特許第5952135号(P5952135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952135
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】超小型撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20160630BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G02B13/00
   G02B13/18
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-187351(P2012-187351)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-44354(P2014-44354A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】391014055
【氏名又は名称】カンタツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】特許業務法人IP−FOCUS
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】石坂 亮
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雅也
【審査官】 瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−010773(JP,A)
【文献】 特開2008−139853(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0137219(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0162785(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子用の撮像レンズであって、物体側から像側に向かって順に、開口絞りと、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第1レンズと、物体側に凹面を向けた正の屈折力を有する第2レンズと、光軸近傍で物体側に凸面を向けた負の屈折力を有する第3レンズとで構成され、前記第3レンズの両面は非球面で形成され、物体側の面および像側の面に少なくとも1つの変極点を有し、以下の条件式(2)及び(10)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
(2)0.80<f1/f<0.93
(10)−5.0<f3/f<−2.0
ただし、
f :撮像レンズ全系の焦点距離
f1:第1レンズの焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
【請求項2】
以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(5)0.02<L3Rsag/bf<0.05
ただし、
bf :第3レンズと撮像素子間に配置されたフィルタ類を取り外した際の第3レンズの像側の面から撮像面までの光軸上の距離(バックフォーカス(空気換算距離))
L3Rsag:第3レンズの像側の面の変極点における最大サグ量
【請求項3】
第3レンズの物体側の面に2つの変極点を有することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像レンズ。
【請求項4】
以下の条件式(6)及び条件式(7)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(6)0.16mm<Di<0.30mm
(7)0.04<(Di−Tei)/SDi<0.30
ただし、
Di:i番目のレンズの中心厚(i=1〜3)
Tei:i番目のレンズのエッジ厚(i=1〜3)
SDi:i番目のレンズの有効半径(i=1〜3)
【請求項5】
以下の条件式(9)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(9)−0.20<f1/f23<−0.15
ただし、
f1:第1レンズの焦点距離
f23:第2レンズと第3レンズの合成焦点距離
【請求項6】
以下の条件式(11)を満足することを特徴とする請求項に記載の撮像レンズ。
(11)1.6<r5/r6<2.2
ただし、
r5:第3レンズの物体側の面の曲率半径
r6:第3レンズの像側の面の曲率半径
【請求項7】
以下の条件式(12)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(12)0.15<T1/f<0.20
ただし、
f :撮像レンズ全系の焦点距離
T1:第1レンズと第2レンズの間の光軸上の空気間隔
【請求項8】
以下の条件式(13)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(13)−3.0<(r1+r2)/(r1−r2)<−2.0
ただし、
r1:第1レンズの物体側の面の曲率半径
r2:第1レンズの像側の面の曲率半径
【請求項9】
以下の条件式(1)、(3)及び(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
(1)TTL<3.0mm
(3)0.35<bf/TTL<0.42
(4)0.70<TTL/(2IH)<0.85
ただし、
TTL:第3レンズと撮像素子間に配置されたフィルタ類を取り外した際の最も物体側の面から撮像面までの光軸上の距離(空気換算距離)
bf:第3レンズと撮像素子間に配置されたフィルタ類を取り外した際の第3レンズの像側の面から撮像面までの光軸上の距離(バックフォーカス(空気換算距離))
IH:最大像高
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やスマートフォンなどの携帯端末、家庭用ゲーム機器のモーションセンサ、PDA(Personal Digital Assistance)等に搭載される比較的小型で薄型のCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子を用いた撮像装置に搭載される撮像レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やスマートフォンなどの携帯端末、PDA等の機器において、ますます小型化や薄型化の検討が進められており、同時に高画素化に対応したカメラ機能の向上も検討されている。そのため、これらの機器に搭載される撮像装置に使用される撮像素子は、ますます小型化と高画素化が進む状況にあり、一般には高画素化に対応した高い解像力を備える撮像レンズが求められる。しかし、携帯端末のサブカメラのような、携帯端末を使用する至近距離の自分自身を撮影するための撮像レンズにおいては、より小型、薄型であることや広範囲において被写体の像を撮影可能であること、すなわち広角であることが求められる。加えて、広角になることで写り込む周囲の背景等を綺麗に写すための解像力が求められる。また、撮像素子の小型化に伴い、照度感度が低下するため、明るいレンズ系であることも重要である。
【0003】
従来、上述した機器に搭載される撮像レンズとして、高い解像力を求める場合には、4枚以上のレンズを採用した撮像レンズが有利であるが、レンズ枚数の増大は小型化、ローコスト化には不利である。また、小型化、ローコスト化を求める場合には、1枚または2枚のレンズを採用した撮像レンズが有利であるが、少ないレンズ枚数では諸収差の補正が困難なため、要求される解像力を得ることができないという課題がある。3枚構成の撮像レンズは、上述した双方の課題をある程度解決できる構成として、従来から広く提案されてきた。また、近年ますます小型化、薄型化が進む撮像装置の技術的な進化に対応させるために適した構成と言える。
【0004】
このような3枚構成の撮像レンズとして、例えば特許文献1には、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正のメニスカス形状を有する第1レンズと物体側の面が凹形状となっている第2レンズと光軸近傍において負の屈折力を有する第3レンズとを備え、第2レンズと第3レンズはそれぞれ少なくとも一面が非球面である撮像レンズが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、物体側から像側に向かって順に、開口絞りと物体側に凸面を向けた正のメニスカス形状の第1レンズと像側に凸面と向けたメニスカス形状の第2レンズと物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第3レンズとを備え、第1レンズと第2レンズと第3レンズは各々がプラスチック材料で形成され、物体側の面が凹形状となっている第2レンズと光軸近傍において負の屈折力を有する第3レンズとを備え、第2レンズと第3レンズはそれぞれ少なくとも一面が非球面である撮像レンズが開示されている。
【0006】
さらに特許文献3には、物体側から像面側へと順に、絞りと、正の屈折力を有する第1レンズと、物体側に凹面を向けたメニスカス状の弱い正の屈折力を有する第2レンズと、少なくとも1つの屈折面を非球面形状とした負の屈折力を有する第3レンズからなる撮像レンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−276200号公報
【特許文献2】特開2007−206611号公報
【特許文献3】特開2004−252312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1によれば、製造性に優れ、コンパクトな構成でありながら高い結像性能を有することが可能な撮像レンズが提案されている。しかしながら、当該撮像レンズの光学全長は4mm前後であり、小型化および薄型化への対応が十分ではない。さらに、F値は3.5程度と大きいため、小型化が進む撮像素子に適用する場合、撮像素子の周辺部において適切な光量を得ることができず、照度感度を高くして撮影せざるを得なくなる可能性がある。照度感度を高くすると、ノイズが多くなり、画質が悪化してしまう。また、半画角が34度程度であり、広角化への対応は十分とはいえない。
【0009】
また、上記特許文献2によれば、バックフォーカスを短くすることで小型化且つ高い光学性能を有する撮像レンズの実現を可能にした撮像レンズが提案されている。しかしながら、当該撮像レンズの光学全長は5mm前後であり、小型化および薄型化に十分に対応しているとはいえない。また、バックフォーカスが短い構成であるため、さらなる小型化および薄型化を図る場合には、赤外線カットフィルターやカバーガラスなどの挿入物を配置するために必要なスペースを十分に確保することが困難である。また、半画角が32度程度であり、広角化への対応が不十分である。
【0010】
また、上記特許文献3によれば、ローコスト化、組立精度を意識しつつも高解像、かつコンパクトな撮像レンズが提案されている。当該撮像レンズにおいて、F値は2.4程度であり、小型化の進む撮像素子に適用できる比較的明るいレンズ系を実現している。しかしながら、当該撮像レンズの光学全長は6mm程度であり、小型化および薄型化に十分に対応しているとはいえない。さらに、数値実施例1および数値実施例2においては、第1レンズにガラス材料を採用しているため、コスト面で高価な撮像レンズとなる。また、厚みが極めて薄いレンズをガラス材料で製作することは困難であるため、さらなる薄型化には限界がある。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、諸収差を良好に補正することができ、十分なバックフォーカスを確保しながら、極めて小型化、薄型化が可能な、明るく広角化にも対応できる撮像レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による撮像レンズは、固体撮像素子用の撮像レンズであって、物体側から像側に向かって順に、開口絞りと、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第1レンズと、物体側に凹面を向けた正の屈折力を有する第2レンズと、光軸近傍で物体側に凸面を向けた負の屈折力を有する第3レンズとで構成され、前記第3レンズの両面は非球面で形成され、物体側の面および像側の面に少なくとも1つの変極点を有することを特徴とする。
さらに、当該構成において、次の条件式(1)から(4)を満足する。
(1)TTL<3.0
(2)0.80<f1/f<0.93
(3)0.35<bf/TTL<0.42
(4)0.70<TTL/(2IH)<0.85
ただし、TTLは第3レンズと撮像素子間に配置されたフィルタ類を取り外した際の最も物体側の面から撮像面までの光軸上の距離(空気換算距離)、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f1は第1レンズの焦点距離、bfは第3レンズと撮像素子間に配置されたフィルタ類を取り外した際の第3レンズの像側の面から撮像面までの光軸上の距離(バックフォーカス(空気換算距離))、IHは最大像高とする。
【0013】
上記構成の撮像レンズは、3枚で構成されるレンズのうち、2枚を正レンズにすることで、光学全長の短縮化を容易にし、1枚を負レンズにすることで、色収差の良好な補正とバックフォーカスの確保を容易にしている。また、第1レンズを物体側に凸面を向けたメニスカス形状、第2レンズを物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状、すなわち面の形状が対称となる形状にすることにより、軸上および軸外における球面収差、コマ収差や像面湾曲などの諸収差の補正を可能にしている。また、開口絞りを第1レンズの物体側の面の面頂位置、または第1レンズの物体側の面の面頂位置と第1レンズの物体側の面の終端位置との間に配置することによって、光学全長の短縮化を図りつつ、テレセントリック性を確保している。さらに、第3レンズの両面を非球面で形成し、物体側の面および像側の面に少なくとも1つの変極点を有する形状にすることにより、撮像素子へ入射する光線の角度を好適に抑制しつつ、主に高像高における歪曲収差、像面湾曲およびコマ収差の良好な補正を可能にしている。
【0014】
なお、本発明における変極点とは、接平面と光軸とが垂直に交わる非球面上の点を意味する。
【0015】
条件式(1)は撮像レンズの最も物体側の面から撮像面までの光軸上の距離(空気換算距離)、すなわち光学全長の最大値を規定するものである。条件式(1)の上限値を超えない光学全長であれば、小型化および薄型化が進む装置へ好適に適用することが出来る。
【0016】
条件式(2)は第1レンズの焦点距離と撮像レンズ全系の焦点距離との比を適切な範囲に規定するものであり、適切なバックフォーカスの確保と光学全長の短縮化および球面収差とコマ収差の良好な補正を可能とするための条件である。条件式(2)の上限値を上回ると、第1レンズのパワーが相対的に弱くなり、球面収差およびコマ収差を補正しやすくなるが、バックフォーカスが長くなり過ぎ、光学全長の短縮化が困難となる。一方、条件式(2)の下限値を下回ると、第1レンズのパワーが相対的に強くなるため、必要以上に光学全長が短縮し、バックフォーカスの確保が困難となると共に球面収差およびコマ収差の良好な補正が困難となる。
【0017】
条件式(2)は、下記条件式(2a)の範囲であれば、より確実な効果が期待できる。
(2a) 0.82<f1/f<0.90
【0018】
条件式(3)はバックフォーカスと光学全長との比を適切な範囲に規定するものであり、条件式(1)を満足する極めて短い光学全長の中に、3枚のレンズを適切な形状に形成可能とし、かつバックフォーカスを十分確保するための条件である。条件式(3)の上限値を上回ると、バックフォーカスが長くなり過ぎて3枚のレンズを配置するためのスペースが不足する。その状態でレンズを構成しようとすると、射出成形上必要なレンズの厚みが確保できない、レンズ面形状の自由度が低下する等の問題が生じる。一方、条件式(3)の下限値を下回ると、光学全長に占めるバックフォーカスの値が小さくなるため、3枚のレンズを配置するためのスペースは十分確保できる。その状態であれば、射出成形上必要なレンズの厚みやレンズ面形状の自由度を確保することができるが、十分なバックフォーカスを確保することができず、第3レンズと撮像素子間に配置するフィルタ類(赤外線カットフィルターや撮像素子の上面側に構成されるカバーガラスなど)を配置するために必要なスペースの確保が困難となる。なお、本発明の撮像レンズは条件式(3)を満足することによって、COB(Chip On Board)タイプの撮像モジュールのみならず、十分なバックフォーカスを必要とするCSP(Chip Size Package)タイプの撮像モジュールにも全く問題なく適用することができる。
【0019】
条件式(3)は、下記条件式(3a)の範囲であれば、より確実な効果が期待できる。
(3a)0.37<bf/TTL<0.40
【0020】
条件式(4)は撮像レンズの小型化および薄型化を実現するための条件であり、条件式(1)、(2)、(3)と同時に満足することによって非常に小型の撮像素子に適応可能な、極めて小型の撮像レンズの実現が可能になる。条件式(4)の上限値を上回ると、最大像高に対して光学全長が長くなるため、撮像レンズの薄型化や小型化に不利となり、装置の薄型化へ寄与することが困難になる。一方、条件式(4)の下限値を下回ると、最大像高に対して光学全長が短くなりすぎ、製造可能な撮像レンズを構成することが非常に困難になる。
【0021】
条件式(4)は、下記条件式(4a)の範囲であれば、より確実な効果が期待できる。
(4a)0.7<TTL/(2IH)<0.8
【0022】
また、本発明の撮像レンズは以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)0.02<L3Rsag/bf<0.05
ただし、bfは第3レンズと撮像素子間に配置されたフィルタ類を取り外した際の第3レンズの像側の面から撮像面までの光軸上の距離(バックフォーカス(空気換算距離))、L3Rsagは第3レンズの像側の面の変極点位置における最大サグ量とする。
【0023】
条件式(5)は第3レンズの像側の面の変極点位置における最大サグ量とバックフォーカスとの比を適切な範囲に規定するものであり、撮像レンズの小型化および薄型化と諸収差の良好な補正を可能にするための条件である。条件式(5)の上限値を上回ると、諸収差の良好な補正には有利となるが、第3レンズの像側の面の最も像面に近い点(すなわち変極点)が像側に張り出す量が大きくなる。従って、フィルタ類を配置するために必要なバックフォーカスのうち、配置可能な実質的な空間となるレンズバック(第3レンズの像側の面の最も像面に近い点から、像面までの間隔)を十分に確保することが困難となる。一方、条件式(5)の下限値を下回ると、レンズバックの確保は容易となるが、非球面形状による収差補正の効果が減少し、主に像面湾曲およびコマ収差の良好な補正が困難となる。さらには、撮像素子へ入射する光線の角度を抑制することが困難になってしまうため好ましくない。条件式(5)で規定された範囲を満足することによって、COB(Chip On Board)タイプの撮像モジュールのみならず、十分なレンズバックを必要とするCSP(Chip Size Package)タイプの撮像モジュールにも全く問題なく適用することができる。
【0024】
条件式(5)は、下記条件式(5a)の範囲であれば、より確実な効果が期待できる。
(5a)0.03<L3Rsag/bf<0.05
【0025】
また、本発明の撮像レンズは第3レンズの物体側の面に2つの変極点を有することが望ましい。
【0026】
第3レンズの物体側の面を2つの変極点を有する形状にすることによって、撮像素子へ入射する光線の角度のコントロールが容易となり、さらには高像高における歪曲収差、像面湾曲およびコマ収差を良好に補正することも容易となる。
【0027】
また、本発明の撮像レンズは以下の条件式(6)および条件式(7)を満足することが望ましい。
(6)0.16<Di<0.30
(7)0.04<(Di−Tei)/SDi<0.30
ただし、Diはi番目のレンズの中心厚(i=1〜3)、Teiはi番目のレンズのエッジ厚(i=1〜3)、SDiはi番目のレンズの有効半径(i=1〜3)である。なお、図11に示すように、本発明におけるレンズの有効半径とは、各レンズの物体側の面と像側の面を通過する上光線のうち、最も光軸から離れた位置を通過する点と光軸とを垂直に結ぶ距離を意味するものとする。また、エッヂ厚とは、各レンズを通過する上光線のうち、最も光軸から離れた位置を通過する物体側の点と像側の点を結ぶ光軸に平行な距離を意味するものとする。
【0028】
条件式(6)は撮像レンズの小型化を達成するための各レンズの中心厚を好ましい範囲に規定するものである。
また、条件式(7)は、各レンズの中心厚とエッジ厚との差とレンズの有効半径との比の範囲を規定するものである。本発明は極めて小型な撮像レンズを実現するものであり、必然的に各レンズも極めて薄型、小型のものになる。一般に熱可塑性のプラスチック材料を用いたレンズの射出成形において、薄く小さなレンズを実現するためには、成形時の流動性を考慮する必要性から、レンズの厚み方向の寸法に関しては、中心からエッジに至るまでの厚みの差を少なくすることが望ましい。また、レンズの径方向の寸法に関しては、径を大きくし過ぎて樹脂の充填不足が生じない程度の大きさにする必要がある。条件式(7)は上述した射出成型における課題を回避するものであり、規定した範囲内にすることによって、流動性の悪化によるレンズ面精度への悪影響や、偏肉形状に伴うヒケの発生等を防止することができる。従って、薄く小さな超小型レンズであっても、成形の不良率を低減させ、量産性を高めることを可能にする。
【0029】
本発明の実施形態においては、中心厚が0.18程度でエッジ厚が0.15程度しかない薄く小さなレンズが含まれているが、条件式(7)の値を規定された数値範囲内に有効半径を設定することによって、このような超小型レンズの成形を実現可能にしている。
【0030】
なお、上述したような超小型のレンズを実現する場合、条件式(7)と合わせて、流動性の高いプラスチック材料を採用することが望ましい。シクロオレフィン系のプラスチック材料であれば、例えば、三井化学のAPL5014CL等やポリカーボネート系のプラスチック材料であれば、例えば、三菱ガス化学のEP5000等を用いるとさらに安定した成形が可能になる。なお、これらの材料は、熱可塑性樹脂の流動性を示す指標であるメルトフローレイト(ISO 1133:1997法/JIS K7210:1999法、280℃、荷重2,160g)の値が38g/10min以上であり、高い流動性を示すものであるため、本発明のような超小型レンズの成形に適している。
【0031】
また、本発明の撮像レンズは以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)0.41<(IH/f)/TTL<0.51
ただし、TTLは第3レンズと撮像素子間に配置されたフィルタ類を取り外した際の最も物体側の面から撮像面までの光軸上の距離(空気換算距離)、IHは最大像高、fは撮像レンズ全系の焦点距離である。
【0032】
条件式(8)は撮像レンズの画角を良好な範囲に維持しつつ、小型化および薄型化を実現するための条件である。条件式(8)の上限値を上回ると、光学全長は短くなるが、画角が広がりすぎてしまうため周辺における光量が低下する傾向になる。さらに撮像素子への主光線入射角度のコントロールが困難になるため、周辺の明るさに悪影響を及ぼすばかりでなく、周辺のMTF特性が低下するため撮像レンズの性能を著しく低下させる要因にもなる。一方、条件式(8)の下限値を下回ると、画角が狭くなりすぎ、広角化への対応が不十分となってしまうため好ましくない。
【0033】
条件式(8)は、下記条件式(8a)の範囲であれば、より確実な効果が期待できる。
(8a)0.43<(IH/f)/TTL<0.49
【0034】
また、本発明の撮像レンズは、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
(9)−0.21<f1/f23<−0.15
ただし、f1は第1レンズの焦点距離、f23は第2レンズと第3レンズの合成焦点距離である。
【0035】
条件式(9)は第1レンズの焦点距離と第2レンズと第3レンズの合成焦点距離との比を適切な範囲に規定するものであり、光学全長の短縮化を図ると共に球面収差および歪曲収差を良好に補正するための条件である。条件式(9)の上限値を上回ると、第2レンズと第3レンズの負の合成パワーに対する第1レンズの正のパワーが強くなりすぎるため、光学全長の短縮化には有利となるが、軸上および軸外の色収差が補正不足(基準波長の色収差に対して短波長の色収差がマイナス方向に増大)になる。さらに、歪曲収差も高像高側の収差量がマイナス方向に増大することとなり、樽型の傾向が強くなってしまい好ましくない。一方、条件式(9)の下限値を下回ると、第2レンズと第3レンズの負の合成パワーに対する第1レンズの正のパワーが弱くなりすぎるため、軸上および軸外の色収差が補正過剰(基準波長の色収差に対して短波長の色収差がプラス方向に増大)となるため好ましくない。
【0036】
また、本発明の撮像レンズにおいては、以下の条件式(10)及び条件式(11)を満足することが望ましい。
(10)−5.0<f3/f<−2.0
(11)1.6<r5/r6<2.2
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、f3は第3レンズの焦点距離、r5は第3レンズの物体側の面の曲率半径、r6は第3レンズの像側の面の曲率半径である。
【0037】
条件式(10)および条件式(11)は第3レンズのパワーを適切に規定するものであり、適切なバックフォーカスを確保しながら撮像レンズの小型化を図りつつ、色収差を良好な範囲内に抑制するための条件である。条件式(10)および条件式(11)の上限値を上回ると、第3レンズの負のパワーが強くなりすぎ、バックフォーカスが長くなると共に光学全長が長くなり、撮像レンズの小型化に不利となる。一方、条件式(10)および(11)の下限値を下回ると、第3レンズの負のパワーが弱くなりすぎ、光学全長の短縮化には有利だが、軸上および軸外の色収差が大きくなり、良好な結像性能を得ることが困難となる。また、適切なバックフォーカスの確保も困難となる。
【0038】
また、本発明の撮像レンズにおいては、以下の条件式(12)を満足することが望ましい。
(12)0.15<T1/f<0.20
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、T1は第1レンズと第2レンズの間の光軸上の空気間隔である。
【0039】
条件式(12)は撮像レンズの小型化を図りつつ、適切なバックフォーカスを確保しながら、良好な収差補正を可能とするための条件である。条件式(12)の上限値を上回ると、各レンズのパワーバランスが崩れ、適切なバックフォーカスを確保することが困難となる。また、第1レンズと第2レンズの空気間隔が広くなりすぎることにより、光学全長が長くなってしまうため好ましくない。一方、条件式(12)の下限値を下回ると、第1レンズと第2レンズの空気間隔が狭くなりすぎ、低像高の光線と高像高の光線が重なり合う領域が発生しやすく、その結果、歪曲収差やコマ収差の良好な補正が困難となる。また、第1レンズと第2レンズの空気間隔が狭くなりすぎると、第1レンズと第2レンズの間の周辺部における空気間隔も狭くなり、製造公差のバラつきによっては双方のレンズが干渉してしまう可能性もある。規定する範囲内とすることによって、各レンズに適切なパワーを配分することが容易となり、十分なバックフォーカスの確保および良好な収差補正が可能となる。
【0040】
条件式(12)は、下記条件式(12a)の範囲であれば、より確実な効果が期待できる。
(12a)0.165<T1/f<0.183
【0041】
また、本発明の撮像レンズにおいては、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
(13)−3.0<(r1+r2)/(r1−r2)<−2.0
ただし、r1は第1レンズの物体側の面の曲率半径、r2は第1レンズの像側の面の曲率半径である。
【0042】
条件式(13)は第1レンズの物体側の面と像側の面の対称性に関する形状係数であり、第1レンズの形状を適切に設定する条件である。条件式(13)の上限値を上回ると第1レンズの物体側の面と像側の面の形状が対称に近づき、色収差が悪化する傾向となる。また、第1レンズの像側主点位置が像側へ移動するため、光学全長の短縮化に不利になる。一方、条件式(13)の下限値を下回ると、第1レンズの像側主点位置が物体側に移動するため光学全長の短縮化には有効だが、第1レンズの物体側の面の曲率半径あるいは第1レンズの像側の面の曲率半径が小さくなりすぎ、製造誤差感度が高くなるため好ましくない。
【0043】
条件式(13)は、下記条件式(13a)の範囲であれば、より確実な効果が期待できる。
(13a)−2.7<(r1+r2)/(r1−r2)<−2.4
【発明の効果】
【0044】
本発明により、諸収差が良好に補正され、十分なバックフォーカスが確保された、極めて小型、薄型の撮像レンズを実現することができる。また、F値は2.4程度で明るく、広角化にも対応可能な撮像レンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】実施例1の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図2】実施例1の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図3】実施例2の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図4】実施例2の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図5】実施例3の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図6】実施例3の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図7】実施例4の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図8】実施例4の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図9】実施例5の撮像レンズの概略構成を示す図である。
図10】実施例5の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。
図11】本発明における各レンズのレンズ厚みD、エッジ厚Te、レンズの有効半径SDを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1図3図5図7図9はそれぞれ、本実施形態の実施例1〜5に係る撮像レンズの概略構成図を示している。いずれも基本的なレンズ構成は同一であるため、ここでは実施例1の概略構成図を参照しながら、本実施形態の撮像レンズ構成について説明する。
【0047】
図1に示すように、本実施形態の撮像レンズは、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズL1と、正の屈折力を有する第2レンズL2と、負の屈折力を有する第3レンズL3とで構成されている。また、開口絞りSTは第1レンズL1の物体側に配置されている。第3レンズL3と像面IMとの間にはフィルタIRおよびカバーガラスCGが配置されている。なお、このフィルタIRやカバーガラスCGは省略することが可能である。
【0048】
上記3枚構成の撮像レンズにおいて、第1レンズL1は物体側の面r1が凸面であり、像側の面r2が凹面のメニスカス形状のレンズであり、第2レンズL2は物体側の面r3が凹面で、像側の面r4が凸面のメニスカス形状のレンズであり、第3レンズL3は両面が非球面で形成され、光軸Xの近傍で物体側の面r5が凸面で、像側の面r6が凹面のメニスカス形状のレンズで構成されている。また、第3レンズの物体側の面および像側の面は少なくとも1つの変極点を有する形状となっている。
【0049】
また、本実施形態の撮像レンズはすべてプラスチック材料を採用している。全ての実施形態において、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3にシクロオレフィン系のプラスチック材料を用いている。
すべてのレンズにプラスチック材料を採用することで、安定した大量生産が可能となり、低コスト化が容易である。また、全てのレンズは同一の材料で構成されているため製造が容易である。
【0050】
本発明の撮像レンズは以下の条件式を満足する。
(1)TTL<3.0
(2)0.80<f1/f<0.93
(3)0.35<bf/TTL<0.42
(4)0.70<TTL/(2IH)<0.85
(5)0.02<L3Rsag/bf<0.05
(6)0.16<Di<0.30
(7)0.09<(Di−Tei)/SDi<0.33
(8)0.41<(IH/f)/TTL<0.51
(9)−0.20<f1/f23<−0.15
(10)−5.0<f3/f<−2.0
(11)1.6<r5/r6<2.2
(12)0.15<T1/f<0.20
(13)−3.0<(r1+r2)/(r1−r2)<−2.0
ただし、
TTL:第3レンズと撮像素子間に配置されたフィルタ類を取り外した際の最も物体側の面から撮像面までの光軸上の距離
f :撮像レンズ全系の焦点距離
f1:第1レンズの焦点距離
bf:第3レンズと撮像素子間に配置されたフィルタ類を取り外した際の第3レンズの像側の面から撮像面までの光軸上の距離(バックフォーカス(空気換算距離))
IH:最大像高
L3Rsag:第3レンズの像側の面の変極点における最大サグ量
Di:i番目のレンズの中心厚(i=1〜3)
Tei:i番目のレンズのエッジ厚(i=1〜3)
SDi:i番目のレンズの有効半径(i=1〜3)
f23:第2レンズと第3レンズの合成焦点距離
f3:第3レンズの焦点距離
r5:第3レンズの物体側の面の曲率半径
r6:第3レンズの像側の面の曲率半径
T1:第1レンズと第2レンズの間の光軸上の空気間隔
r1:第1レンズの物体側の面の曲率半径
r2:第1レンズの像側の面の曲率半径
【0051】
本実施形態では、すべてのレンズ面を非球面で形成している。これらのレンズ面に採用する非球面形状は光軸方向の軸をZ、光軸に直交する方向の高さをH、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16としたとき次式により表わされる。
【0052】
【数1】
【0053】
次に本実施の形態に係る撮像レンズの実施例を示す。各実施例において、fは撮像レンズ全系の焦点距離を、FnoはFナンバーを、ωは半画角を、IHは最大像高をそれぞれ示す。また、iは物体側から数えた面番号、rは曲率半径、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)、Ndはd線(基準波長)に対する屈折率、νdはd線に対するアッベ数、SDはレンズの有効半径、Teはレンズのエッジ厚をそれぞれ示す。なお、非球面に関しては、面番号iの後に*(アスタリスク)の符号を付加して示す。
【実施例1】
【0054】
基本的レンズデータを以下の表1に示す。
【表1】
【0055】
実施例1の撮像レンズは、表6に示すように条件式(1)〜(13)の全てを満たしている。また、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズの全てのレンズをシクロオレフィンコポリマーの高流動性プラスチック材料を用いており、超小型レンズの成形を実現している。
【0056】
図2は実施例1の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。これら収差図は、g線(436nm)、F線(486nm)、e線(546nm)、d線(588nm)、C線(656nm)の各波長に対する収差量を示している。また、非点収差図にはサジタル像面S、タンジェンシャル像面Tにおける収差量をそれぞれ示している(図4図6図8図10においても同じ)。図2に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0057】
また、光学全長TTLは1.55mmと極めて短く、最大像高IHとの比(TTL/2IH)は0.75であり、バックフォーカスは0.60mmであり、十分なバックフォーカスを確保しながら、極めて薄型で小型な撮像レンズが実現されている。さらに、F値は2.43と明るく、半画角は約35.8°で広い画角が実現されている。
【実施例2】
【0058】
基本的レンズデータを以下の表2に示す。
【表2】
【0059】
実施例2の撮像レンズは、表6に示すように条件式(1)〜(13)の全てを満たしている。また、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズの全てのレンズをシクロオレフィンコポリマーの高流動性プラスチック材料を用いており、超小型レンズの成形を実現している。
【0060】
図4は実施例2の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図4に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0061】
また、光学全長TTLは1.55mmと極めて短く、最大像高IHとの比(TTL/2IH)は0.75であり、バックフォーカスは0.60mmであり、十分なバックフォーカスを確保しながら、極めて薄型で小型な撮像レンズが実現されている。さらに、F値は2.41と明るく、半画角は約35.7°で広い画角が実現されている。
【実施例3】
【0062】
基本的レンズデータを以下の表3に示す。
【表3】
実施例3の撮像レンズは、表6に示すように条件式(1)〜(13)の全てを満たしている。また、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズの全てのレンズをシクロオレフィンコポリマーの高流動性プラスチック材料を用いており、超小型レンズの成形を実現している。
【0063】
図6は実施例3の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図6に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0064】
また、光学全長TTLは1.55mmと極めて短く、最大像高IHとの比(TTL/2IH)は0.76であり、バックフォーカスは0.60mmであり、十分なバックフォーカスを確保しながら、極めて薄型で小型な撮像レンズが実現されている。さらに、F値は2.4と明るく、半画角は約35.7°で広い画角が実現されている。
【実施例4】
【0065】
基本的レンズデータを以下の表4に示す。
【表4】
【0066】
実施例4の撮像レンズは、表6に示すように条件式(1)〜(13)の全てを満たしている。また、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズの全てのレンズをシクロオレフィンコポリマーの高流動性プラスチック材料を用いており、超小型レンズの成形を実現している。
【0067】
図8は実施例4の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図8に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0068】
また、光学全長TTLは1.55mmと極めて短く、最大像高IHとの比(TTL/2IH)は0.75であり、バックフォーカスは0.60mmであり、十分なバックフォーカスを確保しながら、極めて薄型で小型な撮像レンズが実現されている。さらに、F値は2.4と明るく、半画角は約35.7°で広い画角が実現されている。
【実施例5】
【0069】
基本的レンズデータを以下の表5に示す。
【表5】
【0070】
実施例5の撮像レンズは、表6に示すように条件式(1)〜(13)の全てを満たしている。また、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズの全てのレンズをシクロオレフィンコポリマーの高流動性プラスチック材料を用いており、超小型レンズの成形を実現している。
【0071】
図10は実施例5の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図10に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
【0072】
また、光学全長TTLは1.55mmと極めて短く、最大像高IHとの比(TTL/2IH)は0.75であり、バックフォーカスは0.60mmであり、十分なバックフォーカスを確保しながら、極めて薄型で小型な撮像レンズが実現されている。さらに、F値は2.41と明るく、半画角は約35.7°で広い画角が実現されている。
【0073】
本発明の実施形態に係る撮像レンズは、光学全長(TTL)が1.55mm以下であり、光学全長と最大像高IHとの比(TTL/2IH)は0.76以下を達成するほどの極めて薄型化および小型化が図られている。また、収差が良好に補正されており、F値は2.4程度で明るく、全画角は72°前後で広い画角の撮影を可能にする。
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の各実施の形態に係る3枚構成の撮像レンズを携帯電話機やスマートフォンなどの携帯端末、家庭用ゲーム機器のモーションセンサ、PDA(Personal Digital Assistance)等に搭載される、小型で薄型の固体撮像素子を用いた撮像装置に内蔵される光学系に適用した場合、バックフォーカスを十分に確保しつつ、極めて薄型化および小型化を実現することができる。
【符号の説明】
【0075】
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
IR フィルタ
CG カバーガラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11