(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法等は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る粒子検出装置のメンテナンス費用算出システムは、
図1に示すように、内部に湿度計を有する粒子検出装置20と、粒子検出装置20内部の湿度と、粒子検出装置20の部品のメンテナンス費用と、の関係を、粒子検出装置20の部品毎に保存する関係記憶装置401と、関係と、湿度計が測定した粒子検出装置20内部の湿度の値と、に基づいて、粒子検出装置20の部品毎にメンテナンス費用を特定する個別費用特定部301と、メンテナンス費用の総和を算出する総費用算出部302と、を備える。関係記憶装置401、個別費用特定部301、及び総費用算出部302は、例えば中央演算処理装置(CPU)300に含まれている。
【0014】
粒子検出装置20は、例えばクリーンルームに配置される。
図2に示す移動式クリーンルーム10は、骨格をなす例えばアルミニウム製のフレームと、フレームにはめ込まれた、側壁をなすポリカーボネート製の透明パネルと、を備える。ただし、実施の形態に係るクリーンルームは、これに限定されない。例えば、コンテナ型のクリーンルーム、プレハブ型のクリーンルーム、及び移動式手術室等も、実施の形態に係るクリーンルームに含まれる。また、移動式ではないクリーンルームも、実施の形態に係るクリーンルームに含まれる。
【0015】
クリーンルーム10内部には、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)及びULPA(Ultra Low Penetration Air Filter)等の超高性能エアフィルタを通して、清浄な空気が送り込まれる。さらにクリーンルーム10内部には、空気等の気体に含まれる微粒子や微生物を除去し、気体を清浄化する清浄化装置が配置されていてもよい。
【0016】
図3に示すように、粒子検出装置20は、クリーンルーム10内の気体を内部に吸引するための吸気機構に接続された吸引口21と、検査後の気体をクリーンルーム10に戻すための排気機構に接続された排気口22と、を有する。例えば、粒子検出装置20は、内部に、レーザ光源が発したレーザ光を、吸引された気体に照射する光学系23を備える。レーザ光は、可視光であっても、紫外光であってもよい。レーザ光が可視光である場合、レーザ光の波長は、例えば400乃至410nmの範囲内であり、例えば405nmである。レーザ光が紫外光である場合、レーザ光の波長は、例えば310乃至380nmの範囲内であり、例えば355nmである。なお、粒子検出装置20が備える光源はレーザ光源に限られない。例えば、粒子検出装置20は、粒子に光を照射する光源として、発光ダイオード(LED)、及びキセノンランプ等を備えていてもよい。
【0017】
空気中に細菌を含む微生物等の微粒子が含まれる場合、レーザ光を照射された細菌に含まれるトリプトファン、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、及びリボフラビン等が、蛍光を発する。細菌の例としては、グラム陰性菌、グラム陽性菌、及びカビ胞子を含む真菌が挙げられる。グラム陰性菌の例としては、大腸菌が挙げられる。グラム陽性菌の例としては、表皮ブドウ球菌、枯草菌芽胞、マイクロコッカス、及びコリネバクテリウムが挙げられる。カビ胞子を含む真菌の例としては、アスペルギルスが挙げられる。粒子検出装置20は、レーザ光を照射された微生物が発した蛍光を検出する検出機構をさらに備える。検出機構は、例えばフォトデテクタ等を含む。また、検出機構は、検出した蛍光の蛍光強度を計測する、フォトデテクタに接続された回路等も含む。粒子検出装置20は、蛍光強度の大きさに基づき、空気中に含まれている微生物を検出する。
【0018】
なお、粒子検出装置20が検出対象とする粒子は微生物に限られない。例えば、粒子検出装置20が検出対象とする粒子は、無害又は有害な化学物質、ごみ、ちり、及び埃等のダストも含む。また、粒子検出装置20の粒子の検出原理も、上記に限定されない。粒子検出装置20は、逐次、検出した粒子の数の情報を含む検出結果情報を電子的又は磁気的に生成する。生成された検出結果情報は、粒子検出装置20が備える内部メモリ等に逐次保存される。さらに粒子検出装置20は、シリアルナンバ等の識別記号を記録した識別素子を備えていてもよい。この場合、粒子検出装置20は、識別記号を検出結果情報に付与する。
【0019】
湿度計26は、例えば、粒子検出装置20の光学系23の近傍に配置されている。ここで、粒子検出装置20が吸引した気体に微生物が含まれていると、微生物が粒子検出装置20内部の部品に付着し、増殖する場合がある。微生物の増殖は、一般に、雰囲気の湿度と相関し、湿度が高いほど微生物の増殖速度は速く、湿度が低いほど微生物の増殖速度は遅い。したがって、粒子検出装置20内部に配置された湿度計26で測定された湿度の値が高いほど、粒子検出装置20内部の部品が微生物の増殖により汚染されている可能性が高い。湿度計26は、逐次、測定した湿度の値の情報を含む湿度情報を電子的又は磁気的に生成する。生成された湿度情報は、湿度計26が備える内部メモリ等に逐次保存される。湿度計26は、粒子検出装置20の識別記号を湿度情報に付与してもよい。
【0020】
粒子検出装置20には、送受信機2及びアンテナ24が固定されている。送受信機2は、逐次、アンテナ24を用いて、
図1に示すネットワークに湿度情報を無線送信する。なお、送受信機2は、有線ネットワークに情報を送信してもよい。例えば、
図3に示す粒子検出装置20が備える電子機器には、内蔵バッテリ25から電源が供給される。あるいは、電子機器は、外部電源から電源が供給されてもよい。
【0021】
図1に示す情報受信機3は、ネットワークを経由してきた湿度情報を受信する。情報受信機3は、受信した湿度情報をCPU300に伝送する。情報受信機3はCPU300に直接接続されていてもよいし、有線又は無線ローカルエリアネットワーク(LAN)を介して接続されていてもよい。
【0022】
関係記憶装置401は、湿度と、粒子検出装置20の部品のメンテナンス費用と、の関係を、粒子検出装置20の光源、レンズ、デテクタ、検出機構の回路、ノズル、吸気機構、及び排気機構等の部品毎に保存する。関係は、テーブルで表現されていてもよい。ここで、粒子検出装置20のメンテナンスとは、粒子検出装置20のソフトウェアによる検出機構の補正、粒子検出装置20を構成する部品の清掃、及び部品の交換等を含む。
【0023】
粒子検出装置20に必要なメンテナンスは、粒子検出装置20内部の湿度によって異なりうる。例えば、粒子検出装置20内部の湿度が低かった場合は、粒子検出装置20の部品を清掃あるいは交換することなく、粒子検出装置20に含まれる検出機構の回路をソフトウェアで補正することによって、粒子検出装置20のメンテナンスがなされる。粒子検出装置20内部の湿度が低くなく、ソフトウェアによる補正では粒子検出装置20の機能回復が不十分である場合には、粒子検出装置20の部品を清掃することによって、粒子検出装置20のメンテナンスがなされる。粒子検出装置20内部の湿度が高く、部品の清掃では粒子検出装置20の機能回復が不十分である場合には、粒子検出装置20の部品を交換することによって、粒子検出装置20のメンテナンスがなされる。
【0024】
なお、粒子検出装置20内部の湿度に応じたメンテナンスの内容は部品によって異なりうる。例えば、ある湿度に対して、ある部品に対しては掃除がなされたり、ある部品に対しては交換がなされたりしうる。また、湿度と、粒子検出装置20の部品のメンテナンス費用と、の関係は、一つの部品に対して一つのみ用意されてもよいし、一つの部品に対して複数用意されてもよい。一つの部品に対して一つの関係が用意された場合は、一つの関係が、ソフトウェアによる補正、部品の掃除、交換等のメンテナンスの複数の内容に対応する。一つの部品に対して複数の関係が用意された場合は、複数の関係のそれぞれが、ソフトウェアによる補正、部品の掃除、交換等のメンテナンスの複数の内容のいずれかに対応する。
【0025】
湿度と、粒子検出装置20の部品のメンテナンス費用と、の関係は、
図4に示すように、湿度を独立変数とし、部品のメンテナンス費用を従属変数とするメンテナンス費用算出式で表されていてもよい。メンテナンス費用算出式は、一次方程式で表される場合もあるし、二次を含む高次方程式で表される場合もある。例えば、光源のように、劣化により急に光量が落ちるものは、劣化が進んだ時点を境にメンテナンス費用が急上昇する。したがって、
図5に示すように、光源のメンテナンス費用算出式は、高次方程式で表される場合もある。
【0026】
湿度と、部品のメンテナンス費用と、の関係は、例えば部品を加湿槽に格納して、湿度と部品の特性の劣化の関係を取得し、さらに部品の特性の劣化と、メンテナンス費用と、の関係を取得することによって得られる。あるいは、湿度と、部品のメンテナンス費用と、の関係は、例えば部品を初期状態における特性を取得し、その後、粒子検出装置20に部品を組み付けて、粒子検出装置20を加湿槽に格納して、湿度と部品の特性の劣化の関係を取得し、さらに部品の特性の劣化と、メンテナンス費用と、の関係を取得することによって得られる。これらの試験は、加速試験によって得られてもよい。また、これらの試験は、粒子検出装置20が配置される環境と同じ温度条件下で実施されるのが好ましい。
【0027】
一つの部品に対して複数の関係が用意された場合、CPU300は、関係選択部303をさらに有しうる。関係選択部303は、粒子検出装置20内部の湿度計26が測定した湿度に応じて、複数の関係から一つの関係を選択する。例えば、測定湿度が所定の第1の設定値N
1未満である場合は、関係選択部303は、ソフトウェアによる補正に対応する関係を選択する。測定湿度が第1の設定値N
1以上第2の設定値N
2未満である場合は、関係選択部303は、部品の清掃に対応する関係を選択する。測定湿度が第2の設定値N
2以上である場合は、関係選択部303は、部品の交換に対応する関係を選択する。第1の設定値N
1及び第2の設定値N
2は、部品毎に任意に設定される。
【0028】
粒子検出装置20内部の湿度と、粒子検出装置20の部品のメンテナンス費用と、の関係は、ソフトウェアによる補正に必要な作業代、部品の清掃に必要な清掃具の費用、部品の清掃に必要な作業代、交換する際の部品の費用、及び部品の交換に必要な作業代等に基づいて、予め取得される。例えば、湿度が高くなるにつれて、ソフトウェアによる補正が複雑になったり、部品の清掃時間が長くなったりするので、それらに対応するように、関係は求められる。また、部品の清掃や交換が行われることにより、ソフトウェアによる補正が行われなくなることもありうる。
【0029】
個別費用特定部301は、関係選択部303が関係記憶装置401から選択して読み出した粒子検出装置20の部品毎に用意された関係と、粒子検出装置20内部の湿度計26が測定した湿度と、に基づいて、粒子検出装置20の部品毎にメンテナンス費用を特定する。関係がメンテナンス費用算出式で表されている場合、個別費用特定部301は、粒子検出装置20の部品毎に用意されたメンテナンス費用算出式の独立変数に、粒子検出装置20内部の湿度計26が測定した湿度の値を代入して、粒子検出装置20の部品毎にメンテナンス費用を特定する。例えば個別費用特定部301は、湿度の測定値に応じて、粒子検出装置20の光源のメンテナンス費用、レンズのメンテナンス費用、デテクタのメンテナンス費用、検出機構の回路のメンテナンス費用、ノズルのメンテナンス費用、吸気機構のメンテナンス費用、及び排気機構のメンテナンス費用等を算出する。個別費用特定部301は、部品毎に特定したメンテナンス費用を、CPU300に含まれる個別費用記憶装置403に保存する。
【0030】
総費用算出部302は、個別費用特定部301が部品毎に算出したメンテナンス費用の総和を算出する。例えば、総費用算出部302は、個別費用特定部301が算出した光源のメンテナンス費用と、レンズのメンテナンス費用と、デテクタのメンテナンス費用と、検出機構の回路のメンテナンス費用と、ノズルのメンテナンス費用と、吸気機構のメンテナンス費用と、排気機構のメンテナンス費用と、の総和を算出する。総費用算出部302は、算出した
図6に示すようなメンテナンス費用の総和を、算出費用記憶装置402に保存する。また、
図1に示すCPU300には、出力装置350が接続されている。総費用算出部302は、算出したメンテナンス費用の総和を、出力装置350に出力させる。出力装置350としては、プリンタ、及びディスプレイ等が使用可能である。出力装置350は、CPU300に直接接続されていてもよいし、ネットワークや他のコンピュータを介して、CPU300に接続されていてもよい。
【0031】
CPU300は、期間監視部304をさらに含んでいてもよい。期間監視部304は、例えば、粒子検出装置20のリース期間等の所定の期間が満了したか否かを監視する。なお、期間監視部304の機能は、CPU300にネットワークを介して接続されたタイムサーバ等によって実現されてもよい。例えば、個別費用特定部301は、期間監視部304が、所定の期間が満了したと判断した場合に、粒子検出装置20の部品毎のメンテナンス費用の特定を行ってもよい。
【0032】
CPU300は、費用請求部305及び入金確認部306をさらに含んでいてもよい。費用請求部305は、総費用算出部302が算出したメンテナンス費用の総和を、粒子検出装置20の借用者のコンピュータ等に、ネットワークを介して送信する。入金確認部306は、例えば、粒子検出装置20の所有者の口座を監視し、粒子検出装置20の借用者から、請求したメンテナンス費用の入金があったか否かを監視する。
【0033】
CPU300は、費用リセット部307をさらに含んでいてもよい。費用リセット部307は、粒子検出装置20のメンテナンスがなされた場合、あるいは粒子検出装置20をメンテナンスすることが決定され、粒子検出装置20の稼働が停止した場合、あるいは粒子検出装置20の借用者から請求したメンテナンス費用の入金があった場合に、総費用算出部302が算出したメンテナンス費用の総和をゼロにリセットする。
【0034】
CPU300は、警告部308をさらに含んでいてもよい。警告部308は、粒子検出装置20内部の湿度計26が測定した湿度の値が所定の値を超えた場合、例えば粒子検出装置20の正常な稼働が保証できなくなったことを知らせる警告信号を発する。この場合、粒子検出装置20は、リース期間の満了前であっても、稼働を停止してもよい。
【0035】
次に、
図7及び
図8に示すフローチャートを用いて、第1の実施の形態に係るメンテナンス時予測方法について説明する。
【0036】
(a)ステップS101で、
図3に示す粒子検出装置20の借用者は、
図2に示すクリーンルーム10に粒子検出装置20を設置する。クリーンルーム10に設置される粒子検出装置20は、予めメンテナンスされている。なお、粒子検出装置20が新品で清浄であれば、設置前のメンテナンスは必ずしも必要ではない。粒子検出装置20は、粒子の検出を開始すると、粒子の検出を開始したことを示す信号を生成し、
図1に示す期間監視部304に送信する。ステップS102で、信号を受信した期間監視部304は、粒子検出装置20が粒子の検出を開始した時刻を記録する。また、期間監視部304は、粒子検出装置20が粒子の検出を開始した時刻からの粒子検出装置20の稼働時間をタイマー等で計測する。
【0037】
(b)ステップS103で、粒子検出装置20は、粒子の検出を継続する。ステップS104で、粒子検出装置20内部の湿度計26は、湿度を測定し、測定した湿度の値の情報を含む湿度情報を、ネットワークを介して、CPU300に逐次送信する。なお、湿度計は、所定の期間における湿度の平均値の情報を含む湿度情報を、ネットワークを介して、CPU300に送信してもよい。
【0038】
(c)ステップS105で、期間監視部304は、粒子検出装置20が粒子の検出を開始した時刻からの粒子検出装置20の稼働時間と、粒子検出装置20のリース期間と、を対比して、粒子検出装置20のリース期間が満了したか否かを監視する。期間監視部304が粒子検出装置20のリース期間が満了したと判断した場合は、粒子検出装置20は粒子の検出を終了し、ステップS106に進む。期間監視部304が粒子検出装置20のリース期間が満了していないと判断した場合は、ステップS103に戻る。
【0039】
(d)ステップS106で、関係選択部303は、粒子検出装置20の構成部品のうち、メンテナンス費用の算出がなされていない一つの部品を特定する。ステップS107で、関係選択部303は、粒子検出装置20内部の湿度計26による湿度の測定値が、ステップS106で特定された部品に対して設定された第1の設定値N
1未満であるか否かを判断する。湿度の測定値が第1の設定値N
1未満である場合、ステップS201に進む。
【0040】
(e)ステップS201で、関係選択部303は、関係記憶装置401から、湿度と、ステップS106で特定された部品の、清掃交換を伴わないメンテナンス費用と、の関係を選択して読み出す。関係選択部303は、選択した関係と、湿度の測定値と、を、個別費用特定部301に伝送する。ステップS202で、個別費用特定部301は、関係選択部303が選択した関係と、湿度の測定値と、に基づいて、ステップS106で特定された部品のメンテナンス費用を特定する。個別費用特定部301は、特定した部品のメンテナンス費用を、個別費用記憶装置403に保存する。
【0041】
(f)ステップS107で、関係選択部303が、湿度の測定値が第1の設定値N
1以上であると判断した場合、ステップS108に進む。ステップS108で、関係選択部303は、湿度の測定値が、ステップS106で特定された部品に対して設定された第1の設定値N
1以上第2の設定値N
2未満であるか否かを判断する。湿度の測定値が第1の設定値N
1以上第2の設定値N
2未満である場合、ステップS301に進む。
【0042】
(g)ステップS301で、関係選択部303は、関係記憶装置401から、湿度と、ステップS106で特定された部品を清掃するためのメンテナンス費用と、の関係を選択して読み出す。関係選択部303は、選択した関係と、湿度の測定値と、を、個別費用特定部301に伝送する。ステップS302で、個別費用特定部301は、関係選択部303が選択した関係と、湿度の測定値と、に基づいて、ステップS106で特定された部品のメンテナンス費用を特定する。個別費用特定部301は、特定した部品のメンテナンス費用を、個別費用記憶装置403に保存する。
【0043】
(h)ステップS108で、関係選択部303が、湿度の測定値が第2の設定値N
2以上であると判断した場合、ステップS401に進む。ステップS401で、関係選択部303は、関係記憶装置401から、湿度と、ステップS106で特定された部品を交換するためのメンテナンス費用と、の関係を選択して読み出す。関係選択部303は、選択した関係と、湿度の測定値と、を、個別費用特定部301に伝送する。ステップS402で、個別費用特定部301は、関係選択部303が選択した関係と、湿度の測定値と、に基づいて、ステップS106で特定された部品のメンテナンス費用を特定する。個別費用特定部301は、特定した部品のメンテナンス費用を、個別費用記憶装置403に保存する。
【0044】
(i)ステップS501で、総費用算出部302は、個別費用記憶装置403に、粒子検出装置20の総ての構成部品のメンテナンス費用が保存されているか否かを確認する。メンテナンス費用が特定されていない部品がある場合は、ステップS106に戻る。ステップS106からステップS501までのループが繰り返されることで、粒子検出装置20の総ての構成部品のそれぞれのメンテナンス費用が算出され、個別費用記憶装置403に保存される。なお、メンテナンス費用の算出対象となっていない部品は、「総ての構成部品」には含まれない。
【0045】
(j)ステップS501で、総費用算出部302が、個別費用記憶装置403に、粒子検出装置20の総ての構成部品のメンテナンス費用が保存されていることを確認した場合、
図8に示すステップS502で、総費用算出部302は、個別費用記憶装置403から、粒子検出装置20の総ての構成部品のメンテナンス費用を読み出す。次に、総費用算出部302は、粒子検出装置20の総ての構成部品のメンテナンス費用の総和を算出する。ステップS503で、総費用算出部302は、算出したメンテナンス費用の総和を算出費用記憶装置402に保存する。また、ステップS504で、総費用算出部302は、算出したメンテナンス費用の総和を出力装置350に出力する。
【0046】
(k)ステップS505で、費用請求部305は、算出費用記憶装置402からメンテナンス費用の総和を読み出す。次に、費用請求部305は、メンテナンス費用の総和を、粒子検出装置20の借用者のコンピュータ等に、ネットワークを介して送信し、粒子検出装置20の借用者にメンテナンス費用を請求する。ステップS506で、入金確認部306は、粒子検出装置20の借用者からのメンテナンス費用の入金が、粒子検出装置20の所有者の口座にあったか否かを監視する。入金が確認された場合は、ステップS507に進む。ステップS507で、費用リセット部307は、総費用算出部302が算出したメンテナンス費用の総和をゼロにリセットする。ステップS506で入金が確認されなかった場合は、ステップS505に戻り、再度、粒子検出装置20の借用者にメンテナンス費用を請求する。
【0047】
以上説明した第1の実施の形態に係るメンテナンス時予測方法によれば、粒子検出装置20のメンテナンス費用を借用者に請求する場合に、請求するメンテナンス費用の客観的かつ具体的な裏付けを、借用者に対して提示することが可能となる。
【0048】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る粒子検出装置のメンテナンス費用算出システムは、
図9に示すように、CPU300が、更新確認部309をさらに含む。更新確認部309は、入金確認部306が粒子検出装置20の借用者から請求したメンテナンス費用の入金があったことを確認した場合に、粒子検出装置20の借用者が所有するコンピュータ等に、リース契約を更新するか否かを問い合わせる信号を、ネットワークを介して送信する。借用者から契約を更新する回答があった場合は、更新確認部309は、粒子検出装置20を再稼働させる。
【0049】
なお、更新確認部は、借用者にリース契約を更新するか否かを問い合わせる信号を送る前に、粒子検出装置20の再稼働可能期間を計算してもよい。再稼働可能期間Aは、検出粒子数の所定の上限値をN
MAX、契約期間中に検出した粒子の数をn、契約期間をCとして、下記(1)式で表される。
A=(N
MAX/n)×C ・・・(1)
再稼働可能期間Aが所定の期間より短い場合は、更新確認部309は、借用者にリース契約を更新するか否かを問い合わせる信号を送らなくてもよい。
【0050】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施の形態及び運用技術が明らかになるはずである。例えば、
図1に示す関係選択部303は、粒子検出装置20内部の湿度計26が測定した湿度の経時変化を観測し、
図10に示すように、測定湿度が所定の第1の設定値N
1未満になった場合のパルスカウント、測定湿度が第1の設定値N
1以上第2の設定値N
2未満になった場合のパルスカウント、及び測定湿度が第2の設定値N
2以上になった場合のパルスカウントを生成してもよい。ここで、第1の設定値N
1未満のパルスカウントが最も多かった場合は、関係選択部303は、ソフトウェアによる補正に対応する関係を選択する。第1の設定値N
1以上第2の設定値N
2未満のパルスカウントが最も多かった場合は、関係選択部303は、部品の清掃に対応する関係を選択する。第2の設定値N
2以上であるパルスカウントが最も多かった場合は、関係選択部303は、部品の交換に対応する関係を選択する。この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。