特許第5952148号(P5952148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952148
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】鍵穴保護装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 17/18 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   E05B17/18 D
   E05B17/18 G
   E05B17/18 E
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-211418(P2012-211418)
(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公開番号】特開2014-66049(P2014-66049A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2014年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152169
【氏名又は名称】株式会社栃木屋
(74)【代理人】
【識別番号】100066267
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 吉治
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】浅井 剛
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−344364(JP,A)
【文献】 特開2008−38408(JP,A)
【文献】 実開昭63−10173(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00− 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する横方向と、縦方向と、厚さ方向とを有し、前記厚さ方向へ延びる鍵穴を有する錠に使用し、前記錠を取り付ける本体部と、前記鍵穴を覆う被覆部と、前記本体部と前記被覆部とを連結する軸部とを備える鍵穴保護装置において、
記本体部、前記被覆部、および前記軸部は、前記被覆部によって前記鍵穴を覆った状態から、前記被覆部を前記本体部に対して直線移動させて中間位置に配置した後、前記中間位置から前記軸部の軸心を中心に前記被覆部を周方向へ旋回移動させることによって前記鍵穴が露出するように構成し、
前記軸部は、互いに対向する一対の軸部直線部と、一対の前記軸部直線部の間に配置した軸部曲線部とを有し、
前記本体部は、前記軸部を貫通させる貫通孔を有し、
前記貫通孔は、互いに対向する一対の貫通孔直線部と、一対の前記貫通孔直線部の一方の端部に配置し、一対の前記貫通孔直線部の離間距離よりも直径が大きい弧状部とを有し、
前記貫通孔および前記軸部は、一対の前記貫通孔直線部と一対の前記軸部直線部とが対向する状態では、前記軸部が前記本体部に対して直線移動することを許容しつつ、前記軸部の前記軸心を中心にして前記被覆部を前記本体部に対して旋回移動することを規制する一方、前記弧状部と一対の前記軸部直線部とが対向する状態では、前記軸部が前記本体部に対して前記軸心を中心に旋回運動することを許容するように構成してあることを特徴とする前記鍵穴保護装置。
【請求項2】
前記軸部は一方の端部に鍔部を有し、
前記鍔部と前記本体部との間には、前記被覆部を前記本体部に押圧する押圧手段を備える請求項に記載の鍵穴保護装置。
【請求項3】
前記本体部の前記貫通孔を形成した部位の周囲には、凹部を形成し、
前記凹部に前記押圧手段を配置してある請求項に記載の鍵穴保護装置。
【請求項4】
前記貫通孔は、一対の前記貫通孔直線部の一方の端部に配置する貫通孔曲線部を有し、
前記本体部は、前記錠の一部を貫通させる錠貫通孔を有し、
前記錠貫通孔は、互いに対向する一対の錠貫通孔直線部と、一対の前記錠貫通孔直線部の一方の端部に配置する錠貫通孔曲線部とを有し、
前記貫通孔直線部の延びる方向と、前記錠貫通孔直線部の延びる方向とが互いに直交する請求項に記載の鍵穴保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鍵穴を有する錠に使用する鍵穴保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠を取り付ける本体部と、鍵穴を覆う被覆部と、本体部と被覆部とを連結する軸部とを備える鍵穴保護装置は公知である。例えば、特許文献1には、前記鍵穴保護装置であるキャップが開示されている。
【0003】
前記キャップは、本体部である固定部材と、被覆部である可動部材とを備えている。
【0004】
このキャップは、可動部材が軸部を有し、固定部材が有するスリーブに前記軸部を貫通させることによって、軸部の軸心を中心に、可動部材が固定部材を旋回するように構成してある。
【0005】
また、可動部材、固定部材、および軸部は、固定部材に取り付けた錠の鍵穴を可動部材で覆った状態から、軸部の軸心に対して周方向へ可動部材を旋回移動させた場合、鍵穴が露出するように構成してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−19469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている鍵穴保護装置では、固定部材に対して可動部材を一方向に移動させれば鍵穴が露出するため、鍵穴が容易に露出する課題があった。鍵穴が露出した場合には、ガム等の異物を鍵穴に挿入され、鍵の解錠ができない問題を招来することとなる。
【0008】
そこで、この発明は、容易に鍵穴が露出されることのない鍵穴保護装置を提供することを課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、 互いに直交する横方向と、縦方向と、厚さ方向とを有し、前記厚さ方向へ延びる鍵穴を有する錠に使用し、前記錠を取り付ける本体部と、前記鍵穴を覆う被覆部と、前記本体部と前記被覆部とを連結する軸部とを備える鍵穴保護装置に関する。
【0011】
発明に係る鍵穴保護装置は、前記本体部、前記被覆部、および前記軸部は、前記被覆部によって前記鍵穴を覆った状態から、前記被覆部を前記本体部に対して直線移動させて中間位置に配置した後、前記中間位置から前記軸部の軸心を中心に前記被覆部を周方向へ旋回移動させることによって前記鍵穴が露出するように構成し、前記軸部は、互いに対向する一対の軸部直線部と、一対の前記軸部直線部の間に配置した軸部曲線部とを有し、前記本体部は、前記軸部を貫通させる貫通孔を有し、前記貫通孔は、互いに対向する一対の貫通孔直線部と、一対の前記貫通孔直線部の一方の端部に配置し、一対の前記貫通孔直線部の離間距離よりも直径が大きい弧状部とを有し、前記貫通孔および前記軸部は、一対の前記貫通孔直線部と一対の前記軸部直線部とが対向する状態では、前記軸部が前記本体部に対して直線移動することを許容しつつ、前記軸部の前記軸心を中心にして前記被覆部を前記本体部に対して旋回移動することを規制する一方、前記弧状部と一対の前記軸部直線部とが対向する状態では、前記軸部が前記本体部に対して前記軸心を中心に旋回運動することを許容するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の好ましい実施態様の一つとして、前記軸部は一方の端部に鍔部を有し、前記鍔部と前記本体部との間には、前記被覆部を前記本体部に押圧する押圧手段を備える。
【0013】
本発明の他の好ましい実施態様の一つとして、前記本体部の前記貫通孔を形成した部位の周囲には、凹部を形成し、前記凹部に前記押圧手段を配置してある。
【0014】
本発明の他の好ましい実施態様の一つとして、前記貫通孔は、一対の前記貫通孔直線部の一方の端部に配置する前記貫通孔曲線部を有し、前記本体部は、前記錠の一部を貫通させる錠貫通孔を有し、前記錠貫通孔は、互いに対向する一対の錠貫通孔直線部と、一対の前記錠貫通孔直線部の一方の端部に配置する錠貫通孔曲線部とを有し、前記貫通孔直線部の延びる方向と、前記錠貫通孔直線部の延びる方向とが互いに直交する。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る鍵穴保護装置によれば、本体部、被覆部、および軸部は、被覆部によって鍵穴を覆った状態から、被覆部を本体部に対して直線移動させて中間位置に配置した後、前記中間位置から前記軸部の軸心を中心に前記被覆部を周方向へ旋回移動させることによって鍵穴が露出するように構成してあるため、鍵穴を露出させるには、異なる方向へ被覆部を移動させる必要がある。よって、容易に鍵穴が露出しない鍵穴保護装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る鍵穴保護装置の斜視図。
図2】鍵穴保護装置が備える本体部の背面図。
図3図2の矢視III−IIIにおける断面図。
図4】本体部の正面図。
図5】被覆部の背面図。
図6図5の矢視VI−VIにおける断面図。
図7】被覆部の正面図。
図8】鍵穴保護装置が備える六角穴付きボルトの一部切欠き側面図。
図9】(a)鍵穴保護装置が備える板バネの正面図。(b)その板バネの側面図。
図10】鍵穴保護装置の組み立てを示す斜視図。
図11】鍵穴保護装置に錠を取り付ける際、および扉に鍵穴保護装置を取り付ける際の斜視図。
図12】鍵穴保護装置の被覆状態を示す正面図。
図13図12の矢視XIII−XIIIにおける断面図。
図14図13の矢視XIV−XIVにおける断面図。
図15】鍵穴保護装置の中間状態を示す正面図。
図16図15の矢視XVI−XVIにおける断面図。
図17図16の矢視XVII−XVIIにおける断面図。
図18】鍵穴保護装置の露出状態を示す正面図。
図19図18の矢視XIX−XIXにおける断面図。
図20図19の矢視XX−XXにおける断面図。
図21】鍵穴保護装置の露出固定状態を示す正面図。
図22図21の矢視XXII−XXIIにおける断面図。
図23図22の矢視XXIII−XXIIIにおける断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図面を参照してこの発明に係る鍵穴保護装置1の詳細を説明すると以下のとおりである。
【0018】
図1は、後述する鍵穴52を有する錠50(図11参照)に使用する鍵穴保護装置1の斜視図である。図1中、Xは横方向を示し、Yは、横方向Xに直交する縦方向を示し、Zは、横方向Xおよび縦方向Yにそれぞれ直交する厚さ方向を示す。
【0019】
鍵穴保護装置1は、例えば自動販売機等の他の装置の扉60に取り付けるものであって、本体部10と被覆部20とを備えている。本体部10および被覆部20の正面視は、縦方向Yおよび横方向Xの大きさが合致するように形成してあり、本体部10を被覆部20で覆っている。
【0020】
図2は、本体部10の背面図であり、図3は、図2における矢視III−IIIにおける断面図であり、図4は、本体部10の正面図である。
【0021】
本体部10は、扉60に当接する裏面11(図2参照)と、扉60から露出する表面12(図4参照)とを有するように亜鉛等の金属によって円板状に形成してある。
【0022】
本体部10は、厚さ方向Zへ延びる錠貫通孔13と、貫通孔14とを有している。また、本体部10の表面12の周縁には、表面12から裏面11に向けて凹む周縁凹部19を設けてある。
【0023】
錠貫通孔13は、錠50の後述する小径雄ネジ54および拡幅部55を厚さ方向Zに貫通させるものであって(図11参照)、縦方向Yにおいて、図2〜4における本体部10の下半分に配置してあり、互いに対向する一対の錠貫通孔直線部13aと、一対の錠貫通孔直線部13aの間に配置した錠貫通孔曲線部13bとを有している。錠貫通孔直線部13aは、横方向Xに延びるように本体部10に配置してある。
【0024】
貫通孔14は、後述する軸部30を厚さ方向Zに貫通させるものであって、縦方向Yにおいて、図2〜4における本体部10の上半分に配置してあり、互いに対向する一対の貫通孔直線部14aと、一対の貫通孔直線部14aの一方の端部に配置し、一対の貫通孔直線部14aの離間距離L1よりも直径L2が大きい弧状部14bと、一対の貫通孔直線部14aの他方の端部に配置し、一対の貫通孔直線部14aの他方の端部どうしを連結する貫通孔曲線部14cとを有している。貫通孔直線部14aは、縦方向Yに延びるように本体部10に配置してある。
【0025】
本体部10の裏面11側において、貫通孔14を形成した部位の周囲には、裏面11側から表面12側に向けて凹む長円状凹部15を設けてある。長円状凹部15は、図2中、横方向Xの長さ寸法よりも縦方向Yの長さ寸法が大きい。
【0026】
長円状凹部15の縦横の大きさを、貫通孔14の縦横の大きさよりも大きく形成してあり、厚さ方向Zにおいて、長円状凹部15と貫通孔14との間には、第1段部16を形成してある。長円状凹部15の厚さ方向Zの寸法は、本体部10の厚さ方向Zの寸法の約半分であって、本体部10の厚さ方向Zの寸法よりも小さい(図3参照)。
【0027】
本体部10の表面12において、図3および図4に示すように、錠貫通孔13を形成した部位の周囲には、表面12から裏面11に向けて凹む円状凹部17を設けてある。
【0028】
円状凹部17の縦横の大きさを、錠貫通孔13の縦横の大きさよりも大きく形成してあり、厚さ方向Zにおいて、円状凹部17と錠貫通孔13との間には、第1段部18を形成してある。円状凹部17の厚さ方向Zの寸法は、本体部10の厚さ方向の寸法の約半分であって、本体部10の厚さ方向Zの寸法よりも小さい(図3参照)。
【0029】
円状凹部17および第1段部18は、円状凹部17に、錠50の後述する錠鍔部53(図11参照)が嵌り、かつ第1段部18に鍔部34が当接するように、円状凹部17の縦横の径が鍔部34よりも大きく、かつ第1段部18の縦横の径が鍔部34よりも小さくなるように形成してある。
【0030】
図5は被覆部20の背面図であり、図6は、図5における矢視VI−VIにおける断面図であり、図7は被覆部20の正面側を示す正面図である。
【0031】
被覆部20は、例えばステンレス等の金属によって円板状に形成してある。被覆部20の表面22は、平坦に形成してある。被覆部20の裏面21は、その周縁に、表面22から裏面21に向けて突出し、本体部10の周縁凹部19に嵌る環状の凸部23を形成してあり、本体部10と被覆部20とが縦横で合致するように配置した状態において、本体部10の貫通孔14に対向する部位には、裏面11から後方へ向けて突出するボス31を設けてあり、凸部23およびボス31を設けた部分を除いた部分は、平坦に形成してある(図5,6参照)。
【0032】
ボス31は、被覆部20の縦横の中心oに対して、その周縁に偏倚するように配置してある。ボス31は、後述する六角穴付きボルト33(図8参照)とともに軸部30を構成するものであって、ボス31の内周面には雌ネジ32を形成してある(図5,6参照)。ボス31の外周面は、互いに対向する一対の軸直線部31aと、一対の軸直線部31aの間に配置した軸曲線部31bとを有している。軸直線部31aは、縦方向Yに延びるように配置してある。
【0033】
本体部10および被覆部20は、一対の貫通孔直線部14aと一対の軸直線部31aとが対向する状態において、軸直線部31aが縦方向Yへ延びる姿勢を維持して貫通孔14の内部を縦方向Yへ移動可能、換言すれば本体部10に対して被覆部20が縦方向Yへ移動可能であるように、一対の軸直線部31aの離間距離L3は、本体部10の一対の貫通孔直線部14aの離間距離L1より小さいとともに、本体部10に対して被覆部20が軸部30の軸心Jを中心に旋回することを規制するように、一対の軸直線部31aの離間距離L3は、本体部10の一対の貫通孔直線部14aの離間距離L1に対して所定の距離を有している。
【0034】
図8は六角穴付きボルト33の側面図である。六角穴付きボルト33は、厚さ方向Zにおいて、一方の端部に形成した鍔部34と、他方の端部に形成した雄ネジ35とを有している。雄ネジ35は、ボス31の雌ネジ32に螺合するよう形成してある。鍔部34の中央には、ボス31の雌ネジ32に、六角穴付きボルト33の雄ネジ35を螺合する場合、六角レンチを挿入するための六角形の凹部36を形成してある。
【0035】
図9(a)は、本体部10の長円状凹部15に挿入する板バネ40の正面図であり、図9(b)は、その板バネ40の側面図である。板バネ40は、本体部10に被覆部20を押圧する押圧手段であって、例えばステンレス等の金属によって、図9(a)中、横方向Xの長さ寸法よりも縦方向Yの長さ寸法が大きい長円状を有し、図9(b)中、力が加えられていない状態では、縦方向Yの両端部41が本体部10に近接する一方、中央部42が離間するように形成してある(図13参照)。板バネ40の中央部42には、例えば本体部10の貫通孔14と同一形状であって同一の大きさのバネ貫通孔43を形成してある。
【0036】
図10は、鍵穴保護装置1の組み立てを示す斜視図である。本体部10および被覆部20を軸部30によって連結する場合には、先ず、被覆部20の凸部23と、本体部10の周縁凹部19とが係合するように、厚さ方向Zにおいて、本体部10と被覆部20とを重ねる。このように本体部10と被覆部20とを重ねると、本体部10の縦横の中心O(図2〜4参照)と、被覆部20の縦横の中心o(図5〜7参照)とが厚さ方向Zにおいて重なり、本体部10の貫通孔14において、一対の貫通孔直線部14aと、一対の軸直線部31aとが対向するように、本体部10の貫通孔14に、被覆部20のボス31が挿入される。
【0037】
次いで、長円状凹部15に板バネ40を挿入した状態で、ボス31の雌ネジ32と、六角穴付きボルト33の雄ネジ35とを螺合させ、軸部30によって、本体部10と被覆部20とを連結して、鍵穴保護装置1を構成する。鍔部34と本体部10との間に板バネ40を配置し、雌ネジ32と雄ネジ35とを螺合すると、板バネ40の厚さ方向Zの寸法が小さくなるように板バネ40が変形し(図13参照)、板バネ40の変形によって被覆部20を本体部10に押圧する付勢力が発生する。
【0038】
図11は、錠50を鍵穴保護装置1に取り付けるとともに、鍵穴保護装置1を扉60に取り付ける場合を説明する組み立て図である。
【0039】
錠50は、錠本体51と、係止板54aと、小径六角ナット56と、ワッシャ56aと、大径六角ナット57と、爪金具58とを備えている。錠本体51は、略円柱状に形成してあり、正面側の中央に配置し、厚さ方向Zへ延びる鍵穴52と、正面側の周縁に形成した円形の錠鍔部53と、錠本体51の背面側から後方へ向けて延びる小径雄ネジ54と、厚さ方向Zにおいて、錠鍔部53と小径雄ネジ54との間に配置した拡幅部55とを有している。
【0040】
小径雄ネジ54は、錠50に対して正規の鍵59を鍵穴52に挿入した状態において、鍵59を錠50の軸心Jに対して旋回させた場合には、鍵59の旋回とともに拡幅部55に対して旋回するように形成してある。小径雄ネジ54の周面の一部には、一対の第1切欠きを設けて一対の第1平坦部54bを形成してある。また、小径雄ネジ54の基端には、係止板54aを取り付けてあり、係止板54aの爪Tによって、鍵59の旋回角度を規制してある。
【0041】
拡幅部55の周面には、大径雄ネジ55aを形成してあり、且つ拡幅部55の周面の一部には、一対の第2切欠きを設けて第2平坦部55bを形成してある。
【0042】
錠鍔部53は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、本体部10の錠貫通孔13よりも大きく、第1段部16に当接し、且つ円状凹部17に嵌るように形成してある。
【0043】
小径六角ナット56は、小径雄ネジ54に螺合するよう形成してある。大径六角ナット57は、拡幅部55の大径雄ネジ55aに、螺合するよう形成してある。
【0044】
爪金具58は、大径雄ネジ55aおよび小径雄ネジ54の軸方向(図11における厚さ方向Z)に対して直交する方向へ延びる態様であって、鍵穴52に鍵59を挿入した状態において、鍵59を旋回した場合には、鍵59の旋回と同一方向に旋回するよう錠本体51の背面側の小径雄ネジ54に、小径六角ナット56を螺合することによって取り付けてある。爪金具58は、錠50を施錠状態にした場合には、自動販売機の扉60から筐体69へ交差する方向へ延びて扉60が開くことを規制する一方(図12において二点鎖線で示す)、錠50を解錠状態にした場合には、扉60と重なる方向へ延びて(図12において実線で示す)、扉60が開くことを許容するものである。厚さ方向Zにおいて、小径六角ナット56と爪金具58との間にはワッシャ56aを配置してある。
【0045】
鍵穴保護装置1を自動販売機の扉60に取り付ける場合には、先ず、錠50の小径六角ナット56と小径雄ネジ54との螺合を解除し、且つ大径六角ナット57と大径雄ネジ55aとの螺合を解除する。次に、扉60に透孔61を形成する。透孔61の縦方向Yおよび横方向Xの大きさは、錠50の正面視における拡幅部55の縦方向Yおよび横方向Xの寸法よりも大きく、本体部10の正面視における縦方向Yおよび横方向Xの寸法よりも小さい。
【0046】
次いで、本体部10の手前に、小径雄ネジ54を対向させた状態で、本体部10の錠貫通孔13に、小径雄ネジ54および大径雄ネジ55aを挿入し、円状凹部17に錠50の錠鍔部53を嵌め、かつ第1段部18に錠鍔部53を当接させて、鍵穴保護装置1に錠50を取り付ける。
【0047】
次いで、透孔61に錠50の小径雄ネジ54および大径雄ネジ55aを挿入した後、拡幅部55の大径雄ネジ55aに大径六角ナット57を螺合させる。次いで、小径雄ネジ54に爪金具58を挿入してから、小径雄ネジ54に小径六角ナット56を螺合して、鍵穴保護装置1を扉60に取り付ける。
【0048】
次に、鍵穴保護装置1の作用を説明する。図12は、錠50を鍵穴保護装置1に取り付け、且つその鍵穴保護装置1を扉60に取り付けた状態の正面図であり、図13は、図12の矢視XIII−XIIIにおける断面図であり、図14は、図13の矢視XIV−XIVにおける断面図である。
【0049】
この鍵穴保護装置1では、図12図14に示すように、正面視において、被覆部20が本体部10に重なる被覆状態では、鍵穴52は被覆部20によって覆われ、鍵穴52に鍵59を挿入することができない。
【0050】
被覆状態では、貫通孔14の一対の貫通孔直線部14aと、軸部30の一対の軸直線部31aとが対向し、軸部30が貫通孔14の下端部に位置して、軸部30の下方の軸曲線部31bが、貫通孔14の貫通孔曲線部14cに当接している。
【0051】
被覆状態において、本体部10に対して被覆部20を、軸部30の軸心Jを中心に旋回移動させようとした場合には、軸直線部31aと貫通孔直線部14aとが当接し、本体部10に対する被覆部20の旋回が規制される。
【0052】
被覆状態において、本体部10に対して被覆部20を上方へ直線移動させると、貫通孔14の内部を下方から上方へ軸部30が移動し、図15図17に示すように、軸部30の上方の軸曲線部31bが、貫通孔14の弧状部14bに当接して、一対の軸直線部31aと弧状部14bとが対向して、本体部10に対して被覆部20が中間位置に移動した状態となる。
【0053】
本体部10に対して被覆部20が中間位置に移動した状態では、錠50の鍵穴52(図15参照)は被覆部20によって覆われ、鍵穴52に鍵59を挿入することができない。
【0054】
一対の軸直線部31aが弧状部14bに対向した状態(中間状態)から、本体部10に対して被覆部20を旋回させた場合には、軸部30の軸心Jを中心に、被覆部20が本体部10に対して旋回移動し、やがて、中間位置から被覆部20を180°移動させると、図18図20に示すように、錠50の鍵穴52が露出した露出状態となる。
【0055】
露出状態では、一対の軸直線部31aが弧状部14bに対向している。この露出状態において、本体部10に対して被覆部20を下方へ直線移動させると、貫通孔14の内部を上方から下方へ軸部30が移動し、図21図23に示すように、軸部30の下方の軸曲線部31bが、貫通孔14の貫通孔曲線部14cに当接し、かつ一対の軸直線部31aと、一対の貫通孔直線部14aとが対向した露出固定状態となる。この露出固定状態では、軸部30の下方の軸曲線部31bが、貫通孔14の貫通孔曲線部14cに当接した状態であるため、操作者が被覆部20から手を離しても本体部10に対して被覆部20が移動しない。
【0056】
露出固定状態においても、鍵穴52は、被覆部20によって覆われておらず、露出した状態となっている。よって、この露出固定状態において、鍵穴52に鍵59を挿入すれば、錠50を施錠状態から解錠状態に変えることができ、若しくは解錠状態から施錠状態に変えることができる。
【0057】
この露出固定状態から、被覆状態に被覆部20を移動させる場合には、上述した操作と逆の操作を行えばよい。
【0058】
この鍵穴保護装置1によれば、本体部10、被覆部20、および軸部30は、被覆部20によって鍵穴52を覆った通常状態から、第1の方向である上方へ被覆部20を本体部10に対して直線移動させて中間位置に配置した後、中間位置から軸部30の軸心Jに対して周方向へ被覆部20を旋回移動させることによって鍵穴52が露出するように構成してあるため、被覆部20を直線移動させた後、軸部30の軸心Jを中心に旋回移動させなければ、鍵穴52が露出しない。よって、鍵穴52を露出させるためには、本体部10に対して異なる二つの方向へ被覆部20を移動させる必要があるため、容易に鍵穴52が露出することのない鍵穴保護装置1を提供することができる。
【0059】
本体部10において、錠貫通孔直線部13aの延びる方向が横方向Xである一方、貫通孔直線部14aの延びる方向が縦方向Yであるため、上述した規制の際に力が加わる方向を分散することができる。よって、本体部10の厚さを薄くすることができる。しかも、本体部10の縦方向Yの寸法および横方向Xの寸法、換言すれば鍵穴保護装置1の縦方向Yの寸法および横方向Xの寸法を小さくすることができる。
【0060】
本体部10の貫通孔14を形成した部位の周囲には、長円状凹部15を形成し、長円状凹部15に板バネ40を配置してあるため、板バネ40を配置するための空間を別途設ける必要がない。よって、鍵穴保護装置1の厚さ方向Zの寸法を小さくすることができる。
【0061】
なお、上述した実施の形態には、錠貫通孔直線部13aが横方向Xへ延びるとともに、貫通孔直線部14aが縦方向Yへ延びるように、これらの直線部13a,14aを本体部10に配置するもので説明した。しかし、この発明は、これに限られず、例えば錠貫通孔直線部13aを横方向Xへ延びるように本体部10に配置するとともに、貫通孔直線部14aを縦方向Yへ延びるように本体部10に配置してもよい。もちろん、これらの直線部13a、14aの延びる方向は、上述した方向に限定されず、適宜変更することができる。
【0062】
また、鍵穴保護装置1は自動販売機に適用する場合に限られず、制御盤等の他の物品に適用することもできる。
【0063】
さらに、軸部30は、被覆部20に設けたボス31と、六角穴付きボルト33とで構成する鍵穴保護装置1を説明した。しかし、この発明は、それに限られず、例えばボス31を本体部10に設けてもよい。
【0064】
また、被覆部20を本体部10に対して縦方向Yへ直線移動させる鍵穴保護装置1で説明した。しかし、この発明は、それに限られず、直線移動させる方向は、横方向Xでもよいし、縦方向Yおよび横方向Xにそれぞれ傾斜する斜め方向でもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 鍵穴保護装置
10 本体部
13 錠貫通孔
13a 錠貫通孔直線部
13b 錠貫通孔曲線部
14 貫通孔
14a 貫通孔直線部
14b 弧状部
14c 貫通孔曲線部
15 長円状凹部(凹部)
20 被覆部
30 軸部
31a 軸部直線部
31b 軸部曲線部
34 鍔部
40 板バネ(押圧手段)
50 錠
52 鍵穴
J 軸心
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