(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上方開口部周縁にフランジ部を形成させてなるとともに内部に果肉及びゼリー液を充填した容器が、略中央に形成させた貫通穴に上から嵌合されて当該貫通穴の周縁に上記フランジ部を係止させることで当該容器を吊下げ可能なバケットと、
上記吊下げられた容器における上記バケットの下端からの吊下げ長よりも短い深さからなり、密閉時に上昇して上記バケットの下側から密閉するとともに上記容器を押し上げることにより上記フランジ部を上記貫通穴の周縁から離間可能な下側チャンバーと、
上記バケットの上側から押し下げることにより当該バケットの上側から密閉可能な上側チャンバーと、
上記上側チャンバー並びに上記下側チャンバーにより囲まれた密閉空間内の気圧を1気圧未満となるように吸気する吸気手段とを備えること
を特徴とする果肉入りゼリー菓子の脱気装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、デザートとして広く親しまれているゼリー菓子は、ゲル特有の柔らかな弾力に富み、また摂取したときに滑らかな舌触りが好まれている。このゼリー菓子は、寒天やゼラチン等のゲル化剤と、果汁や糖液を混合したゾル状の液を混合したゼリー液を調合し、このゼリー液を冷却、固化させることにより凝固させることにより製造することができる。
【0003】
このようなゼリー菓子には、例えばみかんやぶどう等の果肉をゼリーに混合した、いわゆる果肉入りゼリーも特に近年において人気を博している。このような果肉入りゼリーを製造する際には、例えば、容器内にゼリー液と果肉を充填し、上方開口部にフィルム製蓋材をシールして内部を密封する。その後必要に応じて加熱殺菌が行われ、ゼリー液中のゲル化剤溶液をゲル化して出荷されることになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところで、この果肉入りゼリーをゼリー液と混合した場合に、果肉に含まれている空気がゼリー液中に気泡となって残存してしまう。特に果肉が大きい場合には、それに伴って気泡も多く残存してしまう場合が多い。このような気泡がゼリー液中に残存している場合には、ゼリー液が固化した後において、特に見た目の印象が悪くなってしまう。このため、容器内にゼリー液と果肉を充填したあとに、作業員が果肉を棒等で突くことにより、果肉の下側に残存している気泡を抜く必要があった。
【0005】
しかしながら、このような気泡除去工程は、あくまで自動化されたラインで行うのではなく、作業員による手動で行わなければならないため、製造ラインそのものを全自動で行う上での大きな障壁となっており、また製造時間の短縮化を図ることができず、更には製造コストが上昇してしまうという問題点にもなっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、製造時に果肉を充填することによりゼリー液中に発生する気泡を自動的に脱気することが可能な果肉入りゼリー菓子の製造方法、並びに果肉入りゼリー菓子の脱気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る果肉入りゼリー菓子の製造方法は、上述した課題を解決するために、上方開口部周縁にフランジ部を形成させた容器内に果肉及びゼリー液を充填し、略中央に貫通穴を形成させてなるバケットにおける当該貫通穴に上記容器を上から嵌合させ、上記貫通穴の周縁に上記フランジ部を係止させることで上記容器を吊下げつつこれを搬送し、上記吊下げられた容器における上記バケットの下端からの吊下げ長よりも短い深さからなる下側チャンバーを上昇させて上記バケットの下側
から密閉するとともに上記容器を当該下側チャンバーにより押し上げることにより上記フランジ部を上記貫通穴の周縁から離間させ、また上記バケットの上側から上側チャンバーを押し下げることにより当該バケットの上側
から密閉し、上記上側チャンバー並びに上記下側チャンバーにより囲まれた密閉空間内の気圧を1気圧未満となるように吸気することにより、上記容器に充填されたゼリー液内の気泡を脱気し、上記上側チャンバー及び上記下側チャンバーを上記バケットから離間させた後、上記フランジの上面にフィルム製蓋材を貼着することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る果肉入りゼリー菓子の脱気装置は、上述した課題を解決するために、上方開口部周縁にフランジ部を形成させてなるとともに内部に果肉及びゼリー液を充填した容器が、略中央に形成させた貫通穴に上から嵌合されて当該貫通穴の周縁に上記フランジ部を係止させることで当該容器を吊下げ可能なバケットと、上記吊下げられた容器における上記バケットの下端からの吊下げ長よりも短い深さからなり、密閉時に上昇して上記バケットの下側
から密閉するとともに上記容器を押し上げることにより上記フランジ部を上記貫通穴の周縁から離間可能な下側チャンバーと、上記バケットの上側から押し下げることにより当該バケットの上側
から密閉可能な上側チャンバーと、上記上側チャンバー並びに上記下側チャンバーにより囲まれた密閉空間内の気圧を1気圧未満となるように吸気する吸気手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述した構成からなる本発明では、下側チャンバーの深さを、容器におけるバケットからの吊下げ長よりも短く設定しているため、当該下側チャンバーを押し上げることで容器を押し上げることが可能となり、フランジ部をバケットの貫通穴の周縁から離間可能としている。このため、貫通穴が開放されている状態となっているため、吸引部による吸引動作が行われても、上側チャンバーからバケットに至るまでの密閉空間内の空気も吸引することが可能となる。
【0011】
従って果肉が含まれるゼリーを製造する際において、作業員による手動で気泡を脱気する作業を自動的に行うことが可能となり、製造ラインそのものを全自動で行うことが可能となり、また製造時間の短縮化を図ることができ、更には製造コストの低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明を適用した果肉入りゼリー菓子の製造方法を実現するための、果肉入りゼリー菓子の製造ライン1の側面図であり、
図2は、この果肉入りゼリー菓子の製造ライン1を上方から視認した図である。
【0015】
果肉入りゼリー菓子の製造ライン1の各ブロックは、台3上において配設されてなり、容器供給装置8と、充填ホッパー9と、充填シリンダー11と、充填ピストン12と、充填量調整ハンドル13と、充填ノズル14と、真空脱気装置29と、フィルムフィード15と、シール装置20とを備えている。
【0016】
容器供給装置8は、ゼリーを充填するためのプラスチック製の容器21が上段に積み上げられた状態で準備されている。容器供給装置8は、所定タイミングで容器21を台3上に降下させる。その結果、台3上において予め配置されているバケット7にこの容器21が嵌め込まれることになる。
【0017】
充填ホッパー9は、ゼリー溶液を貯留するための貯留容器である。このゼリー溶液は、寒天やゼラチン等のゲル化剤と、果汁や糖液、水分、乳製品、香料、酸味料、着色料等を混合したゾル状の液とが混合されて構成されている。この充填ホッパー9には図示しない加熱部が設けられており、この加熱部を通じてゼリー溶液を加熱することにより、充填ホッパー9内におけるゼリー溶液は液状に保持されることとなる。また、この充填ホッパー9内のゼリー容器は撹拌されていてもよい。
【0018】
ちなみに、この充填ホッパー9は、管路9aを通じて充填シリンダー11へと連続している。そして、当該管路9aを通じて充填ホッパー9内のゼリー溶液を充填シリンダー11へ供給することが可能となる。
【0019】
充填量調整ハンドル13は、充填ピストン12に接続されており、この充填ピストン12により1回のピストン運動を通じて押し出されるゼリー溶液の量を調整するものである。この充填量調整ハンドル13を回転させることにより、充填ピストン12によるピストン運動のストロークを調整することが可能となり、これが容器21に対するゼリー溶液の充填量を決めることとなる。
【0020】
充填シリンダー11は、筒状に構成されてなり、充填ピストン12が内接されてその上下運動を許容可能な構成とされている。この充填シリンダー11には、充填ホッパー9からのゼリー溶液が供給され、これが充填ピストン12によるピストン運動を通じて押し出されることとなる。充填シリンダー11から押し出されたゼリー溶液は、チューブ18を通じて充填ノズル14へと送出されることになる。
【0021】
充填ノズル14は、下方向に延長された先端が先細状のノズルとなるように形成されている。この充填ノズル14は、チューブ18を介して送られてきたゼリー溶液を容器21に対して注入する。
【0022】
ちなみに、上述した充填シリンダー11、充填ピストン12、充填ノズル14の各構成は、コンベアを介して搬送されてくる容器21の列毎に独立して設けられていてもよい。
図2の例では、容器21の列は3列で構成されていることから、これら充填シリンダー11、充填ピストン12、充填ノズル14の各構成も3組に亘って独立して設けられている。
【0023】
真空脱気装置29は、容器21内に充填されたゼリー溶液中の気泡を脱気する装置である。この真空脱気装置29の詳細な構成は後段にて詳述する。
【0024】
フィルムフィード15は、その下方を容器21が通過する際に、その通過速度に合わせて帯状のフィルム製蓋材16を供給する。このフィルムフィード15は、容器21の上面にフィルム製蓋材16を載置する。
【0025】
シール装置20は、その下方を容器21が通過する際においてシールバー20aを下方に向けて押圧するとともにこれを加熱する。その結果、容器21上に載置されているフィルム製蓋材16が容器21に加熱溶着されることとなり、最終的にはフィルム製蓋材16がシールされることとなる。
【0026】
次に、真空脱気装置29の詳細な構成について説明をする。
図3は、真空脱気装置29の構成図である。この真空脱気装置29は、上側から押し下げることによりバケット7の上側を密閉可能な上側チャンバー31と、下側から上昇してバケット7の下側を密閉可能な下側チャンバー32と、上側チャンバー31を上下方向に駆動するための上側シリンダー34と、下側チャンバー32を上下方向に駆動させるための下側シリンダー35と、これら上側シリンダー34及び下側シリンダー35に接続されてなり、これらを制御するための制御部37と、下側チャンバー32に接続された吸引部36とを備えている。
【0027】
図4は、この真空脱気装置29のうち、上側チャンバー31から下側チャンバー32に至るまでの構成を示す斜視図である。
【0028】
上側チャンバー31は、例えば金属製からなり、下側に開口31aが開削された箱状で構成されている。
【0029】
バケット7は、例えば所定の板厚からなる金属板からなり、略中央に貫通穴7aが形成されている。このバケット7における貫通穴7aには、開口部21bの周縁にフランジ部21aを形成させてなる容器21が嵌合可能となる。このとき、バケット7の貫通穴7a周縁に、容器21のフランジ部21aを係止させることで、容器21を吊下げ可能とされている。
【0030】
また、バケット7を構成する金属板の上面には、シーリング材41が貫通穴7aの周囲に亘って周設されている。同様にバケット7を構成する金属板の下面には、シーリング材42が、貫通穴7aの周囲に亘って周設されている。このときシーリング材41は、上側チャンバー31におけるバケット7への当接位置に対応して設けられていることが必要である。同様にきシーリング材42は、下側チャンバー32におけるバケット7への当接位置に対応して設けられていることが必要である。ちなみ、シーリング材41、42は、例えば合成ゴム等で構成されていてもよい。
【0031】
下側チャンバー32は、例えば金属製からなり、上側に開口32aが開削された箱状で構成されている。
【0032】
このような上側チャンバー31をバケット7に向けて上側から当接させ、また下側チャンバー32をバケット7に向けて下側から当接させる。その結果、上側チャンバー31はシーリング材41に当接することで、バケット7の上側が密封されることとなり、下側チャンバー32はシーリング材42に当接することで、バケット7の下側が密封されることとなる。
【0033】
上側シリンダー34は、例えばエアシリンダーや油圧シリンダー油圧等で具体化されるものであり、一端が上側チャンバー31に取り付けられている。この上側シリンダー34は、制御部37による制御に基づいて、上側チャンバー31を上下駆動させる。
【0034】
下側シリンダー35は、例えばエアシリンダーや油圧シリンダー油圧等で具体化されるものであり、一端が下側チャンバー32に取り付けられている。この下側シリンダー35は、制御部37による制御に基づいて、下側チャンバー32を上下駆動させる。
【0035】
吸引部36は、例えば真空ポンプ、コンプレッサー等で構成されている。この吸引部36は、下側チャンバー32に対してホース36aを介して接続されている。吸引部36は、制御部37により指定されたタイミングで吸引動作を行う。これにより、上側チャンバー31及び下側チャンバー32により囲まれた密閉空間内の気圧を1気圧未満となるように吸気することが可能となる。
【0036】
制御部37は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等で構成されており、少なくとも上側シリンダー及び上側シリンダー35の上下駆動タイミングを制御する。この制御は、例えば上側シリンダー34及び下側シリンダー35がエアシリンダーで構成されている場合には、そのエアの供給を切換制御することとなる。かかる場合において、上側シリンダー34及び下側シリンダー35に対して実際にエアの供給を行う図示しないエア供給部を設置するようにしてもよい。そして、その図示しないエア供給部に対して制御部37から制御信号を送信することにより、図示しないエア供給部から、上側シリンダー34及び下側シリンダー35に対して、互いに独立してエアの供給制御を行うようにしてもよい。
【0037】
次に、上述した構成からなる果肉入りゼリー菓子の製造ライン1により、実際に果肉入りゼリー菓子を製造する方法について説明をする。
【0038】
先ず、容器供給装置8から容器21を台3上に降下させる。そして、この台3上において予め設置されているバケット7に容器21を嵌め込む。容器21は、上述したように、上方開口部周縁にフランジ部21aを形成させていることから、バケット7における貫通穴7aの周縁に当該フランジ部21aを係止させることができる。その結果、容器21をバケット7の貫通穴7aの周縁に吊下げ支持した状態でこれを搬送することが可能となる。
【0039】
なお、果肉については、少なくとも後段のゼリー液を注入する以前にこの容器21内に装入されることとなる。
【0040】
このようにして、バケット7に容器21を嵌合させた状態で充填ノズル14の真下まで搬送する。この充填ノズル14では、充填ピストン12によるピストン運動を通じて充填シリンダー11を介して押し出さてきたゼリー液が供給されてくる。充填ノズル14は、この供給されてきたゼリー液を容器21中に注入する。その結果、この容器21内にはゼリー液と果肉とが混合した状態で充填されることとなる。ちなみに、この段階では、ゼリー液中には果肉に含まれていた空気が気泡となって残存している場合もある。
【0041】
次にバケット7に嵌め込まれた容器21を真空脱気装置29まで搬送する。真空脱気装置29では、
図5に示すようなステップS11〜S15に基づいて脱気動作を行う。この
図5では、上側チャンバー31、下側チャンバー32、バケット7及び容器21の構成のみ図示し、それ以外の真空脱気装置の構成は省略している。
【0042】
先ずステップS11において、バケット7に嵌め込まれ、内部に果肉51とゼリー液52が充填された容器21を、上側チャンバー31と下側チャンバー32の間に位置させる。
【0043】
この段階では、上側チャンバー31は上側に押し上げられ、下側チャンバー32は下側に押し下げられた状態にあることから上側チャンバー31と下側チャンバー32との間に、バケット7に嵌め込まれた容器21を挿入することが可能となる。なお、このステップS11においては、容器21は、バケット7から吊下げられた状態にあるが、かかる状態の下で、このバケット7の下端面から、容器21の底面に至るまでの長さを吊下げ長A1とする。また下側チャンバー32における上端からの深さをB1とする。このとき下側チャンバー32の深さB1は、容器21におけるバケット7の下端からの吊下げ長A1よりも短くなるように設定されているものとする。
【0044】
次にステップS12へ移行し、下側チャンバー32をバケット7に向けて押し上げる。この下側チャンバー32の押し上げ動作は、上述した下側シリンダー35による動作に基づいて実行する。その結果、下側チャンバー32の上端がバケット7の下端面に当接することとなる。このとき、シーリング材42が下側チャンバー32におけるバケット7への当接位置に対応して設けられていることから、かかる当接時において下側チャンバー32の上端がシーリング材42に接触した状態で当接することとなる。その結果、下側チャンバー32とバケット7との間は、シーリング材42によって遮られることとなるため、下側チャンバー32内はバケット7に対して密封可能な状態とすることが可能となる。
【0045】
また上述したように、下側チャンバー32の深さB1は、容器21におけるバケット7の下端からの吊下げ長A1よりも短くなるように設定されている。このため、バケット7に向けて下側チャンバー32を押し上げると、これに伴って容器21も上側に向けて押し上げられる。その結果、容器21におけるフランジ部21aを貫通穴7aの周縁から離間させることが可能となる。
【0046】
次にステップS13へ移行し、上側チャンバー31をバケット7に向けて押し下げる。この上側チャンバー31の押し下げ動作は、上述した上側シリンダー34による動作に基づいて実行する。その結果、上側チャンバー31の下端がバケット7の上端面に当接することとなる。このとき、シーリング材41が上側チャンバー31におけるバケット7への当接位置に対応して設けられていることから、かかる当接時において上側チャンバー31の下端がシーリング材41に接触した状態で当接することとなる。その結果、上側チャンバー31とバケット7との間は、シーリング材41によって遮られることとなるため、上側チャンバー31内はバケット7に対して密封可能な状態とすることが可能となる。
【0047】
このステップS12、S13の工程により上側チャンバー31からバケット7における貫通穴7aを経て下側チャンバーに至るまで外部に対して密封された状態となっている。また、容器21におけるフランジ部21aを貫通穴7aの周縁から離間させることにより、貫通穴7aがフランジ部21aによって塞がれることなく開放された状態とすることが可能となる。
【0048】
なお、上述したステップS12、S13では、最初に下側チャンバー32をバケット7に向けて押し上げ、次に上側チャンバー31をバケット7に向けて押し下げる場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。最初に上側チャンバー31をバケット7に向けて押し下げ、次に下側チャンバー32をバケット7に向けて押し上げるようにしてもよいし、これらの動作を互いに同時に行うようにしてもよい。
【0049】
更にこのステップS13では、上側チャンバー31からバケット7における貫通穴7aを経て下側チャンバーに至るまでの密閉空間内の空気を吸引部36により吸引する。その結果、この密閉空間内の空気は、1気圧未満となる。
【0050】
このようにして、密閉空間内の気圧を下げることにより、容器21内のゼリー液中に残存している気泡が順次抜けることとなる。仮に気泡が果肉51の下側に残存していたとしても、密閉空間内の気圧を低くすることにより、気泡はゼリー液中を順次浮上して抜けていくこととなる。その結果、ゼリー液中にある気泡を全て脱気することが可能となる。
【0051】
特にこのステップS13における脱気動作の過程では、容器21におけるフランジ部21aを貫通穴7aの周縁から離間させていることから、貫通穴7aが開放されている状態となっている。このため吸引部36による吸引動作が行われても、上側チャンバー31からバケット7に至るまでの密閉空間内の空気も吸引することが可能となる。脱気終了後、吸引部36による吸引動作を終了させる。
【0052】
また、このステップS13における脱気動作では、上側チャンバー31を閉めて吸気を行う際には、上側チャンバー31又は下側チャンバー32に取り付けられた図示しない吸気バルブを開くことにより、チャンバー内の空気を脱気する。このとき、チャンバー内部の空気圧については図示しない真空センサを介して計ることとし、真空センサにより、内部の真空度が一定のレベルに到達したことが計測された場合には、上述した吸気バルブを閉じる。ちなみに、この目標とする真空度については、個々の製品毎に最も脱気できるレベルが予め鋭意検討された上で設定されるものとする。
【0053】
次にステップS14へ移行し、上側チャンバー31を上側に押し上げることにより、これをバケット7から離間させる。これにより、上述した密閉空間は開放されることとなる。なお、ステップS14では、上側チャンバー31を最初から押し上げるのではなく、先ず上側チャンバー31又は下側チャンバー32に取り付けられた図示しない入気バルブを開くことにより、チャンバー内に入気し、チャンバー内が大気圧に到達した段階で入気バルブを閉め、その上で上側チャンバー31を押し上げるようにしてもよい。 次にステップS15へ移行し、下側チャンバー32を下側に押し下げる。その結果、下側チャンバー32によって押し上げられていた容器21は、再びフランジ部21aが貫通穴7aの周縁によって吊下げ支持されることとなる。
【0054】
上述の如きステップS11〜S15に至るまでの真空脱気装置29による脱気動作を終了させた後、フィルムフィード15により、容器21の上面にフィルム製蓋材16を載置する。
【0055】
更にシール装置20により、容器21上に載置されているフィルム製蓋材16を加熱して押圧することにより、これを容器21に加熱溶着させてシールする。
【0056】
フィルムフィード15は、その下方を容器21が通過する際に、その通過速度に合わせて帯状のフィルム製蓋材16を供給する。このフィルムフィード15は、容器21の上面にフィルム製蓋材16を載置する。
【0057】
シール装置20は、その下方を容器21が通過する際においてシールバー20aを下方に向けて押圧するとともにこれを加熱する。その結果、容器21上に載置されているフィルム製蓋材16が容器21に加熱溶着されることとなり、最終的にはフィルム製蓋材16がシールされることとなる。
【0058】
このように、本発明を適用した果肉入りゼリー菓子の製造ライン1は、下側チャンバー32の深さを、容器21におけるバケット7からの吊下げ長よりも短く設定しているため、当該下側チャンバー32を押し上げることで容器21を押し上げることが可能となり、フランジ部21aをバケット7の貫通穴7aの周縁から離間可能としている。このため、貫通穴7aが開放されている状態となっているため、吸引部36による吸引動作が行われても、上側チャンバー31からバケット7に至るまでの密閉空間内の空気も吸引することが可能となる。
【0059】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。ゼリー菓子の製造ライン1全体を用いることなく、真空脱気装置29のみを独立して実施するようにしてもよい。即ち、他のラインでゼリー液や果肉が充填された容器21をこの真空脱気装置29を利用して脱気するようにしてもよいことは勿論である。