特許第5952178号(P5952178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5952178大容量データの符号化および復号化のための4次元(4D)カラーバーコード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952178
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】大容量データの符号化および復号化のための4次元(4D)カラーバーコード
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/06 20060101AFI20160630BHJP
   G06K 1/12 20060101ALI20160630BHJP
   G06K 7/12 20060101ALI20160630BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G06K19/06 056
   G06K19/06 037
   G06K19/06 140
   G06K1/12 H
   G06K7/12
   G06K7/14 017
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-270871(P2012-270871)
(22)【出願日】2012年12月12日
(65)【公開番号】特開2013-134775(P2013-134775A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年8月14日
(31)【優先権主張番号】13/336,627
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507031918
【氏名又は名称】コニカ ミノルタ ラボラトリー ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティアン, イービン
(72)【発明者】
【氏名】ミン, ウェイ
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−006969(JP,A)
【文献】 特開2007−179134(JP,A)
【文献】 特表2009−540468(JP,A)
【文献】 特開2006−012162(JP,A)
【文献】 特開2007−157127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00−19/18
G06K 1/00− 1/22
G06K 7/00− 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセルを含む複数のセルを有するカラーバーコードの中にデジタルデータを符号化する方法であって、
(a)各データセルについて形状、当該形状の向きおよび色の組み合わせを決定することで前記デジタルデータを符号化するステップと、
(b)各データセルについて、前記データセル内の複数のピクセルのサブセットを、前記ステップ(a)で決定された前記データセルにおける前記形状、前記向きおよび前記色の組み合わせに従って色付けするステップと、を有し、
前記データセルにおける前記形状、向きおよび色の組み合わせは、前記データセル内に符号化される前記デジタルデータの値に応じて、形状、向きおよび色の複数の組み合わせから選択され、
複数の前記形状、向きおよび色の組み合わせは、第1の形状と第1の向きに対応する第1の組み合わせと、前記第1の形状と前記第1の向きとは異なる第2の向きに対応する第2の組み合わせと、前記第1の形状とは異なる第2の形状と第3の向きに対応する第3の組み合わせと、前記第2の形状と前記第3の向きとは異なる第4の向きに対応する第4の組み合わせとを含む、方法。
【請求項2】
複数の位置決めセルを形成するステップをさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の形状基準セルを形成するステップをさらに有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複数の色基準セルを形成するステップをさらに有する請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カラーバーコードのサイズを符号化するための複数のセルを形成するステップをさらに有する請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の組み合わせは、CMYK、RGB、Lab、JCH、またはLUV色空間の色を含む請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の組み合わせは、グレーを含む請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の組み合わせのうち少なくとも1つに、1つ以上の階調段階を用いるステップをさらに有する請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
隣接するデータセルの間に1つ以上の白色ピクセルを加えるステップをさらに有する請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の組み合わせのうち1つ以上に、1つ以上の制約を加えるステップをさらに有する請求項1〜の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
カラーバーコードを復号する方法であって、
(a)前記カラーバーコードの中の複数のデータセルを区分化するステップと、
(b)各データセル内のピクセルのサブセットで形成された形状、当該形状の向きおよび当該形状の色の組み合わせを認識するステップと、
(c)各データセル内の前記認識された前記形状、前記向きおよび前記色の組み合わせから、複数の形状、向きおよび色の組み合わせのそれぞれに予め対応付けされたデジタルデータに基づきデジタルデータを取得するステップと、を有し、
前記複数の形状、向きおよび色の組み合わせは、第1の形状と第1の向きに対応する第1の組み合わせと、前記第1の形状と前記第1の向きとは異なる第2の向きに対応する第2の組み合わせと、前記第1の形状とは異なる第2の形状と第3の向きに対応する第3の組み合わせと、前記第2の形状と前記第3の向きとは異なる第4の向きに対応する第4の組み合わせとを含む、方法。
【請求項12】
前記カラーバーコードを前処理してノイズ除去および歪み修正を行うステップをさらに有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カラーバーコードの中の前記複数のデータセルの位置を特定するステップをさらに有する請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記カラーバーコードのサイズを判定するステップをさらに有する請求項1113の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記カラーバーコードの基準形状を取得するステップをさらに有する請求項1114の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記カラーバーコードの基準色を取得するステップをさらに有する請求項1115の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(b)は、形状テンプレートをマッチングさせることによって前記形状を認識するステップをさらに有する請求項1116の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(b)は、認識される前記色と前記基準色との間で距離を比較することによって前記色を認識するステップをさらに有する請求項16に記載の方法。
【請求項19】
データセルを含む複数のセルを有するカラーバーコードの中にデジタルデータを符号化するデータ処理装置であって、
各データセルについて形状、当該形状の向きおよび色の組み合わせを決定することで前記デジタルデータを符号化する符号化手段と、
各データセルについて、前記データセル内の複数のピクセルのサブセットを、前記符号化手段により決定された前記データセルにおける前記形状、前記向きおよび前記色の組み合わせに従って色付けする色付け手段と、を備え、
前記データセルにおける前記形状、向きおよび色の組み合わせは、前記データセル内に符号化される前記デジタルデータの値に応じて、形状、向きおよび色の複数の組み合わせから選択され、
複数の前記形状、向きおよび色の組み合わせは、第1の形状と第1の向きに対応する第1の組み合わせと、前記第1の形状と前記第1の向きとは異なる第2の向きに対応する第2の組み合わせと、前記第1の形状とは異なる第2の形状と第3の向きに対応する第3の組み合わせと、前記第2の形状と前記第3の向きとは異なる第4の向きに対応する第4の組み合わせとを含む、データ処理装置。
【請求項20】
カラーバーコードを復号するデータ処理装置であって、
前記カラーバーコードの中の複数のデータセルを区分化するデータセル区分化手段と、
各データセル内のピクセルのサブセットで形成された形状、当該形状の向きおよび当該形状の色の組み合わせを認識する組み合わせ認識手段と、
各データセル内の前記認識された前記形状、前記向きおよび前記色の組み合わせから、複数の形状、向きおよび色の組み合わせのそれぞれに予め対応付けされたデジタルデータに基づきデジタルデータを取得するデジタルデータ取得手段と、を備え、
前記複数の形状、向きおよび色の組み合わせは、第1の形状と第1の向きに対応する第1の組み合わせと、前記第1の形状と前記第1の向きとは異なる第2の向きに対応する第2の組み合わせと、前記第1の形状とは異なる第2の形状と第3の向きに対応する第3の組み合わせと、前記第2の形状と前記第3の向きとは異なる第4の向きに対応する第4の組み合わせとを含む、データ処理装置。
【請求項21】
コンピューターに、データセルを含む複数のセルを有するカラーバーコードの中にデジタルデータを符号化させるプログラムであって、
前記コンピューターを、
各データセルについて形状、当該形状の向きおよび色の組み合わせを決定することで前記デジタルデータを符号化する符号化手段、
各データセルについて、前記データセル内の複数のピクセルのサブセットを、前記符号化手段により決定された前記データセルにおける前記形状、前記向きおよび前記色の組み合わせに従って色付けする色付け手段、
として機能させ、
前記データセルにおける前記形状、向きおよび色の組み合わせは、前記データセル内に符号化される前記デジタルデータの値に応じて、形状、向きおよび色の複数の組み合わせから選択され、
複数の前記形状、向きおよび色の組み合わせは、第1の形状と第1の向きに対応する第1の組み合わせと、前記第1の形状と前記第1の向きとは異なる第2の向きに対応する第2の組み合わせと、前記第1の形状とは異なる第2の形状と第3の向きに対応する第3の組み合わせと、前記第2の形状と前記第3の向きとは異なる第4の向きに対応する第4の組み合わせとを含む、プログラム。
【請求項22】
コンピューターにカラーバーコードを復号させるプログラムであって、
前記コンピューターを、
前記カラーバーコードの中の複数のデータセルを区分化するデータセル区分化手段、
各データセル内のピクセルのサブセットで形成された形状、当該形状の向きおよび当該形状の色の組み合わせを認識する組み合わせ認識手段、
各データセル内の前記認識された前記形状、前記向きおよび前記色の組み合わせから、複数の形状、向きおよび色の組み合わせのそれぞれに予め対応付けされたデジタルデータに基づきデジタルデータを取得するデジタルデータ取得手段、
として機能させ、
前記複数の形状、向きおよび色の組み合わせは、第1の形状と第1の向きに対応する第1の組み合わせと、前記第1の形状と前記第1の向きとは異なる第2の向きに対応する第2の組み合わせと、前記第1の形状とは異なる第2の形状と第3の向きに対応する第3の組み合わせと、前記第2の形状と前記第3の向きとは異なる第4の向きに対応する第4の組み合わせとを含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはデジタルデータを符号化するためのカラーバーコード型機械可読記号の使用方法(Symbology)に関し、より詳細には、大容量データの符号化および復号化のためにカラーバーコードのデータ容量を増大させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーバーコードはデジタルデータを記録するための一種の機械可読記号である。従来、1次元および2次元の白黒バーコードが広く用いられている。近年、バーコードのデータ容量を増大させるためにカラーバーコードも導入されてきている。カラーバーコードは、光反射の強度の他にもう1つの「次元」が追加されることで追加データを表し、しばしば「3次元(3D)」バーコードと呼ばれる。例えば、米国特許第7,478,746号、第7,533,817号、第7,751,585号、および第8,006,911号では、カラーバーコードによるデータ符号化の様々な方法が提案されている。印刷および撮像処理における色再現の忠実度が劣るため、既知のバーコードに用いることが可能な色の数は限られる。ゆえに、カラーバーコードのデータ容量をさらに増やすためには、追加の手段を講じる必要がある。米国特許第7,751,585号では、従来の矩形/正方形ではなく色三角形を用いてバーコードサイズを減らすことによって、そのデータ容量を増やしている。また、米国特許第8,047,447号では、各印刷原色チャネルのプリンター網点方向を用いて、符号化されたデータの量を増大させることが提案されている。
【0003】
紙、透明体、プラスチックシート、布などの記録媒体上にカラーバーコードを作成するために、通常はカラープリンターが用いられる。カラープリンターは一般に、減法混色の原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)の色インクおよびトナー粒子などの調色材料を用いる。これらの色(C、M、およびY)は、黒(K)と合わせて通常はCMYK色またはCMYK色空間と呼ばれる。プリンターで印刷される色は、当該プリンターが使用する調色材料の組の特性によってある程度決まる。
【0004】
カラーバーコードは、陰極線管(CRT)モニター、液晶ディスプレイ(LCD)モニターなどのカラー表示装置に表示されることがよくある。カラー表示装置は一般に、加法混色の原色である赤(R)、緑(G)および青(B)の表示ピクセルを用いる。これらの色(R、G、およびB)は通常はRGB色またはRGB色空間と呼ばれる。
【0005】
また、カラーバーコードをスキャンする、すなわち読み取るために、カラースキャナー、カメラ、またはその他の検出装置がしばしば用いられる。カラースキャナーすなわち検出装置は、一般的に、カラーフィルターの組(例えばRGBフィルター)を用いて受け取った光の色を検出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バーコードの使用が増加するにつれて、また、カラープリンター、表示装置、およびスキャナーの解像度を向上させる技術が進歩するにつれて、大容量データの符号化および復号化のためにカラーバーコードのデータ容量を増大させる新しい方法を導入することが望まれている。
【0007】
本発明は、大容量データの符号化および復号化のためにカラーバーコードのデータ容量を増大させるための方法を対象とする。
【0008】
本発明の一目的は、さらに多くのデジタルデータを符号化するために、色と形状の様々な組み合わせをバーコード内に用いることによってデータ容量を増大させたカラーバーコードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記および/またはその他の目的を達成するため、具体化され、かつ広義に記載されているように、本発明の一例示的実施形態は、データセルを含む複数のセルを有するカラーバーコードの中にデジタルデータを符号化する方法であって、(a)各データセルについて形状、当該形状の向きおよび色の組み合わせを決定することで前記デジタルデータを符号化するステップと、(b)各データセルについて、前記データセル内の複数のピクセルのサブセットを、前記ステップ(a)で決定された前記データセルにおける前記形状、前記向きおよび前記色の組み合わせに従って色付けするステップと、を有し、前記データセルにおける前記形状、向きおよび色の組み合わせは、前記データセル内に符号化される前記デジタルデータの値に応じて、形状、向きおよび色の複数の組み合わせから選択され、複数の前記形状、向きおよび色の組み合わせは、第1の形状と第1の向きに対応する第1の組み合わせと、前記第1の形状と前記第1の向きとは異なる第2の向きに対応する第2の組み合わせと、前記第1の形状とは異なる第2の形状と第3の向きに対応する第3の組み合わせと、前記第2の形状と前記第3の向きとは異なる第4の向きに対応する第4の組み合わせとを含む方法を提供する。
【0010】
他の側面において、本発明の一例示的実施形態は、カラーバーコードを復号する方法であって、(a)前記カラーバーコードの中の複数のデータセルを区分化するステップと、(b)各データセル内のピクセルのサブセットで形成された形状、当該形状の向きおよび当該形状の色の組み合わせを認識するステップと、(c)各データセル内の前記認識された前記形状、前記向きおよび前記色の組み合わせから、複数の形状、向きおよび色の組み合わせのそれぞれに予め対応付けされたデジタルデータに基づきデジタルデータを取得するステップと、を有し、前記複数の形状、向きおよび色の組み合わせは、第1の形状と第1の向きに対応する第1の組み合わせと、前記第1の形状と前記第1の向きとは異なる第2の向きに対応する第2の組み合わせと、前記第1の形状とは異なる第2の形状と第3の向きに対応する第3の組み合わせと、前記第2の形状と前記第3の向きとは異なる第4の向きに対応する第4の組み合わせとを含む方法を提供する。
【0011】
ここまでの概要説明および以下の詳細説明は例示的なものであり、特許請求の範囲に記載された本発明のさらなる説明を提供することを目的とするものである。
【0012】
本発明の追加の、または別の特徴および効果は以下に説明され、一部はその説明から明らかになり、または本発明を実施することによって理解されるであろう。本発明の目的および他の効果は、本明細書、特許請求の範囲および添付図面の中に具体的に指摘された構成によって実現され達成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)〜(j)本発明の一実施形態に係るカラーバーコードのデータセルに用いられる様々な例示的形状を説明する図である。
図2】(a)〜(h)本発明の一実施形態に係るカラーバーコードのデータセルに用いられる様々な例示的色を説明する図である。
図3】本発明の一例示的実施形態に係るカラーバーコードを符号化する処理を説明するフローチャートである。
図4】本発明の一例示的実施形態に係るカラーバーコードを復号化する処理を説明するフローチャートである。
図5】(a)本発明の一例示的実施形態を実施することができるシステムを説明する概略図である。(b)本発明の別の例示的実施形態を実施することができるシステムを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前述のように、本発明は、デジタルデータを符号化および復号化するためのバーコードにおいて、色と形状の様々な組み合わせを用いることによってデータ容量を増大させたカラーバーコードの符号化および復号化、ならびにこれらの方法をデータ処理装置に実行させるコンピュータープログラム製品を対象とする。従来の2次元バーコードに加えてさらに2つの次元(色および形状)が用いられているため、本発明の新しいカラーバーコードを4次元(4D)バーコードと呼ぶことができる。
【0015】
バーコードにおいて、大部分のセルはデータの符号化のためのものである。それぞれのデータ符号化セルは矩形または正方形のピクセル配列から成る(例えば、M×Nピクセル)。図1(a)〜(j)に示す例示的実施形態によれば、各データセルが色と様々な配置や向きの形状とを組み合わせることによってデジタルデータを符号化するように、各データセル内にピクセル配列が設けられる。
【0016】
図1(a)〜(j)に示すように、例えばセルがN×N(例えばN=9)のピクセルから成るとすると、多数の形状または配置を(それらの向きと組み合わせて)用いることで、異なるデジタルデータを符号化できる。もちろん、用いることができる形状の数はセル配列サイズおよび特定の用途向けの複写装置および撮影装置の品質によって決まり、Nの最低限必要な値は用いられる形状の数によって決まる。
【0017】
異なるデジタルデータを符号化するために、形状/配置およびそれらの向きを用いるのに加え、形状/配置のそれぞれに様々な色を用いてバーコードのデータ容量を増大させることができる。例えば、図1(j)に示す垂直矩形に異なる色を用い、それぞれが図2(a)〜(h)に示したような異なるデータ値を表すようにしてもよい。
【0018】
図2(a)〜(h)に示すように、セル内の同じ垂直矩形形状に異なる8色(それぞれC、M、Y、K、R、G、Bおよびグレー)を使用することで、異なるデジタルデータを符号化してもよい。もちろん、CMYKおよびRGB色空間に加えて、Lab、JCH、LUVなどの他の色空間を用いてもよい。多くのカラー印刷装置に用いられる原色を利用するために、一般にはCMYK原色が他の色よりも優先的に選択される。各色は、CMYK色空間の中でできるだけ離れているものにすべきである。
【0019】
形状の数がS、色の数がCであるとすると、各データセルはS×Cの組み合わせを有することができ、これはLog(S×C)ビット/セルに相当する。また、各色の2つ以上の階調段階をバーコードセルに用いてもよい。結果として、バーコードのデータセルに用いられる形状と色(および必要であればそれらの階調段階)の組み合わせの数が劇的に増えるため、バーコードのデータ容量が著しく増大する。
【0020】
誤りを減らすために、形状と色の組み合わせに制約を加えることもできる。例えば制約の1つとして、形状が一部の色としか組み合わせられないというものでもよく、その逆でもよい。これは、要するに、組み込まれた誤り修正機構として機能する。あるいは、信頼性を上げるために、誤り修正コード(ECC;ErrorCorrection Code)をデータ符号化の途中に用いることもできる。
【0021】
本発明の実施形態を実行するバーコードでは、バーコードの矩形(または正方形)領域がセル配列(例えばU×Vセル)に分割され、各セル自体は矩形(または正方形)のピクセル配列から成る(例えば、M×Nピクセル)。隅にある特定の数のセルを位置決めセル(復号化用)として用いるとともに、位置決めセル近傍に配置された他の特定のセルを色基準セルとして用いてもよい。印刷処理および撮像処理では色がずれやすいが、このようにすることで復号化処理における色検出が容易になる。
【0022】
さらに、バーコードの復号化を容易にするために、バーコードのサイズ(すなわち、U×V)を位置決めセル近傍のセルの中に符号化することもできる。バーコードサイズがあまりに大きい場合、必要に応じて、追加の位置決めセルおよび基準セルをバーコードの中央に置いてもよい。また、形状基準セルを色基準セル近傍に追加してもよい。必要に応じて、隣接するセル間の色干渉を減らすことで復号化の精度を上げるために、セルの間に白色領域を追加してもよい。任意選択の誤り修正コードおよび白色領域を有しない上記バーコードの最大データ容量は以下のようになる。

最大容量/平方インチ=(dpi/N_pix)×R_data_ratio×Log(S×C)

ここで、dpi(ドット/インチ)はピクセル解像度、N_pixはセルの一辺のピクセル数、R_data_ratioは所定領域のセル総数で割ったデータセルの数、Sは形状の数、およびCはバーコードに用いられる色の数である。
【0023】
図3を参照すると、本発明の一例示的実施形態に係るバーコードを(コンピューター、プリンター、または電子的伝送のいずれかによって)準備、作成、生成、レンダリングすなわち符号化する基本ステップが説明されている。この符号化処理の各ステップは、カラーバーコードレンダリングソフトウェアプログラムを実行することによって実施される。当該ソフトウェアプログラムは1台以上のプリンターに接続されたコンピューターに存在してもよく、プリンター自体に存在してもよく(例えば図5(a)に示すコンピューター12およびプリンター14)、またはカラーバーコード生成装置に存在してもよい。プログラムはコンピューターの中央演算装置(CPU)によって実行されるか、またはプリンターもしくは装置のデータ処理部もしくは処理部によって実行される。符号化プログラムを実行する際に用いられるデータまたは他の情報は、コンピューター、プリンター、または装置のメモリーすなわち記憶部に保存されたり、そこから読み出されたりしてもよい。
【0024】
ステップ110では、バーコード用の矩形(または正方形)領域がセル配列に分割される(例えば、U×Vセル)。各セルは矩形(または正方形)のピクセル配列から成る(例えば、M×Nピクセル)。
【0025】
ステップ120では、バーコード用領域の隅にある特定のセルが位置決めセルとして用いられる。例えば、バーコードの4隅にあるセルがL字形に黒く色付けされて位置決めセルとして用いられる。他の3つの隅と異なる隅の位置決めセルでバーコードの向きが規定される。
【0026】
ステップ130では、位置決めセル近傍の特定のセルが色付けされることで、生成されるバーコードサイズを符号化する。
【0027】
ステップ140では、位置決めセル近傍の特定のセルが、形状基準セルとして、バーコードに用いられる可能性がある形状に従って色付けされる。
【0028】
ステップ150では、形状基準セル近傍の特定のセルが、色基準セルとして、バーコードに用いられる可能性がある色に従って色付けされる。
【0029】
ステップ160では、バーコードサイズがあまりに大きい場合に、バーコード用領域の中央にある追加のセルを余分に着色して、位置決めセル、バーコードサイズセル、色基準セル、および形状基準セルとして用いる。ただし、ステップ160は任意で実施される。
【0030】
ステップ170では、その他のセルが色付けされる。当該色付けされたセルは、デジタルデータを符号化するためのデータ符号化セルとして用いられる。各セルの特定のピクセルは、多数の形状または配置のうちの1つを形成してもよく、それぞれの形状または配置のものは多数の色のうちの1つで色付けされてもよい。異なる形状と色の組み合わせはそれぞれ異なるデータ値を表すことができる。ある実施形態では、デジタルデータはデジタルデータのサブセットに分割されてもよく、各サブセットは、ルックアップテーブルを参照して、形状と色の様々な組み合わせのうち対応する1つに符号化されてもよい。ここで、ルックアップテーブルとは、デジタル値から形状と色の組み合わせへの符号化の規則を規定するものである。
【0031】
ステップ180では、必要に応じて白色領域がデータセルの間に追加されて、隣接するセル間の色干渉を減らす。
【0032】
図4を参照すると、本発明の一例示的実施形態に係るバーコードを(スキャナー、カメラ、または電子的伝送のいずれかによって)撮像、スキャン、または復号化する基本ステップが説明されている。この復号化処理の各ステップは、カラーバーコード復号化ソフトウェアプログラムを実行することによって実施される。当該ソフトウェアプログラムは1台以上のスキャナーに接続されたコンピューターに存在してもよく、スキャナー自体に存在してもよく(例えば図5(b)に示すコンピューター12およびスキャナー16)、カラーバーコード復号装置に存在してもよい。プログラムはコンピューターの中央演算装置(CPU)によって実行されるか、またはスキャナーもしくは装置のデータ処理部もしくは処理部によって実行される。復号化プログラムを実行する際に用いられるデータまたは他の情報は、コンピューター、スキャナー、またはその他の撮像装置のメモリーすなわち記憶部に保存されたり、そこから読み出されたりしてもよい。
【0033】
ステップ210では、カラーバーコードの画像に、ノイズ除去、歪み修正などの前処理が行われる(カメラで撮影した画像の場合は遠近修正が必要な場合もある)。このステップには、様々な従来技術を用いることができる。
【0034】
ステップ220では、位置決めセルを検出することによって各バーコードの位置を特定する。例えば、バーコードの隅のL字形の位置決めセル、および、設けられていればバーコードの中央の位置決めセルが、それらの色(黒または白)、形状、および位置(L字形位置決めセルが設けられる隅)を利用したパターン認識法によって検出される。バーコードの向きは、他の3つの隅とは異なる隅の位置決めセルに基づいて識別される。歪み補正ステップを実行する必要がある場合もある。
【0035】
ステップ230では、バーコードサイズ情報を取得する。例えば、当該バーコードサイズ情報は、図3のステップ130および160に説明したような、対応するバーコードサイズセルから抽出することができる。
【0036】
ステップ240では、位置決めセルに対する既知の位置関係に基づいて形状基準セルを区分化して基準形状を取得する。
【0037】
ステップ250では、位置決めセルに対する既知の位置関係に基づいて色基準セルを区分化して基準色を取得する。
【0038】
ステップ260では、データセルが区分化される。セルの間に白色領域が加えられている場合は、バーコードの水平および垂直方向全体にわたる白色領域を検出することによって、当該区分化が容易に実行される。バーコードサイズを用いてこの処理を容易にすることができる。セルの間に白色領域が加えられていない場合は、水平および垂直方向の端部の線分が検出可能であり、これら端部の線分はさらにグリッドに関連付けられ、合わせられる。ここでも、バーコードサイズを用いてこの処理を容易にすることができる。
【0039】
ステップ270では、データセルの形状および色が認識される。形状の場合は、形状の特徴(例えば、平行移動およびスケーリングの不変画像モーメント)を形状認識に利用することができる。あるいは、基準形状が用いられている場合は、テンプレートマッチング法を用いることもできる(例えば相互相関法またはハウスドルフ距離など)。色の場合は、対象色と基準色との間の距離を色認識に用いることができる。あるいは、形状および色の結合特徴ベクトル表示を、形状および色を認識する当該ステップに用いることもできる。
【0040】
ステップ280では、データセルの形状および色の認識に基づいて、区分化されたデータセルからデジタルデータが得られる。形状と色の固有の組み合わせはそれぞれ固有のデータ項目またはデータ値を表すことができ、特定の形状と特定の色の組み合わせを解釈することによって、その組み合わせによって表されたデジタルデータを取得することができる。ある実施形態では、ルックアップテーブルでデータセルの形状と色の組み合わせを参照してデジタルデータを再生する。このステップで用いるルックアップテーブルは、入力および出力が、ステップ170で用いるルックアップテーブルと逆の関係を有してもよい。
【0041】
バーコードを符号化および復号化する処理は、それぞれバーコードレンダリングソフトウェアプログラムおよびバーコード復号化ソフトウェアプログラムによって実行されてもよい。カラーバーコードレンダリングプログラムは1台以上のプリンターに接続されたコンピューターに存在してもよく、またはプリンター自体に存在してもよい。カラーバーコード復号化プログラムは1台以上のスキャナー/カメラに接続されたコンピューターに存在してもよく、またはスキャナー/カメラ自体に存在してもよい。
【0042】
上記方法はコンピューター、プリンター、スキャナー/カメラ、および/または他のデータ処理装置で作動するコンピューターソフトウェアプログラムによって実行されてもよい。
【0043】
図5(a)および(b)を参照すると、本発明の方法を実行することができる例示的システムが説明されている。図5(a)に示す例示的実施形態では、システムは、ネットワークまたは他の有線もしくは無線通信リンク18で相互に接続されたコンピューター12とプリンター14とを備えてもよい。本発明の一実施形態は、本発明の実施形態に係る4Dカラーバーコードを符号化するためのプログラムが搭載されたコンピューターである。本発明の別の実施形態は、処理装置と、本発明の実施形態に係る4Dカラーバーコードをレンダリングするためのプログラムが搭載された読み出し専用メモリー(ROM)と、を有するプリンターである。あるいは、プリンター14はコンピューター12に接続されていない独立型のプリンターであってもよい。図5(b)に示す別の例示的実施形態では、システムは、ネットワークまたは他の有線もしくは無線通信リンク18で相互に接続されたコンピューター12とスキャナー/カメラ16とを備えてもよい。本発明の一実施形態は、本発明の実施形態に係る4Dカラーバーコードを復号化するためのプログラムが搭載されたコンピューターである。本発明の別の実施形態は、処理装置と、本発明の実施形態に係る4Dカラーバーコードを撮影するためのプログラムが搭載されたROMと、を有するスキャナー/カメラである。あるいは、スキャナー16はコンピューター12に接続されていない独立型のスキャナー/カメラであってもよい。多くの実際の用途では、符号化と復号化の処理が異なる場所で実行されてもよく、プリンター14およびスキャナー16(またはカメラなど他の何らかの撮像装置)は、必ずしも同時に相互に通信する必要はない。例えば、現在の一般的な実施方法は、広告主がチラシ上の製品広告の隣にバーコードを印刷すると、顧客がスマートフォンのカメラでバーコードを読み取るだけで、バーコード内に符号化された製品に関する付加情報を得ることができる、というものである。
【0044】
また多くの場合、バーコード容量を増大させるための本発明の例示的実施形態は、印刷−スキャンのループで実行されるが、コンピューター、プリンター、および/またはスキャナーがそれぞれ単独に機能して、本発明の方法における例示的処理の特定部分を実行することもできることは言うまでもない。例えば、コンピューターを用いてバーコードを生成/符号化および/または復号化してもよく、プリンターを用いてバーコードを生成および/または印刷してもよく、一方でスキャナーまたはカメラを用いてバーコードを読み取りおよび/または復号化してもよい。実際の用途の観点から、必ずしも全ての装置をネットワーク内で接続したり互いに接続したりする必要はない。さらに、バーコードを生成/撮影するためのプリンターまたはスキャナーの代わりに、複合機(MFP)および一体型(AIO;All‐In‐One)装置を用いてもよい。
【0045】
本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく本発明の方法および装置を様々に改変および変形できることは当業者には明らかであろう。よって、本発明は添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に含まれる改変および変形を包含するものである。
図1
図2
図3
図4
図5