特許第5952004号(P5952004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5952004内視鏡手術用骨削除器具のダイヤモンドバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952004
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】内視鏡手術用骨削除器具のダイヤモンドバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   A61B17/16
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-12462(P2012-12462)
(22)【出願日】2012年1月5日
(65)【公開番号】特開2013-138820(P2013-138820A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2015年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】505273648
【氏名又は名称】中村 周
(72)【発明者】
【氏名】中村 周
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−43193(JP,A)
【文献】 特開平4−208148(JP,A)
【文献】 特開2006−109917(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3001002(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式骨削除器具のバーにおいて、少なくとも先端側に類球形の曲表面を持ち、
その先端回転軸中心からその近傍までの小範囲に陥凹があり、
その陥凹の表面も含めてバー表面に微小な凹凸加工処理が施されていること
を特徴とする回転式骨削除器具のバー。
【請求項2】
前記の陥凹は、類円錐形に欠切された形状であること
を特徴とする請求項1に記載の回転式骨削除器具のバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡下脊椎手術等において使用する回転式骨削除器具のサージカルバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
脊椎手術において回転式の骨削除器具のバーには、刃のあるカッティングバー(図1)と、刃がなく微小な凹凸が表面にあるダイヤモンドバー(図2)の主に二種類がある。カッティングバーは、骨削除能力が高いが、刃により神経を損傷する危険がある。ダイヤモンドバーは刃がないので神経に触れても巻き込まなければ安全だが、骨削除能力は低い。ダイヤモンドバーは砥粒を表面に固着させたもので、砥石と同じように軟性のものはほとんど切削せず硬性のものだけ切削できるので、神経近くの骨を削除する脊髄手術にはもっぱらダイヤモンドバーが用いられる。
【0003】
図3のように、ダイヤモンドバーは先端回転軸中心(図2の1、図3の2)はコマの軸と同じで擦過運動がほとんどないため、そこが最も削除能力が低い。通常はダイヤモンドバーを骨面に対して先端回転軸中心をはずして、すこし斜めにあてて、横方向に往復運動をしながら削る。
【0004】
図4のように、侵襲を少なくするため小径の外筒3を用いて内視鏡下に手術を行う内視鏡下脊椎手術が行われるようになってきたが、可視領域が非常に狭く、そこに挿入する骨削除器具4の横方向(図4の5)の動きもかなり制限されるため、骨削除器具も骨にあてて、軸方向(図4の6)に押し付けるような削り方になる。すると、最も削除能力が低い先端回転軸中心領域が骨削除最前線となり骨削除速度が非常に下がってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内視鏡下脊椎手術における骨削除器具でより迅速かつ安全性を保つことを目的とする。
【0006】
従来の脊椎手術で用いるダイヤモンドバーは球形や、楕円球や、球と円柱を足したマッチ棒ような形をしている。これは、骨の奥に神経があり、骨を部分的に貫いたとしても安全なように、バーの先端側を尖らせず、ほぼ球形の凸曲面である。砥粒の凹凸は微小なので、削る対象が硬性であって、それに擦る運動による摩擦力で削ることになる。ダイヤモンドバーの先端の回転軸中心は、コマの軸のように摩擦力が生じないため、切削能力が最も小さい。図5のように非常に硬い平面にダイヤモンドバーを垂直にあてると、最も切削能力が低い先端回転軸中心がその平面にあたり、ほとんど削れない。ダイヤモンドバーを垂直のまま平行移動しても先端回転中心軸のみがあたりながら移動することになるので削れない。内視鏡下脊椎手術の場合は前述のように、このような状況になってしまい、骨削除が迅速にできない。
【0007】
ダイヤモンドバーの球の直径を小さくすれば骨にあたる面積が小さくなるので押し当てる圧力が上がるため削りやすくなるが、骨を貫いたときには一気にバーの直径全体を削り落としてバーをその奥に押し出してしまう。奥には神経があるので、貫くと非常に危険である。バーの先端を尖らせても同様に危険である。バーの直径を大きくすれば、その一部分が骨を貫いたとしてもその他の部分がストッパーとなり奥に押し出してしまうことはなく、貫いた部分も奥への突出がわずかであるため安全である。小圧力で短時間あたるだけなら神経は軟性であるので、切削されることはない。しかし、バーの直径が大きくなると、骨面に押し当てる圧力が下がり、さらに先端回転軸中心の骨削除能の低い部分の面積が大きくなり、削る速度が落ちてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の回転式骨削除器具のバーは、類球形でその先端回転軸中心からその近傍までの小範囲に円錐形に欠切された陥凹があり、その陥凹部分表面も含めバー全体の表面に砥粒固着加工が施されている。
【発明の効果】
【0009】
最も切削能力が低い先端回転軸中心が切削の最前線に来ることが解消され、切削が迅速になる。骨削除を進めていくと回転軸中心部にも骨があたることになるが、陥凹部分の形に削り残った骨は、小突起状であるため構造上弱く、容易に削られる。
【0010】
骨を貫く時、突出した部分がなく、また他の部分がストッパーになるため奥のものを傷つける危険が少ない。垂直にあてて貫いた場合は、点ではなく、陥凹部分全体の面積を持って抜けるため、押す抵抗の変化が急激であるためその瞬間がわかりやすいので、より安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態1を図6〜8を用いて説明する。図6は回転軸を含んだ平面による断面図で、図7はその先端部拡大図で、図8はバーの下面図である。シャフト7につながるバー8は球形でその先端回転軸中心を頂点とする円錐形の陥凹(図6の9、図7の10、図8の11)がある。陥凹した部分を含めて、全体の表面に砥粒が固着されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】既存カッティングバーの側面図である。
図2】既存ダイヤモンドバーの側面図である。
図3】バーの下面の回転時動態図である。
図4】外筒に骨削除器具を挿入した状態の斜側面図である。
図5】既存ダイヤモンドバーが平面に接地した状態の側断面図である。
図6】当発明のバーの実施形態1の側断面図である。
図7】当発明のバーの実施形態1の側断面の先端部拡大図である。
図8】当発明のバーの実施形態1の下面図である。
【符号の説明】
【0015】
1,2 先端回転軸中心
7 シャフト
8 バー
9、10、11 陥凹
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8