(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A−1)1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が0.5個未満であり、かつ数平均分子量が1,000以上8,000以下であるポリフェニレンエーテル成分が、ポリフェニレンエーテルの分子末端の少なくとも1個のフェノール性水酸基がベンジル基に置換された構造を有するベンジル化ポリフェニレンエーテルである、請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
前記ポリフェニレンエーテル(A)と、分子内に2個以上のビニル基を持つモノマー(B)と、反応開始剤(C)とを含み、前記ポリフェニレンエーテル(A)と前記モノマー(B)との合計100質量部に対して、前記モノマー(B)の含有量が10質量部以上70質量部以下であり、かつ前記反応開始剤(C)の含有量が1質量部以上10質量部以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の態様の例を詳細に説明するが、本発明はこれらの態様に限定されない。
【0018】
本態様の硬化性樹脂組成物が含むポリフェニレンエーテルは、好ましくは、下記一般式(1):
【0020】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアミノ基、ニトロ基、又はカルボキシル基を表す。)で表される繰返し構造単位を含む。
【0021】
ポリフェニレンエーテルの具体例としては、例えばポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等、更に、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−ブチルフェノール等)との共重合体、及び、2,6−ジメチルフェノールとビフェノール類又はビスフェノール類とをカップリングさせて得られるポリフェニレンエーテル共重合体、等が挙げられ、好ましい例はポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。
【0022】
なお本開示において、ポリフェニレンエーテルとは、置換又は非置換のフェニレンエーテル単位構造から構成されるポリマーを意味するが、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合成分を含んでもよい。
【0023】
本発明の一態様は、ポリフェニレンエーテルを含む硬化性樹脂組成物(以下、ポリフェニレンエーテル含有組成物ともいう)を提供する。
【0024】
本発明の一態様において、ポリフェニレンエーテル1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は、0.3個以上である。一態様において、硬化性樹脂組成物の下記条件で測定される硬化時樹脂フロー量は、0.3%以上15%以下である。一態様において、硬化性樹脂組成物から下記条件で作製された誘電正接測定用試料は、1GHzでの誘電正接:0.005以下を有する。一態様において、硬化性樹脂組成物から下記条件で作製されたガラス転移温度測定用試料は、ガラス転移温度:170℃以上を有する。
【0025】
該硬化時樹脂フロー量は、該硬化性樹脂組成物が樹脂含量60±2質量%となるよう、IPC Style 2116規格ガラスクロスに含浸されてなる150mm角のプリプレグを2枚重ねて積層板前駆体を得て、該積層板前駆体を下記条件(a)にて成形し、流れ出した樹脂部を取り除いて積層板を作製したときにおける、該積層板の質量(g)、及び該積層板前駆体の質量(g)から、下記式:
硬化時樹脂フロー量(%)=(積層板前駆体の質量(g)−積層板の質量(g))/積層板前駆体の質量(g)×100
に従って算出される値である。
【0026】
ここで、条件(a)は次のように定義される。室温から昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力5kg/cm
2の条件で真空プレスを行い、130℃まで達したら昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力30kg/cm
2の条件で真空プレスを行い、200℃まで達したら温度を200℃に保ったまま圧力30kg/cm
2、時間60分間の条件で真空プレスを行う。
【0027】
該誘電正接測定用試料は、該硬化性樹脂組成物が樹脂含量60±2質量%となるようIPC Style 2116規格ガラスクロスに含浸されてなるプリプレグを16枚重ね、上記条件(a)にて成形されている。
【0028】
該ガラス転移温度測定用試料は、該硬化性樹脂組成物が樹脂含量60±2質量%となるようIPC Style 2116規格ガラスクロスに含浸されてなるプリプレグを2枚重ね、上記条件(a)にて成形されている。
【0029】
IPC Style 2116規格ガラスクロスは、市販で入手可能であり、例えば旭シュエーベル株式会社製の商品名「2116」として入手可能である。
【0030】
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化時樹脂フロー量は、0.3%以上15%以下であり、好ましくは0.5%以上12%以下、より好ましくは1%以上10%以下である。該樹脂フロー量が0.3%以上であれば、通常のプレス成形温度での成形性に優れ、かすれ及びボイドが低減された硬化物、更にはこれを含む積層板を形成できる。一方で、該樹脂フロー量が15%以下であれば、例えば硬化性樹脂組成物の硬化物と基材とを含む積層板を形成する場合に、積層板の積層位置ずれを小さくできる。
【0031】
ここで、硬化性樹脂組成物の硬化時樹脂フロー量は本開示の次の方法で求めた値と定義され、より具体的には、下記方法を用いて算出できる。
【0032】
該該硬化時樹脂フロー量は、該硬化性樹脂組成物が樹脂含量60±2質量%となるようIPC Style 2116規格ガラスクロスガラスクロス(IPC Style 2116)に含浸されてなる150mm角のプリプレグを試験片とする。予め、試験片2枚の質量(g)を求めておき、積層板前駆体の質量とする。次いで、該試験片を2枚重ね、上記条件(a)にて加熱加圧を行う。得られたものについて、150mm角から流れ出した樹脂部を取り除き、積層板とする。この積層板について質量を求めて、積層板の質量(g)とする。このようにして得られた質量を上記の式に代入し、硬化時樹脂フロー量を求める。
【0033】
硬化時樹脂フロー量を上記範囲に調整する方法の例は、ポリフェニレンエーテルの1分子当たりの平均フェノール性水酸基数を調製する方法、後述する(A−1)低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルと、(A−2)成分とを混合しその混合比を変えることによって調整する方法、後述する分子内に2個以上のビニル基を持つモノマーを配合し用い、その使用配合量を調製する方法、等である。
【0034】
また、本態様の硬化性樹脂組成物から本開示の下記条件で作製された硬化物試料の誘電正接は1GHzで0.005以下である。誘電正接が1GHzで0.005以下のプリント配線板は、情報処理の高速化に要求される信号伝達速度の高速化に対応するために所望されている。本発明が提供する硬化性樹脂組成物は、誘電正接が1GHzで0.005以下である硬化物複合体を与えることができる。よってこのような硬化性樹脂組成物を用いることにより、信号伝達速度の高速化を可能にするプリント配線版を形成できる。
【0035】
上記硬化物誘電正接測定用試料は、該硬化性樹脂組成物が樹脂含量60±2質量%となるようIPC Style 2116規格ガラスクロスガラスクロス(IPC Style 2116)に含浸されてなるプリプレグを16枚重ね、上記条件(a)にて加熱加圧成形する方法で作製される。
【0036】
上記試料硬化物の1GHzでの誘電正接は、好ましくは0.003以下、より好ましくは0.001以下である。該誘電正接は小さいほど好ましいが、ポリフェニレンエーテルが本来有する電気特性の観点から、好ましくは0.0007以上、より好ましくは0.0005以上であることができる。
【0037】
硬化物上記試料の誘電正接は、インピーダンスアナライザー法により、500mVの条件で、1MHz〜1GHzの静電容量Cp[F]とコンダクタンスG[S]とを測定し、下記式を用いて求められる値である。
εr=(t×Cp)/{π×(d/2)
2×ε0
(t:試料厚み〔m〕、d:電極直径、f:測定周波数〔Hz〕、ε0:真空の誘電率=8.854×10
-12〔F/m〕)
【0038】
また、本態様の硬化性樹脂組成物においては、本開示の上述の方法で作製された試料(具体的には、プリプレグを16枚重ねることに代えてプリプレグを2枚重ねること以外は誘電正接測定用試料の作製方法と同様の方法で作製される試料)硬化物のガラス転移温度が170℃以上であり、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上である。該試料のガラス転移温度は、硬化性樹脂組成物を典型的な使用条件で硬化させて得られる硬化物のガラス転移温度に対応する。ガラス転移温度が170℃以上である硬化物は良好な耐熱性(特に鉛フリーはんだに対応するはんだ耐熱性)を発現する。硬化物のガラス転移温度は高い方が好ましいが、該硬化物の使用環境への適用性の観点で、該試料のガラス転移温度は、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下であることができる。
【0039】
ここで、試料硬化物のガラス転移温度は、粘弾性スペクトロメーターを用いて、ひねりモード、周波数10rad/sの条件で測定される値である。
【0040】
ガラス転移温度を上記範囲に調整する方法の例は、ポリフェニレンエーテルの1分子当たりの平均フェノール性水酸基数を調製する方法、後述する(A−1)成分と(A−2)成分とを混合し、その混合比を調整する方法、
後述する分子内に2個以上のビニル基を持つモノマーを使用配合し、その使用配合量を調製する方法、等である。
【0041】
本態様の硬化性樹脂組成物においては、硬化性樹脂組成物が樹脂含量60±2質量%となるようIPC Style 2116規格ガラスクロスに含浸されてなるプリプレグである白色度測定用試料が、L
*a
*b
*表色系での白色度(すなわちハンター白色度):85以上、及びb
*値:9以下を有する。白色度が85%以上であること、及びb
*値(これは黄色度の指標である)が9以下であることは、異物発見の容易性の観点から有利である。白色度は、好ましくは87以上、より好ましくは88以上である。白色度は高いほど好ましいが、例えば黒色、茶色、銀色、灰色等の異物を十分に判別できる観点から98以下、更に93以下であってもよい。b
*値は、好ましくは8以下、より好ましくは7以下である。b
*値は低いほど好ましいが、例えば黒色、茶色、銀色、灰色等の異物を十分に判別できる点から、2以上、更に4以上であってもよい。
【0042】
上記の白色度及びb
*値を上記範囲に制御する具体的な手段としては、後述の(A−1)のポリフェニレンエーテル成分の量をポリフェニレンエーテル全量の1質量%以上25質量%以下に制御すること、後述の(A−2)のポリフェニレンエーテル成分の平均フェノール性水酸基数を0.5個以上に制御すること等が挙げられる。
【0043】
本態様の硬化性樹脂組成物に含まれるポリフェニレンエーテルの1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は、0.3個以上である。ポリフェニレンエーテルの1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は好ましくは0.7個以上であり、より好ましくは0.9個以上であり、更に好ましくは1.05個以上である。1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が0.3個以上のポリフェニレンエーテルを硬化性樹脂組成物において用いると、該樹脂組成物の硬化物と基材(例えばガラスクロス等)との接着性、又は該樹脂組成物の硬化物と銅箔等の金属箔との接着性が良好となり、プリント配線板の耐吸水性、はんだ耐熱性、及び接着性(例えば、多層板における層間の剥離強度、又は硬化物と銅箔等との剥離強度)に優れるため好ましい。該平均フェノール性水酸基数は、硬化性樹脂組成物の硬化物と基材とを含む複合体(例えば積層板)の吸水性が高くなるのを抑制できる観点、又は、該複合体の誘電率と誘電正接が高くなるのを抑制できる観点から、好ましくは2.0個以下、より好ましくは1.85個以下、更に好ましくは1.6個以下である。
【0044】
本開示におけるポリフェニレンエーテルの1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は、それぞれ、次の方法で求めた値と定義される。高分子論文集,vol.51,No.7(1994),第480頁記載の方法に準拠し、ポリフェニレンエーテルの塩化メチレン溶液にテトラメチルアンモニウムハイドロオキシド溶液を加えて得たサンプルの波長318nmにおける吸光度変化を紫外可視吸光光度計で測定した値から水酸基の数を求める。別途、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより求め、この値を用いてポリフェニレンエーテルの分子数を求める。これらの値から、下記式に従って、ポリフェニレンエーテルの1分子当たりの平均水酸基数を算出する。
1分子当たりの平均フェノール性水酸基数=水酸基の数/数平均分子数
【0045】
ポリフェニレンエーテルの1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は、例えば、分子末端のフェノール性水酸基が残存しているポリフェニレンエーテルと、分子末端のフェノール性水酸基が他の官能基で変性されているポリフェニレンエーテルとを混合し、その混合比を変えることによって調整することができる。又は、分子末端のフェノール性水酸基の他の官能基による置換度合を変えることによっても調整することができる。上記の官能基の態様は特に限定されるものではなく、ベンジル基、アリル基、プロパギル基、グリシジル基、ビニルベンジル基、メタクリル基等であることができる。その中でも、反応効率が良いため産業的に入手しやすいこと、自身の反応性がなく安定性に優れること、プレス成形時にポリフェニレンエーテル含有組成物の溶融粘度を低下させる効果が著しいこと等の理由で、好ましくは、ベンジル基である。
【0046】
本態様に用いられるポリフェニレンエーテルは、数平均分子量が8,000を超えるポリフェニレンエーテル成分(以下、高分子量ポリフェニレンエーテル成分ともいう)を、ポリフェニレンエーテル全量に対して75質量%以上の量で含有する。これにより、分子量の大きいポリフェニレンエーテルに由来する高いガラス転移温度が得られるため、耐熱性及び機械特性に優れる硬化物が得られる。また上記の高分子量ポリフェニレンエーテル成分は、白色度及びb*値を所望の範囲内に制御することに寄与する。上記含有量は、分子量の大きいポリフェニレンエーテルに由来する高いガラス転移温度が得られるため、耐熱性及び機械特性に優れる硬化物が得られる観点、また白色度及びb*値を所望の範囲内に制御する観点から、75質量%であり、好ましくは77質量%以上、更に好ましくは79質量%以上である。上記含有量は100質量%であることができるが、成形時の硬化性樹脂組成物の溶融粘度を小さくし、良好な成形性を得るという観点からは、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98.8質量%以下、更に好ましくは98.5質量%以下である。
【0047】
高分子量ポリフェニレンエーテル成分の数平均分子量は、好ましくは8,000を超え40,000以下であり、より好ましい範囲は9,500以上28,000以下であり、更に好ましい範囲は10,000以上20,000以下である。数平均分子量が40,000以下である場合、通常のプレス成形温度での溶融粘度が低く保たれ、良好な成形性が得られるため好ましい。
【0048】
本開示におけるポリフェニレンエーテルの数平均分子量は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算で測定される値である。典型的には、カラムにShodex LF−804×2(昭和電工株式会社製)、溶離液に50℃のクロロホルム検出器にRI(屈折率計)を用いてGPC測定を行い、同条件で測定した標準ポリスチレン試料の分子量と溶出時間との関係式から、数平均分子量を算出する。
【0049】
高分子量ポリフェニレンエーテル成分においては、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が0.5個以上である(本開示で未官能化ポリフェニレンエーテルということもある)ことが好ましい。この場合、末端水酸基に由来する良好な接着性が更に得られ、優れた耐熱性、機械特性、及び接着性という利点が得られる。該高分子量ポリフェニレンエーテル成分の1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は、より好ましくは0.8個以上、更に好ましくは1.6個以上である。該平均フェノール性水酸基数は多い方が上記の効果を得る点で好ましいが、硬化性樹脂組成物の硬化物と基材とを含む硬化物複合体の吸水性が高くなるのを防ぐ、或いは、誘電率と誘電正接が高くなるのを防ぐ観点から、好ましくは2個以下、より好ましくは1.85個以下、更に好ましくは1.6個以下であることができる。
【0050】
本態様に用いられるポリフェニレンエーテルは、更に、(A−1)1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が0.5個未満であり、かつ数平均分子量が1,000以上8,000以下であるポリフェニレンエーテル成分(以下、低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルともいう)を含有することが好ましく、その含有量は、ポリフェニレンエーテル全量に対して1質量%以上25質量%以下であることが好ましい。該低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルの含有量のより好ましい範囲は1.2質量%以上23質量%以下であり、更に好ましい範囲は1.5質量%以上21質量%以下である。
【0051】
該(A−1)低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルを1質量%以上含有するポリフェニレンエーテルを含む硬化性樹脂組成物は、成形時の硬化性樹脂組成物の溶融粘度が小さく、良好な成形性が得られる点で有利である。一方、該低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルを25質量%以下含有するポリフェニレンエーテルを含む硬化性樹脂組成物は、接着性に劣るという該低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルの特性が顕著に表れるのを抑制することができ、プリント配線板等において所望される、硬化物の耐吸水性、はんだ耐熱性、及び接着性(例えば、多層板における層間の剥離強度、又は硬化性樹脂組成物の硬化物と銅箔等との剥離強度)を良好に与える点で有利である。そして、ポリフェニレンエーテル中の(A−1)低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルの割合を上記範囲内に設定することは、白色度及びb*値を所望の範囲内に制御することに良好に寄与する。
【0052】
また、該(A−1)低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルの1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は0.5個未満であることが好ましいが、より好ましくは0.2個以下であり、更に好ましくは0.1個以下である。該平均フェノール性水酸基数が0.5個未満であれば、低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルを含有する硬化性樹脂組成物が低い誘電率及び誘電正接の硬化物を形成できることに加えて良好な硬化反応性を有するため、機械特性及び耐熱性に優れた硬化物が得られる。平均フェノール性水酸基数は少ないほど好ましく、0個であっても良いが、フェノール性水酸基を他の官能基で変性させる効率の観点から、好ましくは0.001個以上、より好ましくは0.01個以上であることができる。
【0053】
また、該(A−1)低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は1,000以上8,000以下の範囲にあることが好ましく、より好ましい範囲は1,000以上5,000以下であり、更に好ましい範囲は2,000以上4,000以下である。数平均分子量が8,000以下であれば、該低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルを含む硬化性樹脂組成物の成形時の溶融粘度が小さく、良好な成形性が得られる。一方、該数平均分子量が1,000以上であれば、該低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルを含む硬化性樹脂組成物が、低い誘電率及び誘電正接、並びに良好な耐熱性及び機械特性を有する硬化物を形成できる。
【0054】
上述の(A−1)低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルと、(A−2)高分子量ポリフェニレンエーテル成分とを組合せる場合、(A−2)高分子量ポリフェニレンエーテル成分は、好ましくは、該低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルよりも多い末端フェノール性水酸基を有し,より好ましくは、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数0.5個以上を有する。
【0055】
特に好ましい態様において、ポリフェニレンエーテルは、
(A−1)1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が0.5個未満であり、かつ数平均分子量が1,000以上8,000以下であるポリフェニレンエーテル成分、及び
(A−2)数平均分子量が8,000を超えるポリフェニレンエーテル成分
を含み、(A−1)と(A−2)との合計質量100質量%を基準として、(A−1)の含有量が1質量%以上25質量%以下であり、かつ(A−2)の含有量が75質量%以上99質量%以下である。
【0056】
本態様において、ポリフェニレンエーテルは、好ましくは、(A−1)及び(A−2)から実質的になり、より好ましくは(A−1)及び(A−2)からなる。
【0057】
(A−1)低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルにおける末端の官能基の態様は特に限定されるものではなく、ベンジル基、アリル基、プロパギル基、グリシジル基、ビニルベンジル基、メタクリル基等であることができる。その中でも、反応効率が良いため産業的に入手しやすいこと、自身の反応性がなく安定性に優れること、プレス成形時に後述の(A−2)成分の溶融粘度を低下させる効果が著しいこと等の理由で、低分子量・末端官能化ポリフェニレンエーテルは、好ましくは、ポリフェニレンエーテルの分子末端の少なくとも1個のフェノール性水酸基がベンジル基に置換された構造を有するベンジル化ポリフェニレンエーテルである。
【0058】
上記ベンジル化ポリフェニレンエーテルは、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が0.5個未満であり、かつ数平均分子量が1,000〜8,000であることができる。ベンジル化ポリフェニレンエーテルとは、置換又は非置換のポリフェニレンエーテルの分子鎖末端に置換又は非置換のベンジル基が結合した構造を持つポリマーを意味する。
【0059】
より典型的には、本開示のベンジル化ポリフェニレンエーテルは、下記一般式(2):
【0061】
[式中、R5、R6、R7、R8、及びR9は各々独立して、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表し、Zは1〜5の整数であり、Jは下記一般式(1):
【0063】
(式中、R1、R2、3及びR4は先に定義した通りである。)
で表される単位構造を含むポリフェニレンエーテル分子鎖を表す。]
で表される構造を有する。
【0064】
Jは、実質的に上記一般式(1)で表される構造のみを単位構造として構成されてもよいが、目的に応じて、上記一般式(1)で表される単位構造の他に共重合成分を含んでもよい。
【0065】
上記一般式(2)において、反応効率の観点から、R5、R6、R7、R8及びR9が、全て水素原子であることが好ましい。
【0066】
上記一般式(2)において、重合の際に分子量の制御が比較的容易なため、用途に最適な分子量分布をもつポリマーの合成が容易なことから、Jは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)構造であることが好ましい。また、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)とフェノール化合物とを有機過酸化物存在下で反応させて得られる共重合体構造であることが好ましい。この場合に用いるフェノール化合物は分子内に1個以上のフェノール性水酸基を持てば特に限定されないが、具体的にはフェノール、クレゾール、2,6−キシレノール、2,3,6−トリメチルフェノール、ビスフェノールA,ビフェノール、クレゾール・ノボラック骨格フェノール等が挙げられ、反応率の高さの観点から2,6−キシレノール、ビスフェノールA、及びクレゾール・ノボラック骨格フェノールが好ましく用いられる。
【0067】
上記ベンジル化ポリフェニレンエーテルは、数平均分子量が1,000〜8,000の範囲であることができ、より好ましい範囲は1,000〜5,000、特に好ましい範囲は2,000〜4,000である。該数平均分子量が8,000以下であれば、ベンジル化ポリフェニレンエーテルは溶剤に対する溶解性に優れ、特に4,000以下では室温(23℃)でトルエンに30質量%以上の濃度で溶解する。一方、該数平均分子量が1,000以上であれば、ベンジル化ポリフェニレンエーテルを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物の誘電率及び誘電正接が低くできるとともに硬化物の耐熱性と機械特性とが優れ、特に2,000以上では誘電率及び誘電正接をより低くすることが可能であるため好ましい。
【0068】
上記ベンジル化ポリフェニレンエーテルの1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は0.5個未満であることができ、より好ましくは0.2個未満、特に好ましくは0.1個未満である。該平均フェノール性水酸基数が0.5個未満であれば、ベンジル化ポリフェニレンエーテルを含有する硬化性樹脂組成物の硬化物の誘電率及び誘電正接が低い上に、該組成物の硬化反応性が高いため機械特性及び耐熱性に優れた硬化物が得られる。該平均フェノール性水酸基数は小さい程好ましく、0個であってもよいが、フェノール性水酸基を他の官能基で変性させる効率の観点から、好ましくは0.001個以上、より好ましくは0.01個以上であることができる。
【0069】
上記ベンジル化ポリフェニレンエーテルは、典型的には、ポリフェニレンエーテルとベンジル化合物との反応によって得ることができる。例えば、ベンジル化ポリフェニレンエーテルは、原料のポリフェニレンエーテル(例えば上記一般式(1)で表される単位構造を含むポリフェニレンエーテル)が持つフェノール性水酸基と、下記一般式(3):
【0071】
(式中、R5、R6、R7、R8及びR9は一般式(2)において定義した通りであり、Xはハロゲン原子又はシアノ基を表す。)
で表されるベンジル化合物との反応によって得られる。
【0072】
上記一般式(3)において、XとしてはF、Cl、Br、I、CN等が挙げられる。一般式(3)で表されるベンジル化合物の具体例としては、塩化ベンジル、ベンジルシアニド、臭化ベンジル、メチルベンジルクロライド、メチルベンジルブロマイド、ジメチルベンジルクロライド、ジメチルベンジルブロマイド、トリメチルベンジルクロライド、トリメチルベンジルブロマイド等が挙げられるが、中でも塩化ベンジルはフェノール性水酸基との反応性が高く、フェノール性水酸基の個数が少ないベンジル化ポリフェニレンエーテルを容易に製造できる点で好ましい。
【0073】
上記ベンジル化ポリフェニレンエーテルの製造方法は特に限定されないが、例えばポリフェニレンエーテルとベンジル化合物とをトルエン、キシレン等の溶液中で、強アルカリ化合物を触媒に用いて反応させる方法が挙げられる。強アルカリ化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等のアルコラートが例として挙げられる。
【0074】
本発明の別の態様は、上述したポリフェニレンエーテルであるポリフェニレンエーテル(A)と、分子内に2個以上のビニル基を持つモノマー(B)とを含有する、硬化性樹脂組成物を提供する。該硬化性樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル(A)と分子内に2個以上のビニル基を持つモノマー(B)との合計100質量部に対して、分子内に2個以上のビニル基を持つモノマー(B)を好ましくは5〜95質量部、より好ましくは10〜80質量部、更に好ましくは10〜70質量部、更に好ましくは20〜70質量部含有する。該モノマー(B)の量が5質量部以上である場合、成形性が良好である点で好ましく、95質量部以下である場合、誘電率及び誘電正接が低い硬化物を形成できる点で好ましい。
【0075】
また、硬化性組成物中、上記の(A−1)成分の含有量(a)の、分子内に2個以上のビニル基を持つモノマー(特に好ましくはTAIC)の含有量(b)に対する組成比(a)/(b)は、5/95〜95/5(質量比)であることが好ましい。上記組成比が5/95以上である場合、得られる硬化物の誘電率と誘電正接とが低く好ましく、95/5以下である場合成形性が良好である。上記組成比は、より好ましくは20/80〜90/10、特に好ましくは30/70〜80/20である。
【0076】
本開示において、分子内に2個以上のビニル基を持つモノマーとしてはトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルメセート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等が挙げられるが、ポリフェニレンエーテルとの相溶性が良好なTAICが好ましい。
【0077】
本態様の硬化性樹脂組成物は、更に好ましくは、ポリフェニレンエーテル(A)と、分子内に2個以上のビニル基を持つモノマー(B)と、反応開始剤(C)とを含む。
【0078】
反応開始剤(C)としては、ビニルモノマーの重合反応を促進する能力を有する任意の開始剤を使用でき、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。また、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等のラジカル発生剤も反応開始剤として使用できる。中でも、得られる耐熱性及び機械特性に優れ、更に低い誘電率及び誘電正接を有する硬化物を与えることができるの観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
【0079】
ポリフェニレンエーテル(A)とモノマー(B)との合計100質量部に対して、反応開始剤(C)の含有量は、反応率を高くできる観点から好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、得られる硬化物の誘電率及び誘電正接を低く抑えることができる観点から、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。
【0080】
好ましい態様において、ポリフェニレンエーテル(A)とモノマー(B)との合計100質量部に対して、モノマー(B)の含有量が10質量部以上70質量部以下、及び反応開始剤(C)の含有量が1質量部以上10質量部以下である。
【0081】
本発明の硬化性樹脂組成物には別の樹脂(例えば熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等)を更に含有させることもできる。熱可塑性樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ジビニルベンゼン、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、塩化ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、酢酸ビニル、四フッ化エチレン等のビニル化合物の単独重合体及び2種以上のビニル化合物の共重合体、並びに、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレングリコール等を例として挙げることができる。これらの中でもスチレンの単独重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、及びスチレン−エチレン−ブタジエン共重合体が、硬化性樹脂組成物の溶剤への溶解性及び成形性の観点から好ましく用いることができる。硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及びシアネートエステル類を例として挙げることができる。上記熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂は、酸無水物、エポキシ化合物、アミン等の官能化化合物で変成されたものでもよい。このような別の樹脂の使用量は、上記ポリフェニレンエーテル(A)と上記モノマー(B)との合計100質量部に対して、好ましくは10〜90質量部、より好ましくは20〜70質量部である。
【0082】
本発明の硬化性樹脂組成物は目的に応じ適当な添加剤を更に含有してもよい。添加剤としては、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、界面活性剤、滑剤、充填剤、ポリマー添加剤等が挙げられる。
【0083】
特に、本発明の硬化性樹脂組成物が更に難燃剤を含む場合、本発明の有する良好な成形性、耐吸水性、はんだ耐熱性、及び接着性(例えば、多層板における層間の剥離強度、又は硬化物と銅箔等との剥離強度)に優れるプリント配線板等が得られる利点に加え、難燃性を付与できる点で好適である。
【0084】
難燃剤としては、燃焼のメカニズムを阻害する機能を有するものであれば特に制限されず、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ほう酸亜鉛等の無機難燃剤、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジェフェニルエタン、4,4−ジフブロモフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミド等の芳香族臭素化合物、等が挙げられる。中でも、得られる硬化物の誘電率及び誘電正接を低く抑えられる観点からデカブロモジェフェニルエタン等が好ましい。
【0085】
難燃剤の使用量は、使用する難燃剤によって異なり、特に限定するものでないが、UL規格94V−0レベルの難燃性を維持する観点から、ポリフェニレンエーテル(A)とモノマー(B)との合計100質量部に対して好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。また、得られる硬化物の誘電率及び誘電正接を小さく維持できる観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。
【0086】
上述した硬化性樹脂組成物を含有するワニスもまた開示される。該ワニスは、本発明の硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解又は分散させることによって形成できる。このワニスを、例えばガラスクロス等である基材に含浸させた後、溶剤分を乾燥除去することにより、例えば基板材料の絶縁層の材料として好適なプリプレグを製造できる。
【0087】
上記ワニスに用いられる溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン等を挙げることができる。これらの溶剤は単独でも2種以上を混合しても使用できる。また、例えば上記各種の溶剤の1種以上とメタノール等のアルコール類とを組合せてもよい。ワニスに占める硬化性樹脂組成物の割合は、基材へのワニス含浸性及び基材への樹脂付着量を良好に制御する観点から、ワニス全量100質量部に対して、5〜95質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましい。
【0088】
本発明の別の態様は、上述した本発明の硬化性樹脂組成物と、基材とを含むプリプレグを提供する。プリプレグは典型的にはプリント配線板用プリプレグである。典型的なプリプレグは、該硬化性樹脂組成物を含有するワニスを基材に含浸させた後、熱風乾燥機等で溶剤分を揮発させて得られる、硬化性樹脂組成物と基材との複合体である。基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマット等の各種ガラス布;アスベスト布、金属繊維布、及びその他合成若しくは天然の無機繊維布;全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布;綿布、麻布、フェルト等の天然繊維布;カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混繊糸から得られる布等の天然セルロース系基材;ポリテトラフルオロエチレン多孔質フィルム;等を単独で、又は2種以上組合せて用いることができる。
【0089】
上記プリプレグに占める硬化性樹脂組成物の割合は、プリプレグ全量100質量部に対して、30〜80質量部であることが好ましく、より好ましくは40〜70質量部である。上記割合が30質量部以上である場合、プリプレグを例えば電子基板形成用として使用した際に優れた絶縁信頼性が得られ、80質量部以下である場合、例えば得られる電子基板が曲げ弾性率等の機械特性に優れる。
【0090】
プリプレグは、L
*a
*b
*表色系での白色度:85以上、及びb
*値:9以下を有することが好ましい。白色度及びb
*値が上記範囲内であることは異物発見の容易性の観点から有利である。白色度及びb*値のより好ましい範囲は、硬化性樹脂組成物から作製される白色度測定用試料について前述したのと同様であることができる。
【0091】
上述した本発明の硬化性樹脂組成物を用い、該硬化性樹脂組成物の硬化物と基材とを含む硬化物複合体と、金属箔とが積層されている積層板を形成できる。該積層板は、好ましくは、上記硬化物複合体と金属箔とが重なって密着しているもので、電子基板の材料として好適に用いられる。金属箔としては例えばアルミ箔及び銅箔を用いることができ、中でも銅箔は電気抵抗が低いため好ましい。金属箔と組合せる硬化物複合体は1枚でも複数枚でもよく、用途に応じて複合体の片面又は両面に金属箔を重ねて積層板に加工する。積層板の製造方法としては、例えば、硬化性樹脂組成物と基材とから構成される複合体(例えば前述のプリプレグ)を形成し、これを金属箔と重ねた後、硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物積層体と金属箔とが積層されている積層板を得る方法が挙げられる。該積層板の特に好ましい用途の1つはプリント配線板である。
【0092】
本発明の別の態様は、上述した本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物と、基材とを含むプリント配線板を提供する。本発明のプリント配線板は、典型的には、上述した本発明のプリプレグを用いて、加圧加熱成型する方法で形成できる。基材としてはプリプレグに関して前述したのと同様のものが挙げられる。本発明のプリント配線板は、上述したような硬化性樹脂組成物を用いて形成されていることにより、優れた絶縁信頼性及び機械特性を有することができる。
【実施例】
【0093】
以下、実施例により、本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0094】
実施例、比較例及び製造例中の各物性は、以下の方法によって測定した。
【0095】
(1)ポリフェニレンエーテルの数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析(GPC)を用い、分子量既知の標準ポリスチレンの溶出時間との比較で数平均分子量を求めた。
測定装置にはHLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラム:Shodex LF−804×2(昭和電工株式会社製)、溶離液:50℃のクロロホルム、検出器:RI、の条件で測定を行った。
【0096】
(2)ポリフェニレンエーテル1分子当たりの平均フェノール性水酸基数
吸光度から求めたポリフェニンエーテルに含まれるフェノール性水酸基数と、平均分子量から求めたポリフェニンエーテルの分子数とを用い、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数を求めた。
先ず、高分子論文集,vol.51,No.7(1994),第480頁記載の方法に準拠し、ポリフェニレンエーテルの塩化メチレン溶液にテトラメチルアンモニウムハイドロオキシド溶液を加えて得た試料の波長318nmにおける吸光度変化を紫外可視吸光光度計で測定した値から水酸基の数を求めた。
別途、ポリフェニレンエーテルの数平均分子量を、上記(1)に従いゲルパーミエーションクロマトグラフィにより求め、この値を用いて、ポリフェニレンエーテルの分子数を求めた。これらの値から、下記式に従って、ポリフェニレンエーテルの1分子当たりの平均水酸基数を算出した。
1分子当たりの平均フェノール性水酸基数=水酸基の数/数平均分子数
【0097】
(3)硬化性樹脂組成物の硬化時の樹脂フロー量
プリプレグを加熱加圧成形して積層板を作製する際に、流れ出した樹脂の質量の、もとの質量(加熱加圧成形に供したプリプレグ)に対する割合として求めた。
【0098】
硬化性樹脂組成物をトルエンと混合してワニスを作製し、該ワニスをガラスクロス(2116 旭化成シェーベル株式会社製)に含浸させた後、乾燥してトルエン溶剤を除き、樹脂含量約60質量%のプリプレグを作製した。該プリプレグを150mm角に2枚切り出し、試験片とした。ここで、試験片2枚の質量(g)を求めておき、積層板前駆体の質量とした。
【0099】
次いで、該試験片2枚を重ね、室温から昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力5kg/cm
2の条件で真空プレスを行い、130℃まで達したら昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力30kg/cm
2の条件で真空プレスを行い、200℃まで達したら温度を200℃に保ったまま圧力30kg/cm
2、時間60分間の条件で真空プレスを行い、150mm角部から流れ出した樹脂を取り除いて積層板を得た。この積層板について質量を求め、積層板の質量(g)とした。
積層板前駆体の質量(g)と積層板の質量(g)とを用い、下記式より、硬化性樹脂組成物の硬化時樹脂フロー量(%)を求めた。
硬化時樹脂フロー量(%)=(積層板前駆体の質量(g)−積層板の質量(g))/積層板前駆体の質量(g)×100
【0100】
(4)積層板のガラス転移温度
積層板の動的粘弾性を測定し、tanδが最大となる温度を求めた。
測定装置としてARESS(TAインスツルメンツ社製)を用い、試験片:長さ約45mm、幅約12.5mm及び厚さ約3mm、ひねりモード、周波数:10rad/sの条件で測定を行った。
【0101】
(5)積層板の誘電率、誘電正接
積層板の1GHzにおける誘電率及び誘電正接を、インピーダンスアナライザーを用いて測定した。
測定装置としてインピーダンスアナライザー(4291B op.002 with 16453A,16454A、AgilentTechnologies社製)を用い、試験片厚さ:約2mm、電圧:100mV、周波数:1MHz〜1.8GHzの条件で測定し、掃引回数100回の平均値として求めた。
【0102】
(6)積層板の吸水率
積層板を吸水加速試験に供し、増加した質量から吸水率を求めた。
積層板を50mm角に切り出し試験片を作製した。該試験片を130℃で30分乾燥した後、質量を測定し、加速試験前の質量(g)とした。次いで、温度:121℃、圧力:2atm、時間:4時間、の条件で加速試験を行った後の質量を測定し、加速試験後の質量(g)とした。
加速試験前の質量(g)と加速試験後の質量(g)とを用い、下記式により吸水率を算出し、試験片4枚の測定値の平均値を求めた。
吸水率(質量%)=(加速試験前の質量―加速試験後質量)/加速試験前の質量×100
【0103】
(7)積層板の吸水試験後のはんだ耐熱性
上記(6)に記載の吸水率の測定後の積層板を用い、288℃及び260℃でのはんだ耐熱試験を行った。吸水加速試験後の積層板を、288℃又は260℃のはんだ浴に20秒間浸漬し、目視による観察を行った。288℃のはんだ浴へ浸漬しても、膨れ、剥離及び白化の何れも確認されなかった積層板については「はんだ耐熱288℃」と評価した。また、288℃のはんだ浴への浸漬により、膨れ、剥離及び白化の何れか1つ以上が発生したが、260℃のはんだ浴へ浸漬しても、膨れ、剥離及び白化の何れも確認されなかった積層板については「はんだ耐熱260℃」と評価した。また、260℃のはんだ浴への浸漬により、膨れ、剥離及び白化の何れか1つ以上が発生した積層板は「不合格」と評価した。
【0104】
(8)積層板の銅箔引き剥がし強さ
銅張積層板の銅箔を一定速度で引き剥がす際の応力を測定した。後述の方法で作製した、35μm銅箔(GTS−MP箔、古川電気工業株式会社製)を用いた銅張積層板を、幅15mm×長さ150mmのサイズに切り出し、オートグラフ(AG−5000D、株式会社島津製作所製)を用い、銅箔を除去面に対し90℃の角度で50mm/分の速度で引き剥がした際の荷重の平均値を測定し、5回の測定の平均値を求めた。
【0105】
(9)L
*a
*b
*表色系評価
分光測色計(CM−2600d/KONICA MINOLTA SENSING社製)を用いて測定した。
SCI(正反射光含む)モードのL
*値、a
*値、b
*値を用い、ハンター白色度、及びb
*を求めた。
なお、ハンター白色度は下式より算出して求めた。
ハンター白色度=100−((100−L)
2+(a
2+b
2))
1/2
【0106】
(10)異物検査
任意に選出した検査員3人により、同一のプリプレグ(500mm×550mm、100枚)の異物数を目視で評価した。
検査環境は1200〜1500ルクス、検査時間は10分とした。
なお、プリプレグとの色調の違い(例えば、黒色、茶色、銀色、灰色等)等により、明らかに外来混入物と判断できるものを異物とした。
【0107】
実施例、比較例及び製造例において使用した原材料を以下に示す。
ポリフェニレンエーテル:S202A(旭化成ケミカルズ製、数平均分子量19,000、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数1.84個)
低分子量・メタクリル化ポリフェニレンエーテル:MX9000(SABIC製、数平均分子量1,100、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数0.04個)
ビスフェノールA:東京化成工業製
6質量%ナフテン酸コバルトミネラルスピリット溶液:和光純薬工業製
ベンゾイルパーオキサイド溶液:ナイパーBMT K−40(日油製、ベンゾイルパーオキサイドの40質量%キシレン溶液)
テトラブチルアンモニウムヨージド:和光純薬工業製
塩化ベンジル:東京化成工業製
クロロメチルスチレン:和光純薬工業製
トリアリルイソシアヌレート:TAIC(日本化成製)
水添スチレン系熱可塑性エラストマー:タフテックH1041(旭化成製)
シリカ:球状シリカ(龍森製)
デカブロモジフェニルエタン:SAYTEX8010(アルベマールジャパン製)
α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン:パーブチルP(日油製)
クレゾール・ノボラック骨格フェノール樹脂:郡栄化学工業社製 グレード:レヂトップPSM−4261
2,6−キシレノール:東京化成工業製
t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート:Perbutyl I(日油製)
【0108】
<製造例1:低分子量・ポリフェニレンエーテル>
90℃に加温されたオイルバスに10Lのフラスコを設置し、フラスコ内部に毎分30mlで窒素ガスを導入した。以降、操作は常に窒素ガス気流下で行った。ここにポリフェニレンエーテル1kg、及びトルエン3kgを入れ、攪拌溶解させた。更に80gのビスフェノールAをメタノール350gに溶かした溶液を上記フラスコに攪拌しながら加えた。5分間攪拌を続けた後、6質量%ナフテン酸コバルトミネラルスピリット溶液3mlを注射器で加え、5分間攪拌を続けた。続いてベンゾイルパーオキサイド溶液375gにトルエン1125gを加えて、ベンゾイルパーオキサイド濃度が10質量%になるように希釈した溶液を滴下ロートに入れ、上記フラスコに2時間かけて滴下していった。滴下終了後、更に2時間加熱及び攪拌を続け、低分子量化ポリフェニレンエーテルを得た。得られた低分子量化ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は2,800であり、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は1.96個であった。
【0109】
<製造例2:低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテル−1>
製造例1と同様の方法で、メタノールを添加してポリフェニレンエーテルを沈殿させる前の工程まで行い、低分子量・ポリフェニレンエーテルを含む反応液を得た。該反応液の温度を50℃に下げ、水酸化ナトリウム340gをイオン交換水3050gに溶解させた水溶液とテトラブチルアンモニウムヨード31gとを加えて、5分間撹拌した。続いて、塩化ベンジル1070gを加えてから温度50℃で4時間撹拌を続け、低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテルを含む反応液を得た。これに多量のメタノールを加え、低分子量・ベンジル化ポリフェニレネーテルを沈殿させ、ろ別後、乾燥させて低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテル−1を得た。
得られた低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテル−1の数平均分子量は3,000、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は0.01個であった。
【0110】
<製造例3:低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテル−2>
ビスフェノールAを100g、ビスフェノールAを溶解させるメタノールを440gとし、さらにベンゾイルパーオキサイド溶液を425gとする以外は製造例1と同様にして低分子量・ポリフェニレンエーテルを製造し、該低分子量・ポリフェニレンエーテルを用いて製造例2と同様の方法で低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテル−2を得た。
得られた低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテル−2の数平均分子量は2,400、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は0.02個であった。
【0111】
<製造例4:低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテル−3>
ビスフェノールAを130g、ビスフェノールAを溶解させるメタノールを570gとし、さらにベンゾイルパーオキサイド溶液を475gとする以外は製造例1と同様にして低分子量・ポリフェニレンエーテルを製造し、該低分子量・ポリフェニレンエーテルを用いて製造例2と同様の方法で低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテル−2を得た。
得られた低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は1,500、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は0.04個であった。
【0112】
<製造例5:低分子量・ビニルベンジル化ポリフェニレンエーテル>
塩化ベンジル1070gをクロロメチルスチレン1290gに変更する以外は製造例2と同様の方法で、低分子量・ビニルベンジル化ポリフェニレンエーテルを得た。
得られた低分子量・ビニルベンジル化ポリフェニレンエーテルの数平均分子量は3,100、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は0.05個であった。
【0113】
<実施例1〜6、比較例1〜8>
表1に示す樹脂組成のワニスをトルエンを用いて混合し、ワニスを調製した。上記ワニスをガラスクロス(旭シュエーベル株式会社製、商品名「2116」)に含浸させ、乾燥することにより樹脂含有量60質量%のプリプレグを得た。このプリプレグを用いて、前述の方法で硬化時樹脂フロー量を測定した。
【0114】
また、上記得られたプリプレグを2枚重ね、その上下に厚み12μmの銅箔(GTS−MP箔、古川電気工業株式会社製)を重ね合わせたものを、室温から昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力5kg/cm
2の条件で真空プレスを行い、130℃まで達したら昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力30kg/cm
2の条件で真空プレスを行い、200℃まで達したら温度を200℃に保ったまま圧力30kg/cm
2、時間60分間の条件で真空プレスを行うことによって両面銅張積層板を得た。次いで、該銅張積層板を100mm角に切り出し、銅箔をエッチングにて除去し、ガラス転移温度、異物検査、吸水率、及び吸水試験後のはんだ耐熱性を評価するための試料を得た。
【0115】
また、上記で得られたプリプレグを2枚重ね、その上下に厚み35μmの銅箔(GTS−MP箔、古川電気工業株式会社製)を重ね合わせたものを、室温から昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力5kg/cm
2の条件で真空プレスを行い、130℃まで達したら昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力30kg/cm
2の条件で真空プレスを行い、200℃まで達したら温度を200℃に保ったまま圧力30kg/cm
2、時間60分間の条件で真空プレスを行うことによって両面銅張積層板を作製した。この両面銅張積層板を銅箔剥離強度測定用の試料として用いた。
【0116】
また、上記で得られたプリプレグを16枚重ね、室温から昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力5kg/cm
2の条件で真空プレスを行い、130℃まで達したら昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力30kg/cm
2の条件で真空プレスを行い、200℃まで達したら温度を200℃に保ったまま圧力30kg/cm
2、時間60分間の条件で真空プレスを行うことによって積層板を作製した。該積層板を、100mm角に切り出し、誘電率及び誘電正接の測定用試料とした。
【0117】
上記のように、プリプレグ、両面銅張積層板(銅箔:12μm及び35μmの2種)、又は積層板を用い、ガラス転移温度、硬化時の樹脂フロー量、銅箔剥離強度、誘電率、誘電正接、吸水率、及び吸水後のはんだ耐熱性を測定し、表1に示した。
【0118】
表1に示されるように、実施例1〜6においては、いずれも樹脂フロー量が0.3%以上と大きく、誘電正接が0.005以下と小さく、ガラス転移温度も170℃以上と高い。実施例1〜6の積層板は、銅箔剥離強度が高く、耐吸水性が良好で、更にはんだ耐熱性にも優れるものであった。また、実施例1〜6においては、プリプレグについて、白色度が85%以上、b*値が9以下であり、白い基板を形成できた。
【0119】
一方、比較例1〜8は、樹脂フロー量、誘電正接、ガラス転移温度、銅箔剥離強度、耐吸水性、及びはんだ耐熱性の少なくとも何れかが劣るものであった。末端を官能化していないポリフェニレンエーテルと、多い量の低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテルとの混合物を用いた比較例1及び2に関し、比較例1においては、白色度が低く、b
*値が高かった。また比較例2においては、白色度が低かった。未官能化ポリフェニレンエーテルを用いた比較例3及び4に関し、比較例3においては、ガラス転移温度が低く、誘電正接が高く、耐熱性が悪かった。また比較例4においては成形性が悪く、積層板にかすれが生じてしまった。この例では、評価に十分耐える積層板が得られなかったため、他の項目は評価できなかった。未官能化ポリフェニレンエーテルを用い、トリアシルイソシアヌレートを多く用いた比較例5においては、誘電正接が高く、銅箔剥離強度が小さかった。未官能化ポリフェニレンエーテルと低分子量・ベンジル化ポリフェニレンエーテルとを50:50(質量比)の割合で混合した比較例6においては、ガラス転移温度が低く、銅箔剥離強度及びはんだ耐熱性が悪く、白色度が低く、b
*値が高かった。未官能化ポリフェニレンエーテルと低分子量・ビニルベンジル化ポリフェニレンエーテルとを、46:54(質量比)の混合比で用いた比較例7においては、銅箔剥離強度が低く、はんだ耐熱性が悪く、白色度が低く、b
*値が高かった。低分子量・ビニルベンジル化ポリフェニレンエーテルを用いた比較例8においては、銅箔剥離強度が小さく、はんだ耐熱性が悪く、白色度が低く、b
*値が高かった。また、特に比較例6〜8においては、白色度が低く、b
*値が高く、黄色味が強い基板であった。これら比較例6〜8の基板は、異物検査の結果にバラツキが多く、異物量の正確な計測性に欠けるものであった。
【0120】
【表1】
【0121】
本発明の態様の例を上記したが、本発明はこれらの態様に限定されず、特許請求の範囲の精神及び範囲の中で種々の改変が可能であることが理解されよう。