(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の放熱部材と前記外装カバー側面とが弾性を有する第3の放熱部材を介して熱的に接続されており、前記電子素子から前記ベース部材への熱伝達経路とは異なる方向に熱伝導経路を構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
前記電池室は前記外装カバー前面と前記第1の放熱部材との間に配置され、前記電池は少なくとも前記外装カバー前面と前記第1の放熱部材のどちらか一方と直接対向することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの高性能化や多機能化のニーズがますます高まっており、これにより、イメージャの高画素化、駆動及び信号処理の高速化、画像処理の高速化が進んでいる。そのため、それらの機能を受け持つ電子素子の消費電力が増加することで電子素子からの発熱が増大している。デジタルカメラでは発熱により電子素子の温度上昇が生じると、処理の誤動作が起こったり、或いは、デジタルカメラの外観部において、発熱する電子素子に近い部分の温度が局所的に上昇することが問題となる。
【0003】
高性能化や多機能化と同時にデジタルカメラの小型化や薄型化も望まれている。カメラの小型化・薄型化を進めた結果、発熱する電子素子同士が接近して互いに加熱してしまうおそれがある。特に、イメージャユニットに熱が伝わってイメージャ及びイメージャ回路の温度が上昇すると、暗電流や信号の読み出し等におけるノイズが増加して画質が低下してしまう。また、電子素子と外観部との距離も短くなるため、外観部に伝わる熱量が増加して温度上昇がさらに大きくなってしまう。
【0004】
これらの問題を解消するための種々の技術が従来より提案されている。例えば、特許文献1に開示の発明では、アルミニウム合金の板材からプレス形成された金属筐体11の内側に、インサート成形により高熱伝導樹脂のインナー12を一体成形する。インナー12は、撮像素子保持板金21bと接触する板バネ12bと、IC22aと接触する板バネ12cとを有する構成としている。
【0005】
これにより、撮像素子21aで発生した熱が撮像素子保持板金21bを介して板バネ12bに伝わると共に、IC22aで発生した熱が板バネ12cに伝わる。板バネ12b、12cに伝えられた熱がインナー12の内部を伝わって金属筐体11に伝わり、金属筐体11の表面から空気中に効率よく放熱されるとしている。
【0006】
また、特許文献2に開示の発明では、カメラ本体1のグリップ部8の内部に配置され、カメラ本体1内部の熱源となる電源回路部17−1で発生した熱が伝導される蓄熱部材9と、グリップ部8から離れたストロボ装置12側でカメラ本体1の内部に配置され、カメラ本体1内部の熱源となるCCDセンサ等の撮像素子14で発生した熱が伝導される蓄熱部材11とを備える構成としている。そして、ストロボ装置12側での外装カバーの内面と蓄熱部材11との間の距離を、グリップ部側での外装カバーの内面と蓄熱部材9との間の距離より短くしている。
【0007】
これにより、電源回路部17−1で発生した熱は伝熱板10を介して熱容量の大きい蓄熱部材9に伝導して拡散され、この結果、グリップ部8の内部に配置された電源回路部17−1での局所的な温度上昇を抑えることができるとしている。また、撮像素子14で発生した熱は伝熱板18及び伝熱板19を介して熱容量の大きい蓄熱部材11に伝導して拡散され、この結果、撮像素子14での局所的な温度上昇を抑えることができるとしている。
【0008】
また、特許文献3に開示の発明では、発熱性の電子部品12を搭載した発熱性基板10と、発熱性基板10よりも発熱量が小さい少なくとも1枚の非発熱性基板30とを、互いの表面が対向するように略平行に隣接して配置し、発熱性基板10と非発熱性基板30の間に双方の基板表面に密着するように熱伝導部材20を設ける構造としている。発熱性基板は、例えば、固体撮像素子を制御する集積回路などの発熱量の大きい電子部品を少なくとも搭載した基板であり、この基板全体の発熱量が大きく、使用時に高温になりやすいものである。一方、非発熱性基板は、例えば、発熱量が小さい電子回路を搭載するなど、発熱性基板に比べて基板全体の発熱量は小さく、使用時に発熱性基板よりも高温にならないようにした基板である。各基板は、例えば外装ボディ24などと接続させる構造としている。
【0009】
これにより、発熱性基板10によって発生した熱が非発熱性基板30を通して放熱するため、外装ボディ24が高温になることを防止できるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで近年、いわゆる高級コンパクトデジタルカメラと呼ばれる種類のデジタルカメラに対するニーズが非常に高まっている。高級コンパクトデジタルカメラは、レンズ交換式一眼レフデジタルカメラと比べて小型化・薄型化を達成しつつも、一眼レフデジタルカメラに匹敵するような画質を得ることに重点を置いて企画・開発されたデジタルカメラである。一眼レフデジタルカメラのような高画質を得るために、高級コンパクトデジタルカメラには一般的なコンパクトデジタルカメラに採用されているものに対して数倍の大きさを持つイメージャが採用されている。
【0012】
イメージャの大型化に伴って、イメージャや画像処理用の制御回路等も大型化・複雑化され、また、イメージャの性能を最大限に引き出すために、カメラに搭載される撮像光学系も大径化されることとなる。そのため、高級コンパクトデジタルカメラでは、イメージャ及び回路の大型化・複雑化と、カメラ本体の小型化・薄型化という、相反する目的を達成するために多大な努力が払われている。特に、制御回路の大型化・複雑化に伴って、これらの回路から発生される熱も増大することになるため、高級コンパクトデジタルカメラの開発において熱対策は重要な要素の一つとなっている。
【0013】
そこで、上記の特許文献を高級コンパクトデジタルカメラに適用した場合を考えると、種々の問題点が存在する。すなわち、特許文献1に開示の発明では、金属筐体11の内側に樹脂製のインナー12をインサート成形しているため、大径で重い撮像光学系を搭載する場合に、カメラ外観の強度を高める目的で金属製の補強部材を取り付けることが難しく、カメラ外観のたわみや光軸のずれが発生するおそれがある。
【0014】
また、特許文献2に開示の発明では、グリップ部8の内部に配置されたアルミニウムから成る蓄熱部材9と外装カバー20との間に空間23を設けている。このため、蓄熱部材9に蓄熱される熱はカメラ外部に伝わることなくカメラ内に閉じ込められるが、高級コンパクトデジタルカメラに実装されるような複雑な制御回路から発生される大きな熱を全て蓄えるだけの熱容量を確保することは難しい。カメラの内部には空気の対流はないため、蓄熱部材9は自然放熱することができず、一定の温度になるとそれ以上の熱を蓄えることができなくなる。その結果、熱源である電源回路部17−1で発生する熱が十分に拡散されないため、電源回路部17−1の温度が上昇して故障や誤動作が発生するおそれがある。
【0015】
また、特許文献3に開示の発明では、外観へ熱を移動するようにするために、発熱量の異なる2種類の基板を用いている。そのため、2種類の基板の間で発熱量が大きく異なるように電子部品の種類や配置を工夫する必要が生じ、回路基板の設計自由度が低下してしまう。高級コンパクトデジタルカメラでは大型化・複雑化された回路基板をカメラ内にできるだけコンパクトに収容する必要があるため、設計自由度の低下は大きな問題となる。
【0016】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、大径の光学系であっても支持可能な十分な強度を確保しつつ、電子素子から発生した熱を効率よく拡散させて外観部の局所的な温度上昇を抑制することが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明を実施の撮像装置は、結像光学系を内包するレンズユニットと、金属製の外装カバーと、外装カバーから突出して設けられ、少なくともレンズユニットの一部が緩挿される鏡筒ユニットと、イメージャとイメージャ基板とを有するイメージャユニットと、イメージャユニットが固定され、イメージャの傾き調整を行う金属製のベース部材と、発熱性の電子素子が実装されたメイン基板と、電池を収容する電池室と、金属製の第1の放熱部材と、弾性を有する第2の放熱部材とを有し、イメージャユニットとメイン基板とは光軸と略直交する方向に隣接して配置され、第1の放熱部材はメイン基板と対向して配置され、第2の放熱部材は第1の放熱部材と電子素子との間に挟持され、
ベース部材と第1の放熱部材とは熱的に接続されることを特徴とする。
【0018】
さらに本発明を実施の撮像装置は、上記発明において、外装カバーはベース部材に固定され、レンズユニットはベース部材に固定され、鏡筒ユニットは外装カバーを介してベース部材に固定されイメージャユニットは、ベース部材との間に熱伝導性を有するワッシャを挟持することで傾き調整されることを特徴とする。
【0019】
さらに本発明を実施の撮像装置は、上記発明において、第1の放熱部材と外装カバー側面とが弾性を有する第3の放熱部材を介して熱的に接続されており、電子素子からベース部材への熱伝達経路とは異なる方向に熱伝導経路を構成することを特徴とする。
【0020】
さらに本発明を実施の撮像装置は、上記発明において、電池室は外装カバー前面と第1の放熱部材との間に配置され、電池は、少なくとも外装カバー前面と第1の放熱部材のどちらか一方と直接対向することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明を実施の撮像装置によれば、大径の光学系であっても支持可能な十分な強度を確保しつつ、電子素子から発生した熱を効率よく拡散させて外観部の局所的な温度上昇を抑制でき、発熱量の大きな画像処理IC及びイメージャを光軸と概ね直交する方向に隣接して配置しながらも、一方で発生した熱が他方に伝達するのを防止でき、さらに、熱の伝達経路を利用して電池を温めることで、低温環境下での電池の容量低下を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面に従って、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0024】
図1に示す斜視図には、本発明の一実施形態であるデジタルカメラ100の背面側外観が示されている。デジタルカメラ100は、
図1に示すように、その上面に、カメラ上面側の外観を形成するトップカバー110と、レリーズボタン111と、コマンドダイヤル112と、電源ボタン113と、モードボタン114と、ホットシュー115とを備えている。
【0025】
ユーザがレリーズボタン111を半押しすることで公知のAF機能が動作し、所望する被写体に合焦する。続けてレリーズボタン111を全押しすることで、あらかじめ設定された撮影条件での撮像が行われ、メモリーカード等の不図示の記録媒体に撮影された画像データが記録される。
【0026】
コマンドダイヤル112は、回動可能なダイヤル式のスイッチで構成されている。ユーザは、コマンドダイヤル112を回動させることで、所定のパラメータや撮影モードを変更することができる。
【0027】
モードボタン114は、上述したコマンドダイヤル112の回動により変化されるパラメータや機能を切り替える。具体的には、モードボタン114を押すことにより、コマンドダイヤル112で露出モードの変更を行えるようになる。露出モードの種類には、例えば、静止画を撮影するモードと、動画を撮影するモードとがある。静止画用のモードとしては、撮影条件を自動で決定するオートモードの他に、マニュアルモード、絞り優先オートモード、シャッタスピード優先オートモード等がある。
【0028】
ホットシュー115には、外部ストロボや外付けファインダー等のカメラ用アクセサリーを取り付けることができ、これにより、環境光の不足により撮影が難しい条件においても、撮影が可能となる。
【0029】
デジタルカメラ100の前面には、カメラ前面側の外観部を形成するフロントカバー120と、フロントカバー120から突出して配置された鏡筒ユニット130とを備えている。この結像光学系によって、被写体からの光を不図示の撮像素子に結像させることで、被写体画像が撮像され、電子データとして取得される。
【0030】
デジタルカメラ100の背面には、カメラ背面側の外観を形成するリアカバー140と、LCD表示装置141と、背面操作部材142とが備えられている。背面操作部材142は、十字ボタンとOKボタンの他にも、削除ボタンと、QSボタンと、メニューボタンと、再生ボタンと、ディスプレイボタンとから構成されている。十字ボタンは、上下左右の4つの方向キーで構成されている。これらの方向キーを使用することによって、ユーザはLCD表示装置131に表示される種々のメニュー間の移動や選択等の操作を行うことが可能となる。
【0031】
図2は、
図1のデジタルカメラ100において、トップカバー110を含む上面を構成するユニットとリアカバー140を含む背面側を構成するユニットとを取り除いた分解斜視図である。
【0032】
本発明を実施のデジタルカメラ100は、
図2に示すようにイメージャユニット210とメイン基板220とが、結像光学系の光軸と概ね直交する方向に隣接して配置されている。イメージャユニット210とメイン基板220とは不図示のフレキシブルプリント基板により電気的に接続されている。メイン基板220には種々の電子素子が実装されており、特に、メイン基板220のフロント側表面には、
図5の断面図に示すように、デジタルカメラ100全般の制御を行うメインCPU221と取得された画像データに対して画像処理を行う画像処理CPU222とが実装されている。
【0033】
これらの電子素子は、デジタルカメラ100駆動中の発熱量が特に大きいものであり、特許請求の範囲に記載の発熱性の電子素子に該当する。以降では、メインCPU221と画像処理CPU222を総称して発熱性電子素子と呼ぶこととする。
【0034】
メイン基板220には不図示のメモリーカードを収容するためのカードモジュール223も実装されている。また、メイン基板220のフロント側には、デジタルカメラ100に電力を供給する電池231を収容するための電池室230が設けられている。デジタルカメラ100の底面には、ユーザがこれらの電池室230及びカードモジュール223にアクセスするための電池蓋ユニット240が設けられている。
【0035】
図3a乃至
図3cは、光軸側の各ユニットの分解・取付状況を説明するための分解斜視図である。イメージャユニット210は、
図3aに示すように金属製のベース部材250に対して、リア側からネジで3箇所固定されている。これらのネジは、ベース部材250とイメージャユニット210との間に金属製のワッシャ251を挟み込んでいる。これらのワッシャ251の枚数若しくは厚みを適切に調節することによって、ベース部材250に対するイメージャユニット210の傾きを調整することが可能となっている。
【0036】
レンズユニット260は、
図3bに示すようにフロントカバー120に設けられている開口にリア側から挿入され、金属製のベース部材250に対して、リア側からネジで3箇所固定されている。この状態で、レンズユニット260のフロント側の一部がフロントカバー120より被写体側に突出している。このレンズユニット260は結像光学系を保持し、デジタルカメラ100のフォーカス動作又はズーム動作に応じて結像光学系の所定のレンズを光軸方向に進退させる。
【0037】
アクチュエータユニット261は、このフォーカス動作又はズーム動作のための駆動源として働き、メイン基板220の所定の電子素子と不図示のフレキシブルプリント基板により電気的に接続されている。なお、本発明を実施のデジタルカメラ100に実装される結像光学系は単焦点レンズであるため、このアクチュエータユニット261はフォーカスモータとして機能する。
【0038】
鏡筒ユニット130は、
図3cに示すように、デジタルカメラ100のフロントカバー120から被写体側に突出しており、金属製のベース部材250に対して、リア側からネジで3箇所固定されている。このとき、鏡筒ユニット130とベース部材250との間にはデジタルカメラ100のフロントカバー120が挟まれている。この鏡筒ユニット130によってレンズユニット260の被写体側に突出した部分が覆い隠されている。
【0039】
鏡筒ユニット130の外周面には回転自在に保持されたフォーカス操作リング131が設けられている。また、鏡筒ユニット130内には不図示の検出センサが設けられており、メイン基板220の所定の電子素子と不図示のフレキシブルプリント基板により電気的に接続されている。ユーザの回転操作によってフォーカス操作リング131が回転されると、検出センサによって回転量が検出され、メイン基板220上の所定の電子素子によってアクチュエータユニット261の駆動量が算出される。これにより、フォーカス操作リング131の回転量に対応した分だけレンズユニット260内のフォーカスレンズが駆動され、被写体へのピント調整が行われる。
【0040】
また、フロントカバー120は、金属製のベース部材250に対してフロント側からネジで3箇所固定されている。上述したように、フロントカバー120は鏡筒ユニット130とベース部材250との間に挟まれるようにして固定されているが、本発明を実施のデジタルカメラ100では、フロントカバー120をベース部材250に直接固定するようにもしている。
【0041】
このように、本発明を実施のデジタルカメラ100では、イメージャユニット210、レンズユニット260、鏡筒ユニット130、そしてフロントカバー120が概ね円環形状のベース部材250に対してそれぞれ直接固定される構成としている。すでに述べたように、いわゆる高級コンパクトデジタルカメラではイメージャの大型化、結像光学系の大口径化、そしてメイン基板の大型化が行われているが、結像光学系の光軸上に位置する各ユニットを、金属製の強固なベース部材250に直接固定する構成とすることによって、自重による結像光学系の倒れを防ぐのに十分な支持強度が確保できる。さらに、ベース部材250とイメージャユニット210との間でイメージャユニット210の傾き調整を行うようにしているので、結像光学系の光軸とイメージャのアライメントが高い精度で確保できる。
【0042】
図4は、
図3cに示したデジタルカメラ100において、メイン基板220側の分解・取付状況を説明するための分解斜視図である。メイン基板220は、メイン基板220のフロント側に配置されている電池室230に対してリア側からネジで3箇所固定されている。
【0043】
メイン基板220と電池室230との間には、
図4に示すように銅板301が配置されている。この銅板301は、イメージャユニット210寄りに設けられた取付部301aにおいて、ベース部材250に対してネジで固定されている。また、銅板301のカメラ側面寄りに設けられた位置決め部301bにおいて、電池室230に対して位置決めされている。
【0044】
銅板301のリア側表面には弾性を有する熱伝導性シート302が2つ配置されている。この熱伝導性シート302は、メイン基板220のフロント側表面に実装された発熱性電子素子であるメインCPU221と画像処理CPU222それぞれに対応する位置に配置されており、これらの発熱性電子素子と銅板301との間に挟まれるようにして固定されている。固定に際しては、表面に粘着性を有する熱伝導性シート302を用いてもよいし、熱伝導性を有する両面粘着テープを用いて接着してもよい。
【0045】
また、銅板301のカメラ側面寄りの端部には押圧部301cが設けられている。押圧部301cと連結板270との間には弾性を有する熱伝導性ラバー303が位置しており、連結板270に対して押圧部301cが熱伝導性ラバー303を押圧している。連結板270にはフロントカバー120の側面部分とリアカバー140の側面部分とがそれぞれネジで固定されており、これによりデジタルカメラ100の外観が形成されている。銅板301の押圧部301cはリア側に折り曲げられており、熱伝導性ラバー303との接触面積が広くなるような形状となっている。
【0046】
なお、銅板301は特許請求の範囲に記載の第1の放熱部材に該当しており、熱伝導性シート302は特許請求の範囲に記載の第2の放熱部材に該当しており、熱伝導性ラバー303は特許請求の範囲に記載の第3の放熱部材に該当している。
【0047】
以上で説明した構成のデジタルカメラ100において、メイン基板220に実装された発熱性電子素子で発生した熱がどのような経路で伝達されていくかを、
図5を用いて説明する。
図5はデジタルカメラ100の断面図であり、説明のために熱の伝達を模式的に示す矢印を記入してある。
【0048】
発熱性電子素子(本実施例ではメインCPU221及び画像処理CPU222)で発生した熱は、発熱性電子素子のフロント側に密着されている熱伝導性シート302に流入し、さらに、この熱伝導性シート302と密着されている銅板301に流入する。銅板301はプレス加工等により成形された厚みの薄い部材であるが、銅製であるために高い熱伝導率を有している。そのため、銅板301自体の熱容量がそれ程大きくはないが、流入してきた熱を効率よく拡散させることが可能となっている。
【0049】
銅板301はベース部材250とネジによって直接固定されており、両部材は熱的に接続された状態となっている。上述したようにベース部材250は金属製であり、また、イメージャユニット210等の複数のユニットを支持固定する強度を得るためにある程度の体積を有している。そのため、ベース部材250自体の熱容量が大きく、ネジによって熱接続された銅板301から流入する熱を多く溜め込むことが可能となっている。
【0050】
さらに、このベース部材250はデジタルカメラ100のフロントカバー120とネジによって直接固定されており、熱的に接続されているため、ベース部材250に蓄積された熱の一部は順次フロントカバー120に流入する。フロントカバー120はプレス加工等により成形された厚みの薄い金属部材であるが、デジタルカメラ100の前面ほぼ全てを覆う大きさを有しているため熱容量が大きい。また、広い表面積を有しているため、外気への放熱が効率的に行われることになる。
【0051】
一方、銅板301と連結板270との間には熱伝導性ラバー303が挟み込まれており、銅板301は金属製の連結板270と熱的に接続されている。この連結板270はフロントカバー120及びリアカバー140とネジで固定されている。そのため、銅板301に流入した発熱性電子素子の熱は、デジタルカメラ100の側面側からフロントカバー120とリアカバー140とに流入することになるので、外気への放熱が効率的に行われる。
【0052】
すなわち、本発明を実施のデジタルカメラ100では、発熱性電子素子で発生した熱は、発熱性電子素子よりも光軸寄りに設けられた金属製のベース部材250を介してフロントカバー120から外気へ放熱されると同時に、光軸とは反対の方向、すなわちデジタルカメラ100の側面側に設けられた熱伝導性ラバー303を介してフロントカバー120及びリアカバー140から外気へ放熱されている。これにより、より多くの熱を効率よく外気へ放熱することが可能となっている。
【0053】
上述したように、電池231を収納する電池室230は銅板301とフロントカバー120との間に位置しており、さらに、フロントカバー120とは隣接している。電池231はデジタルカメラ100の長手方向と平行な向きに収納されており、銅板301とも平行となっている。電池室230は樹脂製の成形品であり、
図4にも示されているように、フロントカバー120と銅板301にそれぞれ対向する面は開放面となっており、電池231がフロントカバー120と銅板301とに直接対向されている。
【0054】
デジタルカメラ100に利用される電池231は、一般的に低温時に容量が低下するという性質を有しており、スキー場等での使用時に撮影枚数が著しく減少してしまうという問題が発生することがある。そこで、本発明を実施のデジタルカメラ100では上記の構成とすることで、フロントカバー120と銅板301からの放射熱が電池231に到達し、電池231の温度低下を抑えることが可能となっている。
【0055】
このように、発熱性電子素子で発生した熱で電池231を直接温めるのではなく、熱の伝達経路を形成する銅板301及びフロントカバー120に流入した熱を利用して電池231を温める構成としたことで、電池231の局所的な温度上昇や、電池231全体の必要以上の加熱という事態が生じることがない。
【0056】
大型のイメージャを備える高級コンパクトデジタルカメラでは、イメージャ本体からの発熱についても適切に放熱する必要がある。上述したように、イメージャ本体を搭載するイメージャユニット210はベース部材250に対して金属製のワッシャ251を介してネジで固定されている。そのため、イメージャ本体で発生した熱はイメージャユニット210を介してベース部材250に流入することになり、その後はフロントカバー120に流入して外気へ放熱される。
【0057】
上述したようにベース部材250は大きな熱容量を有しているので、駆動して上昇したイメージャ本体温度をベース部材250の温度が上回ることはない。すなわち、常にイメージャユニット210からベース部材250に熱が流入するような温度勾配となっているため、ベース部材250からイメージャユニット210に熱が逆流することはない。これにより、本発明を実施のデジタルカメラ100のように、カメラの主要な熱源である発熱性電子素子を実装したメイン基板220とイメージャ本体を搭載したイメージャユニット210とを光軸と概ね直交する方向に隣接して配置する構成において、一方の熱源からベース部材250に流入した熱が他方の熱源に流入し、悪影響を与えるということは起こらない。
【0058】
なお、上述した実施例において、発熱性電子素子をメインCPU221と画像処理CPU222の2つとし、これらの素子にそれぞれ熱伝導性シート302(第2の放熱部材)を接触させる構成としたが、これらの個数はこれに限られるものではない。ただし、熱伝導性シート302の数はフロント側に実装される発熱性電子素子の数と等しいのが好ましい。
【0059】
また、銅板301に流入した熱は熱伝導性ラバー303と連結板270を介してフロントカバー120の側面部分へと移動することとしたが、連結板270を介さずに熱伝導性ラバー303を直接フロントカバー120に密着させることで熱経路を構成してもよい。
【0060】
また、電池室230と銅板301、若しくは電池室230とフロントカバー120との間に熱伝導性を有する部材を配置した構成としてもよい。このような部材としては、例えば、カメラ本体の強度向上や静電気対策を目的とした金属板等が考えられる。熱伝導性を有する部材であれば、銅板301やフロントカバー120に流入した熱が電池231に伝わるので、低温時の電池231の性能低下を防ぐことが可能である。
【0061】
以上で説明したように、本発明を実施のデジタルカメラ100によれば、大径の光学系であっても支持可能な十分な強度を確保しつつ、電子素子から発生した熱を効率よく拡散させて外観部の局所的な温度上昇を抑制でき、発熱量の大きな画像処理IC及びイメージャを光軸と概ね直交する方向に隣接して配置しながらも、一方で発生した熱が他方に伝達するのを防止でき、さらに、熱の伝達経路を利用して電池を温めることで低温環境下での電池の容量低下を抑えることができる。