(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記系統電力から電力の供給が不足した場合、前記蓄電手段への蓄電量が多い建物から順に、前記蓄電手段が蓄えた電力を優先的に供給するようにする請求項1又は2に記載の地域内給電システム。
前記制御手段は、前記系統電力及び前記蓄電手段からの電力供給が不足した場合、前記建物の制御端末の表示手段に前記他の電力源から供給される電力を使用することを表示させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の地域内給電システム。
前記他の電力源は、車両用蓄電手段に蓄えられた電力で走行する車両の該車両用蓄電手段、太陽光発電手段、燃料電池及びガスエンジンによるコジェネレータの少なくともいずれか1つである請求項1〜4のいずれか1項に記載の地域内給電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、1つの住宅内での余剰電力の蓄電池への充電と、充電した電力の使用を前提とするものであり、複数の建物が存在する地域内で蓄電池に蓄えられた電力を各建物で融通することを考慮していないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、複数の建物が存在する地域内で蓄電池に蓄えられた電力を各建物で融通する地域内給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、系統電力又は他の電力源から電力が供給される複数の建物と、前記複数の建物から供給された電力の余剰分を蓄える蓄電手段と、前記複数の建物の各々に設けられ、自機が設けられている建物から前記蓄電手段に蓄えた電力である蓄電量を記憶する記憶手段及び各種情報を表示する表示手段を有する制御端末と、 前記複数の建物が属する地域において、前記建物の各々の制御端末との通信を可能にする通信網と、前記通信網を介して前記建物の各々の制御端末と通信可能であり、前記通信網を介して前記建物の各々の制御端末の記憶手段に記憶されている蓄電量を取得し、該取得した各蓄電量を該蓄電量に係る各建物と対応付けて集計すると共に、該集計した結果を、前記通信網を介して前記建物の制御端末の表示手段に表示させる制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、複数の建物は、所定の地域内に複数戸存在する住宅、事業所又は学校等であって、住宅の場合は、一戸建てのみならずマンション等の集合住宅も含む。
【0009】
蓄電手段は、系統電力、太陽光発電、又は燃料電池若しくはガスエンジン等によるコジェネレータから供給された電力で充電可能であると共に、必要に応じて蓄えた電力を地域内の建物に供給可能な二次電池である。
【0010】
制御端末は、HEMS(Home Energy Management System)であって、蓄電池に蓄えた電力である蓄電量を記憶することができる。
【0011】
通信網は、いわゆるLAN(Local Area Network)であり、当該通信網に接続された端末又は機器が相互に通信可能である。
【0012】
制御手段は、地域内で使用可能な電力を集中的に制御する設備又は装置であり、通信網を介して各建物の制御端末の記憶手段に記憶されている蓄電量を取得し、該取得した各蓄電量を該蓄電量に係る各建物と対応付けて集計すると共に、該集計した結果を、通信網を介して建物の制御端末の表示手段に表示させることができる。
【0013】
その結果、各建物のユーザは、制御端末に表示された蓄電手段の蓄電量の集計結果から地域内で使用できる蓄電手段の電力並びに当該電力のうち各建物がどれだけ充電に寄与したかを認識することができる。
【0014】
なお、請求項2に記載の発明のように、前記建物の制御端末は、前記系統電力又は前記蓄電手段から電力の供給が可能な場合に、前記系統電力及び前記蓄電手段のいずれかを選択可能にするようにしてもよい。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、各建物の制御端末を介して、ユーザが系統電力を使用するか、蓄電手段の電力を使用するかを選択することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明のように、前記制御手段は、前記系統電力から電力の供給が不足した場合、前記蓄電手段への蓄電量が多い建物から順に、前記蓄電手段が蓄えた電力を優先的に供給するようにしてもよい。
【0017】
請求項3に記載の発明よれば、蓄電手段の充電に寄与した建物には、優先的に蓄電手段の電力を供給することができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明のように、前記制御手段は、前記系統電力及び前記蓄電手段からの電力供給が不足した場合、前記建物の制御端末の表示手段に前記他の電力源から供給される電力を使用することを表示させてもよい。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、電力の供給が逼迫した場合に、太陽光発電、又は燃料電池若しくはガスエンジン等によるコジェネレータから供給された電力を使用するように各建物の制御端末に表示することができる。
【0020】
また、請求項5に記載の発明のように、前記他の電力源は、車両用蓄電手段に蓄えられた電力で走行する車両の該車両用蓄電手段、太陽光発電手段、燃料電池及びガスエンジンによるコジェネレータの少なくともいずれか1つであってもよい。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、系統電力及び蓄電手段以外の多様な電源を使用することができる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明のように、前記制御手段は、前記建物の各々に発電能力を有する車両が接続されているか否かを、前記建物の制御端末及び前記
通信網を介して検知し、前記系統電力及び前記蓄電手段からの電力供給が不足した場合、前記発電能力を有する車両が接続されている建物の制御端末の表示手段に前記車両が発電した電力を前記地域内に供給することを要請するメッセージを表示するようにしてもよい。
【0023】
請求項6の発明によれば、地域内の電力の供給が逼迫した場合に、HV(Hybrid Vehicle)又はPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)等の車両が接続されている建物の制御端末に、車両のエンジンを始動して車両に発電させ、発電した電力を地域に供給するように要請することができる。
【0024】
また、請求項7に記載の発明のように、前記蓄電手段は前記地域内に複数設けられてもよい。これによって、蓄電手段が冗長化され、ひとつの蓄電手段が使用不能になっても、他の蓄電手段を使用することができる。
【0025】
また、請求項8に記載の発明のように、前記蓄電手段は前記地域内の建物の各々に設けられるようにしてもよい。これによって、蓄電手段の冗長化が図れると共に、各建物が備える蓄電手段に蓄えられた電力を当該蓄電手段を備える建物が優先的に使用することが容易となる。
【0026】
また、請求項9に記載の発明のように、前記建物の各々が、前記系統電力又は前記蓄電手段に蓄えられた電力のいずれかを選択できる手段を有するようにしてもよい。これによって、電力の供給源を系統電力から蓄電手段に切り替えることが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、地域内の各建物の制御端末に地域内で使用可能な蓄電手段の電力を表示できるので、当該電力を各建物で融通する地域内給電システムを提供できる、という効果がある。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、系統電力を使用するか否か、蓄電手段の電力を使用するか否かをユーザが選択できる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、蓄電手段に多くの電力を充電した建物には優先的に電力を融通する公平な地域内給電システムを提供できる。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、系統電力及び蓄電手段からの電力の供給が逼迫した場合には、太陽光発電等の他の電力源からの電力を使用することを各建物の制御端末に表示することにより、地域内の逼迫した電力需給を緩和できるという効果がある。
【0031】
請求項5に記載の発明によれば、系統電力又は蓄電手段以外の多様な電力源を使用することにより、電力供給源の冗長化を図ることができる。
【0032】
請求項6に記載の発明によれば、系統電力及び蓄電手段からの電力の供給が不足した場合であっても、発電能力を有する車両からの電力を地域内に供給できるという効果がある。
【0033】
請求項7に記載の発明及び請求項8に記載の発明によれば、地域内に複数の蓄電手段を有することにより、蓄電容量の増大と、蓄電手段の冗長化によるシステムの信頼性向上が見込めるという効果がある。
【0034】
請求項9に記載の発明によれば、状況に応じて、適切な電力供給源を選択できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る地域内給電システム100の概略構成を示すブロック図である。
【0037】
本実施の形態に係る地域内給電システム100は、系統電力12から供給された電力を地域変圧器62で受け、地域変圧器62は、系統電力12から供給された電力を地域内電力線64での送電に適した電圧及び電流に変換する。
【0038】
地域内電力線64での電圧及び電流には、三相3線式200V、単相2線式200V又は単相2線式100V等が考えられる。
【0039】
地域内電力線64は、
図1では区間開閉器66を有した環状方式としたが、樹枝状方式、低圧バンキング方式又はレギュラーネットワーク方式であってもよい。
【0040】
地域内の建物10A、10B及び10Cは、各々分電盤14が地域内電力線64に接続されている。
【0041】
また、本実施の形態に係る地域内給電システム100は、地域内の建物10A、10B及び10Cを結ぶネットワーク72を有し、ネットワーク72及び地域内電力線64には、本実施の形態に係る地域内給電システム100を制御する制御センター82が接続されている。
【0042】
地域内の建物10A、10B及び10Cは、各々EV(ElectricVehicle)、HV又はPHV等の車両18A、18B及び18Cが接続可能に構成されている。以下、建物10A、10B及び10C、並びに車両18A、18B及び18Cの構成について説明するが、建物10A、10B及び10Cの各々の構成、並びに車両18A、18B及び18Cの各々の構成は、いずれも同じなので、同一の符号によって説明する。
【0043】
まず、前述のように、建物10A、10B及び10Cには、地域変圧器62及び地域内電力線64を介して電力会社から供給される系統電力12が接続される分電盤14が設けられており、系統電力12からの電力が分電盤14を介して建物10A、10B及び10C内に供給されるようになっている。
【0044】
分電盤14には、複数の電力供給先として、建物10A、10B及び10Cに設けられた家電機器20及び住設機器22等が接続されており、系統電力12からの電力が供給される。
【0045】
さらに建物10A、10B及び10Cは、太陽光発電装置16を備えていてもよい。
【0046】
また、分電盤14に車両連結部26を介して接続された車両18A、18B及び18Cの車両用蓄電池28を充電することが可能であり、その逆に、車両用蓄電池28から分電盤14に電力を供給することも可能である。
【0047】
車両用蓄電池28から取り出される電力は直流であるが、各車両が備えるインバータ(図示せず)によって、単相2線式100Vで50Hz又は60Hzの交流に変換して、後述する車両連結部26を介して、分電盤14へ供給する。
【0048】
車両連結部26は、ケーブルによって車両と接続されることにより、分電盤14と車両とを電気的に接続するコネクタである。当該コネクタは、分電盤14からの電力を車両に供給する又は車両の電力を分電盤14に供給するための電力線の端子と、建物内のエネルギーの管理や制御を行うHEMS30と車両との通信に係る情報線の端子を有してもよい。
【0049】
車両連結部26は、HEMS30の制御によって車両へ電力の供給を行い、車両用蓄電池28を充電する。また、車両連結部26は、HEMS30の制御に従って、車両用蓄電池28が放電したことによる電力を、分電盤14に供給する。
【0050】
また、HEMS30は、車両連結部26と車両連結部26に接続されている車両との間の電流をモニターして、車両連結部26を介して車両用蓄電池28が充電されているか、又は車両用蓄電池28の放電により、車両の電力が分電盤14に供給されているかを把握している。
【0051】
なお、HEMS30と車両との通信は、情報線ではなく、電力線を用いる、いわゆる電力線搬送通信であってもよい。
【0052】
建物10A、10B及び10Cには、燃料電池90A、90B及び90Cが各々設けられており、発電した電力を接続されている各建物の分電盤14に供給可能である。
【0053】
本実施の形態では、燃料電池の他に、ガスエンジンを使用したコジェネレータを各建物が備えていてもよい。
【0054】
本実施の形態では、太陽光発電装置16、燃料電池90A、90B及び90C並びにガスエンジンによるコジェネレータは、発電した直流を、分電盤14から家電機器20及び住設機器22に供給される交流(例えば、単相2線式100Vで50Hz又は60Hz)に変換可能なインバータ等の変換手段(図示せず)を備えている。
【0055】
さらに、建物10A、10B及び10Cには、蓄電池92A、92B及び92Cが各々設けられており、各建物で生じた余剰電力を蓄えることができる。
【0056】
蓄電池92A、92B及び92Cには、鉛蓄電池、ニッケル水素電池又はリチウムイオン電池等の、充放電が可能な二次電池が使用される。これらの二次電池の1セルは、起電力が略1〜2Vなので、本実施の形態では、複数のセルを直列にして所望の電圧が得られるようにすると共に、所望の電圧を得られるように直列に接続された複数のセルからなる集合体を複数並列に束ねパッケージ化することで、所望の電流が得られるようにしている。
【0057】
また、パッケージ化された蓄電池92A〜92Cには、分電盤14を介して供給される交流(例えば、100V、50Hz)を、蓄電池の充電に適した電圧の直流に変換すると共に、蓄電池が放電した直流を分電盤14から家電機器20及び住設機器22に供給される交流に変換可能な双方向インバータ等の変換手段(図示せず)が設けられている。
【0058】
さらに、蓄電池92A〜92Cは、蓄電池92A〜92Cの充放電を制御する充放電制御回路(図示せず)を備え、前述のインバータと共に、HEMS30によって制御される。
【0059】
分電盤14には、HEMS30が接続されている。HEMS30は分電盤14を制御することにより、系統電力12、太陽光発電装置16、燃料電池90A(又は90B若しくは90C)、ガスエンジンによるコジェネレータ及び車両用蓄電池28の電力を建物10A(又は10B若しくは10C)へ供給するための制御、又は車両用蓄電池28及び蓄電池92A(又は92B若しくは92C)を充電するための電力の制御を行う。
【0060】
HEMS30は、各車両の車両用蓄電池28に蓄えられた電力及び各車両がエンジンを始動して発電した電力を、車両連結部26及び分電盤14を介して、地域内電力線64に供給させることができる。
【0061】
さらに建物10A、10B及び10Cに各々設けられたHEMS30は、建物10Aにおいては蓄電池92A、建物10Bにおいては蓄電池92B及び建物10Cにおいては蓄電池92Cに蓄えられた電力を、分電盤14を介して、地域内電力線64に供給させることが可能である。
【0062】
分電盤14は、各車両及び蓄電池から供給された電力を、前述の三相3線式200V等の、地域内電力線64で送電される電圧及び電流に変換する機能を有していてもよい。
【0063】
本実施の形態では、建物10A、10B及び10Cに各々設けられたHEMS30は、太陽光発電装置16、燃料電池90A(建物10Bにおいては燃料電池90B、建物10Cにおいては燃料電池90C)及びガスエンジンによるコジェネレータ等の系統電力以外の他の電力源を制御し、これらの電力源が発電した電力量を記憶する。
【0064】
また、本実施の形態で建物10A、10B及び10Cに各々設けられたHEMS30は、建物10Aにおいては蓄電池92A、建物10Bにおいては蓄電池92B及び建物10Cにおいては蓄電池92Cを制御し、建物10A〜Cで生じた余剰電力を蓄電池92A〜Cに各々蓄えるようにする。
【0065】
その場合、HEMS30は、建物10Aで生じた余剰電力が蓄電池92A(建物10Bにおいては蓄電池92B、建物10Cにおいては蓄電池92C)に充電された電力である蓄電量を記憶する。蓄電池の蓄電量の把握は、一般には充電前の蓄電池の電圧と充電後の蓄電池の電圧とに基づいて算出されるが、より簡易的には、蓄電池に供給された電力に充電効率に係る所定の係数(<1)を乗じて得た電力を、電池の蓄電量としてもよい。
【0066】
図2は、本発明の実施の形態に係る地域内給電システム100に含まれるHEMS30の概略構成を示すブロック図である。
【0067】
HEMS30は、コンピュータを含んで構成されており、
図2に示すように、CPU36、ROM38、RAM40、及び入出力ポート42を備えて、これらがアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス44を介して互いに接続されている。
【0068】
入出力ポート42には、各種入出力機器として、表示部46、操作部48、及びメモリ50が接続されている。なお、表示部46及び操作部48は一体で構成され、操作部48は、表示部46に設けられたタッチパネルを適用することができる。
【0069】
メモリ50には、上述した建物10A、10B及び10Cへ供給する電力の制御を行うプログラム、家電機器20及び住設機器22等の制御を行うためのプログラム、車両用蓄電池28の充放電を行うためのプログラム、太陽光発電装置16を制御するためのプログラム、燃料電池90A〜90Cを制御するためのプログラム、蓄電池92A〜92Cの充放電を制御するプログラム並びにこれらのプログラムを実行するための各種情報等が記憶されている。
【0070】
また、メモリ50には、蓄電池の蓄電量を記憶することができる。
【0071】
HEMS30は、メモリ50に記憶されたプログラムをRAM40等に展開してCPU36で実行することにより、建物10A、10B及び10Cへ供給する電力の制御等の各種制御を行うようになっている。
【0072】
さらに、入出力ポート42には、分電盤14、太陽光発電装置16、燃料電池90A(90B、90C)、蓄電池92A(92B、92C)、車両連結部26及びネットワークに接続されるネットワークインターフェース52等が接続されている。
【0073】
制御センター82は、各建物のHEMS30が記憶した蓄電池92A〜92Cの蓄電量の情報をネットワーク72を介して取得する。
【0074】
制御センター82は、取得した蓄電池92A、92B及び92Cの蓄電量を建物10A、10B及び10Cに対応付けて集計し、集計した結果をネットワーク72を介して建物10A、10B及び10Cに送信する。
【0075】
建物10A、10B及び10Cでは、制御センター82から受信した地域内に存在する蓄電池の蓄電量の集計結果をHEMS30で受信し、表示することができる。
【0076】
図3は、HEMS30の表示部46に表示される各蓄電池の蓄電量の集計結果の一例を示す図である。
図3では、左側に地域内の蓄電池92A〜92Cにおける蓄電可能な容量に対する蓄電量が充電に係る電力を供給した建物別に示されている。
【0077】
図3左側の「%」は、蓄電池への充電における各建物の寄与率を意味しており、例えば、建物10A(
図3では「建物A」)は寄与率40%で、当該寄与率に見合った電力が優先的に供給され得る。
【0078】
各建物に蓄電池の充電の寄与率に見合った電力を優先的に供給する方法は、種々考えられる。一例として、まず、制御センター82は、ネットワーク72を介して、各建物のHEMS30に対して地域内電力線64を介して供給される電力を制限する指令を送信する。各建物のHEMS30は、受信した指令に基づいて分電盤14を制御して、地域内電力線64から供給される電力を蓄電池への充電の寄与率に見合った程度に制限することが考えられる。
【0079】
このように、蓄電池92A〜92Cから各建物に供給される電力を、各建物の蓄電池への充電の寄与率を考慮して分配することにより、公平性を有する地域内の電力の融通が可能となる。
【0080】
本実施の形態では、系統電力12からの電力の供給が順調であって、蓄電池92A〜92Cの蓄電量が十分な場合には、
図4に示すように、建物で使用する電力を系統電力12又は蓄電池に蓄えた電力から選択する画面をHEMS30の表示部46に表示してもよい。この場合、
図4のように、系統電力又は蓄電池に蓄えられた電力のいずれかを選択できる手段を併せて表示するようにしてもよい。
【0081】
系統電力から蓄電池に蓄えられた電力に切り替える条件は、種々考えられる。一例として、系統電力の電気料金が所定の水準、例えば50円/kWh以上のときは系統電力から蓄電池に蓄えられた電力を使用するように切り替える手段を表示部46に表示することが考えられる。
【0082】
また、系統電力の使用量が基本容量、例えば40kWhを超えたら、蓄電池に蓄えられた電力を使用するように切り替える手段を表示部46に表示することも考えられる。
【0083】
さらには、系統電力の電気料金が所定の水準以上のとき、又は系統電力の使用量が基本容量を超えときには、系統電力から蓄電池に蓄えられた電力を使用するように電力の供給源を自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、
図5に示すように、建物に太陽光発電装置16、燃料電池90A(又は90B若しくは90C)等の系統電力以外の電力源が設けられている場合であって、これらの電力源からの電力が使用可能な場合には、建物で使用する電力を他の電力源による電力から選択する画面をHEMS30の表示部46に表示してもよい。この場合、
図5のように、燃料電池又は蓄電池に蓄えられた電力のいずれかを選択できる手段を併せて表示するようにしてもよい。
【0085】
さらに、本実施の形態では、系統電力12、蓄電池92A〜92C及び燃料電池90A〜90C等の他の電力源から供給される電力では地域内の電力の需要を賄えないと制御センター82が判断した場合には、
図6に示すようなメッセージをHEMS30の表示部46に表示させてもよい。
【0086】
図6では、制御センター82は、HV又はPHVを車両連結部26に接続している建物に対して、接続されているHV又はPHVのエンジンを始動して発電し、発電によって得た電力を使用することを推奨するメッセージを表示する。
【0087】
なお、
図6では、HV又はPHVのエンジンを始動させる前に、車両用蓄電池28に蓄えられている電力を使用することを推奨するメッセージを表示するようにしてもよい。
【0088】
かかるメッセージであれば、建物に接続されている車両がEVである場合にも対応が可能となるし、車両用蓄電池28の電力を使用した後に、HV又はPHVのエンジンを始動させることにより、車両の燃料を節約できると共に、排出ガスの抑制が可能となる。
【0089】
また、制御センター82は、HV又はPHVが発電した電力を、地域内電力線64を介して、地域内に供給するように要請するメッセージを表示してもよい。
【0090】
このように、発電能力を有する車両を接続している建物のユーザに、当該車両のエンジンを始動して発電させ、発電によって得た電力を地域内に供給することにより、逼迫した地域内の電力の需給を緩和できる。
【0091】
なお、
図6に示したメッセージは、発電能力を有する車両を接続している建物のみに送信するようにしてもよい。
【0092】
本実施の形態では、各建物のHEMS30は、車両連結部26に車両が接続されているか否かを検知可能であるし、また、
図1には示していないが、HEMS30と車両との間での無線通信を可能とする手段を別途設け、この無線通信によって、各建物における車両の有無を検知するようにしてもよい。
【0093】
制御センター82は、ネットワーク72を介して、各建物のHEMS30による車両の有無の検知結果を取得することにより、HV又はPHV等の発電可能な車両が接続されている建物のみに、
図6に示したようなメッセージを送信することができる。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態によれば、地域内の各建物の制御端末に地域内で使用可能な蓄電池の電力を各建物の充電の寄与率別に表示できるので、当該電力を各建物で融通することができる。
【0095】
なお、本実施の形態では、各建物に各々蓄電池が設けられているとしたが、地域内の建物全てに蓄電池が備わっていなくてもよい。
【0096】
また、本実施の形態では、各蓄電池は各建物に接続されているが、複数の蓄電池が建物ではなく、地域内電力線64又は制御センター82に接続されていて、各建物の余剰電力は、地域内電力線64を通じて複数の蓄電池を充電するようにしてもよい。
【0097】
各建物に各々蓄電池が設けられているにせよ、各建物のいずれかに蓄電池が接続されているにせよ、複数の蓄電池が地域内電力線64又は制御センター82に接続されている場合にせよ、本実施の形態では、複数の蓄電池が地域内に存在していればよい。
【0098】
地域内に複数の蓄電池が設けられることにより、蓄電容量の増大と、蓄電池の冗長化によるシステムの信頼性向上が可能となる。
【0099】
[第2の実施の形態]
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る地域内給電システム102の一例を示す概略図である。
【0100】
図7に示したように、本実施の形態は、地域蓄電池92Eを有し、建物10A〜10Cに蓄電池92A〜92Cが設けられていない他は、第1の実施の形態と同じであり、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を使用し、かつ説明を省略する。
【0101】
地域蓄電池92Eは、系統電力12並びに太陽光発電及び燃料電池を含む電力源から供給された電力を蓄え、蓄えた電力を、地域内の建物10A〜10Cに供給可能な二次電池である。二次電池の種類としては、鉛蓄電池、ニッケル水素電池又はリチウムイオン電池等が考えられるが、これら以外にも、充放電が可能な二次電池を使用することができる。
【0102】
地域蓄電池92Eは、起電力が略1〜2V程度のセルを直列に複数個組み合わせて形成された起電力が例えば12V程度の蓄電池のモジュールを、さらに直列及び並列に組み合わせた蓄電池のモジュールの集合体であって、系統電力12に匹敵するだけの電圧及び電流を生じ得るように構成されている。
【0103】
地域蓄電池92Eの電圧は、一例として、140〜150V程度であり、電流は、設置される地域の規模に応じて様々な値をとり得る。
【0104】
また、地域蓄電池92Eは、系統電力12からの交流を蓄電池のモジュールの集合体の充電に適した電圧の直流に変換可能であると共に、蓄電池のモジュールの集合体が放電した直流を、地域内電力線64での送電に適した、例えば、三相3線式200V、単相2線式200V又は単相2線式100V等に変換可能なインバータ(図示せず)を備えている。
【0105】
さらに、地域蓄電池92Eは、蓄電池のモジュールの集合体の充放電を制御する充放電制御回路(図示せず)を備え、前述のインバータと共に、制御センター82によって制御される。
【0106】
制御センター82は、地域蓄電池92Eの電圧をモニターすることにより地域蓄電池92Eの蓄電量を把握する。また、地域内の電力に余裕がある場合に、地域蓄電池92Eを充電するように制御し、建物10A〜10Cの電力の使用量が目標消費電力を上回るような場合には、地域蓄電池92Eに蓄えられた電力を地域内に供給するようにする。
【0107】
本実施の形態では、地域蓄電池92Eに充電に用いられる電力は、地域内における余剰電力であるが、かかる余剰電力には、第1の実施の形態と同様に、建物10A〜10Cで生じた余剰電力が含まれ得る。
【0108】
本実施の形態では、建物10A〜10Cで余剰電力が生じた場合、建物10A〜10CのHEMS30は、余剰電力を地域内電力線64へ供給する。
【0109】
制御センター82は、建物10A〜10Cから供給された電力も含めて、地域内の余剰電力を地域蓄電池92Eに充電するように地域蓄電池92Eを制御する。
【0110】
建物10A〜10CのHEMS30は、地域内電力線64に供給した電力をメモリ50に記憶する。
【0111】
制御センター82は、ネットワーク72を介して建物10A〜10CのHEMS30が記憶した地域内電力線64に供給した電力の情報をネットワーク72を介して取得する。
【0112】
制御センター82は、建物10A〜10Cが地域内電力線64に供給した電力の情報から、地域蓄電池92Eへの建物10A〜10Cからの蓄電量を算出する。
【0113】
蓄電池の蓄電量の把握は、一般には充電前の蓄電池の電圧と充電後の蓄電池の電圧とに基づいて算出される。しかしながら、本実施の形態では、1つの地域蓄電池に複数の建物から供給された電力が集中するので、充電前の電圧と充電後の電圧とから建物10A〜10Cの地域蓄電池92Eの蓄電量を把握することは困難である。
【0114】
本実施の形態では、建物10A〜10Cから地域内電力線64に供給された電力に地域蓄電池92Eの充電効率に係る所定の係数(<1)を乗じて得た電力を、電池の蓄電量とする。
【0115】
また、本実施の形態では、建物10A〜10CのHEMS30が、地域内電力線64に供給した電力に所定の係数(<1)を乗じた値を蓄電量としてメモリ50に記憶し、制御センター82は、建物10A〜10CのHEMS30に記憶されている蓄電量を取得するようにしてもよい。
【0116】
制御センター82は、建物10A〜10Cの地域蓄電池92Eの蓄電量を建物10A、10B及び10Cに対応付けて集計する。
【0117】
制御センター82は、集計した地域蓄電池92E、系統電力12の電力供給の状況に基づいて、第1の実施の形態における
図3〜6に示したようなメッセージを、建物10A〜10CのHEMS30に表示することができる。
【0118】
なお、建物10A〜10Cから地域内電力線64に供給した電力に所定の係数を乗じた値を蓄電量として集計した結果と制御センター82が地域蓄電池92Eの電圧に基づいて算出した地域蓄電池92Eの蓄電量とに齟齬を生じる場合がある。
【0119】
かかる場合は、地域蓄電池92Eの電圧に基づいて算出した地域蓄電池92Eの蓄電量に基づいて、建物10A〜10Cから地域内電力線64に供給した電力に所定の係数を乗じて得た蓄電量を補正してもよい。
【0120】
具体的には、まず、地域蓄電池92Eの電圧に基づいて算出した地域蓄電池92Eの蓄電量と建物10A〜10Cから地域内電力線64に供給した電力に基づいて算出された蓄電量の合計値との商を算出する。
【0121】
次いで、上記の商を補正係数とし、建物10A〜10Cの各々が地域内電力線64に供給した電力に基づいて算出された地域蓄電池92Eにおける建物10A〜10Cの各々からの蓄電量に当該補正係数を乗算する。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態によれば、地域内で1つの地域蓄電池92Eを集中的に管理することにより、蓄電池の充放電の管理が容易になる。
【0123】
また、集中管理が可能な地域蓄電池92Eを備えることで、システムのトラブルを未然に防止することが容易であり、かつ地域蓄電池92Eにトラブルが生じた場合であっても、早期に対応が可能である。
【0124】
なお、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、建物3棟、車両3台の場合について説明したが、本願はこれらに限定されるものではなく、建物の戸数及び車両の台数は、本願発明が適用される地域の規模によって様々である。