(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記気体側切替手段は、複数の流路が形成されたロータリバルブが回転することによって前記気体側第1〜第3連通状態を切り替える気体側ロータリバルブユニットで構成され、
前記液体側切替手段は、複数の流路が形成されたロータリバルブが回転することによって前記液体側第1〜第3連通状態を切り替える液体側ロータリバルブユニットで構成され、
前記気体側ロータリバルブユニットのロータリバルブと前記液体側ロータリバルブユニットのロータリバルブとは、同じ回転数で同期して回転することを特徴とする請求項1に記載の外燃機関。
前記気体側ロータリバルブユニットのロータリバルブ及び前記液体側ロータリバルブユニットのロータリバルブの回転数に基づいて前記ピストンの往復運動の周波数を制御することを特徴とする請求項2に記載の外燃機関。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の外燃機関の場合、特許文献1で開示される外燃機関のように、膨張器では蒸発器からの高圧気体のみを利用して運動エネルギに変換している。そのため、熱源からの熱回収効率に改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、熱回収効率を向上させる外燃機関を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る外燃機関は、熱源によって液体の作動媒体を蒸発させる蒸発器と、気体の作動媒体を凝縮させる凝縮器と、液体の作動媒体に浮くピストンと上下方向に配置されるシリンダとを有するピストンユニットと、蒸発器の気体側とシリンダの気体側とを連通する気体側第1連通状態と、凝縮器の気体側とシリンダの気体側とを連通する気体側第2連通状態と、蒸発器の気体側及び凝縮器の気体側とシリンダの気体側とを連通する気体側第3連通状態とを切り替える気体側切替手段と、凝縮器の液体側とシリンダの液体側とを連通する液体側第1連通状態と、蒸発器の液体側とシリンダの液体側とを連通する液体側第2連通状態と、蒸発器の液体側及び凝縮器の液体側とシリンダの液体側とを連通する液体側第3連通状態とを切り替える液体側切替手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
この外燃機関の蒸発器では、熱源で液体の作動媒体を加熱することによって、液体の作動媒体が蒸発して高圧気体となる。凝縮器では、気体の作動媒体が凝縮して低圧気体となり、液体の作動媒体となる。特に、この外燃機関は、蒸発器と凝縮器の他に、ピストンユニットと気体側切替手段及び液体側切替手段が設けられる。ピストンユニットは、ピストンとシリンダを有している。ピストンは、液体の作動媒体に対して浮くフロート式のフリーピストンである。シリンダは、上下方向に配置され、下方には重力で沈む液体の作動媒体が満たされ、ピストンを挟んだ上方に気体の作動媒体が満たされる。したがって、シリンダ内では、ピストンが液体の作動媒体に浮いた状態で、気体の作動媒体と液体の作動媒体との間で上下に往復運動する。気体側切替手段は、気体側第1連通状態(蒸発器の気体側とシリンダの気体側とが連通)と、気体側第2連通状態(凝縮器の気体側とシリンダの気体側とが連通)と、気体側第3連通状態(蒸発器の気体側及び凝縮器の気体側とシリンダの気体側とが連通)とを切り替える。一方、液体側切替手段は、液体側第1連通状態(凝縮器の液体側とシリンダの液体側とが連通)と、液体側第2連通状態(蒸発器の液体側とシリンダの液体側とが連通)と、液体側第3連通状態(蒸発器の液体側及び凝縮器の液体側とシリンダの液体側とが連通)とを切り替える。気体側切替手段が気体側第1連通状態に切り替え、液体側切替手段が液体側第1連通状態に切り替えると、蒸発器からの高圧気体が上方からピストンを押すとともに凝縮器の低圧気体が下方から液体の作動媒体を介してピストンを引っ張り、ピストンが下方に移動する。次に、気体側切替手段が気体側第3連通状態に切り替え、液体側切替手段が液体側第3連通状態に切り替えると、蒸発器、凝縮器及びピストンユニットが圧力平衡となり、ピストンが基準状態に戻る。次に、気体側切替手段が気体側第2連通状態に切り替え、液体側切替手段が液体側第2連通状態に切り替えると、蒸発器の高圧気体が下方から液体の作動媒体を介してピストンを押すととともに凝縮器の低圧気体が上方からピストンを引っ張り、ピストンが上方に移動する。次に、気体側切替手段が気体側第3連通状態に切り替え、液体側切替手段が液体側第3連通状態に切り替えると、上記したように、ピストンが基準状態に戻る。この動作が繰り返さることによって、シリンダ内でピストンが上下方向に往復運動し、このピストンの往復運動によって運動エネルギが取り出される。この運動エネルギから電気エネルギに変換することもできる。このように、この外燃機関は、蒸発器及び凝縮器とピストンユニットとの気体側及び液体側の連通状態を切り替えることにより、蒸発器の高圧気体及び凝縮器の低圧気体を利用してピストンを往復運動させることができ、熱源の熱エネルギの回収効率を向上させることができる。
【0008】
本発明の上記外燃機関では、気体側切替手段は、複数の流路が形成されたロータリバルブが回転することによって気体側第1〜第3連通状態を切り替える気体側ロータリバルブユニットで構成され、液体側切替手段は、複数の流路が形成されたロータリバルブが回転することによって液体側第1〜第3連通状態を切り替える液体側ロータリバルブユニットで構成され、気体側ロータリバルブユニットのロータリバルブと液体側ロータリバルブユニットのロータリバルブとは、同じ回転数で同期して回転するようにすると好適である。
【0009】
この外燃機関の各切替手段は、ロータリバルブを備えるロータリバルブユニットで構成され、ロータリバルブには複数の流路が形成されている。気体側ロータリバルブユニットでは、ロータリバルブが回転することによって各流路で蒸発器の気体側及び/又は凝縮器の気体側とシリンダの気体側とを連通させ、気体側第1連通状態と、気体側第2連通状態と、気体側第3連通状態とを切り替えることができる。液体側ロータリバルブユニットでは、ロータリバルブが回転することによって各流路で蒸発器の液体側及び/又は凝縮器の液体側とシリンダの液体側とを連通させ、液体側第1連通状態と、液体側第2連通状態と、液体側第3連通状態とを切り替えることができる。この気体側ロータリバルブユニットのロータリバルブと液体側ロータリバルブユニットのロータリバルブとを同じ回転数で同期して回転させることによって、気体側第1連通状態と液体側第1連通状態とが同期して切り替わり、気体側第2連通状態と液体側第2連通状態とが同期して切り替わり、気体側第3連通状態と液体側第3連通状態とが同期して切り替わる。このように、この外燃機関は、連通状態を切り替えるための複数の流路を有するロータリバルブによって切替手段を構成することにより、切替手段を小型化できるとともに、ロータリバルブを回転させるだけで3つの連通状態を切り替えることができるので、切り替えに必要な動力を低減でき、制御も容易である。
【0010】
本発明の上記外燃機関では、気体側ロータリバルブユニットのロータリバルブ及び液体側ロータリバルブユニットのロータリバルブの回転数に基づいてピストンの往復運動の周波数を制御すると好適である。
【0011】
この外燃機関では、気体側及び液体側のロータリバルブの回転数を高くすることによって、ピストンの往復運動の周波数が高くなり(単位時間当たりピストンの往復回数が多くなり)、必要な熱エネルギ及び取り出される運動エネルギが多くなる。また、外燃機関では、気体側及び液体側のロータリバルブの回転数を低くすることによって、ピストンの往復運動の周波数が低くなり(単位時間当たりピストンの往復回数が少なくなり)、必要な熱エネルギ及び取り出される運動エネルギが少なくなる。例えば、熱源の熱エネルギ(熱量)が多いほど、ロータリバルブの回転数を高くして、ピストンの往復運動の周波数を高くすることにより、多くの運動エネルギを取り出せる。このように、この外燃機関は、気体側及び液体側のロータリバルブの回転数によってピストンの往復運動の周波数を制御することができ、外燃機関の出力を制御できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蒸発器及び凝縮器とピストンユニットとの気体側及び液体側の連通状態を切り替えることにより、蒸発器の高圧気体及び凝縮器の低圧気体を利用してピストンを往復運動させることができ、熱源の熱エネルギの回収効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る外燃機関の実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
本実施の形態に係る外燃機関は、廃熱等の機関外部の熱源から熱エネルギを回収する機関であり、例えば、車両に搭載され、車両のエンジンの冷却水あるいは排気ガスを熱源とする。本実施の形態に係る外燃機関は、蒸発器と凝縮器を備え、蒸発器と凝縮器との間で作動媒体を循環させるランキンサイクルに相当するシステムである。
【0016】
図1及び
図2を参照して、本実施の形態に係る外燃機関1を説明する。
図1は、本実施の形態に係る外燃機関の概略構成図である。
図2は、
図1のA−A線に沿った概略断面図である。
【0017】
外燃機関1は、蒸発器で発生する高圧気体と凝縮器で発生する低圧気体を同時に利用するために、ロータリバルブを回転させることによって高圧気体と低圧気体を同時にフリーピストンに作用させ、フリーピストンを上下に往復運動させる。そのために、外燃機関1は、蒸発器2、凝縮器3、ピストンユニット4、気体側ロータリバルブユニット5(気体側切替手段)、液体側ロータリバルブユニット6(液体側切替手段)、接続管7a〜7fを備えている。なお、外燃機関1は、図示しないコントローラやモータ等も備えている。
【0018】
蒸発器2は、回収対象の熱源によって作動媒体を加熱し、液体の作動媒体を蒸発(気化)させる。蒸発器2内は、一方側が液体の作動媒体であり、他方側が気化した気体の作動媒体である。加熱された作動媒体は、高圧となっている。蒸発器2については、周知の一般的な蒸発器の構成を採用することができる。
【0019】
凝縮器3は、冷却熱源によって作動媒体を冷却(放熱)し、気体の作動媒体を凝縮(液化)させる。凝縮器3内は、一方側が気体の作動媒体であり、他方側が液化した液体の作動媒体である。冷却された作動媒体は、低圧となっている。凝縮器3については、周知の一般的な凝縮器の構成を採用することができる。
【0020】
なお、作動媒体は、種々のものを用いることができ、特に限定しない。例えば、凝縮器3における冷却熱源として外気(空気)を利用する場合、作動媒体は、沸点が外気温度付近であるものが望ましい。
【0021】
ピストンユニット4は、ピストン4aとシリンダ4bを備えている。ピストン4aは、作動媒体よりも比重が小さい材料で形成され、所定の厚さを有する円板状の部材である。ピストン4aは、液体の作動媒体に対して浮くフロート式のフリーピストンである。シリンダ4bは、円筒状の部材であり、内部にピストン4aが移動自在に収納されている。シリンダ4bは、上下方向(鉛直方向)に配置される。したがって、シリンダ4b内は、重力によって下方側に液体の作動媒体が沈んで満たされ、ピストン4aを挟んだ上方側には気体の作動流体が満たされる。なお、ピストン4aの上面にスプリング4cを設け、スプリング4cによってピストン4aの移動量を調整してもよい。
【0022】
ピストン4aがシリンダ4b内で上下方向に往復運動することによって、熱源の熱エネルギが運動エネルギとして取り出される。さらに、例えば、ピストンユニット4にリニア発電機を取り付けることにより、その運動エネルギが電気エネルギに変換されて、熱源の熱エネルギを電気エネルギとして回収(発電回生)できる。また、ピストン4aにクランク機構を取り付けて、運動エネルギ(動力)をそのまま回収できる。
【0023】
気体側ロータリバルブユニット5と液体側ロータリバルブユニット6とは、ロータリバルブを用いた同一の構造を有しており、ロータリバルブを回転させることによって蒸発器2及び凝縮器3とピストンユニット4との連通状態を切り替える。その同一の構造を、
図2も参照して、気体側ロータリバルブユニット5の構造で説明する。
【0024】
気体側ロータリバルブユニット5は、ケーシング5aとロータリバルブ5bを備えている。ケーシング5aは、両端部が塞がれた中空の円筒状部材であり、内部にロータリバルブ5bを回転可能な状態で収納する。ロータリバルブ5bは、円柱状部材であり、この円柱状部材の中に3本の流路5c,5d,5eが形成されている。流路5cは、円柱状部材の中心軸(ロータリバルブ5bの回転軸C)に対して垂直に形成され、円柱状部材の側面から反対側の側面までを貫通する孔である。この流路5cは、ロータリバルブ5bが回転することによって蒸発器2の気体側及び凝縮器3の気体側とシリンダ4bの気体側とを繋げる連通路になる。流路5dは、円柱状部材の中心軸上(流路5cに対して垂直)に形成され、流路5cの中央部から円柱状部材の一端面まで貫通する孔である。この流路5dは、シリンダ4bの気体側と常時繋がる連通路であり、流路5c及び流路5eとも繋がる。流路5eは、流路5cの中央部から円柱状部材の側面まで貫通する孔であり、流路5cに対して垂直に形成されるとともに流路5dに対しても垂直に形成される。この流路5eは、ロータリバルブ5bが回転することによって蒸発器2の気体側とシリンダ4bの気体側とを繋げる連通路になるとともに凝縮器3の気体側とシリンダ4bの気体側とを繋げる連通路にもなる。流路5cと流路5eとは同じ平面上の流路であり、流路5dは流路5c,5eの平面と直交する平面上の流路である。なお、
図1及び
図3では、流路5c、流路5d、流路5eを同じ平面上に描いているが、これは連通状態を判り易く説明するためである。
【0025】
ケーシング5aの円筒状部材の側壁には、流路5cの両端に対応した各位置(また、ロータリバルブ5bが回転することによって流路5eの一端に対応した位置にもなる)に2つの貫通孔(バルブ出入口ポート5f,5g)が形成されている。バルブ出入口ポート5fは、蒸発器2の気体側と接続する接続管7aに繋がっている。バルブ出入口ポート5gは、凝縮器3の気体側と接続する接続管7bに繋がっている。また、ケーシング5aの円筒状部材の一端部の壁には、流路5dの一端に対応した位置(ロータリバルブ5bの円柱状部材の中心軸上)に貫通孔(バルブ出入口ポート5h)が形成されている。バルブ出入口ポート5hは、シリンダ4bの気体側と接続する接続管7eに繋がっている。
【0026】
なお、
図1に示すバルブ出入口ポート5f,5g,6f,6gの角度θを調整することにより、蒸発器2及び凝縮器3とピストンユニット4(シリンダ4b)との気体の排出量/流入量や液体の排出量/流入量を設定することができる。蒸発器2で液体の作動媒体が蒸発して気化する能力(蒸発時間、気体流量等)、凝縮器3で気体の作動媒体が凝縮して液化する能力(凝縮時間、液体流量等)を考慮して、バルブ出入口ポート角度θを調整するとよい。
【0027】
また、ロータリバルブ5bの円柱状部材の他端面の中心軸上に、回転軸5iが取り付けられている。回転軸5iは、ケーシング5aの円筒状部材の他端部の壁を突き抜けてケーシング5aの外側まで延び、他端にプーリ5jが取り付けられている。プーリ5jには、ベルト(図示せず)が掛けられている。このベルトには、液体側ロータリバルブユニット6のプーリ(図示せず)も掛けられ、さらに、モータ(図示せず)の出力軸が取り付けられるプーリも掛けられている。このプーリ及びベルトを介して、モータによってロータリバルブ5b,6bを回転させる。なお、プーリ及びベルトの代わりに、ギア等の他の機構を用いて、モータの回転を伝達する構成としてもよい。
【0028】
モータは、コントローラ(図示せず)によって制御される。コントローラ(外燃機関1が車両に搭載される場合にはECU[Electronic Control Unit])は、CPU[CentralProcessing Unit]、ROM[ReadOnly Memory]、RAM[Random Access Memory]等からなる制御装置である。コントローラでは、ロータリバルブ5b,6bの目標回転数(あるいは、ピストン4aの目標周波数)を設定し、その目標回転数(あるいは、目標周波数)になるためのモータの目標回転数を設定し、その目標回転数になるための電流をモータに供給する。ロータリバルブ目標回転数(あるいは、ピストン目標周波数)を設定する際に、例えば、回収熱源の熱エネルギ(入熱量)に基づいて目標回転数又は目標周波数を設定し、熱エネルギが多いほど目標回転数を高くしたりあるいは目標周波数を高くする。
【0029】
気体側ロータリバルブユニット5では、ロータリバルブ5bが1回転する間に、流路5cの両端がバルブ出入口ポート5f,5gと2回連通し、流路5eの一端がバルブ出入口ポート5fと1回連通し、流路5eの一端がバルブ出入口ポート5gと1回連通する。流路5cの両端がバルブ出入口ポート5f,5gと連通すると、接続管7e、バルブ出入口ポート5h、流路5d、流路5c、バルブ出入口ポート5f、接続管7aが繋がって蒸発器2の気体側とシリンダ4bの気体側とが連通状態となるとともに、接続管7e、バルブ出入口ポート5h、流路5d、流路5c、バルブ出入口ポート5g、接続管7bが繋がって凝縮器3の気体側とシリンダ4bの気体側とが連通状態となる。流路5eの一端がバルブ出入口ポート5fと連通すると、接続管7e、バルブ出入口ポート5h、流路5d、流路5e、バルブ出入口ポート5f、接続管7aが繋がって蒸発器2の気体側とシリンダ4bの気体側とが連通状態となる。流路5eの一端がバルブ出入口ポート5gと連通すると、接続管7e、バルブ出入口ポート5h、流路5d、流路5e、バルブ出入口ポート5g、接続管7bが繋がって凝縮器3の気体側とシリンダ4bの気体側とが連通状態となる。
【0030】
液体側ロータリバルブユニット6は、ロータリバルブ6bが1回転する間に、流路6cの両端がバルブ出入口ポート6f,6gと2回連通し、流路6eの一端がバルブ出入口ポート6fと1回連通し、流路6eの一端がバルブ出入口ポート6gと1回連通する。流路6cの両端がバルブ出入口ポート6f,6gと連通すると、接続管7f、バルブ出入口ポート、流路6d、流路6c、バルブ出入口ポート6f、接続管7cが繋がって蒸発器2の液体側とシリンダ4bの液体側とが連通状態となるとともに、接続管7f、バルブ出入口ポート、流路6d、流路6c、バルブ出入口ポート6g、接続管7dが繋がって凝縮器3の液体側とシリンダ4bの液体側とが連通状態となる。流路6eの一端がバルブ出入口ポート6fと連通すると、接続管7f、バルブ出入口ポート、流路6d、流路6e、バルブ出入口ポート6f、接続管7cが繋がって蒸発器2の液体側とシリンダ4bの液体側とが連通状態となる。流路6eの一端がバルブ出入口ポート6gと連通すると、接続管7f、バルブ出入口ポート、流路6d、流路6e、バルブ出入口ポート6g,接続管7dが繋がって凝縮器3の液体側とシリンダ4bの液体側とが連通状態となる。
【0031】
気体側ロータリバルブユニット5のロータリバルブ5bと液体側ロータリバルブユニット6のロータリバルブ6bとは、同一のモータで回転するので、同一の回転数で同期して回転する。また、ロータリバルブ5bとロータリバルブ6bとは、流路5eの一端とバルブ出入口ポート5fとが連通したときに流路6eの一端とバルブ出入口ポート6gとが連通し、流路5eの一端とバルブ出入口ポート5gとが連通したときに流路6eの一端とバルブ出入口ポート6fとが連通するように、回転時に流路5eと流路6eとが180°異なる位置になるように調整されている。これによって、気体側ロータリバルブユニット5側で流路5cの両端とバルブ出入口ポート5f,5gとが連通しているときには液体側ロータリバルブユニット6側でも流路6cの両端とバルブ出入口ポート6f,6gとが連通し、気体側ロータリバルブユニット5側で流路5eの一端とバルブ出入口ポート5fとが連通しているときには液体側ロータリバルブユニット6側で流路6eの一端とバルブ出入口ポート6gとが連通し、気体側ロータリバルブユニット5側で流路5eの一端とバルブ出入口ポート5gとが連通しているときには液体側ロータリバルブユニット6側で流路6eの一端とバルブ出入口ポート6fとが連通する。
【0032】
図3を参照して、外燃機関1の動作について説明する。
図3は、
図1の外燃機関の動作図であり、(a)〜(c)がピストンが下方に移動する過程であり、(d)がピストンが基準状態に戻る過程であり、(e)〜(g)がピストンが上方に移動する過程であり、(h)がピストンが基準状態に戻る過程である。
図3(a)〜(h)はロータリバルブ5b,6bが1回転する間の動作であり、この動作がロータリバルブ5b,6bが回転する毎に繰り返される。
【0033】
図3(a)〜(h)に示すように、常時、ロータリバルブ5bの流路5dと接続管7eとはバルブ出入口ポートを介して連通している。したがって、シリンダ4bの気体側は、常時、ロータリバルブ5bの流路5dに連通している。また、常時、ロータリバルブ6bの流路6dと接続管7fとはバルブ出入口ポートを介して連通している。したがって、シリンダ4bの液体側は、常時、ロータリバルブ6bの流路6dに連通している。
【0034】
図3(a)では、ロータリバルブ5bの流路5c,5eはいずれの接続管7a,7bとも連通しておらず、ロータリバルブ6bの流路6c,6eはいずれの接続管7c,7dとも連通していない。この際、蒸発器2では、液体の作動媒体が蒸発し、液体の作動媒体が気化して高圧気体となっている。一方、凝縮器3では、気体の作動媒体が凝縮し、作動媒体が低圧気体となり、液化して液体となる。
【0035】
図3(b)では、
図3(a)の状態からロータリバルブ5bが回転し、ロータリバルブ5bの流路5eがバルブ出入口ポートを介して接続管7aと連通している。したがって、蒸発器2の気体側とシリンダ4bの気体側とは連通状態にある(気体側第1連通状態に相当)。そのため、蒸発器2から出た高圧気体が、接続管7a、流路5e、流路5d、接続管7eを通ってシリンダ4b内に入り、ピストン4aを下方に押す。同時に、
図3(a)の状態からロータリバルブ6bが回転し、ロータリバルブ6bの流路6eがバルブ出入口ポートを介して接続管7dと連通している。したがって、凝縮器3の液体側とシリンダ4bの液体側とは連通状態にある(液体側第1連通状態に相当)。そのため、凝縮器3の低圧気体によって、接続管7d、流路6e、流路6d、接続管7fを通る液体の作動媒体を介して、ピストン4aを下方に引っ張る。
【0036】
図3(c)では、
図3(b)の状態からロータリバルブ5b,6bが回転し、ロータリバルブ5bの流路5c,5eはいずれの接続管7a,7bとも連通しておらず、ロータリバルブ6bの流路6c,6eはいずれの接続管7c,7dとも連通していない。この際、蒸発器2では、更に、液体の作動媒体が蒸発し、液体の作動媒体が高圧気体となっている。一方、凝縮器3では、更に、気体の作動媒体が凝縮し、作動媒体が低圧気体となり、液化して液体となっている。ピストン4aは、下方に押し下げられた状態である。
【0037】
図3(d)では、
図3(c)の状態からロータリバルブ5bが回転し、ロータリバルブ5bの流路5cがバルブ出入口ポートを介して接続管7a及び接続管7bと連通している。したがって、蒸発器2の気体側とシリンダ4bの気体側とは連通状態にあるとともに、凝縮器3の気体側とシリンダ4bの気体側とは連通状態にある(気体側第3連通状態に相当)。同時に、
図3(c)の状態からロータリバルブ6bが回転し、ロータリバルブ6bの流路6cがバルブ出入口ポートを介して接続管7c及び接続管7dと連通している。したがって、蒸発器2の液体側とシリンダ4bの液体側とは連通状態にあるとともに、凝縮器3の液体側とシリンダ4bの液体側とは連通状態にある(液体側第3連通状態に相当)。そのため、蒸発器2、凝縮器3及びピストンユニット4は圧力平衡となり、ピストン4aが下方から基準状態に戻る。
【0038】
図3(e)に示すように、
図3(d)の状態からロータリバルブ5b,6bが回転し、ロータリバルブ5bの流路5c,5eはいずれの接続管7a,7bとも連通しておらず、ロータリバルブ6bの流路6c,6eはいずれの接続管7c,7dとも連通していない。この際、蒸発器2では、液体の作動媒体が蒸発し、液体の作動媒体が高圧気体となっている。一方、凝縮器3では、気体の作動媒体が凝縮し、作動媒体が低圧気体となり、液化して液体となる。
【0039】
図3(f)に示すように、
図3(e)の状態からロータリバルブ5bが回転し、ロータリバルブ5bの流路5eがバルブ出入口ポートを介して接続管7bと連通している。したがって、凝縮器3の気体側とシリンダ4bの気体側とは連通状態にある(気体側第2連通状態に相当)。そのため、凝縮器3の低圧気体が、接続管7b、流路5e、流路5d、接続管7eを介して、ピストン4aを上方に引っ張る。同時に、
図3(e)の状態からロータリバルブ6bが回転し、ロータリバルブ6bの流路6eがバルブ出入口ポートを介して接続管7cと連通している。したがって、蒸発器2の液体側とシリンダ4bの液体側とは連通状態にある(液体側第2連通状態に相当)。そのため、蒸発器2の高圧気体によって、接続管7c、流路6e、流路6d、接続管7fを通る液体の作動媒体を介して、ピストン4aを上方に押す。
【0040】
図3(g)に示すように、
図3(f)の状態からロータリバルブ5b,6bが回転し、ロータリバルブ5bの流路5c,5eはいずれの接続管7a,7bとも連通しておらず、ロータリバルブ6bの流路6c,6eはいずれの接続管7c,7dとも連通していない。この際、蒸発器2では、更に、液体の作動媒体が蒸発し、液体の作動媒体が高圧気体となっている。一方、凝縮器3では、更に、気体の作動媒体が凝縮し、作動媒体が低圧気体となり、液化して液体となっている。ピストン4aは、上方に押された状態である。
【0041】
図3(h)に示すように、
図3(g)の状態からロータリバルブ5bが回転し、ロータリバルブ5bの流路5cがバルブ出入口ポートを介して接続管7a及び接続管7bと連通している。したがって、蒸発器2の気体側とシリンダ4bの気体側とは連通状態にあるとともに、凝縮器3の気体側とシリンダ4bの気体側とは連通状態にある(気体側第3連通状態に相当)。同時に、
図3(g)の状態からロータリバルブ6bが回転し、ロータリバルブ6bの流路6cがバルブ出入口ポートを介して接続管7c及び接続管7dと連通している。したがって、蒸発器2の液体側とシリンダ4bの液体側とは連通状態にあるとともに、凝縮器3の液体側とシリンダ4bの液体側とは連通状態にある(液体側第3連通状態に相当)。そのため、蒸発器2、凝縮器3及びピストンユニット4は圧力平衡となり、ピストン4aが上方から基準状態に戻る。
【0042】
上記の一連の動作が繰り返されることにより、ピストン4aが上下に往復運動する。このピストン4aの往復運動が運動エネルギとなって取り出され、蒸発器2に入力される熱源の熱エネルギを回収できる。このピストン4aの往復運動の周波数は、コントローラのモータ制御によるロータリバルブ5b,6bの回転数によって決まる。ロータリバルブ5b,6bの回転数が高くなるほど、ピストン4aの往復運動の周波数が高くなり、熱源の熱エネルギから多くの運動エネルギを取り出せる。
【0043】
この外燃機関1によれば、蒸発器2及び凝縮器3とピストンユニット4との気体側及び液体側の連通状態を気体側ロータリバルブユニット5及び液体側ロータリバルブユニット6で同期させて切り替えることにより、蒸発器2で発生する高圧気体及び凝縮器3で発生する低圧気体を同時に利用してフロート式のピストン4aを上下方向に往復運動させることができるので、熱源の熱エネルギの回収効率を向上させることができる。
【0044】
また、この外燃機関1によれば、ロータリバルブユニット5、6によって3つの連通状態の切替手段を構成することにより、ロータリバルブ5b,6b内に連通状態を切り替えるための3本の流路を形成できるとともにロータリバルブ5b、6bを回転させるだけで連通状態を切り替えることができるので、装置構成を小型化できる。さらに、ロータリバルブ5b,6bを回転させるだけで、3つの連通状態を切り替えることができるので、切り替えに必要な動力を低減でき、制御も容易である。
【0045】
また、この外燃機関1によれば、ロータリバルブ5b,6bの回転数によってピストン4aの往復運動の周波数を制御することができ、外燃機関の出力(例えば、回収する運動エネルギや電気エネルギ)を制御できる。さらに、回収熱源の熱エネルギ(入熱量)に基づいてロータリバルブ5b,6bの回転数を制御することによって、回収熱源の熱エネルギに応じて外燃機関の出力を制御できる。
【0046】
この外燃機関1が車両に搭載され、エンジンの冷却水あるいは排気ガスを熱源とする場合、エンジンの廃熱を高効率に回収することができ、燃費を向上できる。また、この外燃機関1は、冷却水のような低温熱源の回収において非常に有効な外燃機関である。
【0047】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0048】
例えば、本実施の形態では外燃機関を車両に搭載し、車両のエンジンの廃熱を回収する構成を例に示したが、車両以外の内燃機関の廃熱を回収する構成でもよいし、外燃機関単体で構成してもよい。
【0049】
また、本実施の形態ではロータリバルブを用いて連通状態の切替手段を構成したが、切替バルブによる管路の切替等の他の形態で切替手段を構成してもよい。
【0050】
また、本実施の形態ではロータリバルブ内に3本の流路を形成して、3つの連通状態を切り替える構成としたが、ロータリバルブ内に形成する流路の構成については他の様々な構成が適用可能である。例えば、ロータリバルブ内の流路の本数を増やすことによって、ロータリバルブの1回の回転で、3つの連通状態の切り替えを複数回行い、ピストンの往復運動を複数回行う構成も考えられる。
【0051】
また、本実施の形態ではコントローラを備え、コントローラでモータを制御してロータリバルブの回転数(ひいては、ピストンの周波数)を制御する構成としたが、コントローラを備えない構成としてもよい。コントローラがない場合、モータをON/OFFし、モータがONのときにはモールの一定の回転数でロータリバルブを回転させる。また、ロータリバルブ以外で切替手段を構成する場合には、その切替手段に応じたアクチュエータを用いる。