特許第5952133号(P5952133)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952133
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】ズームレンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20160630BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20160630BHJP
   G03B 5/00 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G02B15/20
   G02B13/18
   G03B5/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-185272(P2012-185272)
(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-44246(P2014-44246A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131326
【氏名又は名称】株式会社シグマ
(72)【発明者】
【氏名】日比野 正和
【審査官】 瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−204178(JP,A)
【文献】 特開2011−237588(JP,A)
【文献】 特開2010−44190(JP,A)
【文献】 特開平1−252915(JP,A)
【文献】 特開2011−247962(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0222166(US,A1)
【文献】 特開2001−228397(JP,A)
【文献】 特開2011−175098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
G03B 5/00 − 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像面側に順に、
正の屈折力の第1レンズ群と、
像面に対して固定された負の屈折力の第2レンズ群と、
開口絞りと、
正の屈折力の第3レンズ群と、
負の屈折力の第4レンズ群と、
第5レンズ群とからなり、
前記第2レンズ群は3枚のレンズからなり、
無限遠から近距離へのフォーカシングに際して、前記第4レンズ群は光軸に沿って像面側に移動し、
広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第1レンズ群は物体側に移動し、第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は大きく、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群との間隔は小さく、前記開口絞りは前記第3レンズ群と同一の軌跡で移動し、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間隔は小さく、前記第4レンズ群と前記第5レンズ群との間隔は大きくなり、
像ぶれ補正に際して、前記第2レンズ群を光軸に対して略垂直方向に移動させ、
以下に示すの条件式(1)及び(2)を満足することを特徴とするズームレンズ。
(1) 2.3<f1/fW<2.9
(2) 1.1<|f2/D2sW|<1.7
(3) 0.4<D2sW/fW<0.6
f1:前記第1レンズ群L1の焦点距離
f2:前記第2レンズ群L2の焦点距離
fW:広角端におけるズームレンズ全系の合成焦点距離
D2sW:広角端における前記第2レンズ群L2の最も像側の面と前記開口絞りSとの間の空気間隔
【請求項2】
前記第3レンズ群L3と前記第5レンズ群L5とはズーミングの際に同一の軌跡で移動することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
以下に示すの条件式(4)及び(5)を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のズームレンズ。
(4) 4.0<|f4/D34W|<9.0
(5) 0.6<|β5W|<1.4
f4:前記第4レンズ群L4の焦点距離
D34W:広角端における前記第3レンズ群L3の最も像側の面と前記第4レンズ群L4の最も物体側の面との間の空気間隔
β5W:広角端における前記第5レンズ群L5の結像倍率
【請求項4】
広角端から望遠端へのズーミングの際、前記第3レンズ群L3の最も像側の面と前期第4レンズ群L4の最も物体側の面との間の空気間隔が常に減少することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記第2レンズ群L2の少なくとも一面に非球面を形成した請求項1乃至4いずれかに記載のズームレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に好適なズームレンズに関し、特に防振機構と静粛且つ高速なフォーカス機構とを搭載しながら、小型化・軽量化、及び低コスト化を実現した高い光学性能を有するズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に用いられるズームレンズにおいて、手ぶれ等によって生じた光学系の振動を補正して像ぶれを防止する機構、所謂防振機構の搭載が望まれている。しかしながら、防振機構は光学系の一部(防振レンズ群)をシフトさせて結像位置を移動するため、防振機構を搭載したレンズ鏡筒は径方向に大きくならざるを得ない。また、防振レンズ群の重量が大きいほど、防振レンズ群を移動させるアクチュエータを大型のものとしなければならないため、レンズ鏡筒の外径拡大に繋がる。さらに、防振レンズ群の径が大きいほど防振機構の径が大きくなり、これに伴ってレンズ鏡筒の外径拡大に繋がる。
【0003】
また、近年ではデジタルスチルカメラの動画撮影機能の向上により、静粛且つ高速なフォーカス機構が求められている。フォーカス駆動を行うアクチュエータは、フォーカスレンズ群が大きく重い場合では、その出力に余裕が無い状況で駆動せざるを得ず、騒音が大きくなることがわかっている。そのため、大型のアクチュエータを用いることでその出力に余裕をもたせ、静粛且つ高速に駆動することができる。しかしながら、大型のアクチュエータを用いることはズームレンズの小型化・軽量化に対して逆行することとなる。そのため、フォーカスレンズ群の小径化・軽量化を図ることで、アクチュエータを大型化することなく静粛且つ高速なフォーカス駆動の実現が図られている(例えば特許文献1及び2)。
【0004】
さらに近年、小型化・軽量化が進むスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に用いられるズームレンズについても小型化・軽量化が望まれている。小型化に適したレンズタイプとして、物体側より正の屈折力の第1レンズ群L1と、負の屈折力の第2レンズ群L2と、正の屈折力の第3レンズ群L3を有する、ポジティブリード型のズームレンズが知られている(例えば特許文献3)。
【0005】
また、近年低価格化が著しいスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に用いられるズームレンズについても低コスト化が求められている。そこで、製品を構成する部品点数の削減や、ズーミングに伴うレンズ群の移動機構の簡素化など様々な提案がなされている。これらの実現を目的のひとつとして光学設計が行われている。
【0006】
ここで、防振機構を有し、ズーム比が3〜5倍程度のズームレンズの例として挙げた以下の特許文献について述べる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−152247号公報
【特許文献2】特開2009−265653号公報
【特許文献3】特開1996−136862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には4群構成のズームレンズが開示されている。ズーミング時における第2レンズ群の移動量が少ないため機械的構成が簡素であり、小型化・軽量化、及び低コスト化に有利である。しかしながら、防振レンズ群である第2レンズ群の構成枚数は3枚であるものの、充分な軽量化がなされていない。そのため、アクチュエータを大型のものとしなければならず、レンズ鏡筒の外径拡大に繋がる。また、フォーカスレンズ群が第1レンズ群の一部であり、レンズ径が大きく、重量も重い。そのため、フォーカス駆動に伴う騒音が大きくなったり、フォーカス駆動の速度が低下したり、アクチュエータの大型化によってレンズ鏡筒の外径が拡大したりする。
【0009】
特許文献2には5群構成のズームレンズが開示されている。フォーカスレンズ群がレンズ径の小さい1枚のレンズで構成された第4レンズ群であるため、軽量なフォーカスレンズ群により、アクチュエータを大型化することなく静粛且つ高速なフォーカス駆動が実現できる。しかし、ズーミングに際して全てのレンズ群が像面に対して移動するため、複雑な機械的構成を要し、広角端における全長の短縮が充分にできず、レンズ鏡筒の小型化・軽量化を阻害する。また、第2レンズ群の一部を防振レンズ群としたことで、レンズ鏡筒を構成する部品点数が増加しているため、小型化・軽量化、及び低コスト化が妨げられている。
【0010】
特許文献3には4群構成のズームレンズが開示されている。防振レンズ群である第2レンズ群がズーミング時に像面に対して固定であるため機械的構成が簡素である。したがって、広角端における全長の短縮が容易な構成となっている。しかし、防振レンズ群が4枚のレンズで構成されているために重量が重く、十分な防振効果を得るためにはをアクチュエータを大型のものとしなければならない。そのため、防振機構の大型化を招き、レンズ鏡筒の外径の拡大を避けることが出来ない。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、防振機構と静粛且つ高速なフォーカス機構とを搭載しながら、小型化・軽量化、及び低コスト化を実現した高い光学性能を有するズームレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
先述した課題を解決するための手段である第1の発明は、物体側から像面側に順に、正の屈折力の第1レンズ群L1と、像面に対して固定された負の屈折力の第2レンズ群L2と、開口絞りSと、正の屈折力の第3レンズ群L3と、負の屈折力の第4レンズ群L4と、第5レンズ群L5とからなり、前記第2レンズ群L2は3枚のレンズからなり、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して、前記第4レンズ群L4は光軸に沿って像面側に移動し、広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第1レンズ群L1は物体側に移動し、第1レンズ群L1と前記第2レンズ群L2との間隔は大きく、前記第2レンズ群L2と前記第3レンズ群L3との間隔は小さく、前記開口絞りSは前記第3レンズ群L3と同一の軌跡で移動し、前記第3レンズ群L3と前記第4レンズ群L4との間隔は小さく、前記第4レンズ群L4と前記第5レンズ群L5との間隔は大きくなり、像ぶれ補正に際して、前記第2レンズ群L2を光軸に対して略垂直方向に移動させ、以下に示すの条件式(1)乃至(3)を満足することを特徴とするズームレンズである。
(1) 2.3<f1/fW<2.9
(2) 1.1<|f2/D2sW|<1.7
(3) 0.4<D2sW/fW<0.6
f1:前記第1レンズ群L1の焦点距離
f2:前記第2レンズ群L2の焦点距離
fW:広角端におけるズームレンズ全系の合成焦点距離
D2sW:広角端における前記第2レンズ群L2の最も像側の面と前記開口絞りSとの間の空気間隔
【0013】
また第2の発明は、前記第3レンズ群L3と前記第5レンズ群L5とはズーミングの際に同一の軌跡で移動することを特徴とする前記第1の発明のズームレンズである。
【0014】
また第3の発明は、以下に示すの条件式(4)及び(5)を満足することを特徴とする前記第1の発明または第2の発明に記載のズームレンズである。
(4) 4.0<|f4/D34W|<9.0
(5) 0.6<|β5W|<1.4
f4:前記第4レンズ群L4の焦点距離
D34W:広角端における前記第3レンズ群L3の最も像側の面と前記第4レンズ群L4の最も物体側の面との間の空気間隔
β5W:広角端における前記第5レンズ群L5の結像倍率
【0015】
また第4の発明は、広角端から望遠端へのズーミングの際、前記第3レンズ群L3の最も像側の面と前期第4レンズ群L4の最も物体側の面との間の空気間隔が常に減少することを特徴とする前記第1の発明乃至第3の発明いずれかのズームレンズである。
【0016】
また第5の発明は、前記第2レンズ群L2の少なくとも一面に非球面を形成した前記第1の発明乃至第4の発明いずれかのズームレンズである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、防振機構と静粛且つ高速なフォーカス機構とを搭載しながら、小型化・軽量化、及び低コスト化を実現した高い光学性能を有するズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1の無限遠物点合焦時の広角端におけるレンズ構成図である。
図2】本発明の実施例1の無限遠物点合焦時の広角端における縦収差図である。
図3】本発明の実施例1の無限遠物点合焦時の望遠端における縦収差図である。
図4】本発明の実施例1の無限遠物点合焦時の広角端における横収差図である。
図5】本発明の実施例1の無限遠物点合焦時の望遠端における横収差図である。
図6】本発明の実施例2の無限遠物点合焦時の広角端におけるレンズ構成図である。
図7】本発明の実施例2の無限遠物点合焦時の広角端における縦収差図である。
図8】本発明の実施例2の無限遠物点合焦時の望遠端における縦収差図である。
図9】本発明の実施例2の無限遠物点合焦時の広角端における横収差図である。
図10】本発明の実施例2の無限遠物点合焦時の望遠端における横収差図である。
図11】本発明の実施例3の無限遠物点合焦時の広角端におけるレンズ構成図である。
図12】本発明の実施例3の無限遠物点合焦時の広角端における縦収差図である。
図13】本発明の実施例3の無限遠物点合焦時の望遠端における縦収差図である。
図14】本発明の実施例3の無限遠物点合焦時の広角端における横収差図である。
図15】本発明の実施例3の無限遠物点合焦時の望遠端における横収差図である。
図16】本発明の実施例4の無限遠物点合焦時の広角端におけるレンズ構成図である。
図17】本発明の実施例4の無限遠物点合焦時の広角端における縦収差図である。
図18】本発明の実施例4の無限遠物点合焦時の望遠端における縦収差図である。
図19】本発明の実施例4の無限遠物点合焦時の広角端における横収差図である。
図20】本発明の実施例4の無限遠物点合焦時の望遠端における横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1のズームレンズは、図1図6図11、及び図16に示すレンズ構成図からわかるように、物体側から像面側に順に、正の屈折力の第1レンズ群L1と、像面に対して固定された負の屈折力の第2レンズ群L2と、開口絞りSと、正の屈折力の第3レンズ群L3と、負の屈折力の第4レンズ群L4と、第5レンズ群L5とからなり、前記第2レンズ群L2は3枚のレンズからなり、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して、前記第4レンズ群L4は光軸に沿って像面側に移動し、広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第1レンズ群L1は物体側に移動し、第1レンズ群L1と前記第2レンズ群L2との間隔は大きく、前記第2レンズ群L2と前記第3レンズ群L3との間隔は小さく、前記開口絞りSは前記第3レンズ群L3と同一の軌跡で移動し、前記第3レンズ群L3と前記第4レンズ群L4との間隔は小さく、前記第4レンズ群L4と前記第5レンズ群L5との間隔は大きくなり、像ぶれ補正に際して、前記第2レンズ群L2を光軸に対して略垂直方向に移動させることを特徴とする。
【0020】
広角端から望遠端にズーミングするとき、第1レンズ群L1が物体側に移動する構成を採ることによって、広角端における光学系全長を短縮できる。
【0021】
また、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5との合成系の屈折力が負となり、正の屈折力の第3レンズ群L3との間でテレフォト型の屈折力配置が形成され、広角端における光学系全長の短縮に寄与する。
【0022】
第2レンズ群L2全体を防振群とすることで、レンズ群の一部を防振群とする場合に比べてパーツ点数を少なくでき、コストを下げることができる。
【0023】
また可動群の多いズームレンズの場合、可動群のズーミングにおける移動量分のカム軌道を確保するためにメカ部品の厚みが必要となりレンズ鏡筒の充分な短縮が困難となってしまう。本発明によれば、第2レンズ群L2がズーム時に像面に対して固定であるため、可動群の数を減らすことができるので広角端におけるレンズ鏡筒の充分な短縮が可能となる。
【0024】
フォーカシングに用いるレンズ群は、小型かつ軽量であることが望ましい。本発明のズームレンズでは、レンズ径が小さく構成枚数が少ない第4レンズ群L4でフォーカシングすることによって、高速かつ静粛なフォーカシングを可能とした。
【0025】
カム構造を簡素にするためには、開口絞りSを第2レンズ群L2に対して固定するか第3レンズ群L3に対して固定することが好ましい。開口絞りSを第2レンズ群L2に対して固定する場合、広角端において開口絞りを物体側に配置することになるため、絞りより像面側のレンズ群を通る最軸外主光線の光線高が高くなりすぎてしまい、レンズ鏡筒の径の充分なコンパクト化が困難になってしまう。そのため、開口絞りSを第3レンズ群L3に対して固定することが望ましい。また開口絞りSを第3レンズ群L3に対して固定する構造を採ることによって第3レンズ群L3を通過する軸外主光線の光線高を抑えられるため、軸外収差の発生を抑えられる。
【0026】
第2レンズ群L2を防振群とした場合、防振ユニット径を小さくするため第2レンズ群L2のレンズ径を小さくする必要があり、広角端において第2レンズ群L2を通る軸外光束の光線高を低く抑える必要があった。
本発明では第2レンズ群L2の屈折力と広角端における第2レンズ群L2の最も像側の面と絞りの間の空気間隔との関係を最適化することにより、防振群である第2レンズ群L2の光線高を低く抑えた。
【0027】
また、広角端における光学系全長を短縮するにはレンズ枚数を減らすとともに各々のレンズ群の屈折力を強くする必要があるが、収差補正上困難であった。
本発明では各々のレンズ群の屈折力配置を最適化することにより、広角端における光学全長の短縮を可能としつつ効果的に収差補正を行っている。
【0028】
また、本発明の第1のズームレンズは、以下に示すの条件式(1)乃至(3)を満足することを特徴とする。
(1) 2.3<f1/fW<2.9
(2) 1.1<|f2/D2sW|<1.7
(3) 0.4<D2sW/fW<0.6
f1:前記第1レンズ群L1の焦点距離
f2:前記第2レンズ群L2の焦点距離
fW:広角端におけるズームレンズ全系の合成焦点距離
D2sW:広角端における前記第2レンズ群L2の最も像側の面と前記開口絞りSとの間の空気間隔
【0029】
条件式(1)は第1レンズ群L1の焦点距離を規定する条件式であり、鏡筒全長のコンパクト化のための好ましい条件を示している。
【0030】
条件式(1)の上限を超え第1レンズ群L1の焦点距離と広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離の比が大きくなると、ズーミング時の第1レンズ群L1の移動量が大きくなってしまい鏡筒全長の充分なコンパクト化が困難になる。
【0031】
条件式(1)の下限を超え第1レンズ群L1の焦点距離と広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離の比が小さくなると、望遠端でのコマ収差が顕著になる。
【0032】
なお、上述した条件式(1)について、本願の効果をより確実にするために、その下限値をさらに2.4に限定し、また上限値をさらに2.8に限定することが望ましい。
【0033】
条件式(2)は第2レンズ群L2の焦点距離および広角端における第2レンズ群L2と絞りの空気間隔に関する条件式であり、広角端における光学全長の短縮のための好ましい条件を示している。
【0034】
条件式(2)の上限を超え第2レンズ群L2の焦点距離と広角端における第2レンズ群L2の最も像側の面と絞りの間の空気間隔の比が大きくなると、第2レンズ群L2の焦点距離が長くなり、開口絞りSより物体側のレンズ群の合成系の広角端における負の屈折力が弱くなるため、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の合成系と第3レンズ群L3から第5レンズ群L5の合成系との間におけるレトロフォーカスの作用が弱くなる。そのため、バックフォーカスが短くなり、スチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に用いられる一般的なズームレンズとして用いることが出来なくなる。あるいは、第2レンズ群L2と絞りの空気間隔が短くなってしまい、ズーミングに必要な空気間隔が足りなくなってしまう。
【0035】
条件式(2)の下限を下回ると、第2レンズ群L2の焦点距離が短くなってしまい、広角端におけるコマ収差と像面湾曲の補正が困難になる。あるいは、第2レンズ群L2と絞りの空気間隔が長くなってしまい、広角端における全長の短縮が難しくなってしまう。
【0036】
なお、上述した条件式(2)について、本願の効果をより確実にするために、その下限値をさらに1.2に限定し、また上限値をさらに1.6に限定することが望ましい。
【0037】
条件式(3)は広角端における第2レンズ群L2と開口絞りSとの空気間隔に関する条件式であり、第2レンズ群L2の有効径を適切に設定するための好ましい条件を示している。
【0038】
条件式(3)の上限を超え、広角端における第2レンズ群L2と開口絞りSとの空気間隔と、広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離の比が大きくなると、入射瞳位置が像面側に移動し、第2レンズ群L2の有効径が大きくなり光学系が大型化するため好ましくない。
【0039】
条件式(3)の下限を超え、広角端における第2レンズ群L2と開口絞りSとの空気間隔と、広角端におけるレンズ全系の合成焦点距離の比が小さくなると、ズーミングに必要な空気間隔が足りなくなってしまう。ズーミングに必要な空気間隔が不足している条件で適切な変倍比を確保するためには第2レンズ群L2の焦点距離を短くする必要があるが、その場合広角端におけるコマ収差と像面湾曲の補正が困難になる。
【0040】
なお、上述した条件式(3)について、本願の効果をより確実にするために、その下限値をさらに0.45に限定し、また上限値をさらに0.55に限定することが望ましい。
【0041】
また、本発明の第2のズームレンズは、第1のズームレンズであってさらに、前記第3レンズ群L3と前記第5レンズ群L5とはズーミングの際に同一の軌跡で移動することを特徴とする。そのため、可動群の数を減らすことができるので広角端におけるレンズ鏡筒の充分な短縮が可能となる。
【0042】
また、本発明の第3のズームレンズは、第1または第2のズームレンズであってさらに、以下に示すの条件式(4)及び(5)を満足することを特徴とする。
(4) 4.0<|f4/D34W|<9.0
(5) 0.6<|β5W|<1.4
f4:前記第4レンズ群L4の焦点距離
D34W:広角端における前記第3レンズ群L3の最も像側の面と前記第4レンズ群L4の最も物体側の面との間の空気間隔
β5W:広角端における前記第5レンズ群L5の結像倍率
【0043】
広角端での光学全長を短くするには、第4レンズ群L4の屈折力を強くしてズーミングやフォーカシングに伴う第4レンズ群L4の移動量を少なくすることが望ましいが、一方でフォーカス敏感度が大きくなってしまうためフォーカス群の制御が難しくなってしまう。なお、フォーカス敏感度は第4レンズ群L4のフォーカス移動量に対する像面位置の光軸方向の変化量の比であり、第4レンズ群L4の倍率β4と第5レンズ群L5の倍率β5を用いて(1−β4^2)×β5^2で表わされる。このフォーカス敏感度はフォーカスを動かすアクチュエータの仕様や、光学性能上の要求仕様によって適切な値が決まる。本発明においてはβ4は1.0以上であることを踏まえ、β5をある範囲内の値とすることでフォーカス敏感度を適切な値とする事が出来る。
【0044】
条件式(4)は、第4レンズ群L4の焦点距離および広角端における第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の空気間隔の比に関する式であり、ズーミングに伴う第4レンズ群L4の移動量の削減と広角端における光学系全長の短縮のための好ましい条件を示している。
【0045】
条件式(4)の上限を超え第4レンズ群L4の焦点距離が長くなるとズーミングに必要なストロークが長くなってしまう。または第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の空気間隔が短くなってしまい、所定の変倍比を維持しようとすると望遠端における第3レンズ群L3の最も像側の面と第4レンズ群L4の最も物体側の面の間の空気間隔が足りなくなってしまう。
【0046】
条件式(4)の下限を超え第4レンズ群L4の焦点距離が短くなると、第4レンズ群L4の倍率β4が大きくなり、第4レンズ群L4のフォーカス移動量に対する像面位置の光軸方向の変化量の比であるフォーカス敏感度が大きくなってしまうためフォーカス群の制御が難しくなってしまう。フォーカス敏感度を小さく保つためには、第5レンズ群L5の倍率を小さくする必要があるが、その場合、望遠端における第3レンズ群L3から第5レンズ群L5の合成系の第3レンズ群L3の最物体側面を基準とした主点位置が像面側に移動するため、充分な変倍比を確保するのが難しくなる。または第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の空気間隔が長くなってしまい広角端の全長の短縮が困難になってしまう。
【0047】
なお、上述した条件式(4)について、本願の効果をより確実にするために、その下限値をさらに4.5に限定し、また上限値をさらに8.5に限定することが望ましい。
【0048】
条件式(5)は、広角端における第5レンズ群L5の倍率に関する式であり、広角端における光学系全長の短縮のための好ましい条件を示している。
【0049】
近年では、撮像素子にCCD、CMOSを用いたデジタルカメラが主流となり、撮像素子への入射角が大きくなるとシェーディングが問題となってくるので、軸外光束の射出角が小さくなる光学系が求められている。
【0050】
条件式(5)の上限を上回り、広角端における第5レンズ群L5の結像倍率が大きくなると、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5の合成系の負の屈折力が強くなり射出瞳が像面に近づくため、広角端における軸外光束の撮像素子への入射角が大きくなり好ましくない。広角端における軸外光束の撮像素子への入射角を抑えるには第4レンズ群L4の負の屈折力を弱めればよいが、第4レンズ群L4のズーミングに必要なストロークが長くなってしまい好ましくない。
【0051】
条件式(5)の下限を下回ると、望遠端における第3レンズ群L3から第5レンズ群L5の合成系の第3レンズ群L3の最物体側面を基準とした主点位置が像面側に移動するため、充分な変倍比を確保するのが難しくなる。
【0052】
なお、上述した条件式(5)について、本願の効果をより確実にするために、その下限値をさらに0.65に限定し、また上限値をさらに1.35に限定することが望ましい。
【0053】
また、本発明の第4のズームレンズは、第1乃至第3いずれかのズームレンズであってさらに、広角端から望遠端へのズーミングの際、前記第3レンズ群L3の最も像側の面と前期第4レンズ群L4の最も物体側の面との間の空気間隔が常に減少することを特徴とする。このような構成を採ることによって非点収差の補正を効果的に行うことができる。
【0054】
また、本発明の第5のズームレンズは、第1乃至第4いずれかのズームレンズであってさらに、第2レンズ群L2のレンズのいずれか1つまたは複数の面を非球面とすることを特徴とする。これにより特に非点収差の補正をより良好に行うことが可能である。
【0055】
次に、本発明の結像光学系に係る実施例のレンズ構成について説明する。なお、以下の説明ではレンズ構成を物体側から像面側の順番で記載する。
【実施例1】
【0056】
図1は、本発明の実施例1の結像光学系のレンズ構成図である。図1において、L1は第1レンズ群、L2は第2レンズ群、L3は第3レンズ群、L4は第4レンズ群、L5は第5レンズ群、Sは開口絞り、Iは像面、Fはフィルタ、中心を通る一点鎖線は光軸である。
【0057】
第1レンズ群L1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとから成る接合レンズで構成されており、全体として正の屈折力を持っている。この第1レンズ群L1は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。
【0058】
第2レンズ群L2は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、物体側の面に非球面を有する両凹レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとで構成されており、全体として負の屈折力を持っている。この第2レンズ群L2は、広角端から望遠端へのズーミングに際して移動しない。また、この第2レンズ群L2は、像ぶれ補正に際して光軸に対して略垂直方向に移動する。
【0059】
第3レンズ群L3は、像面側の面に樹脂を接合し非球面を形成した物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズと、両凹レンズと両凸レンズとから成る接合レンズと、物体側の面に非球面を有する両凸レンズとで構成されており、全体として正の屈折力を持っている。この第3レンズ群L3は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。また、第3レンズ群L3の物体側には、開口絞りSが設けられており、ズーミングに際して一体的に移動する。
【0060】
第4レンズ群L4は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズで構成されている。この第4レンズ群L4は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。またこの第4レンズ群L4は、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して、前記第4レンズ群L4は光軸に沿って像面側に移動する。
【0061】
第5レンズ群L5は、両凹レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとで構成されており、全体として負の屈折力を持っている。またこの第5レンズ群L5は、ズーミングに際して第3レンズ群L3と同一の軌跡で移動する。
【実施例2】
【0062】
図6は、本発明の実施例2の結像光学系のレンズ構成図である。図6において、L1は第1レンズ群、L2は第2レンズ群、L3は第3レンズ群、L4は第4レンズ群、L5は第5レンズ群、Sは開口絞り、Iは像面、Fはフィルタ、中心を通る一点鎖線は光軸である。
【0063】
第1レンズ群L1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとから成る接合レンズで構成されており、全体として正の屈折力を持っている。この第1レンズ群L1は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。
【0064】
第2レンズ群L2は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、物体側の面に非球面を有する両凹レンズと、両凸レンズとで構成されており、全体として負の屈折力を持っている。この第2レンズ群L2は、広角端から望遠端へのズーミングに際して移動しない。また、この第2レンズ群L2は、像ぶれ補正に際して光軸に対して略垂直方向に移動する。
【0065】
第3レンズ群L3は、像面側の面に樹脂を接合し非球面を形成した物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズと、両凹レンズと両凸レンズとから成る接合レンズと、物体側の面に非球面を有する両凸レンズとで構成されており、全体として正の屈折力を持っている。この第3レンズ群L3は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。また、第3レンズ群L3の物体側には、開口絞りSが設けられており、ズーミングに際して一体的に移動する。
【0066】
第4レンズ群L4は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズで構成されている。この第4レンズ群L4は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。またこの第4レンズ群L4は、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して、前記第4レンズ群L4は光軸に沿って像面側に移動する。
【0067】
第5レンズ群L5は、両凹レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとで構成されており、全体として負の屈折力を持っている。またこの第5レンズ群L5は、ズーミングに際して第3レンズ群L3と同一の軌跡で移動する。
【実施例3】
【0068】
図11は、本発明の実施例の結像光学系のレンズ構成図である。図11において、L1は第1レンズ群、L2は第2レンズ群、L3は第3レンズ群、L4は第4レンズ群、L5は第5レンズ群、Sは開口絞り、Iは像面、Fはフィルタ、中心を通る一点鎖線は光軸である。
【0069】
第1レンズ群L1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとから成る接合レンズで構成されており、全体として正の屈折力を持っている。この第1レンズ群L1は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。
【0070】
第2レンズ群L2は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、物体側の面に非球面を有する両凹レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとで構成されており、全体として負の屈折力を持っている。この第2レンズ群L2は、広角端から望遠端へのズーミングに際して移動しない。また、この第2レンズ群L2は、像ぶれ補正に際して光軸に対して略垂直方向に移動する。
【0071】
第3レンズ群L3は、像面側に非球面を有する物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズと、両凹レンズと両凸レンズとから成る接合レンズと、物体側の面に非球面を有する両凸レンズとで構成されており、全体として正の屈折力を持っている。この第3レンズ群L3は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。また、第3レンズ群L3の物体側には、開口絞りSが設けられており、ズーミングに際して一体的に移動する。
【0072】
第4レンズ群L4は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズで構成されている。この第4レンズ群L4は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。またこの第4レンズ群L4は、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して、前記第4レンズ群L4は光軸に沿って像面側に移動する。
【0073】
第5レンズ群L5は、両凹レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとで構成されており、全体として正の屈折力を持っている。またこの第5レンズ群L5は、ズーミングに際して第3レンズ群L3と同一の軌跡で移動する。
【実施例4】
【0074】
図16は、本発明の実施例の結像光学系のレンズ構成図である。図16において、L1は第1レンズ群、L2は第2レンズ群、L3は第3レンズ群、L4は第4レンズ群、L5は第5レンズ群、Sは開口絞り、Iは像面、Fはフィルタ、中心を通る一点鎖線は光軸である。
【0075】
第1レンズ群L1は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとから成る接合レンズで構成されており、全体として正の屈折力を持っている。この第1レンズ群L1は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。
【0076】
第2レンズ群L2は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、物体側の面に非球面を有する物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズと、両凸レンズとで構成されており、全体として負の屈折力を持っている。この第2レンズ群L2は、広角端から望遠端へのズーミングに際して移動しない。また、この第2レンズ群L2は、像ぶれ補正に際して光軸に対して略垂直方向に移動する。
【0077】
第3レンズ群L3は、物体側の面に非球面を有する両凸レンズと、両凹レンズと両凸レンズとから成る接合レンズと、物体側の面に非球面を有する両凸レンズとで構成されており、全体として正の屈折力を持っている。この第3レンズ群L3は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。また、第3レンズ群L3の物体側には、開口絞りSが設けられており、ズーミングに際して一体的に移動する。
【0078】
第4レンズ群L4は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズで構成されている。この第4レンズ群L4は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動する。またこの第4レンズ群L4は、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して、前記第4レンズ群L4は光軸に沿って像面側に移動する。
【0079】
第5レンズ群L5は、両凹レンズと、物体側の面に非球面を有する物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとで構成されており、全体としての屈折力を持っている。またこの第5レンズ群L5は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側に移動し、ズムの中間域で最も像面から離れる軌跡を描く。
【0080】
なお、広角端から望遠端へのズーミングに際して、前記第1レンズ群L1は物体側に移動し、第1レンズ群L1と前記第2レンズ群L2との間隔は大きく、前記第2レンズ群L2と前記第3レンズ群L3との間隔は小さく、前記開口絞りSは前記第3レンズ群L3と同一の軌跡で移動し、前記第3レンズ群L3と前記第4レンズ群L4との間隔は小さく、前記第4レンズ群L4と前記第5レンズ群L5との間隔は大きくなる。
【0081】
さらに、図1図6図11、及び図16に示すレンズ構成図において、最も像面側に配置された平行平面板Fはフィルタ、Iは像面、中心を通る一点鎖線は光軸である。フィルタFは、前記第5レンズ群L5には含まれず、IRカットフィルタやローパスフィルタ等の光学フィルタであり、本発明に係る結像光学系が適用される撮像装置に応じて、その特性が適宜選択される。
【0082】
続いて、以下に前述した各実施例に係るインナーフォーカス式望遠レンズの諸元値(数値実施例)を示す。
【0083】
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面又は開口絞りの番号、rは各面の曲率半径、dは各面の間隔、ndはd線(波長587.56nm)に対する屈折率、vdはd線に対するアッベ数を示している。また、BFはバックフォーカスを表している。なお、面番号に付した(絞り)は、その位置に開口絞りが位置していることを示している。平面又は開口絞りに対する曲率半径には∞(無限大)を記入している。
【0084】
[非球面データ]には、[面データ]において*を付したレンズ面の非球面形状を与える各係数値を示している。非球面の形状は、光軸に直行する方向への光軸からの変位をy、非球面と光軸の交点から光軸方向への変位(サグ量)をz、基準球面の曲率半径をr、コーニック係数をK、4、6、8、10次の非球面係数をそれぞれA4、A6、A8、A10と置くとき、非球面の座標が以下の式で表されるものとする。
【0085】
[各種データ]には、ズーム比及び各焦点距離状態における焦点距離等の値を示している。
【0086】
[可変間隔データ]には、[面データ]において変数とした各焦点距離状態における可変間隔及びBFの値を示している。
【0087】
[レンズ群データ]には、各レンズ群を構成する最も物体側の面番号及び群全体の合成焦点距離を示している。
【0088】
なお、以下の全ての諸元の値において、記載している焦点距離f、曲率半径r、レンズ面間隔d、その他の長さの単位は特記のない限りミリメートル(mm)を使用するが、光学系では比例拡大と比例縮小とにおいても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【0089】
数値実施例1
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd
1 40.0446 1.6000 2.00100 29.13
2 24.8000 7.4369 1.77250 49.62
3 308.8616 (d3)
4 47.0001 0.8000 1.72916 54.67
5 11.6406 5.1080
6* -37.6546 1.0000 1.77377 47.17
7 48.9510 0.1500
8 21.9284 2.7797 1.84666 23.78
9 141.7351 (d9)
10(絞り) ∞ 0.9489
11 22.4176 2.3139 1.80420 46.50
12 51.0177 0.1689 1.51840 52.10
13* 97.3029 5.2100
14 -46.5885 0.8000 1.84666 23.78
15 35.8373 3.0239 1.49700 81.61
16 -27.1684 0.1500
17* 63.4591 3.0427 1.77377 47.17
18 -22.2527 (d18)
19 37.8217 0.8000 1.83481 42.72
20 16.2975 (d20)
21 -60.4903 0.8000 1.72916 54.67
22 46.5102 0.5239
23 28.9234 3.0532 1.80610 33.27
24 996.0252 (d24)
25 ∞ 2.2000 1.51680 64.20
26 ∞ (BF)

[非球面データ]
6面 13面 17面
K 0.9473 -53.7712 -10.7078
A4 -4.89104E-06 5.78841E-05 -2.16521E-05
A6 -3.84298E-07 6.54953E-08 2.38876E-08
A8 8.03898E-09 9.61499E-10 8.56750E-11
A10 -7.23988E-11 0.00000E+00 0.00000E+00

[各種データ]
ズーム比 2.84
広角 中間 望遠
焦点距離 29.01 50.00 82.48
Fナンバー 3.63 4.59 5.78
全画角2ω 53.08 31.21 19.16
像高Y 14.20 14.20 14.20
レンズ全長 92.04 103.13 116.62

[可変間隔データ]
広角 中間 望遠
d3 3.0000 14.1064 27.5635
d9 14.0890 6.2289 2.2776
d18 5.6119 4.5229 2.1000
d20 5.8389 6.9279 9.3508
d24 20.5900 28.4317 32.4138
BF 1.0000 1.0000 1.0000

[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
L1 1 73.08
L2 4 -19.80
L3 10 18.64
L4 19 -34.89
L5 21 -4718.06
【0090】
数値実施例2
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd
1 41.4303 1.6000 2.00100 29.13
2 26.1985 7.2688 1.77250 49.62
3 244.0615 (d3)
4 37.8119 0.8000 1.72916 54.67
5 11.2550 5.2518
6* -27.8990 1.0000 1.77377 47.17
7 76.1293 0.1500
8 25.9212 2.6406 1.84666 23.78
9 -1103.5938 (d9)
10(絞り) ∞ 0.9163
11 22.5893 2.1595 1.72916 54.67
12 65.4741 0.1474 1.51840 52.10
13* 141.5102 5.5426
14 -28.0991 0.8000 1.80518 25.46
15 47.3800 3.3378 1.49700 81.61
16 -19.9498 0.1500
17* 63.2027 3.1759 1.77377 47.17
18 -22.4791 (d18)
19 29.2682 0.8000 1.83481 42.72
20 15.5382 (d20)
21 -46.5702 0.8000 1.83481 42.72
22 52.3647 0.2957
23 28.9596 2.9499 1.76182 26.61
24 971.4287 (d24)
25 ∞ 2.2000 1.51680 64.20
26 ∞ (BF)

[非球面データ]
6面 13面 17面
K -0.1749 -33.9863 -13.6220
A4 -5.91460E-06 5.17253E-05 -2.09983E-05
A6 -7.86150E-08 9.47488E-08 -5.26328E-09
A8 8.37569E-10 6.15257E-10 2.59391E-10
A10 -1.59040E-11 0.00000E+00 0.00000E+00

[各種データ]
ズーム比 2.87
広角 中間 望遠
焦点距離 28.98 49.75 83.19
Fナンバー 3.59 4.53 5.74
全画角2ω 53.12 31.40 19.00
像高Y 14.20 14.20 14.20
レンズ全長 92.04 103.75 118.63

[可変間隔データ]
広角 中間 望遠
d3 3.0000 14.7298 29.5945
d9 14.0559 6.2289 2.1894
d18 5.2971 4.3171 2.1000
d20 6.1108 7.0908 9.3079
d24 20.5899 28.3994 32.4518
BF 1.0000 1.0000 1.0000

[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
L1 1 78.70
L2 4 -20.47
L3 10 18.54
L4 19 -40.76
L5 21 -124.63
【0091】
数値実施例3
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd
1 42.4728 1.6000 2.00100 29.13
2 26.3474 7.4342 1.77250 49.62
3 364.1502 (d3)
4 70.0058 0.8000 1.72916 54.67
5 12.2447 4.8663
6* -45.7834 1.0000 1.77377 47.17
7 70.8721 0.1500
8 22.0177 2.6044 1.84666 23.78
9 86.0039 (d9)
10(絞り) ∞ 0.9226
11 22.6696 2.2896 1.77250 49.47
12* 169.8981 4.5773
13 -45.6515 0.8000 1.84666 23.78
14 40.7925 2.8070 1.49700 81.61
15 -32.1496 0.1500
16* 95.6077 2.8630 1.77377 47.17
17 -22.7788 (d17)
18 48.1285 0.8000 1.83481 42.72
19 16.7001 (d19)
20 -70.5321 0.8000 1.58913 61.25
21 50.8686 0.3998
22 30.7121 3.0260 1.83400 37.35
23 972.3097 (d23)
24 ∞ 2.2000 1.51680 64.20
25 ∞ (BF)

[非球面データ]
6面 12面 16面
K -13.5668 0.0000 0.0000
A4 -2.28991E-05 2.65148E-05 -2.63095E-05
A6 -2.13939E-07 7.11050E-08 2.88174E-08
A8 4.79970E-09 -2.77672E-10 -2.53551E-10
A10 -4.01420E-11 0.00000E+00 0.00000E+00

[各種データ]
ズーム比 2.87
広角 中間 望遠
焦点距離 29.01 49.75 83.22
Fナンバー 3.62 4.59 5.80
全画角2ω 53.09 31.43 18.99
像高Y 14.20 14.20 14.20
レンズ全長 92.04 101.73 118.13

[可変間隔データ]
広角 中間 望遠
d3 3.0000 12.7059 29.0967
d9 15.5624 6.2289 2.4481
d17 6.0199 4.9396 2.1000
d19 5.7776 6.8578 9.6974
d23 20.5900 29.9051 33.6970
BF 1.0000 1.0000 1.0000

[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
L1 1 76.27
L2 4 -21.15
L3 10 19.24
L4 18 -30.99
L5 20 150.46
【0092】
数値実施例4
単位:mm
[面データ]
面番号 r d nd vd
1 46.1089 1.6000 2.00100 29.13
2 27.7835 7.3972 1.77250 49.62
3 1358.0512 (d3)
4 88.6850 0.8000 1.72916 54.67
5 12.5666 5.1911
6* -22.3568 1.0000 1.77377 47.17
7 -140.5792 0.1500
8 36.4774 2.5672 1.84666 23.78
9 -146.1724 (d9)
10(絞り) ∞ 0.8962
11* 22.2946 2.7049 1.77250 49.47
12 -99.4398 1.8411
13 -38.1385 0.8000 1.80518 25.46
14 42.2133 2.5845 1.49700 81.61
15 -47.1531 3.8710
16* 323.4634 2.6056 1.77377 47.17
17 -22.9649 (d17)
18 49.1786 0.8000 1.83481 42.72
19 17.0151 (d19)
20 -55.5163 0.8000 1.77250 49.62
21 207.6810 0.1500
22* 32.6279 3.4376 1.77377 47.17
23 999.8659 (d23)
24 ∞ 2.2000 1.51680 64.20
25 ∞ (BF)

[非球面データ]
6面 11面 16面 22面
K -0.7240 0.0000 0.0000 -1.2451
A4 -4.74097E-06 -1.75664E-05 -3.47492E-05 7.09076E-07
A6 -1.43128E-07 4.81798E-08 -4.75062E-08 4.22797E-08
A8 2.03578E-09 -6.30837E-10 4.38083E-10 -2.82084E-10
A10 -1.96929E-11 0.00000E+00 0.00000E+00 6.20655E-13

[各種データ]
ズーム比 2.87
広角 中間 望遠
焦点距離 28.95 49.76 83.21
Fナンバー 3.62 4.56 5.75
全画角2ω 53.17 31.26 19.02
像高Y 14.20 14.20 14.20
レンズ全長 92.04 102.96 118.63

[可変間隔データ]
広角 中間 望遠
d3 3.0000 13.9298 29.5989
d9 15.0612 6.2289 2.1158
d17 5.2522 4.2722 2.1000
d19 5.7401 8.3897 17.3338
d23 20.5900 27.7427 25.0850
BF 1.0000 1.0000 1.0000

[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
L1 1 76.33
L2 4 -21.24
L3 10 19.60
L4 18 -31.52
L5 20 181.90
【0093】
また、これらの各実施例における条件式の対応値の一覧を示す。
【0094】
[条件式対応値]
条件式\実施例 1 2 3 4
(1) 2.3<f1/fW<2.9 2.52 2.72 2.63 2.64
(2) 1.1<|f2/D2sW|<1.7 1.41 1.46 1.36 1.41
(3) 0.4<D2sW/fW<0.6 0.49 0.48 0.54 0.52
(4) 4.0<|f4/D34W|<9.0 6.22 7.69 5.15 6.00
(5) 0.6<|β5W|<1.4 1.02 1.21 0.85 0.87
【符号の説明】
【0095】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
L5 第5レンズ群
S 開口絞り
F フィルタ
I 像面
図1
図2
図3
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図5
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図8
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図20