(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る穴開け装置について図面を参照して説明する。この実施の形態に係る穴開け装置10は、
図1の外観図や、
図2及び
図10の構成概要図に示すように、内部と外部を遮断するケーシング11と、架台(載置台)12と、穴開け対象であるプリント配線板PCBを載置する作業テーブル13と、プリント配線板PCBを押さえるプリント配線板押さえ14と、作業テーブル13を移動させる搬送部15と、X線照射機161とX線カメラ162とからなるプリント配線板PCBを撮像する撮像ユニット16と、プリント配線板PCBに穴開けする穴開けユニット17と、撮像ユニット16と穴開けユニット17を移動する移動機構18と、装置全体を制御する制御部19を備えている。以下、搬送部15によってプリント配線板PCBが移動する方向(搬送方向)をX方向、X方向に垂直で水平な方向(穴開け装置10の幅方向)をY方向、鉛直方向をZ方向とする。
【0017】
図1及び
図2の白抜きの矢印は作業者の定位置であり、作業者は矢の方向(X軸の正方向)に向かって立ち、プリント配線板PCBを穴開け装置10に搬入し、穴開け処理が終わればプリント配線板PCBを穴開け装置10から取り出す。プリント配線板PCBの搬入口10aは、ケーシング11のX線遮蔽部(遮蔽手段)11aによって覆われている。X線遮蔽部11aは、X線照射機161から発生されるX線を遮蔽する材質で形成され、X線遮蔽部11aの−Z端はプリント配線板PCBを搬入するのに支障がない程度に作業テーブル13の+Z端(上面)から所定の距離を設けて配置されている。X線遮蔽部11aの−Z端側には、例えば短冊状の鉛含有のゴム製防護カーテンなどが配置されている。この防護カーテンの−Z端(底面)は、作業テーブル13の+Z端(上面)に接触するように形成されており、容易にプリント配線板PCBを搬出入することができるとともに、プリント配線板PCBを搬出入する際にX線が外部に漏洩することを防止できる。
【0018】
架台12は、ケーシング11の内部に配置され、穴開け装置10における不動部分となっている。架台12は、搬送部15によってX方向に移動可能に、作業テーブル13を支持する。作業テーブル13は、上面がプリント配線板PCBを載置する水平な載置面となっている。つまり、架台12には、作業テーブル13を介してプリント配線板PCBが載置される。架台12は、作業テーブル13の載置面と平行な(つまり水平な)支持面を有し、この支持面には、
図3に示すように、撮像ユニット16による撮像および穴開けユニット17による穴開けをするためのメイン貫通穴(第1の撮像穴)12aが形成されているとともに、メイン貫通穴12aよりも搬入口10a側(操作者側)にサブ貫通穴(第2の撮像穴)12bが形成されている。
【0019】
架台12に形成されているメイン貫通穴12aは、穴開け対象であるプリント配線板PCBのY方向の大きさ(幅)によってプリント配線板PCBの撮像や、穴開け加工に支障が生じないようにY方向に延在された長穴状になっている。また、サブ貫通穴12bは、プリント配線板PCBのX方向およびY方向の大きさによってプリント配線板PCBの撮像に支障が生じないように、左右に1つずつの貫通穴が形成されている。ここで、サブ貫通穴12bが中央で連続せずに左右に1つずつの貫通穴で構成されているのは、メイン貫通穴12aがプリント配線板PCBの全ての領域を穴開け対象及び撮像対象としているのに対して、サブ貫通穴12bはプリント配線板PCBをXY平面上で一定の角度に保つ、すなわちアライメントを行なうために、プリント配線板PCB上の角部に設けられたアライメントマークを識別するのに十分な領域を確保すればよいためである。このため、サブ貫通穴12bはY方向に延在した長穴状ではなく、左右に1つずつの貫通穴として形成されている。
【0020】
なお、サブ貫通穴12bは後で詳述する穴開けユニット17の当て板173を交換する際にも用いられるため、メイン貫通穴12aに比べてX方向に幅が大きくなっているが、上述したように、サブ貫通穴12bが中央で連続せずに左右に1つずつの貫通穴で構成されているため、架台12の剛性を確保しつつ大きい貫通穴とすることができる。なお、仕様上問題が無ければサブ貫通穴12bもメイン貫通穴12aと同様にY方向に延在された長穴状に形成されていてもよい。
【0021】
作業テーブル13は、架台12の上にX方向に沿って移動可能に支持されている。作業テーブル13には、撮像ユニット16による撮像および穴開けユニット17による穴開けをするために図示しない複数の貫通穴が形成されている。また、作業テーブル13には、載置面に図示しない吸着穴も形成されている。作業テーブル13にプリント配線板PCBが載置された状態で吸着穴が負圧にされることにより、プリント配線板PCBは作業テーブル13に吸着されて固定される。
なお、この吸着によるプリント配線板PCBの固定を仮固定と呼ぶ。
【0022】
プリント配線板押さえ14は、架台12のメイン貫通穴12aの鉛直上方に配置されている(
図4参照、
図3では不図示)。プリント配線板押さえ14は、プリント配線板押さえ上下手段500によって上下可能に支持されており、プリント配線板PCBに穴開け加工を行なう際に、プリント配線板押さえ14が下降してプリント配線板PCBを作業テーブル13上に押し付けて固定する。なお、このプリント配線板押さえ14によるプリント配線板PCBの固定を本固定と呼ぶ。
【0023】
搬送部15は、
図4に示すように、架台12に固定されてX方向に伸びる一組のレール151と、X方向に伸びる図示しないボールねじを回転するモータ153と、を備える。搬送部15は、モータ153によってボールねじを回転させて、作業テーブル13をガイドレール151に沿ってX方向に移動させる。
【0024】
撮像ユニット16は、
図2や
図3に示すように、架台12の鉛直上方に配置されてプリント配線板PCBにX線を照射するX線照射機(X線発生機構)161と、架台12の鉛直下方に配置されてプリント配線板PCBに照射されたX線の透過像を撮像するX線カメラ(撮像機構)162とを有する。X線照射機161とX線カメラ162は、架台12のメイン貫通穴12aとサブ貫通穴12bのいずれかに対応する位置において、Z方向に対向するように配置され、メイン貫通穴12aとサブ貫通穴12bのいずれかを介してプリント配線板PCBを撮像する。この実施の形態では、X線照射機161とX線カメラ162は、
図4や
図5に示すように、Y方向に並んで2組設けられている。2組のX線照射機161とX線カメラ162は、それぞれ移動機構18によって支持されてX方向及びY方向に移動する。
【0025】
穴開けユニット17は、
図2や
図3に示すように、架台12の鉛直上方に配置されて工具(例えばドリルなど)を用いてプリント配線板PCBに穴開けする穴開け機構171、172と、架台12の鉛直下方に配置されてプリント配線板PCBに当接する当て板173(173a、173b)とを有する。穴開け機構171、172と当て板173とは後で説明するように1セットで運用され、架台12のメイン貫通穴12aに対応する位置において、Z方向に対向するように配置され、図示しないアクチュエータによってZ方向に駆動されて、メイン貫通穴12aを介してプリント配線板PCBに穴を開ける。
【0026】
この実施の形態では、穴開け機構171、172は、X方向に並んで2つの穴開け機構171、172が設けられている。2つの穴開け機構171、172には、例えば開ける穴の径が異なる工具が取り付けられる。また、プリント配線板PCBに穴を開けるときにプリント配線板PCBに歪みやバリが生じないように当て板173が設けられている。
【0027】
当て板173は、Y方向に並んで配置される2つの当て板173a、173bからなり、穴開け機構171、172に取り付けられている工具の径に応じてそれぞれ、穴開け機構171または穴開け機構172と1セットになって用いられる。また、穴開け機構171、172と当て板173とは、
図4や
図5に示すように、Y方向に並んで2組設けられている。2組の穴開け機構171、172と当て板173は、それぞれ移動機構18によって支持されてX方向及びY方向に移動する。
【0028】
当て板173aおよび当て板173bは、上述のごとく穴開け作業中にPCBに歪みやバリが生じるのを防止することを目的としたものであり、たとえば工具の径に対して同径(クリアランス0)もしくは所定量だけ大径になるように形成された穴が開いているものがある。当て板173aおよび当て板173bは、工具の径と同径である場合にバリの防止効果が最大となるため、理想的には一回の加工ごとに交換することが望ましいが、経済的および作業効率などの理由により、支障の無い間は交換せずに同じ当て板173aおよび当て板173bを使用し続ける。
【0029】
穴開け機構171、172と当て板173とが対向する場合は、当て板に設けられた穴中心と、それに対応する工具の回転中心とが合致するように位置決めされるが、実際には機械精度に起因して、それぞれの中心が完全に合致することはない。そのため、使用を続けるにしたがって当て板173に形成された穴の径は当初の径よりも大きくなっていき、バリを防止する効果が低下していく。
【0030】
そのため、当て板173は、たとえば所定の加工回数に達した時点で新しいものに交換する必要がある。その場合は、当て板173aまたは当て板173bと、サブ貫通穴12bとを対向させることで、容易に交換することができる。
【0031】
移動機構18は、撮像ユニット16と穴開けユニット17とを支持してX方向及びY方向に移動させる。移動機構18は、
図4〜
図6に示すように、架台12の鉛直上方においてX線照射機161と穴開け機構171、172とを支持して一体に移動させる上側移動機構18Tと、架台12の鉛直下方においてX線カメラ162と当て板173とを支持して一体に移動させる下側移動機構18Dとを有する。上側移動機構18TによるX線照射機161と穴開け機構171、172の移動と、下側移動機構18DによるX線カメラ162と当て板173の移動とは、それぞれ独立して行うことができるように構成されている。
【0032】
上側移動機構18Tでは、
図5や
図6に示すように、X線照射機161と穴開け機構171、172とが操作者側からこの順に(X方向に沿って)並んで支持されている。また、下側移動機構18Dでは、当て板173とX線カメラ162とが操作者側からこの順に(X方向に沿って)並んで支持されている。したがって、X線照射機161とX線カメラ162とが鉛直方向に対向するときには、穴開け機構171、172と当て板173とは対向せず、逆に穴開け機構171、172と当て板173とが鉛直方向に対向するときには、X線照射機161とX線カメラ162とは対向しない。このように穴開け機構171、172よりもX線照射機161が手前側(搬入口10a側)に配置されていることによって、X線照射機161が奥側(搬入口10aとは反対側)に配置されているものに比して、X線照射機161をX線遮蔽部11aと干渉させることなく手前側まで移動させることができ、サブ貫通穴12bを、より手前側に形成することができるとともに穴開け装置10を小型化することができる。また、当て板173がX線カメラ162よりも手前側(搬入口10a側)に配置されているので、当て板173が奥側に配置されているものに比して、穴開け機構171、172に取り付けられている工具などに応じて、当て板173を容易に交換することができるとともに穴開け装置10を小型化することができる。
【0033】
上側移動機構18Tでは、穴開け機構10における不動部材であるフレーム体181TにY方向に伸びるレール182Tが設けられ、このレール182TにY軸架台183Tが移動可能に支持されている。Y軸架台183Tは、Y方向に伸びるボールねじ184Tと係合しており、フレーム体181Tに支持されているモータ185Tによってボールねじ184Tが駆動されることによりレール182Tに沿ってY方向に移動する。なお、図示はしないが、モータ185Tの回転軸とボールねじ184Tの回転軸とは例えばベルトを介して連結されており、モータ185Tの回転軸が回転するとボールねじ184Tの回転軸も連動して回転する。また、上側移動機構18Tでは、Y軸架台183TにX方向に伸びるレール186Tが形成され、このレール186Tに、X線照射機161と穴開け機構171、172とを支持する移動体187Tが移動可能に支持されている。移動体187Tは、X方向に伸びるボールねじ188Tと係合しており、Y軸架台183Tに支持されているモータ189Tによってボールねじ188Tが駆動されることによりレール186Tに沿ってX方向に移動する。こうした構成により、上側移動機構18Tでは、モータ185T、189Tを駆動して、X線カメラ162と穴開け機構171、172とをX方向、Y方向に移動させることができる。上側移動機構18Tは、Y方向に並んで配置されている2組のX線照射機161と穴開け機構171、172のそれぞれの組毎に独立してX方向、Y方向に移動させることができるように、Y方向対称に2組設けられている。
【0034】
下側移動機構18Dでは、上側移動機構18Tと同様に、穴開け機構10における不動部材であるフレーム体181DにY方向に伸びるレール182Dが設けられ、このレール182DにY軸架台183Dが移動可能に支持されている。Y軸架台183Dは、Y方向に伸びるボールねじ184Dと係合しており、フレーム体181Dに支持されているモータ185Dによってボールねじ184Dが駆動されることによりレール182Dに沿ってY方向に移動する。なお、図示はしないが、モータ185Dの回転軸とボールねじ184Dの回転軸とは例えばベルトを介して連結されており、モータ185Dの回転軸が回転するとボールねじ184Dの回転軸も連動して回転する。また、下側移動機構18Dでは、Y軸架台183DにX方向に伸びるレール186Dが形成され、このレール186Dに、当て板173とX線照射機構161とを支持する移動体187Dが移動可能に支持されている。移動体187Dは、X方向に伸びるボールねじ188Dと係合しており、Y軸架台183Dに支持されているモータ189Dによってボールねじ188Dが駆動されることによりレール186Dに沿ってX方向に移動する。こうした構成により、下側移動機構18Dでは、モータ185D、189Dを駆動して、当て板173とX線カメラ162とをX方向、Y方向に移動させることができる。下側移動機構18Dは、Y方向に並んで配置されている2組のX線カメラ162と当て板173のそれぞれの組毎に独立してX方向、Y方向に移動させることができるように、上側移動機構18Tと同様にY方向対称に2組設けられている。
【0035】
制御装置19は、
図7に示すように、制御ユニット191、主記憶部192、外部記憶部193、操作部194、表示部195及び入出力部196を備える。主記憶部192、外部記憶部193、操作部194、表示部195及び入出力部196はいずれも内部バス198を介して制御ユニット191に接続されている。
【0036】
制御ユニット191はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部193に記憶されているプログラムに従って、後述する測定のための処理を実行する。
【0037】
主記憶部193は、RAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部193に記憶されているプログラムをロードし、制御ユニット191の作業領域として用いられる。
【0038】
外部記憶部193は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc Rewritable)等の不揮発性メモリから構成され、前記の処理を制御ユニット191に行わせるためのプログラムを予め記憶し、また、制御ユニット191の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御ユニット191に供給し、制御ユニット191から供給されたデータを記憶する。
【0039】
操作部194は、キーボードおよびマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス198に接続するインターフェース装置から構成されている。操作部194を介して、処理の開始または終了の指令などが入力され、制御ユニット191に供給される。なお、操作部194は、表示部195または別のモニタをタッチパネル方式にして、ユーザの指や専用の入力ペン等を使用して操作指令を入力するように構成されてもよい。
【0040】
表示部195は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、撮像ユニット16による撮像や、警告、作業者への指示等を表示する。
【0041】
入出力部196は、シリアルインタフェース又はLAN(Local Area Network)インターフェースから構成されている。入出力部196を介して、撮像ユニット16から撮像した画像信号等が制御ユニット191に入力される。また、入出力部196を介して、作業テーブル13の図示しない吸着部や搬送部15、移動機構18を駆動する信号や、撮像ユニット16、穴開けユニット17を駆動する信号が制御ユニット191から出力される。なお、搬送部15や移動機構18、撮像ユニット16、穴開けユニット17は、入出力部196を介して制御ユニット191に接続されるものに限定されず、例えば撮像ユニット16からの画像信号が画像取込ボードを介して制御ユニット191に入力されるなど、専用のボードを介して制御ユニット191と信号をやりとりするように構成されてもよい。
【0042】
次に、穴開け装置10の動作を説明する。穴開け装置10の制御ユニット191は、例えば起動時に、各種アクチュエータを駆動して初期処理を行う。初期処理では、作業テーブル13、撮像ユニット16、穴開けユニット17を所定の初期位置に移動する。この実施の形態では、作業テーブル13は、架台12のメイン貫通穴12aを覆う位置に配置され、
図2や
図3に示すように、メイン貫通穴12aを介してX線照射機161とX線カメラ162とが対向して位置するように撮像ユニット16が配置される。なお、このときには、上述のように、穴開けユニット17における穴開け機構171、172と当て板173とは、Z方向に対向して配置されない。
【0043】
そして、制御ユニット191は、例えば、操作者によって始動スイッチがONされて、穴開け対象であるプリント配線板PCBの初期搬入位置が選択されたことを契機として、
図8に示す穴開け処理を実行する。ここで、操作者は、初期搬入位置として、例えば、穴開けするプリント配線板PCBが所定のサイズよりも小さいときには操作者から見て手前側の初期搬入位置を選択し、プリント配線板PCBが所定のサイズよりも大きいときには奥側の初期搬入位置を選択する。
【0044】
図8に示す穴開け処理が開始されると、制御ユニット191は、まず、選択されたプリント配線板PCBの初期搬入位置が手前側であるか奥側であるかを、例えば、事前に作業者によって入力されるプリント配線板PCBのサイズに基づいて判定する(ステップS1)。そして、手前側であるときには、
図9及び
図10に示すように、作業テーブル13を架台12のサブ貫通穴12bを覆う位置に移動させるとともにX線照射機161とX線カメラ162とをサブ貫通穴12bを介して対向させて(ステップS2)、X線照射機161とX線カメラ162とをオンする(ステップS3a)。これにより、X線カメラ162は、プリント配線板PCBの透過画像の取得を開始する。
【0045】
続いて、操作者が、プリント配線板PCBを搬入口10aから搬入して、表示部195の表示を見ながら、プリント配線板PCBのおおよその位置合わせを行う。制御ユニット191は、X線カメラ162によって取得した透過画像を、例えば
図9に示すように、表示部195に表示する(ステップS4a)。ここで、表示20は位置合わせ用の照準マークの画像であり、表示Mは、プリント配線板PCB上に形成されているアライメントマークの画像である。なお、このときには、表示部195には、サブ貫通穴12bを介して取得される画像が表示される。
【0046】
操作者は、表示部195の表示を見ながら、アライメントマークMが照準マーク20の中心にくるように、プリント配線板PCBを前後(X方向)、横方向(Y方向)に動かす。制御ユニット191は、例えば操作者によってスイッチが押されることによって、アライメントマークMが照準マーク20のほぼ中心に位置し、停止されたことを検出すると(ステップS5a:Yes)、作業テーブル13の図示しない吸着穴を負圧にしてプリント配線板PCBを作業テーブル13に固定し、X線カメラ162によって取得された透過画像に基づいて、メイン貫通穴12aに対応する位置(所定の処理域)にプリント配線板PCBを移動させるとともに、上側移動機構18Tと下側移動機構18Dを駆動して、メイン貫通穴12aを介して対向するようにX線照射機161とX線カメラ162とを移動させる(ステップS6)。なお、X線照射機161とX線カメラ162とを移動させるときには、X線照射機161やX線カメラ162をオフしてもよい。
【0047】
制御ユニット191は、続いて、プリント配線板押さえ上下手段500を制御して、プリント配線板押さえ14を下降させてプリント配線板PCBを作業テーブル13に押し付けて本固定する。このプリント配線板押さえ14による本固定によって、プリント配線板PCBは、吸着による固定よりも強く作業テーブル13に固定される。次にメイン貫通穴12aを介してプリント配線板PCBのアライメントマークMを撮像し、撮像したアライメントマークMの位置に基づいて、プリント配線板PCBに穴を開ける位置を特定する(ステップS7)。この穴を開ける位置は、アライメントマークMの位置であってもよいし、アライメントマークMから所定距離だけ離れた位置であってもよく、例えば予め操作者によって設定された情報に基づいて決定すればよい。
【0048】
穴開け位置が特定されると、制御ユニット191は、必要に応じてプリント配線板PCBの穴開け位置をメイン貫通穴12aに位置させ、X線照射機161とX線カメラ162をオフし(ステップS8)、穴開け位置に対応する位置に、予め選択された穴開け機構171または穴開け機構172と、それに対応する当て板173aまたは当て板173bとをZ方向に対向するように、上側移動機構18Tと下側移動機構18Dとを駆動し、選択された穴開け機構171、172の工具を回転させながら下降させて穴開け位置に穴を開ける(ステップS9)。なお、上述のように、このときには、X線照射機161とX線カメラ162とは、Z方向に対向しない。
【0049】
そして、穴開けが完了すると、制御ユニット191は、穴開け機構171または穴開け機構172を上昇させて駆動を停止し、プリント配線板押さえ上下手段500を制御して、プリント配線板押さえ14を上昇させてプリント配線板PCBの本固定を解除する。次に、制御ユニット191は、再び初期処理を行い、作業テーブル13、撮像ユニット16、穴開けユニット17を初期位置に移動させる。その後、作業テーブル13の吸着穴の負圧を解除してプリント配線板PCBの仮固定を解除し、穴開け処理を終了する。このときには、例えば表示部195にメッセージを表示してプリント配線板PCBの取り外しを促し、作業者にプリント配線板PCBを取り外させる。
【0050】
このように、プリント配線板PCBの初期搬入位置が手前側に選択されたときには、搬入口10a側(操作者側)に形成されているサブ貫通穴12bに、プリント配線板PCBのアライメントマークMを位置合わせすればよいので、操作者は、小さいプリント配線板PCBでも容易にアライメントマークMの位置合わせをすることができる。そして、サブ貫通穴12bでプリント配線板PCBの位置合わせが完了すると、制御ユニット191がサブ貫通穴12bを介して取得された撮像情報に基づいてプリント配線板PCBをメイン貫通穴12aまで移動させ、メイン貫通穴12aにおいて穴開け位置が特定されて穴開けが行われる。こうした構成により、小さいプリント配線板PCBに対して容易に穴開けをすることができる。
【0051】
一方、ステップS1において、プリント配線板PCBの初期搬入位置が奥側に選択されているときには、X線照射機161とX線カメラ162とをオンして(ステップS3b)、X線カメラ162によるプリント配線板PCBの透過画像の取得を開始する。上述のように、この実施の形態では、穴開け装置10の起動時にX線照射機161とX線カメラ162とは、架台12のメイン貫通穴12aを介して対向するように初期配置がなされるので、X線カメラ162よってメイン貫通穴12aを介してのプリント配線板PCBの透過画像の取得が行われる。
【0052】
続いて、操作者が、プリント配線板PCBを搬入口10aから搬入して、表示部195の表示を見ながら、プリント配線板PCBのおおよその位置合わせを行う。制御ユニット191は、X線カメラ162によって取得した透過画像を、例えば
図9に示すように、表示部195に表示する(ステップS4b)。このときには、表示部195には、メイン貫通穴12aを介して取得される画像が表示される。
【0053】
操作者は、プリント配線板PCBの初期搬入位置として手前側が選択されたときと同様に、表示部195の表示を見ながら、アライメントマークMが照準マーク20の中心にくるように、プリント配線板PCBを前後(X方向)、横方向(Y方向)に動かす。そして、制御ユニット191は、アライメントマークMが照準マーク20のほぼ中心に位置し、停止されたことを検出すると(ステップS5b:Yes)、作業テーブル13の図示しない吸着穴を負圧にしてプリント配線板PCBを作業テーブル13に固定し、続いてプリント配線板押さえ上下手段500を制御して、プリント配線板押さえ14を下降させてプリント配線板PCBを作業テーブル13に押し付けて本固定する。その後、X線カメラ162によって撮像したアライメントマークMの位置に基づいて、プリント配線板PCBに穴を開ける位置を特定する(ステップS7)。ここで、いまは、プリント配線板PCBの初期搬入位置として奥側が選択されて、メイン貫通穴12aを介してプリント配線板PCBが撮像されているので、この撮像情報に基づいてプリント配線板PCBに穴を開ける位置が特定される。
【0054】
そして、制御ユニット191は、プリント配線板PCBの初期搬入位置として手前側が選択されているときと同様に、必要に応じてプリント配線板PCBの穴開け位置をメイン貫通穴12aに位置させ、X線照射機161とX線カメラ162をオフし(ステップS8)、穴開け位置に対応する位置に、選択された穴開け機構171、172とそれに対応する当て板173a,173bとがZ方向に対向するように、上側移動機構18Tと下側移動機構18Dとを駆動し、穴開け機構171または穴開け機構172によってプリント配線板PCBに穴を開けて(ステップS9)、プリント配線板押さえ14を上昇させてプリント配線板PCBの本固定を解除し、再び初期処理を行って作業テーブル13、撮像ユニット16、穴開けユニット17を初期位置に移動させた後、穴開け処理を終了する。
【0055】
このように、プリント配線板PCBの初期搬入位置が奥側に選択されたときには、搬入口10aから遠い側(操作者から遠い側)に形成されているメイン貫通穴12aに、プリント配線板PCBのアライメントマークMを位置合わせすればよいので、操作者は、大きいプリント配線板PCBでも容易に搬入初期位置に位置合わせをして穴開けをすることができる。また、大きいプリント配線板PCBについては、搬入口10aから奥まで挿入して位置合わせすることによって、穴開け装置10におけるプリント配線板PCBを支持する作業スペースを小さくすることができ、装置を小型化することができる。
【0056】
以上説明したように、この実施の形態の穴開け装置10では、穴開けユニット17によって穴開けをする処理域に位置するメイン貫通穴12aと、搬入口10b側に位置するサブ貫通穴12bとが架台12に形成されているので、小さいプリント配線板PCBを穴開け装置10に搬入するときには手前側のサブ貫通穴12bを介してプリント配線板PCBを撮像することで容易にプリント配線板PCBの穴開け加工を行うことができる。また、大きいプリント配線板PCBを穴開け装置10に搬入するときには奥側のメイン貫通穴12aを介してプリント配線板PCBを撮像することができるので、装置の小型化を図ることができる。
【0057】
また、この実施の形態の穴開け装置10では、穴開け機構171、172よりもX線照射機161が手前側(搬入口10a側)に配置されているので、サブ貫通穴12bを手前側に形成することができるとともに穴開け装置10を小型化することができ、当て板173がX線カメラ162よりも手前側(搬入口10a側)に配置されているので、当て板173を容易に交換することができるとともに穴開け装置10を小型化することができる。
【0058】
以上、一実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されず、その応用及び変形等は任意である。例えば、上記の実施の形態では、架台12の鉛直上方において、X線照射機161と穴開け機構171、172とが上側移動機構18Tに支持され、架台12の鉛直下方において、X線カメラ162と当て板173a、173bとが下側移動機構18Dに支持されるものとしたが、架台12の鉛直下方において、X線照射機161と穴開け機構171とが下側移動機構18Dに支持されるとともに、架台12の鉛直上方において、X線カメラ162と当て板173a、173bとが上側移動機構18Tに支持されてもよい。また、穴開け機構171、172よりも手前側にX線照射機161が配置されるよう、穴開け機構171、172とX線照射機161とが上側移動機構18Tと下側移動機構18Dとの一方に支持されるとともに、X線カメラ162よりも手前側に当て板173が配置されるよう、当て板173とX線カメラ162とが上側移動機構18Tと下側移動機構18Dとの他方に支持されてもよい。
【0059】
また、上記の実施の形態では、穴開け機構171、172よりも搬入口10a側にX線照射機161が支持され、当て板173a、173bよりも奥側にX線カメラ162が支持されるものとしたが、架台12にメイン貫通穴12aとサブ貫通穴12bとが形成されているものでは、こうした撮像ユニット16や穴開けユニット17の配置にかかわらずに、種々の大きさのプリント配線板PCBを容易に穴開けすることができる。また、上側移動機構18Tと下側移動機構18Dとで独立して、架台12の鉛直上方と鉛直下方とに配置される撮像ユニット16と穴開けユニット17とを移動させるものに限定されず、Z方向に対向して配置される撮像ユニット16と穴開けユニット17とが一体にX方向及びY方向に移動されてもよい。
【0060】
また、上記の実施の形態では、撮像ユニット16は、X線照射機161とX線カメラ162とを有するものとしたが、貫通穴を介してプリント配線板PCBを撮像するものであれば、如何なるものを用いてもよい。
【0061】
また、上記の実施の形態では、作業テーブル13の吸着穴を負圧にしてプリント配線板PCBを作業テーブル13に吸着して固定するものとしたが、例えば、作業テーブル13に載置されたプリント配線板PCBを鉛直上方から押さえるなどの他の手法によって、プリント配線板PCBが作業テーブル13に固定されてもよい。