(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1の食器篭について
図1〜
図8を参照しながら説明する。先ず、本発
明の実施形態1の食器篭の基本的な構成を説明する。
図1は食器篭の斜視図、
図2は
図1
における外郭面を説明する斜視図、
図3は食器篭1の底面図である。
【0017】
図1に示すように、食器篭1は、上面を形成する上枠11、下面を形成する下枠12及
び下規制棒17,18と、食器を規制する別体食器支持部3,4及び一体食器支持部13
,14とで構成されている。また、食器篭1は
図2に示すように6面の外郭面を構成して
いる。本発明の内容をよりわかりやすく説明するために、食器篭1で構成される6面の外
郭面を外郭面1a〜1fとして、
図1に示す食器篭1の正面を外郭面1a、背面を外郭面
1b、左側面を外郭面1c、右側面を外郭面1d、
上面を外郭面1e、下面を外郭面1f
とするものである。
【0018】
図1に示す上枠11は、略四角形に構成され、食器を挿入して、食器を順に積み重ねる
ために食器出入用開口部19が設けられている。この食器出入用開口部19には、前面部
に設けられた前面開口部20が位置する部分があり、略四角形を切り欠いた状態になって
いる。この切り欠いた部分に外郭面1aから食器篭1の内側に入り込むように中折れ部1
1a、11bが構成されている。また、この中折れ部11a、11bにつづいて、一体食
器支持部13、14が一体に形成されている。この一体食器支持部13、14は、さらに
、下枠12の中折れ部12a、12bとつづき、下枠12につながっている。
【0019】
下枠12も、上枠11と同様に略四角形に構成されており、前面開口部20が位置する
部分は略四角形を切り欠いた状態になって、切り欠いた部分に外郭面1aから食器篭1の
内側に入り込むように中折れ部12a、12bとつながっている。
すなわち、上枠11と下枠12は、上枠11の中折れ部11a、11b、下枠12の中
折れ部12a、12bを経て一体食器支持部13、14によって接続された構成になって
いる。
【0020】
なお、食器篭1は、本実施形態1ではステンレス材等を用いた円形状の線材により構成
されているが、角状の線材で構成してもよい。また、外形を円形状に構成してもよく、実
施形態の構成に本件発明が限定されるものではない。
【0021】
(食器篭1への食器収納について)
図1に示すように、上枠11と下枠12との間には、複数枚重ねた丸形状の食器100
が収められた場合に、食器の外縁が別体食器支持部3,4と一体食器支持部13、14で
支持され、食器が規則正しく積み重ねられるようになっている。
また、食器を載せるための下規制部5は、下枠12と下規制棒17,18にて構成され
る。下規制部5は、食器を食器篭1に挿入した場合、下規制部5を形成する下規制棒17
、18に食器100の裏面側が載り、食器100の裏面側の位置を規制するものである。
なお、下規制部5を構成する下規制棒の数は、2本としたが、これよりも多い、例えば
3から4本としてもよい。また、本実施形態1ではステンレス材等を用いた円形状の線材
により構成しているが、板状の部材で構成してもよく、実施形態1の構成に限定されるも
のではない。また、この食器篭1は、食器にメタルマークが付くのを防止するために食器
篭全体の表面に樹脂コーティングを施している。
【0022】
ところで、作業台等に積み重ね方向を上下方向(鉛直方向)に載置した食器篭1は、上
枠11側を上面、上枠11と対向する下枠12を底面、一体食器支持部13、14側を正
面、別体食器支持部3、4側を背面として構成している。
図1に示すように、食器篭1は上枠11が位置する上面側に食器出入用開口部19を、
一体食器支持部13、14が位置する正面側に前面開口部20を有し、この食器出入用開
口部19を介して複数の食器100の収納および取り出しを行うものである。また、食器
篭1の食器出入用開口部19と前面開口部20は、連通して食器の出し入れ口を構成して
いる。
【0023】
さらにいえば、食器篭1の食器出入用開口部19を有する上面側が、食器100の収納
および取り出し方向である。また、一体食器支持部13、14、別体食器支持部3、4、
および下規制部5に囲まれた空間は、複数の食器100を収納するための食器収納部21
を構成している。
【0024】
なお、
図3には、複数重ねた丸形状の食器100の一方(食器篭1の正面側である外郭
面1a側)の半周側の周端部を支持する一体食器支持部13、14と、食器100の他方
(食器篭1の背面側である外郭面1b側)の半周側の周端部を支持する別体食器支持部3
、4の配置の一例が示されている。一体食器支持部13、14の各々は、食器100の中
心を挟んでθ1、θ2の角度として一方の半周側の周端部を支持する。また、別体食器支
持部3、4の各々は、食器100の中心を挟んでθ3、θ4の角度として他方の半周側の
周端部を支持する。θ1〜θ4の各々は、例えば10〜45度に設定されている。
【0025】
さらに、外郭面1aから食器篭1の内側に入り込んで位置している一体食器支持部13
、14と、外郭面1bから食器篭1の内側に入り込んで位置している別体食器支持部3、
4は、食器収納部21に収納された食器100が、外郭面1a、外郭面1b、外郭面1c
、外郭面1dからはみ出さないように配置されている。
食器篭1に設けられた一体食器支持部13、14、別体食器支持部3、4の各々の配置
は、一例であってこれに限定されるものではない。一体食器支持部13、14、別体食器
支持部3、4の数は、それぞれ2本としたが、別体支持部を1本としてもよい。この場合
、1本の別体支持部を、例えば、食器100の一体食器支持部13、14と向かい合う他
方の半周側の中心軸状に配置するものである。また、これよりも多い、例えば3本として
もよい。この場合、3本の別体支持部を、前記複数重ねた丸形状の食器100の一方の半
周側と他方の半周側のどちらにも配置してもよい。いずれの場合も、食器収納部21に収
納された食器100が、外郭面1a、外郭面1b、外郭面1c、外郭面1dからはみ出さ
ないように配置されるものである。
【0026】
(食器篭1の製作方法について)
食器篭1の
製作方法の手順を
図4(a)〜(c)および
図5(a)〜(b)に示す。先
ず、
図4(a)に示すように、1本の線材を曲げ加工して、コ字状に外枠線材71を成形
する。次に、
図4(a)の状態から、
図4(b)に示すように、コ字状の外枠線材71を
、2カ所ある曲げ加工部73で上方へ略90°の角度に折り曲げる。例えば、線材の折り
曲げに関しては、曲げ加工を行う装置であるベンディングマシーンで、2カ所ある曲げ加
工部73を同時に曲げ加工することができる。ここで、ベンディングマシーンで2カ所あ
る曲げ加工部を同時に折り曲げするとしているが、曲げ加工部を1カ所ずつ折り曲げして
もよい。また、ベンディングマシーン以外の方法で折り曲げしてもよく、実施形態の構成
に限定するものではない。
【0027】
図4(c)は、
図4(b)の状態の外枠線材71を、さらに2カ所ある曲げ加工部74
で上方へ略90°の角度に折り曲げた状態を示す。
図5(a)は、
図4(c)の状態の外
枠線材71を、さらに2カ所ある曲げ加工部75で上方へ略90°の角度に折り曲げ、先
ほどの手順と同様にして逆方向に折り曲げた略対称の線材を向かい合わせに並べた状態で
ある。すなわち、
図4(a)〜(c)、
図5(a)で、一方の対称形である外枠線材71
が形成され、他方の対称形である外枠線材72も外枠線材71と同様に曲げ加工して形成
される。なお、外枠線材71と外枠線材72は、それぞれ一本の線材で(一筆書き状に)
形成される略対称形からなる。
【0028】
図5(b)には、
図5(a)で示される略対称形に配置された外枠線材71の端面76
と外枠線材72の端面78、外枠線材71の端面77と外枠線材72の端面79とをそれ
ぞれ溶接により結合して、外枠2が形成された状態が示されている。なお、外枠線材71
の端面と外枠線材72の端面とを結合したものが結合部80、81である。
また、
図4(a)でコ字状に曲げ加工する1本の線材の長さは、食器篭に収納される食
器の大きさや種類、所望される食器篭の大きさに応じて適宜設定されるものである。曲げ
加工部73、曲げ加工部74、曲げ加工部75の位置や曲げ角度についても、食器篭に収
納される食器の大きさや種類、所望される食器篭の大きさに応じて適宜設定されるもので
ある。
【0029】
以上のように、外枠2は、コ字状の1本の線材を折り曲げて一筆書き状に形成される略
対称形の外枠線材71、72を略対称形に配置し、外枠線材71の端面76と外枠線材7
2の端面78を、外枠線材71の端面77と外枠線材72の端面79を、溶接により結合
して成形したものである。
【0030】
また、コ字状の線材71によって前面開口部20が形成された食器篭1の上面と下面を
接続する線材部分が
一体食器支持部13,14の役割をなし、折り曲げられた線材の頂点
が食器篭1の外郭をそれぞれ形成して、食器篭1が作成されることになる。
【0031】
これにより、外枠2は外枠線材の端面同士の2カ所を溶接するのみで、溶接箇所を少な
くして食器篭1を形成することができる。したがって、食器篭1を形成する際に、線材端
面同士の溶接時の位置決めをジグにて行う場合には、ジグの数を少なくすることができる
。ジグを使用しない場合においても、接合箇所が少ないので位置決め不良を減らすことが
できる。また、溶接する箇所が少ないため、溶接時の歪みが生じる箇所が減ることになり
、製品不良となる歪みの修正作業も減らすことができる。このように、簡単な構成で食器
篭1ができているため、食器篭1を効率良く製作することができる。
【0032】
さらに、溶接箇所を少なくして形成することができることから、万が一の溶接外れを減
らすことができ、顧客の信頼性の高い安定した製品を提供することができる。また、外枠
2を構成する一筆書き状に形成される略対称形の外枠線材71と外枠線材72は別々に成
形することにより、
図4(a)〜
図4(c)、
図5(a)〜
図5(b)のように曲げ加工
する際に、外枠全体を一体で曲げ加工する場合に比べて、外枠線材が小さくなり、曲げ加
工時のハンドリングがしやすく、曲げ加工時の占有スペースも小さくなる。したがって、
食器篭1の作成時の曲げ加工性が良くなり、加工効率を良くすることができる。
【0033】
また、外枠全体を一体で曲げ加工する場合は、素材である線材が元々持っている捻り、
ねじれを逃がすところがなく、曲げ加工にて外枠2を形成した際には、外枠の一部に歪み
が生じる虞がある。その場合には、一体で曲げ加工しているため逃がす所がないので、歪
み修正が困難となる。一方、本実施形態1のように、略対称形に別々で曲げ加工すれば、
端面同士の2カ所を溶接するときに、端面部分で歪みの修正ができるので、歪みのない外
枠を形成することができる。
【0034】
また、曲げ加工において一般的な装置であるベンディングマシーンを使用して曲げ加工
することができる。すなわち、本実施形態1での食器篭の
製作方法は、特殊な装置を使う
ことなく外枠を成型するもので、汎用性、自由度の高い製作方法であり、効率良く食器篭
を製作することができる。さらに、食器篭1は、外枠2に下規制部5と別体食器支持部3
、4を、溶接等により連結固定して構成すればよいだけなので、簡素化された構成となる
。また、食器篭は食器を前から視たときの前面視が、左右略対称になっていればよく、厳
密に対称となっていなくとも食器篭の作成には問題がない。左右略対称とは、寸法、形状
の多少の違いは含まれるものである。また、このように食器篭を効率良く製作することが
できることにより、価格上昇を抑えた食器篭を提供することができる。
【0035】
(食器の収納または取出し時、および食器の収納後の操作について)
食器篭1を立てた姿勢で、学校給食や病院等の喫食に用いられた複数の食器100を収
納する操作等について説明する。なお、複数の食器は喫食に用いたもの以外のもの(例え
ば喫食に用いてない新しい食器、洗浄済の食器)も含むことはもちろんである。
図1に示すように、食器篭1を立てた姿勢で、上から順に食器100を収納する。食器
篭1を立てた姿勢にした時には、食器出入用開口部19が上方にある。
【0036】
図6(a)、
図6(b)、
図7は、食器篭1に食器100を1枚ずつ収納する状態を示
す図である。
図6(a)は、食器100を食器篭1の上方にある食器出入用開口部19よ
り、一体食器支持部13、14、別体食器支持部3、4、および下規制部5で構成された
空間の食器収納部21に、食器100の開口を上にして挿入する状態が示されている。
【0037】
図6(b)は、
図6(a)の状態から食器100をさらに下方へ挿入し、食器収納部2
1の下方に位置する下規制部5に載せて収納した状態を示す。この時、食器出入用開口部
19と前面開口部20は連通しているので、食器100を手で掴んだ状態のまま食器出入
用開口部19より挿入し、前面開口部20を通じて食器100を下規制部5へ載せて収納
することができる。
【0038】
この後、順次食器100を食器出入用開口部19より挿入し、食器収納部21へ予め定
めた数を積み重ねていく。
図7は、食器100を予め定めた数を積み重ねた状態を示す。
下規制部5へ載せて収納された食器100は、
図3に示すように、一体食器支持部13
、14の各々によって、食器100の中心を挟んでθ1、θ2(
図3参照)の角度として
一方(食器篭1の正面側である外郭面1a側)の半周側の周端部を支持されることになる
。また、別体食器支持部3、4の各々によって、食器100の中心を挟んでθ3、θ4の
角度として他方(食器篭1の背面側である外郭面1b側)の半周側の周端部を支持される
ことになる。
【0039】
食器篭1に予め定めた複数の食器100(例えば、10〜40枚の食器100)の挿入
、収納の方法は、1枚ずつ順次積み重ねて食器篭1に収納してもよいが、一定の枚数毎に
区分けして挿入、食器篭1に収納してもよい。また、
図8に示すように、予め定めた数の
複数の食器100全体を予め積み重ねた後、食器100全体を食器出入用開口部19から
挿入し、下規制部5に載せて収納してもよい。さらには、食器100を収納する枚数が少
ない場合には、前面開口部20から食器を1枚ずつ斜めにして挿入してもよく、食器10
0を取り出す際にも前面開口部20から食器を斜めにして1枚ずつ取り出してもよい。こ
れにより、収納時に手で掴む食器の枚数に制限されることなく、食器100の収納、取り
出しの自由度をより増すことができる。
【0040】
上述のように、実施形態1においては、一体食器支持部13、14、別体食器支持部3
、4、および下規制部5に囲まれた空間に構成された食器収納部21に複数の食器100
を収納し、一体食器支持部13、14の各々によって、食器100の一方(食器篭1の正
面側である外郭面1a側)の半周側の周端部を支持し、別体食器支持部3、4の各々によ
って、食器100の他方(食器篭1の背面側である外郭面1b側)の半周側の周端部を支
持するものである。
【0041】
これにより、食器篭に収納した複数の食器は、所定の位置に収めることができ、重ね方
向の各々の周端部が一体食器支持部13、14、および別体食器支持部3、4によって支
持される。したがって、収納後の複数の食器100を確実に支持でき、安定した姿勢を維
持して、食器100の飛び出し、脱落、食器の破損を防止することができる。
【0042】
また、食器篭1は、
図5(b)に示すように2本の線材を折り曲げて2つの左右対称の
形状をそれぞれ一筆書き状に形成したものとは別に、別体食器支持部3、4を備えており
、これらの
別体食器支持部3、4
及び一体食器支持部13、14は食器の径方向にある外
郭面から前記食器が飛び出さないように前記食器の移動を規制する食器収納部21が構成
されている。
【0043】
これにより、食器収納部21に収納された食器100が、重ね方向の各々の周端部が一
体食器支持部13、14、および別体食器支持部3、4によって支持され、所定の位置に
収めることができる。また、外郭面1a、外郭面1b、外郭面1c、外郭面1dから飛び
出すことを防止することができる。したがって、収納後の複数の食器100を確実に支持
でき、食器篭内での食器100の移動を規制し、食器100の外郭面1a、外郭面1b、
外郭面1c、外郭面1dから飛び出すことによる破損を防止することができる。
【0044】
また、
図3に示すように、一体食器支持部13、14は外郭面1aから食器篭1の内側
に入り込んで位置しており、別体食器支持部3、4は外郭面1bから食器篭1の内側に入
り込んで位置しているものである。
【0045】
これにより、食器収納部21に収納された食器100が、外郭面1aと外郭面1bのみ
ならず、外郭面1cと外郭面1dからも飛び出すことを防止することができる。
したがって、収納後の複数の食器100を確実に支持でき、食器篭内での食器100の移
動を規制し、食器100の外郭面1a、外郭面1b、外郭面1c、外郭面1dから飛び出
すことによる破損を防止することができる。
【0046】
さらに、食器篭1を立てた姿勢に設置するだけで、何ら操作することなく、食器出入用
開口部19から食器収納部
21に食器を収納することができる。したがって、複数の食器
100の収納を確実に行うことができるとともに食器の収納操作を簡素化することができ
る。
【0047】
食器100は、例えば10〜40枚の範囲で予め定めた数を収納するが、食器の収納数
に応じて食器篭1の食器収納方向の長さを変えてもよい。なお、予め定めた数に合わせた
食器篭1の食器収納方向の長さは、積み重ねて収納した食器100の最上段の食器100
が、食器出入用開口部19からはみ出さない程度に設定すればよい。
【0048】
収納した食器の運搬は、
図1に示した食器篭1の姿勢において、上面側に位置する上枠
11を持って行なうものである。運搬に際して、食器篭1を持ちやすくするために、上枠
に取手(図示なし)を取り付けて、取手を持って運搬してもよい。なお、取手に限らず、
持ちやすい形状にしてもよい。
【0049】
食器篭1に収納された喫食後の食器100は、食器篭1から取り出され、食器洗浄装置
201で食器100の洗浄が行われる。食器100が取り出された食器篭1は、同じく食
器洗浄装置
201または他の洗浄装置で洗浄される。洗浄が終わり食器洗浄装置
201か
ら出された食器100を、再度、同じく洗浄が終わった食器篭1に、所定枚数を収納する
。この時にも、食器出入用開口部19は、前面開口部20と連通して構成されているので
、食器100の収納が容易であり、かつ、迅速に行うことができる。その後、食器100
を収納した食器篭1は、消毒保管庫で、熱風による消毒乾燥を行い、食器保管庫などに保
管される。
【0050】
図1に示した食器篭1の姿勢において、食器100を収納した食器篭1を台車やトラッ
ク等で運搬を行うが、この運搬時に食器篭1に収納した食器100に振動、衝撃が加わる
。しかし、食器篭1に収納されている複数の食器100は、一体食器支持部13、14、
別体食器支持部3、4、および下規制部5に囲まれた空間で構成された食器収納部21に
収納されているため、食器100を食器収納部21に安定した姿勢で維持することができ
る。これによって、食器篭1からの食器100の飛び出しや脱落が防止できる。
【0051】
また、食器100にメタルマークが付着しないように、食器篭1の表面全体に樹脂コー
ティングが施されているので、メタルマークの付着を未然に防止するだけでなく、食器1
00等との衝撃がやわらぎ耳障りな騒音の発生も少ないなどの利点がある。さらに、食器
篭1の全体表面に樹脂コーティングが施されているので、台車やトラックの運搬の際に発
生する食器篭1のキズや、喫食時に食器篭を載せる配膳台で発生する食器篭1のキズも防
止することができる。
【0052】
なお、樹脂コーティングが剥離した場合には、再加工できるものである。たとえば、学
校給食においては、夏休み等の長期休暇中に再加工すればよい。また、予備の食器篭1を
用意しておき、樹脂コーティングが剥離した食器篭と交換し、順番にローテーションして
再加工をするようにしてもよい。
【0053】
なお、実施形態1において、食器にメタルマークが付着しないように、食器篭1の表面
全体に施されている樹脂コーティングは、例えばナイロン(登録商標)の樹脂コーティング
が該当するが、樹脂コーティングに使用される樹脂はこれに限定されるものではない。
【0054】
(食器100を食器篭から取り出す操作について)
洗浄、消毒乾燥、保管等の工程を経て運搬されてきた食器篭1から、喫食前の食器10
0の取り出しは、
図1に示すように、食器篭1を立てた姿勢で行なう。
この状態において、積み重ねた複数の食器100の全数を、前面開口部20を通じて手
で掴み、食器出入用開口部19から一度に取り出す。または、積み重ねた複数の食器10
0の上端側から一枚ないし複数毎ずつ順次取り出す。取り出した食器100は順次喫食に
用いられる。上述のように、食器100の取り出しは、複数の食器100を前面開口部2
0から手を差し入れ、前面開口部20を通じて食器出入用開口部19から取り出すため、
スムーズに食器100を取り出すことができる。以降、喫食に用いた複数の食器100を
収納した食器篭は、上述のように洗浄、消毒乾燥、保管のサイクルを繰り返すことになる
。
【0055】
なお、コ字状の1本の線材を折り曲げて外枠線材71,72を成型する方法は、外枠線
材71,72が一筆書き状に形成される略対称形になればよく、実施形態に限定するもの
ではない。また、本実施形態1においては、下規制部5を下規制棒17、18により構成
しているが、これに限定するものではなく、下規制部5を外枠と一筆書き一体とする構成
としてもよい。これにより、部品点数をより減らすことができ、より簡素化でき効率良く
製作できる。
【0056】
なお、本実施形態1においては、食器篭1の表面全体に樹脂コーティングを施している
が、これに限定するものではなく、食器収納部21で食器が接する箇所、例えば一体食器
支持部13、14、別体食器支持部3、4、下規制部5の下規制棒17、18のみを樹脂
コーティングしてもよい。
【0057】
この場合、上述のように食器篭1を台車、トラック等で運搬時する際に、食器篭1にキ
ズが発生することを防止することができなくなるが、食器篭1の樹脂コーティングの剥離
は防止できる。食器篭1の全体の表面に樹脂コーティングを施すか、食器収納部21で食
器が接する箇所のみに樹脂コーティングを施すかは、使用する状況によって選択すればよ
いものである。
【0058】
また、樹脂コーティングは、色彩を自由に選択できるので、用途または好みに応じて特
定の色彩を採用することができる利点がある。例えば、学校のクラス単位で色彩を選択し
たり、収納する食器の種類によって色彩を選択したりすることができる。これにより、学
校給食で食器篭の取り間違いを防止したり、喫食後に食器を食器篭に返却する際に入れ間
違いを防止したりすることができる。
【0059】
なお、本実施形態においては、食器100にメタルマークが付着しないように、食器篭
の表面全体に樹脂コーティングが施されているが、これに限定するものではなく、食器と
食器篭を構成しているステンレス材等が直接接触しないようにすればよい。例えば
図4(
a)で、外枠線材の一体支持部に該当する部分に、ナイロンチューブを挿入しておいても
よい。
【0060】
(実施形態2)
本発明の実施形態2の食器篭101について
図9〜
図30、および
図33〜
図39を参
照しながら説明する。先ず、実施形態2の食器篭101の基本的な構成を
図9に示す。
【0061】
実施形態1と異なるのは、
図9の食器篭101の斜視図および
図11の食器篭101を
下から見た底面図に示すように、実施形態1の食器篭1の下規制部5を削除して食器位置
調整部130を追加し、さらに上規制部150、汁受け153、取手160a、160b
を追加したものである。また、これらを追加するために、連結線材122a、122b、
123a、123b、124a、124b、125a、125bを追加している。下枠1
2は、実施形態1においては、略四角形に構成されており、前面開口部20が位置する部
分は略四角形を切り欠いた状態になっていたが、実施形態2においては、切り欠いた状態
の部分に、連結線材126が下枠12に溶接等により連結固定してある。なお、
図1〜図
8と同一番号は同一箇所を示し説明を省略する。
【0062】
また、
図10に示すように、構成される6面の外郭面を外郭面101a〜101fとし
て、
図9に示す食器篭101の正面を外郭面101a、背面を外郭面101b、左側面を
外郭面101c、右側面を外郭面101d、
上面を外郭面101e、下面を外郭面101
fとするものである。
【0063】
(上規制部について)
上規制部について、
図9、
図15〜
図18を用いて説明する。
図15は
図9の食器篭1
01を上から見たときの平面図である(上規制部の係止部が外れた状態)。上規制部15
0は、食器篭101の上方の上枠11に固定している2個の回動支持具152により、回
動自在に取り付けられている。上規制部150の規制部150aは、上枠11の上面であ
る外郭面101eにある食器出入用開口部19で、積み重ねた食器100の表面側を規制
するように構成されている。
【0064】
上規制部150の先端部の回動自由端部である上規制部の係止部151aは、上枠11
の中折れ部11aに係止するように構成されている。また、上規制部の回動自由端部であ
る係止部151bは、上枠11の中折れ部11bに係止するように構成されている。上規
制部の係止部を中折れ部に係止していない状態においては、上規制部の係止部151a、
151b同士の間隔は、中折れ部11a、11b同士の間隔より狭く構成されている。
【0065】
図16、
図17、
図18に、この上規制部150の構成の一例を示す。
図16(a)は
、
図15における上規制部150の平面図、
図16(b)は同上規制部150の側面図を
示す。
図17(a)は、
図15における回動支持具152の平面図、
図17(b)は同回
動支持具152の側面図を示す。
図18(a)〜(c)は、
図15に示したB−B位置か
ら見た上規制部150が回動する状態を示す部分拡大断面図である。
【0066】
図16に示すように、上規制部150は、復元性、撓み性のある線材にて全体を略コ字
状に形成されている。略コ字状の2本の向き合う線材は、規制部150aを構成している
。略コ字状の先端部は、それぞれ外側に折り曲げてから、先端部分をさらに上方に折り曲
げて上規制部の係止部151a、151bが構成されている。
【0067】
図18(a)に示すように、上規制部150は、上枠11に固定している回動支持具1
52に回動自在となる支持部を備える。また、
図15に示すように、回動支持具152は
、上枠11に食器篭101の内側を向けて固定する。
【0068】
図18に示すように、上規制部150は、回動支持具152により回動自在に取り付け
られているが、上枠11と、回動支持具152と、上規制部150の位置関係によって回
動自在の範囲は規制される。
図18(c)に示す状態から
図18(b)に示す状態の範囲
で回動自在となるものである。
【0069】
まず、食器を食器篭101に入れるときには、
図18(a)に示すように食器挿入の邪
魔にならないように上規制部150が外郭面の内側に収まっており、上規制部の係止部1
51a、151bが上枠11に当接するところまで下方に移動できるようになっている。
この状態で、回動支持具152から上規制部150が抜け落ちないように、上規制部の係
止部151a、151bの長さは構成される。なお、上規制部150は、回動支持具15
2から着脱自在でもある。
【0070】
次に、
図18(a)の状態から
図18(b)の状態になるように上規制部150を上方
に移動させることができる。この
図18(b)の状態においては、上枠11と回動支持具
152に挟まれるようにして、上規制部150の下部を回動支持具152に、上規制部1
50の上面を上枠11に当接した状態である。この上規制部150は、回動支持具152
の鉛直方向を超えて、食器篭の外郭面101bの外側に傾斜した状態を示しているが、上
規制部150を閉じた状態にするための中間の動作は、鉛直方向を超えて上規制部150
を回動する必要はなく、上規制部150を回動支持具152に当接するまで鉛直方向に持
ち上げればよい。
【0071】
さらに、
図18(c)においては、上規制部150は、上枠11と回動支持具152に
挟まれるようにして、上規制部150の上面を上枠11に、上規制部150の下面を回動
支持具152に当接させる。この時、上規制部150は、略水平な状態である。
さらに、上規制部の係止部151a、151bを上枠11の中折れ部11a、11bにそ
れぞれ係止することで、上規制部150を閉めた状態で保持でき、上規制部の係止部15
1a、151b同士の間隔より、中折れ部11a、11b同士の間隔の方が広く、中折れ
部11a、11b同士の付勢解放状態から上規制部150を閉めると付勢状態となる。そ
のため、上規制部150を閉めた状態では上規制部150の保持をより強くすることがで
きる。これによって食器篭101の強度が増し、運搬時の変形が防げる。なお、上規制部
150を閉じることにより、上規制部の係止部151a、151b同士が近づくように付
勢される。
【0072】
次に、上規制部150が閉じた状態から、上規制部150が開かれる動作を、
図25か
ら
図28を用いて説明する。
図25(a)は
図9を上方向から見たもので、食器篭101
の左部分を示した図である。
図25(a)に示すように食器篭101の上枠11の中折れ
部11aと上規制部150の係止部151aとが係止しており、
図25(a)のC−C線
における側面から見た図が
図25(b)である。この状態から、上方向に付勢されている
上規制部の係止部151aを食器篭の下方向(底面方向)に押し下げる。上規制部の係止
部151aが押し下げられた図が
図26(a)で、その側面図が(b)である。さらに、
上規制部の係止部151aを押し下げた状態で、上規制部の係止部151aを食器篭10
1の上面中心方向に回動させる。その状態を示したのが
図27(a)でその側面を示した
ものが(b)である。つぎに、その状態で上規制部の係止部151aに対する力を弱める
と、上規制部の復元性によって上規制部150が上方に移動して上規制部150の係止が
解除される。係止が解除された状態を示したのが、
図28(a)でその側面を示したもの
が(b)である。なお、上規制部150は
図18(a)に示した状態で、上規制部の係止
部151aと上規制部の係止部151bの間隔を狭める方向に付勢しながら少し捻るよう
にすることにより、上規制部150を支持する回動支持具152から取り外しができる。
すなわち、上規制部150は食器篭から取り外すことができるように構成されている。
【0073】
(食器位置調整について)
図11に示す食器位置調整部130は、食器篭101の下方(外郭面101f側)に、
図12の食器底板131と、食器底板131を支持する
図13に示されている底板固定具
138と、
図9の固定具受板140、141とにより、食器100の積み重ね方向の位置
を調整可能に構成されている。
【0074】
図12(a)〜(e)に食器底板131の構成を示す。
図12の(a)は、食器底板1
31の斜視図、(b)は食器底板131の裏面側からの斜視図、(c)は、食器位置調整
部を上から見た表面図、(d)は、食器位置調整部の裏面図eで示すA−A位置の断面図
、(e)は、食器位置調整部の裏面図である。食器底板131は、外郭面101e側(上
面側)に食器100の裏面側が載り、食器載置部132は食器の裏面側の位置を規制する
もので、四角形の開口部131aを有している。また、外郭面101b側は、上面側へ斜
めに折り曲げられた反射部133aと、外郭面101a側には上面側へ斜めに折り曲げら
れた反射部133bとを有し、反射部133aと反射部133bは向き合って位置してい
る。
【0075】
また、食器底板131は、外郭面101c側に貫通穴134a、134bを有する下面
側への折り返し部135aと、外郭面101d側に突部136a、136bを有する下面
側への折り返し部135bを有している。突部138a、138bと突部136a、13
6bを、
図9に示す固定具受板140と固定具受板141のそれぞれの貫通穴に挿入する
ことで、食器底板131を支持するようになっている。
【0076】
この
図12(e)に示すように食器底板131の裏面側には、係止部材137が固定さ
れている。係止部材137は、食器底板131の裏面側と係止部材137の間に保持部1
37aを構成し、係止部材突部137bを有している。
【0077】
次に、
図13(a)(b)に底板固定具138の構成を示す。
図13(a)は底板固定
具138の斜視図、(b)は底板固定具138の正面図である。底板固定具138は全体
がコ字状の線材で形成され、コ字状の先端部の各々には、固定具先端部
(突部)138a
、138bが形成されている。コ字状に形成された線材に、連結線材139を溶接等によ
り連結固定している。
【0078】
底板固定具138の
突部138a、138bを、
図12(d)に示す折り返し部135
aの貫通穴134a、134bにそれぞれ通し、固定具受板140の貫通穴に挿入するこ
とで、上述のように食器底板131を支持するようになっている。また、連結線材139
を係止部材137の保持部137aに挿入することで、係止部材突部137bが、挿入し
た連結線材139の抜け止めをするようになっている。
【0079】
次に、
図14(a)(b)(c)に固定具受板140の構成を示す。
図14(a)は固
定具受板140の斜視図、(b)は固定具受板140を食器篭101に取り付けた斜視図
、(c)は固定具受板140を食器篭101に取り付けた正面図である。固定具受板14
0は板状であり、貫通穴142a〜142fと、貫通穴143a〜143fを有し、上枠
11と下枠12を連結している連結線材122a、122bとの間に、溶接等により連結
固定している。食器篭内の外郭面101c側に、外郭面101cとほぼ平行に固定される
。
【0080】
固定具受板140の貫通穴は食器篭101に取り付けた場合、142aと143a、1
42bと143b、142cと143c、142dと143d、142eと143e、1
42fと143fとがそれぞれ食器篭101の下面から同じ高さになるように構成されて
いる。すなわち、貫通穴の下面からの高さの違いは、食器100を1枚積み重ねたときの
高さの違いと一致するようになっている。なお、ここでいう食器の積み重ね高さとは、食
器を積み重ねるときに、食器の上に1枚積み重ねるごとに増えていく高さのことを指し、
学校給食で使用される食器においては、たとえば4〜10mmとなっている。
【0081】
さらに、142aと143aとのピッチ、142bと143bとのピッチ、142cと
143cとのピッチ、142dと143dとのピッチ、142eと143eとのピッチ、
142fと143fとのピッチは同一に構成される。つまり、底板固定具138の
突部1
38aと
突部138bとのピッチと一致するようになっている。
【0082】
さらに、142aと142cと142eが縦方向で同列に、142bと142dと14
2fが縦方向で同列となる千鳥状に配置される。また、143aと143cと143eが
縦方向で同列に、143bと143dと143fが縦方向で同列となる千鳥状に配置され
る。
【0083】
また、固定具受板140と対向する面に構成される固定具受板141も、固定具受板1
40と同様に構成される。固定具受板141も板状であり、貫通穴144a〜144fと
、貫通穴145a〜145fを有し(図示せず)、上枠11間を連結している連結線材1
25aと、下枠12間を連結している連結線材125bを連結している連結線材123a
、123bの間に、溶接等により連結固定している。食器篭内の外郭面101d側に、外
郭面101dとほぼ平行に固定される。したがって、固定具受板140と固定具受板14
1は、ほぼ平行な関係にある。
【0084】
また、外郭面101c側から見ると、手前に固定具受板140、奥に固定具受板141
が位置し、固定具受板140の貫通穴142aと固定具受板141の貫通穴144aは重
なって見える位置にある。同様に他の固定具受板140の貫通穴と固定具受板141の貫
通穴についても重なって見える位置にある。
【0085】
突部136a、136bを、固定具受板141の貫通穴144、145に挿入し、また
、底板固定具138の
突部138a、138bを、固定具受板140の貫通穴142、1
43に挿入することで、食器底板131を支持する。任意に貫通穴の位置を選択すること
によって、食器底板131の食器100の積み重ね方向の位置調整を可能としている。
【0086】
本実施例では、突部138a、138bと突部136a、136bを、
図9に示す固定
具受板140と固定具受板141のそれぞれの貫通穴に挿入することで、食器底板131
を支持するようになっているが、これに限定されるものではない。食器底板131は、外
郭面101c側に貫通穴134a、134bを有する下面側への折り返し部135aと、
外郭面101d側に突部136a、136bを有する下面側への折り返し部135bを有
しているが、外郭面101c側の折り返し部135aの貫通穴134a、134bに雌ネ
ジ加工をしておき、固定具受板140の外側より、ボルトにより食器底板131を固定す
るようにしてもよい。また、貫通穴134a、134bに雌ネジ加工せず貫通穴としてお
き、固定具受板140の外側よりボルトを入れ、折り返し部135aの内側からナットに
て締結し固定してもよい。
【0087】
なお、食器位置調整部130を構成する食器底板131は、例えばステンレス材等を用
いた板状の部材により構成しているが、円形状の線材で構成してもよく、実施形態の構成
に限定するものではない。
【0088】
(食器位置の調整方法について)
食器位置の調整方法について
図11、
図21、
図22を用いて説明する。まず、
図11の
底板固定具138が固定された状態から、
図21(a)に示すように、底板固定具138
を矢印Gの方向に力を加えて、底板固定具138の連結線材139を係止部材突部137
bから外す。すると、
図21(b)に示すように、底板固定具138は手前方向に抜くこ
とができる。
図22(a)は、底板固定具138を抜いた状態を示している。この状態で
、食器底板131を手前方向に外すことができる。また、
図22(b)は、食器篭から食
器底板131を外した状態を示している。
【0089】
食器底板131の取り付けは、上記外し方の逆の手順で取り付けることができる。この
時に、例えば
図14(c)の底板固定具138の位置から、
図23の底板固定具138の
位置へ変更するものである。固定具受板140、141の異なる貫通穴へ挿入し、底板固
定具138をロックすれば、収納枚数調整ができるものである。なお、ロックの方法は、
実施例に限定されない。
【0090】
また、別の食器位置調整部の構成について
図35〜
図37を用いて説明する。
図35は
食器底板を裏面側から見た図である。まず、底板固定具198について説明する。底板固
定具198は、
図37に示すように、両先端部に固定具先端部
(突部)138a、138
bを構成するコ字状の線材と、これより径の細い弾性のある線材でできた略コ字状で両先
端部が外側に折れ曲がって固定具係止部198aを構成する線材が溶接等で固定されて形
成されている。この線材部分の径が細いのは、固定具係止部198aを係止受け部196
aに抜き差しする際に、掴み部198bを手で掴んで弾性に抗して掴み部198b同士を
近づくように曲げる必要があるからである。この構成例では、
突部138a、138bを
構成するコ字状の太い方の線材はφ4mmで、細い線材はφ2.5mmとしている。
【0091】
また、
図36に示すように係止受け部線材196の一端は、突部136a、突部136
bを構成し、固定具係止部198aを挿入するために、他端側の途中で丸く曲げられて係
止受け部196aを形成している。2本の係止受け部線材196を連結線材196bに溶
接固定している。2つの係止受け部196aの向きを揃えるために、2本の係止受け部線
材196と連結線材196bとを先に溶接固定しておく。その後、折り返し部135bに
貫通穴をあけておき、突部136a、突部136bを通して、位置を決めて食器底板13
1と溶接固定する。
【0092】
つぎに、食器底板の位置調整について説明する。
図35は、底板固定具198が係止さ
れた状態である。この状態においては、固定具係止部198aが係止受け部196aに差
し込まれているので、底板固定具198を外す方向である図の左側に移動させることがで
きない。この状態から、掴み部198b同士を近づくように手でつかむと、係止受け部1
96aから固定具係止部198aが抜ける。そのまま底板固定具198を、図の左の方に
移動させると、底板固定具198を係止部材197の保持部197aから外すことができ
、食器底板131の食器100の積み重ね方向の位置調整ができる。
【0093】
(食器の収納について)
食器の収納方法について、
図12、
図14、
図15、
図24を用いて説明する。
図14
は、
図12に示す食器底板131の調整範囲を一番下にして、最大数収納できる状態とし
たものである。食器を収納した状態を示したのが
図24(a)である。また、
図23では
食器底板131の調整範囲を一番上にして、最大数から5枚少ない状態として、食器を収
納した状態を示したのが
図24(b)である。
【0094】
図24(a)に示す食器篭101の食器の収納状態において、予め定めた数を収納した
食器100の最下端側に位置する食器100の裏面と最上端側に位置する食器100の表
面間の距離(L1)に対して、
図15に示す上規制部150の規制部150aの下面と最
上端側に位置する食器100の表面間の距離を、所定寸法(L2)の分を残して収納する
ものである。この、所定寸法(L2)は例えば10〜20mmに設定する。これは、後述
する食器洗浄装置
201からの洗浄水噴射により、互いに隣り合う食器間を前記所定寸法
(L2)分離して離間させ、複数の食器を順次洗浄するために設けるものである。
【0095】
食器100は、例えば10〜40枚の範囲で予め定めた数を収納する。食器の収納数に
応じて食器篭101の長さと、食器底板131の調整範囲を変えてもよい。食器篭101
の長さは、予め定めた数より多くの食器が収納できるようにしてもよいし、予め定めた数
に合わせた食器篭101の長さにすれば、効率良く篭を収納、保管することができる。実
施形態2では、食器底板131の調整範囲を5枚としているが、何枚でもよく、例えば、
10枚、15枚としてもよい。食器篭101の長さと、食器底板131の調整範囲の組み
合わせは、使用する状況によって選択すればよいものである。これにより、様々な使用状
況に合わせた食器篭101を提供できる。
【0096】
また、調整範囲の組み合わせは、食器1枚の積み重ね高さ分に合わせる必要はなく、た
とえば食器2枚の積み重ねで調整してもよい。なお、長穴にすれば、どんな食器にでも対
応でき、貫通穴の配置は千鳥配置でなくてもよい。そのほかにも、千鳥配置を多列化して
、1mm刻みで調整できるようにしてもよく、食器何枚分、あるいは何mm調整したかわ
かりやすいように、受板に数字を示してもよい。なお、底板固定具の形状、食器底板の固
定方法は、実施例に限定されるものではない。また、外枠の構成が簡素化されているので
、このような食器位置調整部130を設けても、食器篭全体重量を小さくすることができ
る。
【0097】
(汁受けについて)
図19、
図20に、汁受け153の取り付けの一例を示す。
図19は、
図9における汁
受け153の固定方法を示す構成図である。
図20(a)は
図19における固定部材15
4の平面図、
図20(b)は固定部材154の側面図である。
【0098】
汁受け153は、
図9に示すように、全体が受け皿状の形状をしており、板材を曲げて
構成されている。汁受け153は、外郭面101d側で、上枠11と下枠12との連結線
材124aと124bとを連結固定している連結線材155を、汁受け153の裏面側と
固定部材154とで挟んで固定されている。汁受け153の裏面側の固定部材154は溶
接等により受け皿に固定されている。
【0099】
汁受け153は、汁受け153の裏面側と固定部材154で連結線材155を挟むだけ
の一箇所の固定方法では、汁受け153の位置がずれる虞がある。そのため、2つの固定
部材154を用いて、一方の固定部材154を連結線材155の左側に、もう一方の固定
部材154を、一方の固定部材154が固定された連結線材155の位置と異なる位置に
ある連結線材155の右側にそれぞれ固定し、汁受け153の位置がずれることを防止し
ている。なお、汁受けは、水分を漏らさないようにするだけではなく、水分の少ない固形
の残査物を受けるようにしてもよい。
【0100】
(運搬用取手について)
図9に示すように、運搬用の取手160aは上枠11に、160bは下枠12に、それ
ぞれ外郭面101c側に取り付けられており、上枠11、下枠12がそれぞれ回動支点と
なっている。
【0101】
(食器篭のコーティングについて)
食器篭101全体の表面には樹脂コーティングが施されている。ただし、取り外しする
食器底板131、底板固定具138、着脱自在の上規制部150は、食器篭101とは別
に樹脂コーティングを施し、樹脂コーティングを施した食器篭101に取り付けられる。
また、汁受け153は、食器100と直接接触することがないので、樹脂コーティングを
施さなくてもよいものである。使用する状況により、食器篭全体の表面に樹脂コーティン
グを施すか、または部分的に樹脂コーティングを施すかは、使用する状況によって選択す
ればよいものである。
【0102】
また、一体食器支持部13、14、別体食器支持部3、4、および食器底板131に囲
まれた空間に複数の食器100を収納可能な食器収納部121が構成されている。コ字状
の食器支持線材15、16からなる別体食器支持部3、4は、食器篭に着脱自在に構成し
てもよい。
図39に示すように、食器支持線材15、16の両端面に雌ねじ加工を施し、
食器篭に取り付けブラケット182、183に貫通穴を設けて、食器支持線材15、16
を食器篭101にボルト184で止めればよい。着脱自在にする構成は、これに限定する
ものではない。
【0103】
なお、上枠11と、下枠12の各々に溶接等により固定されている食器支持線材15、
16は、着脱可能に取り付けてもよい。一体食器支持部13、14は、食器篭101とと
もに樹脂コーティングを行い、食器支持線材15、16は異なるコーティングとしてもよ
い。
【0104】
(食器の収納または取出し時、および食器の収納後の操作、状態について)
食器の収納方法については、上規制部150を開けた状態(
図18(a)または(b)
の状態)にして、実施形態1と同じ方法で食器底板131に予め定めた数の複数の食器1
00を載せる。次に、予め定めた数の複数の食器100全体を収納した後、上規制部15
0を回動させ、上述のように上規制部150を閉じる。なお、食器の取り出し方は、食器
収納と逆の方法で行う。
【0105】
(食器篭の運搬方法について)
食器の運搬に際しては、食器篭101を立てて、食器100を積み重ねて収納した後、
図9のように上規制部150を閉じて、
図29(a)に示すように、汁受け153が底面
になるように食器篭101を倒す。
図29(b)は、
図29(a)における右側面図であ
る。もし、収納した食器100に汁等が残っていたとして、それらの汁等は、汁受け15
3に回収されて食器篭置き台を汚すことなく、また、床を汚すことなく食器篭101を運
搬することができる。なお、運搬の際には、一人若しくは2人で食器篭101の取手16
0a、160bを掴んで行うことができる。なお、取手160a、160bに限らず、運
搬するときに持ちやすい形状を食器篭101に設けてもよい。
【0106】
(洗浄装置へ搬入する食器篭の姿勢、食器篭ごと洗浄装置へ搬入について)
食器篭101に収納した食器の洗浄方法の一例について説明する。
図30(a)は、洗
浄装置にて洗浄するときに食器を収納した食器篭を横方向にした姿勢を示しており、
図3
0(b)は、左側面から見た図であり、汁受け153が食器篭101の側面になるように
、食器100の食器開口面をコンベア
202方向に向けて設置されている。また、
図33
はコンベア
202搬送を行な
う食器洗浄装置
201と食器篭の関係を示したもので、図に
示すように、
食器洗浄装置201は、搬送手段であるコンベア202と、コンベア202
の下方に位置する仕切部材203により上下方向に区分され、下方部は下部外郭体204
によって機器スペース205を構成している。上方部は上部外郭体206によって洗浄ス
ペース207を構成している。また洗浄水を貯留す
るタンク208からポンプ209によ
って洗浄水を噴射するノズル210、211を備えている。複数の食器100を収納した
食器篭101がコンベア202に位置し、
図33中の実線矢印方向に所定の速度で移動す
るものである。なおコンベア202は食器篭101に収納した食器100に、ノズル21
0、211より噴射する洗浄水の妨げにならないようレール状に構成されている。タンク
208、ポンプ209、ノズル210、211は配管212、213により接続されてい
る。
【0107】
図34は、食器篭101をコンベア
202に設置した状態を示したもので、食器100
の開口面側から見た図である。
図33は、複数の食器篭101をコンベ
ア202上に設置
した状態を示すもので、食器篭101の側面から見た図である。
図34に示すように、ノ
ズル210、211は、鉛直中心を挟んで互いに所定角度(θ7)を有して配置し、食器
100上半部側より食器100の略中央部に向けて洗浄水を噴射する。またノズル210
、211は、
図33に示すように鉛直面に対して所定角度(θ6)を有して配置している
ものである。さらにノズル210、211の各々と食器100との距離は、食器100の
複数の大きさに対応させるため、最も外径の大きい食器100をベースにできるだけ食器
100の周端部に近接した位置に配置している。なおノズル210、211の所定角度(
θ6)は鉛直面に対して例えば略10度に設定しているものである。また、洗浄水を噴射
するノズル210、211を食器100の上半部側(上方)に備えているが、食器100
の下半部側(下方)より洗浄水を噴射するノズルを備えてもよいものである。
【0108】
洗浄スペース207には、食器篭101の移動方向に沿って食器100を収納した複数
の食器篭101が所定間隔をおいてコンベア202上に位置し、食器篭101に対応した
位置に各々ノズル210、211を備えている。また洗浄スペース207は、食器篭10
1の入口側から荒洗浄ゾーン207a、中間洗浄ゾーン207b、仕上げ洗浄ゾーン20
7cに区分されている。各々の洗浄ゾーンに、洗浄水を貯留する貯留するタンク208、
ポンプ209、ノズル210、211を一つのユニットとして少なくとも一つ備えている
ものである。なお洗浄ゾーンの区分およびその数、各々の洗浄ゾーンにおけるタンク20
8、ポンプ209、ノズル210、211の各々の配置数は一例であって、これに限定さ
れるものではない。
【0109】
食器100の表面側を先頭にして食器篭ごと食器洗浄装置201に搬入し、食器洗浄装
置201内を食器100の重ね方向に移動させる。
食器洗浄装置201内に有するノズル
210、211から移動する食器100の重ね方向に順次洗浄水を噴射し、互いに隣り合
う食器100を
図24に示す所定寸法(L2)分に相当する距離を離して離間させ、この
離間した間隔に入った高圧洗浄水の流動により、食器100の喫食による汚れを除去する
。離間時、食器100の全体が傾斜姿勢から略鉛直方向の姿勢に変化している。
【0110】
食器底板131の開口部131aの作用効果について説明する。食器100を収納した
食器篭101を複数連続してすき間なく食器洗浄装置
201に搬入した場合に、
図30(
a)に示した食器篭の姿勢において、洗浄される最初の食器篭101の次に続く別の食器
篭101の最前部側に位置する食器100の表面の洗浄をより良くするために、
図12に
示すように食器底板131の開口部131aを設けている。
図38に示すように、食器洗
浄装置
201から噴射された洗浄水が、連続してすき間なく食器洗浄装置
201に搬入し
た前方側の食器篭101の最後部側に位置する食器の裏面側にて反射して、食器底板13
1の開口部131aから、後方側に位置する次の別の食器篭101の最前列に位置する食
器の表面に導かれ、汚れを除去する。つまり、一旦汚れを除去するのに使用した洗浄水を
、後方側に位置する食器篭101の最前列に位置する食器の表面に導かれるように再利用
するものである。
【0111】
なお、食器篭101を食器洗浄装置
201に搬入する際に、食器篭同士にすき間を設け
て搬入する場合には、食器底板131の開口部131aはなくてもよい。また、洗浄後、
食器を収納した食器篭は、消毒保管庫での洗浄後の熱風による消毒乾燥を行い、食器保管
庫等で保管されるものである。
【0112】
上述のように洗浄時において、一体食器支持部13、14によって食器100の上方へ
の移動を規制し、安定した姿勢を維持して効率よく洗浄を行うことができ、さらに、食器
篭外への飛び出し、脱落を防止することができる。食器100の洗浄、消毒、保管方法は
、実施形態2に限定されるものではなく、食器篭101から食器100を取り出して、洗
浄、消毒が終わった食器100を、食器篭101に収納し、保管する方法でもよい。
【0113】
また、
図29に示した食器篭の姿勢において、台車、消毒保管庫、トラック等による運
搬を行うが、この運搬時に食器篭に収納した食器100に振動、衝撃がかかる。このとき
収納した複数の食器100は、一体食器支持部13、14、別体食器支持部3、4、食器
位置調整部(下規制部)130、および上規制部150に囲まれた空間に構成された食器
収納部121に収納されていることによって、食器を食器収納部121に安定した姿勢を
維持することができる。したがって、食器100の飛び出し、脱落、食器の破損を防止す
ることができる。 なお、食器底板131の開口部131aの形状は、実施形態2におい
ては四角形としたが、これに限定されるものではない。洗浄時に、後方側に位置する食器
篭の食器に洗浄水を導ける形状であればよいものである。
【0114】
(洗浄・消毒保管後、食器の取り出しについて)
次に、食器篭101から食器100を取り出す操作、状態を説明する。洗浄、消毒乾燥
、保管等の工程を経て運搬されてきた食器篭101から、喫食前の食器100の取り出し
は、先ず
図9に示すように、食器篭101を立てた姿勢で行なう。この状態において、積
み重ねた複数の食器100の全数を、前面開口部20を通じて食器100を手で掴み、食
器出入用開口部19から一度に取り出す。または、積み重ねた複数の食器100の上端側
から一枚ないし複数枚ずつ順次取り出す。取り出した食器100は順次喫食に用いられる
。
【0115】
(実施形態3)
図31は実施形態3の食器篭1の外枠の平面図である。
図1、
図3と同一番号は同一箇
所を示し説明を省略する。 実施形態3と実施形態1と異なるところは、外枠線材71の
端面76、77と外枠線材72の端面78、79の間に、中間部材170を挟んで溶接に
より結合し、外枠2を形成したものである。
【0116】
上述の構成において、実施形態1と比べて、左右対称の形状の外枠線材の間に中間部材
170を挟んでいるので、外枠2を大きく形成することができるものである。
【0117】
これによって、外枠線材71、72の寸法を変更することなく、中間部材170を挟む
ことで、食器篭の大きさを変更でき、径方向に異なる寸法の食器に対応することができる
。外枠線材71、72の寸法は変更する必要がないので、同じ寸法の外枠線材71、72
を予め準備しておき、収納する食器の大きさに応じて中間部材170を準備すればよく、
さらに効率よく製作することができる。
【0118】
なお、実施形態3においては、中間部材170の両側から、外枠線材の端面を差し込む
ようにしているが、外枠線材をパイプ形状として中間部材170を差し込んでもよく、こ
れに限定するものではない。
【0119】
(実施形態4)
図32は実施形態4の食器篭1の外枠の平面図である。
図1、
図3と同一番号は同一箇
所を示し説明を省略する。実施形態4と実施形態1と異なるところは、
図32において、
外枠線材71の寸法L11と、外枠線材72の寸法L12とが異なるもので、外枠線材7
2の寸法L12を長くしたものである。
【0120】
上述した構成において、実施形態1と比べて、外枠線材71の寸法L11に比べて外枠
線材72の寸法L12が長くなっているので、外枠2を大きく形成することができるもの
である。
【0121】
これによって、外枠線材71の寸法を変更することなく、外枠線材72の寸法のみを変
更することで、食器篭の大きさを変更でき、径方向に異なる寸法の食器に対応することが
できる。外枠線材71の寸法は変更する必要がないので、同じ寸法の外枠線材71を予め
準備しておき、収納する食器の大きさに応じて外枠線材72を準備すればよく、さらに効
率よく製作することができる。
【0122】
また、外枠線材72の寸法L12を長めに設定しておいて、予め準備しておき、収納す
る食器の大きさに応じて外枠線材72の寸法L12部分をカットして、外枠線材71と端
面同士を溶接により結合してもよい。なお、実施形態4においては、外枠線材71の寸法
L11に比べて外枠線材72の寸法L12が長くなるようにしているが、外枠線材72の
寸法L12に比べて外枠線材71の寸法L11が長くなるようにしてもよく、これに限定
するものではない。
【0123】
なお、食器篭101の左右対称の形状は、左右の対象の形状を作る辺のそれぞれの寸法
すべてが一致していることが好ましいが、略対称形状でもよく、たとえば、実施形態3の
ように外枠線材72の寸法L11と寸法L12が必ずしも一致していなくともよい。右対
称形状と左対称のおのおのが、それぞれ食器篭101を作成する部品として共通に使えれ
ばよい。