特許第5952131号(P5952131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952131
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 17/08 20060101AFI20160630BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20160630BHJP
   F21V 5/00 20150101ALI20160630BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20160630BHJP
   G02B 3/02 20060101ALI20160630BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20160630BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160630BHJP
【FI】
   G02B17/08 A
   F21S2/00 100
   F21V5/00 510
   F21V5/04 100
   G02B3/02
   G02B3/08
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-180868(P2012-180868)
(22)【出願日】2012年8月17日
(65)【公開番号】特開2014-38233(P2014-38233A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227364
【氏名又は名称】日東光学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169188
【弁理士】
【氏名又は名称】寺岡 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 史紀
【審査官】 森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3172217(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0128921(US,A1)
【文献】 特開2010−251073(JP,A)
【文献】 米国特許第7270454(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0247173(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/00 − 3/14
G02B 5/04 − 5/06
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
F21S 2/00
F21V 5/04 − 5/08
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色LEDと黄色蛍光体との組み合わせで白色光を発する発光部材と、上記発光部材が発する光を透過するレンズを有する発光装置において、
上記発光部材は、その発光の中心となる発光中心を有する発光平面を有し、
上記発光中心から出射する光が、発光平面上に半球状の光出射領域を形成し、
上記発光平面は、上記レンズの光軸と垂直な平面であり、
上記発光中心からの出射光と発光平面とで形成される角度が、50°以下の範囲の上記光出射領域を中心領域よりも周辺側の領域とし、
それ以外の出射光の光出射領域を、上記中心領域とし、
上記レンズは、
記中心領域であり、上記発光部材が発する全発光量の60%以上80%以下の光を入射する第1入射面および第2入射面と、
記周辺側の領域であって上記発光部材が発する発光量のうち、上記中心領域への入射光以外の光の90%以上の光で、且つ上記中心領域よりも黄色成分を多く有する光を入射する第3入射面と、を有し、
上記第2入射面および第3入射面に入射した光を反射する反射面を有し、
上記第1入射面に入射した光および上記反射面で反射された光を出射する出射面を有し、
上記反射面は、上記発光部材側から上記出射面側に向かうに従い、上記発光部材の光出射範囲の周辺側に向かって広がる面であり、
上記第1入射面は、上記発光部材が発する光が入射する面であり、
上記第2入射面は、上記第1入射面から上記発光部材に近づく方向に延びる面であり、
上記第3入射面は、上記第2入射面から延びて上記反射面のうち上記発光部材側に近接し、上記第2入射面から上記発光部材の周囲側に1回または2回傾斜する傾斜面であり、入射する光が広がるように屈折させ、
上記第2入射面から入射し、上記出射面から出射する光と、上記第3入射面から入射し、上記出射面から出射する光との出射方向が平行で、かつ光の広がり角度が等しいことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1記載の発光装置において、
前記反射面は、前記第2入射面から入射した光を反射する第1反射面と、前記第3入射面から入射した光を反射する第2反射面と、を有し、
上記第1反射面が、前記発光部材側から前記出射面側に向かうに従う広がりは、上記第2反射面が、前記発光部材側から前記出射面側に向かうに従う広がりよりも小さいことを特徴とする発光装置
【請求項3】
請求項1または2記載の発光装置において、
前記第2入射面と第3入射面をなだらかにつなぐ、r部を有していることを特徴とする発光装置
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記出射面は、前記発光部材の光出射範囲の周辺側から前記発光部材の光出射範囲の中心領域に向かって階段状に前記発光部材に近づく形状、
前記出射面全体が凹面となった形状、前記出射面全体が凸面となった形状、所定間隔にプリズムが複数個形成された形状、すりガラス状に微細な凸凹を有する形状、
のいずれか一つ以上の形状を有することを特徴とする発光装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白系の発光LED(Light Emitting Diode)を用いた発光装置では、発光LEDの光出射範囲の中心領域よりも周辺側の領域の光に起因して色むらが生じることが知られている。
白系の発光LEDの多くは、青色LEDから出射された青色の光を吸収して波長変換する黄色蛍光体を備え、青色LEDから出射された青色の光と、黄色蛍光体から出射された黄色の光との混色を利用して白色(擬似白色)の光を発光するものである。
【0003】
その色むらは、白色の光の中に黄色いリング状の光を含むことから、イエローリングと呼ばれている。このイエローリングの出現を抑制するため、白系の発光LEDから出射された光を導光するレンズ形状を調整することで、黄色い光を光照射方向以外の方向に全反射させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−048881号公報(特に段落「0020」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、黄色い光を光照射方向以外の方向に向けると、発光装置の発光効率を低めることとなり、好ましくない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、発光装置の発光効率を低めることなく、イエローリングの出現を低減することが可能なレンズおよび発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の発光装置は、青色LEDと黄色蛍光体との組み合わせで白色光を発する発光部材と、上記発光部材が発する光を透過するレンズを有し発光部材は、その発光の中心となる発光中心を有する発光平面を有し、発光中心から出射する光が、発光平面上に半球状の光出射領域を形成し、発光平面は、レンズの光軸と垂直な平面であり、発光中心からの出射光と発光平面とで形成される角度が、50°以下の範囲の光出射領域を中心領域よりも周辺側の領域とし、それ以外の出射光の光出射領域を、中心領域とし、レンズは、中心領域であり、発光部材が発する全発光量の60%以上80%以下の光を入射する第1入射面および第2入射面と、周辺側の領域であって発光部材が発する発光量のうち、中心領域への入射光以外の光の90%以上の光で、且つ中心領域よりも黄色成分を多く有する光を入射する第3入射面と、を有し、第2入射面および第3入射面に入射した光を反射する反射面を有し、第1入射面に入射した光および反射面で反射された光を出射する出射面を有し、反射面は、発光部材側から出射面側に向かうに従い、発光部材の光出射範囲の周辺側に向かって広がる面であり、第1入射面は、発光部材が発する光が入射する面であり、第2入射面は、第1入射面から発光部材に近づく方向に延びる面であり、第3入射面は、第2入射面から延びて反射面のうち発光部材側に近接し、第2入射面から発光部材の周囲側に1回または2回傾斜する傾斜面であり、入射する光が広がるように屈折させ、第2入射面から入射し、出射面から出射する光と、第3入射面から入射し、出射面から出射する光との出射方向が平行で、かつ光の広がり角度が等しいことを特徴とする。


【0008】
ここで、反射面は、第2入射面から入射した光を反射する第1反射面と、第3入射面から入射した光を反射する第2反射面と、を有し、第1反射面が、発光部材側から出射面側に向かうに従う広がりは、第2反射面が、発光部材側から出射面側に向かうに従う広がりよりも小さい。
【0009】
また、第2入射面と第3入射面をなだらかにつなぐ、r部を有していることが好ましい。
【0010】
また、出射面は、発光部材の光出射範囲の周辺側から発光部材の光出射範囲の中心領域に向かって階段状に発光部材に近づく形状、出射面全体が凹面となった形状、出射面全体が凸面となった形状、所定間隔にプリズムが複数個形成された形状、すりガラス状に微細な凸凹を有する形状、のいずれか一つ以上の形状を有している。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の発光装置は、上述のレンズを備えている。
【0012】
ここで、発光部材の発光の中心となる発光中心を有する発光平面を有し、発光中心から出射する光が、発光平面上に半球状の光出射領域を形成し、発光平面は、レンズの光軸と垂直な平面であり、発光中心からの出射光と発光平面とで形成される角度が、50°以下の範囲の光出射領域を中心領域よりも周辺側の領域とし、それ以外の出射光の光出射領域を、中心領域とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、発光装置の発光効率を低めることなく、イエローリングの出現を低減することが可能なレンズおよび発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る発光装置の平面概要図であり、この発光装置が備えるレンズの平面概要図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3図2に示した発光装置の断面図に基づいた端面図であって、発光部材から出射された光がどのような光路をとって出射面から出射するのかを示す図である。
図4図2に示した発光装置の断面図に基づいた端面図であって、比較例の発光装置の発光部材から出射された光がどのような光路をとって出射面から出射するのかを示す図である。
図5図2に示した発光装置の断面図に基づいた端面図であって、本発明の実施の形態に係る第1変形例に係る発光装置の発光部材から出射された光がどのような光路をとって出射面から出射するのかを示す図である。
図6図2に示した発光装置の断面図に基づいた端面図であって、本発明の実施の形態に係る第2変形例に係る発光装置の発光部材から出射された光がどのような光路をとって出射面から出射するのかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るレンズおよび発光装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(本発明の実施の形態に係る発光装置およびレンズの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る発光装置1の平面概要図であり、この発光装置1が備えるレンズ3の平面概要図である。図2は、図1のA−A断面図である。発光装置1は、青色LEDの発光部分に黄色の蛍光体が塗布されたチップ状の発光部材2を有している。発光部材2は主として白色光を図2に示す上側方向(鉛直方向)に出射する。発光部材2の発光の中心は、発光中心という。また、発光部材2は、この発光中心を中心とした発光平面を有している。この発光平面は、図2に示す発光部材2の基板Pの基板面と同一平面である。発光平面は、レンズ3の光軸と垂直な平面となる。発光部材2から出射された光は、樹脂製のレンズ3を透過して、レンズ3の平面状の出射面4から出射する。レンズ3の出射面4とほぼ同一平面上の外周には、レンズ3から延在される円環状で板状の鍔部5が設けられている。鍔部5は、レンズ3を発光装置1の一部に固定する円形の固定用穴6が、その円環状に沿ってほぼ等間隔に3つ形成されている。
【0017】
レンズ3は、図2に示す下側方向(鉛直方向)から上側方向に向かって陥没する凹部7を有している。凹部7は、第1入射面8と、第2入射面9と、第3入射面10とを有している。第1入射面8は、発光部材2の光出射範囲の中心領域であり、発光部材2が発する全発光量の約10%の光を入射する。そして第1入射面8は、発光部材2が発する光が略垂直に入射する面である。ここで、第1入射面8は、図2に示す下側方向に曲率R=10の丸みを帯びて若干突出している。ここで、この発光装置1の発光部材2は、そのほぼ全体が、凹部7内に収容されていて、発光部材2の発する光の殆どがレンズ3を透過して出射面4から出射するようなレンズ3との位置関係となっている。
【0018】
また、第2入射面9は、発光部材2の光出射範囲の中心領域であり、発光部材2が発する全発光量の約55%の光を入射する。そして第2入射面9は、第1入射面8から発光部材2に近づくように延びる円錐面である。ここで、第2入射面9は、第1入射面8から発光部材2に近づく際には、鉛直方向に対して3.5°の角度で徐々に凸部7が広がる形状となっている。
【0019】
また、第3入射面10は、発光部材2の光出射範囲の中心領域よりも周辺側の領域であり、発光部材2が発する全発光量の約35%の光を入射する。そして、第3入射面10は、第2入射面9から延びて後述する反射面のうち発光部材2側に近接し、第2入射面9から発光部材2の周囲側に1回だけ21°傾斜する傾斜面(円錐面)である。すなわち、第3入射面10は、鉛直方向に対して24.5°の円錐面である。ここで、第2入射面9と第3入射面10は、なだらかにつながれ、図示を省略するr部を有している。
【0020】
また、レンズ3は、第2入射面9および第3入射面10に入射した光を反射し、出射面4から出射させる反射面11を、レンズ3の外周面に有している。ここで、反射面11は、発光部材2側から出射面4側に向かうに従い、発光部材2の光出射範囲の周辺側に向かって広がる非球面である。なお、第1入射面8から入射した光は、反射面11にて反射せず、直接出射面4から出射する。この反射面11は、Rは、3.25、円錐定数Kは、−1.04、非球面係数A4=−2.50E−4、A6=−1.48E−7、A8=−4.20E−9、である。
【0021】
非球面式は、以下の式による。
<数1>
X=(1/R)*Y/[1+{1−(1+K)*(1/R)*Y}]+A4*Y+A6*Y+A8*Y
ここで、Xは、光軸方向座標を、Yは、光軸と直交方向座標を示し、光進行方向を正とし、Rは、曲率半径を示す。
【0022】
(発光装置1の光路)
図3は、図2に示した発光装置1の断面図に基づいた端面図であって、発光部材2から出射された光がどのような光路をとって出射面4から出射するのかを示す図である。第1入射面8に入射する光L1を一点鎖線で、第2入射面9に入射する光L2を破線で、第3入射面10に入射する光L3を実線で示す。発光中心から出射する光は、発光平面上に半球状の光出射領域を形成している。
【0023】
第3入射面10に入射する光L3は、イエローリングの原因となる黄色成分の光を多く含んでおり、発光中心からの出射光と発光平面とで形成される角度が、35°以下の範囲の光であり、第3入射面10で屈折する。レンズ3に入射した光L2は、第2入射面9で屈折してレンズ3に入射する。光L2と光L3は、略平行光となり、それぞれ反射面11で全反射して出射面4から出射したとき、ほぼ同じ角度の広がりを持って出射する。そのため光L2と光L3とは混ざりあう。そのため、その黄色が薄まる。そのため、発光装置1の出射面4から出射された光の被照射物を観察しても、目視ではイエローリングが観測されなかった。なお、発光中心からの出射光と発光平面とで形成される角度が、35°を超える範囲の光は、第1入射面8および第2入射面9に入射する。
【0024】
(比較例の発光装置の光路)
図4は、図2に示した発光装置1の断面図に基づいた端面図であって、比較例の発光装置21の発光部材2から出射された光がどのような光路をとって出射面4から出射するのかを示す図である。比較例の発光装置21は、第3入射面10に相当する部分が無く、第2入射面9からそのまま反射面11へと、第2反射面9は、図2における下側方向に対し4°の円錐面としてつながっている。なお、図4では、図2に示す各部材・要素に相当する部材・要素には図2に示す符号と同一の符号を付している。また、図2における第1入射面8に入射する光L4を一点鎖線で、図2における第2入射面9に入射する光L5を破線で、図2において第3入射面10に入射するはずだった光L6を実線で示す。
【0025】
第3入射面10に入射するはずだったが光L6は、イエローリングの原因となる黄色成分の光を多く含んでいる。第2入射面9に入射した第2入射面9からの入射光L5と第3入射面10に入射するはずだった光L6は、レンズ3内部における進行方向が略平行とはならずに異なった角度のまま、反射面11で全反射する。出射面4から出射した光L5および光L6は、出射角度が異なったまま、かつ、光L6の広がりはL5の広がりと比較して小さいままとなり、光L5と光L6とが混ざりあわない。そのため、比較例の発光装置21の出射面4から出射された光の被照射物を観察すると、目視でイエローリングが観測された。
【0026】
(本発明の実施の形態によって得られる主な効果)
本発明の実施の形態に係る発光装置1は、レンズ3を有している。そして、レンズ3は、凹部7を有している。そして、凹部7は、第1入射面8と、第2入射面9と、第3入射面10とを有している。発光装置1およびレンズ3は、この第3入射面10を有しているため、黄色成分を多く含む光を特定の領域に集中して照射せずに分散して照射することから、イエローリングの出現を低減することが可能である。しかも、発光部材2は、そのほぼ全体が、凹部7内に収容されていて、発光部材2の発する光の殆どがレンズ3を透過して出射面4から出射するようなレンズ3との位置関係となっている。そのため、発光装置1の発光効率が低くなることは殆どない。
【0027】
また、発光装置1およびレンズ3は、第2入射面9と第3入射面10は、なだらかにつながれ、図示を省略するr部を有している。このr部が無ければ、第2入射面9と第3入射面10に入射する光が明確に分かれることとなリ、反射面11で反射し、出射面4から出射する光の被照射物に、それらの境界を示す跡(イエローリングに類似するもの)が出現するおそれがある。そこで、第2入射面9と第3入射面10の境界にはr部を設け、第2入射面9と第3入射面10に入射する光の境界を不明確にし、上述の跡の出現を低減することが好ましい。
【0028】
(他の形態)
上述した本発明の実施の形態に係る発光装置1およびレンズ3は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
【0029】
本発明の実施の形態に係るレンズ3は、アクリル樹脂製で、発光部材2から出射される光を透過して、レンズ3の平面状の出射面4から出射する。そして、レンズ3の出射面4とほぼ同一平面上の外周には、レンズ3から延在される円環状で板状の鍔部5が設けられている。鍔部5は、レンズ3を発光装置1の一部に固定する円形の固定用穴6が、その円環状に沿ってほぼ等間隔に3つ形成されている。
【0030】
しかし、鍔部5は省略することができるし、その形状を円環状かつ板状ではなく、楕円環形状または四角形状等の多角形状としたり、板状でないブロック状等とすることができる。また、固定用穴6は省略することができるし、その数も3つでなく2つ、4つ、5つ、6つ等変更できるし、その形状も円形ではなく楕円形、四角形等の多角形等とすることができる。また、レンズ3の素材は、透光性を有する他の樹脂またはガラス等を採用することができる。
【0031】
また、レンズ3の第1入射面8は、発光部材2の光出射範囲の中心領域であり、発光部材2が発する全発光量の約10%の光を入射する。また、第1入射面8は、図2に示す下側方向にR=10の丸みを帯びて若干突出している。
【0032】
しかし、第1入射面8は、発光部材2が発する全発光量の5%以上20%以下の範囲の光を入射することとしても良い。また、第1入射面8は、平面であっても良いし、図2に示す下側方向にR=2から20の丸みを帯びて若干突出または陥没していても良い。
【0033】
また、第2入射面9は、発光部材2の光出射範囲の中心領域であり、発光部材2が発する全発光量の約55%の光を入射する。そして第2入射面9は、図2に示す下側方向から3.5°の角度をなしてその下側に凸部7が広がる形状の円錐面である。
【0034】
しかし、第2入射面9は、発光部材2が発する全発光量の35%以上55%以下の範囲の光を入射することとしても良い。また、第2入射面9は、図2に示す下側方向から垂直な円柱面としても良いし、図2に示す下側方向から1°から7°の範囲の角度をなしてその下側に凸部7が広がる形状の円錐面であっても良い。
【0035】
また、第3入射面10は、発光部材2の光出射範囲の中心領域よりも周辺側の領域であり、発光部材2が発する全発光量の約35%の光を入射する。そして、第3入射面10は、第2入射面9から発光部材2の周囲側に1回だけ21°傾斜する傾斜面である。ここで、第2入射面9と第3入射面10の境界は、r部を有している。
【0036】
しかし、第3入射面10は、発光部材2が発する全発光量の20%以上40%以下の範囲の光を入射することとしても良い。また、第3入射面10は、第2入射面9から発光部材2の周囲側に10°から50°の範囲で傾斜する傾斜面であっても良い。また、第2入射面9と第3入射面10の境界は、r部を有さないこととしても良い。また、第3入射面10は、第2入射面9から発光部材2の周囲側に1回だけ傾斜しているが、3回、4回等2回以上傾斜しても良い。ただし、多数回傾斜させても、樹脂の成形の際にそれを正確に実現するのは困難であるため、傾斜させる回数(段数)は、少なくした方が良く、2回までとすることが好ましい。2回以上傾斜させるときは、最初の傾斜方向と2回目以降の傾斜方向を異ならせても良い。
【0037】
また、第2入射面9は、第1入射面8から発光部材2に近づく際には、鉛直方向に対して3.5°の角度で徐々に凸部7が広がる円錐面形状となっている。また、第3入射面10は、鉛直方向に対して24.5°の円錐面である。さらに、反射面11は、曲率半径Rは、3.25、円錐定数Kは、−1.04、非球面係数A4=−2.50E−4、A6=−1.48E−7、A8=−4.20E−9、である。
【0038】
しかし、これらの角度または係数等の各数値は、発光部材2とレンズ3との位置関係、発光部材2の特性等によって、適宜変更することができる。たとえば、発光部材2の特性によっては、イエローリングの原因となる光が広範囲に出射されるもの、その出射範囲が狭いもの等ある。そのような状況に応じて、上述の各数値を調整することが好ましい。なお、イエローリングの原因となる光は、発光中心からの出射光と発光平面とで形成される角度を35°以下の範囲としているが、30°以下、45°または50°以下の範囲に発光部材2から出射されることがあり得るため、それに合わせて
発光部材2とレンズ3との位置関係を調整しても良い。さらに、反射面11は、球面、自由曲面、直線状のテーパー角を有する円錐台形の側面形状としても良い。また、第2入射面9、第3入射面10は、曲率を有する面とすることができる。
【0039】
発光装置1の発光部材2は、そのほぼ全体が、凹部7内に収容されていて、発光部材2の発する光の殆どがレンズ3を透過して出射面4から出射するようなレンズ3との位置関係となっている。
【0040】
しかし、発光装置1は、発光部材2の発する光の一部がレンズ3を透過しないような発光部材2とレンズ3との位置関係となっていても良い。
【0041】
(本発明の実施の形態に係る発光装置1およびレンズ3の第1変形例)
図5は、図2に示した発光装置1の断面図に基づいた端面図であって、本発明の実施の形態に係る第1変形例に係る発光装置31の発光部材2から出射された光が、どのような光路をとって出射面4から出射するのかを示す図である。第1入射面8に入射する光L7を一点鎖線で、第2入射面9に入射する光L8を破線で、第3入射面10に入射する光L9を実線で示す。なお、図5では、図2に示す各部材・要素に相当する部材・要素には図2に示す符号と同一の符号を付している。
【0042】
発光装置31のレンズ32は、第2入射面9および第3入射面10に入射した光を反射し、出射面4から出射させる非球面である第1反射面33と非球面である第2反射面34を、レンズ3の外周面に有している。ここで、第1反射面33と第2反射面34は、発光部材2側から出射面4側に向かうに従い、発光部材2の光出射範囲の周辺側に向かって広がる面である。そして、第1反射面33は、第2入射面9から入射した光を反射する。また第2反射面34は、第3入射面10から入射した光を反射する。そして、第1反射面33の広がり(ここでは、広がっていく角度を言う)は、第2反射面34の広がりよりも若干小さい。なお、第1入射面8から入射した光は、第1反射面33と第2反射面34にて反射せず、直接出射面4から出射する。
【0043】
ここで、第1反射面33と第2反射面34との境界には、段部35が設けられている。この段部35によって、第1反射面33の円錐面としての径が、第2反射面34の円錐面としての径よりも若干大きくなっている。なお、第1反射面33の表面の曲率半径Rは、3.20、円錐定数Kは、−1.14である。また、第2反射面34の曲率半径Rは、2.90、円錐定数Kは、−1.12である。また、第1入射面8の図2における下側方向へ突出する丸み(R)は。6°である。また、第2入射面9の図2における下側方向に対する傾斜角度は14°であり、第3入射面10の図2における下側方向に対する傾斜角度は40°である。
【0044】
発光装置31は、発光装置1と同様に、第3入射面10に入射する光L9は、イエローリングの原因となる黄色成分の光を多く含んでいる。第3入射面10に入射する光L9のレンズ3内での進行方向が、第2入社面9に入射する光L8の進行方向と略平行となっている。光L8は、第2反射面34で反射し、光L9は第1反射面33で反射する。光L8および光L9は、ほぼ同じ角度の広がりを持って出射面4から出射するため、光L8および光L9は出射方向が略平行で、かつ光の広がり角度がほぼ等しくなり混ざりあう。そのため、発光装置31の出射面4から出射された光の被照射物を観察しても、目視ではイエローリングが観測されなかった。
【0045】
(本発明の実施の形態に係る発光装置1およびレンズ3の第2変形例)
図6は、図2に示した発光装置1の断面図に基づいた端面図であって、本発明の実施の形態に係る第2変形例に係る発光装置41の発光部材2から出射された光が、どのような光路をとって出射面42から出射するのかを示す図である。第1入射面8に入射する光L10を一点鎖線で、第2入射面9に入射する光L11を破線で、第3入射面10に入射する光L12を実線で示す。なお、図6では、図2に示す各部材・要素に相当する部材・要素には図2に示す符号と同一の符号を付している。
【0046】
発光装置41のレンズ43は、発光部材2の光出射範囲の周辺側から発光部材2の光出射範囲の中心領域に向かって階段状に発光部材2に近づく(図2における下側方向に向かう)形状となっている。この構成を採用することで、発光装置1と同様に、第2入射面9に入射する光L11のレンズ3内部での進行方向および第3入射面10に入射する光L12のレンズ内部での進行方向がほぼ同じ角度を持つ略平行光となる。光L11および光L12は、第1反射面11で全反射される。そして、光L11および光L12は、出射面42から出射する。階段状の出射面42の各段の出射面により黄色成分の強い光L12は広がりを持って拡散しながら出射するため、局所的な光の強度は低下し、かつ、光L10、光L11と混ざり合う。その結果、発光装置41の出射面42から出射された光の被照射物を観察しても、目視ではイエローリングが観測されなかった。
【0047】
発光装置41のレンズ43は、図6に示すように階段状の凹形状となっているため、レンズ43の材料である透光性の樹脂の使用量を減らし、樹脂の成形性を向上させ、発光装置41を軽量化するとともに資源の節約・コストダウンを実現できる。
【0048】
出射面4,42は、この階段状の形状に代え、または階段状の形状とすると共に、所定間隔にプリズムが複数個形成された、いわゆるレンズアレイの形状または周期的プリズム形状、すりガラス状に微細な凸凹を有する形状のいずれか一つ以上の形状を有することができる。このような出射面4,42とすると、イエローリングの原因となる黄色成分の光を分散・乱反射等させ、イエローリングの出現をより低減できる。さらに、発光装置1,31,41の用途等によっては、出射面4,42全体が凹面となった形状(凹面レンズ)、出射面全体が凸面となった形状(凸面レンズ)等の構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1,31,41 発光装置
2 発光部材
3,32,43 レンズ
4,42 出射面
8 第1入射面
9 第2入射面
10 第3入射面
11 反射面
33 第1反射面
34 第2反射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6