特許第5952149号(P5952149)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952149
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】金属多孔体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/08 20060101AFI20160630BHJP
   C22C 19/03 20060101ALI20160630BHJP
   B22F 3/11 20060101ALI20160630BHJP
   H01M 8/0202 20160101ALN20160630BHJP
   H01M 4/66 20060101ALN20160630BHJP
   H01M 4/80 20060101ALN20160630BHJP
【FI】
   C22C1/08 D
   C22C19/03 M
   B22F3/11 B
   !H01M8/02 Y
   !H01M4/66 A
   !H01M4/80 C
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-213791(P2012-213791)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-65955(P2014-65955A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591174368
【氏名又は名称】富山住友電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116366
【弁理士】
【氏名又は名称】二島 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100121016
【弁理士】
【氏名又は名称】小村 修
(74)【代理人】
【識別番号】100136283
【弁理士】
【氏名又は名称】横山 直史
(74)【代理人】
【識別番号】100156317
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100157761
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 大介
(72)【発明者】
【氏名】奥野 一樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真博
(72)【発明者】
【氏名】粟津 知之
(72)【発明者】
【氏名】真嶋 正利
(72)【発明者】
【氏名】塚本 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】土田 斉
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 英敏
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−020831(JP,A)
【文献】 特開昭55−018579(JP,A)
【文献】 特開2012−149282(JP,A)
【文献】 特開2012−132083(JP,A)
【文献】 特表2004−533543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともニッケル、スズおよびクロムを含む金属多孔体であって、
前記金属多孔体に含まれるスズが前記金属多孔体に占める重量比は12wt%以上25wt%以下であり、
前記金属多孔体に含まれるクロムが前記金属多孔体に占める重量比は2wt%以上12wt%以下であり、
前記金属多孔体の多孔度は60%以上98%以下である金属多孔体。
【請求項2】
リン、ホウ素、アルミニウム、チタン、マンガン、コバルト、銅、モリブデンおよびタングステンからなる群の中から選択される少なくとも一種類以上の元素が添加元素として前記金属多孔体に含まれ、
前記添加元素が前記金属多孔体に占める重量比は15wt%以下である、請求項1に記載の金属多孔体。
【請求項3】
前記金属多孔体は、三次元網目構造の骨格を有する金属構造体である、請求項1または請求項に記載の金属多孔体。
【請求項4】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面にクロムを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケルの層およびスズの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
熱処理により前記ニッケルの層およびスズの層の間で相互に金属原子を拡散させるとともに前記導電被覆層に含まれるクロムを前記ニッケルの層およびスズの層に拡散させる拡散工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項5】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケルの層およびクロムの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
熱処理により前記ニッケルの層およびクロムの層の間で相互に金属原子を拡散させるとともに前記導電被覆層に含まれるスズを前記ニッケルの層およびクロムの層に拡散させる拡散工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項6】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズおよびクロムを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケルの層を形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
熱処理により前記導電被覆層に含まれるスズおよびクロムを前記ニッケルの層に拡散させる拡散工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項7】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケルの層、スズの層およびクロムの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
熱処理により前記ニッケルの層、スズの層およびクロムの層の間で相互に金属原子を拡散させる拡散工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項8】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケル−スズ合金の層およびクロムの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
熱処理により前記ニッケル−スズ合金の層およびクロムの層の間で相互に金属原子を拡散させる拡散工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項9】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケル−クロム合金の層およびスズの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
熱処理により前記ニッケル−クロム合金の層およびスズの層の間で相互に金属原子を拡散させる拡散工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項10】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケル−クロム合金の層を形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
熱処理により前記導電被覆層に含まれるスズを前記ニッケル−クロム合金の層に拡散させる拡散工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項11】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面にクロムを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケル−スズ合金の層を形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
熱処理により前記導電被覆層に含まれるクロムを前記ニッケル−スズ合金の層に拡散させる拡散工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項12】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケル−スズ−クロム合金の層を形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項13】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケルの層およびスズの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
前記除去工程により前記多孔体基材が除去された後にクロマイズ処理を施すクロマイズ処理工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項14】
樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、
前記導電被覆層の表面にニッケルの層を形成する金属層形成工程と、
前記多孔体基材を除去する除去工程と、
前記除去工程により前記多孔体基材が除去された後にクロマイズ処理を施すクロマイズ処理工程と、
を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の金属多孔体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種電池、キャパシタ、燃料電池等の集電体に用いることが可能な金属多孔体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂多孔体に導電化処理を施し、この上に金属からなる電気めっき層を形成し、必要に応じて樹脂多孔体を焼却して除去することにより金属多孔体を製造する方法が知られている。例えば特許文献1に記載の如くである。
また、耐酸化性及び耐食性を有するとともに多孔度が大きく、各種電池、キャパシタ、燃料電池等の集電体に適した金属多孔体として、ニッケル−スズ合金からなる金属多孔体が提案されている。例えば、特許文献2に記載の如くである。さらに、高い耐食性を有する金属多孔体として、ニッケル−クロム合金からなる金属多孔体が提案されている。例えば、特許文献3に記載の如くである。
【0003】
しかし、近年は各種電池、キャパシタ、燃料電池等に対してますます高出力化、高容量化(小型化)が望まれており、これに伴って集電体を構成する金属多孔体に対してもさらなる耐酸化性及び耐食性の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−154517号公報
【特許文献2】特開2012−132083号公報
【特許文献3】特開2012−149282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来のニッケル−スズ二元合金からなる金属多孔体およびニッケル−クロム二元合金からなる金属多孔体に比べて耐食性に優れた金属多孔体を提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、(1)金属多孔体が少なくともニッケル、スズおよびクロムを含む、という構成を採用することにより、上記課題が解決されることを見出した。
なお、上記(1)の構成は、金属多孔体にニッケル、スズおよびクロムとは別の一種類以上の添加元素が、上記課題を解決可能な限りにおいて意図的あるいは不可避的に含まれることを許容する。
【0007】
本発明は上記(1)の構成に加えて、以下の(2)〜(5)の構成を付加することがより望ましい。
【0008】
(2)上記(1)に記載の金属多孔体において、金属多孔体に含まれるスズが金属多孔体に占める重量比は5wt%以上25wt%以下であることがより望ましい。
【0009】
(3)上記(1)または(2)に記載の金属多孔体において、金属多孔体に含まれるクロムが金属多孔体に占める重量比は1wt%以上45wt%以下であることがより望ましく、5wt%以上20wt%以下であることがより望ましい。
【0010】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属多孔体において、リン、ホウ素、アルミニウム、チタン、マンガン、コバルト、銅、モリブデンおよびタングステンからなる群の中から選択される少なくとも一種類以上の元素が添加元素として金属多孔体に含まれ、添加元素が金属多孔体に占める重量比は15wt%以下であることがより望ましい。
【0011】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属多孔体において、金属多孔体は、三次元網目構造の骨格を有する金属構造体であることが望ましい。
【0012】
発明者らは、以下の(6)〜(16)の構成を採用することにより、上記課題を解決する金属多孔体を製造可能であることを見出した。
【0013】
(6)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面にクロムを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケルの層およびスズの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、熱処理によりニッケルの層およびスズの層の間で相互に金属原子を拡散させるとともに導電被覆層に含まれるクロムをニッケルの層およびスズの層に拡散させる拡散工程と、を含むことが望ましい。
【0014】
(7)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケルの層およびクロムの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、熱処理によりニッケルの層およびクロムの層の間で相互に金属原子を拡散させるとともに導電被覆層に含まれるスズをニッケルの層およびクロムの層に拡散させる拡散工程と、を含むことが望ましい。
【0015】
(8)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズおよびクロムを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケルの層を形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、熱処理により導電被覆層に含まれるスズおよびクロムをニッケルの層に拡散させる拡散工程と、を含むことが望ましい。
【0016】
(9)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケルの層、スズの層およびクロムの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、熱処理によりニッケルの層、スズの層およびクロムの層の間で相互に金属原子を拡散させる拡散工程と、を含むことが望ましい。
【0017】
(10)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケル−スズ合金の層およびクロムの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、熱処理によりニッケル−スズ合金の層およびクロムの層の間で相互に金属原子を拡散させる拡散工程と、を含むことが望ましい。
【0018】
(11)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケル−クロム合金の層およびスズの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、熱処理により前記ニッケル−クロム合金の層およびスズの層の間で相互に金属原子を拡散させる拡散工程と、を含むことが望ましい。
【0019】
(12)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケル−クロム合金の層を形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、熱処理により前記導電被覆層に含まれるスズをニッケル−クロム合金の層に拡散させる拡散工程と、を含むことが望ましい。
【0020】
(13)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面にクロムを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケル−スズ合金の層を形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、熱処理により導電被覆層に含まれるクロムをニッケル−スズ合金の層に拡散させる拡散工程と、を含むことが望ましい。
【0021】
(14)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケル−スズ−クロム合金の層を形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、を含むことが望ましい。
【0022】
(15)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケルの層およびスズの層を任意の順序で形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、除去工程により多孔体基材が除去された後にクロマイズ処理を施すクロマイズ処理工程と、を含むことが望ましい。
【0023】
(16)金属多孔体の製造方法は、樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程と、導電被覆層の表面にニッケルの層を形成する金属層形成工程と、多孔体基材を除去する除去工程と、除去工程により多孔体基材が除去された後にクロマイズ処理を施すクロマイズ処理工程と、を含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、従来のニッケル−スズ二元合金からなる金属多孔体およびニッケル−クロム二元合金からなる金属多孔体に比べて耐食性に優れた金属多孔体を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ASTM G5−94に基づいた耐食性試験を1回行ったときの実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の標準水素電極に対する電位と電流値との関係を示す図である。
図2】ASTM G5−94に基づいた耐食性試験を1回および5回行ったときの実施例1の標準水素電極に対する電位と電流値との関係を示す図である。
図3】ASTM G5−94に基づいた耐食性試験を1回および5回行ったときの実施例2の標準水素電極に対する電位と電流値との関係を示す図である。
図4】ASTM G5−94に基づいた耐食性試験を1回および5回行ったときの比較例2の標準水素電極に対する電位と電流値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
上記(2)の構成を採用することにより、耐酸化性・耐食性が向上するとともに、強度が低く脆いニッケルとスズの金属間化合物の生成を抑制し、強度の高い金属多孔体を得ることが可能である。金属多孔体に含まれるスズが金属多孔体に占める重量比が5wt%未満である場合、耐酸化性、耐食性が不足する。金属多孔体に含まれるスズが金属多孔体に占める重量比が25wt%よりも大きい場合、強度が低く脆いニッケルとスズの金属間化合物が生成し、脆くなる。
【0027】
上記(3)の構成を採用することにより、耐酸化性・耐食性を向上することが可能である。金属多孔体に含まれるクロムが金属多孔体に占める重量比が1wt%未満である場合、耐酸化性・耐食性が不足する。金属多孔体に含まれるクロムが金属多孔体に占める重量比が45wt%よりも大きい場合、電気抵抗が低下する。
【0028】
特に、上記(1)に記載の金属多孔体において、金属多孔体に含まれるスズが金属多孔体に占める重量比が5wt%以上25wt%以下であり、かつ金属多孔体に含まれるクロムが金属多孔体に占める重量比が1wt%以上25wt%以下である場合には、安定して耐酸化性・耐食性が高く、電気抵抗が低いという顕著な利点を有する。
【0029】
上記(4)において、添加元素が金属多孔体に占める重量比が15wt%以上である場合、耐酸化性・耐食性が低下する。
【0030】
上記(5)の構成を採用することにより、金属多孔体の多孔度を大きい値に設定し易い。
【0031】
上記(6)および(15)の金属層形成工程においてニッケルの層およびスズの層を形成する順序は任意であり、各金属層を形成する順序を適宜入れ替えることが可能である。
上記(7)の金属層形成工程においてニッケルの層およびクロムの層を形成する順序は任意であり、各金属層を形成する順序を適宜入れ替えることが可能である。
上記(9)の金属層形成工程においてニッケルの層、スズの層およびクロムの層を形成する順序は任意であり、各金属層を形成する順序を適宜入れ替えることが可能である。
上記(10)の金属層形成工程においてニッケル−スズ合金の層およびクロムの層を形成する順序は任意であり、各金属層を形成する順序を適宜入れ替えることが可能である。
上記(11)の金属層形成工程においてニッケル−クロム合金の層およびスズの層を形成する順序は任意であり、各金属層を形成する順序を適宜入れ替えることが可能である。
【0032】
上記(14)において必要であれば熱処理によりニッケル−スズ−クロム合金の層の内部における金属原子を拡散させる工程を行ってもよいが、金属層形成工程において形成されるニッケル−スズ−クロム合金の層の内部におけるニッケル、スズおよびクロムの分布が均一である場合には金属原子を拡散させる工程を省略しても良い。
【0033】
上記(6)〜(13)、(15)および(16)の除去工程が熱処理により多孔体基材を焼却する工程であり、かつ除去工程の熱処理温度と拡散工程における熱処理温度とを同じ温度に設定可能な場合には、拡散工程が除去工程を兼ねる(拡散工程において多孔体基材を焼却して除去する)ことができる。
【0034】
上記(6)、(7)、(10)、(11)および(15)の金属層形成工程については金属層形成工程の途中で除去工程を行っても良い。すなわち、一つ目の金属層を形成し、多孔体基材を除去し、その後二つ目の金属層を形成しても良い。上記(15)においてクロマイズ処理工程は除去工程の直後である必要はなく、除去工程とクロマイズ処理工程との間に金属層形成工程の後半部分(二つ目の金属層が形成される工程)を行っても良い。
【0035】
上記(9)の金属層形成工程については、金属層形成工程の途中で除去工程を行っても良い。すなわち、一つ目の金属層の形成と二つ目の金属層の形成との間に多孔体基材を除去しても良く、二つ目の金属層の形成と三つ目の金属層の形成との間に多孔体基材を除去しても良い。
【0036】
上記(6)〜(16)における「樹脂材料からなる多孔体基材」は樹脂からなる多孔性の材料であれば公知または市販のものを採用することが可能である。樹脂材料からなる多孔体基材の具体例としては樹脂材料からなる発泡体、樹脂材料からなる不織布、樹脂材料からなるフェルト、樹脂材料からなる三次元網目構造体、あるいはこれらを組み合わせたもの等が挙げられる。多孔体基材を構成する樹脂材料の種類は特に限定されないが、焼却により除去可能なものが望ましい。樹脂材料からなる発泡体の具体例としては発泡ウレタン、発泡スチレン、発泡メラミン樹脂等が挙げられる。多孔体基材の多孔度を大きくする観点からは発泡ウレタン等が望ましい。多孔体基材の形状がシート状である場合、取り扱いの観点から柔軟性を有する(折り曲げたときに折れない)素材であることが望ましい。
【0037】
多孔体基材の多孔度は限定的ではなく、用途に応じて適宜選択されるものであるが、通常は60%以上98%以下、より好ましくは80%以上96%以下である。
多孔体基材の厚みは限定的ではなく、用途に応じて適宜選択されるものであるが、通常は150μm以上5000μm以下、より好ましくは200μm以上2000μm以下、さらに好ましくは300μm以上1200μm以下が望ましい。
【0038】
上記(9)〜(11)、(14)および(15)における「樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程」としては、多孔体基材の表面に導電性を有する層を形成可能な限りにおいて種々の方法を採用することが可能である。「樹脂材料からなる多孔体基材の表面に導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程」の具体例としては多孔体基材の表面に導電性を有する粉末(例えば、ステンレススチール等の金属材料の粉末、結晶質のグラファイト、非晶質のカーボンブラック等のカーボンの粉末)とバインダとの混合物を塗着する方法、無電解めっき処理、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング等により多孔体基材の表面にニッケル等の金属材料からなる層を形成する方法、等が挙げられる。
【0039】
ニッケルを用いた無電解めっき処理の具体例としては次亜リン酸ナトリウムを含有した硫酸ニッケル水溶液等の公知の無電解ニッケルめっき浴に多孔体基材を浸漬する方法等が挙げられる。また、必要に応じて、多孔体基材をめっき浴に浸漬する前に微量のパラジウムイオンを含む活性化液(カニゼン社製の洗浄液)に浸漬しても良い。
【0040】
ニッケルを用いたスパッタリング処理の具体例としては、基板ホルダーに多孔体基材を固定し、不活性ガスを導入しつつ基板ホルダーとターゲット(ニッケル)との間に直流電圧を印加することにより、イオン化した不活性ガスをニッケルに衝突させ、吹き飛ばしたニッケル粒子を多孔体基材の表面に堆積させる方法等が挙げられる。
【0041】
導電被覆層は多孔体基材の表面に連続的に(導通可能に)形成されていれば良く、その目付量(多孔体基材への付着量)は限定的ではないが、例えば導電被覆層としてニッケルを用いる場合、通常は5g/m以上15g/m以下、より好ましくは7g/m以上10g/m以下とすれば良い。
【0042】
上記(6)および(13)における「樹脂材料からなる多孔体基材の表面にクロムを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程」としては、多孔体基材の表面に導電性を有するとともにクロムを含む層を形成可能な限りにおいて種々の方法を採用することが可能である。「樹脂材料からなる多孔体基材の表面にクロムを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程」の具体例としては、(A1)多孔体基材の表面にクロムを含む粉末(例えば、クロムの粉末、酸化クロムの粉末等)およびバインダの混合物を塗着する方法、(B1)クロムを含む粉末、導電性を有する粉末(ステンレススチール等の金属材料、カーボン等の粉末)およびバインダの混合物を塗着する方法、(C1)無電解めっき処理、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング等により多孔体基材の表面にクロムあるいはクロム合金からなる層を形成する方法、等が挙げられる。
【0043】
上記(7)および(12)における「樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程」としては、多孔体基材の表面に導電性を有するとともにスズを含む層を形成可能な限りにおいて種々の方法を採用することが可能である。「樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程」の具体例としては、(A2)多孔体基材の表面にスズを含む粉末(例えば、スズの粉末、酸化スズの粉末等)およびバインダの混合物を塗着する方法、(B2)スズを含む粉末、導電性を有する粉末(ステンレススチール等の金属材料、カーボン等の粉末)およびバインダの混合物を塗着する方法、(C2)無電解めっき処理、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング等により多孔体基材の表面にスズあるいはスズ合金からなる層を形成する方法、等が挙げられる。
【0044】
上記(8)における「樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズおよびクロムを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程」としては、多孔体基材の表面に導電性を有するとともにスズおよびクロムを含む層を形成可能な限りにおいて種々の方法を採用することが可能である。
「樹脂材料からなる多孔体基材の表面にスズおよびクロムを含む導電被覆層を形成する導電被覆層形成工程」の具体例としては、(A3)多孔体基材の表面にスズを含む粉末、クロムを含む粉末およびバインダの混合物を塗着する方法、(B3)スズを含む粉末、クロムを含む粉末、導電性を有する粉末(ステンレススチール等の金属材料、カーボン等の粉末)およびバインダの混合物を塗着する方法、(C3)無電解めっき処理、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング等により、多孔体基材の表面にスズからなる層およびクロムからなる層を任意の順序で形成する方法あるいはスズ−クロム合金からなる層を形成する方法、等が挙げられる。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
以下では実施例1の詳細について説明する。実施例1はニッケル−スズ−クロム合金多孔体であり、本発明の実施の一形態である。
【0046】
(3次元網目状樹脂の導電化処理)
最初に3次元網目状樹脂(樹脂材料からなる多孔体基材の実施の一形態)として、1.5mm厚の発泡ポリウレタンシート(孔径0.45mm)を用意した。続いて体積平均粒径0.5μmのグラファイト90g、体積平均粒径5μmのクロム粒子12gを0.5Lの10%wt%アクリル酸エステル系樹脂水溶液に分散し、この比率で粘着塗料を作製した。
次に前記発泡ポリウレタンシートを前記塗料に連続的に漬け、ロールで絞った後乾燥させることによって導電化処理を施し、3次元網目状樹脂の表面に導電性被覆層を形成した。なお、導電性塗料の粘度は増粘剤によって調整し、所望の合金組成となるように、乾燥後の導電性塗料の塗布重量が69g/mとなるよう調整した。
この工程を経ることにより、3次元網目状樹脂の表面にカーボン粉末及びクロム粒子を含む導電性塗料の塗膜が形成される。
【0047】
(金属めっき工程)
導電化処理を施した3次元網目状樹脂に、電気めっきによりニッケルを300g/m、次いでスズを42g/m付着させ、電気めっき層(ニッケルの層およびスズの層の実施の一形態)を形成した。めっき液としては、ニッケルはスルファミン酸ニッケルめっき液、スズは硫酸浴を用いた。
この工程を経ることにより、カーボン粉末及びクロム粒子を含む導電性塗料の塗膜の上にニッケルめっき層及びスズめっき層が形成される。
【0048】
(熱処理工程)
上記工程で得られた金属多孔体について、まず大気中800℃で15分熱処理を行い、3次元網目状樹脂及びバインダを焼失させた(除去工程の実施の一形態)。その後水素雰囲気1000℃で50分の熱処理を行い、大気熱処理で酸化した金属を還元すると共に、熱拡散による合金化を行った(拡散工程の実施の一形態)。
この工程を経ることにより、3次元網目状樹脂は熱分解により除去される。そして、導電性被覆層に含まれるクロム粒子とニッケルめっき層、スズめっき層は、導電性被覆層に含まれるカーボン粉末によって還元され、さらに導電性被覆層に含まれるクロム成分とニッケルめっき層及びスズめっき層は熱拡散により合金化する。最終的に厚さ1.5mm、目付量350g/m、ニッケル86%、スズ12%、クロム2%の合金多孔体を得た。
【0049】
(実施例2)
以下では実施例2の詳細について説明する。実施例2はニッケル−クロム−スズ合金多孔体であり、本発明の実施の一形態である。実施例2は基本的には上記実施例1と同様の手順で作製され、最終的な厚さは1.5mm、目付量は350g/m、組成はニッケル76%、スズ12%、クロム12%である。
【0050】
(比較例1)
以下では比較例1たるニッケル−スズ合金多孔体の詳細について説明する。
【0051】
(3次元網目状樹脂の導電化処理)
最初に3次元網目状樹脂として1.5mm厚の発泡ポリウレタンシート(孔径0.45mm)を用意した。続いて体積平均粒径0.5μmのグラファイト90gを0.5Lの10%wt%アクリル酸エステル系樹脂水溶液に分散し、この比率で粘着塗料を作製した。
次に前記発泡ポリウレタンシートを前記塗料に連続的に漬け、ロールで絞った後乾燥させることによって導電化処理を施し、3次元網目状樹脂の表面に導電性被覆層を形成した。なお、導電性塗料の粘度は増粘剤によって調整し、所望の合金組成となるように、乾燥後の導電性塗料の塗布重量が55g/mとなるよう調整した。
この工程を経ることにより、3次元網目状樹脂の表面にカーボン粉末を含む導電性塗料の塗膜が形成される。
【0052】
(金属めっき工程)
導電化処理を施した3次元網目状樹脂に電気めっきによりニッケルを300g/m、スズを53g/m付着させ、電気めっき層を形成した。めっき液としては、ニッケルはスルファミン酸ニッケルめっき液、スズは硫酸浴を用いた。
この工程を経ることにより、カーボン粉末を含む導電性塗料の塗膜の上にニッケルめっき層及びスズめっき層が形成される。
【0053】
(熱処理工程)
上記工程で得られた金属多孔体について、まず大気中800℃で15分熱処理を行い、3次元網目状樹脂及びバインダを焼失させた。その後水素雰囲気1000℃で50分の熱処理を行い、大気熱処理で酸化した金属を還元すると共に熱拡散による合金化を行った。
この工程を経ることにより、3次元網目状樹脂は熱分解により除去される。そして、ニッケルめっき層およびスズめっき層は導電性被覆層に含まれるカーボン粉末によって還元され、熱拡散により合金化する。最終的に厚さ1.5mm、目付量350g/m、ニッケル85%、スズ15%の合金多孔体を得た。
【0054】
(比較例2)
以下では比較例2たるニッケル−クロム合金多孔体の詳細について説明する。
【0055】
(3次元網目状樹脂の導電化処理)
最初に3次元網目状樹脂として1.5mm厚の発泡ポリウレタンシート(孔径0.45mm)を用意した。続いて体積平均粒径0.5μmのグラファイト90gを0.5Lの10%wt%アクリル酸エステル系樹脂水溶液に分散し、この比率で粘着塗料を作製した。
次に前記発泡ポリウレタンシートを前記塗料に連続的に漬け、ロールで絞った後乾燥させることによって導電化処理を施し、3次元網目状樹脂の表面に導電性被覆層を形成した。なお、導電性塗料の粘度は増粘剤によって調整し、所望の合金組成となるように、乾燥後の導電性塗料の塗布重量が55g/mとなるよう調整した。
この工程を経ることにより、3次元網目状樹脂の表面にカーボン粉末を含む導電性塗料の塗膜が形成される。
【0056】
(金属めっき工程)
導電化処理を施した3次元網目状樹脂に、電気めっきによりニッケルを300g/m付着させ、電気めっき層を形成した。めっき液としては、ニッケルはスルファミン酸ニッケルめっき液を用いた。
この工程を経ることにより、カーボン粉末を含む導電性塗料の塗膜の上にニッケルめっき層が形成される。
【0057】
(熱処理工程)
上記工程で得られた金属多孔体について、まず大気中800℃で15分熱処理を行い、3次元網目状樹脂及びバインダを焼失させた。その後水素雰囲気1000℃で50分の熱処理を行い、大気熱処理で酸化した金属を還元した。
この工程を経ることにより、3次元網目状樹脂は熱分解により除去される。そして、ニッケルめっき層は導電性被覆層に含まれるカーボン粉末によって還元される。
【0058】
(クロム拡散工程)
上記工程で得られたニッケル多孔体にクロマイズ処理(粉末パック法)にてクロムを拡散させた。ニッケル多孔体にクロム粉末、塩化アンモニウム及びアルミナ粉末を混合して得られた浸透材(クロム:90wt%、NHCl:1wt%、Al:9wt%)を充填し、水素ガス雰囲気中で800℃に加熱してニッケル−クロム合金多孔体を得た。
上記クロマイズ処理において、クロマイズ処理の加熱時間を調整することにより、最終的に厚さ1.5mm、目付量460g/m、ニッケル65%、クロム35%の合金多孔体を得た。
【0059】
(耐食性試験)
得られた金属多孔体の耐食性評価の手法として、ASTM G5−94に基づいた試験を行った。アノード分極曲線測定に用いる酸性水溶液は、1mol/Lの硫酸ナトリウム水溶液を調整し、硫酸によってpHを調節したものを用いた。また、試験温度は60℃とし、試験中は水素バブリングを行って水素飽和状態とした。ボルタンメトリーの電位範囲は標準水素電極基準とし、燃料電池中で実際に印可されると考えられる0Vから1.0Vまでとし、掃引速度は5mV/sとした。
【0060】
(試験結果1)
図1に代表的な電位0.0V、0.4Vおよび0.8Vにおける電流値をプロットしたものを示す。電流はサンプルの見かけ面積で規格化した。図1の横軸は標準水素電極(Standard Hydrogen Electrode)に対する電位であり、縦軸は測定対象の電流値をサンプルの見かけ面積で規格化した値である。
図1に示すとおり、実施例1および実施例2は0V、0.4Vおよび1.0Vにおいて比較例1に比べて電流値が小さく、耐食性が高いことが分かる。また、比較例2と比較した場合、実施例1および実施例2は0Vおよび0.4Vにおける電流値は大きいが、1.0Vにおける電流値が比較例2の1/5程度になっており、高電圧側の耐食性が優れていることが分かる。
【0061】
(試験結果2)
実施例1、実施例2および比較例2の耐久性を比較するため、試験結果1に示す耐食性試験を5回繰り返したときの電流値の変化を測定した。測定結果を図2から図4に示す。
図2から図4の横軸は標準水素電極に対する電位であり、縦軸は測定対象の電流値をサンプルの見かけ面積で規格化した値である。
図2および図3に示すとおり、実施例1および実施例2では、耐食性試験を繰り返したときの0Vの電流値は余り変化しないが、0.4Vおよび1.0Vの電流値が低下し、耐食性が向上することが分かった。
一方、図4に示すとおり、比較例2について同様の試験を実施した場合、0V、0.4Vおよび1.0Vのすべてにおいて電流値が増加し、耐食性が低下していることが分かった。当該試験により、実施例1および実施例2は比較例2に比べて耐久性に優れることが分かった。
【0062】
試験結果1および試験結果2より、特に運転時に1.0V付近で電圧が一定となる燃料電池用途において、実施例1および実施例2は比較例1および比較例2に比べて耐食性に優れ、有用であることが分かった。
図1
図2
図3
図4