。
そして、前方転子2が可動スロープ9の斜辺9a先端に位置すると共に、後方転子3が長孔前端6aに位置して当止めされると、プーリー16によるワイヤ17、17aの繰り出しが完了し、進退踏板1は張出位置Yに配置され、これにより車両ステップSの前方でこれと同一平面上に進退踏板1が連接して張り出した車両用乗降ステップが構成され、同時にスライドドアは乗降口を全開する。
尚、プーリー16によるワイヤ17、17aの上記繰出し状態はバネ25の引張力により保持されている。
【0038】
進退踏板1の格納は、スライドドアを閉鎖方向CDへ移動することにより、ラック29がその前端から原動歯車28a、28に噛合してこれを上記と逆方向へ回転させ、中間歯車27及び従動歯車26を介してプーリー16を巻取り方向へ回転させ、ワイヤ17、17aを牽引する。
これにより、前後転子2、3は可動スロープ9、長孔6の傾斜を上昇し、前方転子2が可動スロープ9の斜辺9aから固定スロープ5上に移動すると、可動スロープ9は、バネ11の付勢力にて起立復帰する。
そして、後方転子3が長孔後端6bに到達すると、進退踏板1は格納位置Xに配置し、プーリー16によるワイヤ17、17aの巻取りが完了する。
【0039】
続いて、ラック29がストッパー用原動歯車38に噛合してこれを上記と逆方向へ回転させ、ストッパー用中間歯車37及び従動歯車36を介してストッパー用プーリー33を繰出し方向へ回転させ、ストッパー用ワイヤ32を弛緩させる。
これにより、梃子杆30は、バネ31の付勢力により上方揺動し、その先端30aを長孔後端6bに位置する後方転子3の支軸直前位置Bに復帰させ、進退踏板1の格納を完了する。
この後もラック29はスライドドアと共に閉鎖方向CDへ移動するため、ストッパー用原動歯車38から離脱し、スライドドアが閉め切られることで、乗降口は閉鎖される。
【符号の説明】
【0040】
1 進退踏板
2 前方転子
3 後方転子
3a 支軸
4 吊下げブラケット
5 固定スロープ
6 長孔
6a 前端
6b 後端
7 傾斜台
9 可動スロープ
14 駆動機構部
16 プーリー
17、17a ワイヤ
26 従動歯車
27 中間歯車
28、28a 原動歯車
30 ストッパー(梃子杆)
32 ストッパー用ワイヤ
33 ストッパー用プーリー
36 ストッパー用従動歯車
37 ストッパー用中間歯車
38 ストッパー用原動歯車
S 車両ステップ
Sa 車両ステップ前端
X 格納位置
Y 張出位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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